2018年度(第108回) 看護師国家試験 過去問・解答 午後 | 看護師の求人・転職情報はマイナビ看護師

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2018年度(第108回)
看護師国家試験 過去問・解答 午後

午後

  • 第1問

    日本における平成28年(2016年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。

    • 0.0117

    • 0.0227

    • 0.0337

    • 0.0447

    解答・解説

    老年人口割合(高齢化率)は、総人口に占める65歳以上の人口割合です。日本において平成28年(2016年)の老年人口(推計)は3,461万人であり、総人口の27.3%を占める超高齢化社会となっています。日本の老年人口割合は、2025年には30%を超え、2055年には40%に迫ると予測されています。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第2問

    平成28年(2016年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。

    • 1.糖尿病(diabetes mellitus)

    • 2.腰痛症(lumbago:low back pain)

    • 3.高血圧症(hypertension)

    • 4.眼の病気

    解答・解説

    通院者率とは、人口1000人に対して、様々な傷病ごとに通院している人の割合です。自覚症状として最も多いのは、男性では腰痛、女性では肩こりですが、通院者率が男女共に最も高いのは高血圧症です。男性では糖尿病、女性では眼疾患が通院者率の第2位ですが、第1位の高血圧症と比較すると倍以上の差が開いています。なお、65歳以上では70%近くが何らかの傷病により通院しています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第3問

    労働安全衛生法に規定されているのはどれか。

    • 1.失業手当の給付

    • 2.労働者に対する健康診断の実施

    • 3.労働者に対する労働条件の明示

    • 4.雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

    解答・解説

    1.(×)失業手当の給付は、雇用保険法に規定されています。
    2.(○)労働者の安全と衛生についての基準は、労働安全衛生法に規定されています。労働安全衛生の観点から実施される労働者に対する健康診断は、労働安全衛生法第66条1項「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(中略)を行わなければならない」に基づいています。
    3.(×)労働者に対する労働条件の明示は、労働基準法に規定されています。
    4.(×)雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保は、男女雇用機会均等法に規定されています。

    第4問

    看護師が行う患者のアドボカシーで最も適切なのはどれか。

    • 1.多職種と情報を共有する。

    • 2.患者の意見を代弁する。

    • 3.患者に害を与えない。

    • 4.医師に指示を聞く。

    解答・解説

    本来、アドボカシー(advocacy)とは「擁護」「支持」「弁護」「唱道」などの意味を持つ言葉であり、医療に関連しては「患者の権利擁護」の意味で用いられます。患者が知的障害、精神障害、認知機能の低下などのために、自らの意思や権利を主張することが難しい状態に置かれているときは、看護師をはじめとする医療従事者が患者の権利の主張や自己決定をサポートすることが適切なアドボカシーとなります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります

    第5問

    看護師の免許の取消しを規定するのはどれか。

    • 1.刑法

    • 2.医療法

    • 3.保健師助産師看護師法

    • 4.看護師等の人材確保の促進に関する法律

    解答・解説

    看護師の免許の取消しについては、保健師助産師看護師法に規定されています。医療事故だけでなく、窃盗や人身事故、薬物犯罪などにより罰金以上の刑に処せられた場合は行政処分の対象となり、戒告、3年以上の業務停止、または免許取消しが科せられます(保健師助産師看護師法第14条)。これらの行政処分までには該当しない場合であっても、行政指導の対象となることがあります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第6問

    マズロー,A.H.(Maslow,A.H.)の基本的欲求の階層で、食事・排泄・睡眠の欲求はどれか。

    • 1.安全の欲求

    • 2.自己実現の欲求

    • 3.承認の欲求

    • 4.生理的欲求

    解答・解説

    マズローは米国の心理学者で、人間性心理学に基づいて「欲求段階説」を提唱しました。この理論は、心理学のみならず、経営学や教育学など幅広い分野に影響を及ぼしました。
    1.(×)安全の欲求は、生理的欲求が満たされた後、第2階層として現れます。安全、安定、保護、秩序、法などを求める段階です。
    2.(×)自己実現の欲求は、最高位の第5階層に位置しています。
    3.(×)承認の欲求は、自己に対する高い評価と他者からの評価を求めるものであり、第4階層に位置しています。
    4.(○)食事、排泄、睡眠などの本能的な欲求は、最低位の第1階層である生理的欲求です。この生理的欲求が満たされていなければ、他の欲求は現れづらいと考えられています。

    第7問

    生後4か月の乳児の発達を評価するのはどれか。

    • 1.寝返り

    • 2.お座り

    • 3.首のすわり

    • 4.つかまり立ち

    解答・解説

    乳児の発達は個人差が大きいものでありながら、親としては非常に気になるポイントで、看護師としては声のかけ方に気を遣います。一般的な発達の目安はあくまで目安ととらえることが前提です。
    1.(×)寝返りは、生後6~7か月ごろにできるようになります。
    2.(×)お座りは、生後9~10か月ごろにできるようになります。
    3.(○)生後4~5か月の時期には首が座ってきて、うつ伏せの姿勢にすると、前に手をついて首を持ち上げることもできるようになります。「ウックン」「アーアー」などの喃語(なんご)も盛んになり、表情が豊かになるのもこのころです。
    4.(×)つかまり立ちは、生後11~12か月ごろにできるようになります。

