2021年度(第111回)
看護師国家試験 過去問・解答 午後
第113回看護師国家試験 採点除外等問題の対象は6問です。
L午前の問題:[5][23][25] L午後の問題:[2][11][21]
午後
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第1問
平成29年(2017年)推計による日本の将来推計人口で令和47年(2065年)の将来推計人口に最も近いのはどれか。
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1.6,800万人
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2.8,800万人
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3.1億800万人
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4.1億2,800万人
- 解答・解説
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1.(×)現時点で6,800万人という推計値は発表されていません。
2.(○)2053年(令和35年)には1億人を割り込んで約9,750万人、2065年(令和47年)には9,000万人を割り込んで約8,800万人になると推計されています。
3.(×)1億800万人は、2045年(令和27年)ごろの推計値です。
4.(×)2013年(平成25年)の統計結果では、1億2,800万人でした。
第2問
生活習慣病の三次予防はどれか。
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1.健康診断
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2.早期治療
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3.体力づくり
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4.社会復帰のためのリハビリテーション
- 解答・解説
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一次予防は健康増進・疾病予防、二次予防は早期発見・早期治療、三次予防は再発防止と社会復帰の促進を意味します。
1.(×)健康診断は、二次予防に該当します。
2.(×)早期治療は二次予防です。
3.(×)体力づくりは、一次予防に該当します。
4.(○)社会復帰のためのリハビリテーションは、三次予防に該当します。
第3問
職業性疾病のうち情報機器〈VDT〉作業による健康障害はどれか。
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1.じん肺
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2.視力障害
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3.振動障害
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4.皮膚障害
- 解答・解説
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パソコン、タブレット、スマートフォンなどのVDT(visual display terminals)機器を操作するVDT作業は、VDT症候群を引き起こすことがあります。
1.(×)粉塵を長期間吸入することで発症するじん肺は、肺内で線維増殖が生じ、肺の弾力性を失う呼吸器疾患です。
2.(○)VDT症候群では、視力障害や眼精疲労などの眼症状のほか、首・肩・腕の症状や精神症状などの健康障害が生じます。
3.(×)職業性の振動障害は、ドリルなどの振動工具を使用することで発生する手指などの末梢循環障害や末梢神経障害、運動器障害などです。
4.(×)職業性の皮膚障害としては、業務上取り扱う化学物質により生じる接触皮膚炎などが挙げられます。
第4問
介護保険における被保険者の要支援状態に関する保険給付はどれか。
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1.医療給付
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2.介護給付
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3.年金給付
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4.予防給付
- 解答・解説
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1.(×)医療給付は、健康保険における被保険者とその家族(被扶養者)が対象であり、業務外の事由による病気やけが、出産、死亡の際に受けられる給付です。
2.(×)介護給付は要介護状態に関する介護保険給付で、要介護1~5の認定を受けた人が対象になります。
3.(×)年金給付は、国民年金や厚生年金などの年金制度における現金給付です。
4.(○)予防給付は要支援状態に関する介護保険給付で、要支援1、2の認定を受けた人が対象です。要支援の人が要介護状態に至ることを予防する目的があります。
第5問
看護師免許を付与するのはどれか。
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1.保健所長
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2.厚生労働大臣
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3.都道府県知事
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4.文部科学大臣
- 解答・解説
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1.(×)医療従事者免許の交付申請、登録事項変更、再交付、返納などの手続きを行う窓口は、住所地を所管する保健所等です。
2.(○)保健師助産師看護師法第7条において、保健師・助産師・看護師になろうとする者は、国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない旨が規定されています。
3.(×)准看護師免許の付与は、都道府県知事が行います。
4.(×)文部科学大臣は、教員免許を付与します。
第6問
フィンク,S.L.(Fink,S.L.)の危機モデルで第2段階はどれか。
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1.衝撃
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2.承認
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3.適応
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4.防御的退行
- 解答・解説
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米国の心理学者であるフィンクは、危機の過程を4つの段階(衝撃→防衛的退行→承認→適応)で模式的に表しました。
1.(×)衝撃は、第1段階に該当します。
2.(×)承認は、第3段階に該当します。
3.(×)適応は、第4段階に該当します。
4.(○)第2段階に該当するのは、防御的退行です。危機から自分を守ろうとする時期であり、現実逃避、権威の誇示、怒り、無関心などとして表れます。
第8問
次の時期のうち基礎代謝量が最も多いのはどれか。
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1.青年期
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2.壮年期
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3.向老期
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4.老年期
- 解答・解説
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基礎代謝量は、生命維持に必要とされる1日当たりのエネルギー量であり、「基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×参照体重(kg)」で算出します。成人期以降は筋肉量の減少などに伴って低下していくため、選択肢の中で基礎代謝量の最も多い時期は青年期です。
よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。
第9問
世界保健機関〈WHO〉が平成12年(2000年)に提唱した「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」はどれか。
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1.健康寿命
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2.健康余命
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3.平均寿命
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4.平均余命
- 解答・解説
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1.(○)継続的な医療・介護を必要とせず、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を健康寿命を呼びます。0歳における健康余命となります。
2.(×)健康余命は、ある年齢の人が健康に生活できると期待される残余年数を示すものです。
3.(×)平均寿命は、0歳における平均余命です。
4.(×)平均余命は、ある年齢の人がその後何年生きられるかという期待値です。
第10問
指定訪問看護ステーションには常勤換算で( )人以上の看護職員を配置することが定められている。 ( )に入るのはどれか。
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1.1
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2.1.5
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3.2
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4.2.5
- 解答・解説
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常勤換算では、常勤職員を1とし、非常勤職員は勤務延べ時間数を当該事業所の常勤職員の所定労働時間で除して得た数字で数えます。指定訪問看護ステーションには、常勤換算で2.5人以上の看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)を配置することが定められています。なお、常勤換算2.5人のうち1人は常勤職員でなければなりません。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。
第11問
左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
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1.大静脈
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2.大動脈
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3.肺静脈
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4.肺動脈
- 解答・解説
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体循環は「左心室→大動脈→各組織→大静脈→右心房」、肺循環は「右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房」の順に巡ります。
1.(×)大静脈は、全身から集まる静脈血を心臓の右心房へ導く静脈です。
2.(○)大動脈は、心臓の左心室から肺以外の全身へ動脈血を送り出す動脈の本幹です。樹木のように細かく枝分かれしながら、体の隅々まで血液を届けています。
3.(×)肺静脈は、酸素を多く含む血液を肺から心臓の左心房へ導く静脈です。
4.(×)肺動脈は、酸素の少なくなった血液を心臓の右心室から肺へ送り出す動脈です。
第12問
内分泌器官はどれか。
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1.乳腺
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2.涙腺
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3.甲状腺
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4.唾液腺
- 解答・解説
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1.(×)乳腺は、乳汁を体表に分泌する外分泌器官です。
2.(×)涙腺は、涙液を結膜嚢に分泌する外分泌器官です。
3.(○)内分泌とは、生体内の分泌腺が血液中などにホルモンを放出する仕組みです。甲状腺は、甲状腺ホルモンを血液中に分泌する内分泌器官です。喉仏の下にあり、蝶が羽を広げた形をしています。
4.(×)唾液腺は、唾液を口腔に分泌する外分泌器官です。
第13問
呼吸中枢があるのはどれか。
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1.間脳
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2.小脳
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3.大脳
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4.脳幹
- 解答・解説
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1.(×)間脳は、視床、視床下部、松果体、下垂体で構成されています。意識や神経活動の中枢を成し、自律神経の働きを調節します。
2.(×)小脳は、統合的な運動調節や平衡感覚を司ります。
3.(×)大脳は、脳の中で最も幅広い機能を担う部分であり、運動、知覚、言語、精神活動などの中枢です。
4.(○)脳幹は、中脳、橋、延髄で構成されています。生命維持に必須となる呼吸、循環、消化などの中枢は、橋から延髄にかけての部分に存在します。
第14問
細菌感染で起こるショックはどれか。
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1.心原性ショック
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2.敗血症性ショック
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3.アナフィラキシーショック
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4.循環血液量減少性ショック
- 解答・解説
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1.(×)心原性ショックは、心臓のポンプ機能低下により循環不全が生じた状態です。心筋梗塞、重症不整脈、心筋症などが原因となります。
2.(○)敗血症性ショックは、適切な輸液負荷を行っても危険なレベルの低血圧が回復しない状態の敗血症です。感染した細菌が産生する毒素で血管の拡張性・透過性が亢進し、循環血液量が減少します。
3.(×)アナフィラキシーショックは、I型アレルギー反応により引き起こされます。
4.(×)循環血液量減少性ショックは、急激な大量出血、脱水や熱傷などによる体液の喪失により、循環血液量が減少することで起こります。
第15問
低体温から回復するための生体の反応はどれか。
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1.発汗
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2.ふるえ
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3.乳酸の蓄積
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4.体表面への血流増加
- 解答・解説
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1.(×)発汗することで、汗が蒸発して気化熱が奪われるため、熱放散が増加して体温を低下させます。
2.(○)ふるえ(シバリング)は骨格筋の細かく連続的な収縮であり、筋での熱生産を増加させるため、体温が上昇します。
3.(×)乳酸は、骨格筋収縮が持続することで蓄積されますが、体温調節には関与していません。
4.(×)体表面の血流が増加すると、外気に接することで熱放散が増加して体温を低下させます。
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第16問
貧血の定義で正しいのはどれか。
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1.血圧が低下すること
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2.脈拍が速くなること
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3.立ち上がると失神を起こすこと
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4.ヘモグロビン濃度が減少していること
- 解答・解説
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1.(×)収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下であれば、低血圧の状態です。
2.(×)脈拍が100回/分以上であれば、頻脈の状態です。
3.(×)選択肢の内容は、起立性低血圧の症状です。
4.(○)貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が正常以下に低下した状態です。WHOの基準では、成人男性では13g/dL以下、成人女性では12g/dL以下、乳幼児や妊婦、高齢者では11g/dL以下と定義されています。
第17問
全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。
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1.気道確保
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2.周囲の環境整備
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3.末梢静脈路の確保
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4.心電図モニターの装着
- 解答・解説
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1.(○)全身性けいれん発作では、呼吸筋まで痙攣し、低酸素血症に陥るリスクがあります。また、嘔吐物などによる窒息のリスクもあります。これらのリスクを軽減するため、気道確保を行い、体位を整えることが最優先されます。
2.(×)頭部を中心とした外傷などの二次的障害を防ぐ必要はありますが、最も優先される事項ではありません。
3.(×)発作中に末梢静脈路を確保することは困難であり、危険を伴います。
4.(×)心電図モニターを装着するのは再発作に備えるためであり、最優先される事項とはいえません。
第18問
左心不全(left heart failure)でみられる症状はどれか。
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1.肝腫大
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2.下腿浮腫
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3.起坐呼吸
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4.頸静脈怒張
- 解答・解説
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左心不全では、心拍出量の低下や肺うっ血に伴う呼吸器症状が出現します。一方、右心不全では、主に静脈系のうっ滞による症状が生じます。
1.(×)肝腫大は、肝臓に血液がうっ滞して生じる右心不全症状です。
2.(×)下腿浮腫は、下肢静脈のうっ滞による右心不全症状です。
3.(○)起坐位を取ることで肺循環血液量が減少し、肺うっ血が軽減されるため、左心不全により生じる呼吸困難が緩和されます。横隔膜が下降し、胸郭運動が楽になる効果もあります。
4.(×)頸静脈怒張は、右心房に血液がうっ滞することによる右心不全症状です。
第19問
大腸の狭窄による便秘はどれか。
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1.器質性便秘
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2.痙攣型便秘
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3.弛緩型便秘
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4.直腸性便秘
- 解答・解説
