日本において経済活動が最も盛んな都市である東京都は、看護師の求人も豊富にあります。平均年収も高く、専門的なスキルを磨ける現場が数多くあるため、看護師としてのキャリアアップを目指すことが可能です。
また、東京都は「看護師等修学資金貸与事業」などの看護師支援施策も充実しています。
当記事では、東京都の看護師の平均給与から看護師支援施策・求人が多いエリアまで、東京都の看護師の求人情報について解説します。東京都内における看護師求人を探している人は、ぜひ参考にしてください。
1. 東京都における看護師の求人状況と特徴
全国で最も人口の多い都市である東京には、数多くの看護職の求人があります。最先端の医療に携わることができる医療機関など、東京都ならではの求人も豊富です。
以下は、東京都における看護師などの有効求人倍率です。
東京都における看護師の有効求人倍率は一般企業よりも高いため、看護師は比較的就職しやすい傾向にあります。
一方で、看護師における有効求人倍率の全国平均は2.63倍であり、隣県の神奈川県では3.40倍、埼玉県では3.90倍という状況です。そのため、東京都の看護師は、全国と比較するとやや充足している状況といえます。
以下は、東京都から出ている看護師の求人の特徴です。
●施設数の多さと比較して、求人数も豊富にある
日本医師会のデータによると、東京都における2020年11月時点の一般診療所と病院の合計は、12,701施設です。日本の第2の都市である大阪府は9,046施設であることから、大阪府と比較して東京都の医療機関数は約3,000施設以上も多くなっています。
(出典:日本医師会・地域医療情報システム「地域別統計(東京都)」)
さらに、東京都にある医療施設は、2002年から2019年までの17年間で1,859施設も増加しています。高齢化進行の影響もあり、東京都の医療施設は毎年100~300施設ほどの増加傾向があるため、今後も一定の看護師需要が見込まれるでしょう。
(出典:東京都福祉保健局「東京都の医療施設―令和元年医療施設(動態)調査・病院報告結果報告書―」)
求職者数もその分多いですが、有効求人倍率は2倍を超えていることから、自分に合った求人を探すことが十分に可能です。また、看護師寮・借り上げ住宅を提供している医療機関も多くあるため、上京して働く際も安心でしょう。
●施設形態に幅があり、さまざまな経験を積める
東京都には、最先端の医療を扱う専門性の高い施設・商業施設内の医療機関・大学病院・公的病院など、東京ならではの求人が数多くあります。例えば、日本において施設数がまだ多くない「小児集中治療室(PICU)」は、2017年時点において東京に7施設あります。
他にも東京都には、放射線治療病室や、母体・胎児集中治療室などの特殊診療設備が整った病院も多くある状況です。
(出典:東京都福祉保健局「東京都の医療施設」)
そのため、看護師資格を最大限に生かし、自分の能力を伸ばしたいと考える人には、東京への就職・転職は最適といえます。
中には研修制度が充実していたり、将来的に海外での活躍を目指せたりする職場もあるため、求人を探す際は研修・支援制度なども入念に調べるとよいでしょう。
●正社員としての雇用でも、エリアによって収入に差がある
東京都の看護師求人は、他の都道府県と比較して高給傾向にあります。一方で、正社員雇用の場合でも、エリアによって収入に差があり、基本的には都心の近くや、駅近郊のオフィスエリア・高級住宅街などにある医療機関ほど、高収入の求人が多く見られます。
平均給与が高い職場は昼夜問わず忙しく、高いスキルが求められますが、その分やりがいも大きいでしょう。
2. 【東京都】看護師の平均給与
東京都における看護師や、看護師関連職の平均年収は非常に高く、全国平均を上回る水準です。特に准看護師の場合は、全国平均と比較し+44万円ほど高い結果となっています。
「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、神奈川県の看護師平均給与は約522万円、埼玉県は約516万円であるため、基本的には首都圏全域で高給傾向といえます。
また、賞与や手当の金額は就業先によって異なるため、求人を比較する際は基本給だけでなく、賞与や手当の金額も確認することがおすすめです。例えば、夜勤が多い職場では深夜割増賃金や夜勤手当が支給されるため、平均以上の年収を得ることも可能でしょう。
3. 東京都が進める看護人材の支援・取り組み
東京都は、看護師の有効求人倍率が全国平均より低いものの、看護人材不足は依然続いている状況です。そのため、看護スタッフの確保や、長期的に働いてもらうことを狙いとして、さまざまな支援策が実施されています。
ここでは、東京都で実施されている、看護人材の支援に関する取り組みを紹介します。
3-1. 看護師等修学資金貸与事業
看護師等修学資金貸与事業は、経済的な理由で修学が困難な学生に、修学資金を貸与する制度です。「都内の看護師等養成施設に在学し、卒業後も都内で勤務する」など、一定の条件を満たすことで支援を受けられます。
以下は、看護師等修学資金貸与事業の応募資格・貸付条件です。
対象者 |
- 【下記(1)~(5)の要件を全て満たすことが必要】
- (1)都内の保健師・助産師・看護師及び准看護師の養成施設に在学している(または、看護師免許を取得し都内の大学院修士課程で看護関連の知識を修得しようとしている)
- (2)成績優秀かつ、心身健全である
- (3)経済的理由により修学困難である
- (4)同種の修学資金を借りていない
- (5)卒業・修了後、都内の指定施設などで看護業務に従事する意思がある