    第8問

    エリクソン,E.H.(Erikson,E.H.)の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。

    • 1.親密

    • 2.同一性

    • 3.自主性

    • 4.基本的信頼

    解答・解説

    エリクソンは米国の心理学者で、乳児期の心理・社会的発達理論だけでなく、「アイデンティティー」の概念の提唱者としても知られています。
    1.(×)親密は、初期成人期の心理的課題に当たります。
    2.(×)同一性は、青年期の心理的課題に当たります。
    3.(×)自主性は、幼児期後期の心理的課題に当たります。
    4.(○)乳児期の心理的課題と危機は「基本的信頼vs不信」です。欲求が満たされないことによる不信感も経験しながら、養育者から適切で親密な養育を受け、不信感を上回る信頼感を得ることでポジティブに解決されると「希望」という力を獲得します。

    第9問

    成人の体重に占める体液の割合で最も高いのはどれか。

    • 1.血漿

    • 2.間質液

    • 3.細胞内液

    • 4.リンパ液

    解答・解説

    成人の体重の約60%が水分(体液)であり、細胞内液がその約2/3、細胞外液が残りの約1/3を占めています。
    1.(×)細胞外液は、毛細血管壁を介して間質液と血漿に分けられます。血漿は体重の約5%程度を占めています。
    2.(×)間質液は細胞外液の一部であり、体重の約15%を占めています。
    3.(○)細胞内液は体重の約40%を占めており、選択肢の中で最も高い割合となります。
    4.(×)リンパ液は、リンパ管の中を流れる間質液(細胞外液)の一部です。リンパ液が体重に占める割合は、極めて小さいといえます。

    第10問

    要介護者に対し、看護・医学的管理の下で必要な医療や日常生活上の世話を行うのはどれか。

    • 1.介護老人保健施設

    • 2.短期入所生活介護

    • 3.保健センター

    • 4.有料老人ホーム

    解答・解説

    1.(○)介護老人保健施設は、要介護者の在宅復帰を目標として、心身機能の維持回復訓練や必要な医療、日常生活上の世話などを提供しています。医師や看護師のほか、介護福祉士、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士、介護支援専門員などの配置義務が定められています。
    2.(×)短期入所生活介護(ショートステイ)は、要介護者を短期的に受け入れ、介護や日常生活支援を提供するサービスです。
    3.(×)保健センターは、市町村に設置され、地域保健の拠点となります。
    4.(×)有料老人ホームには、看護師の配置義務はありますが、医師の配置義務はありません。

    第11問

    運動性言語中枢はどれか。

    • 1.中心後回

    • 2.大脳基底核

    • 3.Broca〈ブローカ〉野

    • 4.Wernicke〈ウェルニッケ〉野

    解答・解説

    1.(×)中心後回は、頭頂葉の最も前側に位置する、一次体性感覚野の領域です。
    2.(×)大脳基底核は、脳の深部に存在する神経核の集まりであり、運動制御や認知機能、学習などに関与します。
    3.(○)運動性言語中枢とも呼ばれるのは、左前頭葉に位置するBroca(ブローカ)野です。前頭葉の下前頭回の弁蓋部と三角部に位置し、音声言語や言語処理を司っています。
    4.(×)Wernicke(ウェルニッケ)野は、左側頭葉に位置する感覚性言語中枢です。

    第12問

    ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉のIII(3桁)で表現される意識レベルはどれか。

    • 1.意識清明の状態

    • 2.刺激すると覚醒する状態

    • 3.刺激しても覚醒しない状態

    • 4.刺激しなくても覚醒している状態

    解答・解説

    JCS(3-3-9度方式)では、意識状態を覚醒度から3段階に分けて評価し、各段階をさらに詳細に3段階に分け、全体を9段階に分類しています。
    1.(×)意識清明の状態はJCS 0です。
    2.(×)刺激すると覚醒する状態はJCS IIです。
    3.(○)JCSのIII(3桁)で表現される意識レベルは、刺激しても覚醒しない状態です。100は「痛みに対して払いのけるなどの動作をする」、200は「痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする」、300は「痛み刺激に対してまったく反応しない」状態を指します。
    4.(×)刺激しなくても覚醒している状態はJCS Iです。

    第13問

    最も緊急性の高い不整脈はどれか。

    • 1.心房細動(atrial fibrillation)

    • 2.心室細動(ventricular fibrillation)

    • 3.心房性期外収縮(atrial premature contraction)

    • 4.I度房室ブロック(first degree atrioventricular block)

    解答・解説

    1.(×)心房細動は、高血圧、糖尿病、心機能低下、75歳以上の高齢者、脳梗塞の既往、僧帽弁狭窄症などがリスク因子となります。心房内で形成された血栓が脳血管を閉塞させる場合があり、脳塞栓の原因になりやすいことが知られていますが、緊急に対応する必要はありません。
    2.(○)心室細動は、冠動脈疾患による心筋への血流不足などを原因として心室が小刻みに痙攣し、全身に血液が送られなくなった状態であり、AEDの適応となります。心室細動を放置すると、死に至る可能性が高くなります。
    3.(×)心房性期外収縮は、ほとんどが疾患とは無関係に起こる緊急性の低い不整脈です。
    4.(×)房室ブロックは徐脈性不整脈の一つであり、房室伝導障害により生じます。重症度によりI~III度に分類されますが、I度では通常は治療を要さず、経過観察となります。

