看護師が退職する流れ! 円満退職に向けて失敗しない辞め方
無事転職希望先から内定をもらえたら、現職の退職手続きを始めましょう。ここでは事前準備から最終出社日までにしなければならない6つのことと、最終出社日に忘れがちな受け取っておくべきものなどをまとめてあります。転職まであと一歩。気持ちよく退職するために事前準備を万全にしておきましょう。
目次
看護師の退職・転職状況は?
一般的に看護師は退職・転職が多い職種と言われています。しかし、看護師を退職すべきか悩んでいる人の中には、本当に転職する看護師は実在するのか気になる人もいるでしょう。まずは、厚生労働省の調査をもとに看護師の退職状況を紹介します。
1年未満 | 49.8% |
---|---|
1〜3年未満 | 13.2% |
5~10年未満 | 5.0% |
10年以上 | 3.6% |
(出典:厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査」)
また、退職後の再就職でも看護の仕事を選ぶ人は75.6%で、病院勤務以外に看護師資格を生かせる職場が多いことがうかがえます。退職から3年以内に再就職する人は63%に上るため、看護師は退職・転職がしやすい職種と言えるでしょう。
看護師が退職を考えた理由は?
では、看護師が退職に思い至った理由は何が多いのでしょうか。マイナビ看護師の「看護師白書2020年度版」に基づき、看護師の退職理由と転職活動期間を説明します。
<退職を考え始めたきっかけ・理由>
仕事内容・やりがい | 38.9% |
---|---|
人間関係 | 37.9% |
給与条件(年収・月収・手当・賞与など) | 32.3% |
勤務時間・勤務体系(交替制度・オンコール回数など) | 27.6% |
「ライフスタイルの変化(結婚・出産など) | 24.5% |
残業時間 | 21.9% |
看護師は人の命に関わる分、重い責任やプレッシャーがのしかかり、常にストレスを感じやすい状態にあると言えます。また、職場環境や給与面に悩む人が多いことが分かります。
<転職活動期間>
1か月以内 | 27.0% |
---|---|
1〜2か月 | 27.3% |
2〜3か月 | 16.1% |
3か月~半年 | 11.2% |
半年~1年 | 9.8% |
1年~1年半 | 2.4% |
1年半~2年 | 1.4% |
退職を考えて転職活動を始めてから次の転職先が決まるまで3か月以内で済む人が70.4%を占めています。転職サイトなどを活用してアドバイザーのサポートを受ければ、応募から内定までスムーズに進むでしょう。
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看護師が勤務先を退職する流れ
看護師が退職することは決してめずらしいことではありません。再就職も比較的決まりやすい傾向にあります。しかし、何の前触れもなく退職すると、今の勤務先に迷惑をかけるかもしれません。職場によって違いはありますが、基本的には以下のような流れで退職準備を進めると問題ないでしょう。
STEP1:事前準備
・退職に関わる就業規則の規定を確認する:法律的には退職の14日前までに意志を伝えればよいことになっていますが、職場によって独自のルールや慣習が存在することもあります。退職手続きをスムーズに進める観点からは、最低でも1カ月前、余裕を持って2カ月前から伝えておいたほうがよいでしょう。
・家族に相談・報告する:転職は家族の生活にも関わる大切な問題です。よく話し合って、協力してもらえる環境を作りましょう。
また、円満に辞めるためには退職時期にも配慮する必要があります。
<退職希望が通りやすい時期>
- 年度末の3月
- 人事異動の時期
- 委員会活動・プリセプター業務・看護研究などが一段落する時期
年度末は異動・退職者が決定し、新人看護師が編入してくる時期です。スタッフの動きが活発になる時期に合わせて退職を申し出れば、病院は新たな組織編成を考えられるため、退職希望を受け入れてもらいやすいでしょう。人員補充しやすいという面では、人事異動のタイミングもおすすめです。
さらに、担当していた業務や役割に区切りがつく時期であれば、後任者も快く引き継ぎを承諾してくれるでしょう。退職後にチームやスタッフにかかる業務負担を最小限に抑えられます。
