2016年度(第106回) 看護師国家試験 過去問・解答 午前 | 看護師の求人・転職情報はマイナビ看護師

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2016年度(第106回)
看護師国家試験 過去問・解答 午前

午前

  • 第1問

    平成25年(2013年)の国民生活基礎調査による有訴者率(人口千対)で正しいのはどれか。

    • 1.12.4

    • 2.112.4

    • 3.312.4

    • 4.512.4

    解答・解説

    有訴者とは、病気やけがなどによる自覚症状を訴える人のことで、平成25年の調査における有訴者率(人口千対)は312.4でした。有訴者率(人口千対)を性別に見ると、男性276.8、女性345.3で女性のほうが高くなっています。また、有訴者率(人口千対)は年齢階級が高くなるにしたがって上昇し、80歳以上では537.5となっています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第2問

    平成25年(2013年)の感染症発生動向調査による年間の性感染症〈STD〉(sexually transmitted disease)報告数で最も多いのはどれか。

    • 1.性器クラミジア感染症(genital chlamydiosis)

    • 2.尖圭コンジローマ(condyloma acuminatum)

    • 3.性器ヘルペス(genital herpes)

    • 4.淋菌感染症(gonococcal infection)

    解答・解説

    平成25年(2013年)の感染症発生動向調査によると、年間の性感染症報告数で最も多かったのは性器クラミジア感染症(25,606)でした。次いで、淋菌感染症(9,488)、性器ヘルペス(8,778)、尖圭コンジローマ(5,743)の順に多くなっています。性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)が性交渉などにより粘膜や分泌物を介して伝播する性感染症です。感染症法では、淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマとともに5類感染症として性感染症定点医療機関からの報告が義務付けられています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第3問

    平成25年(2013年)の国民医療費はどれか。

    • 1.約400億円

    • 2.約4,000億円

    • 3.約4兆円

    • 4.約40兆円

    解答・解説

    国民医療費は、傷病の治療のために医療機関に支払われた1年間の医療費の総額です。その内訳は、(1)医療保険の対象として支払われた医療費(患者自己負担分を含む)、(2)公費負担で支払われた医療費(患者自己負担分を含む)、(3)全額自己負担で支払われた医療費です。平成25年度(2013年度)の国民医療費は40兆610億円で、前年度の39兆2117億円に比べて8493億円(2.2%)増加しています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第4問

    介護保険法で第1号被保険者と規定されているのはどれか。

    • 1.45歳以上

    • 2.55歳以上

    • 3.65歳以上

    • 4.75歳以上

    解答・解説

    介護保険制度は2000年に創設され、40歳から被保険者となって医療保険料と一体的に保険料が徴収されます。被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの医療保険加入者である第2号被保険者に分けられます。第1号被保険者は原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスの支給を受けられる一方、第2号被保険者は特定疾病(末期癌、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症など16疾病)が原因で介護・支援が必要であると認定された場合に限られます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第5問

    看護師の業務従事者届の届出の間隔として規定されているのはどれか。

    • 1.1年

    • 2.2年

    • 3.5年

    • 4.10年

    解答・解説

    保健師助産師看護師法第33条において「業務に従事する保健師、助産師、看護師または准看護師は、厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年1月15日までに、その就業地の都道府県知事に届け出なければならない」と定められています。この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第6問

    標準的な発育をしている乳児の体重が出生時の体重の約2倍になる時期はどれか。

    • 1.生後3か月

    • 2.生後6か月

    • 3.生後9か月

    • 4.生後12か月

    解答・解説

    標準的な発育の目安としては、乳児の体重は生後3か月で出生時体重の約2倍、生後12か月で約3倍になるとされています。しかし、これはあくまで目安であり、この通りに発育していないからといって過度に心配する必要はありません。特に初めての子育てをしている親は、わが子の発育の度合いが標準より低いと不安に駆られることが多いため、そうした親と接する医療従事者には不安を解消するような関わり方が求められます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第7問

    第二次性徴による身体の変化で正しいのはどれか。

    • 1.精通

    • 2.体重減少

    • 3.内臓脂肪の増加

    • 4.第1大臼歯の萌出

    解答・解説

    一般的に、二次性徴の開始年齢は、男子では10~13歳、女子では8~12歳ごろとされています。
    1.(○)第二次性徴で生殖器官が成熟し、生殖機能が発達します。初めての射精が精通であり、男子の過半数は15歳までに精通を経験します。
    2.(×)体重は増加します。
    3.(×)内臓脂肪の増加ではなく、男子は筋肉が発達し、女子は皮下脂肪が付きやすくなります。
    4.(×)第1大臼歯の萌出は6~7歳ごろです。

    第8問

    老年期の身体的な特徴で正しいのはどれか。

    • 1.尿量の増加

    • 2.味覚の感度の向上

    • 3.体温調節能の低下

    • 4.外来抗原に対する抗体産生の亢進

    解答・解説

    1.(×)膀胱が萎縮して膀胱容量が減少するため、排尿回数が増加します。ただし、1日の尿量はあまり変わりません。
    2.(×)味蕾の数が減少するため味覚機能が低下し、特に塩味と甘みを感じにくくなります。
    3.(○)皮膚血流量の減少、発汗反応の応答性の遅れ、筋肉量の低下などから、体温調節反応に遅れが生じます。暑熱時には皮膚血流量が増えにくく熱を逃しづらくなるため、熱中症に注意が必要です。一方、寒冷時には皮膚血流量があまり減らないため体内の熱を逃してしまいます。
    4.(×)老化に伴って免疫系の機能は低下します。外来抗原を排除するためにB細胞がT細胞の助けによって抗体を産生する反応を免疫反応と呼びます。老年期には、T細胞の発生の場である胸腺と、T細胞とB細胞が免疫反応を起こす場である脾臓が萎縮するため、抗体の産生は減少します。

    第9問

    医療法で「地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力を有すること」と定められているのはどれか。

    • 1.助産所

    • 2.診療所

    • 3.特定機能病院

    • 4.地域医療支援病院

    解答・解説

    地域医療支援病院は、地域医療を担う中核としてクリニック等では行えない高度な検査・治療を提供する医療施設です。承認要件の一つとして「地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力を有すること」が求められます。具体的には、当該病院以外の地域の医療従事者が含まれる研修を年間12回以上(原則として月1回以上)主催することが必要です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第10問

    ヒューマンエラーによる医療事故を防止するための対策で最も適切なのはどれか。

    • 1.性格検査の実施

    • 2.事故発生時の罰則の規定

    • 3.注意力強化のための訓練の実施

    • 4.操作を誤りにくい医療機器の導入

    解答・解説

    1.(×)ヒューマンエラーは情報処理過程のミスが原因であり、性格検査の実施は適切ではありません。
    2.(×)事故発生時の罰則を規定すると、ヒヤリハットや事故の隠蔽につながるおそれがあります。
    3.(×)注意力強化のための訓練がヒューマンエラーの根本的な予防策になるとは考えられません。
    4.(○)「人間はミスをするもの」(To err is human)という前提で、操作を誤りにくい医療機器を導入することは効果的です。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。

    第11問

    大動脈に血液を送り出す部位はどれか。

    • 1.左心室

    • 2.右心室

    • 3.左心房

    • 4.右心房

    解答・解説

    1.(○)体循環においては、左心室から大動脈弁を経て大動脈へ血液が送り出されます。
    2.(×)右心室は、右心房から届けられた静脈血を肺動脈へ送り出します。
    3.(×)左心房は、肺静脈から流入した動脈血を左心室へ送り出します。
    4.(×)右心房は、大静脈をはじめとする静脈系から流入した静脈血を右心室へ送り出します。

    第12問

    喀血が起こる出血部位で正しいのはどれか。

    • 1.頭蓋内

    • 2.気 道

    • 3.食 道

    • 4.胆 道

    解答・解説

    1.(×)頭蓋内で起こる出血(頭蓋内出血)には、くも膜下出血、硬膜外出血、硬膜下出血、脳内出血などがあります。
    2.(○)気道からの出血が口から出ることを喀血と呼びます。咳と一緒に口から排出され(出血により気道が刺激され激しく咳込むことがある)、鮮紅色で泡が混じっていることが多く、固まりにくいという特徴があります。一般的には、急性気管支炎、気管支拡張症、肺炎などでみられます。
    3.(×)上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血が口から出ることを吐血と呼びます。吐血も喀血も口から排出されますが、出血部位が異なります。吐血は嘔吐とともに排出されることが多いです。
    4.(×)胆道からの出血は、吐血または下血として排出されます。

    第13問

    胸痛を訴えるのはどれか。

    • 1.髄膜炎(meningitis)

    • 2.腎結石(renal stone)

    • 3.急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)

    • 4.Ménière〈メニエール〉病(Ménièreʼs disease)

    解答・解説

    1.(×)髄膜炎の主症状としては、頭痛や発熱が挙げられます。
    2.(×)腎結石では、ほどんど痛みはありません。結石が腎臓から尿管へ入って尿管結石になると、下腹部や脇腹、腰に激痛が走ります。
    3.(○)急性心筋梗塞では、心臓を締め付けられるような激しい胸痛が30分以上持続することが特徴で、悪心・嘔吐、顔面蒼白、冷汗、呼吸困難などを伴います。さらに、左肩や顎、奥歯などへの放散痛がみられます。
    4.(×)Ménière〈メニエール〉病は内リンパ水腫に起因すると考えられる内耳疾患で、めまい発作とともに、難聴、耳鳴り、耳が詰まる感じなどの聴覚症状を繰り返すことが特徴です。

    第14問

    小脳失調でみられるのはどれか。

    • 1.下肢の麻痺が認められる。

    • 2.姿勢保持が困難になる。

    • 3.血圧が不安定になる。

    • 4.体がこわばる。

    解答・解説

    1.(×)運動失調が起こるものの、麻痺は生じません。
    2.(○)小脳障害による症状として、小脳半球の障害による上下肢の運動失調と、小脳虫部の障害による体幹運動失調があります。これらにより平衡感覚に問題が生じて、立位や座位で身体が前後左右に動揺するようになります。程度が著しくなると体幹保持も困難になります。
    3.(×)血圧が不安定になることはありません。小脳障害ではめまいがみられますが、これは平衡障害による回転性のめまいであり、血圧不安定によるものではありません。
    4.(×)筋緊張の低下はみられますが、体がこわばることはありません。

    第15問

    せん妄の誘発因子はどれか。

    • 1.身体拘束

    • 2.心血管障害

    • 3.低栄養状態

    • 4.電解質バランス異常

    解答・解説

    身体拘束は、動きを抑制するので身体的ストレスが大きく、同時に不安などの精神的ストレスも大きいため、せん妄の誘発因子とされています。身体拘束をしても、適切な医療やケアを行えば、せん妄の発症リスクを下げることができます。ただし、そもそも身体拘束を行わなくても済むような手を尽くし、やむを得ず行う場合も必要最小限度にとどめる意識を欠いてはなりません。その他の選択肢である心血管障害、低栄養状態、電解質バランス異常は、せん妄を直接的に引き起こす因子(直接因子)とされています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。

  • 第16問

    目的とする効果が安定して発現するまでに最も時間がかかる薬はどれか。

    • 1.睡眠薬

    • 2.鎮痛薬

    • 3.抗うつ薬

    • 4.抗血栓薬

    解答・解説

    1.(×)睡眠薬は、抗うつ薬よりは短い時間で効果が発現すると考えられます。
    2.(×)鎮痛薬は、抗うつ薬よりは短い時間で効果が発現すると考えられます。
    3.(○)薬物によって、また患者の状態や投与経路によっても効果発現までの時間は変わってきますが、一般的に抗うつ薬は服用してから効果が現れるまでに数日間、十分かつ安定的な効果が発揮されるまでに数週間かかるとされています。したがって、他の選択肢の薬剤よりは発現するまでに時間がかかるといえます。
    4.(×)抗血栓薬は、抗うつ薬よりは短い時間で効果が発現すると考えられます。

    第17問

    医薬品表示を別に示す。 劇薬の表示で正しいのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    劇薬は、毒薬に次いで毒性や薬理作用が強い医薬品です。医薬品の表示については医薬品医療機器等法に定められています。劇薬・毒薬の指定は厚生労働大臣が行っており、劇薬の表示は「その直接の容器又は被包に、白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び『劇』の文字が記載されていなければならない」とされています。なお、毒薬の表示は「その直接の容器又は直接の被包に、黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び『毒』の文字が記載されていなければならない」とされています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第18問

    自力での摂取が困難な臥床患者の食事介助で適切なのはどれか。

    • 1.水分摂取の介助を控える。

    • 2.仰臥位の姿勢を保持するよう介助する。

    • 3.食事内容が見える位置に食器を配置する。

    • 4.患者の下顎が上がるよう上方からスプーンで介助する。

    解答・解説

    1.(×)自力での摂取が困難ということは、食事だけではなく水分も同様だと考えられます。嚥下機能に問題がなければ水分摂取を介助して、脱水を防ぐ必要があります。
    2.(×)食物の形・色・においを認知させるため、また誤嚥予防のためにも、患者の体位はできるだけ座位に近付けます。
    3.(○)食事内容が見えることで、患者は食事を楽しみだと感じ、おいしく食べることができます。また、介助者は、患者が何を食べたいのか意向を確認しながら介助を進めることができます。介助者は、「食事を与える」ではなく「食事するのをサポートする」という意識を持つことが必要です。
    4.(×)下顎が上がり頸部伸展位になると、咽頭と気管が直線上に位置して誤嚥しやすくなるため、頸部前屈位とします。スプーンは水平または少し下方から挿し入れて舌の中心に置くようにし、下顎が上がらないようにします。

    第19問

    足浴の効果で最も期待されるのはどれか。

    • 1.食欲増進

    • 2.睡眠の促進

    • 3.筋緊張の亢進

    • 4.皮膚温の低下

    解答・解説

    1.(×)血行が促進されて消化器官の動きも活発になり、食欲が増進する可能性はあります。しかし、このことが最も期待される効果ではありません。
    2.(○)副交感神経が優位になってリラクセーション効果をもたらし、入眠の促進、良質な睡眠確保に資することが研究で証明されています。最も期待される効果として適切な選択肢です。
    3.(×)筋緊張の緩和効果が期待されます。
    4.(×)末梢で温められた血液が全身を循環することで、皮膚温は上昇します。

    第20問

    療養施設、社会福祉施設等が集合して設置されている地域の昼間の騒音について、環境基本法に基づく環境基準で定められているのはどれか。

    • 1.20dB以下

    • 2.50dB以下

    • 3.80dB以下

    • 4.110dB以下

    解答・解説

    環境基本法では、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましいものとして「騒音に係る環境基準」が定められています。同基準において「療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域」の騒音は、昼間が50dB以下、夜間が40dB以下と定められています。ちなみに、50dBは「普通の事務所の中」程度の騒音レベルとされています。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第21問

    オートクレーブによる滅菌法はどれか。

    • 1.乾熱滅菌

    • 2.プラズマ滅菌

    • 3.高圧蒸気滅菌

    • 4.酸化エチレンガス滅菌

    解答・解説

    1.(×)乾熱滅菌は、ガラス器具や金属製品などの耐熱物の滅菌に用いられます。
    2.(×)プラズマ滅菌は、加熱できないプラスチック製品や病室の滅菌に適しています。
    3.(○)高圧蒸気滅菌はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を用い、高温高圧の飽和水蒸気中で加熱することで滅菌する方法です。ガラス器具、金属製の小物、包帯やガーゼ、培地類などの滅菌に適しています。滅菌処理に要する時間やコストが比較的かかりません。
    4.(×)酸化エチレンガス滅菌は、低温で効果が発揮されるため、耐熱性の低いゴム製品、プラスチック類、光学器械類などの滅菌に用いられます。ただし、比較的長時間かかり、コストが高く、滅菌後の残存ガスの除去などにも注意が必要です。

    第22問

    点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。

    • 1.体位を変える。

    • 2.注入を中止する。

    • 3.刺入部位を挙上する。

    • 4.周囲のマッサージを行う。

    解答・解説

    点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹は、薬剤の血管外漏出によって生じたものと考えられます。血管外漏出は、静脈内注射した薬剤や輸液が、注射針やカテーテルの先端の移動などにより、血管外の周辺組織に漏れることです。薬剤の種類によっては、周辺組織の炎症や壊死、皮膚障害を引き起こすことがあります。また、予定量の点滴が静脈内に入らないことにもなります。したがって、腫脹を確認したら、直ちに点滴の注入を中止し、今後の対応を検討します。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第23問

