熊本県の医療施設数は全国平均を上回っており、看護師の数も充実しています。求人数も豊富にあり、看護師として転職しやすいといえます。ただし、へき地では医療施設や看護職員が不足している問題もあり、看護職員の人材確保は熊本県にとって大きな課題に挙げられます。
当記事では、熊本県の求人情報について、有効求人倍率や平均年収、求人が多いエリアなどを紹介します。熊本県で看護師の求人を探している人はぜひ参考にしてください。
1. 【2022年】熊本県における看護師の有効求人倍率と求人市場の特徴は?
熊本県における看護師・准看護師・一般企業の有効求人倍率は下記の通りです。
熊本県の看護師、准看護師の有効求人倍率はともに高めです。看護師の有効求人倍率は一般企業のおよそ3倍、准看護師は4倍弱もあります。熊本県においては、一般企業よりも看護師、准看護師のほうが就職しやすい状況にあるといえます。
全国における看護師の有効求人倍率は2.63倍です。熊本県における看護師の有効求人倍率はそれよりも高く、全国と比較しても就職しやすいことが分かります。ただし、熊本県の有効求人倍率は地域によって差があり、就職のしやすさはそれぞれの場所で変わります。
■病床数と看護師の多さに比例して、求人数が豊富
2021年11月時点の熊本県の一般診療所数は1,211施設で、人口10万人あたりの施設数は69.67施設です。これは全国平均の69.75施設と同程度です。しかし、熊本県の病院数は204施設、人口10万人あたりの病院数は11.74施設であり、全国平均の6.49施設を大きく上回っています。
病床数は4,213床、人口10万人あたりの病床数は242.36床であり、全国平均の66.63床を大きく上回っていることも熊本県の特徴です。病床数が増えるほど必要な看護師の数も多くなるため、おのずと看護師求人数も多くなっています。
(出典:日本医師会・地域医療情報システム「地域別統計(熊本県)」)
■看護師は熊本市に集中している
日本医師総合政策研究所によると、熊本県の看護師の過半数は熊本市に集中しています。熊本市には医学部があり、看護師のほかにも勤務医の62%、全身麻酔の73%が熊本市に在籍しています。熊本市に隣接する宇城市、有明市、鹿本市などは急性期医療を熊本市に依存している状況です。地方では、看護師不足が深刻な地域もあります。
(出典:日本医師総合政策研究機構「地域医療提供体制現状と将来 43熊本県」)
2. 【2022年】熊本県の看護師の平均年収は?
熊本県と全国における看護師関連職と給与所得者の平均年収を紹介します。
熊本県では、看護師・准看護師ともに全国平均よりも低い平均年収でした。しかし、保健師や助産師の平均年収も全国平均よりも低いため、熊本県内において看護師や准看護師の給与が特別低いというわけではありません。
■全国平均に比べるとやや低めの水準
熊本県の看護師における平均年収は全国平均を大幅に下回り、47都道府県中46位という結果になりました。
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」)
46位という順位に低い印象を抱くかもしれませんが、あくまで平均年収です。就職する病院によって年収や賞与、手当などが違い、場合によっては高年収も狙えます。看護師の年収は夜勤手当、残業手当で差がつくことも多いため、自分が希望する年収をもらえる求人を探してみてください。国立病院や大規模病院では、スキルアップにより給料が上がる可能性もあります。
3. 熊本県で看護師の求人が多いエリアは?
