
看護師1年目転職すべきか迷ったら…転職1年目で多い転職理由とは?
目標としていた看護師となって最初の1年目。しかし現場で働き始めたものの、残業の多さや人間関係、やりがい、命を預かるという重圧など、理想と現実のギャップで「このままやっていけるのか」と不安になる方は多いのではないでしょうか。
実際、新人看護師が「転職したい」などと思うことはよくあることです。日本看護協会の「2020年 病院看護実態調査」における新卒看護師の離職率は8.6%で、転職を考えている方を含めるとさらに多いです。このように、同じ悩みを抱えている方はたくさんいるので安心してください。
この記事では、1年目看護師の立ち位置や、転職したいと思った時にすべきことなどをご紹介します。
1.1年目看護師の職場での立ち位置について
当然ですが、1年目看護師は看護専門学校や看護大学を卒業しているとはいえ、まだまだ現場の戦力にはなれません。多くの病院で導入しているプリセプター制度やメンター・エルダー制度等により、先輩看護師がOJTで現場指導することによって看護師として成長していくのです。
病院によって差はあるものの、1年目の入職後のスケジュールはおおむね下記のようになります。実際に患者さんを受け持つのは入職後半年以上経ってからが多いでしょう。
【入職後スケジュール】
・4月…オリエンテーションや研修
・4月中旬~後半…病棟配属、プリセプター制度・日勤業務が開始
・5~6月…夜勤開始
・8~9月…患者の受け持ち開始
先述した通り、一人前の看護師になるには、プリセプター制度等による先輩看護師の指導が不可欠です。しかし、先輩看護師の相性が良くないなどのケースも多々あり、それが人間関係の悩みや仕事に対するモチベーションの低下に発展し、最後には転職という流れに繋がることも少なくありません。
①新卒看護師の離職率
次に、新卒看護師の離職率を見ていきましょう。
公益社団法人 日本看護協会の「2020年 病院看護実態調査」を見ると、新卒看護師の離職率は8.6%でした。一般的に看護師は「辞める人が多い」と想像されやすい職業ですが、新卒看護師には当てはまらないようです。
では、ほかの職業の離職率はどうなのでしょうか?厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」では、学歴ごとの離職率がわかります。同資料によると、大卒1年目の離職率は11.6%でした。
このことから、1年目看護師はほかの職業と比較しても離職率は決して高くないことがわかります。
しかし、新卒看護師の離職率がそれほど高くないことには理由があります。それは奨学金です。奨学金の種類によっては、一定期間看護師として働けば返還が免除されます。
そのため、奨学金の返還があることで転職を諦めている人もいるかもしれないのです。
②看護師の有効求人倍率
もし1年目看護師が現在の職場を退職した場合、すぐに転職先を見つけられるのでしょうか?看護師の有効求人倍率をチェックしてみましょう。
eナースセンターの「令和元年度NCCS中央統計」によると、看護師の有効求人倍率は 265.12%(約2.6倍)でした。
つづいて、全職種の有効求人倍率と比較してみましょう。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」を見ると、2021年2月の有効求人倍率の全国平均は1.09倍です。
看護師の有効求人倍率はほかの職業の2倍以上であるため、1年目看護師も転職しやすいといえるでしょう。
また、日本の高齢者数は増加傾向にあるため、看護師需要は今後も高まるものと考えられます。
厚生労働省の「在宅医療・介護の推進について」では、高齢者数が増加する見込みであることがわかります。
2012年に3,058万人だった65歳以上の高齢者人口は、2042年には3,878万人になると予想されているのです。
このように、高齢者数の増加にともない看護師需要は高まり続けると予想されます。
2.1年目で辞めたいと思った人の転職理由
入職して経験の浅い1年目看護師は、なぜ辞めたいと思うのでしょうか?
