• 2022年3月15日
  • 2023年1月31日

行政保健師とは? 仕事内容・一日のスケジュール・働くメリットも

 

保健師は、保健指導を通じて疾病の予防・健康維持に貢献する医療専門職です。保健師になるためには看護師資格の保有が必須であることから分かるように、看護師として多くのスキルや経験を積んだ方の次なるキャリアアップ先の1つでもあります。

そして、保健師にも勤務先や働き方によってまたあらゆる種類に分けられることが特徴です。数ある種類のなかでも、地域住民の健康維持に関する活動を行う保健師が「行政保健師」です。

地域包括ケアシステムが推進されている近年、行政保健師は注目されています。そこで今回は、行政保健師の概要から主な仕事内容、給料相場、働くメリット、向いている方の特徴まで徹底的に解説します。

行政保健師とは?

行政保健師とは、地域の保健センターや保健所、地域包括支援センターといった行政関係の施設で「公務員」として働く保健師です。その地域に在住するあらゆる世代の人々(乳幼児から高齢者まで)を対象に、医療・健康に関する活動や社会福祉に関する活動を行います。

保健師資格をもって働く方の多くはこの行政保健師として働いていることも特徴で、地域住民の健康づくり・健康維持に大きく関係する地域包括ケアシステムの構築が推進されている現在では、より需要が高まっています。

なお、保健師には行政保健師以外にもさまざまな種類があります。種類によって働き方も大きく異なるため、行政保健師以外の種類も把握しておきましょう。

一般企業で働く保健師=「産業保健師」
学校(小学校・中学校・高校・専門学校など)で働く保健師=「学校保健師」
病院で働く保健師=「病院保健師」

行政保健師と産業保健師の違い

保健師の多くが行政保健師として働いていると前述しましたが、次に多いのが産業保健師です。産業保健師とは、民間企業で働く保健師を指します。では、行政保健師と産業保健師には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

行政保健師は、地域住民を対象に「衛生管理・感染症の調査や分析」「難病を含む病気の予防」「健康相談・メンタルヘルスの支援活動」を行います。

一方で、産業保健師は企業に従事する従業員を対象に、「従業員の健康管理」「健康診断を通じた保健指導・健康指導」「メンタルヘルスの支援活動」「求職者の対応と復帰支援」を行うことが特徴です。つまり、行政保健師は地域住民、産業保健師は従業員に向けた健康に関する支援づくりを行うことが大きな違いといえるでしょう。

またこのような違いにより、主に担当する相手の特徴も異なります。行政保健師は乳幼児から高齢者まで幅広い世代の方が対象者となるため、年代に合わせた柔軟な対応が求められます。一方で、産業保健師は20~60代までのビジネスパーソンが対象者となり、企業のルールに則って行動することが基本という特徴をもっています。

行政保健師が活躍する場所・仕事内容

行政保健師が活躍する場所・仕事内容

行政保健師は行政機関で働く保健師のことを指しますが、ほとんどの行政保健師は自治体(市区町村)で活躍していることが特徴です。実際に厚生労働省が発表した2020年度における「就業場所別にみた就業保健師」データによると、市区町村で働く保健師は30,450人で、全体の50%を超えていました。
(出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況」

ただし、少数ではあるものの国(厚生労働省など)で活躍している行政保健師もいます。自治体で働く行政保健師は「地方公務員」、国で働く行政保健師は「国家公務員」となります。

このように、ひとくちに行政保健師といっても勤務先によって働き方が大きく異なることを覚えておきましょう。ここからは、行政保健師がどのような施設で働いているのか、その施設でどのような業務を行うのか詳しく紹介します。

保健所

保健所とは、都道府県・政令指定都市・中核市・その他政令で定める市・特別区により設置・運営される公的機関です。地域保健法にもとづいて各地域に設置されており、2022年時点では全国合計 468か所あります。
(引用:全国保健所長会「保健所数の推移」

保健所では、地域住民の健康維持および健康づくりを目的に設置されており、行政保健師は下記のような業務を日々行います。

保健福祉
  • 医療監視
  • 医療に関する相談 など
健康危機管理
  • 感染症対策
  • 感染症の調査・分析
  • 健康被害の拡大防止
  • 適切な医療確保 など
健康増進・病気予防
  • エイズ・生活習慣病・がん相談
  • 食生活相談
  • たばこ対策 など
環境・食品衛生
  • 環境保全に関する相談
  • 食品・飲料水の衛生に関する相談
  • 食中毒予防
  • 狂犬病予防
  • 動物愛護業務 など
相談サポート
  • 子育てに関する相談
  • 不妊・不妊治療に関する相談
  • DV・児童虐待に関する相談
  • 生活福祉に関する相談 など