    第14問

    浮腫の原因となるのはどれか。

    • 1.膠質浸透圧の上昇

    • 2.リンパ還流の不全

    • 3.毛細血管内圧の低下

    • 4.毛細血管透過性の低下

    解答・解説

    1.(×)ネフローゼ、栄養失調、肝硬変などで膠質浸透圧が低下すると、浮腫が生じやすくなります。
    2.(○)リンパ管の閉塞や狭窄によりリンパ液が滞留すると、浮腫の原因となります。浮腫が生じると四肢の重さやだるさを感じ、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。また、皮膚が脆弱化し、皮膚の潰瘍や蜂窩織炎などを感染症を合併することがあります。
    3.(×)心不全や静脈血栓などにより毛細血管内圧が上昇すると、浮腫をきたします。
    4.(×)火傷や炎症などにより毛細血管透過性が亢進すると、浮腫をきたします。

    第15問

    狭心症発作時に舌下投与するのはどれか。

    • 1.ヘパリン

    • 2.ジゴキシン

    • 3.アドレナリン

    • 4.ニトログリセリン

    解答・解説

    狭心症発作は、一過性に冠動脈の血流が低下した状態であり、心筋に供給される酸素が不足するため、胸部圧迫感や息切れ、胸痛などの症状が出現します。
    1.(×)ヘパリンは抗凝固薬の一つであり、血栓塞栓症などの治療に使用されます。
    2.(×)ジゴキシンは、心収縮力増大作用を有する強心薬です。
    3.(×)アドレナリンは副腎皮質より分泌されるホルモンであり、心肺停止時などに投与されます。
    4.(○)狭心症発作時には、ニトログリセリンの舌下投与を行います。冠動脈を拡張させて心筋への酸素供給を改善するとともに、末梢血管を拡張させて心臓への負担を和らげます

  • 第16問

    緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。

    • 1.コデイン

    • 2.アスピリン

    • 3.アトロピン

    • 4.フェニトイン

    解答・解説

    緑内障に禁忌となる薬剤には、ステロイド薬や抗コリン薬があります。
    1.(×)コデインはオピオイドであり、鎮痛、鎮咳、止痢などの作用があります。
    2.(×)アスピリンは、代表的な非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の一つです。
    3.(○)アトロピンは、代表的な抗コリン薬です。副交感神経を抑制し、その結果として散瞳を引き起こし、眼圧を上昇させます。そのため、閉塞隅角緑内障を悪化させます。なお、開放隅角緑内障に対しては慎重投与とされています。
    4.(×)フェニトインは、抗てんかん薬の一種です。

    第17問

    看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。

    • 1.問題解決思考である。

    • 2.医師の指示の下で計画を立てる。

    • 3.看護師の価値に基づいてゴールを設定する。

    • 4.アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。

    解答・解説

    1.(○)看護過程とは、看護対象者が持つ課題を明確にした上で、それを解決するために最善と思われる方法を検討し、系統的・組織的に実践することです。アセスメント→看護診断→看護計画→看護介入→看護評価とつながる問題解決型アプローチです。
    2.(×)看護計画は、看護師の知識と経験に基づいて立案します。
    3.(×)看護師の価値ではなく、看護対象者の価値に基づいてゴールを設定します。
    4.(×)看護過程は、アセスメント、看護診断、計画立案、実施、評価の5段階で構成されます。

    第18問

    成人のグリセリン浣腸で肛門に挿入するチューブの深さはどれか。

    • 1.2cm

    • 2.5cm

    • 3.12cm

    • 4.15cm

    解答・解説

    成人では肛門管の長さが4~5cm程度であり、一般的にはカテーテルを約5cm挿入すると安全に浣腸液を注入することができます。カテーテルが長すぎると、肛門管よりも薄い直腸内の粘膜を損傷したり、直腸穿孔を起こしたりするリスクが高まるため注意が必要です。特に立位でのグリセリン浣腸処置時において、直腸穿孔の事故事例が多く報告されています。逆に、カテーテルが短すぎると、直腸に到達せず肛門管内に注入してしまうため、水圧でカテーテルが抜けたり、肛門括約筋を刺激して即座に便意を招いて浣腸液の保持が困難になったりします。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第19問

    右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。

    • 1.左袖から脱ぎ、右袖から着る。

    • 2.左袖から脱ぎ、左袖から着る。

    • 3.右袖から脱ぎ、左袖から着る。

    • 4.右袖から脱ぎ、右袖から着る。

    解答・解説

    患側の部位は、疼痛や障害物の存在などにより可動域が制限されるため、更衣時に負担がかからないようにする必要があります。そのため、更衣の介助をする際は、動きやすい健側から脱いで、動きづらい患側から着ること(脱健着患)が基本となります。点滴を施行している場合は、ルートが挿入されている側を患側として考えるため、右前腕に持続点滴をしている患者は、左袖から脱ぎ、右袖から着ることが適切です。ただし、患者の状態などに応じて、臨機応変に考えることも必要になることがあります。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第20問

