• 2021年10月20日
  • 2021年11月16日

保健師になるには? 必要な資格・難易度・仕事内容・将来性などを解説

 

人々の健康維持や病気の予防を主な業務とする保健師は、同じく医療に携わる看護師とは違った魅力のある職業です。多様なフィールドでニーズが高く、保健師について「なる方法を知りたい」「仕事内容やメリット・デメリットを知りたい」という人も多いでしょう。

当記事では、保健師になるには何が必要なのか、資格や費用面などを解説します。働く場所による仕事内容の違いや、保健師の平均給与、将来性が高い理由も説明するため、保健師を目指している人は参考にしてください。

保健師になるには? 必要な資格と保健師になるまでのルート

保健師は、保健所や企業・学校・病院などに勤務し、保健指導や健康相談を中心に行います。病気やけがをした人の治療が中心である看護師と違い、あらゆる人の病気やけがを予防することが中心的な業務である点が保健師の特徴です。

保健師になるためには、保健師免許と看護師免許の2つの国家資格を取得する必要があります。保健師国家試験と看護師国家試験を同時に受験することも可能です。ただし、保健師の試験に合格しても、看護師の試験に合格しなければ保健師免許を取得することはできません。

必要な資格を取得して保健師になるルートとして、次の3種類が考えられます。

保健師と看護師の資格取得を同時に目指す場合

少ないコストで保健師免許取得を目指すなら、保健師と看護師の資格を同時に取得するルートがおすすめです。資格のダブル取得をするためには、次のようなルートを選択する必要があります。

(1)保健師・看護師両方の国家試験受験資格を得るため、4年制の看護大学で保健師選択課程を選択する

(2)受験資格を得たら、保健師国家試験と看護師国家試験を同時に受験する

(1)については、保健師課程と看護課程の2つのカリキュラムを備えていれば、4年制の専門学校でも保健師・看護師両方の受験資格を得ることが可能です。

(2)の受験資格は卒業年度に得られるため、スムーズに資格取得ができれば最短ルートで保健師として働き始めることができます。ただし、短期間に2つの国家試験に合格する必要があるため、在学中から計画的に試験対策を行うことが欠かせません。

上記ルートの場合、いざとなったら看護師免許だけ取得し、保健師免許は後から取得することもできます。

看護師の資格を取った後に保健師資格を取る場合

「まずは看護師として働いてみたい」「看護師志望だったが保健師を目指したくなった」場合は、以下のようなルートを選択することとなります。

・短期大学などを卒業後、すぐに大学院・専門学校などに進学し資格取得するケース

(1)看護師専門学校や看護系大学で卒業年次に看護師資格だけを取得

(2)(1)を卒業後すぐに1年制の保健師養成学校などに入学し保健師資格を取得

・看護師として就職し、働きながらもしくは離職して専門学校などに行くケース

(1)保健師養成学校などに通い保健師資格を取得

働きながらもしくは離職して専門学校などに行く場合は、学校選びが重要です。入試については、社会人枠がある場合、受験勉強の負担が減らせます。また、働きながら通う場合や離職してアルバイトをする予定がある場合はカリキュラムを事前に把握し、仕事と勉強が両立可能なのか確認しておきましょう。

異業種・異職種から保健師を目指す場合

看護師資格を持たない人が保健師への転職を目指すことも可能です。ただし、働きながら、あるいは子育てしながら通える学校を探す必要があることや、保健師として働き始めるまで最低でも4年の期間がかかることは念頭においておきましょう。