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、「保健所」という言葉をより身近に感じるようになった方も多くいるでしょう。このように、保健所は主に全国的な病気や感染症の対策・予防と地域住民の健康づくりを主に行う施設と考えてください。

保健センター

保健センターとは、市町村ごと(東京23区など例外あり)に設置・運営される公的機関です。2022年4月時点で全国合計2,432か所あります。
(引用:厚生労働省「都道府県別市町村保健センター設置数」

保健センターでは地域保健法にもとづいて、地域住民に対する健康相談・保健指導などのサービスを提供します。なお、すべての市町村において設置が義務付けられているわけではないため、地域によっては保健センターがない場合もあることを覚えておきましょう。

保健所と保健センターは名称と提供サービスが似ていることから、混合して考える方も多いでしょう。しかし、保健所は都道府県ごとに専門的な保健サービスを提供する一方で、保健センターは市町村ごとに専門性の高い保険サービスを提供します。つまり、保健センターは地域住民により近い位置から保健サービスを提供する施設といえるでしょう。 保健センターが提供する主なサービスには、下記が挙げられます。

  • 母子保健
    →母子健康手帳の交付・新生児検診 など
  • 老人保健
    →定期健診・健康教室の開催 など
  • 歯科保健
    →子どもを対象とした歯科検診・歯に関する健康相談 など
  • 栄養保健
    →健康な食生活の支援・生活習慣病の予防や改善促進 など
  • 予防接種
    →各種感染症・伝染病の予防接種
  • 健康教育
    →生活習慣病の予防に関する情報発信・健康づくりに関する支援体制の構築 など

このように保健センターは、提供サービスにおいても狭域的な性格をもっていることが分かります。

厚生労働省

前述の通り、厚生労働省も保健師の活躍フィールドの1つです。厚生労働省で働く看護師・保健師・助産師は、「看護系技官」と呼ばれます。

また、ひとくちに「看護系技官」といっても、活躍できる部局もまた多岐にわたります。下記は、看護系技官が活躍できるフィールドの例です。

大臣官房 国際保健・協力室(国際課)
厚生科学課
医政局 医療安全推進室(総務課)
在宅医療推進室(地域医療計画課)
看護課
健康局 保健指導室・予防接種室(健康課)
子ども家庭局 虐待防止対策推進室(家庭福祉課)
母子保健課

(出典:厚生労働省「看護系技官のフィールド」

そのほかにも、看護系技官が活躍できる部署は多くあります。詳細は、下記の「看護系技官の配属されている部署」ページをご覧ください。

■参照

厚生労働省「看護系技官の配属されている部署」

また、2022年2月時点では新卒採用の募集も開始されています。主な応募要件は、下記の通りです。

応募資格

下記すべての条件を満たしている方

  • 看護師免許・保健師免許または助産師免許を取得している
  • 看護系大学を卒業している、または大学院を修了している
  • 修士課程の期間を含む看護業務経験が7年以上ある
  • 看護行政の業務に理解がある
選考方法

1次試験:小論文

2次試験:個別面接

(出典:厚生労働省「看護系技官の採用情報」

看護系技官となるとやや採用基準は高まる傾向にありますが、上記のような応募資格・選考方法は厚生労働省以外でもよくある要件となることを覚えておきましょう。

2-4. 地方自治体

地方自治体で採用された場合でも、地域の保健センターや保健所ではなく、本庁などに勤務をする場合もあります。採用後にどの部署で勤務することになるかは、各自治体によって異なることを覚えておきましょう。具体的には、本庁のほか児童相談所、精神福祉保健センター・福祉事務所などが挙げられます。

働く場所によって当然細かに異なるものの、基本的には感染症対策・災害対策・健康相談が主な業務です。特徴としては、個人の健康や福祉に関する相談・支援だけでなく、地域の健康そのものを支援すること・健やかに過ごせる環境づくりを整えることも挙げられるでしょう。
(出典:公益社団法人日本看護協会「自治体保健師の人材確保」

採用内容や採用基準・応募要件については、各自治体によって異なります。下記は、地方自治体からの一般的な採用情報です。

就業形態 保健師
概要 本庁の健康支援課に勤務し、保健指導などの仕事に従事する
選考方法 書類・面接

場合によっては、育児休業中の職員の代わりなどで任期がついていたり、年齢の制限があったりすることもあります。求人によって条件は事細かに異なるため、都度確認するようにしましょう。