まず、マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」から、20代の「退職を考え始めたきっかけ・理由」を見てみましょう。
【20代の転職理由】
1位 仕事内容・やりがいに関する理由…40.7%
2位 人間関係に関する理由…34.7%
3位 給与条件に関する理由…32.9%
4位 勤務時間・勤務体系に関する理由…30.8%
5位 残業時間に関する理由…29.0%
「人間関係」も高い割合ですが、20代の看護師はそれよりも「仕事内容・やりがい」を求めているようです。
また、「健康上の理由」や「家庭事情の変化」などは上位に入っていないため、プライベートに関する理由で転職する人は少ないこともわかります。
つづいては、1年目看護師の転職理由としてよく挙げられる次の3つについて、具体例を交えながらご紹介します。
・理想と現実のギャップ
・上司や先輩との人間関係
・給与条件に対する不満
理由①理想と現実のギャップ
理想を持って看護師の世界に飛び込んでも、入職後にギャップに苦しんで転職する1年目看護師も多くいます。
理想と現実のギャップに苦しむ1年目看護師の多くは、次のようなことを感じています。
・必要な処置や対応に追われている間に患者さんは退院している
・流れ作業のような業務が多くて患者さんとの関係を築けない
・学校で習ったことだけでは通用しない
理想の看護ができないことに悩む看護師は多くいますが、その傾向はマイナビ看護師の調査でも明らかになっています。「看護師白書 2020年度版」での「患者に十分な看護が提供できていると感じますか?」との問いに、「できていない」と回答した人の割合は44.5%でした。
さらに、「十分な看護が提供できないと感じる理由」については、「看護職員が足りない(67.7%)」「看護以外の業務が多い(50.2%)」との回答が上位を占めています。
この調査結果からは、日常業務が多忙なため、先輩看護師が1年目看護師を指導する余裕がないこともうかがえます。
理由②上司や先輩との人間関係
職場の人間関係で悩む看護師さんも多く存在します。また、看護師の仕事自体は好きでも、病院の縦社会が合わずに辞める人も存在します。
以下は、1年目看護師の人間関係に関する悩みの一例です。
・ほかの1年目看護師にはやさしいのに自分ばかり厳しくされる
・プリセプターとは名ばかりで教えるのは一度きり
・リーダー格の先輩看護師の機嫌を損なわないように仕事をしなければならない
・医師がほかの病棟で「〇〇病棟の看護師はレベルが低い」と不満をいう
マイナビ看護師の「看護師白書 2020年度版」では、仕事でストレスを感じている看護師に対して「何に対してストレスを感じているか?」も調査しています。最も割合が高かったのは、「上司や同僚との人間関係(63.0%)」でした。
看護師は女性が多い職業のため、人間関係が複雑化しやすいでしょう。しかし、そのことによって、入職間もない1年目看護師は悩み、転職を考えているのが実情といえます。
理由③給与条件に対する不満
年収や月収など給与面における不満などを転職理由に挙げる1年目看護師もいます。また、「資格手当」「残業手当」「夜勤手当」「救急呼出待機手当」「危険手当」などの各種手当や賞与、インセンティブの有無も転職理由としてよく挙げられています。
給与条件を理由に転職する1年目看護師は、次のようなことで悩んでいます。
・仕事量に対して給与が低い
・通常の残業だけではなく前残業もあり、それぞれ残業代が出ない
・ほかの病院より支給される手当の種類が少ない
・インセンティブがつかない
・時間外の研修なのに手当が出ない
公益社団法人 日本看護協会の「2020年 病院看護実態調査」を見ると、大卒や高卒、3年課程を含めた看護師の平均基本給与額(初任給)は約20万円です。しかし看護師が入職する医療機関には、規模の大きな病院から一般診療所までさまざまあり、施設や運営する母体によって基本給が違っているので、支給される給与に幅が出てきます。また、看護師は給与における各種手当の割合が一般企業より大きいので、手当の有無によっても給与に明確な差が生じるでしょう。これらに関して不満や悩みを抱えて転職されるケースも少なくありません。
3.1年目で転職したいと思った時にすべきこと。
看護師は売り手市場のため、豊富な経験があれば短期間で新しい職場が見つかるかもしれません。しかし、1年目看護師は十分な経験を積まない状態で転職活動を始めるため、必ず理想の転職先に転職できるとは限りません。
また、転職先が自分の思っていた環境と違った場合には、再び辞めてしまう可能性さえあります。そこで次は、1年目看護師が転職したいと思ったときにすべきことを5つに分けてご紹介します。
①心身の不調を感じた時はまずは職場に相談する