    成人患者の気管内の一時的吸引における吸引圧で正しいのはどれか。

    • 1.-100~-150mmHg

    • 2.-200~-250mmHg

    • 3.-300~-350mmHg

    • 4.-400~-450mmHg

    解答・解説

    「気管吸引ガイドライン2013」(日本呼吸療法医学会)によれば、「推奨される吸引圧は最大で20kPa(150mmHg)であり、これを超えないように設定する」とされており、これより高い圧で吸引すると肺胞虚脱や無気肺、気道損傷を招くリスクが高まります。また、吸引中は呼吸に必要な酸素も同時に吸引することになるため、できるだけ短時間で済ませる必要があります。定時の吸引も必要性があるかどうか必ず評価をして、必要性があるときに限って行うようにします。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第24問

    包帯法の原則として適切なのはどれか。

    • 1.患部を強く圧迫する。

    • 2.屈伸可能な関節は固定する。

    • 3.中枢から末梢に向けて巻く。

    • 4.使用部位によって包帯を使い分ける。

    解答・解説

    1.(×)過度に圧迫すると循環障害を引き起こし、圧迫部より末梢が壊死するおそれがあります。
    2.(×)屈伸可能な関節を固定すると、日常生活に不都合が生じたり、関節拘縮を招いたりするおそれがあります。
    3.(×)中枢から末梢に向かって巻くと末梢のうっ血を招くため、末梢から中枢に向かって巻きます。
    4.(○)包帯の種類には、巻軸包帯、ネット包帯、チューブ包帯、丁字帯、多頭帯、三角巾などがあります。巻く部位によって包帯の種類だけではなく太さも使い分けます(太い包帯は太い部位に、細い包帯は細い部位に)。

    第25問

    経腟分娩の正常な経過で最初に起こるのはどれか。

    • 1.発露

    • 2.排臨

    • 3.胎盤の娩出

    • 4.児頭の娩出

    • 5.子宮口の全開大

    解答・解説

    1.(×)発露は、胎児の頭部の最も大きな部分が膣口を通過する(陣痛間欠時にも胎児の頭が見えたままの状態になる)ことを指し、分娩第2期の排臨の後に起こります。
    2.(×)排臨は、陣痛発作時に胎児の頭が腟口から見え、陣痛間欠時には後退して見えなくなる状態を指し、分娩第2期に起こります。
    3.(×)胎盤の娩出は、胎児娩出後の分娩第3期に起こります。
    4.(×)児頭の娩出は、分娩第2期の発露の後に起こります。
    5.(○)子宮口の全開大は、分娩第1期の最後に起こります。

    第26問

    単層円柱上皮はどれか。

    • 1.表 皮

    • 2.腹 膜

    • 3.膀 胱

    • 4.胃

    解答・解説

    1.(×)表皮のほか、角膜、口腔、食道、膣の表面は重層扁平上皮で覆われています。
    2.(×)腹膜は単層扁平上皮である半透明の漿膜であり、その下で緩やかな結合組織層(間質)とつながっています。
    3.(×)膀胱や尿管の表面は、大きく伸び縮みできる構造の移行上皮です。
    4.(○)単層円柱上皮は、円柱状の丈の高い細胞が一層に並ぶ上皮です。胃の表面や小腸・大腸の上皮は、単層円柱上皮に覆われています。

    第27問

    角加速度を感知するのはどれか。

    • 1.耳管

    • 2.前庭

    • 3.耳小骨

    • 4.半規管

    解答・解説

    1.(×)耳管は耳と鼻をつなぐ管で、鼓膜の内側と外側の気圧のバランスを保ち、鼓膜を張る働きがあります。
    2.(×)前庭は、頭の傾きや直線運動をしたときに生じる直線加速度を感知します。前庭にある垂直方向の傾きを感じる卵形嚢と水平方向の傾きを感じる球形嚢の2カ所に、それぞれ耳石が付いています。
    3.(×)耳小骨は、鼓膜の振動を内耳に伝える働きをしています。
    4.(○)頭部を回転したときに生じる回転加速度(角加速度)を感知するのは、半規管です。

    第28問

    縦隔に含まれるのはどれか。

    • 1.肺

    • 2.胸腺

    • 3.副腎

    • 4.甲状腺

    解答・解説

    1.(×)肺は縦隔に含まれません。肺は縦隔により左右に隔てられています。
    2.(○)縦隔は、胸部の左右の肺と胸椎、胸骨に囲まれた、上部は頸部、下部は横隔膜までの範囲です。気管より前方が前縦隔、気管より後方が後縦隔、心悸部(気管が左右に分岐する部分)の辺りが中縦隔、これより上方が上縦隔、下方が下縦隔と区分されています。胸腺は、縦隔の上前部にあり、縦隔に含まれます。
    3.(×)副腎は、体の背側、左右の腎臓の上の後腹膜腔と呼ばれるところにあります。
    4.(×)甲状腺は、前頸部の気管の前にあります。縦隔に含まれません。

    第29問

    膵液について正しいのはどれか。

    • 1.弱アルカリ性である。

    • 2.糖質分解酵素を含まない。

    • 3.セクレチンによって分泌量が減少する。

    • 4.Langerhans〈ランゲルハンス〉島のβ細胞から分泌される。

    解答・解説

    1.(○)膵液は、重炭酸塩を大量に含んでアルカリ性(pH8程度)を示し、十二指腸内で強酸性(pH1.0~1.5)である胃酸を中和して消化を助けています。
    2.(×)膵液は、炭水化物を分解するアミラーゼ、蛋白質を分解するトリプシンやキモトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含んでいます。
    3.(×)胃酸で消化された酸性の消化物が十二指腸に達して粘膜を刺激するとセクレチンが分泌され、膵液の分泌を促す作用を発揮します。
    4.(×)ランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるのはインスリンです。膵液は膵臓の外分泌部から分泌されます。

    第30問

    ホルモンと分泌部位の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.サイロキシン―副甲状腺

    • 2.テストステロン―前立腺

    • 3.バソプレシン―副腎皮質

    • 4.プロラクチン―下垂体前葉

    解答・解説

    1.(×)サイロキシン(チロシン)は甲状腺ホルモンの一つであり、甲状腺から分泌されます。
    2.(×)テストステロンは男性ホルモンの一つであり、精巣から分泌されます。
    3.(×)抗利尿ホルモンであるバソプレシンは、下垂体後葉から分泌されます。
    4.(○)乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンは、主に下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞から分泌されます。その他、末梢組織(胎盤や子宮など)でも一部産生されています。

  • 第31問

    腹部CTを別に示す。 矢印で示す部位について正しいのはどれか。

    • 1.肥満細胞で構成される。

    • 2.厚さはBMIの算出に用いられる。

    • 3.厚い場合は洋梨型の体型の肥満が特徴的である。

    • 4.厚い場合はメタボリックシンドロームと診断される。

    解答・解説

    設問の腹部CT画像の矢印で示された部分は、皮下脂肪組織です。
    1.(×)脂肪組織は脂肪細胞で構成されます。
    2.(×)BMIは「体重(kg)/(身長(m)×身長(m))」で算出されます。
    3.(○)皮下脂肪型肥満では下半身を中心に脂肪が付くことから、「洋梨型肥満」と呼ばれることがあります。一方、内臓脂肪型肥満は「リンゴ型肥満」と呼ばれることがあります。皮下脂肪型(洋梨型)は女性で、内臓脂肪型(リンゴ型)は男性で多い傾向にあります。
    4.(×)メタボリックシンドロームの診断基準の一つにウエストサイズがありますが、これは内臓脂肪面積を反映する指標として使われています。

    第32問

    放射線療法について正しいのはどれか。

    • 1.Gyは吸収線量を表す。

    • 2.主に非電離放射線を用いる。

    • 3.電子線は生体の深部まで到達する。

    • 4.多門照射によって正常組織への線量が増加する。

    解答・解説

    1.(○)Gy(グレイ)は、放射線により物体が与えられたエネルギー量を指す値です。医療の現場では、臓器吸収線量の単位などに用いられます。
    2.(×)放射線には電離放射線と非電離放射線がありますが、放射線療法では主に電離放射線が用いられます。電離放射線の中の電磁放射線(電磁波)には、X線とγ(ガンマ)線が含まれます。
    3.(×)電子線は、γ(ガンマ)線に比べると大きなエネルギーを与えることができますが浸透力は弱く、深部までは到達しません。
    4.(×)多門照射とは、電子線やX線を病巣に対して多方向から照射することです。正常組織にはできるだけ影響を及ぼさないように照射します。

    第33問

    Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で正しいのはどれか。

    • 1.基礎疾患として高血圧症(hypertension)が多い。

    • 2.初期には記銘力障害はみられない。

    • 3.アミロイドβタンパクが蓄積する。

    • 4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。

    解答・解説

    1.(×)アルツハイマー病の基礎疾患として、特に多いとされるものはありません。
    2.(×)記銘力障害は初期にみられる症状です。
    3.(○)アルツハイマー病の病理学的特徴の一つである老人斑は、アミロイドβタンパクが蓄積した部位にみられます。アミロイドβは脳神経細胞の老廃物で、蓄積が続くと脳神経細胞先端部を傷付け、認知症の発症につながると考えられています(アミロイドカスケード仮説)。
    4.(×)脳全体の萎縮がみられます。特に側頭葉内側部の記憶中枢である海馬の萎縮が特徴的です。

    第34問

    ペースメーカー装着患者における右心室ペーシング波形の心電図を別に示す。心電図の記録速度は通常の25mm/秒であり、矢印で示した小さなノッチがペースメーカーからの電気刺激が入るタイミングを示している。 心電図波形によって計測した心拍数で正しいのはどれか。

    • 1.30/分以上、50/分未満

    • 2.50/分以上、70/分未満

    • 3.70/分以上、90/分未満

    • 4.90/分以上、99/分以下

    解答・解説

    心電図の縦軸は電位(mV)、横軸は時間(秒)を表しており、記録速度は25mm/秒です。記録用紙の小さいマス目が縦1mm=0.1mV、横1mm=0.04秒であり、大きいマス目は縦5mm=0.5mV、横5mm=0.2秒となります。おおむね記録用紙の横25mm間隔で同様の波形が現れていれば60/分の正常な心拍と判断できますが、同様の波形が横25mmの範囲内に2つ以上みられる場合は60/分以上の心拍があることになり、設問の心電図もそのようになっています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第35問

    労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。

    • 1.失業時の教育訓練給付金

    • 2.災害発生時の超過勤務手当

    • 3.有害業務従事者の健康診断

    • 4.業務上の事故による介護補償給付

    解答・解説

    1.(×)失業時の教育訓練給付金は、雇用保険の給付制度の一つです。教育訓練給付金は、失業していない場合でも受けることができます。
    2.(×)労働基準法に規定されています。
    3.(×)労働安全衛生法に規定されています。
    4.(○)労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づき、業務災害による負傷または疾病で一定の障害があり、現実に介護を受けており、介護施設に入院・入所していない労働者に対して、介護補償給付が給付されます。

    第36問

    高齢者における肺炎(pneumonia)の三次予防はどれか。

    • 1.口腔内の衛生管理

    • 2.肺炎球菌ワクチンの接種

    • 3.呼吸リハビリテーション

    • 4.健康診断での胸部エックス線撮影

    解答・解説

    1.(×)口腔内の細菌を除去することで肺炎を予防するので、一次予防に当たります。
    2.(×)予防接種は、一次予防に当たります。
    3.(○)三次予防は、病気が進行した後の後遺症治療、再発防止、残存機能の維持・回復などのことを指します。呼吸リハビリテーションは、肺炎によって低下した呼吸機能の維持・回復が目的になるので、三次予防に当たります。
    4.(×)健康診断は、病気の早期発見が目的となるので、二次予防に当たります。

    第37問

    患者と看護師の関係において、ラポールを意味するのはどれか。

    • 1.侵されたくない個人の空間

    • 2.人間対人間の関係の確立

    • 3.意図的な身体への接触

    • 4.自己開示

    解答・解説

    1.(×)侵されたくない個人の空間は、心理学用語でいうパーソナルスペースのことで、他人に侵入されると不快になったり脅威を感じたりします。
    2.(○)ラポールとは、人と人との関係性において「心が通い合っている」「どんなことでも打ち明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられる状態のことを指します。
    3.(×)タッチングなどの意図的な身体への接触は、患者を安心させる非コミュニケーションツールになり得ます。
    4.(×)自己開示とは、自分のことを自分から相手に伝えることです。看護師が患者に対して適切な自己開示を行うことで患者の自己開示を促すことができ、情報収集や相互理解に役立ちます。

    第38問

    看護における情報について正しいのはどれか。

    • 1.尺度で測定された患者の心理状態は主観的情報である。

    • 2.入院費用に関する患者の不安は客観的情報である。

    • 3.観察した食事摂取量は客観的情報である。

    • 4.既往歴は主観的情報である。

    解答・解説

    主観的情報は患者自身の認識や訴え、客観的情報は観察から得られた情報や検査結果などを指します。
    1.(×)客観的情報なので、誤りです。
    2.(×)患者自身による不安の訴えは、主観的情報だと考えられます。
    3.(○)客観的観察から得られた情報なので、正しい選択肢です。その他、看護師のフィジカルアセスメントによって得られた血圧、呼吸数、表情、動作などの情報、血液検査やX線撮影などの検査結果、医師の診察結果などが客観的情報になります。
    4.(×)客観的情報なので、誤りです。

    第39問

    Barré〈バレー〉徴候の査定の開始時と判定時の写真を別に示す。 左上肢のBarré〈バレー〉徴候陽性を示すのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    Barré〈バレー〉徴候は、上肢や下肢に軽度の運動麻痺がある場合に現れる徴候です。上肢バレー徴候は、手掌を上にして肘を伸ばしたまま前方に挙上させ、閉眼させ、その状態を維持するように指示すると、錐体路障害の影響で麻痺側上肢が回内し、次第に下がってくるというものです。
    1.(×)右上肢全体がさらに挙上しているので不適切です。
    2.(×)左上肢全体が下降しているものの、回内はしていないので不適切です。
    3.(×)両上肢全体が下降しているので、不適切です。
    4.(○)左上肢全体が下降していて、かつ回内しているので適切です。

    第40問

    入院中の妻を亡くした直後の夫へのグリーフケアで最も適切なのはどれか。

    • 1.妻の話を夫とすることは避ける。

    • 2.夫の悲嘆が軽減してからケアを開始する。

    • 3.夫が希望する場合は死後の処置を一緒に行う。

    • 4.妻を亡くした夫のためのサポートグループへの参加を促す。

    解答・解説

    1.(×)妻の話を避けることは、死と向き合い、乗り越えることを支えるグリーフケアでは不適切です。
    2.(×)夫が深い悲しみの淵にいるときから、グリーフケアを開始します。
    3.(○)死後の処置に参加することは、死を現実として認識し、死別を受け入れる機会になります。夫が希望する場合に死後の処理を一緒に行うことは、グリーフケアとして適切です。
    4.(×)妻を亡くした直後の夫へのグリーフケアでは、夫が妻の死を受け入れて悲しみの整理をすることが主眼になるので、サポートグループへの参加を促すことは時期尚早です。

    第41問

    ヨード制限食が提供されるのはどれか。

    • 1.甲状腺シンチグラフィ

    • 2.慢性腎不全(chronic renal failure)の治療

    • 3.肝臓の庇護

    • 4.貧血(anemia)の治療

    解答・解説

    1.(○)甲状腺は、血液中からヨード(ヨウ素)を取り込んで甲状腺ホルモンを合成しています。このことを利用して、放射性ヨードのカプセルを服用した後、ガンマカメラで甲状腺を撮影して放射性ヨードの集成の度合いを調べ、甲状腺機能を評価します(甲状腺シンチグラフィ)。食物から摂取するヨードの影響を避けるため、検査前1週間程度はヨード制限食とする必要があります。
    2.(×)慢性腎不全の食事療法としては、蛋白質、塩分、カリウムの摂取制限を行います。
    3.(×)肝臓の庇護のためにはバランスの良い食事が必要ですが、特にヨードの摂取制限は行いません。
    4.(×)鉄欠乏症貧血の場合、食事療法だけでは貧血の速やかな回復が困難なので、鉄剤が投与されます。

