
看護師の転職に年齢はどの程度影響する?転職活動をする上で、抑えるべき年齢別のポイントをご紹介します!
現在、看護師の求人で年齢制限を設けている医療施設は一部の例外を除きほとんどありません。それは、働き方改革の推進にともない、平成19年に「雇用対策法」が改正されたためです。この改正によって求人募集に年齢制限を設けることが禁止されました。しかし、現実には「年齢のせいで希望先の職場に応募できない」など「年齢」というハードルに阻まれ、くやしい思いを抱いている方もいます。そこでこの記事では、年齢別の採用ポイントや施設形態別における転職事情などをご紹介します。
1.20代で転職する場合の転職理由と採用ポイント
20代で看護師として働いている方の多くは、看護師として入職後数年経過し、職場の雰囲気はある程度つかめてくる頃です。すると、次のステップへ移りたいと考える人も出てきます。
では、20代看護師はどんな理由で転職活動を始めるのでしょうか?
マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」では、年代別に「退職を考え始めたきっかけ・理由」を調査しています。まずは、20代看護師の転職理由を見てみましょう。
20代看護師の転職理由
1位 仕事内容・やりがいに関する理由(40.7%)
2位 人間関係に関する理由(34.7%)
3位 給与条件に関する理由(32.9%)
4位 勤務時間・勤務体系に関する理由(30.8%)
5位 残業時間に関する理由(29.0%)
看護師は人間関係によるストレスが多い職業といわれますが、20代看護師の転職理由トップは「人間関係」ではなく、「仕事内容・やりがいに関する理由」でした。このことから、20代看護師には「もっと充実した職場を」と求める人が多いものと考えられます。
次に、20代看護師の採用ポイントをチェックしていきましょう。
①20代での採用ポイント1:幅広い求人や施設にチャレンジ可能!
20代看護師の特徴は年齢の若さです。若ければ体力や新しい知識を吸収する力があります。転職活動において20代は採用されやすい年代ともいわれるため、さまざまな求人にチャレンジできます。
とくに、体力の必要な「夜勤あり」の病院からは採用されやすいでしょう。30代でも体力的には問題ありませんが、結婚・出産を経験していると夜勤に対応できない人もいます。20代で家庭を持つ人もいますが、晩婚化が進む現在は30代の方が家庭を持つ可能性は高いといえます。
また、20代は30代以降の人と比べて経験は少ないものの、その分考え方に柔軟性があります。年齢を重ねると誰しも考え方が硬くなりやすいため、採用側から見れば20代は指導しやすい存在なのです。
20代は長く働けることもポイントです。定年を60歳とすると、20代なら40年ほど働けます。長く安定して働けることは病院にとって大きなメリットといえます。
転職する上で20代の若さは大きな武器です。採用コストも30代以降より安く済むため、自分の可能性を信じて幅広い求人に応募してみることをおすすめします。
②20代での採用ポイント2:経験不足や転職回数の多さで採用されない場合も。
一方、20代でも採用を見送られる場合があります。その一例として挙げられるのが、20代看護師が入職した年に転職している場合です。「またすぐ辞めるのでは?」と判断されたり、異なる病院やクリニックへの転職回数が多い場合には、経験不足と判断されて採用されないこともあるのです。
また、求人を出している病院には、「転職回数は◯回まで」と採用基準を設けているところがあります。ほとんどのところで20代の転職回数は「3回以内」を許容範囲としているようです。
「3回以内」としている理由は、学校を卒業してからひとつの職場で2~3年以上の実績が欲しいと考えているためです。
4回以上の転職経験があっても、採用されないわけではありません。20代は体力や吸収力があるため、積極的に採用している介護施設などもあります。しかし、転職経験が多くなると職場によって敬遠されることは確かです。そうなると自分が希望する条件を妥協する必要が出てくるかもしれません。そのため、3回目以降の転職には慎重になったほうが良いでしょう。
2.30代で転職する場合の転職理由と採用ポイント
30代看護師の転職理由を、マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」から見てみましょう。
30代看護師の転職理由
1位 仕事内容・やりがいに関する理由(37.0%)
2位 人間関係に関する理由(36.7%)
3位 ライフスタイルに関する理由(32.3%)
4位 給与条件に関する理由(30.7%)
5位 勤務時間・勤務体系に関する理由(28.1%)
上位2つは20代と同じですが、1位と2位の差はわずか0.3%でした。「仕事内容・やりがい」と「人間関係」は、ほぼ同率1位のため、30代看護師は仕事の充実度と同じくらい同僚とのコミュニケーションも重視していることがうかがえます。
また、20代とは異なり「ライフスタイルに関する理由」が3位にきています。結婚や出産を経験すれば、自ずとライフスタイルが変わる場合が多いため、多くの人にとって30代は働き方を見直す年代といえるでしょう。
つづいて、30代看護師の採用ポイントを見ていきましょう。
①30代での採用ポイント1:即戦力+伸びしろで需要あり!
