vol.016
奈良県在住 看護師歴2年目 23歳
短期間で再転職することはできる?

2年目の看護師です。1年間勤務した大学病院から、民間病院に転職しました。ですが、転職先の病院は使用している物品や看護のやり方が古く、以前の職場とのギャップを感じています。さらに、中途採用のため求められる仕事のスキルも高く、もう少し丁寧に仕事を教えてもらえる病院に転職しようか悩んでいます。短期間でまた別の病院へ転職することはできるのでしょうか?
A、 自分が何を大切に仕事をしたいのか整理しよう
なぜ今の職場を選んだのか振り返ってみよう
2年目から民間病院に転職されたとのことですが、まず新卒で就職した病院を1年で退職した理由は何だったのでしょうか?
どうしても多忙な業務が自分に合わなかった、もっと患者さんと関わりたいと感じた、人間関係で悩みがあった、ほかにやりたいことがあったなど、転職を考えた理由は必ずあるはずです。
誰でも今置かれている環境がつらかったり嫌になったりしているときは、それをネガティブにとらえることしかできず、周りのほうが良く見えてしまうことは多々あります。
しかし、今の職場を選んだのは、少なくとも自分なりに魅力を感じる部分があったり、「ここならやっていけそう」と感じたりしたからではないでしょうか?
もし、最初に転職を考えたときのように今も職場の環境や仕事の内容をネガティブに考えていたり、「この病院が良さそう」「あの病院の方が良かったな」などとほかの職場が良く見えていたりするなら、今転職をしても、また同じことの繰り返しになりかねません。
一度冷静になって、「なぜここで働きたいと考えたのか?」と振り返ってみてはいかがでしょうか?
経験年数が上がれば求められることも増えてくる
大学病院や病床数が多い病院は、教育体制がきちんと整えられており、新人看護師や経験年数が浅い看護師を育てようとしている所がほとんどです。
しかし、中小規模の民間病院では、「そもそも積極的に新人看護師を採用していない」や「人手が足りない」など、さまざまな理由でじゅうぶんに仕事を教えてもらえないといったケースもたくさんあります。
経験にもよりますが、中途採用であればなおさら「大抵のことはできるだろう」と即戦力として見られます。
新人のときのように何でも教えてもらえると考えて受け身になるのではなく、自分からわからないことや不安なことは、質問して学習しましょう。たとえば、経験したことがない処置やケアがあれば、見学をさせてもらえるように声をかけるといった努力も必要です。
中には、経験年数にかかわらず基礎から学べる体制が整えられている病院もありますが、どこに行っても経験年数が上がれば上がるほど、自分から学んでいかなければならないことが増えてきます。
まずはご自分で学習し、今できることをやってみてください。転職を考えるのはそこからでも遅くないのではないでしょうか。
患者さんと自分を守れる環境かどうかもひとつの指標に
とくに、大学病院や公的病院から民間病院へ転職すると、看護用品や、処置、ケアの方法が違うことも多々あり、初めての転職ではギャップを感じることもあるでしょう。
ですが、どこに行っても看護の基本は変わりませんし、全て前の病院のやり方のほうが良くて今の病院のやり方が悪いというわけでもありません。
最も重要なことは、対象(患者さんや患者さんのご家族)の安全・安楽を守って看護を提供できるかどうかです。
また、対象だけでなく自分自身も守ることができる環境でなければ、適切な医療や看護は提供できません。万が一、今の職場でご自身の安全や安楽が守られていないのであれば、早く転職を考えても良いでしょう。
反対に、多少物品が古くやケアの方法にギャップを感じても、対象に満足してもらえていて、看護師自身も守られている環境であるなら、慣れるまでもう少し様子を見るのもひとつの選択肢です。
短期間での転職ができないことはありませんが、あせりは禁物です。これまでの職場と次に働きたいと思っている所をよく比較して分析し、自分に合う働き方を時間をかけて探していきましょう。
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スペシャル講師プロフィール
稲村 茉奈(いなむら まな)
正看護師・音楽療法インストラクター
循環器内科、回復期リハビリ病棟、デイサービスなどさまざまな分野を経験し、現在は施設内訪問看護で働きながら、介護老人保健施設にて音楽療法インストラクターとしても勤務。
自身が悩んだことや経験してきたことを、これから看護師を目指すひとや若手看護師に伝えていきたいと「ナースを目指すひと、ナースとして働くひとのためのたまごサロン」を始め、おもに看護学生や新人看護師から相談を受けている。