<退職するのを避けるほうがよい時期>
- ゴールデンウィーク
- 夏季休暇
- 年末年始
- 委員会活動やプリセプター業務などを担当している最中
長期休暇の前後はスタッフが交代で休みを取得するため、シフト調整に苦労する時期です。この時期に退職を申し出ると、病院側から退職を引き止められたり延長されたりする可能性があります。自分の代わりに働くスタッフから不満を抱かれることもあるため、退職は避けるほうがよいでしょう。
また、看護研究やチームリーダー業務など自分の役割がある場合は、「途中で投げ出す無責任な人」という印象を抱かれる恐れもあります。業務の引き継ぎに時間がかかったり、退職後も連絡を取り合わなければならなかったりするため、スムーズな退職は難しいと言えるでしょう。
STEP2:退職の意思表明
最も関係性の深い直属の上司に、話しかける場所やタイミングに気を配りつつ、口頭で意思を伝えます。「お話があるのでお時間を作っていただけますか? 」と切り出し、個室に近い環境で話せるとベスト。メールで話を切り出すのはNGです。
病院にとって看護師は貴重な戦力であるため、退職の相談時には引き止められることも少なくありません。曖昧な言い方や退職に悩むような態度を見せると辞めにくくなる恐れがあります。そのため、強い気持ちを持ち、退職の意思表示をすることが大切です。
<退職理由を考える際のポイント>
- ネガティブをポジティブに言い換える
「残業が多い」「給与が低い」といった待遇への不満や、人間関係が理由で退職する場合、そのまま伝えると上司や同僚との関係が悪化するリスクがあります。退職までに不要なトラブルや余計なストレスを増やさないために、ネガティブな退職理由はポジティブな理由に言い換えましょう。 - 言いづらくてもウソはつかない
「親の介護が必要になって働けなくなった」「夫の転勤に合わせて引越す」など、ウソをついて退職できたとしても、後ろめたい気持ちが残り、前向きに転職活動に取り組むことはできません。また、仲のよい同期や先輩にも気の休まらない日々が続くため、退職したいからといってウソを言うのはやめましょう。
退職理由が配偶者の都合や育児・介護など、自分ではどうしようもない出来事であれば引き止める余地はないとみなされます。とはいえ、ウソはNGです。ネガティブな理由で辞める場合はポジティブな理由に言い換えることで、上司やスタッフからも共感を得られやすいでしょう。
たとえば、「サービス残業が多い」「休みが少ない」が理由なら、「ゆとりを持って丁寧な看護ケアがしたい」と言い換えるとよいでしょう。「人間関係のトラブルがある」であれば、「経験したことのない分野や新たな環境でスキルアップを図りたい」と伝えることで、前向きな退職理由に変えることができます。退職理由を通して「この先どのような看護師になりたいか」「どのような環境で働きたいか」という理想のビジョンを伝えることが大切です。
STEP3:退職日の決定
退職日は一方的に伝えるのではなく、話し合ってお互いが納得できる日を決めます。今までお世話になった職場に配慮して、あくまでも協力的な態度で臨みましょう。
意思表示から退職日までが短すぎると、引き継ぎやシフトの調整が間に合わず、現場に残るスタッフに迷惑がかかります。退職日に合わせて有給休暇をすべて消化するなど、自分の都合だけを優先すると、スタッフとの関係性も悪化するでしょう。そのため、退職日までは最低でも1か月のゆとりを持たせることが必要です。
退職の意思は面談時に口頭で伝えるだけでもOKですが、明確な証拠が残らず、退職をめぐってトラブルが起きた場合に対処できない可能性があります。病院側との認識違いを防ぐために、退職日・最終出社日の日付は書面に残すとよいでしょう。
STEP4:退職届の提出
退職日が決定したら、退職願を準備して直接上司に手渡しで提出します。職場によっては退職申請書など独自の書式を用意している場合があるので、就業規則を確認してください。TPOをわきまえて、上司が落ち着いている状況を見計らって渡すなどの心遣いを。人づてに渡したり、上司の机に置くだけだったりというのはNGです。
退職届を自分で用意する場合は、封筒と便箋を購入し、所定の書式に従って退職届を書きます。
<封筒>
- 郵便番号枠のない白無地の二重封筒
- A4便箋の場合は長形3号
- B5便箋の場合は長形4号
