午後
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第1問
平成29年(2017年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。
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1.77年
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2.82年
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3.87年
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4.92年
- 解答・解説
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平成29年(2017年)の日本における簡易生命表で、女性の平均寿命は87.26年、男性は81.09年となっています。男女ともに悪性新生物、心疾患、脳血管疾患(高血圧症を除く)などによる死亡率の変化が平均寿命を延伸する方向に働いています。簡易生命表の調査は毎年実施されるため、常に最新データの動向に留意することが大切です。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第2問
平成29年(2017年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。
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1、10%
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2、20%
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3、30%
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4、40%
- 解答・解説
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平成29年(2017年)の国民健康・栄養調査で、20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合は29.4%、女性では7.2%でした。ここ10年間でみると、健康意識の高まりや数度に及ぶたばこ税増税などにより、男女とも有意に減少しています。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第3問
じん肺(pneumoconiosis)に関係する物質はどれか。
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1.フロン
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2.アスベスト
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3.ダイオキシン類
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4.ホルムアルデヒド
- 解答・解説
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1.(×)フロンは、オゾン層破壊に関与しています。
2.(○)じん肺は、長期にわたり吸入し続けた鉱物性の粉塵が肺内に蓄積し、線維増殖を引き起こすことで生じます。代表的なじん肺には、断熱材や防音材として使われていたアスベストによる石綿肺や、ケイ酸による珪肺があります。
3.(×)ダイオキシン類は有機塩素化合物の一種であり、発癌性や催奇形性、神経毒性を有します。
4.(×)ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因となります。
第4問
日本において国民皆保険制度となっているのはどれか。
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1.医療保険
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2.介護保険
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3.雇用保険
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4.労災保険
- 解答・解説
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1.(○)わが国では、すべての国民が何らかの医療保険に加入する国民皆保険制度が採用され、社会保障制度の根幹をなしています。1958年に国民健康保険法が制定され、1961年から国民健康保険事業が始まりました。
2.(×)介護保険の被保険者は、65歳以上(第1号被保険者)と、40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)に分類されます。
3.(×)雇用保険の被保険者は、事業所に雇用された労働者です。
4.(×)労災保険(労働者災害補償保険)の被保険者は、労働者、中小企業事業主、個人事業主などです。
第5問
保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
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1.研究をする。
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2.看護記録を保存する。
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3.看護師自身の健康の保持増進を図る。
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4.業務上知り得た人の秘密を漏らさない。
- 解答・解説
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1.(×)研究は、「看護者の倫理綱領」(日本看護協会)において、看護師の努力義務とされています。
2.(×)看護記録の保存については、医療法に規定されています。
3.(×)看護師自身の健康の保持増進を図ることは、「看護者の倫理綱領」(日本看護協会)において、看護師の努力義務とされています。
4.(○)看護師および保健師の守秘義務については、保健師助産師看護師法第42条の2に規定されており、これに反した者は懲役刑や罰金刑に処されます。なお、助産師の守秘義務は、刑法第134条第1項に規定されています。
第6問
エリクソン,E.H.(Erikson,E.H.)の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。
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1.生殖性 対 停滞
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2.勤勉性 対 劣等感
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3.自主性 対 罪悪感
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4.同一性 対 同一性混乱
- 解答・解説
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米国の発達心理学者であるエリクソン,E.H.が提唱した発達理論(心理社会的発達理論)では、人生を8つの段階に分け、各段階での心理的課題と危機、課題達成により獲得する要素などを分類しています。
1.(×)成人期(壮年期)に生じる葛藤です。
2.(×)学童期(児童期)に生じる葛藤です。
3.(×)遊戯期(幼児期)に生じる葛藤です。
4.(○)同一性と同一性混乱との対立は、自分が何者なのかを考える過程で、青年期に生じる葛藤です。なお、エリクソンは同一性(アイデンティティー)という概念の生みの親としても著名です。
第7問
乳児期における呼吸の型はどれか。
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1.肩呼吸
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2.胸式呼吸
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3.腹式呼吸
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4.胸腹式呼吸
- 解答・解説
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1.(×)肩呼吸は、呼吸困難が強度になった際にみられる異常な呼吸パターンであり、肩の上下運動を伴います。
2.(×)胸式呼吸は、肋間筋の働きで胸郭を広げる呼吸法であり、学童期以降にみられます。
3.(○)腹式呼吸は、横隔膜を上下させる呼吸法であり、成人男性ではこの傾向が強くなります。新生児期や乳児期では、肋骨の走行がほぼ水平で、呼吸補助筋が未発達なため、横隔膜の働きのみで呼吸運動を行うことから腹式呼吸となります。
4.(×)腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせた胸腹式呼吸は、幼児期にみられます。
第8問
老年期にみられる身体的な変化はどれか。
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1.血管抵抗の増大
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2.消化管の運動の亢進
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3.水晶体の弾性の増大
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4.メラトニン分泌量の増加
- 解答・解説
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1.(○)加齢に伴って血管内皮細胞が硬化し、血管抵抗が増大するため、高血圧をきたしやすくなります。わが国の場合、75歳以上では男女とも約70%が高血圧を抱えています。
2.(×)粘膜萎縮や血流減少などにより消化管運動が減弱するため、便秘傾向となります。
3.(×)水晶体の弾性が低下し、毛様体筋が萎縮するため、老視となります。
4.(×)メラトニン分泌量が減少するため、睡眠障害が起こりやすくなります。
第9問
平成29年(2017年)の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。
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1.総人口
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2.年少人口
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3.老年人口
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4.生産年齢人口
- 解答・解説
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1.(×)総人口は推計1億2671万人であり、10年前の1億2803万人より減少しています。
2.(×)年少人口(0~14歳)は推計1559万人であり、10年前の1729万人より減少しています。
3.(○)老年人口(65歳以上)は推計3515万人で、10年前の2746万人と比較すると著明に増加しています。
4.(×)生産年齢人口(15~64歳)は推計7596万人であり、10年前の8302万人より減少しています。
第10問
医療法に規定されている診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は( )人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。 ( )に入る数字はどれか。
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1.9
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2.19
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3.29
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4.39
- 解答・解説
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医療法において「診療所とは、医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの、または19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう」と規定されています。「患者を入院させるための施設」は病床を意味し、病床を持つ診療所は「有床診療所」、持たない診療所は「無床診療所」と呼ばれます。有床診療所は、年々減少傾向にあります。
よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。
第11問
大腸で吸収されるのはどれか。
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1.脂質
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2.水分
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3.糖質
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4.蛋白質
- 解答・解説
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1.(×)脂質は、トリグリセリドや脂肪酸として小腸絨毛上皮細胞から吸収されます。
2.(○)水分は、大部分が小腸から吸収されますが、残った分は大腸から吸収されます。
3.(×)糖質は、単糖まで分解され、小腸で吸収されます。
4.(×)蛋白質は、ジペプチドやアミノ酸などにまで分解され、小腸で吸収されます。
第12問
三叉神経の機能はどれか。
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1.視覚
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2.眼球の運動
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3.顔面の知覚
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4.表情筋の運動
- 解答・解説
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1.(×)視覚は、視神経(II)に支配されています。
2.(×)眼球の運動は、動眼神経(III)、滑車神経(IV)、外転神経(VI)により複合的に支配されています。
3.(○)三叉神経(V)は、眼球表面、鼻粘膜、舌前2/3の温痛覚や触覚などを含む顔面の知覚を支配しています。顔面において大きく三叉(みつまた)に分岐しているため、三叉神経と呼ばれます。
4.(×)表情筋の運動は、顔面神経(VII)に支配されています。
第13問
脂肪分解酵素はどれか。
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1.ペプシン
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2.リパーゼ
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3.マルターゼ
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4.ラクターゼ
- 解答・解説
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1.(×)ペプシンは胃液の分解酵素であり、蛋白質をポリペプチドやアミノ酸に分解します。
2.(○)リパーゼは膵臓から分泌される分解酵素であり、中性脂肪(トリグリセリド)をモノグリセリドと脂肪酸に分解します。膵臓が障害されると、血中に逸脱します。
3.(×)マルターゼは腸液の分解酵素であり、マルトース(麦芽糖)などをグルコース(ブドウ糖)に分解します。
4.(×)ラクターゼは腸液に多く含まれる分解酵素であり、ラクトース(乳糖)をガラクトースとグルコースに分解します。
第14問
尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
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1.肝硬変(cirrhosis)
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2.糖尿病(diabetes mellitus)
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3.尿路感染症(urinary tract infection)
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4.ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)
- 解答・解説
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ケトン体とは、脂肪が分解されてエネルギー源として利用される際に生成されるアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
1.(×)肝硬変において、尿の変化に特徴的な所見はみられません。
2.(○)糖尿病の病態把握やコントロールの指標となるのは、尿ケトン体と尿糖です。糖尿病(特に1型)では、インスリンが過度に欠乏することで脂肪分解が亢進し、ケトン体が尿中で増加します。
3.(×)尿路感染症では、炎症により尿潜血が陽性になることがあります。
4.(×)ネフローゼ症候群では、尿蛋白が陽性となります。
第15問
下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。
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1.低カリウム血症
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2.高カルシウム血症
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3.高ナトリウム血症
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4.低マグネシウム血症
- 解答・解説
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1.(○)腸液にはカリウムが多く含まれるため、下痢により腸液を大量に喪失することで低カリウム血症をきたします。ホルモンの異常(原発性アルドステロン症など)や薬剤の影響(利尿薬など)によっても低カリウム血症を起こすことがあります。
