採用される履歴書・職務経歴書とは
看護師の応募書類ーー履歴書・職務経歴書でチェックされていることとは?
看護師が転職する際に必要な書類は、基本的に履歴書のみです。最近は履歴書と職務経歴書をセットで提出するよう求める病院やクリニックも増えてきているようですが、CRA(臨床開発モニター)やCRC(治験コーディネーター)など、一般企業への転職を希望する場合を除いてはあまり一般的ではありません。
履歴書で採用担当者は何を見ている?
ほとんどの場合、看護師は「履歴書のみ」で自身の魅力をアピールし、採用担当者に「会ってみたい」と思わせなければなりません。とはいっても、看護師のための特別な履歴書があるわけではなく、使用するのは市販の履歴書やWeb上でダウンロードできる履歴書サンプルです。誰もが同じ形式の書類を使用するのですから、勝負を分けるのは「限られたスペースをどう使うか」「何に気をつけて書くべきか」を知っているかどうかだといっていいでしょう。 まず、履歴書は何を伝えるものなのか、確認しておきましょう。
・名前、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本的な情報
・学歴・職歴
・取得している免許・資格
・志望動機やアピールポイント
各項目は簡潔に、かつ漏れがないように記入することが基本です。また、看護師の転職では、履歴書は手書きが基本です。最近ではWeb上でダウンロードしてそのまま記入できるものもありますが、書類の書き方から人間性や適性を判断したいという採用担当者の狙いも踏まえて、できる限り自筆で丁寧に記入することをおすすめします。
職務経歴書は必要?それで採用担当者は何を見ている?
応募の際、必ず提出する履歴書に比べると出番が少ない職務経歴書ですが、一般企業や法人を運営母体とする病院などでは提出を求められる場合があります。また、即戦力を求めている病院など、転職希望者の経験や実績にフォーカスした情報をより多く得るため、職務経歴書を重視するところもあるようです。 職務経歴書は、採用担当者に自分の魅力を伝え、「この人材がほしい」と思ってもらうためのカタログのような役割を果たします。書式は自由ですが、文章量が多くなるため、見やすさを重視して選びましょう。また、できるだけ簡潔に書くことも大切です。 職務経歴書では、ひとつの勤務先で担当した業務ごとに、以下の内容をまとめていきます。
・詳細な仕事内容と携わった期間
・仕事を通じて学んだこと、身に付けた強み
ただ上記の項目を箇条書きしていくのではなく、それぞれの職場でどのような努力をしたかなどを盛り込むと、目を惹きやすいでしょう。
基本的なマナーもチェックの対象
採用担当者は、「応募書類の各項目に何が書かれているか」だけでなく、書類が一般常識に沿って漏れなく記入されているかどうかもチェックしています。どんなにスキルや経歴が優れていても、マナー違反だったり、漏れがあったりすれば書類選考を通過できない可能性があります。応募書類に記入するまえに、基本的なマナーをおさらいしておきましょう。
マナー1 黒のボールペンや万年筆を使う
書類に記入する際の筆記用具は、黒のボールペン、または万年筆がベストです。シャープペンシルや鉛筆、摩擦で消えるペンなど、あとから改ざんが可能な筆記用具は使用しないようにしましょう。
マナー2 修正液や修正ペンの使用、二重線での訂正はNG
間違えた箇所を修正液で消したり、二重線を引いて訂正したりするのはNGです。万が一書き間違えてしまったら、新しい履歴書を用意して最初から書き直しましょう。
マナー3 丁寧な言葉で書く
文章は「です・ます」調で統一しましょう。また、転職を希望する先を指すときは、病院やクリニックであれば「貴院」、法人であれば「貴社」とします。
マナー4 日付をきちんと記入する
日付は意外と忘れがちな項目です。書類を記入した日付ではなく、持っていく場合はその日の日付を、書類を送付する場合はポストに投函する日付を記入します。
マナー5 3カ月以内に撮影した証明写真を貼付する
第一印象を良くするため、貼付する写真の服装や髪形、表情には気を配りましょう。少し口角を上げぎみにすると、柔らかいイメージになります。スピード写真でも構いませんが、写真館などで撮ってもらった物のほうがより実物に近く、見栄えは良くなります。スナップ写真の切り抜きや、今の見た目と大きく違う昔の写真は、決して使わないようにしましょう。
マナー6 名称などを省略しない
住所や学歴、職歴は、略さず記入してください。住所なら、都道府県名からアパート・マンション名、部屋番号までしっかり書きましょう。よくあるのが、「高等学校」を「高校」と書いたり、「株式会社」を「(株)」と書いたりする例です。学校名や病院名は正式名称で、職歴は配属先についても忘れずに記入してください。また、電話番号も市外局番から記入します。固定電話を引いていなければ、携帯電話でも構いません。
マナー7 西暦・和暦を統一する
履歴書には、冒頭の日付欄をはじめ、学歴・職歴欄、及び免許・資格欄など、「年」を記入する場所が複数あります。西暦でも和暦でも構いませんが、1枚の書類の中ではどちらかに統一しましょう。
「会いたい!」と思わせる書類は何が違う?