30代看護師は10年以上の経験があるため、即戦力として期待されます。また、若手看護師の指導を任せやすいという面もあります。定年まで20年以上もあるため、長く働けることも特徴です。もちろん、管理職へのキャリアアップも可能です。
管理職となれば給与もアップします。公益社団法人 日本看護協会の「2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査」では、非管理職と管理職の平均給与を比較できます。
非管理職看護師の給与総月額は30~34歳が330,422円、35~39歳は357,238円です。対して管理職(35~39歳)の給与総月額は379,778円です。35~39歳で比較するとそれほど大きな違いはありませんが、40代以降になると差は開いていきます。ちなみに40~44歳で管理職の場合、給与総月額は421,706円です。
②30代での採用ポイント2:ライフステージの変化で働き方に制約が生まれやすい。
30代は結婚や出産など、ライフステージに変化が起こりやすい年代です。家庭を持ったり、育児が始まったりすれば、家庭優先となるため仕事に割く時間を減らす必要が出てくるでしょう。夜勤ができない、残業ができないなど、働く環境に制約が多くなれば、希望する職場には転職できないかもしれません。
とくに近年は晩婚化が進んでいるため、30代に入ってから結婚や出産を経験する人が多くなっています。
「平成25年版 厚生労働白書」を見ると、晩婚化が進んでいることがわかります。1980年の平均初婚年齢は夫が27.8歳、妻が25.2歳でしたが、2012年には夫が30.8歳、妻が29.2歳まで上昇しているのです。
同資料では、晩婚化とともに第1子の出産年齢が上昇していることもわかります。第1子を出産した母の平均年齢は1980年には26.4歳でしたが、2012年には30.3歳へと変化しているのです。
晩婚化や夫婦の出生力低下の流れを見ると、30代で働き方に制約が出る看護師は今後も多くなると予想されます。
3.40代以上で転職する場合の転職理由と採用ポイント
マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」から、40代看護師の転職理由も見ていきましょう。
40代看護師の転職理由
1位 人間関係に関する理由(43.1%)
2位 仕事内容・やりがいに関する理由(38.4%)
3位 給与条件に関する理由(32.5%)
4位 勤務時間・勤務体系に関する理由(24.3%)
5位 家庭事情の変化に関する理由(16.2%)
40代に入って初めて「人間関係に関する理由」がトップにきました。このことから、年齢が高くなるほど職場の人間関係を重視していることがわかります。
また、40代に入って子育てが一段落すれば、再びバリバリ働きたいという人も出てきます。そういった背景から「仕事内容・やりがい」「給与条件」が上位に入っているものと考えられます。
5位には親の介護や看護といった「家庭事情の変化に関する理由」が入っていることも40代の特徴です。40代はキャリアアップも目指せますが、ライフステージに合わせて働き方を見直す必要もあるでしょう。
つづいて、40代看護師の採用ポイントを解説します。
①40代以上での採用ポイント1:即戦力+指導者としての活躍需要あり。
40代看護師は学校を卒業してから20年以上の経験があります。複数の診療科目を経験するなど豊富なキャリアを活かした転職が可能なため、即戦力として採用されやすいことが特徴です。
また、10~15年以上の現場経験があれば、管理職としての転職も可能です。一般的に現場経験は看護師長なら約15年以上、看護主任なら約10年以上必要といわれています。それぞれの管理職なら、給与アップも期待できます。
管理職としての経験がなくても若手の育成経験があれば、転職活動では有利に働きます。リーダー経験がある、管理職の補佐的な仕事をしてきた、といった経験も転職する上では大きな強みといえます。
また、40代は結婚や出産などのライフイベントが起きにくい年代です。ライフイベントの少なさは長期間働けることにつながるため、アピールポイントとして使えます。
②40代以上での採用ポイント2:ライフステージの変化や、体力、人件費、柔軟性などに課題。
40代は結婚や出産などのライフイベントが起きにくいものの、親の介護が始まりやすい年代です。親の介護で仕事に割ける時間が少なくなれば、働く環境は制限されてしまいます。夜勤なし・残業なしが希望条件となれば、採用を見送られるかもしれません。
40代は体力の衰えを感じやすく、夜勤がきつくなるなど体力的な問題も出てきます。
採用コストの高さも40代の特徴です。公益社団法人 日本看護協会の「2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査」では、年齢別の看護師の平均給与を比較できます。20~24歳の給与総月額は297,596円ですが、40~44歳は381,514円です。約84,000円の差があり、それだけ採用コストに違いがあることがわかります。
そのほか40代看護師は豊富な経験がある分、考え方に柔軟性がなくなりやすいことも特徴です。