    転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。

    • 1.夜間はおむつを使用する。

    • 2.履物はスリッパを使用する。

    • 3.離床センサーの使用は控える。

    • 4.端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。

    解答・解説

    端坐位時に足底が床につくベッドの高さにすると、患者の立ち上がり動作が容易になり、転倒を予防することができます。また、ベッドを低くくしておくと、転倒した場合に受傷を最小限に抑えられることからも適切な対応だといえます。なお、選択肢2のスリッパは、足にフィットしにくく転倒を引き起こしやすい履物です。底面に滑り止めが付いたものなど、脱げにくく歩きやすい履物を選びます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第21問

    中心静脈から投与しなければならないのはどれか。

    • 1.脂肪乳剤

    • 2.生理食塩液

    • 3.5%ブドウ糖液

    • 4.高カロリー輸液

    解答・解説

    高カロリー輸液は糖が高濃度であり、浸透圧が血液よりも高いため、末梢静脈から投与すると血管痛や静脈炎を引き起こし、血管閉塞をきたす可能性があります。そのため、高カロリー輸液のような高濃度の栄養輸液は、末梢静脈よりも太い中心静脈から点滴投与を行います。選択肢1~3は、血液と浸透圧がほぼ等しいため、末梢静脈からの投与が可能です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第22問

    赤色のトリアージタグが意味するのはどれか。

    • 1.死亡群

    • 2.保留群

    • 3.最優先治療群

    • 4.待機的治療群

    解答・解説

    トリアージタグには負傷者の識別情報やバイタルサイン、受傷部位などを記す欄が設けられており、緊急事態下の簡易カルテとしても利用できるように工夫されています。
    1.(×)死亡群(カテゴリーVI)の色は、黒です。すでに死亡している場合や、頭部や体幹に重大な損傷があるなど明らかに生存の可能性がない場合に該当します。
    2.(×)保留群(カテゴリーIII)の色は、緑です。軽症で歩行可能であり、救護所などでの処置が有効な場合に該当します。
    3.(○)赤色のトリアージタグは、最優先治療群(カテゴリーI)を意味しています。生命に重大な危険が迫っていて、速やかに処置を施せば救命の可能性がある傷病者です。
    4.(×)待機的治療群(カテゴリーII)の色は、黄色です。放置すると危険を伴うものの、基本的にバイタルサインが安定し、治療開始までに時間がかかっても生命に影響が及ばない場合に該当します。

    第23問

    温罨法の作用で正しいのはどれか。

    • 1.平滑筋が緊張する。

    • 2.局所の血管が収縮する。

    • 3.還流血流量が減少する。

    • 4.痛覚神経の興奮を鎮静する。

    解答・解説

    温罨法には、湿性温罨法(温湿布やホットパックなど)と、乾性温罨法(カイロや湯たんぽなど)の2種類があります。温罨法では、温熱刺激が感覚神経に作用し、疼痛刺激の伝達を抑制するため、鎮痛・鎮静効果が期待できます。また、血管が拡張することによる還流血液量の増加効果、リンパ液の循環を促すことによる老廃物排出効果などを期待することもできます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第24問

    体温調節中枢があるのはどれか。

    • 1.橋

    • 2.延髄

    • 3.小脳

    • 4.大脳皮質

    • 5.視床下部

    解答・解説

    間脳に位置する視床下部の最吻側には体温調節中枢である視索前野があり、全身の体温を調節する司令塔のような役割を担っています。環境の温度情報は皮膚の温度センサーで感知され、体温調節中枢に伝達されることで、皮膚血管収縮、発汗、筋肉のふるえ熱生産といった体温調節反応の指令が出力されるのです。この視索前野は、感染時の発熱を指令する発熱中枢でもあります。視床下部は、ほかにも様々なコントロール機能を持っているため、整理して理解しておきましょう。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第25問

    腎機能を示す血液検査項目はどれか。

    • 1.中性脂肪

    • 2.ビリルビン

    • 3.AST〈GOT〉

    • 4.クレアチニン

    • 5.LDLコレステロール

    解答・解説

    1.(×)中性脂肪は、脂質検査の指標となります。
    2.(×)ビリルビンは、肝機能などの検査の指標となります。
    3.(×)AST(GOT)は、肝機能などの検査の指標となります。
    4.(○)腎機能の検査に用いられる代表的な血液検査項目は、クレアチニンと尿素窒素です。クレアチニンは、筋肉にエネルギーを供給するクレアチン産の代謝産物(いわば老廃物)で腎代謝性であるため、腎機能低下時には血液中の値が上昇します。そのため、血清生化学検査にて血中クレアチン値を調べ、スクリーニングとして利用します。
    5.(×)LDLコレステロールは、脂質検査の指標となります。

    第26問

    嗅覚の一次中枢はどれか。

    • 1.嗅球

    • 2.嗅上皮

    • 3.後頭葉

    • 4.上鼻甲介

    解答・解説

    1.(○)臭い刺激を感知した嗅細胞は電気信号を発し、その信号は嗅神経から嗅覚の一次中枢である嗅球に伝わります。嗅球は、前頭葉下部に位置する楕円形の領域です。嗅球に入力された情報は、最終的には大脳皮質内の前頭皮質嗅覚野まで伝わり、様々な情報処理をされた上で臭いとして認識されます。
    2.(×)嗅上皮は硬膜の外側に存在しており、末梢神経系です。
    3.(×)後頭葉は中枢神経系ですが、主に視覚を担っています。
    4.(×)鼻腔の上後端に存在する上鼻甲介は、嗅覚に関与していません。