2.(×)低カルシウム血症であれば、下痢の原因となることがあります。
3.(×)下痢から脱水が生じると、低ナトリウム血症をきたします。
4.(×)下痢によりマグネシウムが低下することがあるものの、一般的に低マグネシウム血症を引き起こすほどの大きな影響はありません。
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第16問
意識レベルを評価するスケールはどれか。
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1.Borg〈ボルグ〉スケール
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2.フェイススケール
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3.ブリストルスケール
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4.グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉
- 解答・解説
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1.(×)ボルグスケールは、運動による疲労度などを測定する指標です。
2.(×)フェイススケールは、疼痛や感情の程度をイラストの表情を用いて表す指標です。
3.(×)ブリストルスケールは、便の状態を表す指標です。
4.(○)意識レベルの評価には、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)やジャパン・コーマ・スケール(JCS)が用いられます。GCSは英国グラスゴー大学で開発されたスケールで、開眼、言語反応、運動反応の3つを点数化して判定します。
第17問
マズロー,A.H.(Maslow,A.H.)の基本的欲求の階層構造で承認の欲求はどれか。
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1.尊重されたい。
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2.休息をとりたい。
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3.他人と関わりたい。
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4.自分の能力を発揮したい。
- 解答・解説
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米国の心理学者マズローが提唱した基本的欲求の階層構造は、下位から生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求の順となっています。
1.(○)他者からの尊重や高評価は、承認の欲求に該当します。
2.(×)睡眠や休憩は、生理的欲求に該当します。
3.(×)他者との関係性を築くことは、所属と愛の欲求に該当します。
4.(×)自分の能力の発揮は、自己実現の欲求に該当します。「何らかの欠乏を埋めたい」という下層4つの欲求とは質的に異なり、最も高次の欲求だと考えられています。
第18問
過呼吸で正しいのはどれか。
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1.吸気時に下顎が動く。
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2.1回換気量が増加する。
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3.呼吸数が24/分以上になる。
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4.呼吸リズムが不規則になる。
- 解答・解説
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1.(×)吸気時に下顎が動く下顎呼吸は、終末期にみられます。
2.(○)過呼吸(過換気症候群)では、動脈血中の酸素分圧が上昇する一方、二酸化炭素分圧が低下し、1回換気量が増大します。
3.(×)呼吸回数が増加する(24/分以上)のは頻呼吸です。過呼吸では呼吸数は変化せず、呼吸の深さが大きくなります。
4.(×)過呼吸の呼吸リズムは整です。不規則な呼吸リズムがみられるのは、チェーン・ストークス呼吸などです。
※本問について、厚生労働省は「必修問題としては妥当ではないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。
第19問
患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
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1.否定的感情の表出を受けとめる。
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2.沈黙が生じた直後に会話を終える。
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3.看護師が伝えたいことに重点をおく。
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4.患者の表情よりも言語による表現を重視する。
- 解答・解説
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1.(○)肯定的感情だけでなく否定的感情の表出も支援し、受け止めることは、患者-看護師間の関係構築のために重要です。
2.(×)じっと考えていることによる沈黙であれば、会話を終えてしまうと、その内容が不明のままとなってしまいます。また、沈黙自体が何かを語っている可能性もあることに留意が必要です。
3.(×)二者間のコミュニケーションにおいて、どちらか一方に重点を置くことは不適切です。
4.(×)表情や身体動作などの非言語的コミュニケーションも、重要な感情表出の手段になり得ます。
第20問
入浴の温熱作用はどれか。
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1.筋緊張が増す。
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2.末梢血管が拡張する。
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3.慢性疼痛が増強する。
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4.循環血液量が減少する。
- 解答・解説
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1.(×)温熱作用により、筋肉は弛緩します。
2.(○)皮膚温が上昇し、末梢血管は拡張して血流量が増加します。
3.(×)慢性疼痛部位では、筋緊張が持続することで血流量が減少しています。温熱作用により血流量が増加すると疼痛閾値が上昇し、慢性疼痛は減弱します。
4.(×)末梢血管の拡張や心拍数増加により、全身の循環が亢進します。
第21問
標準予防策〈スタンダードプリコーション〉で感染源として取り扱うのはどれか。
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1.汗
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2.爪
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3.唾液
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4.頭髪
- 解答・解説
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標準予防策(スタンダードプリコーション)においては、感染症の有無にかかわらず、すべての患者の血液、体液、分泌物(汗を除く)、排泄物、傷のある皮膚、粘膜は、感染性のある病原体を含んでいるとみなして取り扱います。選択肢の中では、分泌物である唾液のみがこれに該当します。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第22問
赤血球製剤の保存温度で適切なのはどれか。
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1.-6~-2℃
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2.2~6℃
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3.12~16℃
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4.22~26℃
- 解答・解説
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1.(×)凍結保存する成分製剤としては、血漿製剤があります。-20℃以下で凍結することで、採血後1年間の保存が可能になります。
2.(○)赤血球製剤の適切な保存温度は、2~6℃の低温です。これより高温では赤血球が変形し、低温では使用時に溶血する可能性があります。
3.(×)12~16℃の保存温度が適切となる成分製剤は存在しません。
4.(×)血小板製剤は、20~24℃の室温程度で振とうしながら保存します。振とうすることで、バッグ内外の酸素交換を促し、血小板機能に影響するpHを適正に維持することができます。
第23問
成人で1日の尿量が100mL以下の状態を示すのはどれか。
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1.希尿
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2.頻尿
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3.乏尿
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4.無尿
- 解答・解説
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1.(×)希尿とは排尿回数が少ない状態であり、日中に3回未満が目安となります。
2.(×)頻尿とは排尿回数が多い状態であり、日中に8~10回以上が目安となります。
3.(×)乏尿とは、1日の尿量が400mL以下の状態を指します。
4.(○)1日の尿量が100mL以下の状態は、無尿と定義されています。腎臓で尿が生成されないケース(真性無尿)と、尿は生成されるものの膀胱まで運ばれないケース(仮性無尿)があります。
第24問
仰臥位における褥瘡の好発部位はどれか。
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1.踵骨部
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2.内顆部
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3.膝関節部
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4.大転子部
- 解答・解説
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褥瘡の原因は限局性の圧迫であり、骨突出部が好発部位となります。
1.(○)仰臥位では、仙骨部、踵骨部、肩甲骨部、後頭部などが褥瘡好発部位となります。
2.(×)内顆部は、側臥位の場合に褥瘡好発部位となります。
3.(×)膝関節部は、腹臥位や側臥位の場合に褥瘡好発部位となります。
4.(×)大転子部は、側臥位の場合に褥瘡好発部位となります。
第25問
成人の静脈血採血で通常用いられる注射針の太さはどれか。
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1.14G
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2.18G
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3.22G
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4.26G
- 解答・解説
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注射針の太さはG(ゲージ)で表されています。数字が大きくなるほど細い針となります。
1.(×)14Gは、輪状甲状膜穿刺などの緊急気道確保や緊急穿刺ドレナージなどに用いられる太い針です。
2.(×)18Gは、輸血や急速補液などで用いられます。
3.(○)成人の静脈血採血では、疼痛を軽減しつつ目的部位へ確実な刺入を行うために、21~23Gの注射針が推奨されています。
4.(×)26Gは、皮内注射や皮下注射に用いられます。採血に使用すると、細すぎて溶血する可能性が高くなります。
第26問
成人の骨格で線維軟骨結合があるのはどれか。
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1.頭蓋冠
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2.脊柱
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3.寛骨
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4.仙骨
- 解答・解説
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線維軟骨結合とは、骨の間を弾力性のある線維軟骨が結合しているものを指します。
1.(×)頭蓋冠は前頭骨・頭頂骨・側頭骨・後頭骨から構成され、これらの骨は縫合(線維性結合)により連結されています。
2.(○)脊柱の連結は、密性結合組織の中に軟骨質が混合する線維軟骨(椎間板)で構成されています。
3.(×)寛骨は腸骨・恥骨・坐骨から構成され、これらの骨は骨性結合で癒合しています。
4.(×)5つの仙椎は、骨性結合で連結しています。
第27問
咀嚼筋はどれか。
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1.頰筋
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2.咬筋
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3.口輪筋
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4.胸鎖乳突筋
- 解答・解説
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1.(×)頰筋は顔面筋(表情筋)であり、笑顔をつくるときなどに口角を引き上げます。
2.(○)咀嚼筋は、下顎骨の運動に関わる筋の総称であり、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類があります。
3.(×)口輪筋は顔面筋(表情筋)であり、唇を閉じたり突き出したりするにときに働きます。
4.(×)胸鎖乳突筋は、胸骨と鎖骨の2か所から側頭骨を結ぶ筋です。
第28問
体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。
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1.立毛
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2.発汗
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3.代謝抑制
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4.皮膚血管拡張
- 解答・解説
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体温がセットポイント(設定温度)に合致するよう調節しているのは、視床下部に存在する体温調節中枢です。
1.(○)立毛筋が収縮して毛を逆立て、熱放散を抑制して体温を上昇させようとします。ただし、体表面がほとんど毛に覆われていないヒトにおいては、実際の体温調節への影響はわずかです。
2.(×)蒸発による熱放散を防ぐため、発汗は減少します。
3.(×)エネルギー産生により、代謝は亢進します。
4.(×)熱放散を抑制するため、皮膚血管は収縮します。
第29問
二次性高血圧症(secondary hypertension)の原因となるホルモンはどれか。
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1.アルドステロン
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2.ソマトスタチン
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3.グルカゴン
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4.メラトニン
- 解答・解説
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血圧上昇の原因となる疾患の既往があり、その症状の一つとして高血圧がみられる場合を二次性高血圧症といいます。
1.(○)二次性高血圧症の原因となる代表的な疾患に、原発性アルドステロン症があります。副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌されることで、アルドステロンのカリウム排泄作用により低カリウム血症をきたします。
2.(×)ソマトスタチンは、神経伝達や細胞増殖に影響を与え、多くのホルモンの分泌を抑制します。
3.(×)グルカゴンは、インスリンとともに血糖値の制御に関与しています。
4.(×)メラトニンは、睡眠など生体リズムの調節に関与しています。
第30問
成人の急性扁桃炎(acute tonsillitis)の原因となる菌はどれか。
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1.百日咳菌〈Bordetella pertussis〉
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2.黄色ブドウ球菌〈Staphylococcus aureus〉
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3.インフルエンザ菌〈Haemophilus influenzae〉
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4.ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉
- 解答・解説
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1.(×)百日咳菌は、百日咳などの呼吸器疾患の起因菌ですが、扁桃炎は引き起こしません。