行政保健師の一日のスケジュール

行政保健師の一日のスケジュール

行政保健師の一日の具体的な仕事のスケジュールや働き方は、勤務する施設・機関によって異なります。ここでは、保健所と地域包括支援センターにおける、一般的な一日のスケジュールを紹介します。

なお、保健師の職場は基本的に夜勤がなく土日が休みです。ただし地域包括センターは土曜日も開所する施設が増えているため、休日が気になる方は事前に確認しましょう。

保健所の場合

保健所に勤めた場合の一日のスケジュールと、主な仕事の流れは下記の通りです。

【行政保健師の一日のスケジュール・仕事の流れ】

時刻 仕事内容
8:00 出勤
  • 出勤
  • 仕事に必要な物品の準備
  • メール・留守番電話のチェック
8:15 朝礼
  • 当日の仕事内容を確認
  • 所属部署の予定を確認
  • 他部署の予定を把握
8:30 開庁
  • 当日行う訪問の準備
10:00 連絡
  • 前日行われた市民健康診断の結果を確認
  • 再検査を必要とする方への連絡
11:30 外出・昼食
  • 午後の訪問時間に合わせて外出
  • 昼食
13:30 乳幼児訪問
  • 乳幼児のいる家庭を訪問
  • 産後間もない母親の健康を確認
  • 赤ちゃんの健康・成長を確認
  • 子育ての相談対応・保健指導
15:30 介護家庭訪問
  • 高齢者の方の健康状態を把握
  • 介護家族の相談対応
  • 保険適応サービスの情報提供
16:00 検診手伝い
  • 当日実施されている検診の手伝い
17:00 報告書作成
  • 訪問内容・結果の報告
  • 検診に関するデータを共有
  • 日報の作成
17:45 退庁
  • 翌日の準備を終えたのち退庁

行政保健師の始業時間は、保健所が開庁する8:30より30分早い8:00となります。終業時間は閉庁から30分後の17:45です。

地域包括支援センターの場合

地域包括支援センターに勤めた場合の一日のスケジュールと、主な仕事の流れは下記の通りです。

【行政保健師の一日のスケジュール・仕事の流れ】

時刻 仕事内容
8:30 出勤
  • 出勤
  • メール・留守番電話のチェック
  • 朝礼へ参加
  • 仕事の進捗状況を確認・共有
  • 当日の予定を確認・共有
9:00 準備
  • 当日行う訪問の準備
  • 当日の仕事に必要な資料の準備
  • 関係機関への連絡
10:00 訪問
  • モニタリング訪問
  • 利用者さんの環境・状況を確認
11:00 訪問
  • アセスメント訪問
  • 利用希望者さんへのヒアリング
12:00 休憩
  • 昼食
13:00 ケアプラン作成
  • アセスメント結果をもとにケアプランの原案を作成
14:00 会議
  • サービス担当者を招集しての会議
  • ケアプランの内容を検討
15:00 相談
  • 電話・窓口による相談対応
16:00 書類作成
  • 支援の経過記録作成
  • 対応困難なケースの協議
17:00 退勤
  • 翌日の準備を終えたのち退勤

地域包括支援センターでは、訪問業務を午前中に行う傾向にあります。利用者さんの相談内容によっては、休憩時間が大きくずれ込むケースがあることも理解しておきましょう。

行政保健師になるには?

行政保健師になるには?

行政保健師になるには、まず看護師資格・保健師資格を取得したうえで行政機関が実施する職員採用試験に合格する必要があります。保健師の資格を取得する一般的な方法は、下記の通りです。

【保健師になるルート】

大学・専門学校(4年制)など
保健師・看護師統合カリキュラム
  短期大学・専門学校など
看護師養成講座(3年制)
 
保健師・看護師国家試験   看護師国家試験
   
    保健師養成学校
(1年制)
  看護系大学保健師養成課程
(3年次編入)
   
    保健師国家試験
 
保健師資格取得

行政機関の職員採用試験とは、国家・地方公務員試験のことです。主に学科試験と面接によって採用の可否が決まりますが、試験の難易度は応募先の行政機関によって異なります。また公務員試験には、年齢制限が設けられている地域が少なくありません。行政保健師への就職・転職を目指す場合は、希望する地域の受験資格をこまめにチェックしましょう。

たとえば、2022年度に行われた東京都の保健師募集要項の概要は、下記の通りです。

受験資格
昭和58年4月2日から平成13年4月1日までに生まれた人で、下記の(1)または(2)のいずれかに該当する人 (1) 保健師免許を有する人 (2) 令和5年春の国家試験により保健師免許を取得する見込みの人
試験方法

