• 2023年11月11日
  • 2023年11月29日

主婦が保健師になるには? 資格の取り方と最短でめざす方法を解説

 

保健師は、乳幼児から高齢者まで幅広い世代の地域住民に対して保健指導を行う仕事です。育児中に保健師のサポートを受けた経験から、保健師をめざそうと考える主婦の方もいるでしょう。

この記事では、主婦が保健師になるために必要な資格や取得方法を解説します。また、最短で保健師になる方法や主婦が保健師をめざす際のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

主婦が保健師になるには?

主婦が保健師になることは可能です。しかし、保健師への道のりは簡単なものではありません。
以下では、保健師に必要な資格と取得方法、最短で保健師をめざす方法を紹介します。保健師をめざす主婦の方は、まずは保健師のなり方について知っておきましょう。

看護師免許と保健師免許が必要

保健師になるには、看護師免許と保健師免許の2つが必要です。
看護師免許も保健師免許も国家資格であり、国家試験は毎年2月に実施されています。2023年の第112回看護師国家試験および第109回保健師国家試験の合格者数や合格率は以下のとおりです。

職種 受験者数 合格者数 合格率
看護師 64,051人 58,152人 90.8%
保健師 8,085人 7,579人 93.7%

2023年のみならず、近年は看護師も保健師も合格率は90%前後です。合格率は高めですが、国家試験ということもあり決して簡単ではありません。また、保健師の試験に合格しても、看護師の試験が不合格であれば保健師にはなれません。

さらに、保健所や保健センターなどの行政が管轄する機関で働く行政保健師になるには、公務員試験の受験が必要です。公務員試験に年齢制限が設けられている地域もあるので、保健師になって行政で働きたい方は事前に調べておきましょう。

参照元:厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」

看護師免許と保健師免許の取得方法

ここでは、看護師免許と保健師免許のそれぞれの取得方法、さらに看護師免許と保健師免許をダブルで取る方法を紹介します。

●看護師免許の取得方法

看護師免許は看護系の大学や看護師養成所で3年以上の教育を受け、看護師国家試験に合格することで取得できます。

看護師国家試験の受験資格を得られる進路コースは、以下のとおりです。

  • 看護大学(4年)
  • 看護短期大学(3年)
  • 看護師養成所(3年)
  • 5年一貫看護師養成課程校

5年一貫看護師養成課程校は中学卒業後に入学する学校で、高等学校の3年間と専攻科の2年間が合わさったものです。そのため、主婦の方は看護大学(4年)・看護短期大学(3年)・看護師養成所(3年)のいずれかの学校に通うことになるでしょう。

●保健師免許の取得方法

保健師免許は看護系の大学院や大学、保健師養成所で1年以上の教育を受け、保健師国家試験に合格することで取得できます。

保健師国家試験の受験資格を得られる進路コースは、以下のとおりです。

  • 看護系大学院(2年)
  • 看護大学(4年)
  • 看護短期大学専攻科(1年)
  • 保健師養成所(1年)

すでに看護師免許を持っている方は、看護系大学院(2年)・看護短期大学専攻科(1年)・保健師養成所(1年)のいずれかの学校に通います。また、保健師課程がある看護大学に3年次編入して2年間通って、保健師国家試験の受験資格を得ることも可能です。

●看護師免許と保健師免許をダブルで取得する方法

看護師と保健師の国家試験をW受験して、それぞれの免許を取得することも可能です。その場合、保健師課程がある看護大学に通い、看護師と保健師の勉強を同時に行います。

大学の卒業年度に看護師と保健師の国家試験をW受験するため、計画的な試験対策が必要といえます。勉強面での負担は大きいですが学校への入学は1回で済むので、手間とコストを抑えられるのがメリットです。

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最短で保健師になるには

看護師免許を持っているかどうかで、保健師になれるまでの年数が変わります。

看護師免許あり:最短1年
看護師免許なし:最短4年

看護師免許を持っている主婦の方は、最短1年で保健師になれます。保健師養成所に1年通い、保健師国家試験を受験して免許を取得しましょう。

一方、看護師免許がない主婦の方は、保健師課程がある看護大学に4年通って看護師と保健師の国家試験をW受験します。もしくは、看護師養成所または看護短期大学に3年通って看護師免許を取得したのち、保健師養成所に1年通って保健師免許を取得します。

看護師免許を持っていない主婦の方は、費用面や自身のライフスタイルを考えて、W受験をするか別々で受験するかを選びましょう。

参照元:日本看護協会「看護職になるには」

主婦が保健師をめざす際の3つのポイント

主婦が保健師をめざす際の3つのポイント

保健師をめざす主婦の方は、「家族の協力を得られるか」「必要な費用はいくらか」を事前に確認しておきましょう。また、「なぜ保健師をめざすのか」「保健師になって何をしたいのか」を明確にしておくことも大事です。