    第27問

    標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。

    • 1.男性ホルモン

    • 2.甲状腺ホルモン

    • 3.糖質コルチコイド

    • 4.甲状腺刺激ホルモン

    解答・解説

    ホルモンには、細胞内の受容体に作用する脂溶性ホルモンと、細胞膜の受容体に作用する水溶性ホルモンの2種類があります。ステロイドホルモンと甲状腺ホルモンは、脂溶性の性質を持っています。甲状腺刺激ホルモンは水溶性の糖蛋白質ホルモンであり、甲状腺の濾胞上皮細胞の細胞膜に存在する甲状腺刺激ホルモン受容体に結合します。なお、選択肢1は細胞質の男性ホルモン受容体と、選択肢2は核内の甲状腺ホルモン受容体と、選択肢3は核内の糖質コルチコイド受容体とそれぞれ結合します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第28問

    開心術後の心タンポナーデ(cardiac tamponade)で正しいのはどれか。

    • 1.徐脈

    • 2.心音増強

    • 3.心拍出量の増加

    • 4.中心静脈圧の上昇

    解答・解説

    心タンポナーデは、心嚢内に多量の液体または気体が貯留することで心臓の拡張障害をきたし、心拍出量低下によるショック、冠血流低下により突然の心停止を引き起こす病態です。特徴的な所見として、Beckの三徴(血圧低下、心音減弱、頸静脈怒張または中心静脈圧上昇)が知られています。
    1.(×)血圧が低下するため、交感神経が刺激されて頻脈となります。
    2.(×)心嚢液の貯留により、心音は減弱します。
    3.(×)心嚢液が貯留することで右心室の拡張不全をきたし、心拍出量は減少します。
    4.(○)右心室の拡張不全により、中心静脈圧の上昇がみられます。

    第29問

    介護保険の第1号被保険者で正しいのはどれか。

    • 1.介護保険料は全国同額である。

    • 2.介護保険被保険者証が交付される。

    • 3.40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。

    • 4.介護保険給付の利用者負担は一律3割である。

    解答・解説

    1.(×)介護保険料は、地方自治体ごとに異なります。
    2.(○)第1号被保険者には、介護保険被保険者証が交付されます。第2号被保険者については、要介護認定また要支援認定を受けた場合、被保険者証の交付を希望した場合にのみ交付されます。
    3.(×)40歳以上65歳未満の医療保険加入者は、第2号被保険者です。第1号被保険者は、65歳以上が対象となります。
    4.(×)介護保険給付の利用者負担は、原則として1割です。ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割となります。

    第30問

    発達障害者支援法で発達障害と定義されているのはどれか。

    • 1.学習障害

    • 2.記憶障害

    • 3.適応障害

    • 4.摂食障害

    解答・解説

    発達障害者支援法は、発達障害者の支援システムの確立を図るため、2005年に施行されました。
    1.(○)「この法律において『発達障害』とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」とされています(第2条)。
    2.(×)記憶障害とは、アルツハイマー型認知症でみられる記銘力障害や、心因性健忘などであり、発達障害には含まれません。
    3.(×)適応障害は、ある特定の状況や出来事が強いストレスとなり、不安、抑うつ、神経過敏などの症状をきたすものです。
    4.(×)摂食障害は、食行動の異常を主症状とするものであり、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害などを指します。

  • 第31問

    自殺対策基本法で都道府県に義務付けられているのはどれか。

    • 1.自殺総合対策推進センターの設置

    • 2.自殺総合対策大綱の策定

    • 3.ゲートキーパーの養成

    • 4.自殺対策計画の策定

    解答・解説

    1.(×)自殺総合対策推進センターは、自殺対策基本法に基づき、国が設置するものです。都道府県と政令指定都市は、国からの依頼により地域自殺対策推進センターを設置します。
    2.(×)自殺総合対策大綱は、自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものです。
    3.(×)ゲートキーパーの養成は、自殺総合対策大綱の重点施策の一つとして掲げられており、地方公共団体、職能団体、各種法人などにより進められています。都道府県の義務ではありません。
    4.(○)都道府県および市町村は、自殺総合対策大綱や地域の実情などを勘案して、区域内における自殺対策についての計画を定めることとされています(第14条)。

    第32問

    ハヴィガースト, R.J.(Havighurst,R.J.)の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。

    • 1.成長に伴い発達課題は消失する。

    • 2.各発達段階の発達課題は独立している。

    • 3.身体面の変化と発達課題は無関係である。

    • 4.発達課題の達成は個人の生活と関連する。

    解答・解説

    ハヴィガーストは米国の教育学者で、発達課題という考え方を初めて提唱し、その後のエリクソンによる乳児期の心理・社会的発達理論などに影響を与えました。
    1.(×)幼児期から老年期までの6期それぞれに課題があります。成長に伴って課題は変化していきますが、消失することはありません。
    2.(×)各発達段階の発達課題は連なっているものであり、各発達段階における達成の有無は次の段階に影響を及ぼします。
    3.(×)発達課題には、身体面の変化や、それに適応するための精神的問題なども含まれています。
    4.(○)発達課題の達成は、就学、就業、結婚など、個人の生活と大きく関連しています。