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1.(○)器質性便秘は、主に大腸の狭窄による通過障害により生じます。解消するためには原因疾患(大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患など)の治療が必要です。
2.(×)痙攣型便秘は、ストレスなどを原因とした副交感神経の過緊張により生じます。
3.(×)弛緩型便秘は、体質や栄養不足などを原因とした大腸の運動低下により生じます。
4.(×)直腸性便秘では、便意を我慢する習慣で直腸の感受性が低下し、排便が困難となります。
第20問
左片麻痺患者の上衣の交換で適切なのはどれか。
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1.左腕から脱がせ、左腕から着せる。
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2.左腕から脱がせ、右腕から着せる。
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3.右腕から脱がせ、左腕から着せる。
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4.右腕から脱がせ、右腕から着せる。
- 解答・解説
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四肢の麻痺などにより動きが制限される場合は、「脱健着患」の原則に従って着衣の交換を行います。設問の場合では、可動制限のない右側から脱がせ、麻痺のある左側から着せることで、患側の関節を保護することが適切です。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第21問
転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
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1.降圧薬
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2.抗凝固薬
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3.気管支拡張薬
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4.副腎皮質ステロイド薬
- 解答・解説
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降圧薬、睡眠薬、抗不安薬などは、めまいや立ちくらみ(起立性低血圧)などの副作用を招くことがあり、転倒・転落のリスクが高まります。特に降圧薬は長期間処方されるケースが多いこともあり、注意が必要です。
よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。
第22問
注射針の刺入角度が45~90度の注射法はどれか。
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1.皮下注射
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2.皮内注射
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3.筋肉内注射
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4.静脈内注射
- 解答・解説
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1.(×)皮下注射は、10~30度の刺入角度で、皮膚(真皮)と筋肉の間にある皮下組織に薬物を注入します。
2.(×)皮内注射は、0~15度の刺入角度で、皮膚の表皮と真皮の間に薬物を注入します。
3.(○)筋肉内注射は、皮下組織の下にある筋肉に薬物を注入する注射法であり、刺入角度は45~90度です。刺入部位の筋肉や脂肪の状態に応じて刺入角度を調整します。
4.(×)静脈内注射は、10~20度の刺入角度で、静脈内に直接薬物を注入します。
第23問
点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。
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1.薬剤名
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2.終了時間
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3.投与月日
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4.1時間あたりの流量
- 解答・解説
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静脈内に正確な量や速度で輸液を滴下するときなどに、輸液ポンプを使用します。輸液や与薬を行う際は、患者、薬剤、用量、用法、時間という「5つのright」(5R)を確認します。
1.(×)薬剤名は、5Rの「薬剤(right drug)」に該当します。
2.(×)輸液ポンプに終了時間を設定することはできません。
3.(×)投与月日は、5Rの「時間(right time)」に該当します。
4.(○)輸液ポンプに設定する項目は、「1時間当たりの流量」と「予定量」です。
第24問
褥瘡の深達度分類で水疱形成のステージはどれか。
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1.I
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2.II
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3.III
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4.IV
- 解答・解説
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褥瘡の深達度分類としては、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)によるステージ分類が代表的です。
1.(×)ステージIでは消退しない発赤がみられますが、皮膚の損傷はない状態です。
2.(○)水疱や潰瘍が形成されるのはステージIIであり、真皮が部分欠損した状態です。
3.(×)ステージIIIは全層皮膚欠損の状態であり、潰瘍は皮下組織にまで及びます。ポケットや瘻孔が存在する場合もあります。
4.(×)ステージIVは全層組織欠損の状態であり、骨や腱、筋肉の露出を伴います。黄色や黒色の壊死組織もみられます。
第25問
最も高い照度を必要とするのはどれか。
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1.病室
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2.手術野
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3.トイレ
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4.病棟の廊下
- 解答・解説
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1.(×)病室では、日常生活を快適に過ごせる100ルクスが照度基準とされています。
2.(○)手術室の照度基準は1000ルクスであり、手術野では1万~10万ルクスの高い照度が必要とされます。
3.(×)トイレの照度基準は200ルクスです。
4.(×)病棟の廊下の照度基準は200ルクスです。
第26問
生体内でタンパク質が分解され、アミノ酸の代謝が進んで生じたアンモニアは肝臓で( )に変換される。 ( )に入るのはどれか。
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1.尿酸
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2.尿素
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3.亜硝酸
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4.一酸化窒素
- 解答・解説
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1.(×)尿酸は、主に核酸に含まれるプリン体の最終代謝産物です。
2.(○)尿素回路(オルニチン回路)は、肝臓において有毒なアンモニアがオルニチンと反応し、無毒な尿素に変換される環状の代謝経路です。
3.(×)亜硝酸は、水溶液としてのみ存在する一塩基酸です。蛋白質の最終代謝産物ではありません。
4.(×)一酸化窒素は、強い血管拡張作用を有する気体であり、アルギニンを基質として一酸化窒素合成酵素により産生されます。
第27問
若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。
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1.熱産生量の増加
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2.熱放散量の増加
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3.自律性体温調節反応の低下
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4.視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下
- 解答・解説
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1.(×)加齢に伴って骨格筋が減少するため、高齢者では熱産生量が低下します。
2.(×)高齢者は体温調節機能が低下しているため、熱放散量も低下し、熱中症を起こしやすくなります。
3.(○)自律性体温調節反応は体温を維持・調節するための生理反応であり、「体内での熱産生」と「体熱の放散調整」の2種類があります。高齢者は温度に対して鈍感になり、自律性体温調節反応も低下します。
4.(×)体温調節中枢のセットポイントは、感染や炎症などで体温上昇が著しい場合に高く設定されます。高齢者が熱中症を起こしやすい理由とは無関係です。
第28問
ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査の結果の表を示す。 血液型判定の結果がO型となるのはどれか。

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1.(1)
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2.(2)
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3.(3)
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4.(4)
- 解答・解説
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ABO式血液型判定には、オモテ検査(赤血球に抗A血清・抗B血清を加えて凝集を見る)と、ウラ検査(血清にA型赤血球・B型赤血球を加えて凝集を見る)があり、両検査の結果が一致した場合に血液型判定が可能となります。
1.(×)A型の判定結果です。
2.(×)B型の判定結果です。
3.(○)O型の血液型判定となります。
4.(×)AB型の判定結果です。
第29問
上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無について表に示す。 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)〈ALS〉において正しいのはどれか。

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1.a
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2.b
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3.c
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4.d
- 解答・解説
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、脳から脊髄への上位運動ニューロンと、脊髄から末梢神経への下位運動ニューロンの両方が障害されるため、結果的に全身の骨格筋の筋力が低下し、筋萎縮をきたします。一方、進行しても視力、聴力、体の感覚などには影響なく、目やまぶたを動かす筋肉、排尿・排便に必要な筋肉への影響は、発症早期には起こりにくいことが特徴です。
よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。
第30問
診療報酬制度について正しいのはどれか。
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1.診療報酬の点数は3年に1回改定される。
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2.診療報酬は都道府県が医療機関に支払う。
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3.医療機関への支払いは出来高払いのみである。
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4.厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。
- 解答・解説
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1.(×)診療報酬の点数は、2年に1回改定されます。
2.(×)診療報酬は、レセプト(診療報酬明細書)をチェックする審査支払機関を介して保険者から支払われます。
3.(×)医療機関への支払いの方式には、「出来高払い方式」と、診療群ごとの包括評価による「包括払い方式(DPC/PDPS)」の2種類があります。
4.(○)診療報酬制度は、厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関で利用することができます。なお、保険医療機関で健康保険の診療に従事する医師は、保険医として厚生労働大臣の登録を受けた医師でなければなりません。
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第31問
次の法律のうち最も新しく制定されたのはどれか。
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1.未成年者喫煙禁止法
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2.麻薬及び向精神薬取締法
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3.アルコール健康障害対策基本法
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4.ギャンブル等依存症対策基本法
- 解答・解説
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1.(×)未成年者喫煙禁止法は、1900年(明治33年)に制定されました。2022年(令和4年)には、民法改正で成年の年齢が引き下げられたことに伴い、「二十歳未満の者の喫煙の禁止に関する法律」と名称変更されています。
2.(×)麻薬及び向精神薬取締法は、1953年(昭和28年)に「麻薬取締法」という名称で制定され、1990年(平成2年)に現在の名称に変更されました。
3.(×)アルコール健康障害対策基本法は、2013年(平成25年)に制定されました。
4.(○)ギャンブル等依存症対策基本法は、IR(統合型リゾート)推進法の施行を受け、2018年(平成30年)に制定されました。
第32問
21世紀における第二次国民健康づくり運動〈健康日本21(第二次)〉では、( )分野53項目の目標が設定された。 ( )に入る数値はどれか。
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1.4
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2.5
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3.6
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4.7
- 解答・解説
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2013年(平成25年)から10年間の計画としてスタートした「21世紀における第二次国民健康づくり運動〈健康日本21(第二次)〉」では、5分野53項目の目標が設定されています。この5分野(基本的な方向)には、「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」「生活習慣病の発症予防と重症化の予防の徹底」「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上」などが含まれます。
よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。
第33問
医療法に基づく記述で正しいのはどれか。
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1.病床の区分は療養病床と一般病床の2種類である。
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2.地域医療支援病院は厚生労働大臣の承認が必要である。
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3.無床診療所の開設には厚生労働大臣への届出が必要である。
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4.有床診療所は19人以下の患者を入院させる施設を有するものである。
- 解答・解説
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1.(×)病床は、療養病床、一般病床、精神病床、感染症病床、結核病床の5つに区分されています。
2.(×)地域医療支援病院は、都道府県知事の承認が必要です。
3.(×)無床診療所の開設にあたっては、10日以内に所在地の都道府県知事に開設届を提出する必要があります(医療法第8条)。無床診療所の開設には許可は不要ですが、有床診療所の開設には許可が必要です。
4.(○)有床診療所は、19人以下の患者を入院させる施設を有するものです(医療法第1条の5第2項)。
第34問
クリティカル・シンキングで適切なのはどれか。
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1.物事を否定的にみる。
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2.根拠に基づいて考える。
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3.主観的な情報を重視する。
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4.直感的に状況を判断する。
- 解答・解説
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1.(×)クリティカル・シンキングは、批判的思考と訳されます。物事を多角的に吟味することであり、否定的な思考態度とは異なります。
2.(○)不正確な情報や憶測に頼ることなく、根拠となる正しい理論や知識に基づき、客観的に判断します。
3.(×)主観的な情報も必要ですが、特別に重視することはありません。
4.(×)直感的な判断だけではなく、多くの情報を収集・分析して状況を判断します。
第35問
構音障害がある成人患者への対応で適切なのはどれか。
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1.手話で説明する。
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2.筆談を提案する。
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3.耳元で話しかける。
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4.不明瞭な言語は繰り返し聞き直す。
- 解答・解説
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1.(×)手話は、重度の聴覚障害である場合に有効なコミュニケーションツールとなります。構音障害で聴覚が障害されることはなく、全員が手話を習得しているわけではないことからも不適切です。
2.(○)構音障害は発音に困難がある状態であり、筆談を交えてのコミュニケーションが効果的です。
3.(×)聴覚に障害はないため、不適切です。
4.(×)何度も聞き返されることで、自尊心が傷ついたり、意欲が低下したりするおそれがあります。筆談を交えたり、閉じられた質問を駆使したりするとよいでしょう。
第36問
看護過程において評価する項目はどれか。
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1.看護技術の習得度
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2.看護教育の活用度
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3.看護記録の完成度
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4.看護目標の達成度
- 解答・解説