2.(○)黄色ブドウ球菌は、化膿性炎症や毒素性食中毒などを引き起こす常在菌であり、急性扁桃炎の起因菌となります。ほかに、A群β溶血性レンサ球菌や肺炎球菌も急性扁桃炎を引き起こします。
3.(×)インフルエンザ菌は、急性扁桃炎の原因となることもありますが、主に小児例となります。
4.(×)ヘリコバクター・ピロリは、胃潰瘍や胃癌の原因となります。
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第31問
急性骨髄性白血病(acute myelogeneous leukemia)の検査所見で正しいのはどれか。
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1.赤血球数が増加する。
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2.血小板数が増加する。
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3.白血球分画に白血病裂孔を認める。
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4.ミエロペルオキシダーゼ反応陽性が3%未満である。
- 解答・解説
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急性骨髄性白血病の確定診断のためには、骨髄穿刺や骨髄生検が必要となります。
1.(×)骨髄における造血が抑制されるため、赤血球数が減少して貧血をきたします。
2.(×)基本的に、増殖する細胞(幼若芽球)以外は抑制されて低下します。血小板数も減少し、出血傾向となります。
3.(○)分化能が失われた幼若芽球が異常増殖するため、残存する成熟細胞との間に本来みられる各成熟段階の細胞が存在せず、細胞分布が崩れた状態(白血病裂孔)となります。
4.(×)急性骨髄性白血病では、ミエロペルオキシダーゼ反応陽性が3%以上となります。3%未満の場合は、急性リンパ性白血病です。
第32問
Ménière〈メニエール〉病(Ménièreʼs disease)で正しいのはどれか。
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1.伝音性難聴を伴う。
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2.めまいは回転性である。
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3.発作期に外科治療を行う。
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4.蝸牛の機能は保たれている。
- 解答・解説
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1.(×)メニエール病でみられるのは、内耳~中枢の障害に起因する感音性難聴です。
2.(○)内耳障害による回転性のめまい(自身または周囲が動いているように感じられる)や、耳鳴、難聴、耳閉塞感が繰り返し生じます。
3.(×)慢性期において、難治性の場合に外科的治療が検討されます。発作期には安静を保ち、内科的治療を行います。
4.(×)メニエール病は、内耳リンパ水腫を原因とする内耳全体(蝸牛、前庭、三半規管)の疾患です。
第33問
成人の急性腎盂腎炎(acute pyelonephritis)で正しいのはどれか。
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1.男性に多い。
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2.両腎性が多い。
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3.初尿を用いて細菌培養を行う。
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4.原因菌はGram〈グラム〉陰性桿菌が多い。
- 解答・解説
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1.(×)急性腎盂腎炎は、主に膀胱炎からの逆行性尿路感染で発症するため、解剖学的理由により女性に多くみられます。男性の場合は、前立腺肥大が原因となることもあります。
2.(×)逆行性尿路感染であり、多くは片腎性です。
3.(×)尿道菌の混入を防ぐため、細菌培養には中間尿を用います。
4.(○)原因菌の多くは、大腸菌などのグラム陰性桿菌です。
第34問
国民健康保険で正しいのはどれか。
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1.被用者保険である。
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2.保険者は国である。
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3.高額療養費制度がある。
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4.保険料は加入者の年齢で算出する。
- 解答・解説
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1.(×)国民健康保険は、被用者保険や各種共済保険、後期高齢者医療制度の対象者を除いた区域内の居住者が被保険者であり、職域保険ではなく地域保険に該当します。
2.(×)保険者は、都道府県や市町村、国保組合となります。
3.(○)高額療養費制度は、同一月内における一定額以上の医療費に対して適用されます。食費や差額ベッド代などは含まれません。
4.(×)保険料は、加入者の所得や世帯構成などに応じて算出されます。
第35問
高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で、措置された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
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1.有料老人ホーム
-
2.特別養護老人ホーム
-
3.高齢者生活福祉センター
-
4.サービス付き高齢者向け住宅
- 解答・解説
-
1.(×)有料老人ホームは、自立度の高い高齢者が対象となる民間の生活支援施設です。
2.(○)虐待により生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時保護するため、特別養護老人ホームや厚生労働省令で定められた施設などの老人短期入所施設に入所させると規定されています。
3.(×)高齢者生活福祉センターは、高齢者に対して、介護支援機能、居住機能、交流機能を総合的に提供する施設です。
4.(×)サービス付き高齢者向け住宅は、主に自立した高齢者が対象であり、賃貸契約を結んだ住居で生活支援サービスを受けながら居住する民間の施設です。
第36問
母子保健統計の算出方法で出生数を分母としているのはどれか。
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1.妊娠満22週以後の死産率
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2.周産期死亡率
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3.乳児死亡率
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4.死産率
- 解答・解説
-
1.(×)死産率は、出産数(出生数+死産数)1,000に対する死産数です。選択肢の場合、出生数+妊娠満22週以後の死産数が分母となります。
2.(×)周産期死亡率は、出産1,000に対する、妊娠満22週以後の死産数+早期新生児死亡数の割合です。出生数+妊娠満22週以後の死産数が分母となります。
3.(○)乳児死亡率は、年間出生数を分母、生後1歳未満の死亡数を分子として算出されます。
4.(×)出産数(出生数+死産数)が分母となります。
第37問
健康増進法に基づき実施されるのはどれか。
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1.受療行動調査
-
2.特定保健指導
-
3.アレルギー疾患対策
-
4.受動喫煙の防止対策
- 解答・解説
-
1.(×)受療行動調査は、統計法に基づき厚生労働省が実施しています。
2.(×)特定健康診査および特定保健指導は、「高齢者の医療の確保に関する法律」(高齢者医療確保法)に基づいて実施されています。
3.(×)アレルギー疾患対策は、アレルギー疾患対策基本法に基づいて実施されています。
4.(○)健康増進法に基づいて実施されるのは、受動喫煙の防止対策です(健康増進法第6章)。健康増進法は、主に「健康日本21」の法制化を図るために制定され、2003年より施行されています。
第38問
判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.患者の疑問には専門用語を用いて回答する。
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2.今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。
-
3.治療方針への同意は撤回できないことを説明する。
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4.納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
- 解答・解説
-
1.(×)できるだけ分かりやすく、伝わりやすい一般用語に変換して回答することが適切です。
2.(×)患者中心の医療を実現するため、本人の意思を尊重することが基本であり、積極的に意思を表出できる環境を整える必要があります。
3.(×)同意後であっても、それを撤回することは可能です。
4.(○)理解・納得ができるまで、何度でも医師からの説明を受けることができます。患者自身が理解・納得した上での同意が、患者の自己決定権を尊重した医療の基礎となります。
第39問
看護過程における情報の分析はどれか。
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1.脱水状態である。
-
2.尿比重は1.030である。
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3.痛みは1~10の尺度で8である。
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4.左腓骨骨折によるシーネ固定をしている。
- 解答・解説
-
「看護過程における情報の分析」は、アセスメントを指しています。
1.(○)得られた複数の情報をもとに分析を行い、患者の状態を判断したものと考えられます。
2.(×)尿比重の数値は、検査で得られる客観的情報です。
3.(×)痛みの程度は、患者の判断に基づく主観的情報です。
4.(×)患者の状態や処置の内容をとらえた客観的情報です。
第40問
第2~第4腰髄の障害を確認する方法で適切なのはどれか。
-
1.輻輳反射
-
2.膝蓋腱反射
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3.Barré〈バレー〉徴候
-
4.Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候
- 解答・解説
-
1.(×)輻輳反射は動眼神経や三叉神経支配であり、脳幹部機能の確認に有用です。
2.(○)膝蓋腱反射は、膝頭の真下 (膝蓋腱) をゴムハンマーでたたいたとき、大腿四頭筋が急速に伸張し、筋紡錘の張力受容器からの信号が腰髄に伝わって起こる伸張反射です。膝蓋腱反射は第2~4腰髄の神経支配であるため、障害により反射は減弱します。
3.(×)バレー徴候(上肢挙上試験)により、錐体路障害(片麻痺)の有無を確認することができます。
4.(×)トレンデレンブルグ徴候は、股関節や中殿筋の障害でみられます。
第41問
成人のセルフケア行動に関する学習を促進するのはどれか。
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1.自己効力感
-
2.パターナリズム
-
3.プレパレーション
-
4.ノンコンプライアンス
- 解答・解説
-
1.(○)自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは、価値ある目標をめざして「自分ならできる」と期待や自信に満ちた感覚です。自己効力感が高い状態であるほど、セルフケア行動に関する学習は促進されやすくなります。
2.(×)パターナリズム(家父長主義)とは、強い立場の者が、相手の意思にかかわらず弱い立場の者に干渉し、支援を行う行動原理です。
3.(×)プレパレーション(心理的準備段階)は、正しい知識や情報を提供し、不安や恐怖を和らげて患児の対処能力を引き出すことです。
4.(×)ノンコンプライアンスは、患者が必要な療養法を遵守していない状況のことです。
第42問
成人女性に膀胱留置カテーテルを挿入する方法で適切なのはどれか。
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1.水溶性の滅菌潤滑剤を用いる。
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2.カテーテルは外尿道口から15cm挿入する。
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3.固定用バルーンを膨らませた後、尿の流出を確認する。
-
4.固定用バルーンにはクロルヘキシジングルコン酸塩液を注入する。
- 解答・解説
-
1.(○)陰部消毒後、尿道損傷を避けるため、カテーテル先端に水溶性の滅菌潤滑剤を塗布して挿入します。
2.(×)外尿道口から15cm程度挿入するのは男性の場合です。女性の場合、尿道の長さが3~4cmであることから、4~6cm程度挿入します。
3.(×)尿道内で注入すると尿道破裂の危険があるため、固定用バルーンは必ず尿の流出を確認した後に膨らませます。
4.(×)固定用バルーンが破裂する可能性を考慮し、生体に影響を与えない滅菌蒸留水を注入します。
第43問
中心静脈栄養法〈TPN〉で高カロリー輸液を用いる際に、起こりやすい合併症はどれか。
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1.高血圧
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2.高血糖
-
3.末梢静脈炎
-
4.正中神経麻痺
- 解答・解説
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1.(×)高カロリー輸液と高血圧に直接的な関連性はありません。
2.(○)中心静脈栄養法で高カロリー輸液を用いる際は、急速投与により糖代謝が遅延して血糖値が上昇するおそれがあるため注意が必要です。
3.(×)末梢静脈栄養法では、末梢の細い血管内に輸液を投与するため、その浸透圧やpHの影響により血管痛や末梢静脈炎を起こすことがあります。
4.(×)正中神経麻痺は、末梢静脈栄養法において起こりやすい合併症です。
第44問
成人に自動体外式除細動器〈AED〉を使用する際の電極パッドの貼付で正しいのはどれか。
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1.小児用電極パッドが代用できる。
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2.右前胸部に縦に並べて貼付する。
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3.貼付部の発汗は貼付前に拭き取る。
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4.経皮吸収型テープ剤の上に貼付する。
- 解答・解説
-
1.(×)成人に対してAEDを使用する際に、小児用電極パッドを代用することはできません。小児に対して成人用電極パッドを代用することは可能です。
2.(×)電極パッドは、心臓を挟む位置関係になるよう右前胸部と左側腹部に貼付します。
3.(○)電流を正しく流して十分な効果を得るために、貼付部の発汗は貼付前に拭き取ることが適切です。
4.(×)経皮吸収型テープ剤の上に貼付すると、誤電流による効果減弱や、皮膚障害が発生する可能性があります。
第45問
Braden〈ブレーデン〉スケールの評価項目で正しいのはどれか。
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1.湿潤
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2.循環
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3.体圧
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4.年齢
- 解答・解説
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米国のバーバラ・ブレーデンらが開発したブレーデンスケールは、知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦とずれの6項目から褥瘡リスクをアセスメントするものです。6~23点の範囲で点数が低いほどリスクが高く、在宅や施設では17点以下、病院では14点以下が高リスクとなります。
よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。
-
-
第46問
医療施設において、患者の入院から退院までの看護を1人の看護師が継続して責任をもつことを重視した看護体制はどれか。
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1.機能別看護方式
-
2.患者受け持ち方式
-
3.チームナーシングシステム
-
4.プライマリナーシングシステム
- 解答・解説
-
1.(×)機能別看護方式では、業務内容ごとに責任を分担し、複数の看護師が看護サービスを提供します。
2.(×)患者受け持ち方式では、各勤務帯において、1人の看護師が1人または特定の患者の看護サービスをすべて担当します。受け持つ患者は、勤務時間帯ごとに異なります。
3.(×)チームナーシングシステムは、1つの患者グループに対して専属の看護師チームを組織し、ケアに当たる看護体制です。
4.(○)1人の看護師(プライマリナース)が、患者の入院から退院までの看護を継続して担当する看護体制は、プライマリナーシングシステムです。
第47問
平成29年(2017年)の国民健康・栄養調査における成人の生活習慣の特徴で正しいのはどれか。
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1.朝食の欠食率は40歳代が最も多い。
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2.運動習慣のある人の割合は30歳代が最も多い。
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3.1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
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4.習慣的に喫煙している人の割合は10年前に比べて増加している。
- 解答・解説
-
1.(×)朝食の欠食率は男性で15.0%、女性で10.2%であり、男女ともに20歳代が最も高くなっています。
