• 2018年5月25日
  • 2022年4月27日

眠くなるツボ10選|不眠解消に効果的な快眠術を解説

 

「最近寝不足で疲れがとれない」「睡眠サイクルが乱れがち」といった悩みを持つ人は多くいます。睡眠不足が続くと疲労が回復できないため、気力と体力がどんどん低下してしまいます。その結果、仕事でミスが増えてしまい、効率が落ちるという悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。

今回は、整骨だけでなく、芸能人への美容鍼灸なども行う『竹田竜太鍼灸整骨院』院長で鍼灸師・柔道整復師の竹田竜太先生に、スッと眠くなるツボ&マッサージや呼吸法、オリジナル快眠マクラの作り方についてお聞きしました。

なぜツボを刺激すると眠くなるの?

ツボが睡眠不足の解消に役立つ理由は、不眠の原因に対応するツボを刺激することで、心身の不調を緩和し睡眠力を高められるためです。また、ツボを刺激する際には環境を整えたうえで深く呼吸しながら行うため、よりリラックスしやすいことも入眠の助けとなります。

ツボは、東洋医学から生まれた療法です。東洋医学において、人間の身体には生命エネルギーである「気」が張り巡らされており、気の通り道である「経絡(けいらく)」があるとされます。全身を巡る経絡上には気の出入り口となる「経穴(けいけつ)」があり、この位置が「ツボ」と呼ばれる部分です。

人体に約361か所あるツボは、それぞれ対応する身体の部位や内臓が定められています。ツボを押して経路を巡る気の流れをスムーズに調整することで、対応する器官の活性化に作用して体調を整えられる、とするのが東洋医学におけるツボ療法の考え方です。

以前はあくまでも民間療法の1つとして位置づけられていましたが、西洋医学においても、ツボを押すことで神経への刺激情報が脳へ伝達され、さまざまな影響を及ぼすことが判明しています。

現在ではWHO(世界保健機関)でもツボの刺激に一定の効果があることを認めており、2006年にはツボの位置を361個と定義し、世界で標準化されました。
(出典:公益社団法人 全日本鍼灸学会「WHO経穴部位国際標準化の経緯と今後」

今すぐ眠くなる? 快眠のツボ10選

次のポイントを押さえることが、ツボの刺激で眠気を誘うコツです。

  • 就寝時間より30分~1時間前のタイミングで行う
  • 歯磨きやトイレなどは済ませておく
  • 心身がリラックスでき、そのまま眠れる環境を準備する
  • 部屋の照明を絞る
  • ゆったりと深呼吸しながら押す
  • 正確な位置にこだわらず、自分自身の気持ちよさを優先する
  • 痛みで覚醒しないように優しく押す
  • 1回につき3~5秒、1か所3~5回程度を目安とする

ここでは、不眠緩和に効果的な10か所のツボをご紹介します。

内関(ないかん)

内関は、両手首の近くにあるツボです。自律神経のバランスを整えて穏やかな気分にさせてくれます。

内関は手首を曲げた時にできる一番太い横ジワの中央から、ひじに向かって親指2本分移動したところにあるくぼみです。押すとピリピリとした刺激を感じるので、親指で優しく垂直に押しましょう。

百会(ひゃくえ)

百会は、頭頂部の近くにあるツボです。全身の気を補い、ストレスやイライラした気分を解消してくれます。

百会は、両耳をつなぐ直線と眉間の中心線が交わるところにあります。いわゆる頭のてっぺんである頭頂部よりは、前の方にあるので注意してくださいね。気持ちよさを感じる程度の強さで、小さい円を描くように刺激してみましょう。

失眠(しつみん)

失眠は、かかと中央にあるツボです。神経の高ぶりを鎮めて眠気を誘う効果のほか、神経症・むくみ・膝関節痛・下半身の冷えなどにも効果が期待されます。

ほかの部分よりも皮膚が硬いため、親指で押しても力を込めにくいツボです。刺激が弱いと感じる場合は、握りこぶしの関節部分やツボ押し棒などを使うとよいでしょう。なお、ツボを強く押し込まなくとも、拳で10〜20回ほど軽く叩いたり、湯たんぽなどで温めるたりするだけでも十分に刺激を与えられます。

井穴(せいけつ)

井穴は、両手指の爪のつけ根両端にあるツボです。毛細血管が集中する指先を刺激することで血流の回復を促し、指先を温めつつ副交感神経を優位に導く効果が期待されます。また、指ごとに「親指=呼吸器系」「人差し指=消化器系」「中指=耳」「薬指=眠気覚まし・気分の落ち込み」「小指=頭痛・生理痛」に対する効果も期待されるツボです。

各指に2か所ずつあり、爪の生え際から縦と横の線を伸ばして交わった場所が目安となります。爪のつけ根を両脇から親指と人差し指でつまむように持ち、10〜20秒程度軽く揉みましょう。ハンドクリームなどを馴染ませると、皮膚が引き攣れにくくなります。