(1) 第1次試験
   筆記試験
   教  養:一般教養についての五肢択一式 1時間
   専  門:職務に必要な専門知識についての択一式及び記述式 1時間30分
   小論文:課題式 1時間30分

(2) 第2次試験
   口述試験:人物及び職務に関連する知識についての個別面接

(引用:東京都福祉保健局「保健師の募集について(令和5年4月1日付採用)

なお、上記はあくまでも2022年度における募集内容となります。年度によっては内容が異なる場合もあるため、必ず詳細を東京都福祉保健局の公式ページで確認しましょう。
(出典:東京都福祉保健局「保健師の募集について(令和5年4月1日付採用)」

行政保健師の給料相場

行政保健師の給料相場

看護師・助産師と比較した保健師の給料相場は、下記の通りです。

■保健師・看護師・助産師の給料相場

保健師 約481万円
看護師 約499万円
助産師 約554万円
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

全体で見ると、保健師の給料相場は看護師・助産師よりも低い傾向にあります。とはいえ、実際の給料は勤務先だけでなく、その人の経験年数やスキルによって大きく異なるため、あくまでも目安として考えておきましょう。

なお、公的機関からの「行政保健師に限定した給与データ」は存在していません。しかし前述の通り、保健師として働いている方のほとんどが市区町村や保健所で勤務していることから、行政保健師の給料相場は保健師全体の給料相場に近いものだと考えてよいでしょう。
(出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況」

行政保健師として働く5つのメリット

行政保健師として働く5つのメリット

行政保健師として働くことには、下記5つのメリットが存在します。

社会に貢献できる

看護師はすでに病気になった患者さんの治療やサポートがメインとなりますが、行政保健師は年齢・状態を問わず地域に住む幅広い人々の健康的な生活支援がメインです。特に携わる予防医療は社会貢献度の高い活動にもなり、大きなやりがいも感じられるでしょう。

さまざまなフィールドで活躍できる

行政機関にはあらゆる種類があるように、行政保健師もさまざまなフィールドを選択できます。保健師に必要な幅広い専門知識が身につくため、たとえ行政保健師から産業保健師などへの転身を考えた際には有利となる点もメリットといえるでしょう。

夜勤がなく生活のリズムが安定している

行政保健師は、基本的に日勤のみとなっており、夜勤がありません。そのため、生活リズムが安定しやすいことが特徴です。「夜勤ありの職場は自分に向いていない」と感じたことのある方や、「ワークライフバランスを重視したい」という方にとっては特に大きなメリットとなるのではないでしょうか。

給料・待遇が安定している

行政保健師は、長く働けば働くほど給料が確実にアップする仕事です。それでいて給料や待遇も安定しているため、給料の高さも重要と考える方にとっても魅力的な職業となるでしょう。

出産後もキャリアを継続できる

行政保健師は、育休・産休制度が充実している傾向にあります。多くの行政保健師は女性なため職場の理解もあり、休暇期間が終了したあと職場復帰しやすいことも魅力です。

行政保健師に向いている方の4つの特徴

行政保健師に向いている方の4つの特徴

行政保健師は、看護師・保健師であると同時に、行政機関で働く公務員です。このような職業の特徴から、行政保健師に向いている方にはいくつかの特徴があります。

最後に、どのような方が行政保健師に向いているのか詳しく解説するため、行政機関での勤務を検討している保健師の方はぜひ参考にしてください。

コミュニケーション能力のある方

行政保健師の主な仕事の1つに、健康相談があります。健康相談では、地域住民と対面もしくは電話にて応じながら、一人ひとりの悩みや背景に適したアドバイスを行う必要があります。相談者にとってよりよい提案をするためには、相談者と信頼関係を築き上げることが重要で、信頼関係を築き上げるためにはコミュニケーションが必要です。

また、行政保健師は個別の相談対応のみならず、開催されるセミナーの講師としてあらゆる情報を発信することもあります。あらゆる専門家やスタッフと連携して業務を進めることも多いため、高いコミュニケーション能力をもっている方は行政保健師の働き方に高くマッチしているといえるでしょう。

相手の立場を尊重できる方

行政保健師は、自分や自分の家族の健康に不安を抱えている人の相談を受けることもしばしばあります。このような相談者に対し、行政保健師は培った経験やスキルに基づき、話を聞いたり適切なアドバイスをしたりしなければなりません。このとき、相手からしっかり信頼されるためにも、相手の立場を尊重することが大切です。

