• 2024年4月13日
  • 2024年4月10日

御院の読み方とは? 貴院との違いや医療施設別の敬称の使い方を解説

 

医療業界への転職を検討している方や、就職活動中の看護学生さんのなかには、「御院」の読み方や「貴院」との違いが分からないという方もいるのではないでしょうか。

御院も貴院も病院の敬称として使われる言葉ですが、それぞれ明確な違いがあるため、違いや正しい読み方を理解して適切に使い分けることが大切です。

当記事では、御院の読み方や貴院との違いのほか、医療施設別の敬称の使い方、書面を送付・郵送する際の宛名の書き方などを解説します。

▼当記事は、文化庁の「敬語の指針」を参考に作成しております。
(参考:文化庁「敬語の指針」

御院の読み方とは? 貴院との違い

医療業界で使われる「御院」は「おんいん」と読み、相手の病院のことを丁寧に表現する言葉です。医療業界以外で使われることは少ない言葉なので、正しい読み方を知らなかったという方もいるのではないでしょうか。

なお、「御院」は「ごいん」とも読めますが、「ごいん」は仏教内の特定の宗派で住職を指す言葉となり、「おんいん」と読んだときとは意味が変わるため注意が必要です。

「御院」と似た言葉に「貴院(きいん)」があります。「貴院」も「御院」と同じく相手の病院のことを丁寧に指す表現ですが、「貴院」と「御院」は明確に使い方が異なる言葉です。「御院」と「貴院」の違いや使い方について解説します。

面接など口語では「御院」

「御院」は、口頭で相手の病院に敬意を表す際に用いる言葉です。採用面接や入職前の面談などでは、「貴院」ではなく「御院」を使うのが適切となっています。

「御院」はやや発音しにくい言葉で、これから医療業界に入る場合は聞き慣れないと感じる方もいるでしょう。しかし、一般企業でも、相手企業を口頭で指す場合には「御社(おんしゃ)」と表現します。「御院」は「御社」の病院版だと思えば間違えにくくなるでしょう。なお、「御院」の発音のアクセントは「お」の部分になります。

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履歴書など文語では「貴院」

「貴院」は、書き言葉として用いるのが適切です。履歴書や手紙、メールなどで相手の病院を指す際には、「御院」ではなく「貴院」を使いましょう。

なお、文語で相手の会社を指す場合も「御社」ではなく「貴社」を用いるのが適切となっています。「貴社」を口頭で用いる場合、「記者・帰社・汽車」など同音異義語が多く、相手にスムーズに伝わりにくいのが難点です。そのため、「貴社」は文語でのみ用いられ、代わりに「御社」が口頭で使われるようになったと言われています。「御社」と「貴社」の使い分けの背景に倣って、病院の場合も「御院」は口語で、「貴院」は文語で使われるようになりました。

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病院以外の医療施設の面接を受ける場合の敬称

病院以外の医療施設の面接を受ける場合の敬称

「御院」や「貴院」は、主に病院の面接を受ける際に使用する敬称ですが、どの医療施設に対しても使えるものではありません。相手の医療施設の種類によって適切な敬称が異なるため注意が必要です。以下では、病院以外の医療施設の面接を受ける場合の敬称を紹介するので、確認のうえ正しく使い分けましょう。

クリニック

相手のクリニックを口頭で表す場合は「御(おん)クリニック」と表現するのが適切です。ただし、「御クリニック」は一般的に浸透している表現ではなく、医療関係者であっても違和感を覚える可能性があります。不安な場合は、医療施設という意味で「御施設(おんしせつ)」と表現しても問題ありません。

履歴書やメールなどの文語では「貴クリニック」が正しい表現となります。文語の場合も、「貴クリニック」という表現に違和感を覚える場合は「貴施設」と言い換えることが可能です。

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診療所

診療所と名の付く施設の面接を受ける際には、「御診療所(おんしんりょうじょ)」というのが正しい敬称となります。ただし、「御診療所」という表現も一般的になじみが深い表現ではありません。そのため、クリニックの場合と同じく「御施設」という表現方法を選ぶことも可能です。

相手の診療所を文語で指す場合は、「貴診療所」または「貴所(きしょ)」、「貴施設」のいずれかを使用します。

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介護施設

介護施設や重症心身障害者施設などの場合、口語では「御施設」と表現するのが適切です。施設名が「〇〇ホーム」や「〇〇園」などの場合も、「御ホーム」「御園」ではなくすべて「御施設」と表現しましょう。