肩井(けんせい)

肩井は、肩の筋肉の中央部分にあるツボです。肩周りの血流を促すことで肩こりを和らげつつ身体のバランスを整え、眠りに誘う効果が期待されます。

首を前に倒した際に出っ張る骨と、肩先を結んだ線の真ん中当たり、軽く押してみて痛みを感じる部分が肩井です。指先で軽く揉んだり、拳で軽く叩いたりするとよいでしょう。首をすくめるように肩を上げ、力を抜いてストンと落とす方法も十分効果が期待できます。

丹田(たんでん)

丹田 (眠くなるツボ)

丹田は、おへその2~5cmほど下当たりにあるツボです。関元(かんげん)とも呼ばれます。交感神経を鎮めて心身をリラックスさせることで睡眠導入効果が期待されるほか、血行や利尿促進にも効果があるといわれるツボです。

あぐらをかいた状態で、丹田の場所を意識しながら両手をお腹に重ねて置き、深呼吸します。押し込まず、そっと包み込むイメージで力を抜くと効果的です。仰向けの状態で行ってもよいでしょう。

労宮(ろうきゅう)

労宮(ろうきゅう)_眠くなるツボ

労宮は、軽く拳を握った際に中指の先端が当たる付近にあるツボです。神経の高ぶりを抑えて自律神経を整えることで、緊張を緩めて心を穏やかにする効果が期待できます。「人」という漢字を書いて飲み込み、緊張をほぐすおまじないでも刺激されるツボです。

ツボに親指を当て、手の甲側を残りの指4本で押さえて、人差し指のつけ根に向けて力を込めましょう。ツボを中心にして、手のひら全体をやや強く指圧すると気持ちが和らぎやすくなります。

少海(しょうかい)

少海(しょうかい)_眠くなるツボ

少海は、ひじの内側にあるツボです。自律神経を整えて頭痛などを和らげることで、心身へのリラックス効果が期待されます。ストレスが要因で起きた手足の冷えやめまい、耳鳴りなどにも効果があるといわれるツボです。

手のひらを上に向けたままひじを曲げ、腕の内側にできたシワの先端付近を押しましょう。そろえた指の腹で、心地よく感じる程度に撫でるだけでも効果が期待でき、入眠しやすくなります。

湧泉(ゆうせん)

湧泉(ゆうせん)_眠くなるツボ

湧泉は、足裏の上から1/3当たり、足指を曲げて力を込めた際にもっとも深い谷間ができる部分にあるツボです。頭の血行促進や疲労回復、倦怠感や足の冷え解消に効果があるとされます。

両手の親指をツボに当て、残りの指8本は足の甲に当てながら、足先に押し出すイメージで押しましょう。力を入れにくい場合は、握りこぶしの関節部分やツボ押し棒などを使うと、しっかりと押せます。青竹を踏んだり、足裏でゴルフボールを転がしたりする方法もおすすめです。

合谷(ごうこく)

合谷(ごうこく)_眠くなるツボ

合谷は、手の親指と人差し指の分かれ目周辺にあるツボです。自律神経を調節しストレスを緩和することで、眠気を感じやすくなります。「万能のツボ」とも呼ばれ、頭痛・肩コリ・眼精疲労をはじめとした幅広い症状に効果が期待されるツボです。

手の甲を上にして、親指と人差し指の骨が交差する谷間の部分を、反対の手の親指でやや強めに押しましょう。指間の中央よりもやや人差し指側にある人が多く、押した際に痛みを感じる場所が目安です。

ベッドの上でもできる簡単快眠マッサージ・ストレッチ

ベッドの上でもできる簡単快眠マッサージ・ストレッチ

続いては、快眠するために効果的な簡単マッサージをご紹介します。題して、「鎖骨下筋(さこつかきん)の指先タップほぐし」です。

鎖骨の下にある筋肉は、指先でトントンとタップするだけで緩めることができます。鎖骨下筋がほぐれると、自律神経を司る迷走(めいそう)神経が整うため、首の緊張を取り除き、胸郭を大きく開くことができるようになります。その結果、快眠に必要不可欠な「深い呼吸」が可能になります。

タップするのはベッドの上に座った状態でも、横たわった状態でも問題ありませんので、眠る準備が整ったら行ってみてください。

このほか、以下のようなストレッチもおすすめです。

■股関節の周りをほぐすストレッチ

股関節の周りをほぐすストレッチ

股関節周辺をほぐすことで、血流の改善やむくみ・冷えを解消できる可能性があり、ゆったりとした眠りにつきやすくなります。

(1) ベッドの上であぐらをかいて座ります

(2) 左右の足裏同士を合わせ、両手で包み込むように持ちましょう

(3) ゆっくりと息を吐き出しながら、背筋を伸ばしたまま上体を前傾させます

(4) 伸びた背筋を保てる体勢でそのまま1分間、呼吸を止めずに身体だけを静止しましょう

(5) 余裕があれば両腕のひじで太ももの内側を押し、股関節周辺を伸ばします

上記の流れが1セットです。3回を目安に行いましょう。ひじで太ももを押す際は、力を込めすぎず「イタ気持ちいい」程度に加減することが大切です。背筋を丸めずに身体を倒しても苦しくない場所に足を置くと、ストレッチがしやすくなります。