    第42問

    体位が身体に与える影響について正しいのはどれか。

    • 1.座位から仰臥位になると楽に呼吸ができる。

    • 2.立位と比較して座位の方が収縮期血圧は低い。

    • 3.仰臥位から急に立位になると脈拍が速くなる。

    • 4.立位からTrendelenburg<トレンデレンブルグ>位になると収縮期血圧が下降する。

    解答・解説

    1.(×)仰臥位では胸郭の動きが制限されるため、座位に比べて呼吸しにくくなります。
    2.(×)安静時の収縮期血圧は「臥位>座位>立位」となります。立位では重力の影響を受けて血液還流が弱まるため、収縮期血圧も下降します。
    3.(○)仰臥位から急に立位になると交感神経の働きが高まり、それに伴って脈拍が速くなります。
    4.(×)Trendelenburg<トレンデレンブルグ>位は頭部低位・腰部高位の仰臥位であり、立位に比べて血液還流が高まるため、収縮期血圧は上昇します。

    第43問

    洗髪を行うときに、患者のエネルギー消費が最も少ない体位はどれか。

    • 1.仰臥位

    • 2.端座位

    • 3.起座位

    • 4.Fowler〈ファウラー〉位

    解答・解説

    洗髪時に限らず、患者のエネルギー消費が少ない体位は「臥位>座位>立位」の順になります。特に仰臥位は、筋緊張が最も少ない体位で、長時間の休息や睡眠に適しています。端座、起座位、ファウラー位では上半身を挙上するため筋緊張が高まり、心肺機能なども活発化するため、エネルギー消費が多くなります。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第44問

    前腕部からの動脈性の外出血に対する用手間接圧迫法で血流を遮断するのはどれか。

    • 1.鎖骨下動脈

    • 2.腋窩動脈

    • 3.上腕動脈

    • 4.橈骨動脈

    解答・解説

    1.(×)鎖骨下動脈は、上腕部からの動脈性の外出血に対して圧迫する際には適していますが、前腕部からは遠すぎるため不適切です。
    2.(×)腋窩動脈は、上腕部からの動脈性の外出血に対して圧迫する際には適していますが、前腕部からは遠すぎるため不適切です。
    3.(○)上腕動脈は、前腕部からの動脈性の外出血に対して圧迫する際に適切な部位です。出血部を心臓の高さよりも挙上して、上腕の内側を上腕骨に向かって圧迫します。
    4.(×)橈骨動脈は、手や手指の外出血に対して圧迫する際には適していますが、前腕部動脈に対しては末梢側にあるため不適切です。

    第45問

    看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。

    • 1.罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。

    • 2.事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。

    • 3.民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。

    • 4.刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

    解答・解説

    1.(○)看護師が罰金以上の刑に処せられた場合は、保健師助産師看護師法第9条に定める相対的欠格事由に該当し、厚生労働大臣による行政処分の対象となります。その他、業務に関して犯罪または不正行為があった者や、麻薬、大麻またはあへんの中毒者なども同様です。
    2.(×)厚生労働大臣による行政処分の内容としては、重いものから免許取消、業務停止(上限3年)、戒告の3種類があります。なお、2008年からは、行政処分を受けた看護師に対する再教育制度が設けられています。
    3.(×)業務上過失致死傷罪は、刑法第211条に規定された刑事罰です。医療過誤により業務上過失致死傷罪の判決を受けた場合も、当然のことながら厚生労働大臣による行政処分の対象となります。
    4.(×)使用者責任は、民法第715条に規定されています。

  • 第46問

    疾患と原因となる生活習慣の組合せで適切なのはどれか。

    • 1.低血圧症(hypotension)―飲酒

    • 2.心筋梗塞(myocardial infarction)―長時間労働

    • 3.悪性中皮腫(malignant mesothelioma)―喫煙

    • 4.1型糖尿病(type1 diabetes mellitus)―過食

    解答・解説

    1.(×)大量飲酒を長期に続けると、肝機能障害(肝炎、肝硬変、脂肪肝)のほか、膵炎、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症、高血圧症など、さまざまな疾患を招くリスクが高まります。
    2.(○)長時間労働は過度のストレスや睡眠不足、食生活や運動習慣の乱れにつながり、脂質異常症や肥満といった動脈硬化のリスク因子が生じやすくなります。
    3.(×)悪性中皮腫の原因はアスベスト曝露であるため、生活習慣とは無関係です。喫煙がリスク因子となる疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺癌、口腔癌、咽頭癌などがあります。
    4.(×)過食が原因となるのは、2型糖尿病です。

    第47問

    自動体外式除細動器〈AED〉による電気的除細動の適応となるのはどれか。

    • 1.心静止(asystole)

    • 2.心房細動(atrial fibrillation)

    • 3.心室細動(ventricular fibrillation)

    • 4.房室ブロック(atrioventricular block)

    解答・解説

    1.(×)心静止は心臓の電気的活動がない状態なので、除細動の適応はありません。直ちに胸骨圧迫を行います。
    2.(×)心房細動は除細動の適応です。しかし、直ちに生命に関わる不整脈ではないので、AEDではない除細動器を用いて処置します。
    3.(○)心室細動は致死的な不整脈であり、救命のためには数分以内にAEDを用いて除細動を行う必要があります。AEDは、医療施設だけではなく、駅や学校といった公共施設、大規模商業施設などにも設置されており、一般市民でも音声ガイドに従って通電できるように作られています。
    4.(×)房室ブロックは、除細動の適応はありません。ベースメーカー植込み術を行います。

    第48問

    術中の仰臥位の保持によって発生することがある腕神経叢麻痺(brachial plexus palsy)の原因はどれか。

    • 1.上腕の持続的圧迫

    • 2.前腕の回外の持続

    • 3.肘関節の持続的圧迫

    • 4.上肢の90度以上の外転

    解答・解説

    手術中の体位固定により神経障害、循環障害、皮膚障害を招き、その結果として組織が壊死する場合があります。これを予防するためには、細心の注意を払って体位固定するとともに、手術中も固定部の観察を怠らないことが重要です。
    1.(×)上腕の持続的圧迫は、橈骨神経麻痺につながります。
    2.(×)前腕の回外の持続は、尺骨神経麻痺につながります。
    3.(×)肘関節の持続的圧迫は、正中神経麻痺につながります。
    4.(○)仰臥位で上肢を90度以上外転させたまま保持すると、腕神経叢の過伸展が起こり、腕神経叢麻痺につながります。腕神経叢麻痺は、交通事故や分娩時に起こる事例が多いとされています。

    第49問

    点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。

    • 1.悪心は薬で緩和する。

    • 2.留置針は原則として手背に挿入する。

    • 3.血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。

    • 4.2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。

    解答・解説

    1.(○)化学療法で出現する悪心・嘔吐は、患者が苦痛を感じる代表的な副作用です。制吐薬を適切に投与して悪心・嘔吐を緩和することは、治療の強度を維持して効果を得るためにも重要です。
    2.(×)抗癌薬を静脈内投与するのに最も適した部位は、前腕の太く弾力のある血管です。手背、手関節、肘窩、肘窩の反対側といった屈曲する部位の細い血管では血管外漏出のリスクが高く、血管や神経を損傷して重度の機能障害が生じるリスクもあります。 
    3.(×)血管外漏出の症状がみられたら、直ちに静脈内投与を中止します。抗癌薬には血管刺激性があり、静脈炎を引き起こすことがあります。また、穿刺の刺激から静脈炎が起こることもあります。
    4.(×)過敏症の症状は、2回目以降の投与時にも出現することがあります。

    第50問

    Aさん(60歳、男性)は、慢性心不全(chronic heart failure)の終末期で、積極的な治療を行わないことを希望している。現在、入院中で、リザーバーマスク10L/分で酸素を吸入し、水分制限がある。時々息切れがみられるが、Aさんは面会に来た長女との会話を楽しみにしている。バイタルサインは呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧76/50mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%であった。 このときの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.面会は制限しない。

    • 2.水分制限を厳しくする。

    • 3.Aさんに仰臥位を維持してもらう。

    • 4.面会中は酸素マスクを鼻腔カニューラに変更する。

    解答・解説

    Aさんは呼吸が浅く、頻脈で血圧の低下がみられます。また、リザーバーマスクで10L/分の酸素吸入をしていますが、酸素飽和度が低いことが分かります。慢性心不全の終末期で、死期が近いと考えられます。
    1.(○)Aさんは長女との面会を楽しみしているので面会の制限はしません。残された時間のQOLを高めるためにも、家族や親しい人との面会は貴重な機会です。
    2.(×)終末期に至っては患者の苦痛を緩和することが優先されるため、水分制限を厳しくすることは不適切と考えられます。
    3.(×)仰臥位では、静脈還流量が増加して肺うっ血を助長するため、呼吸困難が増強してしまいます。
    4.(×)鼻腔カニューラのほうが会話しやすいとはいえ、リザーバーマスクに比べて低流量の酸素投与となるため不適切です。

    第51問

    Aさん(42 歳、女性)は、 日前から微熱と強い全身倦怠感を自覚したため病院を受診したところ、肝機能障害が認められ、急性肝炎(acute hepatitis)の診断で入院した。1か月前に生の牡蠣(かき)を摂取している。Aさんはこれまで肝臓に異常を指摘されたことはなく、家族で肝臓疾患を罹患した者はいない。 Aさんが罹患した肝炎について正しいのはどれか。

    • 1.細菌感染である。

    • 2.劇症化する危険性がある。

    • 3.慢性肝炎(chronic hepatitis)に移行しやすい。

    • 4.インターフェロン療法を行う。

    解答・解説

    Aさんは生の牡蠣を食べてから急性肝炎を発症しました。牡蠣を含む二枚貝が感染源の一つとして知られるA型肝炎であることが考えられます。
    1.(×)A型肝炎は、A型肝炎ウイルスの経口感染により発症します。
    2.(○)A型肝炎は、わずかながら劇症化(劇症肝炎=急性肝不全)することがあります。肝機能が急激に低下し、意識障害(肝性脳症)などの重篤な症状が現れ、生命の危機に陥ります。
    3.(×)A型肝炎は、B型・C型肝炎とは違って慢性化することはなく、適切な治療を行えば約1~2か月で完治します。
    4.(×)インターフェロン療法は、C型肝炎の治療法です。A型肝炎では、安静と栄養状態に気をつけながら肝臓の回復を促す肝庇護療法が行われます。

    第52問

    ホルモン負荷試験について正しいのはどれか。

    • 1.ホルモン分泌異常を生じている部位の推定に用いる。

    • 2.分泌異常が疑われるホルモンを投与する。

    • 3.前日の夕食から禁食にする。

    • 4.入院が必要である。

    解答・解説

    1.(○)ホルモン負荷試験は、ホルモンの分泌刺激物質や分泌抑制物質を投与して、その反応パターンを調べることで、ホルモン分泌異常が生じている部位を推定するものです。
    2.(×)ホルモン負荷試験では、分泌異常が疑われる内分泌器官より上位の内分泌器官(例えば甲状腺であれば、その上位の視床下部や下垂体前葉)をコントロールするホルモンを投与して反応を見ることが多いです。
    3.(×)ホルモン負荷試験は空腹の状態で行うことが多いものの、前日の夕食から禁食とするまでの必要はありません。
    4.(×)ホルモン負荷試験は数時間で終了し、副作用のリスクもほとんどないため、入院ではなく外来で可能です。

    第53問

    乳癌(breast cancer)の自己検診法の説明で適切なのはどれか。

    • 1.月経前に行う。

    • 2.年に1回実施する。

    • 3.指先を立てて乳房に触る。

    • 4.乳房の皮膚のくぼみの有無を観察する。

    解答・解説

    乳癌は、自己検診で発見できる数少ない癌として知られます。ただし、だからと言って乳癌検診が不要であるわけではありません。
    1.(×)排卵から月経終了までは乳房が張るため、月経終了後1週程度の間に行います。
    2.(×)自己検診は手軽にできるため、月に1回は実施することが望ましいでしょう。
    3.(×)指の腹を使ったほうが腫瘤を感じやすくなります。
    4.(○)乳癌が進行すると、乳房の皮膚にえくぼのようなへこみ、引きつれができることがあります。鏡に向かって両腕を挙げながら目視すると発見しやすくなります。乳房だけでなく、腋窩にしこりがないかも確認することが勧められます。

    第54問

    高齢者の看護において目標志向型思考を重視する理由で最も適切なのはどれか。

    • 1.疾患の治癒促進

    • 2.老化現象の進行の抑制

    • 3.病態の関連図の作成の効率化

    • 4.生活全体を豊かにするケアの実践

    解答・解説

    目標志向型の看護とは、疾病や加齢に伴う変化の中でも患者自身の能力を信頼し、その持てる力を引き出すような関わりを続けながら、患者が望む生活を送ることができるよう支援していくことを意味します。慢性疾患や加齢に伴う変化を抱えることが多い高齢者の看護では、疾病や加齢に起因する問題に対処すること(問題解決型の看護)だけを目指してもはかばかしい成果が得られないことが少なくありません。
    1.(×)身体状態のみに注目した問題解決型の看護につながります。
    2.(×)身体状態のみに注目した問題解決型の看護につながります。
    3.(×)身体状態のみに注目した問題解決型の看護につながります。
    4.(○)高齢者看護では特に、視野を広げて患者の生活全体を豊かにするケアが重視されます。

    第55問

    高齢者の活動と休息のリズムの調整について最も適切なのはどれか。

    • 1.午前中に日光を浴びる機会をつくる。

    • 2.昼食後に入浴する。

    • 3.昼寝をしない。

    • 4.就寝前に水分を多く摂る。

    解答・解説

    1.(○)高齢者の活動と休息のリズムを調整するには、起床時間や食事時間、就寝時間を一定にするなどして生活時間を整えるとともに、日中は活動を促して適度な刺激を受けられるよう配慮します。また、しっかりと日光を浴びる時間を作ることで夜間の不眠が改善されるので、光曝露に関する指導は非常に重要です。
    2.(×)入浴は睡眠を促す効果があるため、夕食後とします。
    3.(×)昼寝は体力回復のために必要なこともありますが、夜間の睡眠の妨げとならないように、30分程度までとします。
    4.(×)高齢者は睡眠が浅く尿意で目が覚めやすいので、就寝前の多量の水分摂取量は控えます。

    第56問

    加齢による咀嚼・嚥下障害の特徴で正しいのはどれか。

    • 1.咳嗽反射が低下する。

    • 2.口腔内の残渣物が減る。

    • 3.唾液の粘稠度が低下する。

    • 4.食道入口部の開大が円滑になる。

    解答・解説

    1.(○)加齢に伴い、咳嗽反射を起こす神経伝達物質(サブスタンスP)が減少するので、咳嗽反射が正常に行われにくくなります。
    2.(×)唾液量が低下して食塊を形成しづらくなったり、歯牙の喪失により咀嚼が不十分になったりして、口腔内の残渣物が増えやすくなります。そのため、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
    3.(×)加齢によって唾液腺が萎縮するため、唾液の分泌量が減り、唾液の粘調度は高くなります。
    4.(×)加齢によって咽頭が下垂するため、嚥下機能が低下します。正常な嚥下は、咽頭が挙上して喉頭蓋が気道を閉鎖→食道が開口→食塊が食道に流入することで行われますが、咽頭が下垂すると咽頭が十分に挙上せず、喉頭蓋の閉鎖不全が起こり、食道入口部が開大しにくくなります。

    第57問

    Aさん(85歳、女性)は、両側の感音難聴(sensorineural deafness)で「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れないので困っています」と話した。 Aさんに対する看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.大きな声で話す。

    • 2.話の内容をより詳しく説明する。

    • 3.Aさんが文字盤を使えるようにする。

    • 4.看護師の口の動きが見えるように話す。

    解答・解説

    難聴には、大きく分けて伝音難聴、感音難聴、混合難聴の3種類があります。感音難聴では、高音域の音が聞こえにくくなったり、複数の音を一度に聞いたときに特定の音を聞き分けることが難しくなったりします。
    1.(×)感音難聴の場合、大きな声で話されても聞き取りにくく煩わしくなることがあるので、不適切です。
    2.(×)話は短く単語は平易にすると、理解しやすくなります。
    3.(×)文字盤ではなく、筆談や身振り、表情など視覚的に理解できる方法を試してみます。文字盤は、発声発語器官や呼吸筋群の運動障害のため声で伝えることが困難な場合に使用します。
    4.(○)口をはっきりと大きく動かし、身振り・手振りを加えながら話をすると、理解しやすくなります。ただし、感染管理上マスクを外せない場合は、別の方法を検討します。