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貸付月額(第一種) |
- 保健師・助産師・看護師(国公立):32,000円
- 保健師・助産師・看護師(その他):36,000円
- 准看護師:21,000円
- 大学院修士課程:83,000円
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貸付月額(第二種) |
- 対象となる全ての課程:25,000円
- ※最大2口まで貸与可(50,000円まで)
- ※申込時に所得制限あり
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(出典:東京都福祉保健局「看護師等修学資金貸与事業」)
所得制限の有無により第一種と第二種の貸与種別があり、それぞれ貸与される月額が異なります。また、修学資金は無利子であり、第一種・第二種、両方の貸与を受けることが可能です。
経済的に困っている人は、ぜひ看護師等修学資金貸与制度を利用するとよいでしょう。
3-2. 東京都看護職員地域確保支援事業(看護職復職支援研修)
東京都看護職員地域確保支援事業は、看護師として再就職を希望する人への支援策です。
離職中の人や、就業先が決まっていない人に対して、スキル・経験に応じたサポートを行います。
以下は、東京都看護職員地域確保支援事業の詳細です。
対象者 |
- 【下記(1)~(3)の要件を全て満たすことが必要】
- (1)保健師・助産師・看護師・准看護師、いずれかの資格保有者
- (2)離職中かつ就業先が決まっていない
- (3)都内に就業を希望する
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参加費 |
無料
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参加可能なコース |
- (1)病院・施設体験コース
東京都が作成する標準プログラムに基づき、1日・3日・5日の各コースに参加して、講義や実習を行います。
- (2)学校に戻って体験コース
都立看護専門学校の模擬病棟や実習室で研修を行います。学生実習で使用する機器を使用して、各種看護スキルを再取得することが可能です。
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(出典:東京都福祉保健局「東京都看護職員地域確保支援事業(看護職復職支援研修)」)
全てのコースにおいて参加費が無料であるため、再就職に悩む人や離職中の看護師は、ぜひ利用するとよいでしょう。ただし、新型コロナウイルスの感染状況により中止または変更となる場合もあるため、開催の有無に関しては東京都福祉保健局のホームページでチェックしてみてください。
4. 【東京都】看護師の求人が多いエリア
看護師として就職・転職する際は、都道府県だけでなく、市区町村の比較も行うことが大切です。以下では、東京都において看護師の求人が多い、世田谷区・練馬区・新宿区・大田区・港区における求人情報の特徴を解説します。
求人情報の特徴 |
世田谷区 |
- ・大規模病院から一般病院まで選択肢が多数ある
- ・23区で最も人口が多いため、看護師需要も高い
- ・東京都の看護師平均給与を超える求人も多くある
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練馬区 |
- ・介護施設・子育て施設など、福祉に関する求人が豊富にある
- ・大規模病院や大学病院などの求人が充実している
- ・夜勤無し・残業少なめなど、ゆとりある働き方ができる現場も多い
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新宿区 |
- ・病床数1,000床規模の大病院が複数あり、求人数が多い
- ・美容クリニックなど、美容関連の求人も豊富にある
- ・海外観光客の利用も多く、英語や中国語ができると重宝される
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大田区 |
- ・23区内で最も面積が広いため、求人数が多い
- ・残業少なめや、土日休みなどの求人が多く、プライベートも大切にできる
- ・有料老人ホームなどはオンコールなしの求人が多い
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港区 |
- ・健診クリニックなど、会社員向けの施設が多い
- ・高級有料老人ホームなど、高給与が見込める施設もある
- ・ほとんどの求人が駅チカで、通勤しやすい
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各エリアの特徴を深く知るためには、実際に求人サイトに掲載されている求人を確認するとスムーズです。「マイナビ看護師」では、東京23区はもちろん、23区以外の求人も含め合計7,000件以上の求人を掲載しているため、ぜひご活用ください。
まとめ
東京都の看護師求人は給与水準が高く、一般クリニックから大学病院まで、さまざまな求人があります。看護師としてキャリアを積みたい人や、プライベートを重視して働きたい人など、東京都は自分の希望に合った職場をそれぞれ選びやすいエリアです。
また、東京都では、修学資金貸与や再就職支援なども充実しているため、条件に合う方はぜひ積極的に利用してみましょう。
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※当記事は2022年1月現在の情報を基に作成しています