看護師が転職後にするよくある後悔と後悔しないためのポイント
看護師が転職をする際は、今よりもより良いキャリアや、より良い生活を求めて転職する場合がほとんどです。
しかし、転職しても、すべての看護師が後悔せずに働いているわけではありません。マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」では、「新しい職場に入職して戸惑ったこと・困ったこと」について調査しています。回答には「離職する人が多い(25.7%)」「勤務時間、休日休暇が考えていたものと違った(23.3%)」「仕事内容やミッションが考えていたものと違った(22.5%)」などがあり、転職した看護師はさまざまなことで後悔していることがわかります。
この記事では、転職先で後悔することがないように、よくある後悔の実例や、後悔する看護師に多い特徴、転職で後悔しないためのポイントをご紹介します。
1.看護師が転職後にするよくある後悔
まずは、転職した看護師がどんなことで後悔しているのか、実例をご紹介します。
【よくある後悔の実例】
1.給料が下がったという後悔
2.人間関係での後悔
3.医療の質が低いことへの後悔
4.条件が違ったことや変わったことでの後悔
5.情報収集が足りなかったことへの後悔
1-1.給料が下がったという後悔
例:公立病院から精神病院に転職しましたが、入職してから病院が買収されてしまいました。雇用条件が悪くなり、給料やボーナスも下がりました。交通手当も下がってしまい、転職を後悔しています。
入職後に給料が下がるのを防ぐには、給料や待遇を記載した採用条件提示書を用意してもらうことが重要です。
例:企業病院から民間病院への転職だったこともありますが、ボーナスが少なく年収が100万円ほど下がりました。年収はそれほど重視していないつもりでしたが、休日日数も少なくなり、転職は失敗だったかなと思っています。
転職する際に「仕事のやりがい」や「職場の雰囲気」など、年収以外を優先する場合でも、客観的に判断することが大切です。
1-2.人間関係での後悔
例:20代ですが、人間関係が原因で転職を既に2回経験しています。最初の職場は主任のパワハラがひどく2年で退職しました。最初の転職先ですが、ここでもプリセプターからのいじめがあり耐えられずに1年で退職しました。2回目の転職先でも、先輩看護師に目をつけられ、キツイ言葉を言われたり、無視されたりするなど、人間関係のトラブルが立て続けに起こりました。
人間関係に悩んで転職する看護師は多くいます。しかし、転職先で良い人間関係が築けるとは限りません。ときには今の職場でできることはないかと考え直すことも必要でしょう。
例:50代で転職しましたが後悔しています。50代に入ってから新たに人間関係を築くのは難しいと感じています。自分より年齢が若い子に教えてもらう必要があるし、老眼で細かなものを見たり覚えたりするのも大変です。
年齢を重ねてからの転職となると、ほとんどの場合、年下の同僚看護師から指導されます。どの病院に勤めるにしても、最初は新人とほぼ同様の扱いを受けることが多いでしょう。そのため、若い人から指導を受ける場合でも新しい職場では先輩なので、関係構築のためにも謙虚な態度をとることが大切です。
1-3.医療の質が低いことへの後悔
例:「夜勤なし」を条件に転職しましたが、転職先の仕事の雑さに驚きました。以前の職場では考えられないような看護体制でした。患者さんへの対応も雑でストレスが大きくなりました。
事前に職場見学していれば、現場の雰囲気はある程度わかります。仕事の忙しさなどを確認するためにも、できるだけ職場見学に行くことをおすすめします。
例:特別養護老人ホームからデイサービスに転職しました。看護師資格を持っていない上司が指示を出していて、かなり悩んでいます。転倒した利用者さんをすぐに動かしたこともあり、ヒヤヒヤしています。
そもそもデイサービスで医療行為はできません。利用者さんが急変した場合に看護師がどこまで対応するかは、転職前に必ず確認しておきましょう。
1-4.条件が違ったことや変わったことでの後悔
例:日勤は17:00までと聞いていたのに、働き始めると仕事量の多さにびっくりしました。17:00までに終わる量ではなく、毎日残業です。事前に聞いていた内容と違っていて後悔しています。
転職後に条件が違ったと思っていても、労働条件通知書の確認が不十分な場合もあります。労働条件通知書には勤務時間や残業の有無について記載されているため、よく確認してから転職しましょう。
例:オンコール対応は免除されると聞いていましたが、常勤の場合は必須といわれ驚きました。ボーナスが支給されるため、常勤で入職したものの、オンコールも対応しなければならず、後悔しています。
オンコールについても、事前の確認が不十分だった可能性があります。基本的な確認事項は、面接でも必ず質問しておくことをおすすめします。
1-5.情報収集が足りなかったことへの後悔
例:通勤時間が長すぎたことがストレスとなったため自宅近くの病院に転職しました。転職活動を始めてすぐ応募し、即採用されました。しかし、看護師の数が不足していて、常に忙しく残業も多くなりました。もっと時間をかけて転職先を探せば良かったと後悔しています。
良い求人を見つけても、即決するのは良くありません。自分に合った転職先を見つけるには、複数の求人を比較することがポイントです。
例:大学病院に勤務していましたが、もっとゆったり働きたいと思い保育園の看護師に転職しました。勤務時間は17:00までのはずでしたが、保護者が迎えに来るまで帰れず…。看護業務以外も任されて、看護師としての仕事はほとんどできておらず後悔しています。
事前の情報収集を怠ってしまうと、転職後に困ることになります。ミスマッチを防ぐためにも、業務内容や勤務条件は必ず確認しましょう。
2.転職に後悔する看護師に多い特徴
時間と労力をかけて転職したのに、新しい職場で「こんなはずでは…」と後悔しては転職した意味がありません。転職後に後悔している看護師には、何か特徴があるのでしょうか?
