
看護師の働き方 平成30年間でどう変わった? 第4回
平成時代30年あまりを通して、看護師の働き方はどのように変化してきたのでしょうか。シリーズ「看護師の働き方 平成30年間でどう変わった?」では全8回にわたり、平成年間の看護師を取り巻く環境の変化を振り返ります。新元号「令和」の改元が発表され、新たな時代がスタートする節目において過去に学び、現状をとらえ、来るべき将来に思いを馳せてみませんか?
【 「看護師の働き方 平成30年間でどう変わった?」 全8回 タイトル一覧】
第1回 看護師のニーズはとどまるところを知らない【キャリア・前編】
第2回 看護師資格の急増とキャリアプランの変化【キャリア・後編】
第3回 看護師の待遇とワークライフバランス【職場環境・前編】
第4回 潜在看護師の「浮上」に期待【職場環境・後編】
第5回 看護師=女性の時代は終わった【ポジジョン・前編】
第6回 チーム医療の中で看護師はどう振る舞う?【ポジション・後編】
第7回 地域包括ケアシステムと看護師の役割【医療システム・前編】
第8回 令和時代の看護師に求められることは?【医療システム・後編】
まずはクイズに挑戦!
1.看護師不足の解決策
1-1.看護師等の人材確保の促進に関する法律
わが国において、看護師不足は慢性的に問題となってきました。平成に入ってから行われた看護師不足対策のひとつが、1992年(平成4年)に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」(人確法)です。この法律により、看護師養成所の整備、夜勤負担の軽減、看護業務改革、研修の促進といった大きな方針が打ち出されました。
1-2.ナースセンターの設置
そして、人確法に基づいて設置されたのが「ナースセンター」です。中央ナースセンターのほか、47都道府県それぞれに必ず1つのナースセンターが置かれ、看護職の再就業支援や紹介事業などを行うようになりました。いわば看護職の仕事に関する「お悩み相談所」であり、第三者の立場から就労をサポートしてくれる公的機関が誕生したわけです。
ほかにも多くの取り組みがなされてきましたが、いまだ看護師不足の解消には至っていません。2000年(平成12年)の第4次医療法改正により一般病床の看護配置基準が4対1から3対1に変更されたこと、2006年(平成18年)の診療報酬改定により7対1看護配置基準が導入されたことなども影響し、むしろ看護師の需要は拡大。各医療機関による看護師の「争奪戦」が繰り広げられたのです。
1-3.潜在看護師とは
こうした状況が続く中、「潜在看護師」の存在が注目を集めるようになりました。潜在看護師とは、看護師等の資格を持ちながら、それを生かしていない(医療機関等で働いていない)人のことです。厚生労働省の推計によると、2002年(平成14年)度末の時点では約55万人の潜在看護職がいました(参照データ<1>より、1955~2002年のデータを積み上げて算出)。この潜在看護師たちを「顕在化」させる(=職場復帰を後押しする)ことにより、看護師不足を解消しようというわけです。
2.復帰しやすい職場をめざして
2-1.離職がとまらない
ところが、それから8年後の2010年(平成22年)度末において、潜在看護師の推計数は約71万人となり、減るどころか増加の一途をたどっていることが明らかになりました。その背景には、看護職における「離職率の高さ」と「復職の難しさ」があると考えられています。2012年(平成24年)に厚生労働省が作成した資料(参照データ<2>)によれば、離職等で「潜在化」した看護職は約16.1万人いたのに対して、再就業して「顕在化」した看護職は約14万人にとどまりました。
■就業・離職・再就業する看護職の遷移(平成24年)
※新卒入学者(2年課程の入学者は除く)、新規資格取得者(2年課程の取得者は除く)、就業者数、再就業者数は厚生労働省医政局看護課調べ ※離職者等数は、就業者数に第七次看護職員需給見通しにおける退職者数/供給見通しの5年平均の数値を乗じたもの ※過去10年間(2003年~2012年)の看護職員の対前年比増減数の平均は約3万人 ※新規資格取得者(2年課程の取得者は除く)は、看護師約3.8万人、准看護士約1.3万人の合計である ※潜在看護職員数は免許保持者数から64歳以下の就業者数を減じたもの(2010年末推計:厚生労働科学研究)
