
看護師の給料、手取り額はいくら?データに基づいた手取り額の目安とは
「看護師の資格を生かして転職したい」と考えたとき、気になるのが給料の額ではないでしょうか。とはいえ、収入として考えるなら「給与額」よりも、実際に受け取る「手取り額」を確認したいところ。今回は看護師として受け取れる給料の手取り額の目安と、現職のまま収入を増やす方法について詳しくまとめました。
給料と手取り額の違いとは?

求人広告などに記載される給料は、税金や社会保険料を含んだ「総支給額」であるのが一般的ですが、これはあくまでも雇用主が従業員に支払う金額の目安。実際に受け取れる「手取り額」とは異なります。
手取り額というのは、給与額から保険料や税金が差し引かれた金額のことで、差し引かれる項目(一般的に「控除額」と呼ばれます)には、以下のようなものがあります。
・税金(所得税、住民税)
・社会保険料(健康保険、介護保険、雇用保険、厚生年金)
など
給料の控除額は総支給額や扶養家族の有無などで異なるため、人によって金額は変わります。といっても、生活していくための費用は誰もが把握しておきたいところ。実際に受け取れる手取り額は、事前にわかっているのが理想です。
あくまで目安であり、勤務先などによっても異なりますが、給料から手取りとして受け取れる額は、総支給額の80%程度になるといわれています。大体の手取額が知りたい場合は、この数字を参考に計算してみるとよいでしょう。募集要項で月収や年収を確認し、納得して入職したつもりでも、場合によっては控除額が予想以上に多く、実際の受け取り金額が少なく感じた……。というケースもあるかもしれませんが、控除される税金や社会保険料は、社会生活を送るうえで絶対に必要な費用。「収入の一部であることにはかわりがない」と考えましょう。
なお、新卒1年目の看護師は住民税が引かれないので、一時的に手取り額が多く感じられます。なぜ引かれないかというと、住民税は前年の所得によって計算されるため、前年度に学生であった新卒看護師には適用されないのです。ただし、看護師2年目になれば、6月から住民税が差し引かれることになり、昇給したとしても住民税が控除されます。そのため、給料の手取り額が新卒看護師より少なくなる場合もあるでしょう。
看護師の手取り額は平均でいくら?