後悔しやすい看護師の特徴は次の5つです。
1.今の職場を退職したいという理由だけで転職を決める
2.自分がどういう働き方をしたいのかが明確でない
3.給料だけを基準に転職を決める
4.情報収集が足りないまま転職を決める
5.以前の職場と比較して転職後の職場の悪いところを見てしまう
2-1.今の職場を退職したいという理由だけで転職を決める
「転職すれば今の職場から離れられる」との理由だけで転職する人は注意が必要です。
同僚看護師との人間関係や職場の雰囲気に悩んでいると、多くの人は「今すぐ転職したい」と考えがちです。しかし、転職についてよく考えずに行動してしまうと、転職先でも同じような不満を抱える可能性が高くなります。
自分にとってどのような働き方や環境が理想かを洗い出していないため、結果的によく検討せずに転職先を選んでしまうのです。
転職すれば、確かに目先の不満は解消されるでしょう。しかし、働くうえで優先したい条件が明確になっていないため、どこに転職してもまた別の不満や悩みが出てきてしまい、同じような問題を抱えることになってしまいます。
2-2.自分がどういう働き方をしたいのかが明確でない
理想とする働き方や職場の条件が明確になっていない場合も、転職後に後悔する可能性は高くなります。理想や条件が自分のなかでしっかり定まっていないと、転職先を選ぶ基準が曖昧になってしまうためです。
まずは、「自分は看護師として〇〇な働き方をしたい」と転職の目的を明確にする必要があります。「患者さん一人ひとりともっと向き合う看護がしたい」「年齢的に夜勤は避けたい」など、実現したい働き方を書き出してみましょう。
自己分析がしっかりできていれば、転職先を絞り込みやすくなるため、新しい職場で後悔する可能性を低くできます。
2-3.給料だけを基準に転職を決める
給料だけで転職先を決めてしまうと、そのほかの条件で後悔しやすくなります。
サービス残業が多い、人員が少なくて激務という職場で働いている場合、「もっと給料が良いところで」と考えるのは自然なことです。しかし、給料だけに目が向いてしまうと、労働条件や職場の雰囲気など、他の転職先の希望条件を検討することを忘れてしまいがちです。
すると「意外に残業が多かった」「職場の雰囲気がギスギスしている」といった悩みを抱えやすくなります。
このように後悔しないためには、給料以外の諸条件もしっかり確認することが重要です。
また、転職で希望する条件に優先順位を付けることは大切ですが、ひとつの条件にこだわりすぎると、そのほかの部分に不満を抱えやすくなるため注意しましょう。
2-4.情報収集が足りないまま転職を決める
情報収集の不足も転職に後悔する人の特徴です。
情報収集には時間と労力がかかりますが、多くの求人情報を集めて比較することは、より良い転職先を見つけるうえでは欠かせない要素です。
現在は看護師向けの転職サイトが充実しているため、少ない手間で多くの求人情報を集められます。
転職サイトで求人を探す際は、ぜひマイナビ看護師をチェックしてください。マイナビ看護師なら、勤務形態や雇用形態、施設形態など、希望条件を入力しながら自分に合った求人情報を検索できます。院内の雰囲気や有給の取得実績など、募集状況以外がわかることも魅力です。
効率的に情報収集しながら転職活動をしたい方は、ぜひマイナビ看護師を活用してみてください。
2-5.以前の職場と比較して転職後の職場の悪いところを見てしまう
転職後は、ほかの職場を経験していることで悪いところが見えやすいという側面もあります。以前の職場の方が良かったと後悔する人は、諸条件をよく検討していない場合がほとんどです。
たとえば、額面上は良かったけれどよく見ると福利厚生は以前のほうが良かった、といったケースがあります。また、転職で給料は上がったけれど人間関係がギクシャクしていて仕事がやりづらくなった、といった場合もあるでしょう。
転職する際に優先する条件を決めて、複数の求人情報を比較していれば、転職後に後悔する可能性は低くできます。
結果的に「今の職場の方が良い」と判断することも大切です。
3.看護師が転職で後悔しないためのポイント
転職後に「転職しなければ良かった…」とならないためには、覚えておきたいポイントがいくつかあります。
最後は、看護師が転職で後悔しないためのポイントを4つご紹介します。
1.職場見学に行き自分の目で確かめる
2.同世代の看護師や師長に直接話を聞いてみる
3.給料や福利厚生などの事実面は人事の人に聞く