■手足の力を抜くストレッチ

手足の力を抜くストレッチ

日常生活とは反対の方向に軽く動かすことで、重力に逆らって姿勢を保っている筋肉を休ませるストレッチです。主に大腿四頭筋や腹直筋、大殿筋などの緊張状態をほぐして疲れを緩和させる効果が期待でき、快適な眠りに入りやすくなります。

(1) ベッドの上で仰向けに寝転がります

(2) 両手足を天井に向けてまっすぐに持ち上げ、可能な限り力を抜きましょう

(3) 両手足をぶらぶらと小刻みに30秒間揺らします

上記の流れが1セットです。2回を目安に行いましょう。ストレッチ中はできるだけ全身の力を抜き、ゆっくりと深呼吸することが大切です。力を抜きすぎて手足があらぬ方向に倒れたり、家具などにぶつかったりしないように注意しましょう。

寝不足を解消する快眠テクニック

ここでは寝不足を解消するための方法として、よく眠るための呼吸法・快眠マクラを自作する方法をご紹介します。

寝不足を解消するためには、ツボの刺激やマッサージ・ストレッチに加えて、呼吸法や快眠グッズの導入もおすすめです。呼吸法は準備物がないので、誰でもすぐに始めることができます。

よく眠るための呼吸法

よく眠るための呼吸法

よく眠るためには、深い呼吸で副交感神経を優位にする必要があります。そのために有効なのが腹式呼吸です。腹式呼吸をする時は、まず体内にあるすべての息を吐き切ることからスタートし、呼気が吸気の2倍の長さになるように意識してみましょう。

(1) ベッドに横たわり、肩の力を抜き、お腹に手を当てます

(2) お腹が膨らむように、3秒間で息を吸い込みます

(3) お腹がへこむように、6秒間で息を吐き切ります

竹田竜太先生からのワンポイント!

息を吐く時間を長くすると、人間の身体は自動的に心拍数が落ちるようになっています。心拍数が落ちると、自然に眠りに入ることができます。慣れてきたら4秒で吸って8秒で吐く、5秒で吸って10秒で吐くといったように、どんどん息を吐く時間を延ばしていきましょう。

快眠マクラを自作する

快眠マクラを自作する

最後に、簡単にできるオリジナル快眠マクラの作り方をご紹介します。快眠マクラのポイントは、ずばり「高さ」にあります。「いつもと違う枕だとよく眠れない」「枕が高すぎて途中で目が覚めてしまった」なんて経験は誰にでもあるものです。適切な「高さ」を確保して、質のよい睡眠タイムを持ちましょう。

枕の高さが体に合っていると、深い呼吸ができるため、スムーズに入眠できるほか、途中で目醒めにくくなります。しかも、快眠マクラを作るには、いつも使っているバスタオルさえあればOKです。何かを新しく購入する必要もなければ、特別な道具を準備する必要もありません。手軽にすぐに作れるのも嬉しいですね。

夜勤の仮眠時や患者さんの入院時など、いつでもどこでも何度でも、手軽に作ることができます。

■用意するもの

バスタオル2枚

■手順

(1) 1枚目のバスタオルを縦に半分に折る

(2) 1枚目のバスタオルを自分の頭の幅に合わせて片端からクルクル畳む

(3) 1枚目のバスタオルを芯にして2枚目のバスタオルで包む

(4) バスタオル枕に頭を乗せてベッドに横たわり、お腹に手を当てて腹式呼吸をする

(5) 一番大きくお腹が動く高さに、バスタオル枕の高さを微調整する

竹田竜太先生からのワンポイント!

何度か調整しているうちに、すぐに自分にとって最適な高さが分かるようになります。適切な高さはマットレスや布団の硬さによって変わってくるため、寝る場所ごとに新しく作り直しましょう。

まとめ

健康にも美容にもダイレクトに響いてしまう睡眠不足。質のよい睡眠をしっかりとって、自分の体を自己管理しておきたいものです。ツボ押しやマッサージ、腹式呼吸など、睡眠をレベルアップさせるスキルを確保しておくことで、看護師スキルもアップするかもしれません。

寝不足を改善したい場合は、眠る前に腹式呼吸をする、バスタオルで自分に合った高さの枕を作るなどの方法がおすすめです。どれも簡単なので、ぜひ実践してみてくださいね。

職場の人間関係にお悩みの方は、看護師専任の キャリアアドバイザーに相談してみませんか?

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