選択肢としては、以下の2つがあります。

(1)保健師・看護師両方の資格試験を受けることができる4年制の看護大学などに通い、資格のダブル取得を目指す

(2)看護師専門の学校に通い看護師資格を取得後、保健師養成学校に通い保健師資格を取得する

(1)(2)いずれを選ぶにしても、最低でも4年間、勉強と仕事などを両立させる必要があるため、以下のような点をあらかじめ検討・確認しておきましょう。

  • 夜間カリキュラムの利用を検討する
  • シフトの変更など働き方を見直す
  • 保健師になるまでに必要な学費及び生活費を把握する

少なくとも4年間、勉強が持続可能な生活スタイルを確立することがポイントです。

保健師国家試験の概要と難易度

保健師国家試験の勉強をしている様子

保健師になるために必要な保健師国家試験の概要は、以下のとおりです。

試験日程 毎年2月
試験地 北海道・青森県・宮城県・東京都・新潟県・愛知県・石川県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県
試験科目 公衆衛生看護学・疫学・保健統計学・保健医療福祉行政論
受験手数料 5,400円

(出典:厚生労働省「保健師国家試験の施行」

保健師の試験時間は、午前中1時間15分、午後から1時間20分の計2時間35分です。問題数は、令和3年2月実施の実績によると、午前・午後ともに各55問の計110問が出題されました。
(出典:厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」

令和3年2月に実施された保健師国家試験の合格率は、全体が94.3%、新卒者が97.4%です。総得点142点満点中86点以上であることが合格基準とされ、正答率約60%以上であれば合格できます。
(出典:厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表」

9割以上の合格率や6割以上の正答率といった合格基準を考え合わせると、保健師国家試験は学校で教わる事柄をしっかり勉強していれば合格できる試験と言えるでしょう。

ただし、受験者全員が保健師国家試験合格を目指して学習し続けてきたことを考えると、決して簡単な試験でありません。過去問をしっかり勉強し、本番さながらの環境で試験対策をしておきましょう。

保健師になるためにかかる費用

保健師になるためにかかる費用を計算する女性

保健師になるためにかかる費用として、もっとも大きなものが学費です。学費は、学校の種類や公立・私立の違い、ルートなどにより異なります。

保健師と看護師の資格取得を同時に目指す場合、公立の4年制大学であれば約350万円、私立であれば約630万円かかるでしょう。

すでに看護師資格を取得しており、これから保健師資格の取得を目指す場合、公立の保健師養成学校であれば約200万円、私立は約400万円必要です。養成所で保健師資格の取得にかかった費用に、看護師資格を取得するまでに要した看護学校などの費用を足した額が、保健師になるまでにかかった総額となります。

総額で考えると、公立の4年制大学に通い保健師と看護師の資格を同時に取得する場合がもっとも低コストです。

奨学金・支援制度のチェックも忘れずに!

保健師を目指す場合、奨学金や支援制度を利用できるケースがあるため忘れずチェックしましょう。

各大学や専門学校で独自の奨学金を設けている場合が多く、特に私立大学においては、貸与や給付などさまざまな奨学金が準備されている傾向にあります。

また、病院によっては保健師を目指す学生に奨学金を貸与する制度があるため、活用するとよいでしょう。一部の都道府県では、医療人材確保のために実施する「保健師等修学資金貸付制度」もあります。

保健師の種類と仕事内容

保健師の女性

保健指導や健康相談を主に担当する保健師は、就業場所によって仕事内容や勤務形態が異なります。そのため、希望する働き方や勤務条件に合った種類の保健師を選ぶことが大切です。

代表的な保健師の種類は、行政保健師・産業保健師・学校保健師・病院保健師の4種類があります。ここでは、それぞれの働き方にどのような特徴があり、どういう人に向いているかを解説するため、自分に合った保健師の種類を探す際にはぜひ参考にしてください。

行政保健師

行政保健師とは、各地域に行政が設置する保健所・保健センターなどに勤務する保健師です。公務員として採用されます。

行政保健師の特徴
  • 都道府県や政令指定都市レベルで設置される保健所勤務の場合、感染症などの疾病予防を目的とした広域的な調査・分析・啓発といった公衆衛生活動が中心
  • 市区町村レベルで設置される保健センター勤務なら、地域に密着した乳幼児から高齢者までの幅広い健康相談などが中心
  • 公務員試験に合格する必要がある
  • 身分が安定しており、休暇の取得がしやすい
  • 給与が少なめ
  • 住民からの相談への対応業務が中心で業務範囲も多岐にわたる