2.(×)運動習慣のある人の割合は男性で35.9%、女性で28.6%であり、男女ともに70歳以上が最も高くなっています。
3.(○)1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多く、男性で35.0%、女性で33.4%です。
4.(×)習慣的に喫煙している人の割合は17.7%であり、健康意識の高まりや数度に及ぶたばこ税増税などにより、10年前に比べて減少しています。
第48問
慢性疾患をもつ成人の自己管理を促進する援助はどれか。
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1.行動の習慣化を促す。
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2.医療者が患者の目標を設定する。
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3.結果を優先して評価することを促す。
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4.うまくいかない行動に目を向けるよう促す。
- 解答・解説
-
1.(○)慢性疾患を有する患者には、食事療法、薬物療法、運動療法などの種々の治療が必要とされます。また、治療が長期にわたることも特徴です。そうした治療を効果的なものとするため、望ましい行動の習慣化を促すなどして、自己管理を強化することが重要です。
2.(×)患者自身が目標を設定すべきです。
3.(×)結果よりもプロセスを重視します。
4.(×)成功体験に目を向けることが適切です。
第49問
気管支鏡検査を受ける成人患者への援助で正しいのはどれか。
-
1.検査の予約の際に抗凝固薬の内服の有無を確認する。
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2.(検査の1時間前から飲食しないように指導する。
-
3.検査中の咳は我慢しなくてよいと指導する。
-
4.検査後は肺気腫(pulmonary emphysema)の症状に注意する。
- 解答・解説
-
1.(○)気管支鏡検査に伴い出血を生じる可能性が高いため、事前に抗凝固薬内服の有無を確認し、必要に応じて休薬します。
2.(×)気管支鏡挿入を契機とした嘔吐による気道閉塞を予防する必要があります。食物の胃内停滞時間が2~4時間であることから、検査の約4時間前から飲食しないよう指導することが適切です。
3.(×)検査中の咳嗽は、誤嚥や気道粘膜の傷害を引き起こす可能性があります。
4.(×)組織採取に伴い胸膜損傷をきたすことがあるため、検査後の合併症として気胸に注意します。
第50問
ラテックス製手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭の違和感を自覚した。 原因となる病態はどれか。
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1.I型アレルギー
-
2.II型アレルギー
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3.III型アレルギー
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4.IV型アレルギー
- 解答・解説
-
1.(○)ラテックス(天然ゴム)は、バナナなどのフルーツと類似した蛋白質骨格を有するため、I型(即時型)アレルギーによるアナフィラキシーを招くアレルゲンとなり得ます。
2.(×)II型アレルギーは、抗原に対して作られた抗体が血球や血小板などを破壊する細胞傷害型アレルギーです。
3.(×)III型アレルギーでは、抗原と抗体による免疫複合体が体内の炎症を引き起こします。
4.(×)ラテックスはIV型(遅延型)アレルギーによる接触皮膚炎のアレルゲンにもなり得ますが、この場合は発症までに数日かかります。設問では手袋の着用直後に症状が現れていることから、IV型ではないと判断できます。
第51問
Aさん(59歳、女性)は裂孔原性網膜剝離(rhegmatogenous retinal detachment)と診断され、硝子体手術の際に硝子体腔中にガス注入を受けた。 手術直後、病室での体位で適切なのはどれか。
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1.坐位
-
2.腹臥位
-
3.仰臥位
-
4.側臥位
- 解答・解説
-
硝子体腔中にガス注入を行うのは、ガスの浮力により剥がれた黄斑部の網膜を押さえ、復位させて裂孔を閉鎖するためです。場合によっては眼内にシリコンオイルを注入する方法もあります。
1.(×)坐位では、注入したガスが流出する可能性があります。黄斑部の網膜が復位した後、裂孔の位置によっては坐位にする場合もあります。
2.(○)角膜からのガス流出を防いで正しく網膜を押さえるため、腹臥位とすることが適切です。
3.(×)硝子体手術の術中には、仰臥位とします。
4.(×)黄斑部の網膜が復位した後、裂孔の位置によっては側臥位にする場合もあります。
第52問
散瞳薬を用いて眼底検査を受ける成人患者への対応で適切なのはどれか。
-
1.検査中は室内を明るくする。
-
2.散瞳薬の点眼は検査直前に行う。
-
3.検査前に緑内障(glaucoma)の有無を確認する。
-
4.検査後1時間で自動車の運転が可能になると説明する。
- 解答・解説
-
眼底検査は、瞳孔を通して網膜や視神経の状態を調べるものですが、瞳孔は光を当てると縮小するため、一時的に散瞳させる必要があります。
1.(×)散瞳薬を用いた眼底検査では、室内を暗くする必要があります。
2.(×)散瞳薬の最大効果発現には、30分~1時間を要します。
3.(○)散瞳薬は抗コリン作用を有し、閉塞隅角緑内障では散瞳作用により緑内障発作が生じる危険があるため、原則禁忌となります。開放隅角緑内障であれば慎重投与となりますが、いずれにしても検査前に緑内障の有無を確認する必要があります。
4.(×)散瞳薬は効果が4~6時間持続するため、患者本人の運転による来院は避けるよう説明します。
第53問
関節リウマチ(rheumatoid arthritis)で長期にわたりメトトレキサートを服用している患者の副作用〈有害事象〉で適切なのはどれか。
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1.便秘
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2.不整脈
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3.聴力障害
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4.間質性肺炎(interstitial pneumonia)
- 解答・解説
-
メトトレキサートは、関節リウマチの第一選択薬です。
1.(×)消化管関連の副作用としては、口内炎や悪心・嘔吐などがあります。
2.(×)メトトレキサートの副作用として、不整脈の報告はほとんどみられません。
3.(×)メトトレキサートの副作用として、聴力障害の報告は知られていません。
4.(○)メトトレキサート服用により、間質性肺炎、骨髄抑制、肝機能障害などを生じることがあります。これらの重篤な副作用については、リスク因子の評価と予防対策を実施し、発生時には迅速かつ適切に対処する必要があります。
第54問
平成28年(2016年)の国民生活基礎調査で、要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合のうち、「同居の家族」が占める割合に最も近いのはどれか。
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1、20%
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2、40%
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3、60%
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4、80%
- 解答・解説
-
平成28年(2016年)の国民生活基礎調査における要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合では、配偶者や子、子の配偶者などの「同居の家族」が最も多く(58.7%)、次いで「事業者」(13.0%)、「別居の家族等」(12.2%)となっています。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第55問
老化によって減少または低下するのはどれか。
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1.重心の動揺
-
2.糸球体の数
-
3.嗅覚の閾値
-
4.前立腺の重量
- 解答・解説
-
1.(×)加齢に伴う筋力低下などにより、重心の動揺が増大して転倒リスクが高まります。
2.(○)老化に伴って生じる腎萎縮により糸球体数が減少し、糸球体濾過率が低下するため、薬物排泄速度が遅滞します。すなわち、投与した薬物が体内に蓄積されやすくなるため、注意が必要です。
3.(×)嗅細胞の鈍化により、嗅覚の閾値は上昇します。
4.(×)前立腺の肥大化がみられ、その重量も増加します。
第56問
高齢者に対するエイジズムの説明で適切なのはどれか。
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1.年齢にとらわれないこと
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2.加齢に伴う心身機能の変化
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3.高齢という理由で不当な扱いをすること
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4.老化に関連した遺伝子によって引き起こされる現象
- 解答・解説
-
エイジズム(年齢差別)とは、年齢に対する偏見や、年齢という属性のみによる画一的な差別であり、主に高齢者差別や老人蔑視のことを指します。医療現場においては、例えば、「本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること」「大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること」もエイジズムに当たります。
よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。
第57問
Aさん(90歳、女性)は、認知症(dementia)で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
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1.腹部マッサージを行う。
-
2.経口補水液の摂取を促す。
-
3.食物繊維を多く含む食事にする。
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4.石けんを使って肛門周囲を洗う。
- 解答・解説
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1.(×)腹部マッサージは、便秘に対して有効です。
2.(○)下痢による脱水を予防する目的で、経口補水液の摂取を促すことが適切です。
3.(×)食物繊維を多く含む食事は、便秘の解消に効果的です。Aさんは下痢が続いているため、軟らかく消化の良い食事にすることが適切です。
4.(×)発赤がみられることからも肛門周囲の清潔を保つことは大切ですが、皮膚への過度な刺激を避けるため微温湯で洗い、石けんの使用は控えます。
第58問
乳児の安静時におけるバイタルサインで基準値から逸脱しているのはどれか。
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1.体温37.0℃
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2.呼吸数35/分
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3.心拍数60/分
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4.血圧88/60mmHg
- 解答・解説
-
1.(×)乳児の体温は成人よりも高く、36.5~37.5℃程度が基準範囲となります。
2.(×)乳児の呼吸数は30~40回/分が基準範囲となります。
3.(○)乳児の心拍数は110~130回/分が基準範囲であり、60回/分は明らかに逸脱しています。
4.(×)乳児の血圧は80~90/60mmHgが基準範囲となります。
第59問
平成28年度(2016年度)の福祉行政報告例における児童虐待で正しいのはどれか。
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1.主たる虐待者は実父が最も多い。
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2.性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
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3.児童虐待相談件数は5年間横ばいである。
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4.心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
- 解答・解説
-
1.(×)主たる虐待者は実母(48.5%)であり、次いで実父(38.9%)となっています。
2.(×)性的虐待件数(1,622件)よりも身体的虐待件数(31,925件)のほうが圧倒的に多く報告されています。
3.(×)児童虐待相談件数は年々増加しており、平成28年度(2016年度)では122,575件に上っています。
4.(○)心理的虐待件数(63,186件)は相談種別の中で最も多く、近年顕著に増加しています。「言葉による脅し」「無視」「きょうだい間での差別的扱い」「子どもの目の前で家族に対して暴力を振るう」などが心理的虐待に当たります。
第60問
Aちゃん(5歳、女児)は、インフルエンザ脳症(influenza encephalopathy)の終末期である。Aちゃんに意識はなく、付き添っている母親は「私がもっと早く病院に連れて来ればこんなことにならなかったのに」と病室で泣いている。 Aちゃんの母親への対応で適切なのはどれか。
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1.母親に受診が遅くなった状況を聞く。
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2.母親がAちゃんに対してできるケアを提案する。
-
3.病気で亡くなった子どもの親の会を母親に紹介する。
-
4.母親が泣いている間はAちゃんの病室に居ることができないと母親に説明する。
- 解答・解説
-
1.(×)自責の念を増幅させることになるため、不適切です。
2.(○)母親の気持ちに寄り添い、Aちゃんに今できるケアを提案して一緒に実践していくことが適切です。母親として今できることに注意を向けさせることで、自責の念を軽くするとともに、少しは前向きな気持ちを引き出すことにつながります。
3.(×)Aちゃんが亡くなった後に検討される可能性はありますが、闘病中には明らかに不適切な対応です。
4.(×)母親が泣いていても、意識のないAちゃんに悪い影響を及ぼすことは考えにくいといえます。母親ができるだけ落ち着いてAちゃんと過ごせるような支援が望まれる場面です。
-
-
第61問
平成28年(2016年)の人口動態統計における日本の出生で正しいのはどれか。
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1.出生数は過去10年で最低である。
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2.出生数は100万人を上回っている。
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3.合計特殊出生率は過去10年で最低である。
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4.第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
- 解答・解説
-
1.(○)平成28年(2016年)の出生数は97万6978人であり、過去10年間の最低値でした。
2.(×)出生数は97万6978人であり、100万人を下回っています。
3.(×)合計特殊出生率は、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものです。平成28年(2016年)の合計特殊出生率は1.44であり、過去10年間の最低値は平成19年(2007年)の1.34です。
4.(×)第1子出生時の母の平均年齢は30.7歳であり、上昇傾向にあります。30歳未満であったのは平成22年(2010年)以前です。
第62問
エストロゲン低下によって更年期の女性に起こるのはどれか。
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1.骨量の低下
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2.内臓脂肪の減少
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3.脳血流量の増加
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4.HDLコレステロールの上昇
- 解答・解説
-
1.(○)エストロゲン低下により、骨芽細胞の骨形成を促進する作用、破骨細胞の骨吸収を抑制する作用が低減するため、骨吸収が骨形成を上回ることで骨量が低下し、骨粗鬆症をきたしやすくなります。
2.(×)脂質代謝能や糖代謝能が低下するため、内臓脂肪は増加します。
3.(×)エストロゲンは、脳血管を拡張して脳循環を促進する作用を有します。そのため、エストロゲン低下により脳血流量は減少します。
4.(×)HDLコレステロールは低下する傾向にあり、エストロゲン低下と脂質異常症との密接な関連性も指摘されています。
第63問
順調に分娩が進行している産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と看護師に訴えがあった。流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。 その時の産婦への対応で優先されるのはどれか。
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1.更衣を促す。
-
2.体温を測定する。
-
3.食事摂取を勧める。
-
4.胎児心拍数を確認する。
- 解答・解説
-
1.(×)胎児の状態を把握した後、必要に応じて更衣を行います。
2.(×)順調に分娩が進行している産婦であり、体温測定を優先する意義はありません。
3.(×)産婦は、消化機能が低下して嘔吐しやすい状態にあります。分娩が開始している段階では、嘔吐の可能性があるため、食事摂取は勧められません。
4.(○)胎児心拍数のモニタリングは、主に分娩中の胎児のwell-being(元気の程度)を評価するために行われます。分娩進行中の破水であり、臍帯脱出や胎児の位置変化が起こる可能性があるため、まずは胎児心拍数を確認することが優先されます。.