熊本県でもっとも求人が多いエリアは、熊本市です。次いで八代市、山鹿市の求人が続きます。各エリアの求人の特徴は、下記の通りです。
求人情報の特徴 |
熊本市 |
- ・駅から徒歩10分程度の距離に立地する施設が多い
- ・約500万円の年収を支給する求人もある
- ・完全週休2日制や夏季休暇、誕生日休暇など休暇制度が充実している
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八代市 |
- ・病院からの看護師求人が多い
- ・正社員から契約社員、アルバイト・パートまで働き方の選択肢が幅広い
- ・役職手当や資格手当など経験・スキルに応じて収入をアップできる施設がある
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山鹿市 |
- ・マイカー通勤の相談ができる求人が多い
- ・住宅補助ありの求人が多く、福利厚生が充実している傾向にある
- ・休暇制度の充実度など、働きやすさをアピールする求人が多い
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玉名市 |
- ・託児所完備や復職・ブランク可など子育てと仕事を両立しやすい求人が多い
- ・賞与や昇給がある、高めの給与を見込める求人が多い
- ・病院、クリニックの他に老健の求人も多い
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宇城市 |
- ・中核病院があり周辺にクリニックや訪問看護事業所が点在しているため、松橋町に求人が集中している
- ・託児所あり、産休・育休実績あり、復職・ブランク可など、子育てしながら働きやすい求人が多い
- ・残業少なめの有料老人ホームや日勤のみのクリニックも多い
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2022年1月現在、マイナビ看護師に掲載されている熊本県の求人数は約390件あり、そのなかの3分の2である約240件が熊本市に集中している状況です。
4. 熊本県が進める看護人材の支援・取り組みは?
熊本県は看護師の数が多いものの、熊本市内に集中している状況です。地域によっては看護師不足が問題となっているなど、医療資源のムラが課題に挙げられます。
熊本県の行政は課題を解消するため、看護師等就学資金貸与や熊本県ナースセンターの運営など、さまざまな取り組みを行っています。
4-1. 看護師等修学資金貸与
熊本県内の看護職員の確保および定着を目的とし、看護職員を養成する熊本県内外の養成施設に在学する人を支援する制度です。詳しくは下記の通りです。
対象者 |
- 下記の【1】【2】を満たす人
- 【1】養成施設に在学している(県外の養成施設でも可能)
- 【2】卒業後および免許取得後、ただちに指定施設で看護職員として従事する
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貸与月額(保健師・助産師・看護師) |
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貸与月額(准看護師) |
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(出典:熊本県「熊本県看護師等修学資金貸与について」)
熊本県看護師等修学資金貸与の貸与期間は1年間で、継続申請が可能です。卒業後に2年以内に免許を取得し、その後すぐに対象施設に5年間従事すると返還免除となります。5年間従事できなかった場合は、その期間に応じて修学資金を返還します。
なお、阿蘇圏域や上益城圏域などのへき地で、許可病床数200床未満の病院では、返還免除となる期間が3年に短縮されます。
4-2. 熊本県ナースセンター
熊本県では看護職員のための就職先紹介のために、熊本県ナースセンターを設立しています。看護職経験者であるスタッフが、これから看護職として就職する人、復職する人などの支援を行います。
熊本県ナースセンターの取り組みの一つとして行われる、復職支援の研修について紹介します。詳細は下記の通りです。
熊本県では、潜在看護師の復職に関する情報提供から、座学だけではない技術セミナーまで、さまざまな相談会・研修に参加することができます。相談会や研修を通して知識・技術を習得すれば、不安や疑問を解消したうえで復職できるでしょう。
5. 熊本県の魅力・名所・生活環境
熊本県の2021年12月現在の人口は、1,726,430人です。
(出典:熊本県「令和2年(2020年)熊本県の人口と世帯数」)
熊本県は日本の三名城として名高い熊本城があり、深い歴史がある県です。自然が豊かで美しい地下水が豊富なため、日本一の地下水都市ともいわれています。美しい水を活用して作られるスイカやメロンなどの農産物、辛子れんこん、馬刺しなどの郷戸料理も魅力的です。
熊本県は九州のほぼ中央に位置し、新幹線を使えば博多駅まで約30分、鹿児島中央駅まで約40分とアクセスも良好です。熊本市はショッピングセンターや飲食店なども程よくそろっており、非常に暮らしやすいでしょう。県外からの移住もおすすめです。
まとめ
熊本県は病院数が多いうえに有効求人倍率も高く、看護師として働ける場が充実している地域です。ただし、病院や医師、看護師の数が熊本市内に集中している問題も含んでいます。熊本県としては、看護師修学金貸与などでへき地医療への充実をはかっています。平均年収は全国に比べ低めではありますが、勤務する病院によっても変わります。
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※当記事は2022年1月現在の情報を基に作成しています