また、法的知見を得ている行政保健師であれば、より頼りにされる存在となります。現場での経験で得た専門的知識やスキルだけでなく法令知識も有し、かつ相手の立場に立って話を聞ける保健師は、行政保健師として大いに活躍できるでしょう。

観察力や課題発見力のある方

行政保健師は、まだ上手に喋ることのできない乳幼児や、体が不自由となった要介護者とかかわることも多々あります。検診対象者の細かな違和感にすぐ気付けたり、相談者の心の機微を瞬時に察知したりできるような観察力のある方は、行政保健師に向いているでしょう。

また、対象者が自分では気づいていない課題を発見し、かつその課題を解決に導くことも行政保健師の重要な役割です。対象者や相談者の抱える問題を自分事として捉え、課題をすぐに発見できる能力をもつ方も、行政保健師の働き方にマッチしているといえます。

責任感のある方

行政保健師は、看護師として求められる責任感に加えて、国や地域社会に貢献したいという公務員としての意欲や責任感が必要です。

例えば健康に関する相談を受けたとき、間違ったアドバイスを1つでもすると、相談者の健康状態に大きな影響を及ぼす可能性もあります。行政保健師は多くの保健師業務を1人で行うだけでなく、一人ひとりの健康を守る立場としてあらゆる働きかけを行うことから、責任感や使命感をもつことは非常に重要です。

「自分は地域住民の健康を守っている」「一つひとつの行動に責任をもてる」という考えをもつ保健師は、行政機関で働くことに向いているといえるでしょう。

行政保健師に向いていない方の3つの特徴

行政保健師に向いていない方の3つの特徴

行政保健師は、行政機関で地域や国の保健医療を担う大事な仕事です。非常にやりがいがあり地域住民への貢献度が高い一方で、その分保健師が負う責任も大きくなります。そのため、行政保健師に向いている方もいれば、向いていない方もいることを知っておきましょう。

以下では、行政保健師に向いていない方に共通する3つの特徴を紹介します。

なお、行政保健師に向いていないからといって、保健師の仕事自体をあきらめる必要はありません。行政保健師には向いていなくても、ほかの職場であれば保健師として活躍できるスキルを持つ方も多いため、応募先を選ぶ判断材料の1つとして役立ててください。

相手の立場になって考えられない方

行政保健師は、利用者さん・相談者さんと信頼関係を築き、寄り添う姿勢が求められる仕事です。サービス対象者の立場に配慮し、ときには時間をかけて相手と向き合いながらコミュニケーションを取る力が求められます。

そのため、相手のペースに合わせるのが苦手な方やじっくりと観察するのが苦手な方は、別の職場のほうが向いている可能性があります。1人で黙々と作業するのが好きな方や、数字をもとに分析するのが好きな方、何よりも正しさを優先させたい方は、自分の特性を活かせる職場を探すとよいでしょう。

人にアドバイスすることが苦手な方

行政保健師の主な仕事内容は、利用者さん・相談者さんへ健康に関する説明やアドバイスを行い、利用可能なサービスの情報を提供することです。それぞれ違う事情や症状、さまざまなストレスを抱えた方々を適切にサポートする必要があることから、臨機応変な会話能力も求められます。

そのため、「論理的に話すことが難しいと感じる」「相手から内容がよく分からないといわれる」といった方は、行政保健師には向いていないかもしれません。「会話でのアドバイスは下手でも文章なら伝えられる」という場合は、相談や訪問をメインとしない職場のほうが適しているでしょう。

周囲に影響されやすい方

行政保健師の仕事は、利用者さん・相談者さんの健康、ひいては人生に大きく関わります。周囲の意見や雰囲気に流されていうことがコロコロ変わるようでは、信頼関係の構築は困難です。

行政保健師には、専門的かつ正確な情報を提供するのは大前提として、自分の知識に対して確固たる自信と信念をもって望む姿勢が必要となります。もちろん、公平性や倫理観を保つことは重要であり、誤った情報を伝えた場合は速やかに訂正する謙虚さも大切です。

まとめ

地域の保健センターや保健所などといった行政関連施設で、地域住民の健康維持に関する活動を行う保健師が「行政保健師」です。行政保健師は保健師全体の半数を超えており、近年では地域包括ケアシステムが推進されていることから、より需要が高まっています。

行政保健師の主な活躍場所は、「保健所」「保健センター」「厚生労働省」「地方自治体(本庁など)」が挙げられます。職場によって業務内容も細かに異なるため、求人情報で就業形態や業務についてチェックしておきましょう。

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※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています

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