第64問
新生児の反応の図を示す。 Moro〈モロー〉反射はどれか。
-
1.1
-
2.2
-
3.3
-
4.4
- 解答・解説
-
1.(×)口唇探索反射です。口の周辺を刺激すると、刺激を受けた方向を向いて口を開けます。
2.(×)緊張性頸反射です。仰向けにして顔を一方に向けると、顔を向けた側の上下肢が伸展し、反対側が屈曲します。
3.(○)Moro<モロー>反射です。急に支えを外して頭部を落下させたときや、大きな音がしたとき、両上肢を開いて抱きつくような左右対称の動作をします。出生直後よりみられ、多くは生後4か月ごろまでに消失します。
4.(×)自動歩行です。両脇を支えて足の裏を軽く床に触れさせると、歩き出すように足を交互に屈曲・伸展します。
第65問
飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。
-
1.昇華
-
2.転換
-
3.合理化
-
4.反動形成
- 解答・解説
-
1.(×)昇華とは、本能的欲求を抑圧し、それを社会的に受け入れられやすいかたちに変えて発散することです。
2.(×)転換とは、欲求の対象や表現の仕方を別のものに置き換えることです。
3.(×)合理化とは、満たされなかった欲求に対して正当化するための理由付けをし、自身を納得させることです。
4.(○)無意識の中にある抑圧された欲求と正反対の態度が強調されて示された状態であり、反動形成に該当します。本心とは正反対の振る舞いをするためストレスが蓄積され、精神上の問題につながるおそれもあります。
第66問
アギュララ,D.C.(Aguilera,D.C.)が提唱した危機〈クライシス〉を回避する要因で正しいのはどれか。
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1.情緒的サポート
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2.適切な対処機制
-
3.問題志向のコーピング
-
4.ソーシャルインクルージョン
- 解答・解説
-
1.(×)カプラン,G.(Caplan,G)によれば、ソーシャルサポートの種類には、道具的サポート、情報的サポート、情緒的サポート、評価的サポートがあります。
2.(○)均衡回復に関わる要素には、ストレスとなる出来事の知覚、社会的支持、適切な対処機制があり、これらのうち1つでも欠如すると危機に陥るとされています。
3.(×)問題志向のコーピングは、ラザルス,R.S.(Lazarus,R.S)が提唱したストレスコーピング理論の概念の一つです。
4.(×)ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)は、すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活を実現できるよう社会の構成員として互いに支え合うという理念です。
第67問
精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。
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1.うつ病(depression)患者の復職支援
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2.住民同士のつながりの強化
-
3.精神保健に関する問題の早期発見
-
4.ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
- 解答・解説
-
1.(○)精神障害の三次予防(治療、職場復帰支援、再発予防)は、病気により残存する障害を最小限にし、その制約の下でも充実した生き方ができるようにすることであり、うつ病患者の復職支援が該当します。
2.(×)住民同士のつながりの強化は、直接的には精神障害の一~三次予防には含まれません。間接的には、一次予防や三次予防の効果があると考えられます。
3.(×)精神保健に関する問題の早期発見は、二次予防(早期発見・早期治療)に該当します。
4.(×)知識の提供は、一次予防(健康増進、疾病予防)に該当します。
第68問
成人期早期に、見捨てられることに対する激しい不安、物質乱用や過食などの衝動性、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りがみられ、社会的、職業的に不適応を生じるのはどれか。
-
1.回避性人格〈パーソナリティ〉障害(avoidant personality disorder)
-
2.境界性人格〈パーソナリティ〉障害(borderline personality disorder)
-
3.妄想性人格〈パーソナリティ〉障害(paranoid personality disorder)
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4.反社会性人格〈パーソナリティ〉障害(antisocial personality disorder)
- 解答・解説
-
1.(×)回避性人格〈パーソナリティ〉障害は、周囲からの批判や拒絶に過敏であり、刺激をもたらす状況を避けることが特徴です。
2.(○)設問の内容は、境界性人格〈パーソナリティ〉障害の特徴に合致します。青年期または成人早期に始まり、対人関係などに困難を抱え、著しい生きづらさを感じます。
3.(×)妄想性人格〈パーソナリティ〉障害では、他者に対する根拠のない疑念や不信が広汎なパターンで現れます。
4.(×)反社会性人格〈パーソナリティ〉障害は、他者の権利や感情を無視し、罪悪感の欠如した衝動的・攻撃的な行動が特徴です。
第69問
医療保護入院で正しいのはどれか。
-
1.入院の期間は72時間に限られる。
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2.患者の家族等の同意で入院させることができる。
-
3.2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となる。
-
4.精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象である。
- 解答・解説
-
精神科病院への入院形態は、精神保健福祉法に規定されています。
1.(×)72時間に限り入院が可能であるのは、応急入院と緊急措置入院です。
2.(○)医療保護入院は、精神保健指定医(または特定医師)が診察を行い、入院の必要性を認めた場合、患者本人の同意が得られなくても、家族等の同意で入院させることを可能とするものです。
3.(×)2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となるのは、措置入院です。
4.(×)措置入院または緊急措置入院の対象となります。
第70問
Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷(spinal cord injury)のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。 Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。
-
1.「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
-
2.「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
-
3.「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
-
4.「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」
- 解答・解説
-
1.(×)Aさんは「元の職場に戻りたい」と希望しており、本人の意向に沿わない助言です。
2.(×)通勤手段や職場環境などの問題について検討せず、安易に職場復帰は可能と伝えることは不適切です。
3.(○)職場復帰にあたり、考えられる課題をAさんと一緒に検討することは、退院調整として適切なサポートとなります。課題を整理する過程で気持ちも整理されていき、これからの職業生活に前向きに適応できるようになると考えられます。
4.(×)本人の希望や自己決定を否定する発言であり、自己決定を支援する助言としては不適切です。
第71問
訪問看護事業所で正しいのはどれか。
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1.24時間対応が義務付けられている。
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2.自宅以外への訪問看護は認められない。
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3.特定非営利活動法人〈NPO〉は事業所を開設できる。
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4.従事する看護師は臨床経験3年以上と定められている。
- 解答・解説
-
1.(×)24時間対応をすれば診療報酬の「24時間対応体制加算」を算定できますが、義務ではありません。
2.(×)訪問する居宅等には、自宅以外の居宅、各種ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設も含まれます。
3.(○)特定非営利活動法人<NPO>のみならず、各種法人(株式会社、医療法人、社会福祉法人など)が開設可能です。
4.(×)従事する看護師に対する臨床経験規定は存在しません。
第72問
Aさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の既往がある。妻から「最近、夫は食事をむせずに食べることができるが、口の中に食べ物が残っていることが多い。夫の食事について助言が欲しい」と訪問看護師に相談があった。 妻への訪問看護師の助言で適切なのはどれか。
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1.「食事にとろみをつけましょう」
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2.「自助具を使って食事をしましょう」
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3.「口に入れる1回量を少なくしましょう」
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4.「食事前に舌の動きを促す運動をしましょう」
- 解答・解説
-
1.(×)とろみをつけることは誤嚥防止に有効ですが、むせずに食べることができるAさんに関する助言としては不適切です。
2.(×)摂食動作に問題のないAさんに自助具は不要です。
3.(×)1回量を少なくすることで、誤嚥を予防したり、口腔内残渣の量を一時的に減らしたりする効果は期待できますが、根本的な改善にはつながりません。
4.(○)口腔内の食物残渣は、舌や頬などの筋力が衰え、食塊を作り、嚥下する機能が低下することが大きな原因となって生じます。食事前に舌の動きを促す運動をすることは、有効な対策だといえます。
第73問
皮下埋込みポートを用いた在宅中心静脈栄養法〈HPN〉で適切なのはどれか。
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1.抜針して入浴することができる。
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2.24時間持続する注入には適さない。
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3.同居の家族がいることが必須条件である。
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4.外出時に輸液ポンプを使うことはできない。
- 解答・解説
-
1.(○)抜針後の止血が確認でき、皮膚の異常がみられなければ、入浴することができます。
2.(×)間欠的輸液も24時間持続注入も可能です。
3.(×)在宅中心静脈栄養法〈HPN〉に対する本人の知識や意向、安全に実施できる体制の確立などが必須条件となりますが、同居の家族がいることは必ずしも条件には含まれません。
4.(×)充電式の携帯型輸液ポンプを使い、持続注入しながら外出することも可能です。
第74問
与薬の事故防止に取り組んでいる病院の医療安全管理者が行う対策で適切なのはどれか。
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1.与薬の業務プロセスを見直す。
-
2.医師に口頭での与薬指示を依頼する。
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3.病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。
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4.インシデントを起こした職員の研修会を企画する。
- 解答・解説
-
1.(○)事故防止策として、いわゆる6Rやダブルチェックを徹底するなど業務プロセスの見直しを行い、適宜マニュアルの修正などを実施することが適切です。
2.(×)口頭での指示は事故につながるリスクが高いため、文書による依頼が推奨されます。
3.(×)病棟ごとでは混乱が生じる可能性があるため、院内で統一したマニュアルを作成する必要があります。
4.(×)研修会は、インシデントを起こした本人を対象とするだけでなく、病院全体で学びを共有できるように設定します。
第75問
Aさん(55歳、女性)は、1人暮らし。Aさんには視覚障害があり、光と輪郭がぼんやりわかる程度である。食事の準備や室内の移動は自立している。震度6の地震が発生した。Aさんは、避難所に指定されたバリアフリーの公民館に近所のBさんと避難した。公民館には複数の部屋がある。避難所の開設初日に医療救護班として看護師が派遣された。 避難所生活を開始するAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.BさんをAさんの介助者とする。
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2.Aさんの肩に触れてから声をかける。
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3.Aさんにはトイレに近い部屋を割りあてる。
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4.移動するときはAさんの手を引っ張って誘導する。
- 解答・解説
-
1.(×)Bさんも被災者であり、普段からAさんの介助者であるわけではないため、一方的に決めてしまうと大きなストレスがかかる可能性があります。
2.(×)視覚障害者の身体に突然触れると、驚いて思わぬ事故につながる可能性もあります。Aさんの聴覚は保たれているため、まずは声かけをします。
3.(○)室内での移動は自立していますが、避難所という慣れない場所で負担軽減を図る必要があります。周囲に遠慮してトイレを控えるようなことがないよう環境を整えます。
4.(×)介助者の上腕や肘を支えにして誘導するほうが、引っ張るよりも転倒のリスクは下がります。
-
-
第76問
朝9時に大規模地震が発生した。病棟の患者と職員の安全は確認できた。病棟内の壁や天井に破損はなかったが、病院は、停電によって自家発電装置が作動した。 病棟の看護師長が行う対応で適切なのはどれか。
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1.災害対策本部を設置する。
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2.災害時マニュアルを整備する。
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3.隣接する病棟に支援を要請する。
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4.スタッフに避難経路の安全確認を指示する。
- 解答・解説
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1.(×)災害対策本部の設置は、災害時マニュアルに定められた本部長(通常は院長)が行います。院長不在の場合の対応も、災害時マニュアルに沿って行います。
2.(×)災害時マニュアルの整備は、平時に行っておくべき備えです。
3.(×)病棟間の支援を検討するのは、院内全体の状況確認後が望ましいといえます。
4.(○)自身の安全確保と、病棟の患者や職員の安全確認が完了した状態です。余震や津波発生などで状況の変化も考えられることから、スタッフに避難経路の安全確認を指示することが適切です。
第77問
Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。 予測される感染症はどれか。
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1.マラリア(malaria)
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2.コレラ(cholera)
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3.赤痢(amebiasis)
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4.破傷風(tetanus)
- 解答・解説
-
1.(○)マラリアは、マラリア原虫を持った蚊(ハマダラ蚊属)に刺されることで感染し、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域で多く発生しています。周期的に発熱と解熱を繰り返す熱型が特徴的です。
2.(×)マラリアと同様、コレラもアフリカで多くみられますが、米のとぎ汁様下痢が主症状であり、腹部症状のないAさんでは否定的です。
3.(×)マラリアと同様、赤痢もアフリカで感染する可能性がありますが、下腹部痛や下痢、粘血便などの腹部症状が主となります。
4.(×)土壌周辺での外傷歴などは不明ですが、開口障害や強直性痙攣などの神経症状を伴わないことから否定的です。
第78問
看護師の特定行為で正しいのはどれか。
-
1.診療の補助である。
-
2.医師法に基づいている。
-
3.手順書は看護師が作成する。
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4.特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。
- 解答・解説
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1.(○)特定行為は、看護師が医師の包括的指示の下、手順書に基づいて行う診療の補助であり、実践的な理解力や思考力、判断力とともに、高度かつ専門的な知識および技能が特に必要とされる38行為が対象となります。
2.(×)特定行為は、保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定されています。
3.(×)手順書は、医師または歯科医師が作成します。
4.(×)特定行為を指示する者は医師または歯科医師であり、特定行為として歯科医行為を行うことも可能です。
第79問
( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。 ( )に入るのはどれか。
-
1.舌
-
2.食道
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3.小腸
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4.腎臓
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5.下肢
- 解答・解説
-
1.(×)上半身からの血液は、上大静脈から右心房に戻ります。
2.(×)食道からの血液は、奇静脈を通って上大静脈から右心房に戻ります。
3.(○)小腸の組織を灌流して栄養素などを含んだ血液は腸間膜静脈に集まり、それから代謝のために門脈を通って肝臓に流入し、肝静脈から下大静脈を経て心臓に戻ります。
4.(×)腎臓からの血液は、腎静脈を通って下大静脈から右心房に戻ります。
5.(×)下肢の血液は、大腿静脈を通って下大静脈から右心房に戻ります。
第80問
「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。 肺活量を示すのはどれか。
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1.1
-
2.2
-
3.3
-
4.4
-
5.5
- 解答・解説
-
1.(×)残気量です。最大呼出の状態において肺内に残っている空気の量となります。
2.(×)最大吸気量です。深呼吸時の肺容量であり、予備吸気量+1回換気量となります。
3.(×)機能的残気量です。予備呼気量+残気量となります。
4.(×)全肺気量です。肺活量+残気量となります。
5.(○)肺活量です。最大吸気点から最大呼気点までの容量であり、予備吸気量+1回換気量+予備呼気量となります。
第81問
健常な成人において、血液中のグルコース濃度が低下した時に、グルカゴンの働きでグリコゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出するのはどれか。
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1.肝臓
-
2.骨格筋
-
3.脂肪組織
-
4.心臓
-
5.膵臓
- 解答・解説
-
1.(○)肝臓は、血液中のグルコース濃度(血糖値)が低下すると、グルカゴンなどの働きによりグリコゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出して血糖値を上昇させます。
2.(×)骨格筋は、グルコースを筋グリコーゲンとして貯蔵し、運動のエネルギー源として消費します。
3.(×)脂肪組織は、グルコースを取り込み、脂肪に変換して蓄えます。
4.(×)心臓は、グルコースをエネルギー源の一部として利用します。
5.(×)膵臓は、インスリンやグルカゴンの合成や分泌を行います。インスリンは血糖値を下げ、グルカゴンは血糖値を上げる働きをします。
第82問
関節運動はないが筋収縮が認められる場合、徒手筋力テストの結果は( )/5と表記する。 ( )に入るのはどれか。
-
1.1
-
2.2
-
3.3
-
4.4
-
5.5
- 解答・解説
-
徒手筋力テストにおける0(zero)は、筋の収縮がまったく認められない状態です。
1.(○)関節運動はないものの筋収縮が認められる場合は、1(trace)となります。
2.(×)2(poor)は、重力を除去すれば運動域全体に動かせる状態です。
3.(×)3(fair)は、抵抗を加えなければ重力に抵抗して運動域全体に動かせる状態です。
4.(×)4(good)は、抵抗を加えても運動域全体に動かせる状態です。
5.(×)5(normal)は、強い抵抗を加えても運動域全体に動かせる状態です。
第83問
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration)の症状はどれか。
-
1.羞明
-
2.霧視
-
3.飛蚊症
-
4.眼圧の亢進
-
5.中心視野の欠損
- 解答・解説
-
加齢黄斑変性は、加齢に伴い網膜の中心部にある黄斑(細かい物を識別したり、色を見分けたりする機能を持つ部分)が変性し、視力障害をきたす疾患です。
1.(×)羞明は、眼に入る光が散乱してまぶしく不快に感じる症状です。白内障やぶどう膜炎などでみられます。
2.(×)霧視は、霧がかかったように視界全体がかすんで見える症状です。角膜~網膜に濁りが生じると起こります。