では、具体的に看護師がもらっている給料の手取り額はいくらくらいになるのか。データをもとに確認してみましょう。
【専門学校卒・大卒初任給と勤続10年看護師】平均手取り額
日本看護協会が2018年に実施した「病院看護実態調査」の結果から、基本給と総支給額の平均を以下にまとめました。前述したように、総支給額の80%を手取り額の目安として計算し、比較しています。
基本給の平均額 | 総支給額の平均額 | 手取り額の平均額 | |
---|---|---|---|
高卒+3年課程卒の 新卒看護師(予定初任給) | 199,894円 | 263,551円 | 210,840円 |
大卒の新卒看護師(予定初任給) | 206,608円 | 271,381円 | 217,104円 |
勤続10年の看護師 (31~32歳、非管理職) | 244,445円 | 322,111円 | 257,688円 |
※手取額の平均額は、総支給額×0.8として計算(参考値/小数点以下は切り捨て)
専門学校卒と大卒では、手取り額の平均で約6,000円の差があることがわかりますが、これを年間で考えると約80,000円の差に。学歴によって、初任給が大きく異なることを理解しておくとよいでしょう。また、勤続10年では、専門学校卒の初任給と比べて約45,000円昇給しています。単純な比較はできませんが、今後の参考にしてみてください。
年齢や性別によっても、給料の手取り額に差は出るのでしょうか。2019年に厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」によると、男性看護師の年齢別「きまって支給する現金給与額(企業規模10人以上)」の平均は以下の通りです。上記同様に、手取り額は給与額の80%を目安として計算し比較しています。
【男性・年齢別】平均手取り額
年齢や性別によっても、給料の手取り額に差は出るのでしょうか。2019年に厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」によると、男性看護師の年齢別「きまって支給する現金給与額(企業規模10人以上)」の平均は以下の通りです。上記同様に、手取り額は給与額の80%を目安として計算し比較しています。
きまって支給する現金給与額 | 手取り額の平均額 | |
---|---|---|
20〜24歳 | 295,900円 | 236,720円 |
25〜29歳 | 326,900円 | 261,520円 |
30〜34歳 | 347,400円 | 277,920円 |
35歳〜39歳 | 357,500円 | 286,000円 |
40歳〜44歳 |
355,600円 |
284,480円 |
45歳〜49歳 |
392,900円 |
314,320円 |
50歳〜54歳 | 382,600円 |
306,080円 |
55歳〜59歳 | 370,100円 | 296,080円 |
60歳〜64歳 |
312,100円 |
249,680円 |
65歳〜69歳 | 201,700円 |
161,360円 |
70歳〜 | 150,600円 | 120,480円 |
※手取り額の平均額は、きまって支給する現金給与額×0.8として計算(参考値)
男性看護師は、20代から徐々に昇給し、45〜49歳をピークにそれ以降は下降傾向にあります。なお、この調査結果における1年あたりの昇給額の平均は、20代後半で約6,000円、30代前半で約4,000円、30代後半で約2,000円。40代前半では一時的に平均給与額が下がるものの、40代後半には40代前半と比べて1年あたり約7500円の昇給がみられました。
【女性・年齢別】平均手取り額
同じく、厚生労働省の調査より、女性看護師の年齢別「きまって支給する現金給与額(企業規模10人以上)」と、その約80%を目安とした手取り額の推移を見てみましょう。
きまって支給する現金給与額 | 手取り額の平均額 | |
---|---|---|
20〜24歳 | 285,400円 |
228,320円 |
25〜29歳 | 324,800円 | 259,840円 |
30〜34歳 | 332,400円 | 265,920円 |
35歳〜39歳 | 327,500円 |
262,000円 |
40歳〜44歳 |
346,400円 |
277,120円 |
45歳〜49歳 |
355,300円 |
284,240円 |
50歳〜54歳 |
361,500円 |
289,200円 |
55歳〜59歳 | 365,500円 |
292,400円 |
60歳〜64歳 |
311,600円 |
249,280円 |
65歳〜69歳 | 285,400円 |
228,320円 |
70歳〜 |
286,300円 |
229,040円 |
※手取り額の平均額は、きまって支給する現金給与額×0.8として計算(参考値)
女性看護師も、男性看護師と同様に20代から徐々に昇給していきます。ピークとなるのは、男性看護師よりも少し遅い55〜59歳で、以降は下降傾向にあります。なお、この調査結果における1年あたりの昇給額の平均は、20代後半で約8000円、30代前半で約1500円。30代後半で一時的に平均給与額が下がるものの、40代前半には、30代後半と比べて1年あたり約4000円、40代後半は約2000円、50代では約1000円の昇給がみられました。
以上のように、男性看護師と女性看護師の給与額の推移を比較すると、女性のほうが昇給する額が大きい傾向にあることがわかります。ただし、これはあくまでも平均であり、昇給率が低いまま定年を迎えるケースも当然あるでしょう。また、女性はライフステージによって働き方に変化が生じやすいため、キャリアパスによっても給与額や昇給率は変動します。転職を考える際は上記を参考にして、「自身の年代や経験に合った収入が見込めるのか?」を確認してみましょう。
【勤務先別】手取り額はこんなに違う!
続いて、勤務先による給料の差を見てみましょう。日本看護協会が2018年に実施した「病院看護実態調査」の結果をもとに、国立、公立等、公的医療機関、社会保険関係団体、公益法人、医療法人・個人、その他法人等といった設置主体別に、専門学校卒、大卒、勤続10年の看護師それぞれの給料額(税込給与総額)を比較しました。
高卒+3年課程卒の新卒看護師 (予定初任給) |
大卒の新卒看護師 (予定初任給) |
勤続10年の看護師 (31~32歳、非管理職) |
|
---|---|---|---|
国立 | 264,364円 | 275,047円 | 338,195円 |
公立等 | 261,926円 | 271,913円 | 339,836円 |
公的医療機関 | 262,055円 | 270,326円 | 338,100円 |
社会保険関係団体 |
271,948円 |
282,287円 | 355,869円 |
公益法人 | 263,165円 | 269,542円 | 319,181円 |
医療法人・個人 | 262,789円 | 269,516円 |
311,367円 |
その他法人等 | 268,427円 | 276,300円 | 329,681円 |
※「その他法人等」は、私立学校法人・社会福祉法人・医療生協・会社・その他の法人
設置団体によっては1万円程度の差があり、手取り額に換算すると8,000円程度の差があることがわかります(税込給与総額×0.8として計算)。勤務先によっては、年間で約96,000円の差が出る可能性があるため、年収を重視したい人は、職場選びを慎重に行ったほうがよさそうです。
現職のままで、手取り額を増やすには?