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看護過程は、看護師が看護を実践するプロセスであり、「アセスメント→看護診断→看護計画→看護介入→評価」という5つの要素で構成されます。看護過程における評価では、ケアを行った結果、目標としていた成果が得られたのか、目標に到達できなかった場合は何を修正すべきかなどを看護問題ごとに検討します。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。
第37問
医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
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1.手術用持針器―第4級アンモニウム塩
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2.ステンレス製便器―熱水消毒
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3.軟性内視鏡―高圧蒸気滅菌
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4.ベッド柵―グルタラール
- 解答・解説
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医療器材の消毒・滅菌は、スポルディングの分類に基づいて必要な方法を判断します。
1.(×)手術用持針器はクリティカル器材に分類され、ステンレス製品であることから高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)を行います。第4級アンモニウム塩(ベンザルコニウム塩化物など)は、低水準消毒液です。
2.(○)ステンレス製便器はノンクリティカル器材であり、熱水消毒を行います。
3.(×)軟性内視鏡(ファイバースコープ)はセミクリティカル器材であり、グルタラールなどによる高水準消毒を行います。
4.(×)ベッド柵はノンクリティカル器材であり、低水準消毒や洗浄を行います。
第38問
点眼薬の投与について正しいのはどれか。
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1.点眼時は上眼瞼を上げる。
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2.点眼容器の先端は眼瞼結膜に当てる。
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3.点眼後は眼球を圧迫する。
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4.眼から溢れた薬液は拭き取る。
- 解答・解説
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1.(×)点眼時は、下眼瞼を軽く引き下げるとともに眼球を上転させ、下眼瞼結膜に滴下します。
2.(×)薬液の汚染を防ぐため、点眼容器の先端がまつ毛や眼瞼結膜などに接触しないよう注意します。
3.(×)点眼後は、1分程度閉眼することが適切です。その際は、内眼角を軽く圧迫し、薬液が鼻涙管に流出して全身副作用が発現するリスクを低減させます。
4.(○)眼からあふれた薬液は、清潔なガーゼやティッシュなどで拭き取り、接触性皮膚炎を予防します。
第39問
52歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。 輸血時の対応で正しいのはどれか。
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1.赤血球製剤を30~37℃で融解する。
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2.血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を同時に行う。
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3.クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。
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4.輸血開始から15分後にアレルギー反応の初回観察を行う。
- 解答・解説
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1.(×)30~37℃で融解するのは、-20℃以下で保存される新鮮凍結血漿製剤の場合です。赤血球製剤は2~6℃で保存されるため、融解の必要はありません。
2.(×)取り違えを防ぐ目的で、血液型検査とクロスマッチ検査用の検体は別のタイミングで採血します。
3.(○)人為的なミスによるABO不適合輸血を防止するため、検査結果や投与時の確認は、複数の医療従事者が声に出して行います。
4.(×)輸血開始直後は重篤な副作用(急性反応)が生じやすいことから、5分間は患者から離れずに状態を観察し、15分後に再度観察を行います。
第40問
四肢の動脈性外出血に対する止血法で適切なのはどれか。
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1.出血部位を心臓より高く保つ。
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2.止血帯は幅1cm未満を用いる。
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3.止血帯は連続して4時間使用する。
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4.出血部位を動脈圧より低い圧で圧迫する。
- 解答・解説
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1.(○)出血部位を心臓より高く保持することで、出血部位にかかる圧力が弱まり、出血量を減少させることができます。
2.(×)細すぎる止血帯を用いると、身体に食い込んで組織や神経、皮膚などを損傷させるおそれがあります。そのため、幅3cm以上の止血帯を用います。
3.(×)長時間連続での止血帯使用は、組織壊死や神経麻痺の原因となります。止血中は末梢の状態を確認し、適宜直接圧迫に切り替えるなどして血流に気を配る必要があります。
4.(×)動脈血より低い圧では止血できません。
第41問
成人の後腸骨稜からの骨髄穿刺で正しいのはどれか。
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1.仰臥位で行う。
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2.穿刺時は深呼吸を促す。
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3.骨髄液吸引時に痛みが生じる。
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4.終了後、当日の入浴は可能である。
- 解答・解説
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1.(×)後腸骨稜からの骨髄穿刺は、腹臥位または側臥位で行います。
2.(×)通常の呼吸で問題は生じないため、穿刺時に深呼吸を促す必要はありません。
3.(○)処置の際に局所麻酔を行いますが、それでも骨髄液吸引時には痛みや強い圧迫感が生じます。
4.(×)再出血や感染を予防するため、当日の入浴やシャワー浴は禁止となります。激しい運動も避けるべきです。
第42問
Aさん(55歳、男性、会社員)は胃癌(gastric cancer)の終末期である。 Aさんの訴えのうちスピリチュアルペインの表出はどれか。
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1.「腹痛がずっと続いています」
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2.「吐き気が続くと思うと不安です」
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3.「今後の生活にかかるお金が心配です」
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4.「これまでの自分の人生が意味のないものに思えます」
- 解答・解説
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1.(×)疾患や治療に関連した痛みであり、身体的苦痛に該当します。
2.(×)不安や恐れ、いらだちなどは、精神的苦痛です。
3.(×)経済的な問題であり、社会的苦痛に分類されます。
4.(○)人生や苦しみの意味、死への恐怖、己の存在意義などに関する問いは、スピリチュアルペインに該当します。患者と関係性を築きながら、その人生の意味を見つけ出すサポートをすることが望まれます。
第43問
Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫(pulmonary emphysema)で定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。 Aさんについて正しいのはどれか。
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1.1回換気量が増加している。
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2.呼気よりも吸気を促すと効果的である。
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3.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は上昇している。
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4.病状が進行すると動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が上昇する。
- 解答・解説
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肺胞の収縮性が低下する肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一種であり、労作時呼吸困難が代表的な症状です。
1.(×)肺機能が低下し、1回換気量は減少傾向です。
2.(×)閉塞性肺疾患では、呼気性の呼吸障害をきたします。吸気よりも呼気を促すことで効果が期待できます。
3.(×)口唇のチアノーゼがみられることからも、SpO2は低下していると考えられます。
4.(○)病状が進行すると肺胞低換気をきたすことから、PaCO2は上昇します。
第44問
中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。
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1.カテーテルの刺入部は見えないように覆う。
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2.カテーテル刺入部を定期的に消毒する。
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3.カテーテルの固定位置を毎日確認する。
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4.予防的に抗菌薬の投与を行う。
- 解答・解説
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1.(×)刺入部の出血や血腫、感染徴候などの有無を観察できるように、透明なフィルムドレッシング材で固定します。
2.(×)定期的に消毒する必要はなく、ドレッシング材の交換時や、汚染がみられた場合などに適宜実施します。
3.(○)カテーテルが適切な位置に固定されていないと、栄養剤の血管外漏出を招く可能性があります。固定位置は毎日確認し、カテーテルのずれや抜けを防ぐことが適切です。
4.(×)多剤耐性菌が発生する原因となるため、基本的に細菌感染がない状態での抗菌薬投与は行いません。
第45問
高尿酸血症(hyperuricemia)で正しいのはどれか。
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1.痛風結節は疼痛を伴う。
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2.痛風発作は飲酒で誘発される。
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3.痛風(gout)による関節炎の急性期に尿酸降下薬を投与する。
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4.血清尿酸値9.0mg/dL以下を目標にコントロールする。
- 解答・解説
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1.(×)痛風結節は、関節などの皮下組織に尿酸の結晶ができ、その周囲に炎症が起こって肉芽組織が形成されたものです。疼痛は伴いません。
2.(○)痛風発作は激しい痛みを伴う急性関節炎であり、ビールや魚卵などのプリン体を多く含む食品の摂取で誘発されます。
3.(×)尿酸降下薬は、高尿酸血症の治療に用いられます。痛風による関節炎の急性期には、コルヒチンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。
4.(×)治療開始となる基準値は血清尿酸値8.0mg/dL以上であり、目標値は6.0mg/dL以下です。
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第46問
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉(human immunodeficiency virus infection)感染症で正しいのはどれか。
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1.空気感染する。
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2.無症候期がある。
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3.DNAウイルスによる。
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4.血液中のBリンパ球に感染する。
- 解答・解説
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1.(×)主な感染経路は、性的接触による感染、血液を介した感染(針刺し事故など)、母子感染の3つであり、空気感染することはありません。
2.(○)感染後は、急性期(1~2か月)→無症候期(約10年間)→AIDS発症の経過となります。
3.(×)HIVは、コロナウイルスやノロウイルスと同じRNAウイルスです。
4.(×)血液中のCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞など)やマクロファージに感染します。これらの細胞が破壊されることで、免疫機能が低下します。
第47問
鼓室形成術を受けた患者の退院指導の内容で正しいのはどれか。
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1.水泳は可能である。
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2.耳垢はこまめに除去する。
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3.鼻を強くかむことを禁じる。
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4.エレベーターの使用を勧める。
- 解答・解説
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鼓室形成術は、慢性化膿性中耳炎や真珠腫性中耳炎などにおいて病巣を清掃したのち、鼓膜形成や耳小骨再建を行って聴力を改善させる治療法です。
1.(×)感染リスクを伴うため、水泳は原則的に禁止であり、一定期間経過後であっても医師の指示を受ける必要があります。
2.(×)手術部位へのダメージからの感染を予防するため、自身での耳垢除去は行いません。通院時に医師が処置します。
3.(○)鼻を強くかむと中耳に強い圧力がかかるため、術後は禁止となります。
4.(×)エレベーターの使用や飛行機への搭乗は、急激な気圧の変化により鼓膜に負担が生じるため、できるだけ避けることが推奨されます。
第48問
下腿の介達牽引を受けている患者が足背のしびれを訴えている。 看護師が確認すべき項目で優先度が高いのはどれか。
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1.下肢の肢位
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2.牽引の方向
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3.重錘の重さ
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4.弾性包帯のずれ
- 解答・解説
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介達牽引において患者が足背のしびれを訴える場合、最も考えられるのは腓骨神経麻痺です。
1.(○)腓骨神経麻痺は、仰向けの姿勢が続くことで下肢が外旋し、腓骨頭部(膝の外側)が圧迫されて生じることから、下肢の肢位を確認し、補正を行うことが最優先されます。
2.(×)牽引の方向は、治療上大切な確認項目です
3.(×)介達牽引を実施している場合は、重錘の重さも確認すべき重要な項目です。
4.(×)弾性包帯のずれにより、皮膚トラブルや循環障害を引き起こす可能性があるため、確認すべき項目です。
第49問
前立腺癌(prostate cancer)について正しいのはどれか。
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1.肺転移の頻度は低い。
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2.血清PSA値が高値となる。
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3.患者の多くは60歳未満である。
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4.テストステロン補充療法が行われる。
- 解答・解説
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1.(×)リンパ節転移や骨転移が多くみられますが、末期には肺転移も起こります。
2.(○)腫瘍マーカーである血清PSAの上昇は、前立腺癌の診断基準の一つです。前立腺癌は早期の段階ではほとんど自覚症状がないため、健診でPSA値の異常を指摘されたことが発見の契機になることが多いです。
3.(×)前立腺癌患者の多くは60歳以上の高齢者であり、70歳代で好発します。
4.(×)テストステロンを含むアンドロゲン(男性ホルモン)の血中濃度を下げる治療が行われます。
第50問
乳癌(breast cancer)の患者に対する抗エストロゲン薬の副作用はどれか。
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1.低血糖
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2.ほてり
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3.肺線維症(pulmonary fibrosis)
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4.末梢神経障害
- 解答・解説
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乳癌はエストロゲンにより増殖が助長されるため、抗エストロゲン薬が有効です。閉経前ではLH-RHアゴニスト製剤、閉経後ではアロマターゼ阻害薬なども用いられます。抗エストロゲン薬の副作用としては、更年期障害と同様、のぼせやほてりなどの症状が代表的です。また、長期の服用による子宮内膜への影響や、血栓など血液への影響も知られています。
よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。
第51問
高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
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1.1秒率の減少
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2.残気量の減少
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3.嚥下反射の亢進
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4.気道の線毛運動の亢進
- 解答・解説
-
1.(○)加齢に伴う横隔膜や肋間筋などの呼吸筋力低下や、肺胞の減少などから、1秒率は減少します。これにより、低換気が進行して無気肺や肺炎などの呼吸器合併症をきたしやすくなります。
2.(×)肺の弾力性低下により、肺活量が低下し、残気量は増加します。
3.(×)嚥下反射や咳嗽反射が低下するため、誤嚥性肺炎を招きやすくなります。
4.(×)気道の線毛運動が低下することで、気道浄化能力も低下します。
第52問
加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか。
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1.運動時の心拍出量が増大する。
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2.拡張期血圧が上昇する。
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3.心室壁が厚くなる。
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4.脈圧が狭小化する。
- 解答・解説
-
1.(×)加齢に伴って心筋のポンプ機能が低下するため、運動時の心拍出量は減少します。