3.(×)飛蚊症の病的な原因としては、網膜剥離や硝子体混濁などが挙げられます。
4.(×)眼圧の亢進は、緑内障の主症状です。
5.(○)加齢黄斑変性では、加齢による黄斑への老廃物蓄積や新生血管の発生などにより、相当する視野の中心部が欠損します。
第84問
高齢者が共同生活をする施設で、感染の拡大予防のために個室への転室などの対応を必要とするのはどれか。
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1.白癬(tinea)
-
2.帯状疱疹(herpes zoster)
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3.蜂窩織炎(cellulitis)
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4.角化型疥癬(keratotic scabies)
-
5.皮膚カンジダ症(cutaneous candidiasis)
- 解答・解説
-
1.(×)白癬は、白癬菌という真菌に感染することで発症する皮膚疾患であり、俗に水虫と呼ばれます。菌が付着したスリッパやバスマットなどを介して感染するため注意が必要ですが、個室隔離の必要はありません。
2.(×)帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスによる感染症であり、接触感染を防ぐ対応が必要となります。成人であれば多くは水痘の既感染者であることからも、個室隔離は不要です。
3.(×)蜂窩織炎は黄色ブドウ球菌などの日和見感染が多く、免疫不全者以外の感染リスクは低いため、個室隔離は必要ありません。
4.(○)角化型疥癬は、ヒゼンダニが皮膚の角層内に存在し、飛び散った落屑により感染が拡大します。感染力が非常に高いため、個室隔離による管理が必要です。
5.(×)皮膚カンジダ症は、カンジダ属の真菌による感染症であり、接触感染対策を実施すれば個室隔離は不要です。
第85問
3歳児の排泄行動の発達に該当するのはどれか。
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1.夜尿をしなくなる。
-
2.尿意を自覚し始める。
-
3.排便後の後始末ができる。
-
4.トイレに行くまで排尿を我慢できる。
-
5.遊びに夢中になっても排尿の失敗がなくなる。
- 解答・解説
-
1.(×)ほとんどの子どもが完全に夜尿をしなくなるのは、5~6歳ごろです。
2.(×)尿意を自覚し始めるのは、大脳皮質が発達して脳と膀胱の情報伝達が可能となる1~2歳です。
3.(×)紙を使って後始末ができるようになるのは、4~5歳です。
4.(○)3歳ごろには、トイレに行くまで排尿を我慢できるようになってきます。トイレトレーニングを行い、おむつからパンツへ切り替えを図るのも、この辺りのタイミングです。
5.(×)3~4歳で排尿が自立しても、排尿の抑制は未熟であり、遊びなどに夢中になると失敗することがあります。
第86問
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)〈SLE〉で正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.遺伝素因の関与が大きい。
-
2.発症には男性ホルモンが関与する。
-
3.中枢神経症状は生命予後に影響する。
-
4.I型アレルギーによる免疫異常である。
-
5.適切に治療しても5年生存率は50%である。
- 解答・解説
-
1.(○)全身性エリテマトーデスは、遺伝的素因の関与が大きい自己免疫疾患です。
2.(×)患者には女性が多く、男性ホルモンの関与は否定的です。
3.(○)全身性エリテマトーデスに合併する中枢神経障害やループス腎炎は、予後に影響します。
4.(×)全身性エリテマトーデスはIII型アレルギー(免疫複合体反応)であり、増悪と寛解を繰り返しますが、多くは慢性の経過をたどります。
5.(×)早期診断・早期治療が可能になった現在では、5年生存率は95%以上となっています。治療にはステロイドや免疫抑制薬が用いられます。
第87問
大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。
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1.前額部の切創で出血している。
-
2.オートバイ事故で両大腿が変形している。
-
3.プールの飛び込み事故で四肢が動かない。
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4.デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている。
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5.火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にII度の熱傷(burn)を負っている。
- 解答・解説
-
1.(×)前額部の切創では動脈が損傷する可能性が低いため、大量輸液が必要となるほどの出血は起こりません。
2.(○)大腿部骨折が考えられるため、出血性ショックの予防として大量輸液を必要とする可能性が高いです。
3.(×)プールの飛び込み事故による頸髄損傷などが考えられるため、損傷部位の保護や気道確保が優先されます。
4.(×)呼吸器系や循環器系の異常が考えられるため、輸液療法を行う可能性がありますが、心破裂以外であれば大量には必要ありません。
5.(○)広範囲のII度熱傷(真皮に達し、水疱がみられる)であり、重症熱傷では体液喪失性ショックに対処するため、大量輸液による補正が必要となります。
第88問
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease)で正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.青年期に多い。
-
2.高脂肪食の摂取を勧める。
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3.食後は左側臥位で休息する。
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4.下部食道括約筋の弛緩が関与する。
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5.H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。
- 解答・解説
-
1.(×)胃食道逆流症は、中高年に多く発症します。
2.(×)高脂肪食は胃に停滞する時間が長くなるため、胃食道逆流症のリスク因子となります。
3.(×)食後2~3時間はファウラー位や座位とし、上半身を高くすることで胃内容物の逆流を防ぎます。
4.(○)逆流を防ぐ下部食道括約筋の弛緩により、胃酸や胆汁を含む胃内容物が食道に逆流しやすくなります。
5.(○)胃酸を抑制するH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬を用いて、胸やけなどの不快な自覚症状を緩和します。
第89問
健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっているのはどれか。2つ選べ。
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1.十代の喫煙率
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2.十代の自殺死亡率
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3.十代の定期予防接種の接種率
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4.児童・生徒における不登校の割合
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5.児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合
- 解答・解説
-
1.(○)基盤課題B(学童期・思春期から成人期に向けた保健対策)の健康行動の指標として、十代の喫煙率や飲酒率、朝食を欠食する子どもの割合などが挙げられています。
2.(○)基盤課題Bの健康水準の指標として、十代の自殺死亡率や人工妊娠中絶率、性感染症罹患率などが挙げられています。
3.(×)基盤課題Bにおける指標とはされていません。
4.(×)児童・生徒における不登校の割合を調査しているのは文部科学省であり、健やか親子21(第2次)の課題指標には含まれていません。
5.(×)基盤課題Bにおける指標とはされていません
第90問
1,500mLの輸液を朝9時からその日の17時にかけて点滴静脈内注射で実施する。 20滴で1mLの輸液セットを用いた場合の1分間の滴下数を求めよ。 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
-
計算問題であるため、四肢択一または五肢択一ではありません。別添画像P90を参照ください。
- 解答・解説
-
1分間の滴下数は、「(総輸液量×輸液セットの1mL当たりの滴下数)÷(時間×60)」で求めることができます。
設問においては「(1500×20)÷(8×60)=62.5」なので、小数点以下第1位を四捨五入して63が答えになります。
-
-
第91問
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍(thyroid tumor)の疑いで大学病院に紹介された。 嗜好品:飲酒はビール700mL/日を週5日 趣味:ジョギングとヨガ Aさんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。
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1.血中サイログロブリン値検査
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2.頸部エックス線撮影
-
3.穿刺吸引細胞診
-
4.頸部CT
- 解答・解説
-
1.(×)サイログロブリンは、甲状腺濾胞細胞で合成される糖蛋白質です。甲状腺腫瘍により血中サイログロブリン値は上昇しますが、それだけで確定診断には至りません。
2.(×)頸部X線写真にて石灰化などの所見が確認できますが、それだけで確定診断には至りません。
3.(○)甲状腺腫瘍の診断では、超音波検査と穿刺吸引細胞診が重要です。穿刺吸引細胞診により、良性/悪性の鑑別や、組織型の診断が可能となります。
4.(×)頸部CTは、腫瘍の周囲への浸潤や転移の状況を確認するために施行されます。
第92問
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍(thyroid tumor)の疑いで大学病院に紹介された。 嗜好品:飲酒はビール700mL/日を週5日 趣味:ジョギングとヨガ 検査の結果、Aさんは甲状腺乳頭癌(papillary adenocarcinoma of the thyroid)であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。Aさんは、手術前オリエンテーションの際「手術後にどんな症状が起こりやすいのか教えてください」と話した。 この時のAさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
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1.「手がつる感じがあります」
-
2.「目が閉じにくくなります」
-
3.「声が出なくなります」
-
4.「唾液が多くなります」
- 解答・解説
-
1.(○)甲状腺全摘出術では副甲状腺も摘出されることから、低カルシウム血症を招き、テタニー(意思とは無関係の筋肉のけいれん)をきたしやすくなります。
2.(×)目の開閉をコントロールする眼瞼挙筋などは、顔面筋の一部です。顔面筋を動かす顔面神経は主に脳幹から走行しており、甲状腺全摘出術の影響は受けにくいといえます。
3.(×)術後に起こりやすい合併症は反回神経麻痺であり、嗄声、嚥下障害、呼吸困難、誤嚥などを生じることがあります。
4.(×)甲状腺全摘出術では唾液腺を操作しないため、唾液分泌に影響することは考えにくいといえます。
第93問
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍(thyroid tumor)の疑いで大学病院に紹介された。 嗜好品:飲酒はビール700mL/日を週5日 趣味:ジョギングとヨガ 検査の結果、Aさんは甲状腺乳頭癌(papillary adenocarcinoma of the thyroid)であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。 Aさんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。Aさんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。 看護師が行うAさんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。
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1.「運動は控えましょう」
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2.「1年間は妊娠を控えましょう」
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3.「海藻類の摂取に制限はありません」
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4.「飲酒量は入院前と同じでよいです」
- 解答・解説
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1.(×)激しいスポーツについては検討の余地があるものの、運動全般を控える必要は特にありません。術後1週間程度は、頸部に負担がかかる動作を控えます。
2.(×)一律に1年間妊娠を控えることに根拠はなく、避妊は不要です。術後に甲状腺機能が低下することがあるため、挙児希望の場合は医師に相談することを勧めます。
3.(○)海藻類の摂取制限が必要なのは橋本病(慢性甲状腺炎)であり、甲状腺全摘出術後は基本的に食生活を制限する必要はありません。
4.(×)入院前はビール700mL/日を週5日という飲酒量であり、術後の体調を考慮すると節酒が勧められます。
第94問
Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球14,960/μL、Hb 12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121IU/L、リパーゼ45IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP 9.2mg/dL。 腹部超音波検査所見:胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんの病態で正しいのはどれか。
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1.急性胃炎(acute gastritis)
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2.急性腎不全(acute renal failure)
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3.閉塞性黄疸(obstructive jaundice)
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4.溶血性貧血(hemolytic anemia)
- 解答・解説
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1.(×)急性胃炎では食直後の心窩部痛が特徴的であり、眼球結膜の黄染や腹部超音波検査所見からも否定できます。
2.(×)尿素窒素、血清クレアチニン、血圧などの数値が基準範囲内であり、2か月前から症状が持続していることからも急性腎不全は否定的です。
3.(○)自然に消失する右季肋部痛を繰り返し、胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石がみられ、直接ビリルビンが高値であることなどから、閉塞性黄疸が考えられます。総胆管閉塞のため胆汁が十二指腸に排出されず、血液中に直接ビリルビンが逆流したものです。
4.(×)直接ビリルビンが高値であることから肝後性の黄疸であり、溶血性貧血による黄疸は否定できます。
第95問
Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球14,960/μL、Hb 12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121IU/L、リパーゼ45IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP 9.2mg/dL。 腹部超音波検査所見:胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉を受ける方針となった。検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.「のどに麻酔をします」
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2.「磁力を使った検査です」
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3.「造影剤を静脈から投与します」
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4.「検査は仰向けで行います」
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5.「検査後の合併症に膵炎があります」
- 解答・解説
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内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉では、内視鏡先端のカテーテルを総胆管に入れ、水溶性造影剤を注入してX線撮影を行います。
1.(○)口腔から生理的に内視鏡を挿入するため、疼痛予防を目的として、リドカインによる咽頭麻酔を行います。
2.(×)水溶性造影剤を注入して透視下で行われる検査であり、放射線(X線)を用います。
3.(×)造影剤は、内視鏡先端のカテーテルから注入します。
4.(×)左側臥位で検査を開始し、内視鏡が十二指腸に達した段階で腹臥位とします。
5.(○)内視鏡挿入による機械的刺激などにより、急性膵炎を引き起こす可能性があります。
第96問
Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。 身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。 検査所見:白血球14,960/μL、Hb 12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121IU/L、リパーゼ45IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP 9.2mg/dL。 腹部超音波検査所見:胆嚢壁の肥厚、胆嚢の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。 Aさんには、緊急内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉に続いて内視鏡的経鼻胆管ドレナージ〈ENBD〉が留置された。入院時に採取した血液培養からは大腸菌〈E.coli〉が検出されたが、抗菌薬治療とENBDにより解熱している。 入院後2日、Aさんは右季肋部の違和感を訴えた。バイタルサインは正常である。 この時の看護師の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.ドレナージチューブをクランプする。
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2.ドレナージチューブから空気を注入する。
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3.ドレナージチューブの固定位置を確認する。
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4.ドレナージチューブからの排液量を確認する。
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5.ドレナージチューブをアルコール綿で消毒する。
- 解答・解説
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内視鏡的経鼻胆管ドレナージ〈ENBD〉は、ドレナージチューブの一方を胆管の閉塞部位の上流に留置し、もう一方から経鼻的に胆汁を排出させる方法です。
1.(×)ドレナージチューブをクランプすると、排液がうっ滞してしまいます。
2.(×)空気を注入すると、胆管内の汚染や逆流を助長することが考えられます。
3.(○)固定位置の移動によりドレナージが正確に行われていない可能性があり、チューブによる直接刺激も疑われるため、位置を確認することが適切です。
4.(○)ENBDのチューブは細く閉塞しやすいため、排液の流出を定期的に確認する必要があります。
5.(×)チューブをアルコール綿で消毒しても、感染予防にはなりません。
第97問
Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。 既往歴:1年前に前立腺癌(prostatic cancer)のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。 身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。 生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。 Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。 Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
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1.過活動膀胱 (overactive bladder)
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2.腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)
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3.溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)
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4.腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症
- 解答・解説