勤務先が保健所か、保健センターかで業務内容が変わることも行政保健師の特徴です。

行政保健師が向いている人の特徴
  • コミュニケーション好きで相談業務を中心に行いたい人
  • 幅広い業務に挑戦したい人

幅広い年代の地域住民に対する健康支援が中心になるため、幅広い知識や柔軟な対応を求められても苦にならない人には適性があります。

産業保健師

産業保健師は、民間の企業や団体で働く人に対して健康診断の実施ならびに診断結果に基づく保健指導を行ったり、メンタルヘルスケアに関する健康相談に応じたりします。労働安全衛生法上の設置義務がある産業医と異なり、産業保健師の設置義務はありません。

産業保健師の特徴
  • 企業の人事部門や産業医との連携が不可欠
  • 相談者は全員、社会人
  • 土日祝日は休みで残業も少なめ
  • 大手企業であれば福利厚生も充実している
  • 同じ保健師の同僚がいない場合が多い

産業保健師は、健康診断のデータをまとめて分析するなどデスクワークも多く、パソコンのスキルが求められることも特徴です。

産業保健師が向いている人の特徴
  • 人事部門の従業員や産業医といった他業種の人と連携することができる人
  • 1人で黙々とデスクワークをすることが苦にならない人

従業員のメンタルヘルスケアが重要な役割である産業保健師は、人事部門や産業医との連携が欠かせないためチームプレーが好きな人に向いているでしょう。

学校保健師

学校保健師とは、学校の保健室に勤務し学生や教師のケアをする保健師です。保健室の先生(養護教諭)との違いは、主な業務が教育か、予防医療かという点です。教育を担当する保健室の先生は保有する資格は教員免許で、授業も担当します。

学校保健師の特徴
  • 学生や教師の健康管理、保健指導、健康診断補助などを担当
  • 子どもたちと身近に寄り添い、心身両面から学校生活をサポートできる
  • 突発的なけがや病気といった臨機応変に対応すべきアクシデント、いじめのようにじっくり向き合うべき問題があり対応能力が問われる

学校保健師の最大の特徴は、多くの子どもたちと向き合う点です。学校生活をサポートできるやりがいは学校保健師特有のものと言えるでしょう。

学校保健師が向いている人の特徴
  • 子どもとコミュニケーションを取ることが好きな人
  • 些細な変化に気付くことができる人

急な発病やいじめなどのサインを見逃さないために、子どもの態度や健康状態の変化に敏感な人は学校保健師に向きます。

病院保健師

病院保健師とは、病院などの医療機関に勤務し患者や病院関係者をケアする保健師です。看護師が患者の病気の治療に関する業務を中心に行うことに対し、病院保健師は病院の職員も含めた人たちの病気の予防が中心業務となります。

病院保健師の特徴
  • 患者だけでなく病院に勤務する全員がケア対象
  • 保健指導、健康診断対応、伝染病対策室の運営などの業務がある
  • 病院によっては看護師と似たような業務内容の場合がある
  • 夜勤が発生する可能性がある

病院保健師は、勤務先によっては看護師に近い業務内容や勤務形態となる可能性があります。事前に求人内容を確認しておくことが大切です。

病院保健師が向いている人の特徴
  • 看護師として勤務経験のある人
  • コミュニケーション能力が高い人

急な発病やいじめなどのサインを見逃さないために、子どもの態度や健康状態の変化に敏感な人は学校保健師に向きます。

保健師の平均給与と求人の例

保健師の女性

平均給与や求人状況は、保健師を目指すうえで知っておきたいポイントです。

厚生労働省の調査によると、保健師の平均給与は約476万円 、看護師の平均給与は約492万円 と、看護師より平均給与は低くなっています。保健師には夜勤がほとんどなく、残業時間も少なめであることが、看護師より平均年収が低い主な原因です。
(出典:e-Stat「令和2年賃金構造基本統計調査」

