豊かな自然と広大な面積を誇る北海道は、全国トップクラスの医療施設数を有する地域です。大型医療施設から地域密着型のクリニックまで、札幌市・函館市・旭川市・釧路市などを中心に幅広い医療施設があり、求人数も北海道全体で2,400件以上あります。
求人数が多いため、給料額や待遇は施設によってさまざまです。自分に合う環境で働くためには、求人情報をしっかり確認しましょう。
今回は、北海道における看護師の求人情報を解説します。給与事情や支援制度も併せて解説するため、北海道で看護師を目指す方は参考にしてください。
1. 北海道における看護師の求人状況と特徴
北海道における看護師・准看護師・一般企業の有効求人倍率は、下記の通りです。
北海道における一般企業の有効求人倍率は1.00倍と、そこまで高くはない状況です。一方で、北海道で働く看護師の有効求人倍率は2.60倍となっており、看護人材の不足とニーズの高さがうかがえます。
このような状況のため、北海道は看護人材を確保するために取り組んでおり、看護師は1988年から2016年まで毎年右肩上がりで増加しています。一方で准看護師は1998年以降やや微減傾向にあり、看護師のほうが需要が高くなっているといえるでしょう。
また、人口10万人当たりの就業者数が全国平均を上回っている点も特徴であり、北海道が看護師確保に力を入れていることがよく分かるデータです。
(出典:北海道「北海道医療計画(平成30年度~令和5年度)」)
北海道における看護師求人の特徴は、以下の通りです。
●求人数が多いため、理想の働き方ができる職場が見つかりやすい
医療施設数の多さや看護師のニーズが高いことから、看護師の求人数が非常に多くなっています。
北海道における2020年11月時点の、一般診療所と病院の合計は、3,255施設です。なお、青森県では767施設、岩手県では773施設であり、北海道・東北地方の中でも極めて医療施設の数が多いことが分かります。
(出典:日本医師会・地域医療情報システム「地域別統計(北海道)」)
(出典:日本医師会・地域医療情報システム「地域別統計(青森県)」)
(出典:日本医師会・地域医療情報システム「地域別統計(岩手県)」)
道内全域で求人が出されているため、さまざまな選択肢の中から職場を選ぶことが可能です。選択肢が多い分、理想の働き方ができる職場も見つけやすいでしょう。
●病棟のみ・透析のみなど業務の幅が狭いため、集中して専門知識を習得できる
北海道は医療施設の数が多いだけではなく、施設の規模や施設形態が豊富な点も特徴です。看護師の求人においても、マルチな業務をこなす職場だけでなく、病棟業務のみ・透析業務のみといった特定の業務に特化した求人も多く見られます。
マイナビ看護師掲載の求人情報では、北海道の看護師求人は約2,400件あり、その内の約67%が札幌市となっています。そのため、専門的に働きたい方やスキルアップしたい方は、北海道の中でも札幌市を中心に探すとよいでしょう。
●施設によって収入の上限・下限の幅が大きい
北海道における看護師求人は、施設における収入の上限・下限の幅が大きくなっています。なるべく年収が高い職場で働きたい場合は、転職エージェントに相談するなどして、自分の希望年収に合った求人を紹介してもらうことがおすすめです。
経験やスキルによって年収は上下するため、転職する際はなるべく多くの経験を積める職場を探すことも1つの手段といえます。
2. 【北海道】看護師の平均給与
北海道における看護師関連職、給与所得者の平均年収は、以下の通りです。
北海道における看護師・准看護師の平均年収は、全国平均をやや下回っています。ただし、上記の金額は道内全域の平均値であるため、エリア・勤務する職場・キャリアによって平均年収は大きく変動します。特に夜勤のある職場では、深夜割増賃金や多くの職場で夜勤手当が支給されるため、全国平均を超える年収を得ることも十分に可能でしょう。
また、北海道で働く保健師・助産師に関しては、平均年収が全国平均よりも大きく上回っています。平均年収を高めていきたいと考える看護師の方は、将来的に保健師・助産師資格の取得を目指すこともおすすめです。
看護師として働く職場を探す場合は、納得できる条件で働くためにも、求人情報を精査することが重要です。求人を探す場合は、看護師の求人を専門的に掲載するサイトを利用しましょう。
3. 北海道が進める看護人材の支援・取り組み
北海道では、看護師を目指す方のために積極的な支援・取り組みが行われています。看護師を目指す学生の方や現職の看護師でキャリアアップを目指したい方は、支援制度を活用して経済的負担を減らしながら、看護に必要な知識や技術を学びましょう。
ここでは、北海道が進める看護人材の支援・取り組みの概要を解説します。
3-1. 修学資金貸付金
修学資金貸付金とは、北海道内で看護業務に携わるための勉強をする学生に対して修学資金の貸付を行い、看護人材育成を支援する制度のことです。
令和3年4月1日から新しい貸付制度となり、詳細は下記の通りです。
対象者 |
- 【一般修学資金】
卒業後に北海道内の特定施設または特定地域に就業予定の学生
- 【特別修学資金】
卒業後に北海道内の特定の病院に就業予定の学生
- 【指定修学資金】
特別修学資金の貸付を受けており、「JA北海道厚生連網走厚生病院」「広域紋別病院及びJA北海道厚生連遠軽厚生病院」で就業予定の学生
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対象となる施設 |