2.(×)動脈の弾性低下により、拡張期血圧は低下、収縮期血圧は上昇します。
3.(○)加齢により間質に異物(アミロイドなど)が沈着し、心筋の線維化が進行するため、心臓壁は肥厚します。
4.(×)収縮期血圧が上昇、拡張期血圧が低下するため、脈圧は増大します。脈圧の増大は動脈硬化のリスクが高いことを意味し、心筋梗塞や脳血管疾患につながりやすくなります
第53問
結晶性知能はどれか。
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1.よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考える。
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2.パソコン教室で操作方法を覚える。
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3.携帯電話に電話番号を登録する。
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4.外国語の単語を暗記する。
- 解答・解説
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知能は、流動性知能と結晶性知能に分けられます。結晶性知能は、知識や経験を長く積み重ねることで獲得できるもので、判断力、洞察力、創造力などが含まれます。
1.(○)学習や経験などから得た知識を統合して対処していることから、結晶性知能であると考えられます。
2.(×)パソコン教室で新しい操作方法を覚えることは、流動性知能に該当します。
3.(×)携帯電話に新しく電話番号を登録することは、流動性知能に該当します。
4.(×)新しい外国語の単語を暗記することは、流動性知能に該当します。
第54問
令和元年度(2019年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。
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1.夫による虐待が最も多い。
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2.被虐待者の9割が女性である。
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3.心理的虐待が全体の6割を占めている。
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4.被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIが最も多い。
- 解答・解説
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1.(×)虐待者は息子(40.2%)が最も多く、次いで夫(21.3%)、娘(17.8%)の順となっています。
2.(×)被虐待者の75.2%が女性です。
3.(×)最も多いのは身体的虐待(67.1%)であり、次いで心理的虐待(39.4%)、介護等放棄(19.6%)の順となっています。
4.(○)認知症高齢者の日常生活自立度判定基準におけるランクIIは、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる状態です。このランクの被虐待者は35.2%で最も多くを占めました。
第55問
退職した高齢者に就労機会を提供するのはどれか。
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1.シルバー人材センター
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2.老人福祉センター
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3.老人クラブ
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4.自治会
- 解答・解説
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1.(○)シルバー人材センターは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて設置されており、高齢者の社会参加と地域貢献の促進を目的として、高齢者の就労機会(臨時的・短期的・軽易な請負・委任業務)を提供しています。
2.(×)老人福祉センターは老人福祉法に基づく事業であり、各種の相談に応じ、健康づくりや教養の向上、レクリエーションの機会の提供などを行っています。
3.(×)老人クラブは、豊かな生活のための健康づくりや仲間づくりが目的であり、地域を基盤とした高齢者の自主的な活動です。
4.(×)自治会は、高齢者に限らず地域や団体を構成する人々が参加し、地域的な課題に取り組む組織です。
第56問
高齢者に経口薬の薬効が強く現れる理由はどれか。
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1.骨密度の低下
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2.胃酸分泌の減少
-
3.消化管運動の低下
-
4.血清アルブミンの減少
- 解答・解説
-
1.(×)高齢者では骨吸収や骨形成が低下するため、骨密度の低下がみられますが、薬物動態とは関連しません。
2.(×)胃酸分泌が減少することで薬物の吸収速度が低下し、効果発現が遅滞する可能性はあるものの、血中濃度への影響は少ないと考えられています。
3.(×)消化管運動の低下は薬物吸収速度を低下させる可能性があるものの、血中濃度への影響は少ないと考えられています。
4.(○)薬物は、血中のアルブミンと結合することを前提とし、適度な濃度になるよう設計されています。加齢によりアルブミンが減少すると、結合していない遊離型薬物が増加し、血中濃度が上昇して薬効が増強されます。
第57問
新生児や乳児が胎児期に母体から受け取った抗体は次のどれか。
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1.IgA
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2.IgD
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3.IgG
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4.IgM
- 解答・解説
-
1.(×)IgAは、母乳中(特に初乳)に多く含まれる抗体です。
2.(×)IgDは、抗体産生誘導や呼吸器感染防御に関与すると考えられていますが、その働きはいまだ解明されていません。
3.(○)IgGは、分子量が小さいことから胎盤を通過できる唯一の抗体であり、在胎32週以降に母体から胎児へ移行します。
4.(×)IgMは、分子量が大きいため胎盤を通過できません。
第58問
第二次性徴で正しいのはどれか。
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1.女児は乳房の発育から始まる。
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2.発現は男児が女児よりも早い。
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3.初経の開始後に、第二次発育急進が起こる。
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4.精通は11歳の男児のほとんどに認められる。
- 解答・解説
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1.(○)女児の第二次性徴は、乳房の発育→陰毛の発生→初経の順に進みます。
2.(×)第二次性徴は、男児より女児のほうが早く始まります。男児は11~12歳、女児は9~10歳が平均的な開始時期です。
3.(×)第二次発育急進とは、思春期ごろの一時的に成長が急進する時期です。初経開始時期とリンクするとは限らず、個人差が大きいといえます。
4.(×)精通の平均年齢は12~13歳ごろであり、11歳の男児のほとんどに認められるとはいえません。
第59問
学童期の肥満で正しいのはどれか。
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1.Kaup〈カウプ〉指数で評価する。
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2.症候性の肥満がほとんどを占める。
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3.食事では蛋白質の摂取制限を行う。
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4.成人期の生活習慣病のリスク因子である。
- 解答・解説
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1.(×)カウプ指数は、乳幼児の発育状態を評価する指標です。学童期の肥満については、ローレル指数や肥満度が用いられています。
2.(×)学童期の肥満のほとんどは原因となる疾患がなく、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることで生じる単純性肥満です。
3.(×)特に学童期は栄養素を過不足なく摂取する必要があるため、蛋白質の摂取制限が適切であるとは限りません。
4.(○)学童期の肥満は、成人期の生活習慣病のリスク因子となります。近年では、学童期に脂質異常症などの生活習慣病を発症する児童もみられます。
第60問
生後11か月の男児。ある日の朝、自宅でボタン型電池を飲み込んだ疑いがあり、その日の午前中に外来を受診した。胸部エックス線撮影によって、ボタン型電池が食道下部にあることが確認された。 行われる処置で適切なのはどれか。
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1.背部の叩打
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2.緩下薬の使用
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3.催吐薬の使用
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4.緊急摘出術の実施
- 解答・解説
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1.(×)背部の叩打は、異物誤嚥などにより気道閉塞をきたした場合の処置です。食道下部にあるボタン型電池を背部叩打で排出させることはできません。
2.(×)食道下部にある異物に対して、緩下薬の効果は期待できません。
3.(×)乳幼児に対する催吐薬の使用は、窒息や誤嚥の可能性があるため不適切です。
4.(○)ボタン型電池が粘膜に張り付き、消化管での科学熱傷を引き起こすリスクが高い状態であり、緊急摘出術の適応となります。
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第61問
正常な成長・発達をしている子どもの情緒の分化で、生後6か月ころからみられるのはどれか。
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1.恐れ
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2.嫉妬
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3.喜び
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4.恥ずかしさ
- 解答・解説
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小児の情緒分化については、ブリッジェス(Bridges)の情緒分化図式や、ルイス(Lewis)の発達理論が参考にされます。一通りの情緒が発達して出そろうのは、5歳ごろと考えられています。
1.(○)生後6か月ごろ、不快の感情から恐れ、怒り、嫌悪、嫉妬などの基本的な情緒が分化するとされています。
2.(×)嫉妬は不快の感情から分化し、1歳半ごろから生じます。
3.(×)喜びは快の感情から分化し、2歳ごろから生じます。
4.(×)恥ずかしさは恐れの感情から分化し、5歳ごろに生じます。
第62問
性周期とホルモンについて正しいのはどれか。
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1.増殖期は基礎体温が上昇する。
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2.プロラクチンによって排卵が起こる。
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3.プロゲステロンは子宮内膜の増殖を促進する。
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4.排卵直前に黄体形成ホルモン〈LH〉値が高くなる。
- 解答・解説
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1.(×)増殖期の基礎体温は低温相となります。基礎体温が上昇するのは分泌期です。
2.(×)排卵が起こるのは、黄体形成ホルモン(LH)の作用です。プロラクチンは、性腺刺激ホルモンに働きかけ、乳汁分泌を促します。
3.(×)子宮内膜の増殖を促進するのは、エストロゲンです。プロゲステロンは、妊娠の成立・維持のために重要な役割を果たします。
4.(○)下垂体前葉から分泌される黄体形成ホルモンの急激な血中濃度上昇(LHサージ)が、排卵期の始まりとなります。
第63問
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について正しいのはどれか。
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1.配偶者暴力相談支援センターは被害者の保護命令を出すことができる。
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2.配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
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3.配偶者からの暴力を発見したときは、保健所へ通報する。
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4.加害者の矯正が法の目的に含まれる。
- 解答・解説
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配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護を図るため、相談や相談機関の紹介、カウンセリング、被害者および同伴者の緊急時における安全の確保および一時保護などを提供しています。
1.(×)被害者の保護命令を出すことができるのは、裁判所です。
2.(○)配偶者には、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます(DV防止法第1条第3項)。
3.(×)配偶者からの暴力を発見したときは、警察または配偶者暴力相談支援センターに通報します。
4.(×)DV防止法は、夫やパートナーからの暴力の防止、被害者の保護・支援を目的として制定されました。
第64問
Aさん(32歳、初産婦)は前置胎盤(placenta previa)のため妊娠37週0日の午前10時から帝王切開術を受ける予定である。 手術前日の看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.浣腸を行う。
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2.夕食が禁食となっているか確認する。
-
3.輸血の準備ができているか確認する。
-
4.下肢に間欠的空気圧迫装置を装着する。
- 解答・解説
-
1.(×)浣腸のタイミングは手術当日の朝となります。ただし、帝王切開術において、便秘でない産婦に対しては、浣腸を行わないことが多くなっています。
2.(×)絶飲食となるのは、一般的には手術当日の0時以降です。
3.(○)前置胎盤は大量出血のリスクが高いことから、予定帝王切開術では術前日に輸血の準備をしておく必要があります。
4.(×)間欠的空気圧迫装置は、深部静脈血栓症を予防する目的で、手術直後に下肢に装着します。
第65問
新生児の呼吸の生理的特徴で適切なのはどれか。
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1.成人に比べて肺のガス交換面積が大きい。
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2.周期性呼吸がみられる。
-
3.胸式呼吸が主である。
-
4.口呼吸が主である。
- 解答・解説
-
1.(×)成人に比べて胸郭や肺が小さいことから、ガス交換面積も小さくなります。体表面積に対する肺のガス交換面積は、成人の約1/2となっています。
2.(○)周期性呼吸とは、正常な呼吸が5~20秒続き、その後20秒未満の無呼吸がみられる呼吸パターンであり、呼吸中枢が未熟な新生児期にみられる生理的特徴です。成人と同じ胸式呼吸になるのは学童期です。
3.(×)呼吸筋が未発達であるため、腹式呼吸優位となります。
4.(×)新生児では、哺乳中にも息継ぎができるよう、強制的に鼻呼吸となります。
第66問
長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるのはどれか。
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1.病的酩酊(pathological intoxication)
-
2.振戦せん妄(delirium tremens)
-
3.アルコール性認知症(alcohol-related dementia)
-
4.Korsakoff〈コルサコフ〉症候群(Korsakoff syndrome)
- 解答・解説
-
1.(×)病的酩酊は、飲酒量に関与しない異常な酔い方であり、本人の記憶に残らない異常言動をきたします。
2.(○)振戦せん妄は、急な断酒の際に生じるアルコール離脱症状の一つです。断酒48時間後ごろから、不安発作、大量発汗、頻脈、手指振戦、意識障害、小動物幻視などが出現します。
3.(×)アルコール性認知症は、アルコールの長期大量摂取を原因として脳血管障害や栄養障害をきたすことで発症します。
4.(×)コルサコフ症候群は、ビタミンB1(チアミン)不足により起こるウェルニッケ脳症と、その後遺症であるコルサコフ症候群のことであり、認知症の一種です。アルコールの慢性的濫用が原因の一つとなります。
第67問
母親がAさん(27歳、統合失調症(schizophrenia))に対して「親に甘えてはいけない」と言いながら、過度にAさんの世話をすることで、Aさんが混乱していた。 この親子関係を示すのはどれか。
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1.共依存
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2.同一視
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3.ネグレクト
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4.二重拘束〈ダブルバインド〉
- 解答・解説
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1.(×)共依存は、特定の相手と過剰に依存し合い、その関係性の中で必要とされることに存在価値を見出している状態です。
2.(×)同一視は防衛機制の一種であり、他人に自分を重ね合わせて自己評価を高めることです。
3.(×)ネグレクトは虐待の一種であり、幼児や高齢者などケアを必要とする対象への保護義務を放棄することです。
4.(○)二重拘束〈ダブルバインド〉とは、複数の矛盾したメッセージを発することで、相手に精神的ストレスを負わせている状態です。Aさんは、甘えてもよいのか自立すべきなのか分からず混乱しています。
第68問
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉において、精神科病院で隔離中の患者に対し、治療上で必要な場合に制限できるのはどれか。
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1.家族との面会
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2.患者からの信書の発信
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3.患者からの退院の請求
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4.人権擁護に関する行政機関の職員との電話
- 解答・解説
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1.(○)家族との面会は、医療や保護など合理的な理由がある場合に限り、制限することができます。
2.(×)自由な信書(手紙)の発受は人権擁護の観点からも必要であり、制限することはできません。
3.(×)処遇改善請求や退院請求は、制約されることのない患者の権利です。
4.(×)人権擁護に関する行政機関(地方法務局など)の職員との電話や面会は制限できません。
第69問
感染徴候のない在宅療養者に対する床上での排便の援助において、訪問看護師が行う感染対策で適切なのはどれか。
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1.援助時には使い捨てのエプロンを着用する。
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2.使用済みのオムツは感染性廃棄物として処分する。
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3.使用済みの寝衣は次亜塩素酸ナトリウム液に浸す。
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4.陰部洗浄で使用したボトルの洗浄に中性洗剤は用いない。
- 解答・解説