茶色の封筒は事務所類を送付するときに使用するものであり、白色より安価であるため、退職届を出す際は避けましょう。表面の中央には「退職届」、裏面の左下に「所属部署とフルネーム」を記入します。書類を入れたら糊付けをして、上から〆と書きます。
<便箋>
- A4あるいはB5の白無地(罫線入りでも可能)
- 縦書き仕様
退職届は正式な書類であるため、色物や柄付きの便箋は不向きです。封筒に入れる際、便箋は三つ折りにします。下から上に向かって便箋の3分の1を折り曲げ、次に上から下へ折ります。受取人が取り出す際にスムーズに内容を確認できるよう、便箋は右に90度回して封筒に入れましょう。
<退職届の書き方>
タイトル | 退職届 |
---|---|
書き出し | 私儀 |
退職理由 | 一身上の都合により○年○月○日をもって退職いたします。 |
提出日 | ○年○月○日 |
所属・氏名 | 看護部 ○病棟 ○○(名前) 捺印 |
宛先 | 医療法人○○会○○病院 院長 ○○殿 |
退職届はパソコンで作成しても問題ありません。手書きする場合は、黒いボールペンか万年筆を使いましょう。どのような退職理由でも、自己都合の場合はすべて「一身上の都合」と記載してOKです。退職届を提出するのは直属の上司ですが、宛先は院長の名前となります。クリニックでは宛名同様に院長に提出する場合もあるため、事前に確認が必要です。
STEP5:業務の引き継ぎ
スタッフはこれからも現場で働き続けるため、退職者にとって引き継ぎは最後に残された大切な仕事です。これまでお世話になったスタッフや患者さんを不安にさせないために、念入りかつ早めの引き継ぎを心がけましょう。
<引き継ぐ際のポイント>
- 余裕のあるスケジュールを立てる
- 手順書や引き継ぎノートを作成する
- 連絡先を伝える
担当していた業務内容にもよりますが、引き継ぎ期間として少なくとも1か月は確保しましょう。退職日前は、お世話になった人への挨拶や転職先への手続きなどで多忙になるため、余裕のある引き継ぎ計画を立てることが大切です。
また、自分にしか分からない業務については、詳しい説明文章を作成することで、周囲に「最後まで丁寧に仕事をする人」という好印象を与えられます。業務を行う上で困ったときはいつでもサポートできるよう、メールアドレスや電話番号を伝えるのも有効です。
STEP6:荷物の整理・ロッカーの掃除
退職に向けた片付けは、目立たないようにひっそりと進めるのがマナーです。最終出勤日にさっと片付くよう徐々に整理整頓していくのがコツ。最終出勤日には、備品などの返却や、後の手続に必要な書類の受け取りなども確実に行い、退職後に迷惑がかからないよう留意します。
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最終出勤日に返却するもの/受け取るもの
最終出勤日を迎えたら、職場を去る際に返却しなければならないものや、忘れずに受け取らなければならないものがあります。今まで自分のもののように使っていても、職場の所有物であれば退職時には返却しなくてはなりません。受け取るべきものは、その後の手続きに必要な書類なので、当日交付されないものは受け取り方法を確認しておきましょう。
◆返却するもの
・健康保険被保険者証 ・社員証やIDカードなどの身分証明書 ・社章やネームバッジ ・名刺(仕事を通して受け取った名刺も原則として職場の所有物であり、返却が必要) ・通勤定期券(現物支給の場合) ・ユニフォーム(貸与を受けていた場合) ・書籍や事務用品(職場の経費で購入したもの) ・業務上の資料など機密に関わるもの ・ロッカーや寮の鍵(掃除も忘れずに)
◆受け取るもの
・雇用保険被保険者証 ・離職票 ・源泉徴収票 ・年金手帳(職場保管の場合)
※通常、離職票や源泉徴収票は退職後に郵送されます。送付先住所や送付予定日などの確認を忘れないようにしましょう。
最終出勤日には、挨拶に添えて配り物を用意する人が多いようです。ハンドタオルや筆記用具などの小物や菓子折りなどが一般的。菓子折りの場合は、切り分けの必要がない個別包装で、日持ちするものを選びましょう。人数分よりも1~2個多く準備しておくと安心です。
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