書き言葉での敬称は「貴施設」を使用してください。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションを口語で指す場合、「御ステーション」という表現で問題ありません。ただし、「御ステーション」という敬称に違和感を覚える方も多いでしょう。敬称を使う側はもちろん、面接担当者のなかにも「御ステーション」は聞き慣れないという方もいます。そのため、訪問看護ステーションのことは「御事業所(おんじぎょうしょ)」と表現する方が多い傾向です。

訪問看護ステーションを文語で表す場合は、「貴ステーション」という表現でも間違いではありません。違和感がある場合は、口語表現の場合と同様の考え方で、「貴事業所(きじぎょうしょ)」という表現を用いましょう。

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企業/法人

産業看護師として企業の面接を受ける際には、一般企業の面接の場合と同じく「御社」というのが適切です。雇用されるのが病院ではなく企業の場合、「御院」を用いるのは適切ではないため注意してください。文語での敬称も「貴院」ではなく「貴社」が適切となります。

医療機関は、株式会社が運営しているケースもあります。医療機関の面接でも、運営母体が株式会社の場合は一般企業の面接と同じく「御社」を用いるのが一般的です。文語でも敬称は「貴社」を使用しましょう。

病院や介護施設が「医療法人」や「社会福祉法人」の場合、口語では「御法人(おんほうじん)」、文語では「貴法人(きほうじん)」を用いることもあります。面接を受ける法人が多様な医療機関や施設を運営しており、どこに配属されるか分からない場合も「御法人」「貴法人」を使用するとよいでしょう。

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書面を送付・郵送する際の宛名の書き方

書面を送付・郵送する際の宛名の書き方

就職・転職活動においては「御院・貴院」の使い分けだけではなく、宛名の書き方にも注意が必要です。封筒に記入する宛名書きは、仕事を始めてからも触れる機会が多く、社会人として身に付けておくべき一般常識の1つといえます。

ここからは、応募書類やメールなどを医療機関宛に送付・郵送する際の宛名の書き方について解説するので、参考にしてください。

組織や団体宛に送る場合は「御中」

組織や団体宛に書面を送る場合は、組織・団体名の後に「御中(おんちゅう)」を付けるのがマナーです。「御中」には「様」と同じ役割を持つ言葉で、たとえば「〇〇病院 御中」のように記載します。

「御中」は「御院」などの敬称とは異なり、すべての組織・団体に対して共通で使用できる言葉です。組織・団体の種類によって使い分ける必要はなく、相手が病院や介護関係の施設、株式会社などの場合でもすべて「御中」と記入するのが適切となります。

個人宛の場合は二重敬語に注意

組織や団体に属する個人に書面を送る場合は、二重敬語に注意しましょう。手紙やメールなどを送り慣れていない方にありがちな間違いとして、「〇〇院長様」や「〇〇先生様」といった表現があります。しかし、「院長」や「先生」といった役職名は、すでに敬意が含まれている言葉です。「様」も個人への敬意を表す言葉なので、「〇〇院長様」といった表現は二重敬語になり、ビジネスマナーに反します。「〇〇院長」「〇〇先生」のままで十分に敬意を表せているため、「様」は付けずに送付・郵送しましょう。

どうしても敬称として「様」を使用したい場合、役職名を個人名の前に持ってくる方法があります。たとえば「△△病院 院長 〇〇様」という書き方であれば、正しい敬語表現になります。二重敬語はかえって相手に失礼な表現になるため、敬称を過剰に使わないよう注意してください。

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まとめ

主に医療施設に対する敬称として使われる「御院(おんいん)」は、面接や入職前の面談など、口頭で相手の病院に敬意を表す際に使用されます。「貴院(きいん)」は、御院と同様に病院の敬称ですが、履歴書やメールといった文書で使用する言葉です。同じ医療施設でも、クリニックや診療所によって、適切な敬称が異なるため注意しましょう。

マイナビ看護師では、医療業界に精通したキャリアアドバイザーが適切な敬称の使い方を含め、履歴書の添削や面接の練習といったサポートをいたします。医療業界への転職・就職を検討している方は、ぜひマイナビ看護師にご相談ください。

※当記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています

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