    第58問

    Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の初期にみられる症状はどれか。

    • 1.幻視

    • 2.失語

    • 3.脱抑制

    • 4.人格変化

    解答・解説

    1.(○)レビー小体型認知症の病初期から中期にかけては、幻視、認知の変動、意識の変容、パーキンソン症状(動作緩慢、筋強剛、姿勢反射障害など)、レム睡眠行動障害、抑うつ、自律神経症状、失神などの症状が現れます。記憶障害や理解力・判断力の低下という進行性の認知機能障害に加え、繰り返す幻視(病初期から出現)とパーキンソン症状がみられることが特徴的です。
    2.(×)失語は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症でみられます。
    3.(×)脱抑制は、前頭側頭型認知症でみられます。
    4.(×)人格変化は、前頭側頭型認知症でみられます。

    第59問

    介護保険法で「入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設」と規定されているのはどれか。

    • 1.介護老人保健施設

    • 2.介護老人福祉施設

    • 3.介護療養型医療施設

    • 4.介護療養型老人保健施設

    解答・解説

    1.(×)介護老人保健施設は、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設です。
    2.(○)選択肢の通りです。
    3.(×)介護療養型医療施設は、療養病床等を有する病院または診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話および機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設です。
    4.(×)介護療養型老人保健施設は、介護老人保健施設の一形態であり、療養病床から転換するにあたって医療機能を強化したものです。

    第60問

    出産や育児に関する社会資源と法律の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.入院助産―児童福祉法

    • 2.出産扶助―母体保護法

    • 3.出産手当金―母子保健法

    • 4.養育医療―児童手当法

    解答・解説

    1.(○)入院助産は、経済的な理由から医療機関で出産できない妊産婦に対して、児童福祉法に基づき、指定施設での出産を援助(費用助成)するものです。生活保護法による出産扶助との兼ね合いとしては、基本的には入院助産が優先されるものの、自宅出産や指定施設以外で産んだ場合は出産扶助の対象になります。
    2.(×)出産扶助は、生活保護法で定められた扶助の一つです。出産に要する費用として一定額が現金支給されます。
    3.(×)出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために休業し、その間の給与の支払いを受けなかった場合に保険者から支給される手当金です。
    4.(×)養育医療は母子保護法に基づく制度で、指定養育医療機関で養育の必要があると医師が認めた未熟児に対して、医療の給付などを行います。

  • 第61問

    Aさん(16歳、女子)。身長160cm、体重40kg。1年で体重が12kg減少した。Aさんは6か月前から月経がみられないため婦人科クリニックを受診し、体重減少性無月経(amenorrhea due to weight loss)と診断された。 今後、Aさんの無月経が長期間続いた場合、増加することが予想されるのはどれか。

    • 1.血糖値

    • 2.骨吸収

    • 3.体脂肪率

    • 4.エストロゲン

    解答・解説

    体重減少性無月経は、過度の体重減少や運動負荷を原因とした視床下部性無月経です。
    1.(×)摂食障害や体重減少が高度であれば、低栄養による貧血、低血糖症状が出現します。
    2.(○)無月経が持続すると、通常はエストロゲンにより抑制されている骨吸収が亢進して、骨粗鬆症のリスクが高まります。
    3.(×)思春期の女子では、エストロゲンの影響で体脂肪が増加しますが、体重減少性無月経では体脂肪率が減少します。
    4.(×)視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、脳下垂体に働きかけて卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)を分泌させ、卵巣のエストロゲン分泌を促します。急激な体重減少でGnRHの分泌が低下すると、エストロゲンも低下します。

    第62問

    配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV 防止法〉で正しいのはどれか。

    • 1.婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。

    • 2.暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。

    • 3.暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。

    • 4.母子健康センターは被害者の保護をする。

    解答・解説

    1.(×)「事実上の婚姻関係にある者」「生活の本拠を共にする交際相手」からの暴力の被害者も保護の対象になります。
    2.(×)配偶者等からの暴力を受けている被害者を発見した人は、警察か配偶者暴力相談支援センターに通報するよう努めるべきことが規定されています。
    3.(○)殴ったり蹴ったりという身体的な暴力に限らず、身体的暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動まで含まれます。
    4.(×)DV被害者の保護に当たるのは配偶者暴力相談支援センターです。相談や相談機関の紹介、カウンセリング、自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助なども提供しています。母子健康センターは、母親と乳幼児に対する栄養指導、予防接種、定期健診などを行う保健施設です。

    第63問

    妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.風疹(rubella)―白内障(cataract)

    • 2.性器ヘルペス(genital herpes)―聴力障害

    • 3.トキソプラズマ症(toxoplasmosis)―先天性心疾患(congenital heart disease)

    • 4.性器クラミジア感染症(genital chlamydiosis)―小頭症(microcephaly)

    解答・解説

    1.(○)免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児感染して、出生児に先天性風疹症候群(白内障、緑内障、心疾患、難聴など)を引き起こすことがあります。
    2.(×)性器ヘルペス感染症は、単純ヘルペスウイルス1型および2型の感染により性器やその周辺に水疱や潰瘍などが生じる疾患です。産道感染などによる新生児ヘルペスの症状は脳炎、痙攣、水疱、発熱などで、聴力障害を引き起こすことはありません。
    3.(×)トキソプラズマ症は、ネコ科動物を終宿主とする原虫のトキソプラズマが引き起こす感染症です。妊娠中の女性がトキソプラズマに初感染して胎内感染した場合、水頭症、脳内石灰化、網膜絡膜炎による視力障害、精神運動機能障害といった症状がみられる先天性トキソプラズマ症になる可能性があります。
    4.(×)性器クラミジア感染症の病原体は、クラミジア・トラコマチスです。経産道の母子感染をすることがあり、新生児クラミジア結膜炎、咽頭炎、肺炎などを引き起こすことがあります。

    第64問

    Aさん(68歳、女性)は、胃癌(gastric cancer)のため入院した。入院初日に「夫も癌になって、亡くなる前に痛みで苦しんでいました。私も痛みが怖いんです」と言った。看護師は、Aさんが夫のように苦しむことへの恐怖や不安があることが分かり、Aさんとともに対処法について考えた。 この時点での患者-看護師関係の段階はどれか。

    • 1.方向付け

    • 2.同一化

    • 3.開拓利用

    • 4.問題解決

    解答・解説

    精神科看護の専門性を追究したヒルデガード・ペプロウは、看護師と患者の人間関係のプロセスを「方向付け」「同一化」「開拓利用」「問題解決」という4つの段階で示しました。
    1.(○)方向付けの段階は、患者と看護者が出会う時期で、お互いが緊張状態にあります。患者の抱えている問題を共有し、解決に向けて歩み始めます。Aさんは入院初日なので、この段階に当たると考えられます。
    2.(×)同一化は、患者が自分のニードに応じてくれそうな看護師を選んで反応する時期で、自身の健康問題に興味を示し、看護者と共に解決しようとする準備段階です。
    3.(×)開拓利用は、患者が自身に提供される援助を活用して、看護師と協力して健康問題を解決していく段階です。
    4.(×)問題解決は、患者が独り立ちする能力を身に付け、新しい目標に向かう段階です。病気が完治していなくても、病気と共存するすべを備えるようになります。

    第65問

    訪問看護の利用者に関する訪問看護と病院の外来看護の連携で適切なのはどれか。

    • 1.訪問看護報告書は外来看護師に提出する。

    • 2.利用者の個人情報の相互共有に利用者の承諾書は不要である。

    • 3.利用者が使用している医療材料の情報を外来看護師と共有する。

    • 4.訪問看護師から外来看護師に利用者の外来診察の予約を依頼する。

    解答・解説

    訪問看護のニーズが高まる中、訪問看護師と病院看護師との連携の重要性が高まっています。しかし、両者の立場の違いや相互理解の不足などから、連携がスムーズにいかないケースもみられます。
    1.(×)訪問看護報告書は、訪問看護計画書とともに定期的に主治医へ提出します。
    2.(×)個人情報保護のため、利用者の個人情報の相互共有には利用者の承諾書が必要になります。
    3.(○)利用者が必要とする医療材料の種類や量を把握して過不足なく供給するため、関連する情報を外来看護師と共有することは有益です。選択肢の内容は個人情報には当たらないため、共有しても問題ありません。
    4.(×)外来診察の予約は、利用者本人またはその家族が行います。

    第66問

    Aさん(42歳、女性)は、交通事故による脊髄損傷(spinal cord injury)で入院し、リハビリテーションを受けた。Aさんの排泄の状況は、間欠的導尿による排尿と、坐薬による3日に1回の排便である。同居する夫と実母が導尿の指導を受け、退院することになった。初回の訪問看護は退院後3日目とし、その後は訪問看護を週2回受けることになった。 入院していた医療機関から提供された患者情報のうち、初回訪問のケア計画を立案するのに最も優先度の高い情報はどれか。

    • 1.食事の摂取量

    • 2.1日の導尿回数

    • 3.最終排便の日時

    • 4.リハビリテーションの内容

    解答・解説

    Aさんには、脊髄損傷に起因する膀胱直腸障害があると考えられます。
    1.(×)膀胱直腸障害の存在を踏まえると、食事の摂取量より排泄に関する情報のほうが優先度は高いでしょう。
    2.(×)比較的優先度の高い情報と考えられますが、適切な排尿管理がなされているか確認するのであれば尿の性状などの情報も必要です。
    3.(○)排便は坐薬によって3日に1回なので、退院時に排便がなければ最長で6日間排便がないことになります。初回訪問までに排便がなければ、坐薬を使う必要があります。
    4.(×)初回訪問では、他の選択肢の情報が優先されるでしょう。

    第67問

    A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。3歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときにDuchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)の確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。 このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。

    • 1.姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する。

    • 2.姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める。

    • 3.短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める。

    • 4.居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。

    解答・解説

    A君の姉はまだ8歳であり、自分も母親に甘えたいという気持ちがあるのに、母親はA君の世話にかかりきりでなかなか自分の相手をしてくれないという不満からの態度であると考えられます。
    1.(×)父母、特に母親との関係性の問題であり、養護教諭の家庭訪問が最も優先されるとはいえません。
    2.(×)A君の室内歩行は自立している上、姉の問題を解決する助けにはなりません。
    3.(×)姉のストレスの原因は日常生活の中にあり、父母と姉で短期的な旅行をすれば解消されるというものではありません。
    4.(○)筋ジストロフィーは障害者総合支援法による自立支援給付の対象疾患なので、居宅介護を利用し、日常的に姉と母親が関わる時間を確保できるように提案します。

    第68問

    在宅で訪問看護師が行う要介護者の入浴に関する援助で適切なのはどれか。

    • 1.入浴前後に水分摂取を促す。

    • 2.浴室の換気は入浴直前に行う。

    • 3.浴槽に入っている間に更衣の準備をする。

    • 4.入浴前の身体状態の観察を家族に依頼する。

    解答・解説

    1.(○)発汗に伴う脱水のおそれがあるので、入浴前後に利用者の状態に応じて適量の水分を摂取するように促します。
    2.(×)入浴直前に換気を行うと浴室の温度が下がり、特に冬場は浴室と居室の温度差が大きくなり、急激な血圧変動によるヒートショックのリスクが高まります。不整脈、失神、脳梗塞、心筋梗塞などが引き起こされ、転倒や溺死にもつながりかねません。入浴前は脱衣所と浴室を温めておき、居室との温度差をなくすことが有効です。
    3.(×)浴槽に入っている間は利用者の様子を見る必要があるので、更衣の準備は入浴前にしておきます。
    4.(×)入浴前の身体状態の観察からは、入浴の可否を判断するために重要な情報が得られるため、看護師本人が行います。

    第69問

    Aさん(65 歳、女性)は、夫と実父との3人暮らしである。脊柱管狭窄症(spinal canal stenosis)の術後、地域包括ケア病棟に入院中である。退院後は自宅に戻り室内で車椅子を利用する予定である。Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-1である。 看護師による家族への指導で最も適切なのはどれか。

    • 1.家族の生活習慣を中心に屋内環境を整備する。

    • 2.夜間の車椅子によるトイレへの移動は制限する。

    • 3.退院後の生活の課題に応じて福祉用具を選定する。

    • 4.ベッドから車椅子への移動介助にリフトの導入を勧める。

    解答・解説

    障害高齢者の日常生活自立度判定基準のB-1は「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベット上での生活が主体であるが、座位を保つ。車椅子に移乗し、食事、排泄はベットから離れて行う」状態を指します。
    1.(×)家族だけでなくAさんの生活習慣も考慮して、屋内環境を整備します。
    2.(×)Aさんは車椅子への移乗は可能ながら、トイレへの移乗は自力では難しい状態です。しかし、介助する家族がおり、夜間でも移動を制限すべきではないでしょう。
    3.(○)Aさんは生活に介助を要する状態なので、入院中の時点から退院後の生活課題を想定して、適切な福祉用具を準備しておく必要があります。
    4.(×)Aさんの自立度でリフトの導入が必要とは考えられません。

    第70問

    特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。

    • 1.特定行為は診療の補助行為である。

    • 2.研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。

    • 3.研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。

    • 4.看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。

    解答・解説

    1.(○)特定行為は「診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令に定めるものをいう」と規定されています。医師の指示の下、あらかじめ定められた手順書に基づいて実施する診療の補助行為となります。
    2.(×)研修は、都道府県知事ではなく厚生労働大臣が指定する研修機関で実施します。
    3.(×)特定行為研修の受講者としては、おおむねね3~5年以上の実務経験を有する看護師が想定されていますが、必須条件ではありません。
    4.(×)特定行為研修に関しては、保健師助産師看護師法に定められています。

    第71問

    ある組織では、リーダーの支援の下でグループ討議を経て方針を決定している。 このリーダーシップスタイルはどれか。

    • 1.委任的リーダーシップ

    • 2.参加的リーダーシップ

    • 3.教示的リーダーシップ

    • 4.カリスマ的リーダーシップ

    解答・解説

    1977年に提唱されたSL理論(状況対応型リーダーシップ理論)では、集団のメンバーの成熟度が低い段階では教示的リーダーシップが有効で、メンバーの成熟度が増すに従って参加的リーダーシップ、さらには委任的リーダーシップが有効になるとされています。
    1.(×)委任型リーダーシップは、メンバーが完全に自律性を獲得しており、そこへリーダーが権限や責任を委譲できる状況において有効です。
    2.(○)設問ではグループ討議を経て方針を決定しており、参加的リーダーシップが機能している状況だと考えられます。
    3.(×)教示的リーダーシップは、上意下達的に指示を出して物事を進めていくやり方です。
    4.(×)カリスマ的リーダーシップは、将来のビジョンを描く資質がリーダーに求められる時代に出てきた考え方です。

    第72問

    Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。 Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。

    • 1.経口補水液の配布

    • 2.乳幼児の栄養状態の把握

    • 3.女性の識字率向上の支援

    • 4.病院における母子看護業務の把握

    解答・解説

    1.(×)紛争地域の衛生状態は良好ではないため、下痢症などの患者に対して経口補水液を配布することは重要な医療支援ですが、そのためにはまず経口補水液を必要とする患者がどこにどのくらいいるのか把握しなくてはなりません。
    2.(○)母子保健担当であることから、派遣された地域全体の健康状態、特に乳幼児の栄養状態を把握することが最初に行うべき業務となります。紛争地域では十分な食事が供給されず、特に乳幼児の生命維持が困難になるため、まずは命をつなぐ栄養の確保が先決です。
    3.(×)現地で看護師が最初に行うような業務ではありません。
    4.(×)Aさんは州事務所に派遣されているため、まずは地域全体の状況に目配りする必要があります。

    第73問

    最も順応しにくいのはどれか。

    • 1.視覚

    • 2.嗅覚

    • 3.味覚

    • 4.触覚

    • 5.痛覚

    解答・解説

    1.(×)暗い環境で視細胞の感度が上がることを暗順応、明るい環境で視細胞の感度が下がることを明順応と呼びます。
    2.(×)同じ臭いをかぎ続けて、その臭いを感じなくなることを嗅覚順応と呼びます。
    3.(×)強い味刺激によって起こる順応を味覚順応と呼びます。
    4.(×)触覚の順応は比較的早く起こります。例えば、着衣した際には衣服の感触を感じますが、すぐに慣れて意識されなくなります。
    5.(○)痛覚は、生体にとって高度に危険な刺激情報を伝えるものであり、ほとんど順応しません。むしろ、一定の部位に同じ刺激を連続して与えると、痛覚閾値は低下するとされています。