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1.(○)スタンダードプリコーション(標準予防策)に則り、排泄援助の際は使い捨てのエプロンや手袋などを使用します。標準予防策は、感染徴候の有無にかかわらず必要です。
2.(×)使用済みのオムツは一般廃棄物(可燃ごみ)とし、各自治体の回収方法に従って処分します。
3.(×)使用済みの寝衣を消毒する必要はなく、通常の洗濯や乾燥を行います。
4.(×)陰部洗浄で使用したボトルは、家庭用の中性洗剤を用いて洗浄し、次亜塩素酸ナトリウム液で消毒することが推奨されます。
第70問
Aさん(85歳、女性)は1人暮らし。うっ血性心不全(congestive heart failure)で臥床して過ごすことが多い。訪問看護師が訪問すると、Aさんは体温37.6℃、口唇の乾燥はなく、体熱感はあるが手足が冷えると言って羽毛布団を肩まで掛けている。室温30℃、湿度65%、外気温は32℃、冷房設備はあるが使っていない。 このときの訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.羽毛布団を取り除く。
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2.冷房設備で室温を調整する。
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3.頓用の解熱薬を服用してもらう。
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4.直ちに経口補水液を飲むよう促す。
- 解答・解説
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1.(×)手足が冷えるという訴えがあるため、羽毛布団を取り除く必要はありません。
2.(○)外気温32℃、室温30℃、湿度65%であり、まずは室内の高温多湿の状態を調整することが適切です。室温だけでなく湿度にも注意する必要があります。
3.(×)早急に解熱薬を投与するような状態ではありません。
4.(×)うっ血性心不全では水分や塩分の摂取が制限されるため、経口補水液の摂取には注意が必要です。また、口唇の乾燥はないことから、脱水の可能性は低いと判断できます。
第71問
Aさん(68歳、男性)は妻(68歳)と2人暮らし。膀胱癌(bladder cancer)で尿路ストーマを造設している。Aさんはストーマ装具の交換に慣れてきたため、妻と日帰りで近くの温泉地を旅行する計画を立てており、外来看護師に助言を求めた。 外来看護師がAさんに助言する内容で適切なのはどれか。
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1.装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。
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2.旅行中の水分摂取は1日1,000mL以内に控える。
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3.他の入浴客がいなければ装具を外して入浴できる。
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4.オストメイト対応のトイレがなければ旅行先を変更する。
- 解答・解説
-
1.(○)必要物品が旅先でなくなると、入手が大変かもしれません。念のため多めに(例えば、旅行日数+1回分)持参するとよいでしょう。
2.(×)ストーマ使用により水分制限されることはないため、他の疾患による理由がなければ飲水量を控える必要はありません。
3.(×)ストーマから常に排尿される状態のため、温泉などの公共施設で装具を外して入浴することはできません。
4.(×)オストメイト対応であればより快適に過ごせますが、一般のトイレでも対応できないわけではなく、旅行先を変更する必要はないでしょう。
第72問
Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患(cerebrovascular disease)で右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪問看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
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1.健側に頸部を回旋させ食事の介助をする。
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2.野菜は繊維に対し垂直に切って調理する。
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3.歯肉出血がみられたら口腔ケアは中止する。
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4.食事中はAさんの好きなテレビ番組を見せる。
- 解答・解説
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障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-2は「屋内での生活に何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるものの、座位を保つ」ことができ、「介助により車椅子に移乗」できる状態です。
1.(×)麻痺側に頸部を回旋させたほうが、健側を食物が通過しやすくなり、誤嚥予防につながります。
2.(○)繊維に対して垂直に切ると、繊維が短く断ち切られて咀嚼しやすくなります。
3.(×)スポンジブラシで愛護的にケアするなどの工夫は必要ですが、口腔内の清潔保持は継続する必要があります。
4.(×)Aさんが食事に集中できるよう、テレビは消しておきます。それが誤嚥リスクを下げることにもつながります。
第73問
機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。
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1.勤務帯ごとに各看護師が担当する患者を決めて受け持つ。
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2.内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
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3.1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
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4.患者を複数のグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。
- 解答・解説
-
1.(×)選択肢の内容は、患者受け持ち方式に関する説明です。
2.(○)機能別看護方式では、バイタルサインチェック、注射、与薬、環境整備などの看護業務を内容別に分類し、業務ごとに担当者を決めて看護を提供します。
3.(×)選択肢の内容は、プライマリーナーシングシステムに関する説明です。
4.(×)選択肢の内容は、チームナーシングシステムに関する説明です。
第74問
看護におけるクリニカルラダーについて正しいのはどれか。
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1.病院に導入が義務付けられている。
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2.ワーク・ライフ・バランスを目指すものである。
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3.臨床実践に必要な能力が段階的に表現されている。
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4.全国の病院で共通のクリニカルラダーが使用されている。
- 解答・解説
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1.(×)クリニカルラダーは導入が義務付けられているものではありませんが、一般的に広く活用されています。
2.(×)看護師の能力開発の到達度を示すもので、看護師の生涯学習支援や看護の質向上につながります。
3.(○)看護におけるクリニカルラダーは、看護師の臨床実践における能力を段階的に示したものです。
4.(×)病院や施設ごとに、多種多様なオリジナルラダーが開発・使用されています。
第75問
災害拠点病院の説明で正しいのはどれか。
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1.国が指定する。
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2.災害発生時に指定される。
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3.広域搬送の体制を備えている。
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4.地域災害拠点病院は各都道府県に1か所設置される。
- 解答・解説
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1.(×)災害拠点病院は、都道府県が指定します。
2.(×)災害発生時に機能させるためには、災害拠点病院指定要件を満たす病院を平時から指定しておく必要があり、実際にそのようにされています。
3.(○)多数の傷病者に対応する広域搬送の体制(ヘリコプターによるピストン輸送など)を備えています。
4.(×)各都道府県に1か所設置されるのは、基幹災害拠点病院です。原則として、地域災害拠点病院は各都道府県の二次医療圏ごとに1か所整備されています。
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第76問
平成27年(2015年)時点での世界の三大感染症に入るのはどれか。
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1.ポリオ(poliomyelitis)〈急性灰白髄炎〉
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2.マラリア(malaria)
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3.天然痘(smallpox)
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4.麻疹(measles)
- 解答・解説
-
1.(×)ポリオは、感染症法において2類感染症に分類されています。1981年以降、国内で野生株による発症はみられていません。
2.(○)世界の三大感染症は、エイズ/HIV、結核、マラリアです。マラリアは、マラリア原虫を持つハマダラカが媒介する感染症であり、世界中の熱帯・亜熱帯地域で流行しています。SDGs(持続可能な開発目標)の目標の一つとしても、三大感染症の根絶が掲げられています。
3.(×)WHOは、1980年に天然痘の世界根絶宣言を行っています。
4.(×)麻疹は、麻疹ウイルスによる非常に感染力の高い感染症であり、感染症法において5類感染症に分類されています。
第77問
肩峰があるのはどれか。
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1.鎖骨
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2.胸骨柄
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3.肩甲棘
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4.上腕骨
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5.烏口突起
- 解答・解説
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1.(×)鎖骨は、体幹の骨格と肩甲骨をつなぐ骨です。
2.(×)胸骨柄は、胸骨の上1/4を占める部分です。
3.(○)肩峰は、肩甲骨にある肩甲棘の外側先端部が扁平な突起となっている部分です。
4.(×)上腕骨は、二の腕に当たる上腕の骨格です。
5.(×)烏口突起は、肩甲骨の上方前面に位置しています。
第78問
股関節を屈曲させるのはどれか。
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1.大腿二頭筋
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2.大殿筋
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3.中殿筋
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4.小殿筋
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5.腸腰筋
- 解答・解説
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1.(×)大腿二頭筋は、大腿後面外側の大きな筋であり、膝関節の屈曲に関与しています。
2.(×)大殿筋は、股関節の伸展・外旋に関与しています。
3.(×)中殿筋は、股関節の外転に関与しています。
4.(×)小殿筋は、股関節の外転・内転に関与しています。
5.(○)股関節を屈曲させるのは腸腰筋です。そのほか、腰椎のS字を維持したり、脊柱を前屈させたりする役割も果たしています。
第79問
採血時に操作を誤ったため溶血し、採血管内の血漿が暗赤色になってしまった。 この血漿の電解質濃度を測定したときに、本来の値よりも高くなるのはどれか。
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1.塩化物イオン
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2.重炭酸イオン
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3.カリウムイオン
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4.カルシウムイオン
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5.ナトリウムイオン
- 解答・解説
-
溶血とは、何らかの原因により赤血球が壊れ、赤血球内の細胞内液が血清・血漿中(細胞外液)に出てしまった状態です。カリウムイオンは細胞外液より細胞内液に多く含まれる(約40倍)電解質であることから、溶血により細胞外液におけるカリウムイオン濃度が本来の値より著明に高く測定されます。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。
第80問
糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。
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1.尿素
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2.イヌリン
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3.ビリルビン
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4.クレアチニン
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5.パラアミノ馬尿酸
- 解答・解説
-
糸球体濾過量(GFR)を推定するためには、糸球体で濾過され、尿細管や集合管では分泌も再吸収もされずに尿中排泄される物質を用いる必要があります。
1.(×)尿素は尿細管や集合管で分泌・再吸収を受けるため、条件に合致しません。
2.(×)イヌリンは上記の条件に合致しますが、生体内物質ではありません。
3.(×)ビリルビン値は、肝臓機能の指標となります。
4.(○)上記の条件に合致する生体内物質はクレアチニンであり、糸球体濾過量の推定には血清クレアチニン値が用いられます。
5.(×)パラアミノ馬尿酸は、腎血漿流量の推定に用いられます。
第81問
疾病の内因となるのはどれか。
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1.免疫複合体
-
2.栄養素
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3.温度
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4.細菌
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5.薬物
- 解答・解説
-
1.(○)免疫複合体は抗原と抗体からなる複合体であり、体内で産生されるため内因に該当します。全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の原因となります。
2.(×)栄養素は、過剰摂取や欠乏により外因となります。
3.(×)温度は、物理的な外因です。
4.(×)細菌は、生物学的な外因です。
5.(×)薬物は、化学的な外因です。
第82問
舌癌(tongue cancer)について正しいのはどれか。
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1.癌全体に対する発症頻度は約10%である。
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2.発症年齢は20歳代が多い。
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3.好発部位は舌尖である。
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4.浸潤は起こさない。
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5.扁平上皮癌が多い。
- 解答・解説
-
1.(×)口腔癌においては、舌癌の発症頻度が約50%で最も高いですが、癌全体で見れば1%未満です。
2.(×)好発年齢は50歳代後半~60歳代ですが、近年は若年層での発症も増えています。
3.(×)好発部位は、舌縁(側縁)や舌下面(裏側)です。
4.(×)舌癌も浸潤や転移を起こします。
5.(○)舌癌の多くは、舌の表面を覆う扁平上皮細胞から発生する扁平上皮癌です。
第83問
Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で正しいのはどれか。
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1.基礎疾患として高血圧症(hypertension)が多い。
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2.アミロイドβタンパクが蓄積する。
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3.初期には記銘力障害はみられない。
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4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。
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5.脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。
- 解答・解説
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1.(×)基礎疾患として高血圧が多いのは、血管性認知症です。
2.(○)アルツハイマー病では、アミロイドβ蛋白が蓄積したアミロイド斑や神経原線維変化が特徴的に認められます。
3.(×)記銘力障害は、初期から生じます。
4.(×)MRI所見では、海馬の萎縮が特徴的に認められます。前頭葉の萎縮が特徴的であるのは、前頭側頭型認知症です。
5.(×)脳血流シンチグラフィ所見では、頭頂葉の血流低下が認められます。
第84問
食物の嚥下において喉頭蓋が喉頭口を閉鎖する時期はどれか。
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1.先行期
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2.準備期
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3.口腔期
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4.咽頭期
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5.食道期
- 解答・解説
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摂食・嚥下は「先行期→準備期→口腔期→咽頭期→食道期」の5期を順に経て進行します。
1.(×)先行期は、食物を目で認識し、唾液分泌などの摂食準備を整える時期です。
2.(×)準備期は、食物を口腔内で咀嚼し、食塊を形成する時期です。
3.(×)口腔期は、舌や頬の運動により、食塊を口腔から咽頭へ送り込む時期です。
4.(○)咽頭期には喉頭蓋が喉頭口を閉鎖し、嚥下反射の働きにより食塊が食道へ送り込まれます。
5.(×)食道期では、食道蠕動運動により、食塊が食道から胃へ送り込まれます。
第85問
放射性同位元素を用いるのはどれか。
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1.脳血管造影
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2.膀胱鏡検査
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3.頭部CT検査
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4.腹部超音波検査