4.転職のための事前準備を怠らない
3-1.職場見学に行き自分の目で確かめる
まず、転職先候補としている職場を自分の目で確かめることが大切です。職場見学を申し込めば、求人情報だけではわからない看護師の表情や仕事の忙しさ、職場の衛生状況などがわかります。
職場見学でとくにチェックしたいポイントは次の5つです。
・掃除が行き届いているか
・仕事中の看護師の表情は穏やかか
・見学の際にあいさつを返してくれるか
・看護師の人数
・職場内はスムーズに移動できるか
このほかに、ネット上の口コミをチェックするのもおすすめです。
ネット上の口コミは患者さん目線になりますが、利用した人たちの生の声がわかります。あまり評判が良くない場合は、働くうえでも問題があるかもしれないため注意しましょう。
3-2.同世代の看護師や師長に直接話を聞いてみる
職場見学する際は、気になることがあれば積極的に聞いてみることも重要です。
【聞いておきたい質問内容】
・働いている看護師の年代
・働いている看護師の勤続年数
・ベッドの稼働状況(病床数と空きベッド数)
・カルテの種類
看護師の年代や勤続年数を確認すれば、働きやすい職場か判断する目安にできます。年代が偏っている、勤続年数が短いなどがあれば、転職する看護師が多いのかもしれません。
ベッドの稼働状況では、仕事の忙しさを確認できます。カルテの種類(電子or紙)も日々の忙しさに直結するため、確認しておきたいポイントです。
ただし、質問内容によっては聞き方に注意が必要です。自分は「採用できる人材か?」と見られている立場のため、直接的な聞き方ではなく、やわらかい表現を心がける必要があります。
たとえば、残業について質問したい場合は「残業は多いですか?」ではなく、「いつも何時頃お帰りですか?」といった形で聞きましょう。
3-3.給料や福利厚生などの事実面は人事の人に聞く
給料が高く、福利厚生も充実している職場であれば、転職後の満足度も高くなるでしょう。ただ、給料や福利厚生については、現場で働く看護師ではなく人事担当者に聞くことがポイントです。
就業条件について詳しく把握しているのは人事担当者です。
給料を含め、住宅手当や家賃補助、時間外手当、夜勤手当、資格取得支援制度などについて確認しましょう。
結婚されている方であれば、短時間正社員制度や院内保育、保育手当など、家庭との両立に関わる部分について確認するのがおすすめです。
福利厚生は手取りにも影響してくるため、遠慮せずに聞いて問題ありません。むしろ明確にしておいた方が転職後にすっきりとした気持ちで働けますよ。
3-4.転職のための事前準備を怠らない
転職を後悔しないためには、しっかり準備することもポイントです。事前準備では、転職する目的や譲れない条件などを明確にし、転職サイトなどでしっかり情報収集しましょう。
そして転職活動に割く期間の目安は3ヶ月程度です。
マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」では、転職活動にかかった期間を調査しています。「3ヶ月程度以内」と答えた人の割合が70.4%だったことから、多くの人は短期間で転職に成功していることがわかります。
なお、マイナビ看護師には、「転職のプロ」であるキャリアアドバイザーが在籍しています。ひとりで転職活動を進めるのが難しいと感じる方は、ぜひ相談してみてください。
4.まとめ
今の職場を離れたいだけ、給料だけで転職を決める、などの特徴にあてはまる方は、転職後に後悔する可能性が高いでしょう。転職後も後悔せずに働き続けるには、職場見学に行くことや同世代の看護師に直接話を聞いてみることがポイントです。
とはいえ、自分ひとりで職場見学を申し込んだり、他施設の看護師に話を聞いたりするのは難しいでしょう。そんなときは、マイナビ看護師を利用してみてください。
マイナビ看護師なら、看護業界を熟知したキャリアアドバイザーが、ひとりでは難しい転職活動をサポートしてくれます。無料転職サポートも実施しているため、気軽に転職活動を始められます。また、マイナビ看護師の求人は産休や有給、院内の雰囲気がわかることが魅力です。
転職後に「こんなはずでは…」と後悔したくない方は、まずはマイナビ看護師のキャリアアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
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