    第74問

    起立性低血圧について正しいのはどれか。

    • 1.脱水との関連はない。

    • 2.高齢者には起こりにくい。

    • 3.塩分の過剰摂取によって起こる。

    • 4.脳血流の一時的な増加によって生じる。

    • 5.自律神経障害を起こす疾患で生じやすい。

    解答・解説

    1.(×)脱水状態では循環血液量が減少し、起立性低血圧が起こりやすくなります。
    2.(×)高齢者では下肢の筋力が衰え、筋ポンプ作用による心臓への血液還流が弱まることが原因の一つとなり、起立性低血圧が起こりやすくなります。
    3.(×)塩分を過剰摂取すると高血圧をきたすため、起立性低血圧は起こりにくくなります。
    4.(×)起立性低血圧は、急に立ち上がったときや身体を動かしたときに急激に血圧が下がり、めまいや立ちくらみを起こす状態です。下半身からの血液還流が低下するため、脳血流は減少します。
    5.(○)起立性低血圧は、自律神経系の異常のため交感神経がうまく働かず、起立時の血圧維持ができなくなることが原因の一つです。したがって、自律神経障害を起こす疾患で生じやすくなります。

    第75問

    平成26年(2014年)の人口動態統計における妻の平均初婚年齢はどれか。

    • 1.23.4歳

    • 2.25.4歳

    • 3.27.4歳

    • 4.29.4歳

    • 5.31.4歳

    解答・解説

    平成26年(2014年)の人口動態統計における平均初婚年齢は夫31.1歳、妻29.4歳で、夫は前年より0.2歳、妻は前年より0.1歳上昇しています。なお、昭和45年(1970年)の妻の平均初婚年齢は24.2歳、昭和60年(1985年)は25.5歳、平成12年(2000年)は27.0歳でした。妻に限らず夫の平均初婚年齢も時代を経るごとに上昇してきており、いわゆる晩婚化の影響が現れていることが分かります。晩婚化に伴い、出生率の低下、出産年齢の上昇といった影響も出てきます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、5.(×)、となります。

  • 第76問

    人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか。

    • 1.Q熱(Q fever)

    • 2.黄熱(yellow fever)

    • 3.狂犬病(rabies)

    • 4.オウム病(psittacosis)

    • 5.重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉(severe fever with thrombocytopenia syndrome)

    解答・解説

    1.(×)Q熱の感染源は主に家畜や愛玩動物です。妊娠したウシ、ヤギ、ヒツジ、ネコなどに感染すると胎盤でQ熱コクシエラが爆発的に増殖し、流産や死産を引き起こすことがあります。その分娩時の胎盤や羊水、汚染された粉塵やエアゾールを吸入することでヒトに感染し、インフルエンザ様症状や肺炎などを引き起こします。
    2.(○)主にネッタイシマカが黄熱ウイルスを媒介し、ヒトに感染します。ネッタイシマカはヤブカ属の吸血性のカの一種で、黄熱のほか、デング熱やジカ熱なども媒介します。
    3.(×)狂犬病ウイルスに罹患しているイヌ、ネコ、コウモリなどに咬まれたり引っかかれたりすることでヒトに感染します。
    4.(×)オウム病クラミジアを保有しているオウムやインコなどの排泄物を吸入することでヒトに感染します。
    5.(×)病原体であるフレボウイルスの一種を保有するマダニに咬まれることでヒトに感染します。

    第77問

    医療職や介護職の業務で法律に規定されているのはどれか。

    • 1.介護福祉士は訪問看護ができる。

    • 2.薬剤師は薬を処方することができる。

    • 3.臨床検査技師は肘静脈から採血ができる。

    • 4.看護師は病院の管理者となることができる。

    • 5.診療放射線技師はエックス線写真に基づく診断ができる。

    解答・解説

    1.(×)介護保険法に基づく訪問看護は、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、助産師、保健師、言語聴覚士が実施できます。介護福祉士が実施するのは訪問介護です。
    2.(×)薬の処方ができるのは、医師または歯科医師です。
    3.(○)臨床検査技師は、「診療の補助」の範囲において、医師または歯科医師の指示を受けて採血や検体採取を行うことができます。
    4.(×)医療法において、医業をなす病院または診療所の管理者は、「臨床研修修了医師」でなければならないとされています。看護師は、訪問看護ステーションの管理者となることができます。
    5.(×)エックス線写真に基づく診断ができるのは、医師または歯科医師です。

    第78問

    思春期に、親や家族との関係が依存的な関係から対等な関係に変化し、精神的に自立することを示すのはどれか。

    • 1.自我同一性の獲得

    • 2.心理的離乳

    • 3.愛着形成

    • 4.探索行動

    • 5.母子分離

    解答・解説

    1.(×)自我同一性(アイデンティティー)の獲得とは、主に思春期から青年期にかけて、自らを他者と比較したり、理想とする対象者と同一化したりしつつ、自分とは何者なのか、自分は何をなすべきなのかを模索して、「これこそが自分だ」という一貫した像を作り上げていくことを指します。
    2.(○)思春期から青年期にかけて、子どもが親との心理的依存関係を脱却し、自律性を得ることで、親という存在を相対化していく過程を心理的離乳と呼びます。これを成し遂げるためには、友人関係の構築が大きなカギとなります。
    3.(×)子どもの出生前の段階から、親子の相互交流により愛着が形成されていきます。
    4.(×)乳幼児は、自らの周囲の状況を理解するために探索行動を行います。
    5.(×)母子分離とは、乳幼児が母親と離れて行動しても不安がらないことを指します。一方、乳幼児が母親と離れることを不安がり、激しく泣くなどして離れられないことを母子分離不安と呼びます。

    第79問

    排泄が自立していない男児の一般尿を採尿バッグを用いて採取する方法で正しいのはどれか。

    • 1.採尿バッグに空気が入らないようにする。

    • 2.採尿口の下縁を陰茎の根元の位置に貼付する。

    • 3.採尿バッグを貼付している間は座位とする。

    • 4.採取できるまで1時間ごとに貼り替える。

    • 5.採取後は貼付部位をアルコール綿で清拭する。

    解答・解説

    1.(×)採尿バッグにある程度は空間的余裕がないと、尿がたまりにくく漏れやすくなります。
    2.(○)採尿口下縁は陰茎の根元の位置に、隙間ができないように密着させて貼付します。
    3.(×)採尿バッグ貼付後は、激しい動きは避けたほうが望ましいものの、座位を維持する必要はありません。腹這いにさせたり、バッグを押さえ付けるように抱っこしたりすると、テープがはがれやすくなります。
    4.(×)長時間貼付すると皮膚の発赤などを招くおそれがあります。一方、頻回な貼り替えも皮膚にダメージを与えます。30分程度ごとに排尿を確認し、できるだけ貼付時間を短くする配慮が必要です。
    5.(×)陰部周囲の皮膚は刺激に弱いため、採尿後の清拭にアルコール消毒は向いていません。一般的なおしりふきを使って清拭するとよいでしょう。

    第80問

    Aちゃん(6歳、女児)は、左上腕骨顆上骨折(left supracondylar fracture of humerus)と診断され、牽引治療のために入院した。医師からAちゃんと家族に対し、牽引と安静臥床の必要性を説明した後、弾性包帯を用いて左上肢の介達牽引を開始した。 Aちゃんに対する看護で適切なのはどれか。

    • 1.食事を全介助する。

    • 2.左手指の熱感を観察する。

    • 3.抑制ジャケットを装着する。

    • 4.1日1回は弾性包帯を巻き直す。

    • 5.痛みに応じて牽引の重錘の重さを変更する。

    解答・解説

    1.(×)牽引により行動が制限されますが、右手を使って食事をするように促して、できるだけ患者が自律的な日常生活が送れるよう支援します。
    2.(×)介達牽引では、直達牽引に比べて感染リスクは低いといえます。ただし、介達牽引でも皮膚への負担は少なからずあるため、左手指の痛みなどの観察は必要です。
    3.(×)Aちゃんは6歳で安静臥床の必要性を理解できていると考えられるので、抑制ジャケットの装着は必要ありません。
    4.(○)牽引中に包帯が緩むと、牽引にずれが生じ、治療遅延につながることがあります。そのため、1日1回は弾性包帯を巻き直すようにします。また、包帯を外した際、患部の皮膚の状態や循環・神経障害を起こしていないか確認します。
    5.(×)牽引に用いる重錘の重さは医師の指示で変更するものであり、看護師独自の判断では変更できません。

    第81問

    精神科病院の閉鎖病棟に入院中の患者宛てに厚みのある封筒が届いた。差出人は記載されていなかった。 当日の看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.患者に渡さず破棄する。

    • 2.患者による開封に立ち会う。

    • 3.開封せず患者の家族に転送する。

    • 4.看護師が開封して内容を確認してから患者に渡す。

    • 5.退院まで開封せずにナースステーションで保管する。

    解答・解説

    大原則として、精神保健福祉法において「精神科病院の管理者は(中略)信書の発受の制限、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限その他の行動の制限であって、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限については、これを行うことができない」と定められています。患者の同意なしに病院職員が信書を開封して中身を閲覧することも、通信の自由を侵害する行為です。明らかに信書に異物(危険物等)が入っていると疑われる場合は、病院職員の前で患者本人に開封してもらい、異物を取り除くことがあります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第82問

    潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.遺伝性である。

    • 2.直腸に好発する。

    • 3.縦走潰瘍が特徴である。

    • 4.大腸癌(colorectal cancer)の危険因子である。

    • 5.大量の水様性下痢が特徴である。

    解答・解説

    1.(×)潰瘍性大腸炎の原因は、腸内細菌の関与、自己免疫反応の異常、食生活の変化の関与などが考えられていますが、いまだ明らかになっていません。いずれにせよ、遺伝性とは考えられていません。
    2.(○)潰瘍性大腸炎は、直腸やS状結腸に好発します。
    3.(×)潰瘍性大腸炎では、腸管粘膜に連続的にびらんや潰瘍が生じます。縦走潰瘍は腸管粘膜に非連続(飛び石状)に生じる潰瘍で、同じ炎症性腸疾患であるクローン病で特徴的にみられます。
    4.(○)潰瘍性大腸炎を発症して7~8年経過すると、大腸癌を合併することがあります。
    5.(×)潰瘍性大腸炎では、粘液便がみられます。

    第83問

    児童相談所について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.国が設置する。

    • 2.児童福祉司が配置されている。

    • 3.母親を一時保護する機能を持つ。

    • 4.知的障害に関する相談を受ける。

    • 5.児童の保健について正しい衛生知識の普及を図る。

    解答・解説

    1.(×)児童福祉法に基づき、すべての都道府県および政令指定都市に最低1以上の児童相談所の設置が義務付けられています。
    2.(○)児童福祉司は、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について相談に応じ、専門的技術を駆使して必要な指導を行う専門職です。児童福祉法に基づき、児童相談所への配置が義務付けられています。
    3.(×)児童相談所が一時保護の対象とするのは、あくまで児童のみです。
    4.(○)知的障害に関する相談を受けるには専門的な知識・技術が求められますが、それに対応できる機能を児童相談所は有しています。
    5.(×)児童相談所ではなく、保健所の役割だと考えられます。

    第84問

    国際生活機能分類〈ICF〉の構成要素はどれか。2つ選べ。

    • 1.参加

    • 2.休息

    • 3.社会的不利

    • 4.生活関連動作

    • 5.心身機能・構造

    解答・解説

    国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health;ICF)は生活機能と障害の分類方法であり、2001年に世界保健機関(WHO)が採択しました。人の生活機能を「~できる」というプラス面から評価すること、3つの構成要素と背景因子(個人因子と環境因子)を導入したことがICFの特徴です。3つの構成要素は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」であり、それぞれ背景因子の影響を受けるものと考えられています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第85問

    Aさん(48歳、男性)は、右眼の視野に見えにくい部位があることに気付き眼科を受診した。暗い部屋で見えにくいことはない。頭痛や悪心はない。 Aさんの疾患を診断するのに必要な検査はどれか。2つ選べ。

    • 1.脳波検査

    • 2.色覚検査

    • 3.眼圧測定

    • 4.眼底検査

    • 5.眼球運動検査

    解答・解説

    「右眼の視野に見えにくい部位がある」ことから、緑内障による視野狭窄の可能性が考えられます。
    1.(×)両眼の視野が狭ければ脳疾患による視野狭窄が疑われますが、右眼のみなので脳波検査は必要ありません。
    2.(×)色覚検査では、視野障害は検査できません。
    3.(○)眼圧測定において、眼圧が基準値より高ければ緑内障の可能性があります。ただし、正常眼圧緑内障もあるため、それだけで判断することはできません。
    4.(○)眼底検査では、緑内障による視神経萎縮、網膜の異常である糖尿病網膜症、網膜剥離、網膜血管障害などについて調べることができます。
    5.(×)眼球運動検査は、両眼を動かす外眼筋の動きのバランスに異常がないか調べるものです。

    第86問

    麻疹(measles)に関して正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.合併症として脳炎がある。

    • 2.感染力は発疹期が最も強い。

    • 3.効果的な抗ウイルス薬がある。

    • 4.2回のワクチン定期接種が行われている。

    • 5.エンテロウイルスの感染によって発症する。

    解答・解説

    1.(○)麻疹の合併症には、肺炎、脳炎、細菌の重複感染、急性血小板減少性紫斑病、一過性肝炎、亜急性硬化性全脳炎などがあります。脳炎と肺炎は麻疹の二大死因であり、注意が必要です。
    2.(×)感染力はカタル期(3~4日)に最も強くなります。上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、咽頭痛)と結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れ、次第に増強し、コプリック斑ができます。発疹期(4~5日)は皮膚に発疹が出て3~4日続いて解熱し、回復期へ移行していきます。
    3.(×)麻疹に有効な抗ウイルス薬は開発されていません。
    4.(○)現行の予防接種法では、定期接種として、1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)を対象とした麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)による2回接種が行われています。
    5.(×)麻疹の病原体は麻疹ウイルスです。エンテロウイルスはピコルナウイルス科に属するRNAウイルスで、手足口病、無菌性髄膜炎、急性出血性結膜炎などを引き起こします。

    第87問

    Aさん(30歳、女性)。月経周期は28日型で規則的である。5日間月経があり、現在、月経終了後14日が経過した。 この時期のAさんの状態で推定されるのはどれか。2つ選べ。

    • 1.排卵後である。

    • 2.乳房緊満感がある。

    • 3.子宮内膜は増殖期である。

    • 4.基礎体温は低温相である。

    • 5.子宮頸管の粘液量が増加する。

    解答・解説

    1.(○)Aさんの月経周期は規則的な28日型であり、月経は排卵後12~14日で起こることから、19日目(月経5日+月経終了後14日)の現在は排卵後であると推測されます。
    2.(○)排卵後から月経開始までの間は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が亢進します。エストロゲンの影響で乳管上皮が、プロゲステロンの影響で腺房上皮が増殖し、乳房緊満感が生じます。
    3.(×)子宮内膜が増殖する期間は、月経後から排卵までの間です。
    4.(×)排卵後は、プロゲステロンの影響で高温相となります。
    5.(×)排卵後の子宮頸管の粘液量は、プロゲステロンの影響で減少します。

    第88問

    入院集団精神療法において、看護師が担うリーダーの役割で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.患者間の発言量を均等にする。

    • 2.沈黙も意味があると受け止める。

    • 3.メンバーの座る位置を固定する。

    • 4.患者の非言語的サインに注目する。

    • 5.話題が変わった場合はすぐに戻す。

    解答・解説

    集団精神療法は、参加者が集団の中で互いに受けた影響を言葉や動作、演技などで表現し、各自の個性を尊重して協調しながら人間関係を修正したり、新しい関係性のあり方を学んだりするものです。
    1.(×)患者間の発言量を均等にしようとすると表面的な会話になり、他者の意見を受け入れて考える妨げになるおそれがあります。
    2.(○)沈黙がどのような意味を持つのか、グループで観察・分析してみるよう促すこともリーダーの役割です。
    3.(×)参加・発言しやすい雰囲気を作るため、座る位置は各自の自由に任せます。
    4.(○)時には、参加者が発する言葉よりも、非言語メッセージ(身振り、手振り、表情、全体の雰囲気など)のほうが雄弁に物語ることもあります。
    5.(×)話題が変わったことにも意味があると考え、その意味をグループで観察・分析してみるよう促すこともリーダーの役割です。