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5.骨シンチグラフィ
- 解答・解説
-
1.(×)脳血管造影では、造影剤を注入しながらX線撮影を行います。
2.(×)膀胱鏡検査は、尿道から内視鏡を挿入して観察する検査です。
3.(×)頭部CT検査では、X線撮影した画像をコンピューター処理して横断像を再構成します。
4.(×)腹部超音波検査では、超音波を用いて臓器からの反射波(エコー)を画像化します。
5.(○)骨シンチグラフィは、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)で標識された薬剤を投与し、体内から放出される放射線を測定することで、癌の骨転移などを調べる核医学検査です。
第86問
地域包括支援センターの目的を定める法律はどれか。
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1.介護保険法
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2.健康増進法
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3.社会福祉法
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4.地域保健法
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5.老人福祉法
- 解答・解説
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1.(○)地域包括支援センターの目的(地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援すること)は介護保険法に定められています。
2.(×)健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された法律です。
3.(×)社会福祉法は、利用者の利益保護、地域福祉推進、社会福祉事業の公明かつ適正な実施などのため、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定めた法律です。
4.(×)地域保健法は、保健所や市町村保健センターの設置などについて定めています。
5.(×)老人福祉法は、高齢者福祉を担当する機関や施設、事業に関するルールについて定めた法律です。
第87問
動脈硬化症(arteriosclerosis)の粥腫形成に関与するのはどれか。2つ選べ。
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1.Langerhans〈ランゲルハンス〉細胞
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2.メサンギウム細胞
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3.血管内皮細胞
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4.肥満細胞
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5.泡沫細胞
- 解答・解説
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動脈の内膜に粥状の病変(プラーク)が形成され、動脈が細くなるタイプの動脈硬化を、粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)と呼びます。
1.(×)ランゲルハンス細胞は、免疫システムで重要な役割を担います。
2.(×)メサンギウム細胞は、糸球体の構造維持や濾過機能に関与しています。
3.(○)粥状動脈硬化症における粥腫は、高血圧や糖尿病などのリスク因子により血管内皮細胞が傷害されることで形成されます。
4.(×)肥満細胞(マスト細胞)は顆粒球の一種であり、免疫系を構成しています。
5.(○)血管内皮細胞が傷害されると、コレステロールを取り込んだマクロファージが泡沫細胞となり、これが集まって粥状物質になります。
第88問
予防接種に生ワクチンが使用される疾患はどれか。2つ選べ。
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1.ジフテリア(diphtheria)
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2.日本脳炎(Japanese encephalitis)
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3.破傷風(tetanus)
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4.結核(tuberculosis)
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5.麻疹(measles)
- 解答・解説
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ワクチンのタイプには、生ワクチン、不活化ワクチン(感染能力を失わせたウイルスや細菌)、トキソイド(毒素の免疫原性は残し、毒性のみを失活させたもの)があります。
1.(×)ジフテリアワクチンはトキソイドです。
2.(×)日本脳炎には不活化ワクチンが使用されます。
3.(×)破傷風ワクチンはトキソイドです。
4.(○)結核には生菌ワクチン(BCG)が使用されます。
5.(○)麻疹には弱毒性生ワクチンが使用されます。通常は、風疹と合わせて麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)として接種されます。
第89問
修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.磁気を用いる。
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2.局所麻酔下で行う。
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3.筋弛緩薬を用いる。
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4.発生頻度の高い有害事象は骨折である。
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5.薬物治療抵抗性のうつ病(depression)は適応になる。
- 解答・解説
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1.(×)修正型電気痙攣療法では電気を用います。
2.(×)麻酔医が同席し、全身麻酔下で通電処置を行います。
3.(○)通電時の痙攣が起こらないようにするため、筋弛緩薬が用いられます。
4.(×)全身麻酔と筋弛緩薬の併用により無痙攣で行われるため、従来の電気痙攣療法でみられた骨折などの有害事象は軽減されています。
5.(○)薬物治療抵抗性のうつ病、双極性障害、難治性の統合失調症、精神病症状を伴うパーキンソン病などが適応となります。
第90問
出生体重3,100gの新生児。日齢3の体重は3,000gである。 このときの体重減少率を求めよ。 ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

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計算問題です
- 解答・解説
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新生児の体重減少率は「(出生時体重-現在の体重)/出生時体重×100」で求めることができます。「(3,100-3,000)/3,100×100≒3.23」となり、小数点第2位を四捨五入して3.2(%)が答えです。
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-
第91問
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症(angina pectoris)と診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、II、III、aVFでST低下がみられた。 救急外来到着時にAさんの状態をアセスメントするために優先度が高い血液検査項目はどれか。
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1.トロポニンT
-
2.乳酸脱水素酵素
-
3.血清クレアチニン
-
4.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
- 解答・解説
-
V1~V4でST上昇がみられることに加え、病歴や他の症状などからも、Aさんは急性心筋梗塞が強く疑われる状態です。
1.(○)心筋細胞に存在するトロポニンTは、他の心筋マーカーよりも特異性が高く、発症早期から検出できるため、心筋梗塞の迅速診断における第一選択となります。
2.(×)乳酸脱水素酵素(LDH)はエネルギー代謝に関わる酵素の一つであり、心筋梗塞でも上昇しますが、溶血性貧血、悪性腫瘍、肝障害などでも上昇するため、最優先とはなりません。
3.(×)血清クレアチニンの濃度上昇は、腎機能低下を意味します。
4.(×)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)はアミノ酸合成に必要な逸脱酵素であり、肝機能の指標として代表的な検査項目です。
第92問
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症(angina pectoris)と診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、II、III、aVFでST低下がみられた。 心臓カテーテル検査の結果、Aさんは急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)と診断された。心係数2.4L/分/m2、肺動脈楔入圧20mmHgでForrester〈フォレスター〉分類II群であった。 身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の粗い断続性副雑音が聴取される。 心エコー検査:左室駆出率〈LVEF〉58% 胸部エックス線検査:心胸郭比〈CTR〉48% このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。
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1.心拡大が認められる。
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2.肺うっ血が起きている。
-
3.末梢循環不全が起きている。
-
4.左心室の収縮力が低下している。
- 解答・解説
-
1.(×)成人の心胸郭比(CTR)は、通常50%以上で心拡大と判定されます。
2.(○)Forrester分類II群であり、肺動脈楔入圧が基準値の18mmHg以上であるため、肺うっ血を起こしていると考えられます。
3.(×)Forrester分類II群で、心係数が基準値の2.2L/分/m2以下ではないため、低灌流による末梢循環不全は起こっていないと考えられます。
4.(×)左室駆出率(LVEF)の基準値は50~70%であり、Aさんの左心室の収縮力は低下していません。
第93問
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症(angina pectoris)と診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1~V4でST上昇、II、III、aVFでST低下がみられた。 心臓カテーテル検査の結果、Aさんは急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)と診断された。 その後、Aさんは経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。帰室時のバイタルサインは、体温36.2℃、呼吸数20/分、脈拍58/分、整、血圧80/40mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(酸素1L/分)。顔面は蒼白、冷汗を認めた。意識は清明である。 このとき看護師が最初に行うことはどれか。
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1.側臥位にする。
-
2.除細動器の準備を行う。
-
3.穿刺部の出血の有無を確認する。
-
4.鎮痛薬の処方を医師に相談する。
- 解答・解説
-
1.(×)安静を保つ必要はありますが、側臥位にすることに意義はありません。
2.(×)意識清明であり、脈拍58/分、整であることから、除細動器の適応とはなりません。
3.(○)血圧低下、顔面蒼白、冷汗などがみられており、出血性ショックが疑われる状態です。まずは穿刺部からの出血の有無を確認することが適切です。
4.(×)意識清明であり、痛みを訴えたという情報もないことから、鎮痛薬が緊急に必要である状態とは考えにくいでしょう。
第94問
Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍(brain tumor)と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 帰室後の看護として適切なのはどれか。
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1.発熱時の冷罨法は禁忌である。
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2.徐脈時は経過観察とする。
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3.ベッドの頭側を挙上する。
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4.頸部を前屈させる。
- 解答・解説
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1.(×)冷罨法が禁忌ということはありません。発熱は脳代謝を亢進させて頭蓋内圧上昇の要因となるため、冷罨法を行うこともあり得ます。
2.(×)血圧上昇と徐脈をきたすクッシング現象が現れた場合は、急激に頭蓋内圧が亢進していることが考えられるため、早急に医師への報告が必要です。
3.(○)脳浮腫を軽減する目的で、ベッドの頭部を約20~30度挙上し、脳の静脈還流を促すことが適切です。
4.(×)頭部は挙上しますが、頸部の屈曲や圧迫は避けます。
第95問
Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍(brain tumor)と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫(glioblastoma)と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。放射線療法を開始して1週後、Aさんが頭皮のかゆみを訴えたため、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された。 Aさんへの説明として適切なのはどれか。
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1.「定期的に髪の毛をそります」
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2.「かゆみが強いときは温めてください」
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3.「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」
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4.「かゆみは放射線照射の終了日にはおさまります」
- 解答・解説
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1.(×)皮膚に刺激を与えるため、髪の毛を剃ることは不適切です。そもそも髪の毛を剃る必要もありません。
2.(×)放射線療法の副作用として、皮膚の状態変化(放射線皮膚炎)をきたすことがあります。かゆみが強い場合は、神経の興奮を鎮めるために冷やすべきであり、冷罨法が有効です。
3.(○)放射線の乱反射による治療効果への悪影響や、化学物質の反応による皮膚炎の悪化につながる可能性があるため、軟膏は照射前に拭き取ります。
4.(×)放射線皮膚炎の症状は、多くの場合で照射後数週間~1か月程度継続します。
第96問
Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍(brain tumor)と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫(glioblastoma)と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。 放射線療法と化学療法が開始されて10日が経過した。Aさんはガーデニングの趣味があり、庭が気になるため週末の外泊を希望し、主治医から許可が出た。 外泊にあたりAさんへの説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
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1.「入浴は控えてください」
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2.「食べ物の制限はありません」
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3.「ガーデニングの時は手袋をしてください」
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4.「発熱を伴わない咳は様子を見てください」
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5.「性交渉の時はコンドームを使用してください」
- 解答・解説
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放射線療法や化学療法の副作用として、骨髄抑制による易感染状態であることが考えられます。
1.(×)入浴の制限はありませんが、身体への負担を軽減する目的でシャワー浴が推奨されます。
2.(×)免疫力が低下しているため、生ものは避けるよう指導します。
3.(○)ガーデニングの際は土中や植物に生息する微生物に触れるため、手袋の着用や手洗いで感染を予防します。
4.(×)易感染状態であることから、発熱がなくても主治医に連絡するよう伝えます。
5.(○)胎児への影響を考慮して化学療法中の妊娠は避けるべきであり、感染予防のためにもコンドームを使用するよう指導します。
第97問
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(Alzheimer disease)と診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。 看護師からAさんに施設について説明したが、その後もAさんは「ここはどこ」と繰り返し聞いていた。息子の妻は「私がやらなければいけないことは何ですか」と聞いてきた。 息子の妻に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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1.「面会に来てください」
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2.「家族会に参加しましょう」
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3.「まずは休息をとりましょう」
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4.「認知症への対応を覚えましょう」
- 解答・解説
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1.(×)家族が面会に来ることでAさんの状態が安定すると考えられますが、最優先することではありません。
2.(×)設問の段階では時期尚早だといえます。
3.(○)主な介護者である息子の妻は、睡眠不足により体調を崩しており、それがAさんの入所に至った契機ともなっています。息子の妻にはレスパイトケアを提供し、一時的にでも介護から解放され、体調を整えてもらうことが最優先となります。
4.(×)認知症へのさらなる理解も大切ですが、息子の妻の体調を整えることが優先されます。
第98問
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(Alzheimer disease)と診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。 入所した日の夕方、Aさんは自分の荷物をまとめて「夕食を作らなければいけないので、家に帰ります」と施設内を歩いている。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.「他の入所者と話をしましょう」
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2.「椅子に座ってお話ししませんか」
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3.「入所中なので家には帰れません」
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4.「歩くのは危ないのでやめましょう」
- 解答・解説
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1.(×)慣れない環境で、初めて会う人と話をするよう促されることは、認知症患者でなくともストレスフルな状況であると考えられます。
2.(○)落ち着いて話を聞く機会をつくり、Aさんの今の気持ちや考えを否定せずに傾聴します。その中でAさんの帰宅願望の理由も探るとよいでしょう。
3.(×)認知機能が低下しているため、現在の状況を詳しく説明しても理解してもらうことは難しいでしょう。