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補助金 |
- 【一般修学資金】
・看護師・准看護師:月額36,000円
- 【特別修学資金】
・助産師・看護師(2年課程を除く):月額20,000円
・看護師2年課程(通信制を除く):月額30,000円
- 【指定修学資金】
・助産師・看護師: 月額10,000円
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免除要件 |
- 卒業後、速やかに北海道内の特定施設に就業し、貸付期間の1.5倍の年数を継続して就業する
- ※一般修学資金の場合、養成施設を卒業した日から1年以内に就業
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(出典:北海道「看護学生に対する修学資金貸付制度(新制度)について」)
修学資金貸付金は、卒業後に一定期間以上就業するなど定められた要件を満たすことで、貸付金の返還が免除されます。新制度に代わり各資金の補助金額も増加しているため、北海道内での就職を考えている学生は、ぜひチェックしてみてください。
3-2. 専門実践教育訓練給付制度
専門実践教育訓練給付制度とは、教育訓練に係る経費を一定額負担するキャリアアップ支援制度です。詳細は下記の通りです。
対象者 |
雇用保険被保険者期間が2年以上ある方 (2回目以降の受給の場合は雇用保険被保険者期間が3年以上・離職中の方は離職後1年以内)
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対象となる施設 |
厚生労働省指定の専門実践教育訓練給付対象講座を実践する施設 (看護専門学校など)
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補助金 |
- ・教育訓練費の50%(年間40万円を上限とし、最大120万円まで支給)
- ・卒業後給付最大48万円支給(一定の要件を満たす必要あり)
- ・最大合計168万円支給
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(出典:北海道看護専門学校「専門実践教育訓練給付制度」)
専門実践教育訓練給付制度は支援金額が手厚く、看護を学んで国家資格を取得するために係る費用の約70%を、給付金で賄うことができます。社会人になってから看護師を目指したい方や、諸事情により別の進路を選んだ方には、看護師に転職する絶好の支援制度といえるでしょう。
4. 【北海道】看護師の求人が多いエリア
ここでは、北海道で看護師の求人が多い札幌市・旭川市・函館市の特徴を解説します。
求人情報の特徴 |
札幌市 |
- ・人口や施設数が多いため、看護師求人が最も多い
- ・交通機関が充実しているため、通勤の利便性が高い
- ・待遇が充実しており、道内の他エリアよりも正社員求人数が多い
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旭川市 |
- ・道内では札幌に次いで大きい都市のため、求人数が多い
- ・マイカー通勤が可能な求人が多い
- ・大病院からクリニックまで幅広い医療施設があるため、希望に合った求人を見つけやすい
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函館市 |
- ・利便性に優れた都市部であるため住みやすく、ワークライフバランスが取りやすい
- ・アットホームな環境の求人が多く、働きやすい職場を見つけやすい
- ・手当が充実している求人が多い
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帯広市 |
- ・十勝地方の中心都市のため、大きな病院から地域密着のクリニックまで幅広い求人がある
- ・移住者を増やす活動も盛んで、トラベルナースの求人が多い
- ・様々な雇用形態で募集する施設が多い
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小樽市 |
- ・高齢者が多いため、ゆったり自然を感じられる老人ホームや施設がある
- ・夜勤なしの求人が多い
- ・観光地で有名な市街地があるため、大病院も多い
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北海道は求人数が豊富にあるため、それぞれのエリアにおける特徴を把握したうえで就業先を選びましょう。
まとめ
今回は、北海道における看護師の求人情報に関して、給与事情や支援制度などを解説しました。
北海道は、看護師として活躍する職場を探す場合に適したエリアです。しかし、求人が豊富にあるため、自分に合う職場を見つけることが難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。
そのような方には、「マイナビ看護師」の利用がおすすめです。マイナビ看護師には質の高い求人が多く掲載されており、勤務形態や地域を指定して求人の検索ができるため、希望の職場を見つけることができます。また、専任のキャリアアドバイザーによる転職サポートも承っているため、希望や疑問点がある方はお気軽にご相談ください。
※当記事は2022年1月現在の情報を基に作成しています