    第89問

    精神保健医療福祉に関する法律について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。

    • 2.障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。

    • 3.発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症(schizophrenia)が含まれる。

    • 4.精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。

    • 5.犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。

    解答・解説

    1.(○)2006年(平成18年)に自殺対策基本法が制定され、翌年初めての自殺総合対策大綱が閣議決定されました。自殺対策基本法に基づき、自殺予防のために政府が果たすべき具体的方策を示したものです。
    2.(×)障害者基本法において、対象者は「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義されています。
    3.(×)発達障害者支援法において、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されており、統合失調症は含まれません。
    4.(×)精神通院医療の公費負担は、障害者総合支援法による自立支援医療で規定されています。
    5.(○)犯罪被害者等基本法では、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する」と謳われています。

    第90問

    災害拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.広域災害医療に対応する。

    • 2.災害発生時に指定される。

    • 3.医療救護班の派遣機能を持つ。

    • 4.免震構造であることが指定要件である。

    • 5.救急救命士の配置が義務付けられている。

    解答・解説

    1.(○)災害拠点病院の指定要件の一つに「広域災害・救急医療情報システム(EMIS)に参加し、災害時に情報を入力する体制を整えておくこと」が挙げられています。EMISとは、都道府県の垣根を越えて災害医療に関わる情報(医療機関の稼働状況など)を共有し、被災地域での迅速かつ適切な医療救護に生かすためのシステムです。
    2.(×)災害拠点病院は災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する病院で、平時から厚生労働省が定めた指定要件に基づいて、各都道府県に1か所整備します。
    3.(○)災害拠点病院の指定要件の一つに「災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制があること」が挙げられています。DMATは医師、看護師、救急救命士などで構成される医療チームで、災害急性期に活動します。
    4.(×)災害拠点病院の指定要件の一つに「診療機能を有する施設は耐震構造を有すること」が挙げられています。免震構造である必要はありません。
    5.(×)災害拠点病院の指定要件として、救急救命士の配置は義務付けられていません。

  • 第91問

    Aさん(53歳、男性、会社員)は、1週前から倦怠感が強く、尿が濃くなり、眼の黄染もみられたため、近くの医療機関を受診し黄疸と診断された。総合病院の消化器内科を紹介され受診した。時々、便が黒いことはあったが、腹痛はなかった。既往歴に特記すべきことはない。来院時のバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍68/分、血圧134/82mmHgであった。血液検査データは、アルブミン4.2g/dL、AST〈GOT〉69IU/L、ALT〈GPT〉72IU/L、総ビリルビン14.6mg/dL、直接ビリルビン12.5mg/dL、アミラーゼ45IU/L、Fe 27μg/dL、尿素窒素16.5mg/dL、クレアチニン0.78mg/dL、白血球9,200/μL、Hb 11.2g/dL、血小板23万/μL、CRP 2.8mg/dLであった。 Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.脱水がある。

    • 2.閉塞性黄疸(obstructive jaundice)である。

    • 3.膵炎(pancreatitis)を発症している。

    • 4.急性腎不全(acute renal failure)を発症している。

    • 5.鉄欠乏性貧血(iron-deficiency anemia)の可能性がある。

    解答・解説

    1.(×)直接ビリルビン12.5mg/dLであり、尿の色が濃いのは脱水のためではなく直接ビリルビンが尿中に出ているからだと考えられます。
    2.(○)直接ビリルビンの数値の高さ、眼の黄染という症状から、閉塞性黄疸だと考えられます。閉塞性黄疸は、胆管が閉塞することで本来腸内に排出される胆汁が血中に流れ込むことで黄疸をきたすものです。
    3.(×)アミラーゼは基準範囲内であり、上腹部に急性腹痛発作や圧痛がみられないので、急性膵炎は否定できます。
    4.(×)尿素窒素とクレアチニンは基準範囲内であり、急性腎不全は否定できます。
    5.(○)便が黒いことから、消化管内で出血している可能性が考えられます。また、FeとHbの数値が低いことから、下血による鉄欠乏性貧血が考えられます。

    第92問

    Aさん(53歳、男性、会社員)は、1週前から倦怠感が強く、尿が濃くなり、眼の黄染もみられたため、近くの医療機関を受診し黄疸と診断された。総合病院の消化器内科を紹介され受診した。時々、便が黒いことはあったが、腹痛はなかった。既往歴に特記すべきことはない。来院時のバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍68/分、血圧134/82mmHgであった。血液検査データは、アルブミン4.2g/dL、AST〈GOT〉69IU/L、ALT〈GPT〉72IU/L、総ビリルビン14.6mg/dL、直接ビリルビン12.5mg/dL、アミラーゼ45IU/L、Fe 27μg/dL、尿素窒素16.5mg/dL、クレアチニン0.78mg/dL、白血球9,200/μL、Hb 11.2g/dL、血小板23万/μL、CRP 2.8mg/dLであった。 腹部造影CTにて膵頭部癌(pancreatic head carcinoma)が疑われ、内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉が行われ、膵液細胞診と膵管擦過細胞診とが行われた。また、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ〈ENBD〉が行われ、ドレナージチューブが留置された。処置後18時間、チューブからの排液は良好で、腹痛はなく、Aさんはチューブが固定されている鼻翼の違和感を訴えている。バイタルサインは、体温37.1℃、脈拍76/分、血圧128/80mmHgであった。血液検査データは、総ビリルビン11.2mg/dL、直接ビリルビン8.2mg/dL、アミラーゼ96IU/L、白血球9,800/μL、CRP 3.5mg/dLであった。 このときのAさんへの看護で正しいのはどれか。

    • 1.禁食が続くことを伝える。

    • 2.ベッド上安静が必要であることを伝える。

    • 3.鼻翼にドレナージチューブが接触していないか確認する。

    • 4.ドレナージチューブを持続吸引器に接続する準備をする。

    解答・解説

    1.(×)ERCP後2時間は絶食とし、腹痛がなければ水分摂取を開始します。その後、ドレナージチューブが入っていても、発熱や偶発症がなければ食事を開始できます。
    2.(×)ERCP後2時間は、造影剤の排出を促して膵炎を予防するため右側臥位を保ち、ベッド上で安静にします。また、なるべく多くの水分を摂取するようにします。ERCP後は膵炎のリスクが高いため(ERCP後膵炎)、上腹部痛や発熱などの身体所見に注意するとともに、採血による血清酵素測定(主に血中アミラーゼ)を行います。
    3.(○)Aさんは、固定されたドレナージチューブが鼻翼に当たって違和感を訴えていると考えられるため、確認して接触していれば固定の方法を変更します。
    4.(×)内視鏡的経鼻胆道ドレナージでは、高低差を利用してドレナージチューブから胆汁を排出するため、持続吸引器は使用しません。

    第93問

    Aさん(53歳、男性、会社員)は、1週前から倦怠感が強く、尿が濃くなり、眼の黄染もみられたため、近くの医療機関を受診し黄疸と診断された。総合病院の消化器内科を紹介され受診した。時々、便が黒いことはあったが、腹痛はなかった。既往歴に特記すべきことはない。来院時のバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍68/分、血圧134/82mmHgであった。血液検査データは、アルブミン4.2g/dL、AST〈GOT〉69IU/L、ALT〈GPT〉72IU/L、総ビリルビン14.6mg/dL、直接ビリルビン12.5mg/dL、アミラーゼ45IU/L、Fe 27μg/dL、尿素窒素16.5mg/dL、クレアチニン0.78mg/dL、白血球9,200/μL、Hb 11.2g/dL、血小板23万/μL、CRP 2.8mg/dLであった。 腹部造影CTにて膵頭部癌(pancreatic head carcinoma)が疑われ、内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉が行われ、膵液細胞診と膵管擦過細胞診とが行われた。また、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ〈ENBD〉が行われ、ドレナージチューブが留置された。処置後18時間、チューブからの排液は良好で、腹痛はなく、Aさんはチューブが固定されている鼻翼の違和感を訴えている。バイタルサインは、体温37.1℃、脈拍76/分、血圧128/80mmHgであった。血液検査データは、総ビリルビン11.2mg/dL、直接ビリルビン8.2mg/dL、アミラーゼ96IU/L、白血球9,800/μL、CRP 3.5mg/dLであった。 細胞診の結果、クラスⅤで膵頭部癌(pancreatic head carcinoma)と診断された。上部消化管内視鏡検査で十二指腸に出血を伴う膵癌(pancreatic cancer)の浸潤を認め、胃切除を伴う膵頭十二指腸切除術が行われた。術後、中心静脈栄養法〈IVH〉を行ったがインスリンの投与は必要ないと判断された。経過は良好であり、食事が開始された。 このときのAさんに対する説明で適切なのはどれか。

    • 1.便秘が起こりやすい。

    • 2.脂質の制限は不要である。

    • 3.カロリー制限が必要となる。

    • 4.ダンピング症状が起こりやすい。

    解答・解説

    1.(×)術後の物理的なダメージで大腸の蠕動運動が低下するおそれがあるものの、Aさんは経過良好で、すでに食事を再開しているため、特に便秘の問題はないと考えられます。
    2.(×)膵頭十二指腸切除術の術後は、膵臓の分泌低下を招き、リパーゼ(脂肪分解酵素)が減少するおそれがあるため、脂質の制限が必要です。
    3.(×)Aさんの場合、「術後、中心静脈栄養法〈IVH〉を行ったがインスリンの投与は必要ないと判断」されており、カロリー制限の必要はありません。
    4.(○)胃切除手術を受けた人の15~30%で起こるとされるダンピング症候群に注意する必要があります。食後5~30分で現れる早期ダンピング症候群と、食後2~3時間で現れる後期ダンピング症候群に分けられます。ダンピング(dumping)は「急速に落下する」(=食べ物が胃にとどまらず、すぐに小腸へ入る)ことを意味します。

    第94問

    Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折(left tibial fracture)に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。 入院後3日、左足趾のしびれと足背の疼痛を訴えた。 看護師の観察で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.膝窩動脈を触知する。

    • 2.足背の皮膚色を観察する。

    • 3.足趾の屈伸運動が可能か確認する。

    • 4.Volkmann〈フォルクマン〉拘縮の有無を確認する。

    • 5.ギプスを数cmカットして浮腫の有無を確認する。

    解答・解説

    1.(×)左下肢は長下肢ギプスで固定されており、膝窩動脈の触知部位も覆われているため、触知することはできません。
    2.(○)ギプス固定後に患部が腫脹すると、循環障害をきたすことがあります。足背の皮膚色を観察することで、循環障害の徴候に注意する必要があります。循環障害をきたすと、その部分の壊死につながるおそれがあります。
    3.(○)ギプス固定後に患部が腫脹すると、神経障害をきたすことがあります。足趾の屈伸運動が可能か確認することで、神経障害の徴候に注意する必要があります。
    4.(×)Volkmann〈フォルクマン〉拘縮は、前腕あるいは肘関節周囲を骨折後、内出血や圧迫などで閉鎖された組織の内圧が上昇し、阻血性拘縮と神経障害をきたす後遺症であり、設問のケースとは無関係です。
    5.(×)浮腫の有無は、ギプスをカットしなくても確認可能です。

    第95問

    Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折(left tibial fracture)に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。 入院後6日、左前腕部の接着部から末梢が壊死し、前腕切断術が行われた。術後4日、Aさんは幻肢痛を訴えた。 看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.切断端に弾力包帯を巻く。

    • 2.切断端のマッサージを行う。

    • 3.肘関節を屈曲したままにする。

    • 4.鎮痛薬では幻肢痛を軽減できないことを説明する。

    解答・解説

    幻肢痛とは、事故などで上下肢を失ったり、上下肢の神経損傷により感覚がまったくなくなったりしても、その上下肢があたかも存在しているように感じられ(幻肢覚)、時には痛みさえ覚えることをいいます。
    1.(○)切断端に弾力包帯を巻くことで、適度な圧迫を加えて断面の成熟を図ります。義肢装着へ向けた準備を進める中で現実と向き合えるようになれば、やがて幻肢痛もなくなっていきます。
    2.(×)術後4日の段階であり、切断端のマッサージは早すぎます。
    3.(×)肘関節を屈曲したままにしても幻肢痛には効果がないばかりか、拘縮のリスクを伴います。
    4.(×)鎮痛薬で幻肢痛を軽減できないことは確かですが、今のAさんに必要な説明はそうしたことではなく、現実と向き合い、義肢を受け入れ、前向きにリハビリテーションに取り組めるようにする対応が求められます。

    第96問

    Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折(left tibial fracture)に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。 下肢は長下肢ギプスから膝蓋腱支持ギプスに変更され、左上肢は義肢が装着されて自宅へ退院することになった。 Aさんに対する退院指導で適切なのはどれか。

    • 1.外出を控えるように指導する。

    • 2.左前腕部に意識を集中しないように説明する。

    • 3.義肢を装着して動作訓練を計画的に進めるよう指導する。

    • 4.受傷前と同じ日常生活動作〈ADL〉ができることを目標に指導する。

    解答・解説

    1.(×)義肢を使った生活に慣れるため、外出を促すことが適切です。精神的な健康のためにも、積極的な外出が推奨されます。
    2.(×)まだ義肢を使った生活に慣れていない段階であり、左前腕部に意識を集中しないように求めることは無理な注文でしょう。
    3.(○)計画的にプログラムされた訓練に取り組むことで、義肢を使って生活する能力が培われていきます。
    4.(×)受傷前と同じ日常生活動作〈ADL〉はできないことを受け入れた上で、できることを少しずつ増やしていくよう指導します。

    第97問

    Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所(ショートステイ)を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)が疑われてトイレ付きの個室に移動した。 感染症の拡大を予防する方法で適切なのはどれか。

    • 1.使い捨ての食器に変える。

    • 2.汚物の付着した衣類は焼却処分する。

    • 3.排泄介助を行う看護師はガウンを装着する。

    • 4.Aさんの手指を速乾性擦式の手指消毒薬で消毒する。

    • 5.Aさんが触れた歩行器を80%エタノールで清拭する。

    解答・解説

    感染性胃腸炎は、細菌(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌など)やウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)などが飛沫感染、接触感染、経口感染して成立します。強い消化器症状を引き起こし、しばしば集団発生します。
    1.(×)食器は使用後に速やかに消毒すればいいので、使い捨てにする必要はありません。
    2.(×)汚物の付着した衣類はビニール袋に入れ持ち運び、水洗いした上で消毒します。
    3.(○)ガウンを装着することで病原微生物の付着・運搬を防ぎ、患者をはじめとする他者へ媒介しないようにします。介助を終えたら、ガウンの外側を触れないように脱いで処理します。
    4.(×)石けんを十分に泡立てて手指を洗浄し、しっかりと流水ですすぎます。速乾性擦式の手指消毒薬は、石けん+流水手洗いの補助として使用するとよいでしょう。
    5.(×)感染性胃腸炎の病原微生物の一つであるノロウイルスは、エタノールでは完全には不活化できません。次亜塩素酸ナトリウムを使います。ただし、次亜塩素酸ナトリウムには金属腐食性があるので、消毒後は十分に拭き取ります。

    第98問

    Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所(ショートステイ)を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)が疑われてトイレ付きの個室に移動した。 Aさんは下痢と嘔吐の症状が続き、発症当日の夜から、集中力の低下と頻脈とがみられた。口渇はない。翌朝は症状が軽減したものの、午後になり見当識障害も現れた。 Aさんに起きている状態として最も考えられるのはどれか。

    • 1.脱水

    • 2.硬膜下血腫(subdural hematoma)

    • 3.認知症(dementia)の中核症状

    • 4.隔離による拘禁症状

    解答・解説

    1.(○)下痢と嘔吐が続き、集中力の低下と頻脈がみられながら、口渇はないという状態から、Aさんは低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水)を起こしていることが考えられます。低張性脱水は、水分より電解質が多く失われている状態で、下痢や嘔吐に伴う体液消失に対して電解質濃度の低い水やお茶などのみで補水すると容易に陥ります。初期においては、高張性脱水(水欠乏性脱水)でみられる口渇はあまり感じないとされています。
    2.(×)頭部打撲のエピソードがないため、硬膜下血腫は考えにくいでしょう。
    3.(×)Aさんには見当識障害がみられますが、急に現れています。一般的に徐々に現れてくる認知症の中核症状とは考えにくいでしょう。
    4.(×)Aさんはショートステイで個室移動となりましたが、拘禁症状といえるまでの症状はみられません。