4.(×)Aさんの歩行能力を低下させるおそれがある対応です。
第99問
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(Alzheimer disease)と診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。 入所して1週後。Aさんは、朝、声をかけられてもなかなか目を覚まさない。午前中は看護師が他の入所者と交流することを目的に共有スペースに誘導するが、Aさんは共有スペースの椅子に座ったまま眠ってしまい、レクリエーションへ誘われても参加はしない。夕方から夜間にかけてAさんは活動的となり、施設の廊下を歩き職員に話しかけている。 Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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1.朝の入浴を勧める。
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2.日中の散歩に誘う。
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3.朝はAさんが自分で起きるまで待つ。
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4.日中は椅子に座って過ごしてもらう。
- 解答・解説
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Aさん見当識障害などより昼夜逆転現象を起こしていると考えられるため、生活リズムを整えるための支援が必要です。
1.(×)入浴は、Aさんの生活習慣に沿った時間帯での実施が望ましいといえます。
2.(○)日中に身体を動かす機会を提供し、活動量を増やして生活リズムを整えることが大切です。
3.(×)自分で起きるまで待っていると、完全に昼夜逆転する可能性があります。
4.(×)現在も日中は椅子に座って傾眠傾向にあることから、立ち上がって動きたくなるような声かけが望まれます。
第100問
Aさん(83歳、男性)は妻(81歳)と2人暮らし。息子夫婦は共働きで同市内に住んでいる。Aさんは自宅の廊下で倒れているところを妻に発見され、救急搬送された。Aさんは右上下肢に力が入らず、妻の声かけにうなずくが発語はなかった。頭部CTで左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断されたため救急外来で血栓溶解療法が行われ、入院となった。血栓溶解療法による治療後2週。Aさんは右上下肢麻痺、失語などの後遺症があるが、自宅への退院を希望したため、機能訓練の目的で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。転棟後1日。Aさんはベッドから車椅子への移乗動作の訓練を始めたが、健側の下肢筋力が低下しているため、立位のときにバランスを崩しやすい状況である。 Aさんへの移乗時の援助で適切なのはどれか。2つ選べ。
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1.ズボンのウエスト部分をつかんで引き上げる。
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2.ベッドの高さを車椅子の座面より低くする。
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3.床に離床センサーマットを設置する。
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4.車椅子をAさんの左側に準備する。
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5.移乗前に血圧測定を行う。
- 解答・解説
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1.(×)ズボンをつかんで引き上げると、動作補助の効果が得られないばかりか、Aさんの腹部などが圧迫されて苦痛が生じます。
2.(×)ベッドと車椅子の高さに差があると移乗時に大きな労力が必要となるため、同じ高さにそろえることが適切です。
3.(×)離床センサーは、認知症で単独での移動に注意を要する場合などにおいて、必要最小限の範囲で用いられます。安易な使用は身体拘束に当たる可能性があるため、注意が必要です。
4.(○)Aさんは右上下肢麻痺であるため、健側である左側に車椅子を準備すると移乗しやすくなります。
5.(○)起立性低血圧を起こすリスクが高いことから、移乗前には血圧測定を行い、めまいやふらつきなどに留意する必要があります。
第101問
Aさん(83歳、男性)は妻(81歳)と2人暮らし。息子夫婦は共働きで同市内に住んでいる。Aさんは自宅の廊下で倒れているところを妻に発見され、救急搬送された。Aさんは右上下肢に力が入らず、妻の声かけにうなずくが発語はなかった。頭部CTで左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断されたため救急外来で血栓溶解療法が行われ、入院となった。血栓溶解療法による治療後2週。Aさんは右上下肢麻痺、失語などの後遺症があるが、自宅への退院を希望したため、機能訓練の目的で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。転棟後1日。Aさんはベッドから車椅子への移乗動作の訓練を始めたが、健側の下肢筋力が低下しているため、立位のときにバランスを崩しやすい状況である。 Aさんは妻や看護師との話の内容は理解しているようだが、返答の際に言葉を間違えてしまうことや言葉がなかなか出てこないことがある。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.Aさんの言葉を推測しながら話す。
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2.Aさんの言い誤りを訂正する。
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3.大きな声で話す。
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4.話題を変える。
- 解答・解説
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1.(○)話の内容は理解しているものの、話したいことが言葉にならない状態であり、Aさんは運動性失語(ブローカ失語)であると考えられます。会話の文脈や表情などに気を配り、Aさんの言葉を推測しながら話すようにします。
2.(×)言い誤りは脳疾患による症状であり、訂正してどうなるものでもありません。頻回な訂正は自尊心を傷つける可能性があるため、注意が必要です。
3.(×)Aさんは妻や看護師との話の内容は理解しているようなので、聴力に問題はないと考えられます。
4.(×)話の内容に応じて症状が出現するわけではないため、話題を変える必要はありません。
第102問
Aさん(83歳、男性)は妻(81歳)と2人暮らし。息子夫婦は共働きで同市内に住んでいる。Aさんは自宅の廊下で倒れているところを妻に発見され、救急搬送された。Aさんは右上下肢に力が入らず、妻の声かけにうなずくが発語はなかった。頭部CTで左中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)と診断されたため救急外来で血栓溶解療法が行われ、入院となった。血栓溶解療法による治療後2週。Aさんは右上下肢麻痺、失語などの後遺症があるが、自宅への退院を希望したため、機能訓練の目的で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。転棟後1日。Aさんはベッドから車椅子への移乗動作の訓練を始めたが、健側の下肢筋力が低下しているため、立位のときにバランスを崩しやすい状況である。 転棟後5週。Aさんは歩行練習が開始となり、病棟内では日常生活動作〈ADL〉も徐々に自立してきている。食事は時々むせがみられるが、配膳すれば自力で摂取できる。排泄は車椅子でトイレへ移動しており、ズボンの着脱に介助が必要である。入浴はシャワーチェアーに座り、手が届くところは自分で洗うことができる。歯磨きは一部介助が必要である。Aさんは早く自宅に帰りたいと話し、午前と午後の機能訓練には積極的に参加しているが、機能訓練後は「疲れて何もしたくない」とベッドで横になり眠っている。夕方に面会に来た妻は「面会時にいつも疲れたと言って眠っているので、このままの状態で退院して家で世話ができるかどうか自信がありません。息子夫婦も仕事が忙しいので、介護を手伝ってもらえるかわかりません」と言っている。 看護師の妻への対応で最も適切なのはどれか。
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1.施設入所の検討を提案する。
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2.トイレ介助の方法を指導する。
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3.Aさんの機能訓練中の様子の見学を勧める。
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4.息子夫婦にも介護に参加してもらうよう助言する。
- 解答・解説
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1.(×)Aさんは自宅療養を希望しているため、いきなり施設入所の検討を提案することは不適切です。
2.(×)妻は、疲れたと言って眠っている状態しか見ていないから不安なのであり、トイレ介助の方法を指導するのであれば不安を払拭した後が適切だと考えられます。
3.(○)妻が不安を解消し、退院後の生活について具体的にイメージできるように機能訓練中の様子の見学を勧め、Aさんの意欲や現段階のADLなどを把握してもらうことが適切です。
4.(×)息子夫婦は仕事が忙しく、必要な支援が具体的にならなければ介護参加を検討することが難しい状況です。
第103問
Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)による中等度の脱水症(dehydration)と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。 Aちゃんにみられる状態はどれか。
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1.昏睡状態である。
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2.流涙は普段と変わらない。
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3.体重は3日前と変わらない。
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4.排尿頻度は普段通りである。
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5.皮膚のツルゴールは低下している。
- 解答・解説
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1.(×)昏睡状態は、重度の脱水症の症状です。
2.(×)体内の水分量減少に伴い、流涙は通常より減少します。
3.(×)中等度の脱水症では、3~9%の体重減少がみられます。
4.(×)中等度の脱水症であり、排尿頻度も低下していると考えられます。
5.(○)ツルゴールとは皮膚の緊張であり、脱水の評価指標となります。中等度の脱水症では、皮膚をつまむとシワとなり、ゆっくりと元に戻ります。
第104問
Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)による中等度の脱水症(dehydration)と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。 Aちゃんは、個室隔離での入院となり、持続点滴静脈内注射が開始された。排泄が自立していないため普段から紙オムツを使用している。 Aちゃんのオムツ交換における注意点について、入院に付き添う母親への看護師の説明で適切なのはどれか。
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1.布オムツに切り替える。
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2.使い捨て手袋は1日1回交換する。
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3.オムツ交換後に石けんで手洗いを行う。
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4.アルコール入りのおしり拭きで殿部の清拭を行う。
- 解答・解説
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1.(×)感染予防の観点から、毎回破棄できる紙オムツのほうが適切です。
2.(×)使い捨て手袋は、処置を行うたびに交換します。
3.(○)ウイルス性胃腸炎の診断であり、原因ウイルスがアルコール抵抗性の強いノロウイルスやロタウイルスであることも考えられることから、必ず流水と石けんで手洗いを行うよう指導します。
4.(×)下痢のため、皮膚のびらんや発赤を生じやすい状態であり、刺激の強いアルコール入りおしり拭きは使用しません。また、おしり拭きのアルコールがウイルス性胃腸炎の原因ウイルスに効果を発揮することは期待できません。
第105問
Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎(viral gastroenteritis)による中等度の脱水症(dehydration)と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。 入院2日。Aちゃんは、水様便は続いているが嘔吐はなくなった。付き添ってる母親は「Aは大泣きして、ストレスが溜まっているみたいです。アイスクリームを食べたいみたいです」と看護師に話した。 このときに看護師が母親に伝える内容で適切なのはどれか。
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1.プレイルームで遊べること
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2.アイスクリームを食べてよいこと
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3.個室隔離が明日、解除されること
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4.Aちゃんの好きなおもちゃを自宅から持参してよいこと
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5.Aちゃんが静かに過ごせるよう看護師の訪室を控えること
- 解答・解説
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1.(×)接触感染の可能性があるため、プレイルームで他の患児と一緒に遊ぶことは不適切です。
2.(×)アイスクリームは、糖分や脂肪分が多く消化管吸収が悪いため、下痢を増悪させるおそれがあります。
3.(×)症状改善後も、ウイルスの便中への排出はしばらく続きます。水様便が続いている状態であり、すぐに個室隔離が解除されることは考えにくいでしょう。
4.(○)Aちゃんのストレスを緩和する目的で、好きなおもちゃを持参してもらうとよいでしょう。
5.(×)感染予防に務める必要はありますが、看護師が訪室を控える必要はありません。隔離状態でのストレスや不安を軽減できるよう、積極的な声かけが望まれます。
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第106問
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。 帰室時に看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
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1.「排泄後は会陰部を消毒しましょう」
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2.「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」
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3.「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」
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4.「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」
- 解答・解説
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1.(×)排尿後に必ずしも消毒する必要はありません。温水洗浄便座を使うなどして、外陰部の清潔を保つことは重要です。
2.(×)会陰縫合部が痛む場合は、冷罨法や鎮痛薬の投与が有効です。
3.(×)分娩後は3~4時間ごとに排尿を促し、膀胱充満による子宮収縮不全を予防します。
4.(○)凝集血など悪露の異常がみられた場合は、子宮の収縮状態を確認する必要があるため、適切な説明です。
第107問
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。 産褥2日、Aさんは、体温37.2℃、脈拍76/分、血圧112/80mmHg、子宮底を臍下2横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量。会陰縫合部の発赤なし、腫脹なし。下肢の浮腫は認めない。乳房緊満があり、左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通しており、初乳がにじむ程度に分泌している。Aさんは、看護師に会陰縫合部が痛くて歩きにくいと話している。 Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
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1.会陰縫合部の感染を起こしている。
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2.乳房の変化は産褥日数相当である。
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3.深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)の疑いがある。
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4.子宮復古が遅れている。
- 解答・解説
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1.(×)発赤や腫脹がみられないことから、会陰縫合部の感染は否定できます。乳房緊満による体温上昇の可能性が考えられます。
2.(○)個人差はあるものの、産褥2日目で乳房緊満があり、左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通し、初乳分泌がみられることから、産褥日数相当であるといえます。
3.(×)下肢の浮腫がみられず、分娩後早期に歩行開始していることから、深部静脈血栓症は否定的です。
4.(×)産褥2日目で子宮底を臍下2横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量であり、正常な経過だといえます。
第108問
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。 産褥4日、看護師はAさんに退院指導をすることにした。Aさんの児の経過は順調である。 Aさんと児が受けられるサービスとして、看護師が退院指導時に説明するのはどれか。
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1.養育支援訪問
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2.育成医療の給付
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3.養育医療の給付
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4.乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)
- 解答・解説
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1.(×)養育支援訪問は、養育支援が特に必要であると認められる児童と養育者に対して提供されます。
2.(×)育成医療の給付は、身体に障害を有する児童に支給される自立支援医療費となります。
3.(×)養育医療の給付は、身体の発育が未熟なまま生まれた乳児(未熟児)が対象となります。
4.(○)児童福祉法に基づく乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)は、生後4か月までの乳児のいるすべての家庭が対象となります。子育てに関する悩みを相談し、必要な情報提供を受けられるため、Aさんに紹介するサービスとして適切です。
第109問
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病(depression)と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。 看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
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1.薬を飲みたくない理由を尋ねる。
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2.薬を飲むことを約束してもらう。
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3.自己判断で薬をやめたことへの反省を促す。
