
看護師の働き方 平成30年間でどう変わった? 第1回
平成時代30年あまりを通して、看護師の働き方はどのように変化してきたのでしょうか。シリーズ「看護師の働き方 平成30年間でどう変わった?」では全8回にわたり、平成年間の看護師を取り巻く環境の変化を振り返ります。新たな時代がスタートする節目において過去に学び、現状をとらえ、来るべき将来に思いを馳せてみませんか?
【 「看護師の働き方 平成30年間でどう変わった?」 全8回 タイトル一覧】
第1回 看護師のニーズはとどまるところを知らない【キャリア・前編】
第2回 看護師資格の急増とキャリアプランの変化【キャリア・後編】
第3回 看護師の待遇とワークライフバランス【職場環境・前編】
第4回 潜在看護師の「浮上」に期待【職場環境・後編】
第5回 看護師=女性の時代は終わった【ポジジョン・前編】
第6回 チーム医療の中で看護師はどう振る舞う?【ポジション・後編】
第7回 地域包括ケアシステムと看護師の役割【医療システム・前編】
第8回 令和時代の看護師に求められることは?【医療システム・後編】
まずはクイズに挑戦!
1.「平成」が終わりを迎える
1-1.紛争や災害に見舞われた激動の時代
平成の世が始まったのは1989年1月8日のこと。「十年一昔」と言いますが、そのさらに3倍もさかのぼる話です。平成元年生まれの看護師も、今や臨床では中堅に差しかかったところでしょう。
国内外の情勢を振り返ってみると、この30年はやはり激動の時代でした。国内がバブル経済で浮かれるなか、ベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結したのが1989年(平成元年)。1991年(平成3年)にはバブル経済が崩壊し、長引く不況の影響で当時の学生は「就職氷河期」とも呼ばれる大変な就職難に見舞われました。また、2001年(平成13年)に勃発したアメリカ同時多発テロ事件をはじめとするテロや紛争、大規模災害も絶えることがありませんでした。特に記憶に新しい東日本大震災(2011年/平成23年)を目の当たりにして「人生観が変わった」という人も少なくないはずです。
1-2.医療界の平成トピックス
医療の世界に目を向けると、2001年(平成13年)に「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」に改称され、性別を問わず「看護師」と呼ばれるようになりました。2003年(平成15年)にはヒトゲノムの全配列の解読が完了し、ゲノム創薬などの可能性が大きく広がりました。2012年(平成24年)には京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞に関連してノーベル生理学・医学賞を受賞しました。介護保険制度や後期高齢者医療制度の成立、ジェネリック医薬品の推進、メタボリックシンドロームに対する特定健診・特定保健指導の開始、AEDの街中への普及なども、すべて平成の30年あまりの期間に起こったことです。
こうしたなか、看護師を取り巻く環境はどのように移り変わり、そのキャリア選択を左右してきたのでしょうか。データをもとに概観してみましょう。
2.看護師が「売り手市場」になった理由は?
2-1.平成30年間で看護師は約〇倍に
厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」参考資料(2018年/平成30年)によると、2016年(平成28年)時点で就業している看護師数は121万665人となっており、平成開始当初からは約3倍も増えていることが分かります。この増加ペースは、他の医療従事者をはるかにしのぐ勢いです。
■看護職員就業者数の推移
なぜ、ここまで急激に看護師の数が増加したのかと言えば、看護師不足が差し迫った社会的問題となり、うなぎ上りにニーズが高まったことが根本の理由です。そうした背景から1992年(平成4年)には「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が施行され、「我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ(中略)看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ図る……」と宣言されました。
2-2.看護師養成の重要視
この中で「看護師等の養成」に関しては、平成年間において看護教育の高等化が強く推進されたことも大きなトピックです。従来は専門学校や短期大学での養成が主流でしたが、看護系大学・大学院や看護学部の創設が相次ぎ、1991年(平成3年)には11校しかなかった(文部科学省、参照データ<1>)看護系大学が2017年(平成29年)には267校まで増えている(厚生労働省、参照データ<2>)のです。
2-3.2006年度の診療報酬改定
2006年度(平成18年度)の診療報酬改定で「7対1入院基本料」が導入されたことも、看護師ニーズの上昇に拍車をかけました。7対1の看護配置基準(急性期病床)を満たした医療施設に手厚い報酬(患者1人当たり1万5550円/日)が約束されたため、まさに「看護師争奪戦」が勃発したのです。なにしろ、看護師の数が少し基準に満たないだけでも、その病院は莫大な利益を失うことになります。一部の人気病院を除いては看護師確保に頭を悩ませることが常となり、ここにおいて看護師の完全な「売り手市場」が形成されたといえそうです。
2-4.外国人看護師の受け入れ
外国人看護師の受け入れというトピックもありました。政府間の経済連携協定(EPA)に基づき、2008年度(平成20年度)にはインドネシア、2009年度(平成21年度)にはフィリピン、2014年度(平成26年度)にはベトナムからの受け入れが始まり、2018年(平成30年)8月末時点で累計受け入れ人数は5600人を超えています(介護福祉士を含む)。しかし、言葉や文化の違いなどから、わが国で働き続けている外国人看護師は一部にとどまるとみられます。
【関連ニュース】EPA 外国人69名が看護師に、合格率16.3%
2-5.学生の安定志向
加えて言えば、看護師志望者の増加の裏には、冒頭で触れたバブル経済崩壊後の長引く不況(「失われた10年」)や、2008年(平成20年)に起こったリーマンショックの影響で、学生の間に「手に職を付ける」志向が高まったこともあったと思われます。看護師は確実に社会貢献につながる職種であり、過酷な仕事とはいえ給与水準は低くなく、全国どこでも通用する国家資格者ですから、学生から選ばれるのもうなずける話です。
3.看護師の「売り手市場」は今後も続く
2020年の東京オリンピック閉幕後、わが国の景気は後退していくと予測する声もあり、学生の「手に職を付ける」志向は今後も衰えることはないと思えます。何より、団塊の世代が後期高齢者となり、医療・介護の需要がピークに達する「2025年問題」を控えて、看護師は1人でも多いほうがいいという状況になっています。看護師のニーズはとどまるところを知らないのです。
ただ、いくら「売り手市場」だからといって、「どんな職場でも働くことさえできればいい」という人はいないでしょう。がんばりを認めてくれる職場、人間関係の風通しが良い職場、自らが理想とする看護を実践できる職場、長く安心して働き続けられる職場……理想の職場はいろいろとあるでしょうが、ベストマッチする職場を探し出すことは簡単なことではありません。この点もまた、今後も変わることはないはずです。
文:ナレッジリング
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