    第99問

    Aさん(71歳、女性)は、要介護1で、ベッドからの立ち上がりや入浴などに一部介助を必要とするが、歩行器で室内を移動できる。失禁することがあるため失禁用のパッドを装着している。Aさんは介護老人保健施設の短期入所(ショートステイ)を利用している。入所した日の夕方から、水様便と嘔吐とがみられ、感染性胃腸炎(infectious gastroenteritis)が疑われてトイレ付きの個室に移動した。 発症から2日目の午後、Aさんの仙骨部に直径2cm程度のステージIの褥瘡が出現した。嘔吐は消失したが下痢が続き、2~5時間ごとにトイレを使用している。 この時点の褥瘡に対する看護で最も優先されるのはどれか。

    • 1.壊死組織の除去

    • 2.エアマットレスの使用

    • 3.撥水性の高いクリームの塗布

    • 4.亜鉛入りの栄養補助食品の摂取

    解答・解説

    1.(×)ステージIの褥瘡は、圧迫を解除しても消退しない発赤や紅斑ができた状態です。壊死組織が生じるのはステージIIIです。
    2.(×)Aさんは、歩行器が必要なものの自力で移動したりトイレを使用したりできているので、寝返りも打てると考えられます。そのため、エアマットレスは必要ありません。
    3.(○)Aさんは失禁することがあり、仙骨部の皮膚が長期にわたり湿潤状態にさらされたことが褥瘡発生を助けたと考えられます。現在は下痢が続いているので、撥水性の高いクリームを塗布して皮膚を保護する必要があります。皮膚が著しく脆弱になっており、クリーム塗布の刺激でダメージを与える可能性が高い場合は、スプレータイプのものを使用します。
    4.(×)褥瘡治療のための栄養管理としては、亜鉛のほかに蛋白質、銅、ビタミンC、カルシウム、鉄などをバランス良く摂取する必要があるとされています。ただし、Aさんに栄養状態の悪化はみられないので、最も優先される対応とはいえません。

    第100問

    A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。 看護師の説明で適切なのはどれか。

    • 1.「尿量を計測してください」

    • 2.「手術まで外来の受診はありません」

    • 3.「予防接種の時期は主治医と相談してください」

    • 4.「オムツを交換するたびに尿道口を消毒してください」

    解答・解説

    尿道下裂は尿の出口が正常の位置に開口しない先天性の奇形であり、近位型(会陰、陰嚢に出口があるもの)と遠位型(陰茎、冠状溝、亀頭に出口があるもの)があります。そのままでは排尿時に尿が飛び散るなどQOLに支障をきたすため、1歳から2歳のうちに尿道形成術を行います。
    1.(×)尿道下裂は尿量に影響する奇形ではなく、腎機能障害や尿道閉塞はないため、尿量を計測する必要はありません。
    2.(×)経過観察のため、外来受診が必要です。
    3.(○)予防接種でワクチンを投与してから手術までは一定の期間を空ける必要があります(ワクチンの副反応と術後合併症を鑑別するため)。主治医と相談することが適切です。
    4.(×)感染徴候がない限り、尿道口を消毒する必要はありません。

    第101問

    A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。 A君は1歳3か月になり、尿道形成術を行うために入院した。手術当日、点滴静脈内注射による持続点滴と尿道カテーテルが挿入された状態で帰室した。創部の陰茎全体はガーゼとフィルムドレッシング材で保護されていた。手術翌日、ガーゼに茶褐色の血液が付着していた。創部が排便で汚染されており、ガーゼを外すと創部に軽度腫脹がみられているが膿の付着はない。尿道カテーテルの周囲から尿が漏れていた。A君は「ママ」と言い不機嫌に泣いている。体温37.0 ℃、呼吸数28/分、脈拍120/分、血圧100/58mmHgであった。 この時点のA君の状態として最も可能性が高いのはどれか。

    • 1.創部痛はない。

    • 2.出血が続いている。

    • 3.創部の感染を起こしている。

    • 4.尿道カテーテルが閉塞している。

    解答・解説

    1.(×)A君は「ママ」と言って不機嫌に泣いており、手術翌日のタイミングであることから、創部痛の可能性は排除できません。
    2.(×)カーゼに付着した血液は茶褐色になっているため、出血から時間が経過していると考えられ、現時点で続いているとは考えられません。
    3.(×)創部が排便で汚染されており、軽度腫脹がみられるものの、カーゼに膿の付着はなく、バイタルサインからも現時点で感染を起こしているとは考えられません。
    4.(○)尿道カテーテルの周囲から尿が漏れており、その原因としてカテーテル閉塞の可能性が考えられます。

    第102問

    A君(2か月、男児)は、1か月児健康診査で尿道下裂(hypospadias)の疑いを指摘され、小児科を受診した。検査の結果、遠位型尿道下裂(distal hypospadias)と診断された。主治医から母親に対し、体重の増加を待ち1歳前後で尿道形成術を行う必要性について説明があった。母親から看護師に対し「手術を受けるまでの間、どう過ごしたらよいですか」と質問があった。 A君は、手術を受けて1週が経過した。全身状態が安定したため、尿道カテーテルが抜去された。医師から母親に「3日間、経過を観察し、問題がなければ退院できます。退院1か月後に外来を受診してください」と説明があった。退院から外来受診までの日常生活の留意点に関して看護師が母親へ指導することになった。 指導で適切なのはどれか。

    • 1.「水分は控えましょう」

    • 2.「入浴は避けましょう」

    • 3.「1日1回導尿をしましょう」

    • 4.「腹ばいの姿勢は避けましょう」

    解答・解説

    1.(×)尿道の機能回復のためには、積極的な飲水を促して尿量を保つことが大切です。尿の出が悪くないか、立位で排尿できるかといったことも観察します。
    2.(×)手術から1週間が経過し、全身状態も安定しているため、入浴を避ける必要はありません。むしろ、創部を清潔に保つため、入浴が推奨されます。
    3.(×)すでに尿道カテーテルが抜去されており、導尿の必要はありません。
    4.(○)腹ばいの姿勢は創部に物理的な刺激を与えるため、設問の段階でも避けたほうがよいでしょう。

    第103問

    A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺(cerebral palsy)と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 定期受診のため外来を受診した。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数32/分、心拍数120/分、血圧108/48mmHgであった。両上肢と手関節は屈曲、両下肢は交差伸展し、背を反らしており、全身が緊張している。母親は看護師に「Aは、便は出ない日がありますが大体毎日出ています。時々夜遅くまで眠らない日がありますが日中は機嫌良くしています」と話した。 母親に指導すべき内容で優先度が高いのはどれか。

    • 1.感染予防

    • 2.筋緊張の緩和

    • 3.排便コントロール

    • 4.呼吸機能の悪化予防

    • 5.睡眠パターンのコントロール

    解答・解説

    1.(×)感染予防には常に注意すべきですが、A君の全身状態は落ち着いているので、設問において優先度が高い指導内容とはいえません。
    2.(○)「両上肢と手関節は屈曲、両下肢は交差伸展し、背を反らしており、全身が緊張している」というように脳性麻痺による筋緊張が強く出ており、放置するとさらに悪化する可能性があります。また、骨折や関節障害などの二次障害につながることもあります。そのため、筋緊張を緩和する方法を指導することの優先度は高いと考えらます。A君の生活の質(QOL)の向上にも資するでしょう。
    3.(×)排便について特に問題はありません。
    4.(×)呼吸機能について特に問題はありません。
    5.(×)睡眠パターンについて特に問題はありません。

    第104問

    A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺(cerebral palsy)と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 A君の食事について看護師が母親に尋ねると「食べこぼしが多く、食べながらうとうとしてしまい時間がかかるし、十分な量も食べられていません」と話した。 A君の食事に関する母親への指導で最も適切なのはどれか。

    • 1.「経腸栄養剤の開始について医師と相談しましょう」

    • 2.「ホームヘルパーの依頼を検討しましょう」

    • 3.「食事時間を20分以内にしましょう」

    • 4.「ペースト食にしてみましょう」

    解答・解説

    1.(×)A君の場合、経口摂取を維持することが大切であり、経腸栄養剤の検討は必要ありません。
    2.(×)ホームヘルパーの依頼で家族の介護負担を軽減することは考えられますが、A君の食事に関する母親への指導として最も優先度が高いとはいえません。
    3.(×)食事時間を制限すると、A君の食べられる量がさらに減ってしまいます。
    4.(○)A君は、きざみ食での食事に時間がかかり、十分な量を食べることができておらず、栄養状態が不良になっているかもしれません。食事に時間がかかるのは、脳性麻痺による筋緊張のためばかりでなく、嚥下が困難になっている可能性も考えられます。A君はスプーンを使うことができるので、そのまま自力で食事をすることは続けるようにしつつ、嚥下しやすいペースト食に変更して様子を観察することが適切でしょう。

    第105問

    A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺(cerebral palsy)と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 現在、A君の母親は妊娠16週で順調に経過している。母親は「出産のときにAを預かってくれるところを探そうと思っています」と看護師に話した。父親は会社員で、毎日20時ころ帰宅する。A君の祖父母は遠方に住んでおり支援をすることができない。 母親に情報提供する社会資源で最も適切なのはどれか。

    • 1.乳児院

    • 2.病児保育

    • 3.情緒障害児短期入所施設

    • 4.レスパイトを目的とする入院

    • 5.ファミリーサポートセンター

    解答・解説

    1.(×)乳児院は、児童福祉法に基づき、何らかの理由(虐待など)で親元を離れることになった主に1歳未満の乳児(特に必要のある場合は幼児を含む)を受け入れて養育する施設です。
    2.(×)病児保育は、養育者が家庭で育児することが困難な期間、看護師や保育士が病気の子どもを一時的に保育することです。
    3.(×)児童福祉法において「軽度の情緒障害を有する児童を、短期間、入所させ、または保護者のもとから通わせて、その情緒障害を治し、あわせて退所したものについて相談その他の援助を行うことを目的する」情緒障害児短期治療施設が設置されていますが、設問のケースには当てはまりません。
    4.(○)レスパイトとは、患者を一時的に入院・入所させることで、その家族が療育や在宅介護から離れて休息や息抜きを図ることを指します。設問のようなケースでも、医療保険によるレスパイト入院が可能です。
    5.(×)ファミリーサポートセンターは、育児の援助を受けたい人、援助をしたい人を会員として、育児援助活動に関する連絡や調整を行う組織です。

  • 第106問

    在胎40週2日、正常分娩で出生した男児。出生時体重3,300g、身長48.5cm。生後1日の体重は3,200g。バイタルサインは腋窩温37.2℃、呼吸数70/分、心拍数130/分。出生後24時間までに、排尿が1回、排便が1回みられた。 児の状態で正常から逸脱しているのはどれか。

    • 1.体温

    • 2.呼吸数

    • 3.心拍数

    • 4.排尿回数

    • 5.排便回数

    解答・解説

    1.(×)新生児の体温の基準範囲は腋窩温で36.5~37.5℃なので、設問の男児は正常です。
    2.(○)新生児の呼吸数の基準範囲は40~50回/分程度で、60回/分以上の呼吸数で多呼吸と判断します。設問の男児は呼吸数70回/分なので、明らかに多呼吸の状態です。
    3.(×)新生児の心拍数の基準範囲は120~150回/分程度です。設問の男児は130回/分なので正常です。
    4.(×)正常な新生児の初回排尿は、出生後24時間以内にみられます。設問の男児は、出生後24時間までに排尿が1回みられたので正常です。
    5.(×)正常な新生児の初回排便は、出生後24時間以内にみられます。設問の男児は、出生後24時間までに排便が1回みられたので正常です。

    第107問

    在胎40週2日、正常分娩で出生した男児。出生時体重3,300g、身長48.5cm。生後1日の体重は3,200g。バイタルサインは腋窩温37.2℃、呼吸数70/分、心拍数130/分。出生後24時間までに、排尿が1回、排便が1回みられた。 生後2日、医師の診察で問題がないことが確認され、母児同室を開始した。身体測定を行うため、児を新生児室に移送した。児は四肢を屈曲させた姿勢で、体重計に乗せたとき両手を広げ、そのまま上肢を伸ばし抱きかかえるような動きをした。 腹部には境界の不明瞭な紅斑が散在し、腋窩と鼠径部にはクリーム状のものが付着していた。 児の看護で適切なのはどれか。

    • 1.手足を伸ばして寝かせる。

    • 2.異常な反射があったと医師に報告する。

    • 3.腹部の紅斑が散在している部位を消毒する。

    • 4.腋窩と鼠径部のクリーム状の付着物は洗い落とさない。

    解答・解説

    1.(×)正常な新生児は、通常は四肢を折り曲げた屈曲姿勢で、肘か膝のいずれかが床から浮いています。手足を伸ばして寝かせる必要はありません。
    2.(×)両手を広げ、そのまま上肢を伸ばして抱きかかえるような動きは、新生児から生後4か月ごろまでにみられる原始反射(モロー反射)です。
    3.(×)腹部の不明瞭な紅斑は、新生児中毒性紅斑だと考えられます。新生児にはよくみられる症状であり、1~2週間で自然に消失するため、消毒などはせずそのまま放置してかまいません。
    4.(○)腋窩と鼠径部のクリーム状の付着物は胎脂だと考えられます。胎脂は皮膚の保護作用があるため、無理に洗い落とす必要はありません。

    第108問

    在胎40週2日、正常分娩で出生した男児。出生時体重3,300g、身長48.5cm。生後1日の体重は3,200g。バイタルサインは腋窩温37.2℃、呼吸数70/分、心拍数130/分。出生後24時間までに、排尿が1回、排便が1回みられた。 生後3日、児の体重は3,000gになった。バイタルサインに異常はみられない。手掌と足底に黄疸がみられ、傾眠傾向にあった。血清ビリルビン値18.5mg/dL。母児同室を続けるため、コットに設置可能な光線療法器を用いて治療を行うことになった。 児の光線療法に関する母親への説明で適切なのはどれか。

    • 1.「体温は低下します」

    • 2.「便の回数は減ります」

    • 3.「おむつは外して行います」

    • 4.「直接授乳は続けましょう」

    解答・解説

    1.(×)光線療法中は保育器内でライトに当たるため体温が上昇することはありますが、低下することはありません。
    2.(×)光線療法は、特殊な光(人工的に作り出したグリーンライト)を児の体に当てることでビリルビンを分解して尿中・便中に排出させ、黄疸を軽減する治療法です。光線療法により便性が変化し、一時的に排便回数が増えます。
    3.(×)光線療法では全身に光を当てるため、アイマスクとおむつ(性腺保護のため)を着用します。
    4.(○)光線療法中も母乳を中断する必要はありません。脱水を招かないように注意します。

    第109問

    Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。 入院後1週が経過した。Aさんはベッドに横になりじっと窓を見つめていることが多くなった。看護師が何をしているのか話しかけると、Aさんは「死にたいと思っている」と答えた。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.話題を変える。

    • 2.気分転換を促す。

    • 3.すぐに良くなると励ます。

    • 4.自殺しないことをAさんに約束してもらう。

    解答・解説

    1.(×)即座に話題を変えてしまうと、希死念慮を抱いているAさんは、自分の思いや悩みをないがしろにされたように感じ、看護師へ信頼を寄せなくなるでしょう。
    2.(×)Aさんとしては、簡単に気分転換できるような状態ではないでしょう。むしろ、Aさんの思いや悩みを正面から受け止めていないと思われかねない対応です。
    3.(×)「すぐに良くなる」というのは希望的観測であり、Aさんに対して軽々に口にすべきではないでしょう。また、安易な励ましも、かえってAさんの負担になるおそれがあります。
    4.(○)希死念慮を抱える人は真面目な性格であることが多く、しっかりと信頼関係を築いた上で約束すれば、それを果たしてくれる可能性が高いと考えられます。

    第110問

    Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。 入院後4週が経過した。昨日は、午前中ホールに1回出てきたが、すぐに病室に戻ってしまった。今朝、看護師がホールに出てきたAさんに「おはようございます」と声を掛けたところ、「おはよう」と答えただけで病室に戻ってしまった。夕方には他の患者とも会話をしたり、一緒にテレビを見たりするようになった。看護師が気分について尋ねると「まだ死にたい気持ちが残っている」と話した。 このときのAさんの状態のアセスメントとして正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.過活動である。