    第33問

    風疹(rubella)の疑いがある入院患者の隔離予防策で適切なのはどれか。

    • 1.標準予防策

    • 2.標準予防策と接触感染予防策

    • 3.標準予防策と飛沫感染予防策

    • 4.標準予防策と空気感染予防策

    解答・解説

    風疹、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎、百日咳などの感染症に対しては、標準予防策に加えて飛沫感染予防策を行う必要があります。飛沫感染予防策では、基本的に個室管理とし、医療従事者のみならず患者やその家族のサージカルマスク着用を指導します。なお、選択肢2の接触感染予防策の対象となる疾患には、感染性胃腸炎、流行性角結膜炎、角化型疥癬、多剤耐性菌感染症(MRSAなど)があります。また、選択肢4の空気感染予防策の対象となる疾患には、結核、麻疹、水痘があります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第34問

    死後の処置で適切なのはどれか。

    • 1.枕は氷枕にする。

    • 2.義歯を装着する。

    • 3.肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。

    • 4.和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。

    解答・解説

    1.(×)体位保持が必要な場合は枕を使用することもありますが、氷枕を使うことはありません。腐敗抑制を目的とした遺体の冷却には、保冷剤などが用いられます。
    2.(○)死亡確認後は、お別れの場を設ける準備を行います。その際、生前の顔と印象が変わらないよう、口腔清拭の後、義歯を装着します。顎の死後硬直は早期に起こるので、できるだけ迅速に行う必要があります。
    3.(×)先に体液を吸収する脱脂綿を詰め、その後に油分を持つ青梅綿を詰めて、水分が体外に漏れ出すことを防ぎます。
    4.(×)和装の更衣の場合は、襟は通常とは逆の左前に合わせます。

    第35問

    嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。

    • 1.嚥下後10秒間で評価する。

    • 2.嚥下動作の準備期を評価する。

    • 3.嚥下後の呼吸状態を評価する。

    • 4.80mLの水の嚥下状況を評価する。

    解答・解説

    改訂水飲みテストでは、3mLの冷水を口腔に注いで嚥下してもらい、さらに反復嚥下を2回行って嚥下機能(咽頭期における嚥下動作)と嚥下後の呼吸状態を5段階で評価します。最高値となるスコア5は、むせがなく嚥下が可能な状態で、呼吸状態も良好であり、さらに反復嚥下が30秒以内に2回可能な状態を指します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第36問

    入浴時に全身の血液循環を促進する作用はどれか。

    • 1.鎮静作用

    • 2.浮力作用

    • 3.抗酸化作用

    • 4.静水圧作用

    解答・解説

    入浴には、温熱作用、静水圧作用、浮力作用があります。
    1.(×)鎮静作用は中枢神経などの過活動を抑制する効果であり、鎮静により循環動態は安定します。
    2.(×)水中での浮力作用は、筋肉や関節への負荷を和らげるため、リハビリテーションなどで利用されます。血液循環の促進とは関連しません。
    3.(×)抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEなどが有する細胞活性作用です。
    4.(○)静水圧は、動いていない水の中で身体が受ける圧力です。湯に浸かることで静水圧がかかり、下半身の静脈やリンパ管が適度な圧迫を受けて心臓への静脈還流量が増加し、循環が促進される作用をもたらします。

    第37問

    1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。

    • 1.鼻カニューレ

    • 2.フェイスマスク

    • 3.ベンチュリーマスク

    • 4.リザーバー付酸素マスク

    解答・解説

    1.(×)鼻カニューレでは、吸入酸素濃度が1回換気量により変化します。低換気時には吸入酸素濃度が上昇し、過換気時には低下します。
    2.(×)フェイスマスクでは、1回換気量、吸気速度、呼吸パターンなどにより吸入酸素濃度が変化します。
    3.(○)ベンチュリーマスクでは、ダイリューター(希釈器)を接続してベンチュリー効果(流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させると、低速部に比べて圧力が低い部分が作り出される現象)を生み出すことで、換気量の影響を受けずに安定した濃度の酸素を供給することができます。
    4.(×)リザーバー付酸素マスクは、高濃度(60%以上)の酸素濃度が必要な場合に選択されるデバイスです。吸入酸素濃度は、1回換気量により変化します。

    第38問

    成人患者への薬剤の投与方法で正しいのはどれか。

    • 1.筋肉内注射は大殿筋に行う。

    • 2.点眼薬は結膜嚢に滴下する。

    • 3.皮下注射は前腕内側に行う。

    • 4.食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。

    解答・解説

    1.(×)筋肉内注射は通常、上腕部では三角筋、殿部では中殿筋、大腿部では大腿四頭筋に行います。大殿筋には多くの神経が分布しており、神経損傷のリスクが高いことから、刺入部位としては選択されません。
    2.(○)点眼は、薬液を結膜嚢に滴下する与薬方法です。結膜嚢の最大容量を超えた薬液は、眼外へあふれ出たり、鼻涙管を介して消化管へ向かったりします。
    3.(×)皮下注射は、上腕後側や上腕三角筋など皮脂厚が5mm以上の部位に行います。前腕内側は、皮内注射の際に選択される部位です。
    4.(×)食間の指示の経口薬は、食物摂取による影響を受けにくい食事と食事の間の服用となり、食後2~3時間が目安となります。