これらのことが理由となって、40代看護師は採用されない可能性があります。
4.施設別で見る抑えるべきポイント
看護師が働く職場は病院やクリニック、介護施設などいろいろありますが、施設ごとに求める人材は異なります。
厚生労働省の「看護職員の現状と推移」には、「看護師の年齢階級別就業場所の割合」が掲載されています。20代や30代などは病院勤務が多いことが特徴です。しかし、年齢が高くなるほど病院勤務は少なくなり、その分診療所や介護老人福祉施設などが増えています。つまり、同資料は多くの人が年齢とともに体の負担が少ない職場に転職している証拠といえます。
では、最後は看護師の転職活動において、施設別に抑えるべきポイントをご紹介します。
以下の施設を順に見ていきましょう。
・病院
・クリニック
・介護施設
・訪問看護
1.病院の場合
病院の場合、1次救急、2次救急、3次救急のどれに指定されているかで採用ターゲットは異なります
1次救急に指定されている病院では、入院の必要がない軽症患者に対応する医療を提供しています。そのため、年齢を重ねてもそれほど体に負担がかからず勤務できるでしょう。
2次救急の場合は、24時間体制で救急患者を受け入れる体制を整えていることから、1次救急より体にかかる負担はやや大きくなります。夜勤を避けたい場合は、1次救急の方が良いでしょう。
3次救急に指定されている病院では、1次救急や2次救急では対応できない重症患者を24時間体制で受け入れています。夜勤があり、常に救急患者の受け入れで忙しいため、体力のある20~30代が採用ターゲットです。
40代など体力に問題のある人は、1次救急や2次救急に指定されている病院以外でも、療養型病院やケアミックス病院であれば、それほど体力の負担なく働けます。豊富な経験やコミュニケーション力があれば、採用される確率は高くなるでしょう。
2.クリニックの場合
地域医療を支えるクリニックは、少人数で多くの業務をこなさないといけないため、「即戦力」となる実務経験を積んだ看護師が求められる傾向にあります。そのため、40~50代でも採用ターゲットになりやすいので病院看護師より平均年齢が高いです。病院と違い病棟や大規模な入院設備がないので、オンコールなどで呼び出しがかかることもありません。また、外来診療がメインとなるので夜間勤務や土日出勤がないところがほとんどです。そのため体力的に厳しい40~50代でも働きやすいでしょう。
美容クリニックについてもご紹介します。美容クリニックで採用されやすいのは20~30代です。美容クリニックは美意識の高い人たちが利用する場なので、採用時に「見た目」が重視される確率は高いでしょう。清潔感がある、立ち居振る舞いが美しい、健康的な肌をしているなど、利用者目線で印象の良い人であることが重要です。「美人」が採用条件ではありませんが、美容クリニックでは若さが重視されやすいことが特徴です。
3.介護施設の場合
高齢者数の増加にともない、介護施設では看護師需要が高まっています。年齢が高めでも採用されるケースが多いため、40代や50代でも転職しやすいことが特徴です。
厚生労働省の「在宅医療・介護の推進について」を見ると、高齢者数の増加がよくわかります。
65歳以上の高齢者は2015年には3,395万人でしたが、2042年には3,878万人にまで増加する見込みです。75歳以上になると、2015年の1,646万人が、2055年には2,401万人にまで増加すると予想されています。
高齢者数は今後も数十年にわたって増加する見込みであるため、介護施設の看護師需要は今後も続くものと考えられます。そのため、転職市場で看護師が有利な状態はしばらく変わらないでしょう。
4.訪問看護の場合
近年は訪問看護ステーションの数も増加しているため、年齢が高めの看護師は介護施設以外でも採用されやすいことが特徴です。
厚生労働省の「訪問看護」を見ると、訪問看護ステーションの数が増加していることがわかります。
2012年には6,049ヵ所あった訪問看護ステーションは、2016年には8,484ヵ所にまで増加しています。5年間で約1.4倍と急激に増加していることが特徴です。
また、厚生労働省の「在宅医療・介護の推進について」では、終末期の療養場所に自宅を希望する人が多いこともわかっています。「必要になれば医療機関を利用したい」という人も含めると、60%以上の人が自宅で療養することを希望しています。
要介護状態になった場合も、約40%の人が在宅を希望していることから、訪問看護ステーションで必要とされる看護師は今後も増え続けるでしょう。
5.まとめ
年齢別の転職理由や採用ポイント、施設別の抑えるべきポイントをご紹介しました。看護師が働ける職場はいろいろありますが、ニーズのある職場に応募することが採用への近道です。年齢が若いほど転職には有利ですが、40代以降と年齢が高めでも介護施設や訪問看護ステーションなど、採用されやすい施設があります。しかし、地域や希望条件、あたなのキャリアによっては、結果は変わるかもしれません
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