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1.(○)尿意を感じた後の大量の尿失禁が1日のうちに複数回みられることから、脳梗塞による中枢神経系の障害を原因とする過活動膀胱が考えられます。十分量の尿が貯留していないにもかかわらず、膀胱が不随意に収縮することで頻尿をきたします。
2.(×)腹圧性尿失禁は、咳嗽などの腹圧刺激による尿失禁です。
3.(×)溢流性尿失禁は、尿意を感じることなく尿が膀胱内から押し出されて生じます。
4.(×)腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症として生じる可能性があるのは、腹圧性尿失禁です。
第98問
Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。 既往歴:1年前に前立腺癌(prostatic cancer)のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。 身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。 生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。 入所後2日、Aさんは箸を使って食事をするが、いつも左側に置かれた食器には食べ残しがあった。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
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1.スプーンの使用を勧める。
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2.反復唾液嚥下テストを行う。
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3.食事の途中で食器の配置を変える。
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4.食器の下に滑り止めマットを敷く。
- 解答・解説
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1.(×)箸による食事が可能であり、スプーンを使う必要はありません。
2.(×)構音障害や嚥下機能障害は生じていないため、反復唾液嚥下テストを行う必要はありません。
3.(○)左半側空間無視が生じており、左側に置かれた食器が認識できていないため、途中で食器の位置を右側に変えることが適切な対応です。半側空間無視は、大脳半球の障害された部分と反対側の空間認知ができなくなる病態であり、主に右半球の脳血管障害後に起こります。
4.(×)食器が滑りやすいことが原因で食べ残しているわけではありません。
第99問
Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。 既往歴:1年前に前立腺癌(prostatic cancer)のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。 身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。 生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。 入所後3日、Aさんは入浴した。Aさんは自分で脱衣し、体を洗えたが、洗い残した部分を看護師が介助した。入浴後に看護師がAさんに服を手渡すと、Aさんは戸惑った表情で服を丸めたり広げたりしている。 Aさんへの更衣援助で最も適切なのはどれか。
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1.着替え始めるまで待つ。
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2.伸縮性のある素材の服を渡す。
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3.服を着やすい向きに持たせる。
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4.ボタンをマジックテープに変えた服を渡す。
- 解答・解説
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1.(×)何らかの援助が必要な状態であり、待つだけでは不適切です。
2.(×)衣服の素材に伸縮性がないことが原因ではないため、適切ではありません。
3.(○)Aさんは、半側空間無視のため、衣服の構造を認識できずに戸惑っていると考えられます。襟や袖の位置、前後などが分かるよう、着替えやすい向きに持たせることで更衣がスムーズになります。
4.(×)Aさんは箸を使っていることから。手先の巧緻性に問題はありません。したがって、ボタンをマジックテープに変える必要はないと考えられます。
第100問
Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎(meningitis)の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)(mumps)罹患児が数名いる。 既往歴:特記すべきことはない。 予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。 家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。 身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。 検査所見:白血球8,760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準44~132)、CRP 0.1mg/dL。 Aちゃんに腰椎穿刺を行うことになった。看護師が検査の準備を始めると、Aちゃんは「何をするの?」と不安そうな表情をして尋ねてきた。 看護師の適切な返答はどれか。
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1.「泣いちゃだめだよ」
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2.「気にしないでいいよ」
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3.「痛いことはしないよ」
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4.「背中にお注射するよ」
- 解答・解説
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1.(×)不安を助長する言葉であり、不適切です。
2.(×)興味の転換を図るよりも、年齢に合わせた方法で具体的に説明し、理解を得るよう努める必要があります。
3.(×)過剰に不安をあおる表現は避けるべきですが、虚偽の説明は論外です。
4.(○)子どもであっても、自分に対する処置や治療について説明を受ける権利があります。「本人に説明しても理解できないだろう」「保護者に説明すれば問題ないだろう」と思わず、分かりやすい表現で説明することが適切です。
第101問
Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎(meningitis)の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)(mumps)罹患児が数名いる。 既往歴:特記すべきことはない。 予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。 家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。 身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。 検査所見:白血球8,760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準44~132)、CRP 0.1mg/dL。 検査の結果、Aちゃんはムンプス髄膜炎(mumps meningitis)と診断された。父親から看護師に「先ほど主治医の先生から、面会やAの入院中の生活に制限があると聞きました。詳しく教えてください」と質問があった。 看護師の説明で適切なのはどれか。
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1.「親の面会は可能です」
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2.「Bちゃんの面会は可能です」
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3.「Aちゃんはプレイルームで遊べます」
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4.「Aちゃんは病室内でガウンを着てもらいます」
- 解答・解説
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1.(○)「両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある」ため、面会は可能です。ただし、手指衛生や、マスク、ガウン、手袋の装着などの感染予防策を講じる必要はあります。
2.(×)Bちゃんは免疫機能が未熟な幼児であり、おたふくかぜワクチン未接種であることから、面会は制限されます。
3.(×)ムンプスウイルスは飛沫感染や接触感染を起こすことから、院内感染を防ぐ目的でプレイルームの利用は禁止します。
4.(×)ガウンを着用する必要があるのは、医療者や面会する家族です。
第102問
Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎(meningitis)の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)(mumps)罹患児が数名いる。 既往歴:特記すべきことはない。 予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。 家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。 身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。 検査所見:白血球8,760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準44~132)、CRP 0.1mg/dL。 Aちゃんは入院の翌日も発熱が続いたが、頭痛は軽減し嘔気は消失したため経口摂取を開始した。入院3日、体温は微熱となり食欲が回復したことから、翌日の退院が決定した。耳下腺は縮小しつつあるが圧痛がある。父親から看護師へ「退院後、何か注意することはありますか」と質問があった。 父親への看護師の回答で適切なのはどれか。
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1.「Aちゃんの精巣の腫れに注意してください」
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2.「Aちゃんは退院後1週間は登園できません」
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3.「Aちゃんの耳の聴こえ方に注意してください」
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4.「AちゃんからBちゃんへの感染予防には明日までのワクチン接種が効果的です」
- 解答・解説
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1.(×)成人男性では精巣炎を合併する可能性がありますが、思春期以前の発症はまれです。
2.(×)流行性耳下腺炎は学校保健安全法における第二種感染症であり、「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」が出席停止期間とされています。Aちゃんは耳下腺腫脹発現後5日を経過し、全身状態も良好であるため、退院後1週間の登園停止は必要ありません。
3.(○)頻度は高くありませんが合併症として感音性難聴をきたすおそれがあり、永続的な障害となることから、最も注意が必要です。
4.(×)感染予防策としての緊急ワクチン接種の有効性について、確固たるエビデンスは報告されていません。
第103問
Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎(acute tonsillitis)を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる。 扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
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1.「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
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2.「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
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3.「のどにお熱があるからだよ」
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4.「いびきが大きいからだよ」
- 解答・解説
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1.(○)小児であっても、年齢に合わせた分かりやすい言葉を用いて、正確な病状や治療内容を説明することが適切です。
2.(×)「悪い虫」という言葉は、いたずらに恐怖心や不安を煽るおそれがあります。また、医学的根拠のない発言であることからも不適切です。
3.(×)急性扁桃炎について「のどにお熱がある」という説明は、医学的に正確ではありません。また、「熱があるから手術をする」という旨の説明では、今後発熱するたびに手術を意識させることになりかねません。
4.(×)今後もいびきが大きいだけで手術が必要になるという、間違った認識を持たせる可能性があります。
第104問
Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎(acute tonsillitis)を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後1日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温37.6℃、血圧100/60mmHg。 看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか。
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1.Aちゃんの表情を観察する。
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2.母親にAちゃんの痛みの様子を聞く。
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3.Aちゃんに痛みの程度を話してもらう。
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4.Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう。
- 解答・解説
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1.(×)表情の観察は大切ですが、それだけで痛みの程度を把握することは困難です。
2.(×)Aちゃんの痛みは、母親であっても間接的に推測することしかできません。7歳児であるため、直接本人から情報収集することが適切です。
3.(×)扁桃腺摘出術の周術期であり、会話を促すことで痛みや出血を引き起こすおそれがあります。
4.(○)主観的な痛みスケール(特にフェイススケール)は、指し示すだけで自身が感じている痛みの程度を表現できることから、最も適切な方法だといえます。また、今後の痛みの変化を、今回と比較して判断する指標としても有用です。
第105問
Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎(acute tonsillitis)を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後1日。 看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか。
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1.口を開けて手術創を観察する。
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2.唾液の色を観察する。
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3.便の色を観察する。
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4.脈拍数を測定する。
- 解答・解説
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1.(×)疼痛を引き起こすため、開口させることは避けます。また、創部の浮腫や腫脹により、直視での手術創の観察は難しいと考えられます。
2.(○)出血の有無を確認するため、唾液の色を観察することが最も適切です。
3.(×)出血を示す黒色便があったとしても、確認するまでにライムラグが大きいため、適切ではありません。
4.(×)脈拍数の変化は非特異的であり、術後出血の指標とはなりません。また、出血が脈拍に反映される段階では、すでに大量出血が生じています。
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第106問
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 この時のAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
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1.子宮収縮は良好である。
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2.縫合部に感染徴候がみられる。
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3.分娩の受け止めに問題がある。
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4.産褥日数に比べて進行性変化が遅い。
- 解答・解説
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1.(○)産褥1日において、子宮底は臍下1横指、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられるというのはすべて正常な経過であり、子宮収縮は良好であるといえます。
2.(×)縫合部の痛みはありますが、発熱や発赤はみられないため、感染徴候ではないと判断できます。
3.(×)初産婦でもあり、分娩後の「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」という程度の興奮は、正常な反応だといえます。
4.(×)産褥1日であり、進行性変化(乳房緊満、乳管開口数)は正常の範囲内です。
第107問
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥2日。Aさんから会陰縫合部の疼痛の増強はないが、離開の不安から排便ができないと訴えがあった。看護師は縫合部の異常がないことを確認した。Aさんは妊娠中の便秘はなかった。 看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
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1.産褥体操をAさんに勧める。
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2.水分を多く摂るようAさんに勧める。
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3.医師に緩下薬の処方について相談する。
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4.縫合部の離開の心配はないことをAさんに説明する。
- 解答・解説
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1.(×)産褥体操は、悪露の排出、子宮復古、血液循環の向上、骨盤底筋群の回復などを促す軽い運動です。縫合部の傷に負担がかからない内容であれば開始可能ですが、Aさんの訴えに対する直接的な対応とはなりません。
2.(×)適切な水分摂取は大切ですが、設問の事例において最優先とはいえません。
3.(×)数日間排便がみられない場合や、便秘による不快感が増強している場合は、緩下薬の処方も検討されます。
4.(○)Aさんは、縫合部離開に対する不安から腹圧をかけることを躊躇していると考えられます。確かに、産後のインシデントとして縫合部離開が起こることもありますが、Aさんの場合は縫合部の異常がないため、その心配はないことを説明し、心理的不安を取り除くことが最も優先されます。
第108問
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥4日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。 この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.紅斑を乾燥させるよう説明する。
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2.紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する。
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3.自然に消失するため心配はないと説明する。
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4.抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える。
- 解答・解説
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1.(×)新生児の皮膚は乾燥しやすいため、保湿ケアが大切です。
2.(×)特別な洗浄方法は不要であり、通常の沐浴を行います。
3.(○)新生児中毒性紅斑は、生後1~5日において、胸や背中などに紅斑、丘疹、小水疱、膿疱が出現するものです。これは成熟児の約半数にみられる正常所見の一つであり、色素沈着することなく数日で自然消失します。
4.(×)感染が原因ではないため、抗菌薬の処方は不要です。
第109問
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。 入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか。