    第39問

    永久的止血法に含まれるのはどれか。

    • 1.止血帯法

    • 2.タンポン法

    • 3.血管結紮法

    • 4.間接圧迫止血法

    解答・解説

    止血法は、応急的な手当てとしての一時的止血法と、手術的処置による永久的止血法に分けられます。
    1.(×)止血帯法は、出血部の中枢側を止血帯で固く締める方法です。四肢の大血管出血に対して行われる一時的止血法です。
    2.(×)タンポン法は、出血部にガーゼなどを詰めて止血する方法です。傷が深く圧迫止血が困難な場合に行われる一時的止血法です。
    3.(○)永久的止血法には、止血管子で血管を挟んで縫合糸で結紮する方法や、出血している血管の断端を電気メスで焼灼する方法などがあります。
    4.(×)出血部の中枢側の動脈を圧迫する間接圧迫止血法や、出血部位を直接手で圧迫する直接的圧迫止血法は、一時的止血法に含まれます。

    第40問

    成人に行う頭部MRI検査で正しいのはどれか。

    • 1.造影を伴わない場合は検査直前まで飲食してよい。

    • 2.使い捨てカイロは装着したままでよい。

    • 3.検査中は手足を自由に動かしてよい。

    • 4.補聴器は装着したままでよい。

    解答・解説

    1.(○)造影剤を使用しない頭部MRIでは、検査前に飲食を制限する必要はありません。
    2.(×)MRI検査の際は、磁気に反応するものを持ち込むことができません。鉄粉が含まれる使い捨てカイロ、ネックレス、時計などは外すよう事前に説明する必要があります。看護師のハサミの持ち込みによる金属吸着事故も発生しています。
    3.(×)鮮明な画像を撮影できなくなるため、検査中はできる限り体動を起こさず、安静を保つよう指導します。
    4.(×)補聴器は磁気に反応する可能性があり、磁場の影響で破損するリスクもあることから、外して検査を受けるよう指導します。

    第41問

    Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンォード分類B型の急性大動脈解離(acute aortic dissection)と診断され、医師から手術を勧められた。 治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。

    • 1.「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」

    • 2.「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」

    • 3.「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」

    • 4.「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」

    解答・解説

    1.(○)治療の選択で迷っている様子のAさんに対しては、まず自身の病状や治療について十分に理解しているかを問い、不安や疑問を解消できるよう支援することが適切です。医師の説明が分かりづらかったり、Aさんが質問しづらそうにしていたりする場合は、看護師がフォローします。
    2.(×)突然の手術告知に衝撃を受け、動揺しているAさんに、焦りや不安を与える対応です。
    3.(×)治療方法を最終的に決定するのは、医師ではなく患者本人です。患者が自己決定できるような支援が望まれます。
    4.(×)患者が自己決定権を封じられ、不安や不満を増悪させてしまう不適切な対応です。また、バイタルサインは安定しており、設問の時点でコミュニケーション可能です。

    第42問

    Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌(prostate cancer)と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。 Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。

    • 1.関連痛

    • 2.体性痛

    • 3.中枢痛

    • 4.内臓痛

    解答・解説

    1.(×)関連痛は、障害された部位とは異なる部位に生じる痛みです。一例として、狭心症では、心臓部ではなく左上腕などに痛みを感じることがあります。
    2.(○)体性痛は、主に体性組織(皮膚、骨、関節、筋肉、結合組織など)への機械的刺激が原因となる局所的な痛みです。ほかにも、熱刺激や化学刺激によっても体性痛が引き起こされます。設問の症例では、腰椎に悪性腫瘍が転移し、体動時に骨膜が刺激されることで体性痛が生じていると考えられます。
    3.(×)中枢痛は、中枢神経が障害された場合に生じます。
    4.(×)内臓痛は、胸膜、腹膜、管腔臓器などの内臓の侵害受容器が興奮することで生じる痛みであり、多くは痛みの局在が明確になりません。

    第43問

    成人患者の気管支喘息(bronchial asthma)の治療で正しいのはどれか。

    • 1.テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。

    • 2.副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。

    • 3.インフルエンザワクチン接種は禁忌である。

    • 4.発作時にはβ遮断薬を内服する。

    解答・解説

    1.(○)テオフィリンは、血中濃度が上昇すると重篤な中毒症状が出現しやすい薬剤です。また、併用薬などの影響を受けて血中濃度が変化しやすい薬剤であることからも、投与中は血中濃度を適切にモニタリングし、患者個々に適した投与計画を設定することが望ましいとされています。
    2.(×)口腔内に副腎皮質ステロイドが残存すると、カンジダ症や嗄声を発症する可能性があるため、吸入後は含嗽する必要があります。
    3.(×)気管支喘息はウイルス感染に伴って急激に増悪する可能性が高いことから、インフルエンザワクチンの接種が推奨されます。
    4.(×)発作時には、β2刺激薬を用いて気管支平滑筋を弛緩させます。