    • 2.気分には日内変動がある。

    • 3.自分に注目して欲しいと思っている。

    • 4.行動の回復と感情の回復に差が生じている。

    • 5.看護師に声を掛けられたことに怒りを感じている。

    解答・解説

    1.(×)「ホールに1回出てきたが、すぐに病室に戻ってしまった」「『おはよう』と答えただけで病室に戻ってしまった」という記述から、過活動の状態にあるとは考えられません。
    2.(○)過活動の状態とはいえないものの、「夕方には他の患者とも会話をしたり、一緒にテレビを見たりするようになった」という記述から、気分の日内変動が生じていることが読み取れます。
    3.(×)看護師があいさつをしてもすぐに病室に戻っていることから、特に注目されたいと思っているとは考えにくいでしょう。
    4.(○)気分が上向きになったときは行動的な様子がみられるようになってきている一方、希死念慮は残っており、行動の回復と感情の回復に差が生じていると考えられます。
    5.(×)看護師に声をかけられてすぐに病室に戻ってしまったAさんですが、同日の夕方、気分を尋ねられて希死念慮が残っていることを素直に看護師に打ち明けており、怒りを感じていると断定はできません。

    第111問

    Aさん(38歳、男性、会社員)。両親と3人暮らし。25歳のころに双極性障害(bipolar disorder)と診断された。3か月前から気分が落ち込み夜も眠れず、食欲もなくなり仕事を休むことが多くなってきた。無力感を感じるようになり、休職して精神科病棟に任意入院した。入院後は1日中ベッドで横になって過ごし、他の患者との交流もみられない。看護師が話しかけても簡単な返事をするだけで無表情である。食事は病室で摂取しており、摂取量は少ない。 入院後3か月が経過した。Aさんは気分が安定し、食事も全量摂取できるようになり、日中は作業療法に週4日参加している。「もう死にたい気持ちはなくなりました。でも、まだ短時間しか新聞を読めないので、仕事に戻るのが不安です」と話している。 Aさんの退院に向けた支援として適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.転職を勧める。

    • 2.上司との面会を設定する。

    • 3.再発のサインを一緒に見つける。

    • 4.自信が持てるようになるまで待つ。

    • 5.作業療法に集中力を高めるプログラムを入れる。

    解答・解説

    1.(×)転職は生活の激変を伴い、大きなストレスになることが多いため、設問の段階でAさんに勧めることは不適切です。
    2.(×)Aさんが自身の上司と面会して相談することは、復職をスムーズに進める上でメリットがあります。ただし、Aさんが希望していることを確認しなければなりません。
    3.(○)双極性障害は再発しやすいため、あらかじめ再発のサインを知って、早期対処できるように備えておくことが有用です。再発のサインは人それぞれ異なるものの、「睡眠時間が短くなる」「飲酒量が増える」「多弁になる」「怒りっぽくなる」といったことがあります。
    4.(×)自信が持てるようになるまで待つような対応では、かえってAさんが社会復帰する力を萎えさせてしまうおそれがあります。
    5.(○)ある程度回復が進んだ段階であるため、集中力を高めるプログラムを作業療法に組み込んでAさんの社会復帰を支援することは妥当だと考えられます。

    第112問

    Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害(eating disorder)と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。 入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。2つ選べ。

    • 1.浮腫の程度

    • 2.過食の有無

    • 3.活動量の低下

    • 4.嚥下障害の有無

    • 5.振戦せん妄の有無

    解答・解説

    1.(○)Aさんは、精神的な要因から摂食障害に至った神経性無食欲症だと考えられます。やせや栄養不足により、無月経、便秘、低血圧、徐脈、脱水、末梢循環障害、低体温、浮腫などの症状が現れます。
    2.(○)設問に過食に関する情報はありませんが、過食と嘔吐を繰り返すかたちの摂食障害へ移行する可能性もあるため、十分注意して観察すべきです。
    3.(×)摂食障害の患者は、わずかでも摂取したエネルギーを消費しようとして、活動量が上昇する傾向があります。
    4.(×)Aさんの食事制限は、嚥下障害とは無関係です。
    5.(×)振戦せん妄は、主にアルコール離脱症状として現れます。

    第113問

    Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害(eating disorder)と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。 入院後2週が経過した。Aさんは食事の時間に食べ物を細かく刻み、1時間以上時間をかけるが、摂取量はスプーン1杯ほどである。ベッド上でストレッチを2時間行っている。Aさんと話し合ったところ「私はこの病棟で一番太っているから少しでも痩せなきゃ」と話した。 看護師の関わりとして適切なのはどれか。

    • 1.体重測定の回数を増やす。

    • 2.鏡でAさんの全身を映して見せる。

    • 3.痩せたいという気持ちについて話し合う。

    • 4.Aさんは看護師よりも痩せていると伝える。

    解答・解説

    1.(×)体重測定の回数を増やすことで、体重に関するAさんの病的な執着を煽るおそれがあります。
    2.(×)Aさんの場合、自分の内面でとらえた身体像(=内的イメージ)にゆがみが生じており、鏡で全身を映して見せても内的イメージの変容にはつながりません。
    3.(○)Aさんのやせたいという気持ちについて話し合い、その背景にある要因を探り当てることで、治療や精神的サポートの手がかりが得られます。Aさんのような患者は、一般的に自己評価が低く、完璧主義で、家族をはじめとする対人関係に問題を抱えていることが多いとされます。
    4.(×)内的イメージとしての身体像のゆがみが問題なのであり、看護師の体型と比べて解決するものではありません。

    第114問

    Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害(eating disorder)と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。 入院後3か月が経過した。Aさんは体重が43kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。退院の話題が出ると、Aさんと母親は口論することが多くなった。父親は出張が多く、面会に来たのは一度のみであった。 退院に向けてAさんと家族に勧めることとして最も適切なのはどれか。

    • 1.栄養指導

    • 2.作業療法

    • 3.家族療法

    • 4.単身生活の開始

    解答・解説

    1.(×)Aさんと家族に対する栄養指導は極めて大切です。とはいえ、退院準備の段階になり、Aさんの体重は増えているところです。また、「退院の話題が出ると、Aさんと母親は口論することが多くなった」というぎくしゃくした状況を考えると、効果的な栄養指導を行うには時期尚早だといえます。
    2.(×)自己肯定感を高める方法として作業療法は有効かもしれませんが、優先度の面から最も適切だとはいえません。
    3.(○)摂食障害の背景には、しばしば家族のあり方の問題が潜んでいます。実際、退院を控えてAさんは母親と口論することが多くなり、父親は家庭に不在であることが多いという状況なので、家族を含めたカウンセリングなどが必要でしょう。
    4.(×)摂食障害患者には家族のサポートが必要であり、退院後すぐに単身生活を開始することは適切ではありません。

    第115問

    Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%であった。 救命救急センター到着時に観察する項目で最も優先するのはどれか。

    • 1.体温

    • 2.心電図波形

    • 3.意識レベル

    • 4.尿失禁の有無

    解答・解説

    バイタルサインの中で血圧が非常に高くなっていること、右片麻痺、意識レベルが低下していることから、脳血管障害の可能性が高いと考えられます。設問の状況からは発症後さほど時間がたっていない脳血管障害超急性期にあると考えられ、一刻も早く治療を施して脳血管障害の進行を止め、回復につなげる必要があります。そのためには、救命救急センター到着時に適切なアセスメントが必要です。
    1.(×)頭蓋内圧亢進などのアセスメントとして必要な観察項目ですが、最優先とはいえません。
    2.(×)脳血管障害などに関連して心電図は必要な観察項目ですが、最優先とはいえません。
    3.(○)最優先すべきなのは神経学的評価であり、まずは意識レベルの判定を行います。その後、異常所見の有無から問診と併せて障害血管や病巣の部位を推定し、重症度の評価とともに臨床病型診断や予後推定を行います。
    4.(×)意識レベル低下が重度になって尿失禁をきたすことはありますが、最優先する観察項目とはいえません。

    第116問

    Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%であった。 頭部CTの結果、高血圧性脳出血(hypertensive cerebral hemorrhage)と診断され、集中治療室に入室した。入室時に はジャパン・コーマ・スケール<JCS>II-30。体温37.0℃、呼吸数16/分、脈拍82/分、血圧154/110mmHg。入室から8時間後、体温 37.2℃、呼吸数18/分、脈拍50/分、血圧208/106mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>97%になり、呼びかけと痛み刺激に開眼しなくなった。 このときのAさんの状態はどれか。

    • 1.低酸素脳症(hypoxic encephalopathy)

    • 2.脳圧亢進症状

    • 3.髄膜刺激症状

    • 4.正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)

    解答・解説

    脳圧亢進から脳ヘルニアへ至ることの予防が生命予後の向上につながります。また、発症後24時間以内は再出血の可能性が最も高いことを踏まえて対応します。
    1.(×)低酸素脳症は、循環不全や呼吸不全などにより十分な酸素供給ができなくなり、脳に障害をきたす病態です。心筋梗塞、心停止、各種ショック、窒息などが原因で心停止になり脳への酸素供給が途絶えると、意識は数秒以内に消失し、3~5分以上の心停止では脳障害が生じます。四肢麻痺、運動障害、認知能の低下などが現れます。
    2.(○)頭蓋内圧が高まると、頭痛、悪心、意識障害、クッシング現象(心拍数の減少と血圧の上昇)などが出現します。Aさんの場合、血圧の上昇と徐脈(<60/分)、意識レベルの低下がみられるので、脳圧亢進症状に該当します。
    3.(×)髄膜刺激症状は、脳出血や髄膜炎などで出現する頭痛、悪心・嘔吐、頂部硬直といった症状です。
    4.(×)正常圧水頭症は、くも膜下出血や髄膜炎などの後遺症で脳の表面が癒着や炎症を起こし、脳脊髄液の吸収が悪くなって脳室拡大がみられるものの、脳脊髄液の圧が正常である病態です。症状として認知能の低下や歩行障害などが現れます。

    第117問

    Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%であった。 入院から4週が経過し、病状が安定して意識が回復した。Aさんは後遺症として運動性失語が残り、言葉がうまく発せられないため涙ぐむことがあった。妻は面会後「夫が話す言葉が分からず、どう接すればよいか分からない」と言って戸惑っていた。 妻に対する対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.「いつもどおり話をしてあげてください」

    • 2.「看護師も同席してAさんとお話ししましょう」

    • 3.「リハビリテーションで話せるようになりますよ」

    • 4.「分かりやすい言葉で話しかけてあげてください」

    解答・解説

    運動性失語(ブローカ失語)では、運動性言語野である左前頭葉の障害により、他人の言葉の理解能力はあるものの、言語的表現能力が欠け、うまく話すことができなくなります。
    1.(×)聞いたことに対する理解能力は比較的良好ですが、会話をするのであればAさんが返事をしやすくするための工夫が必要です。
    2.(○)設問からAさんの妻はAさんと会話をすることに不安を感じていることが分かります。看護師が同席してコミュニケーションすることで、運動性失語症の患者に対する接し方を具体的に見せることができるでしょう。患者が意思表示をしやすいように「はい/いいえ」で簡潔に答えられるような質問にしたり、文字やイラスト、ジェスチャーなどを使って理解を促すようにします。
    3.(×)脳血管障害による言語障害が完全に回復することは考えにくく、実現不可能な希望を持たせることになってしまいます。
    4.(×)設問からAさんの妻は戸惑っていることが分かるので、「分かりやすい言葉で話しかける」ことについて具体的に教える必要があります。

    第118問

    Aさん(89歳、女性)は、認知症(dementia)と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。 Aさんは「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」と言い、夕方になると、歩いて5分程度のスーパーマーケットへ買い物に行くことが長年の習慣となっている。最近、夜になっても帰宅せず、長男が探しに行くとスーパーマーケットから離れた公園のベンチに座っていることが数回あった。長男は訪問看護師に「母は私が後をついてきたと思い込んで怒るんです。このままでは心配です」と相談した。 看護師が長男へ助言する内容で最も適切なのはどれか。

    • 1.「先に公園で待っていてはどうですか」

    • 2.「ホームヘルパーの利用をお勧めします」

    • 3.「Aさんに買い物はやめるよう話しませんか」

    • 4.「荷物を持つという理由で同行してはどうですか」

    解答・解説

    認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクIIbは「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意志疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる」状態です。
    1.(×)Aさんは必ず公園に寄るわけではありません。また、先に待っていたところで、Aさんが怒り出すおそれはあります。
    2.(×)Aさんは「息子にも他人にも任せられない」と言っているため、ホームヘルパーに任せることも許さないと考えられます。また、同居の長男は定年退職しており、健康問題を抱えている様子もないため、ホームヘルパーを利用する必要性は低いでしょう。
    3.(×)買い物をやめさせるのは、Aさんの意向を無視することになります。毎日の習慣や生活リズム、社会との関わりを崩すことで、認知機能やADLが低下するおそれもあります。
    4.(○)Aさんの意向を尊重した提案で、長男の同行を受け入れる可能性が高いと考えられます。

    第119問

    Aさん(89歳、女性)は、認知症(dementia)と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。 ある冬の訪問時、長男が「母がここ数日寒さを訴え、居間にある電気こたつの温度を最も高くして、肩までもぐり込んでそのまま朝まで眠ってしまう」と話した。 長男の話を受けて、看護師が最初に観察する項目で最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.筋力低下の有無

    • 2.感染徴候の有無

    • 3.認知機能のレベル

    • 4.全身の皮膚の状態

    解答・解説

    1.(×)頻繁に買い物に出かけていたことを考えると、筋力低下の有無を観察する優先度は高くありません。
    2.(×)寒さの訴えが感染症による可能性はありますが、「電気こたつの温度を最も高くして、肩までもぐり込んでそのまま朝まで眠ってしまう」という状況を考えると、低温熱傷の有無を最優先で観察すべきだと考えられます。
    3.(×)認知機能のレベルよりも、低温熱傷の有無の観察が優先されます。
    4.(○)Aさんは高齢で皮膚感覚が鈍くなっていると考えられ、低温熱傷を負っていても気付かない可能性があります。また、認知症のために低温熱傷を訴えられない可能性もあります。そのため、全身の皮膚の状態を観察することが最も優先度が高くなります。

    第120問

    Aさん(70歳、男性)は、妻と長男との3人暮らしである。左被殻出血(left putaminal hemorrhage)で入院し、歩行訓練および言語訓練のリハビリテーションを行い自宅に退院した。退院時の検査所見は、HDLコレステロール40mg/dL、LDLコレステロール140mg/dL、トリグリセリド150mg/dLであった。退院後、週1回の訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、血圧は降圧薬の内服で130/80mmHgであった。右片麻痺、麻痺側の感覚障害、運動性失語があり、一本杖や手すりを利用して自宅内を移動していた。Aさん宅は、酒屋を自営しており、1階は店舗、トイレおよび浴室、2階に居室がある。各階の移動は手すりのあるらせん状階段のみで、階段昇降機の取り付けは構造上できない。Aさんは「店に出て親しい客に会うのが楽しみだ」と話した。 訪問看護計画に取り入れる内容で最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.言語訓練

    • 2.食事指導

    • 3.内服薬の管理

    • 4.排便コントロール

    • 5.階段を昇降する練習

    解答・解説

    1.(×)言語訓練の必要性はあるものの、Aさんは店に出て客と会うことを楽しみにしていることから、言語に関する不安が深刻な度合いではないと考えられるので、優先度が最も高いとはいえないでしょう。
    2.(×)脂質に関する検査値は、脂質異常症を示唆しています。病状悪化を防ぐためにも食事指導は必要ですが、最優先とまではいえません。
    3.(×)初回訪問時の血圧は前期高齢者の降圧目標値135/85mmHg未満を満たしているので、内服薬の管理は最優先ではありません。ただし、脂質に関する検査値が高いので、経過観察と治療薬の内服状況を確認していく必要があります。
    4.(×)入院中や退院後初回訪問時に排便に関する問題は特にみられず、排便コントロールの優先度は高くありません。
    5.(○)Aさんは「1階は店舗、トイレおよび浴室、2階に居室がある」という自宅内を一本杖や手すりを利用して移動していたので、自宅内の階段を含めて安全に移動できるよう訓練して、ADLを向上させることが最も優先度が高いと考えられます。

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