(厚生労働省 資料「看護職員の現状と推移」をもとに作成)
2-2.離職理由
日本看護協会が発表した2012年(平成24年)度から2016年(平成28年)度にかけての離職率の推移をみると、病院看護職員の正規雇用者・新卒者ともにほとんど横ばいの状態が続き、ほとんど改善に至っていないことが分かります。
■病院看護職員の離職率の推移
(日本看護協会「2017年 病院看護実態調査結果報告」をもとに作成)
厚生労働省の発表(2006年/平成18年、参照データ<3>)した看護師の年齢別の構成割合によると、20代後半(18.6%)がボリュームゾーンであり、以下年代を追うごとに割合が少なくなっていることがわかります(30代前半:17.2%、30代後半:14.9%、40代前半:12.7%、40代後半:11.1%、50代前半:8%)。一般に、30代後半から40代に復職するために構成割合は「M字カーブ」を描くといわれますが、看護師の場合は離職後に復職するケースが少ないことから、いわゆる「L字カーブ」に近い形を描くともいわれています。
■2006年(平成18年)と2016年(平成28年)の年齢階級別看護師数
(厚生労働省 平成18年・平成28年保健・衛生行政業務報告[就業医療関係者]をもとに作成)
また、10年後の厚生労働省の発表(2016年/平成28年、参照データ<4>)を合わせてみると、2006年(平成18年)に30~34歳であった世代が2016年(平成28年)に一番のボリュームゾーン(172,831人で全体の15%、2006年から33,123人増加)となっていることが読み取れます。2006年(平成18年時)にボリュームゾーンであった世代(25~29歳)は35~39歳となった2016年(平成28年)には164,836人で全体の14.3%、13,782人の増加にとどまっていますから、離職率が改善されない一方で30代~40代にかけての復職が徐々に増加してきているのかもしれません。
次に、主な退職理由を見てみましょう。厚生労働省 資料「看護職員の現状と推移」をみると、退職経験のある看護職員は出産・育児や結婚を機に退職をしているケースが大半である一方、人間関係や超過勤務、夜勤の負担等労働環境も退職理由に影響していることが読み取れます。
■看護職員の退職理由
(厚生労働省 資料「看護職員の現状と推移」をもとに作成)
労働環境の厳しさが、潜在看護師の復職を阻む要因のひとつになっていることは想像にかたくありません。結婚や出産を通して家族が増えた人、特に子育て世代も仕事に復帰しやすい労働環境を整えることは、看護師不足の改善に大きく寄与するはずです。
2-3.復職支援の拡大
日本看護協会は、多様な勤務形態の普及などによりワークライフバランスを向上させる取り組みを支援しています。そうした甲斐あって、現在では雇用形態や勤務形態、勤務時間を選択できたり、短時間勤務でも正職員として採用したりする医療機関も増えてきています。潜在看護師を対象とする研修を充実させることで、「古くなった自分の知識や技術では今の現場で通用しないのではないか」と不安を覚える人の職場復帰を後押しする職場もあります(ナースセンターも復職支援研修を提供しています)。
また、離職した看護職の情報を全国規模で集約し、必要に応じて復職支援を行うことの重要性も認識されるようになりました。2015年(平成27年)には改正人確法が施行され、「看護師等の届出制度」が誕生し、離職する看護職は、自身の氏名や連絡先などの情報を都道府県ナースセンターに届け出ることが努力義務とされました。このときナースセンターが任意で復職の意向なども聞き取っておくことで、各自の事情に合わせて的確なサポートを行い、スムーズな復職の実現につなげるねらいがあります。
看護師は、難易度の高い試験を突破し国家資格を得た人だけが就くことのできる高度な専門職の一つです。「働きたいのに働けない」看護師が増えることは、本人にとっても社会にとっても大きな損失だといえるでしょう。潜在看護師たちが「こんな職場なら戻りたい」と思えるような環境の整備は、今後ますます加速していきそうです。
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