ここでは、主婦が保健師をめざす際に抑えておきたい3つのポイントを紹介します。

1.家族に協力を仰ぐ

主婦が保健師をめざす際、家族の協力は必要不可欠といえるでしょう。

保健師になるには、学校に通う必要があります。看護師資格をもっていない人は4年間、看護師資格を持っている人でも1年間の通学が必要です。学校での座学はもちろん、自宅で課題をこなしたり実習に行ったりする必要があるため、家事や育児をこれまでと同様にこなすのは難しいでしょう。

パートナーはもちろん、両親にも協力を仰いで、無理なく保健師に向けた勉強ができる環境を整えましょう。

2.必要な費用を理解しておく

保健師になるには、学校の入学金や教材費、実習費、試験費用など、あらゆる面でお金がかかります。学費は1年間の保健師養成学校で100~200万円ほど。大学になると国立で約250万円、私立だと700万円ほどかかる場合もあります。最低でも100万円ほどは必要になることを理解しておきましょう。

なお、学費を抑える方法として、主に以下の制度があります。

●成績優秀者向けの奨学金

成績優秀者向けの奨学金は、一定以上の成績を収めた学生が対象の奨学金制度です。学校によって条件や内容は異なりますが、対象の学生は学費が全額免除や半額免除などになります。

●病院奨学金

病院奨学金は、卒業後に一定期間病院で勤務することを条件に奨学金の返済が免除される制度です。

●教育訓練給付制度

教育訓練給付制度は、社会人の能力開発やキャリア形成を支援するために厚生労働省が行っている施策です。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されます。

参照元:厚生労働省「教育訓練給付制度」

3.保健師をめざす理由を明確にする

保健師になるには、時間とお金が必要です。そのうえ、専門性の高い勉強をせねばならず根気がいります。主婦をしながら保健師をめざすのは、決して簡単な道のりではないでしょう。モチベーションを保つためにも、「なぜ保健師になりたいのか」「保健師になって何をしたいのか」を明確にしておくことが大切です。

保健師の種類となり方

保健師の種類となり方

保健師は働く場所によって、呼び名と仕事内容が異なります。ここでは、行政保健師・産業保健師・病院保健師・学校保健師のなり方や仕事内容を紹介します。

行政保健師

行政保健師は、保健所や保健センターなどの行政が管轄する機関で働く保健師のことです。地方公務員として勤務しています。

主な業務内容は地域住民に対する健康相談や保健指導などのサービスを提供のほか、生活習慣病や感染症の対策・調査などです。新生児がいる家庭への訪問や高齢者の生活支援も行います。乳幼児から高齢者まで、幅広い世代の地域住民の健康をサポートしています。

行政保健師になるには、看護師資格と保健師資格を取得して保健師になったのち、行政機関が実施する職員採用試験(公務員試験)を受けます。

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産業保健師

産業保健師は、民間企業に勤める保健師のことです。定期健診の実施や定期健診後のフォロー、メンタルヘルスケアなど、従業員の健康管理を行っています。

産業保健師になるには、看護師資格と保健師資格を取得して保健師になったのち、企業の入社試験を受けます。産業保健師を設置しているのは大企業が多く、好待遇かつ高収入の傾向にあるため人気が高め。さらに、求人募集自体が少ないのが現状です。産業保健師は企業の公式サイトや求人以外に、転職エージェントの非公開求人として募集していることがあります。そのため、産業保健師をめざす方は転職エージェントを活用するのがおすすめです。

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病院保健師

病院保健師は、病院やクリニックなどの医療機関に勤める保健師のことです。病気予防のアドバイスや予防接種のサポート、感染症対策など、患者さんや働く職員の健康指導を行います。

病院保健師になるには、看護師資格と保健師資格を取得して保健師になったのち、病院やクリニックの入職試験を受けます。勤めたい病院がある人は、病院奨学金を利用するのも一つの手です。奨学金の貸与を受けることが決まった時点で、その病院に一定期間勤務するので、基本的に就職活動を行う必要がありません。

学校保健師

学校保健師は、小学校・中学校・高校・大学といった教育機関に勤める保健師のことです。生徒や教員の怪我・病気の応急処置やメンタルヘルスケア、ハラスメントへの啓蒙活動などを行います。

病院保健師になるには、看護師資格と保健師資格を取得して保健師になったのち、学校の入職試験を受けます。なお、保健室の先生と学校保健師は異なります。保健室の先生と呼ばれるのは養護教諭です。養護教諭になるには、国家資格である養護教諭免許を取得する必要があります。

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まとめ

主婦の方が保健師になるには、看護師免許と保健師免許が必要です。
すでに看護師免許を持っている方であれば、保健師養成所に通うことで最短1年で保健師になれます。一方、看護師免許を持っていない方の場合は、最短で4年かかります。看護師免許および保健師免許を取得するための学校は、大学や短期大学、養成所などさまざまです。年数や費用も異なるので、自分にあった学校を探して保健師をめざしましょう。

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