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1.短期間の入院となることを伝える。
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2.母親と関係修復をするように促す。
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3.リストカットをしないように説得する。
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4.Aさんの心身を心配していることを伝える。
- 解答・解説
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1.(×)短期間の入院となるかどうか、設問の時点では判断できません。また、通常は入院についての説明は医師が行うことからも不適切だといえます。
2.(×)大切なことではありますが、入院当日の助言としては時期尚早でしょう。
3.(×)言葉による説得で同意が得られる状態ではなく、効果は期待できません。
4.(○)緊急で入院したばかりのタイミングであり、Aさんの心身を周囲が本気で心配していることを伝えるなど、安心感やスタッフへの信頼感を得られるような働きかけが適切です。
第110問
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。 入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる。太りたくない」と訴えた。主治医は、Aさんが右第2指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症(bulimia nervosa)と診断した。 入院時の身体所見:身長155cm、体重48kg。 入院時の検査所見:赤血球400万/μL、Hb 12.5g/dL、白血球6,300/μL。Na 135mEq/L、K 2.7mEq/L、Cl 98mEq/L、AST 30U/L、ALT 35U/L、γ-GTP 32U/L。 Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか。
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1.心電図
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2.頭部CT
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3.腹部超音波
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4.上部消化管内視鏡
- 解答・解説
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1.(○)過食と嘔吐を繰り返していたことが原因と思われる低カリウム血症(K 2.7mEq/L)をきたしています。致死的不整脈や虚血性心疾患を引き起こす可能性があることから、直ちに心電図検査を行って心臓の異常の有無を確認する必要があります。
2.(×)脳の器質的異常を示唆する所見はみられないため、頭部CTを行う意義はありません。
3.(×)肝機能に腹部超音波での確認を要するほどの異常はみられないため、優先度は低くなります。
4.(×)Aさんの嘔吐は神経性過食症による自己誘発性のものであり、器質的異常の可能性は低いと考えられます。
第111問
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。 入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。自傷行為は、入院前の1回のみだった。Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。 Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか。
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1.栄養士
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2.薬剤師
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3.臨床心理士
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4.ゲートキーパー
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5.精神保健福祉相談員
- 解答・解説
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1.(×)栄養状態の管理も必要ですが、過食自体の是正が優先されます。
2.(×)神経性過食症において薬物療法は二次的な治療であり、設問の時点では通常は行われません。
3.(○)認知行動療法が開始されており、母親との関係性にも問題を抱えているため、臨床心理士の貢献度が最も高いと考えられます。
4.(×)自傷行為は入院前の1回のみであり、精神状態が落ち着いていることから、ゲートキーパーの優先度は低くなります。
5.(×)精神保健福祉相談員は退院に向けた支援において連携すべき職種ではありますが、設問の時点では認知行動療法への取り組みが優先されると考えられます。
第112問
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症(alcohol dependence syndrome)と診断された。 入院後3日までにAさんに出現する可能性が高い症状はどれか。2つ選べ。
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1.観念奔逸
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2.緘黙
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3.強迫症状
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4.幻覚
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5.振戦
- 解答・解説
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飲酒の中止に伴い、中枢神経系の活動が亢進して、アルコール離脱症状が起こることがあります。軽度の場合は振戦、脱力、頭痛、発汗、反射亢進など、重度の場合はアルコール幻覚症や振戦せん妄などをきたします。
1.(×)観念奔逸は、思考が次々とわいてきて止まらず、話が飛躍してまとまりのない状態です。双極性障害の躁状態や酩酊状態でみられます。
2.(×)緘黙は、器質的障害がないのに話せなくなる状態です。
3.(×)強迫症状は、強迫観念から生まれた不安による過剰な常同行動です。
4.(○)幻覚(主に幻視)は、アルコール離脱症状の一つです。
5.(○)手足や体幹などの振戦は、アルコール離脱症状の一つです。
第113問
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症(alcohol dependence syndrome)と診断された。 入院後3日。面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えているAさんへの対応に困っており、Aさんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。 Aさんの妻に対する助言で適切なのはどれか。
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1.「飲酒による仕事上の失敗についてAさんと議論しましょう」
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2.「飲酒したいというAさんの気持ちは聞かないようにしましょう」
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3.「Aさんが飲酒したことがわかっても注意はしないようにしましょう」
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4.「Aさんの飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」
- 解答・解説
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1.(×)議論することは問題解決につながらないだけでなく、嫌な記憶を呼び起こして飲酒の誘因となる可能性もあります。
2.(×)飲酒に対する本人の気持ちを聞いた上で、適切な行動につながる助言をすることが適切です。
3.(×)断酒できるよう助言していく必要があります。
4.(○)Aさん自身が病識を持ち、飲酒によるトラブルにも本人が責任を持って向き合うことが大切です。本人の代わりにトラブルを解決してしまうと、結果としてアルコール依存症であり続けることを支えることになります。
第114問
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症(alcohol dependence syndrome)と診断された。 入院中にAさんは、退院後に再び飲酒してしまうのではないかという不安を看護師に訴えた。 Aさんの断酒を支援するための看護師の提案で適切なのはどれか。
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1.共同生活援助〈グループホーム〉への入居
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2.セルフヘルプグループへの参加
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3.行動援護の利用
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4.生活訓練の利用
- 解答・解説
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1.(×)グループホームは、認知症高齢者や障害者などが支援を受けながら少人数で共同生活を営む介護福祉サービスの一つです。
2.(○)アルコール依存症は再発しやすい病気であり、断酒や治療を継続するためには、仲間との交流が精神的な支えとなるセルフヘルプグループ(断酒会など)への参加が有効です。
3.(×)行動援護は、一人で行動することが著しく困難で常時介護を要する障害者が対象となります。
4.(×)生活訓練は、自立した日常生活や社会生活を送れるよう訓練や助言を行う福祉サービスであるため、断酒の達成が目的であるAさんには不適切です。
第115問
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。 外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。 Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか。
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1.「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
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2.「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
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3.「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
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4.「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
- 解答・解説
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1.(×)料理の配膳予定時刻を店舗スタッフに確認し、適切なタイミングで注射を打つよう指導します。
2.(×)インスリンは冷蔵保管の必要がありますが、使用開始前には室温に戻します。直射日光を避ければ常温で持ち運ぶことも可能です。
3.(○)公の場で人目が気になるときは、店舗スタッフなどに説明して注射に適した場所を確認するといいでしょう。
4.(×)外食は家庭での食事より高エネルギーになることが懸念されますが、やみくもにインスリン量を増やすと低血糖のリスクが高まります。食事の内容を確認して、摂取量や食べ方などを調節することが適切です。
第116問
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。 インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。 訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
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1.絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。
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2.浸出液の臭いの変化に注意する。
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3.泡立てた石けんで足を洗う。
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4.足浴には42℃の湯を使う。
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5.大きいサイズの靴を履く。
- 解答・解説
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1.(×)足趾全体を覆ってしまうと、通気性が低下して皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
2.(○)細菌増殖や感染などが示唆されることから、滲出液の性状(臭いや色など)の変化を観察することが重要です。
3.(○)感染予防のため、柔らかいタオルやスポンジを用い、よく泡立てた石けんで洗うことが適切です。
4.(×)足浴に用いる湯の温度は、体温に近い37~40℃程度が適切です。湯温が高すぎる場合でも、糖尿病により神経障害をきたせば本人が気付かない可能性もあるので注意が必要です。
5.(×)サイズの合わない靴は、血行障害やさらなる靴ずれの原因となり、潰瘍を悪化させる可能性があります。
第117問
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。 訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。 この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
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1.通所介護を利用する。
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2.訪問介護を利用する。
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3.配食サービスを利用する。
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4.訪問看護の回数を増やす。
- 解答・解説
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1.(×)できるだけ自宅で過ごしたいというAさんの希望に沿っていないため、通所介護(デイサービス)の利用は優先度が低くなります。
2.(×)視力障害があるAさんに対しては訪問介護も考えられますが、より医療的な介入が優先されます。
3.(×)配食サービスも便利ではありますが、医療的介入が優先されます。
4.(○)介護保険による訪問看護の利用には、回数の制限が設けられていません。インスリン自己注射のサポートやフットケアなどを提供するため、訪問看護の回数を増やすことが最も優先されます。
第118問
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
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1.外国語が話せる医師を呼びに行く。
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2.付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
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3.Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
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4.Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く。
- 解答・解説
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1.(×)該当する医師が即座に対応できるとは限りません。また、不調を訴えているAさんへの対応が優先されます。
2.(×)Aさんは日本語で日常会話が可能であるため、できるだけ平易な言葉で対応することを心がければ通訳の必要はないと考えられます。
3.(○)「身体がだるくて立っていられない」という訴えに寄り添い、安楽な姿勢を整えることを優先し、その後に状態を確認することが適切です。
4.(×)すでに「身体がだるくて立っていられない」という意思表示をしており、不調への対応が優先されます。
第119問
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 Aさんは、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。 看護師の対応で適切なのはどれか。
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1.同室の患者に別室への移動を勧める。
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2.Aさんに香水を洗い流すよう説明する。
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3.Aさんに香水の使用は医師の許可が必要と説明する。
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4.Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。
- 解答・解説
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1.(×)他の患者が同室に入れば同じ訴えが起こる可能性があり、根本的な解決になっていません。
2.(×)一方的に洗い流すよう説明すると、個人の嗜好を否定されたように受け取られる可能性があります。まずは香水を使用する理由などを確認します。
3.(×)個人的な嗜好品の使用について、基本的には医師の許可は不要です。
4.(○)まずは本人に状況を説明し、理解してもらう必要があります。同室者への影響や、Aさん自身の悪心・嘔吐を誘発する可能性などを説明することが適切です。
第120問
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 Aさんは、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。 Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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1.Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
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2.希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
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3.日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
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4.近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。
- 解答・解説
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1.(○)入院生活については、国により考え方や対応が異なる場合があります。Aさんの状況と家族の意向、病棟規則などを踏まえ、一緒に解決策を模索する姿勢が求められます。
2.(×)治療の理解が困難である小児患者などを除いては、原則として家族の泊まり込みは許可されません。
3.(×)日本における共通の規則が存在するわけではありません。
4.(×)最終的に解決策となる可能性もある内容ですが、いきなり一方的な提案をすることは不適切です。
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年度別過去問題集
看護師国家試験について
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看護師国家試験について
第112回看護師国家試験の基本情報から最新の出題傾向まで、ご紹介します。
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【国試】最新試験会場
グーグルマップ付き!第112回看護師助産師保健師国家試験試験会場についてご紹介します。
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【国試】過去問題集
看護師国家試験の過去問題集です。過去問をチェックすることで、知識の定着率を高めましょう。
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看護師国家試験まるわかりガイド
看護師国家試験の速報をお知らせします!気になる試験日程、合格率・ボーダー、合格発表について解説します。
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助産師国家試験まるわかりガイド
助産師国家試験の速報をお知らせします!気になる試験日程、合格率・ボーダー、合格発表について解説します。
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保健師国家試験まるわかりガイド
保健師国家試験の速報をお知らせします!気になる試験日程、合格率・ボーダー、合格発表について解説します。