ここまでお伝えしたとおり、看護師の平均手取り額は、学歴や勤続年数、勤務先によって異なりますが、人によっては、現職のままでも収入アップを目指すことも可能です。続いては、現在の職場で勤務しながら、手取り額を増やすための方法を紹介しましょう。
夜勤回数を増やす
手取り額を増やす方法のひとつに、「夜勤回数を増やすこと」があげられます。病院などの施設では、日中と夜間の交替制勤務になるのが一般的で、夜勤をすれば手当がつくケースがほとんどでしょう。つまり、夜勤回数を増やせば、その分の手当額が増え、手取り額の増加につながるわけです。
夜勤手当の金額は職場によって異なり、私が勤務していた総合病院では、2交替制の勤務で夜勤手当が1回あたり15,000円でした。毎月6回ほど夜勤があったので、総支給額は90,000円。手取り額に換算すると72,000円ほど増えていた計算になります。夜間の入院が多い病院だったので大変でしたが、手取りが増えることはモチベーションアップにつながっていました。
その他の手当を増やす
夜勤以外に、「特別手当」がつく働き方を目指すのもよいでしょう。病院勤務の場合、手術室やER、透析室などの特殊部門に所属すると、危険手当や待機手当といった特別手当がつくことがあります。また、勤務先によっては、専門または認定看護師、ケアマネージャーなどの資格を取得することで、資格手当を受け取れる場合があります。加えて、管理職に就くことで手当てが増えることもあるでしょう。
ただし、手当の有無や支給額は勤務先によって異なるため、事前に情報収集しておくことが大切です。将来を見据えて経験を積み、手取り額が増える働き方を考えてみましょう。
看護師の手取り額を増やす「転職」という方法

現在の職場で働いていても、昇給率が低かったり、手当がつきにくかったりするのであれば、基本給や夜勤手当が高い職場に転職するのも一案です。専門職である看護師の就職先は、思っている以上に幅広く、病院以外にも訪問看護や施設、企業などの選択肢があります。また、新たにケアマネージャーなどの資格を取得して職種を変えたりするのも、年収アップのチャンス。キャリアパスを考えながら、興味のある分野での募集をチェックしてみましょう。
転職先の候補を見つけた際に、「給与額ではなく、手取り額の目安を知りたい」という人は、転職エージェントやキャリアアドバイザーに相談してみるのも手です。一般的な求人情報だけではわからないような詳しい情報を提示してくれたり、キャリアパスのアドバイスを受けられたりするため、収入面も含めて納得のいく職場を見つけやすくなるでしょう。
手取り額アップを目指して、これからの働き方を考えてみよう
看護師は、「病態に関する知識や看護技術を身につける」といった日々の努力に加え、日勤と夜勤の交替制勤務や残業をこなす体力が求められる仕事でもあります。そして、そうやって毎日がんばっているからこそ、給料の手取り額を少しでも増やしたいと考えることもあるでしょう。今よりも手取り額を増やしたい場合は、手当てを増やす方法を模索するだけでなく、転職を視野に入れてみるのもよいのではないでしょうか。

依田ゆかり(よだゆかり)
ライター(元看護師)
看護大学を卒業後、総合病院に入職。常勤看護師として集中治療室、内科病棟、小児科外来を担当。7年間の勤務を経て退職。現在はフリーランスとして異なる分野で活動中。
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