保健師の有効求人倍率は1.01倍で、看護師と比べると就職先は少なめとなっています。労働環境や勤務形態が安定しているため、保健師の離職者はあまりいません。また、企業保健師や学校保健師は、1ケ所あたりの人員枠が1人から数人と少なめであることも競争率を上げる原因となっています。
(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「保健師」

マイナビ看護師に掲載されている求人情報を確認すると、保育園で園児の健康管理を中心に行う業務や、専門学校の教員、地域包括支援センターの募集もありました。初めから「学校保健師しかしない」などと決めてしまわず、さまざまな勤務場所の求人を確認してみるとよいでしょう。

保健師の将来性が高い理由3つ

保健師の女性

現在、保健師の求人は看護師などと比べて多いとは言えない状況です。ただし、今後、保健師の需要は高まると言われています。社会状況の変化に伴い、保健師が得意とする予防医療がより一層重視されるようになっているためです。

生活習慣病を予防する必要性や、企業・学校におけるメンタルヘルスケアの重要性の高まり、高齢化社会の進展などが、保健師の需要増につながるでしょう。以下では、それぞれの要因について具体的に説明します。

予防医療のニーズが高まっている

特に、生活習慣病の予防において保健師のニーズが高まっています。生活習慣病とは、文字通り健康的でない生活習慣が原因で発症する疾病です。発症すると命に関わることもある一方、生活習慣を改善するだけで予防が可能であるため、予防医療が果たす役割は大きくなります。

マイナビ看護師においても、生活習慣病予防のための生活習慣改善指導を専門に行う求人がありました。また、保健所や保健センターなどでも生活習慣病予防に向けた啓発や保健指導に力を入れています。

以上のことを踏まえると、企業や自治体において生活習慣病に関する予防医療のニーズがあり、今後さらに保健師の需要は高まっていく傾向にあると言えるでしょう。

メンタルヘルス領域で活躍できる

企業におけるメンタルヘルスケアの必要性は、年々高まっています。メンタルの不調により休業や退職を余儀なくされる人が増加している状況を受け、厚生労働省は平成27年からストレスチェックを義務化しました。ストレスチェックの実施者となれる職業は、医師や保健師などです。
(出典:こころの耳「メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要」

令和3年2月に厚生労働省が発表した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」においても、メンタルヘルスケアを含む健康指導の必要性が指摘されています。
(出典:厚生労働省「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」

そのため、今後も企業におけるメンタルヘルスケアで重要な役割を果たす保健師の需要は、高まっていくでしょう。

高齢化社会の進行により需要が高まる

高齢化社会の進行も、保健師の需要が高まる要因の1つです。厚生労働省は、高齢化対策の一環として、健康寿命を伸ばし医療や介護の負担を軽減することを推進しているためです。
(出典:厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について」

健康寿命を伸ばすためには、病気や要介護状態になることを予防する必要があります。そこで求められるものが、生活習慣の改善につながる保健師による保健指導や早期の受診勧奨などです。

マイナビ看護師においても、地域包括支援センターの求人が多く見られました。高齢化は進展する一方であるため、今後も地域包括支援センターに限らず、介護福祉施設関係で高齢者の健康づくりに携わる保健師求人が増加するでしょう。

まとめ

保健師になるには、保健師資格と看護師資格、2つの国家資格を取得する必要があります。病気やけがの予防につながる保健指導や相談対応など、予防医療の専門家である保健師は、行政・企業・学校・病院と多くの分野で必要とされる職業です。

保健師の求人数は現在は多いとは言えませんが、今後、予防医療のニーズが高まることに伴い需要が増加すると考えられます。

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