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4.薬の管理はAさんの妻にしてもらうよう勧める。
- 解答・解説
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1.(○)薬を飲みたくない理由を尋ね、状況を把握した上で、一緒に解決方法を探していくことが適切です。
2.(×)飲みたくない理由があるにもかかわらず、言葉上で飲む約束だけをしても、根本的な問題解決にはつながりません。
3.(×)薬を飲めなかったことを責めて反省を強いても、問題解決にはつながりません。看護師に相談している(助けを求めている)Aさんの気持ちをくんで対応する必要があります。
4.(×)Aさんの認知機能は正常であり、服薬管理ができないために薬が飲めないわけではないと考えられます。
第110問
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病(depression)と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。 入院後1か月、面会に来た妻から、「夫の会社から休業給付が出ないかもしれないと言われました。子どもが小さく、生活費もかかるので、入院費用が払えるか心配です」と看護師に相談があった。 妻の相談に関して、看護師が連携する職種として最も適切なのはどれか。
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1.公認心理師
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2.作業療法士
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3.理学療法士
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4.精神保健福祉士
- 解答・解説
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1.(×)公認心理師は、心理学に関する専門的知識・技術を持った専門職であり、心理に関する支援を要する者に対して助言や指導、援助などを行います。
2.(×)作業療法士は、日常生活動作の回復から社会復帰を支援するリハビリテーションの専門職です。
3.(×)理学療法士は、基本的動作能力や社会適応能力の回復を図るリハビリテーションの専門職です。
4.(○)社会生活や経済的問題など、精神の障害や悩みを抱えた人の日常生活や社会復帰に関する相談に応じられるのは、精神保健福祉士です。
第111問
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病(depression)と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。 Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。 退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
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1.就労継続支援
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2.リワーク支援
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3.障害者社会適応訓練事業
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4.ジョブコーチによる支援
- 解答・解説
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1.(×)就労継続支援は障害者総合支援法に基づくサービスであり、一般企業などへの就職に不安や困難が伴う人に対して、働く場の提供や能力向上のための訓練を行います。
2.(○)リワーク(return to work)支援は復職に向けたリハビリテーションプログラムであり、うつ病などで休職している労働者を対象に、個々の特性や体調に合わせた支援を実施します。
3.(×)障害者社会適応訓練事業では、精神障害などにより一般就労が困難である人を対象に、働くための訓練を行います。
4.(×)ジョブコーチ支援事業では、障害者の職場適応に課題が存在する場合に、ジョブコーチが直接職場に出向き、障害特性を踏まえた専門的な支援を行います。
第112問
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全(chronic heart failure)で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。 買い物についてAさんに助言する内容で最も適切なのはどれか。
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1.宅配サービスを利用する。
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2.移動には車椅子を利用する。
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3.荷物は両手に分散して持つ。
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4.途中で息切れを感じたら座って休む。
- 解答・解説
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1.(×)歩いて買い物に行くことを楽しみにしているAさんに、買い物に行かなくて済む方法を助言することは不適切です。
2.(×)現在は歩行による息切れが消失して歩行可能な状態であり、車椅子を利用する必要はありません。
3.(×)両手に荷物を持ってしまうと、転倒時の危険が増大します。左右のバランスを取ることよりも、カートなどを利用して重すぎる荷物を持たないよう指導することが適切です。
4.(○)適度な有酸素運動は、心機能などの改善にも有効です。息切れを感じたら休憩することで、心臓への負荷を軽減できます。息切れの対処方法を伝えていることから、最も適切な助言です。
第113問
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全(chronic heart failure)で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。 退院後、心不全(heart failure)の増悪を予防する目的で訪問看護を週に1回利用することになった。Aさんは夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしており、訪問看護師に助言を求めた。 訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
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1.「靴は大きめのサイズを選びましょう」
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2.「外出時は弾性ストッキングを履きましょう」
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3.「下肢の中枢から末梢にマッサージしましょう」
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4.「就寝時には湯たんぽを身体から2、3cm離して置きましょう」
- 解答・解説
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1.(×)大きめのサイズの靴では転倒リスクが上昇するため、自分の足に合った軽めの靴を選ぶように伝えます。下肢浮腫があるため、靴の選択を専門家に相談したり、インソールを用いて調整したりすることも一案です。
2.(○)静脈還流を促す効果が期待できることから、病態や目的に合った弾性ストッキングを着用するよう勧めます。
3.(×)マッサージは、下肢の末梢から中枢に向けて行います。
4.(×)低温熱傷のリスクがあるため、湯たんぽはカバーで覆い、身体から10cm以上離して使用します。
第114問
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全(chronic heart failure)で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。 退院後3週、Aさんの浮腫は改善し心不全(heart failure)の増悪もなかった。Aさんは「同年代の人との交流を広げたいと思っています。利用できるサービスはありますか」と訪問看護師に質問した。 訪問看護師が地域包括支援センターに相談してAさんに提案する社会資源はどれか。
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1.高齢者サロン
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2.療養通所介護
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3.通所リハビリテーション
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4.共同生活援助〈グループホーム〉
- 解答・解説
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1.(○)高齢者サロンは介護予防事業の一つであり、高齢者であれば誰でも参加できる地域交流の場です。身近な場所で気軽に集まって交流できるため、Aさんに提案するべき最も適切な社会資源だといえます。
2.(×)療養通所介護は、癌の終末期や難病などの重度要介護者が対象となります。
3.(×)通所リハビリテーション(デイケア)は、要介護者を対象に、リハビリテーション専門スタッフによる日常生活動作(ADL)訓練などを提供します。
4.(×)共同生活援助〈グループホーム〉は障害者総合支援法に基づくサービスであり、Aさんは対象となりません。
第115問
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。 この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
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1.被災状況の報告
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2.入院患者の避難誘導
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3.傷病者の受け入れ準備
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4.入院患者の状態の把握
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5.使用中の医療機器の作動状況の確認
- 解答・解説
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1.(×)患者や見舞い客の安否確認と安全確保を行った後、巡回により得られた被災状況を報告する流れになります。
2.(×)余震や二次災害も考えられるため、安易な避難誘導はリスクを伴います。先に必要な情報を収集し、避難の必要性の有無や適切な避難経路などを検討します。
3.(×)傷病者の受け入れ準備より、院内の安全確保や情報収集が優先されます。
4.(○)入院患者一人ひとりに声をかけ、巡回しながら状態を把握します。
5.(○)使用中の医療機器の作動状況や、病棟内の損壊状況なども確認しながら巡回し、必要に応じて非常用電源への切り替えや、危険物(ガラスの破片など)の除去などを行い、患者の安全を確保します。
第116問
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。 発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右?部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cmの紅斑と水疱を認める熱傷(burn)を負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷部位の疼痛を訴えていた。 トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。
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1.A君の既往歴の聴取
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2.A君への鎮痛薬の準備
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3.Bさんの気道確保の準備
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4.Bさんの熱傷部位の冷却
- 解答・解説
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1.(×)A君の既往歴の聴取するよりも優先すべきことがあります。
2.(×)転倒による左肘関節付近の腫脹と疼痛であり、鎮痛薬の準備が最も優先される状態ではありません。
3.(○)顔面に熱傷があり、鼻毛の一部が焦げていることから、Bさんは気道熱傷が疑われる状態です。現在バイタルサインに異常はみられませんが、気道熱傷から経時的に気道閉塞をきたす可能性があることから、気道確保の準備を優先します。
4.(×)熱傷部位の冷却は、気道確保の準備が整った後に行います。
第117問
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。 発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。 A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。 看護師の対応として適切なのはどれか。
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1.「お母さんがしっかりしましょう」
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2.「A君が1人になる時間をつくりましょう」
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3.「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」
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4.「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」
- 解答・解説
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1.(×)Bさんは「どうしたらよいのかわかりません」と訴えており、単なる励ましでなく具体的な支援を求めています。
2.(×)A君は母親のそばから離れず、不安や恐怖を感じている状態であり、1人きりにすべきではありません。
3.(×)A君の夜尿は急性ストレス障害が原因であると考えられるため、水分制限のみでは解決に至りません。
4.(○)夜尿などの退行現象は急性ストレス障害を示唆しており、災害などの非日常的な出来事を体験した子どもにみられる当然の反応だといえます。BさんにA君の状態を説明し、身体的接触を増やすなど、A君が安心して感情を表出できるよう支援することが適切です。
第118問
A君(男児)は3歳の誕生日を迎えた。生後8か月のときに鶏卵の摂取でアナフィラキシーを起こしたため、かかりつけ医を受診した。それ以降、現在までA君は鶏卵の摂取を禁止するよう説明されている。鶏卵以外の食物は摂取して問題がない。今回、A君は保育所の入所にあたり、かかりつけ医からアレルギー外来のあるB病院を紹介され受診した。3歳児健康診査が今後予定されている。A君は身長95cm(50パーセンタイル)、体重15kg(75パーセンタイル)、自分の名前と年齢を答えることができる。階段を1人で昇ることができるが、スキップはできない。排泄はオムツにしている。 A君の発育と発達のアセスメントで正しいのはどれか。
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1.肥満である。
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2.言語発達に遅れがある。
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3.排泄の自立に遅れがある。
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4.運動発達は年齢相応である。
- 解答・解説
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1.(×)A君のカウプ指数は16.62であり、正常の目安は15~19とされることから、肥満ではありません。なお、カウプ指数は「体重(g)÷{身長(cm)×身長(cm)}×10」で算出します。
2.(×)自分の名前と年齢を答えられることから、言語発達の遅れはないと考えられます。
3.(×)排泄が自立するのは3歳半ごろであり、現時点では年齢相応だといえます。
4.(○)階段昇降は2歳~2歳半ごろに、スキップは5歳ごろにできるようになるため、現時点では年齢相応だといえます。
第119問
A君(男児)は3歳の誕生日を迎えた。生後8か月のときに鶏卵の摂取でアナフィラキシーを起こしたため、かかりつけ医を受診した。それ以降、現在までA君は鶏卵の摂取を禁止するよう説明されている。鶏卵以外の食物は摂取して問題がない。今回、A君は保育所の入所にあたり、かかりつけ医からアレルギー外来のあるB病院を紹介され受診した。3歳児健康診査が今後予定されている。A君は身長95cm(50パーセンタイル)、体重15kg(75パーセンタイル)、自分の名前と年齢を答えることができる。階段を1人で昇ることができるが、スキップはできない。排泄はオムツにしている。 B病院の医師から母親に、アドレナリン自己注射薬を処方のうえ鶏卵の摂取制限を継続することと、近日中に鶏卵を用いた食物経口負荷試験を計画することが説明された。母親から看護師に「Aの保育所での生活や将来のことが心配です」と訴えがあった。 看護師の母親への説明で適切なのはどれか。
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1.「成長とともに卵を食べられるようになる子どもは多いです」
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2.「保育所でアレルギー疾患用生活管理指導表を作成します」
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3.「保育所でのアドレナリン自己注射薬は保護者が投与します」
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4.「給食の際は別室に移動して食べさせましょう」
- 解答・解説
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1.(○)小児型の食物アレルギーの主な抗原は鶏卵、牛乳、小麦、大豆であり、その多くは小学校入学時までに自然寛解します。
2.(×)アレルギー疾患用生活管理指導表は、医師が作成して保育所に提出します。
3.(×)アドレナリン自己注射薬は、アレルギー症状が出現した際の緊急処置であり、保育所では職員の保育士や看護師が投与することになるでしょう。
4.(×)アレルギー発症との因果関係が認められない限り、別室で給食を食べる必要はありません。
第120問
Aちゃん(6か月、女児)は両親と3人暮らし。母親と小児科外来に来院した。母親は「Aは昨日高さ30cmのソファから転落して泣いていました。今朝になっても痛いのか右手を動かさないので受診しました」と看護師に話した。看護師が身体計測のためAちゃんの服を脱がせると、顔面、頭部と体幹に最近できた紫斑と、生じてから時間が経った紫斑が複数あった。さらに、両足に多数の円形の熱傷痕があった。Aちゃんは身長66.5cm(50パーセンタイル)、体重6.0kg(3パーセンタイル未満)であった。母親は看護師に「Aは毎晩夜泣きをするし、夫もAにはイライラさせられています」と話した。看護師は虐待の可能性があると考えて対応することとし、母子分離を図ることとなった。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.虐待にあたることを伝える。
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2.乳児期に起こりやすい事故について説明する。
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3.児童相談所に通告することへの母親の同意を得る。
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4.プライバシーを保護できる個室で話を聞くと伝える。
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5.母親の代わりに父親がAちゃんに面会できると伝える。
- 解答・解説
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1.(×)疑いの段階で虐待に当たると直接母親に伝えると、逆上して混乱を招いたり、医療者との信頼関係が崩れたりする可能性があります。
2.(×)虐待の可能性があると考えた上での対応とはいえません。
3.(×)児童相談所への通告は医療者の義務であり、保護者の同意を得る必要はありません。虐待の疑いの段階でも通告の対象となります。
4.(○)母親に対しても支援は必要であり、適切な対応だといえます。
5.(×)父親による虐待の可能性もあるため、不適切な対応です。
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年度別過去問題集
2015年度 (第105回)
第107回看護師国家試験 採点除外等問題の対象は10問です。
L午前の問題:[2][9][11][83] L午後の問題:[4][5][12][22][24][114]