「何だか体調が悪い」「やる気が出ない」などと心身に不調を感じる場合は、まずは職場の人に相談することが重要です。入職して間もない1年目看護師は、仕事を覚えたり職場の環境に慣れたりなど、疲れやすい環境にいます。大きなストレスがかかり続ければ、心の調子を崩してしまう可能性もあります。
次のような症状が出ている場合は注意が必要です。
・夜眠れない
・食欲や体重が変化した
・疲れが取れない
・気持ちが落ち込むことが多い
・不安な気持ちが強い
・休日は家にこもりがちになる
当てはまる症状がある人は、職場への相談はもちろんですが、専門の医療機関を受診することも検討しましょう。
ただし、パワハラがあるような職場の場合は、相談しても聞き入れられない可能性があります。そういった場合は、すぐに転職活動を始めたほうが良いでしょう。
②周りに相談する
心身に不調がない場合は、まずは家族や先輩看護師に仕事で悩んでいることを相談してみましょう。家族であれば、あなたの家での様子を見ています。自分では仕事で悩んでいる雰囲気を出していないつもりでも、家族は何かしら気付いているでしょう。
また、先輩看護師はあなたと同じように「1年目」を経験しています。相談すれば経験者としてのアドバイスがもらえるかもしれません。
看護師としての能力不足や看護師自体が向いているか悩んでいる場合は、プリセプターに相談してみましょう。日頃、業務を共にしているプリセプターなら、あなたにはない視点でサポートしてくれるかもしれません。
ただし、先輩看護師に相談するのはあくまでも「仕事で悩んでいること」についてです。転職しようか悩んでいることを相談してしまうと、その後職場に居づらくなってしまいます。あくまでも職場の人間関係や仕事内容で悩んでいることを相談することがポイントです。
③転職によって、変えたいところを考える
最初は誰しもすぐに転職を考えるわけではないでしょう。いろいろなストレスが重なることで、転職を考え始めるのではないでしょうか。そこで重要なのが、転職で「変えたいところ」を考えることです。
人間関係や仕事量の多さ、夜勤のつらさ、不規則な勤務で体調を崩すことなど、転職を考える一番の原因をはっきりさせましょう。もっと専門的なことを学びたいなど、キャリアアップを目的とした転職の場合は、それほど難しくはありません。転職の目的がはっきりしているため、むしろ転職活動は進めやすいでしょう。
しかし、ほとんどの人は、日頃の「つらさ」から転職を考え始めます。そのため、まずはなぜ転職を考え始めたのか原因をはっきりさせて、新しい職場では「何を変えたいか」を考えることからやってみましょう。
④転職によって、変えたくないところを考える。
転職で変えたいところが分かったら、「変えたくないところ」を考えることも重要です。
転職を考え始めるころには、今の職場の嫌なところ(変えたいところ)ばかりに目が向きます。すると、今の職場以外ならどこでもいい、となりかねません。その結果、転職先をよく検討せずに選んでしまうため、再び辞めてしまう可能性があるのです。
たとえば、看護師の仕事にやりがいは感じているものの夜勤はつらい、という場合は、夜勤のない訪問看護などを検討してみましょう。
このようにすれば、「変えたいところ」と「変えたくないところ」のバランスを取りながら転職することも可能でしょう。
⑤無料の転職相談を利用する
転職サイトの無料転職相談会を利用して、転職について悩んでいることを相談するのもおすすめです。
マイナビ看護師では、無料の個別転職相談会を実施しています。経験豊富なキャリアアドバイザーが、ひとりでは難しいキャリアの棚卸しや、面倒な転職スケジュールの組み立てをお手伝いしてくれます。履歴書や職務経歴書の書き方だけでなく、苦手な人が多い面接対策をサポートしてくれることも魅力です。
まずは話だけ聞いてみたい、という場合でも問題ありません。なかなか相談できる人がいない、という1年目看護師の方は、ぜひマイナビ看護師の無料転職相談会を利用してみてください。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?1年目の看護師さんの離職率や転職理由、転職を考えた始めた時にすべきことについてご紹介してきました。
看護師1年目は学ばなければいけないことが多く、1日1日仕事をこなすことで精一杯で余裕がなく、つい近視眼的な思考に陥ってしまうことがあります。そのため、仕事での不満・悩みを、そのまま転職の理由にしてしまうなど、短絡的な思考になりがちです。
それを避けるには、少し時間をとって自身の状況を整理することが大切です。家族や友人への相談も助けになりますが、マイナビ看護師では無料でキャリア相談を行っていますので、活用するのも一案です。悩みの整理や客観的に転職すべきかなどの判断を看護師転職のプロの視点からアドバイスしてくれます。
一人で悩むのではなく、マイナビ看護師を活用して、理想の看護師ライフを手に入れましょう。
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