今度は、これまでにご紹介した基本的なマナーやNG例を踏まえて、採用担当者に「この人に会ってみたい!」「直接話を聞いてみたい!」と思わせる応募書類について考えてみましょう。 前述したように、看護師の応募書類は職務経歴書を提出する場合を除いて、履歴書の「志望の動機、アピールポイントなど」という欄だけが自身の思いを伝えられるスペースになります。手書きを前提として採用担当者の読みやすさを考慮すると、全部で5行書けるかどうか、というところでしょう。 この限られたスペースに、あれもこれもと詰め込むのは不可能です。無理に詰め込むと、一番伝えたいことは何かという焦点がぼやけた、支離滅裂な内容になりかねません。 ここでは、「なぜ転職したいか」「なぜこの病院なのか」「これからどうやって活躍していきたいか」の3点を意識するようにしましょう。つい「これまでの経験してきたことを全部書いたほうが有利なのでは?」と考えてあれこれ盛り込みたくなる方もいるかと思いますが、グッと我慢して「思い」にフォーカスするのがポイントです。 自分の長所や専門性、スキルは、その病院で活かせるものだけに絞り込み、「これまで培ってきたこういうスキルを活かすために転職を考えた」というように、「なぜ転職したいか」に絡めて書くといいでしょう。
志望先別・効果的にアピールするポイント
「なぜこの病院なのか」「これからどのように活躍していきたいか」という部分は、例えば「病院が得意としている診療科目に興味がある」「高齢化に対応するため、地域のクリニックとの連携に力を入れている点に興味を持った」というように、この病院でなくてはならない理由を具体的に記載します。 ここが漠然としていたり、ありきたりのフレーズの羅列だったりすると、「ほかの病院でもいいのでは?」と思われて、選考にあたっては不利になります。志望動機を書くまえに、病院の理念や特色、力を入れている診療科目などを読み込み、自分の経験や希望、看護に対する思いと一致している部分を探しておきましょう。 また、大学病院、総合病院、地域のクリニック、専門病院、介護施設など、転職を希望する病院や施設の種類によってもアピールの仕方が異なります。以下を参考に、文章を組み立てましょう。
大学病院や総合病院
大規模な総合病院や大学病院では、ジェネラリスト(広範囲な知識やスキル、経験を持っている人)で、長く働き続けてキャリアを築きたいという人が好まれる傾向にあります。さまざまな診療科や症例を経験して臨床経験を積み、看護師としてさらにレベルアップしたいという内容がおすすめです。
介護施設や慢性期病院
介護施設や慢性期病院では、「高齢化社会であることを意識して高齢者医療や高齢者介護に興味がある」「患者一人ひとりとじっくり向き合える環境に魅力を感じた」といった内容が効果的です。これまで急性期病院で働いていた場合は、急性期の忙しさが不満だから慢性期病院に行きたい、という伝わり方にならないよう注意しましょう。
専門病院
何らかの疾患に特化している病院であれば、「以前からその分野に興味があったが、これまでは幅広い疾患への対応がメインだったため、これを機に貴院で臨床経験を積みたい」というように、専門性に対する熱意をしっかり伝えることが大切です。前職と対比する際は、愚痴や批判にならないよう気を付けましょう。
地域に密着した中規模病院やクリニック
地域に貢献したい、地域の患者さんのために尽くしたいという思いをしっかり伝えましょう。特にクリニックは、「看護師さんに注射をしてもらったらすごく痛かった」「看護師さんの感じが悪かった」という悪印象が、即患者離れにつながります。また、気持ち良く来てもらうことが重要ですから、患者さんと接するのが得意であるというコミュニケーション能力に関することや、手技に自信があるということを盛り込むと採用担当者の印象に残りやすくなります。 さらに、もう1段階上のレベルを目指すなら、「患者さん一人ひとりと向き合うのはもちろん、経営のことを考えて、回転数を良くする意識を持っている」ことをアピールしてもいいでしょう。
ポイントを押さえ、自分の言葉で書くことが大切!
ここまで、応募書類の書き方について重要なポイントをまとめました。
・基本的なマナーを押さえ、採用担当者の立場に立って読みやすく丁寧に書く
・志望動機は前向きに、前職や業界の批判につながるようなことは書かない
・経験やスキルより「なぜ転職したいか」「なぜこの病院なのか」という「思い」にフォーカスする
・転職を希望する病院の種類も加味して志望動機を構成する
なお、志望動機は、書類選考を通過したあとの面接でも必ず聞かれます。その場しのぎの思いつきや、参考文章をそのまま暗記しただけでは、面接で思いを込めて伝えることはできません。文章の上手下手にかかわらず、しっかりと自分の文章で書くことが大切です。 「なんとか履歴書を書くことができたけど、本当にこれでいいのかわからない」という場合は、履歴書を添削してくれるキャリアアドバイザーに相談してみましょう。プロのアドバイスを受けると自分の強みが明確になりますので、その後の転職活動にも良い影響があるはずです。
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