    第44問

    経皮的腎生検を受ける患者への説明で適切なのはどれか。

    • 1.検査中の体位は仰臥位とする。

    • 2.穿刺時にくり返し深呼吸をする。

    • 3.検査後はベッド上安静とする。

    • 4.検査後2日間は禁食にする。

    解答・解説

    1.(×)一般的に、経皮的腎生検の検査中の体位は腹臥位とします。経皮的腎生検を行う場合、腎臓は前面よりも背面からのほうがアクセスしやすいためです。
    2.(×)腎臓は呼吸性移動をするため、穿刺は息を止めた状態で行います。
    3.(○)検査後は、腎穿刺部位からの出血を防ぐため、仰臥位でのベッド上安静が必要です。
    4.(×)検査後は、特に問題がなければ当日から飲食が可能であり、禁食とする必要はありません。

    第45問

    糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。

    • 1.眼球突出

    • 2.甲状腺腫大

    • 3.頻脈

    • 4.満月様顔貌

    解答・解説

    1.(×)眼球突出は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の特徴的な所見です。
    2.(×)甲状腺腫大は、甲状腺機能亢進症や橋本病でみられます。
    3.(×)頻脈は、内分泌疾患では甲状腺機能亢進症などでみられます。
    4.(○)糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態(クッシング症候群)では、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、高血圧、皮膚線条などの所見がみられます。クッシング症候群の原因の多くは、副腎におけるコルチコステロイドの過剰産生を引き起こす下垂体の腫瘍であり、その腫瘍除去には手術や放射線治療が必要となります。

  • 第46問

    慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)の手術を受けた患者に対する説明で適切なのはどれか。

    • 1.咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。

    • 2.臥床時は頭部を低く保つ。

    • 3.手術当日から入浴が可能である。

    • 4.物が二重に見えるときは看護師に伝える。

    解答・解説

    1.(×)咽頭にたまった分泌物は、嘔吐や誤嚥を予防するため、飲み込まず静かに吐き出すよう指導します。
    2.(×)術後の臥床時は、出血や腫脹を軽減させる目的で、頭部を高く保つようにします。
    3.(×)慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の手術創は開放創となり、ガーゼで圧迫止血します。完全な止血が確認され、再出血の可能性が低くなるまでの期間(術後1週間程度)は、入浴禁止とします。
    4.(○)術後合併症の一つとして、複視が生じることがあります。眼球運動に関する筋肉の障害が示唆されることから、速やかに看護師に伝えるよう指導することが適切です。原因としては、外眼筋損傷、眼窩内出血、過度な圧迫止血などが考えられます。

    第47問

    サクセスフルエイジングの説明で適切なのはどれか。

    • 1.老化の過程にうまく適応する。

    • 2.権威のある者によって一方的に守られる。

    • 3.生命あるものに共通して起こる現象である。

    • 4.社会的な役割から離脱することで自由になる。

    解答・解説

    サクセスフル・エイジングは「豊かで実りある幸福な人生を送り、天寿を全うすること」を意味し、その実現のためには生活の質(QOL)や社会貢献などの要素が必要とされています。
    1.(○)身体機能の低下に直面しても、老いを自覚して受け止め、うまく付き合うことで前向きに生きるということであり、まさにサクセスフルエイジングの概念と一致します。
    2.(×)「人生への積極的関与(社会参加)」は、サクセスフルエイジングの条件の一つです。一方的に守られることは、この条件に適さないあり方だといえます。
    3.(×)サクセスフルエイジングは、人間らしいライフスタイルにより実現可能とされています。生命あるものであれば共通して持てる概念とはいえません。
    4.(×)可能な限り積極的に社会参加し、社会貢献することをめざしています。

    第48問

    判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とするのはどれか。

    • 1.公的年金制度

    • 2.生活保護制度

    • 3.後期高齢者医療制度

    • 4.日常生活自立支援事業

    解答・解説

    1.(×)公的年金制度は社会保障制度の一つであり、社会全体で高齢者世帯の収入を支えるものです。
    2.(×)生活保護制度は、生活が困窮する人に対して、最低限度の生活保障と自立支援を行うものです。
    3.(×)後期高齢者医療制度は医療保険制度の一つであり、後期高齢者に対する医療を安定的に供給することを目的としています。
    4.(○)日常生活自立支援事業では、認知症高齢者や障害者などのうち自己決定能力の不十分な状態にある人が地域で自立した生活を送れるよう、その権利を擁護し、福祉サービスの利用援助や金銭管理などの支援を行います。実施主体は、都道府県・指定都市社会福祉協議会です。

    第49問

    Aさん(76歳、女性)は、ステージ2の慢性腎臓病(chronic kidney disease)と診断された。身長146cm、体重50kg。日常生活は自立し、毎日家事をしている。週2回、ビールをグラス1杯程度飲んでいる。 Aさんへの生活指導の内容で優先されるのはどれか。

    • 1.安静

    • 2.禁酒

    • 3.減塩

    • 4.体重の減量

    解答・解説

    慢性腎臓病の病期は5段階に分類されており、ステージ1~2では食事療法とリスク因子の低減が治療の中心となります。
    1.(×)過度に安静にする必要はありません。ADLの維持向上を目的として、適度な運動を心がけます。
    2.(×)適正飲酒量であり、直ちに禁酒する必要はありません。適量の飲酒により、血行促進やストレス解消などの効果も期待できます。
    3.(○)慢性腎臓病に対する食事療法では、塩分・蛋白質・エネルギーの制限が重要です。腎機能が低下すると、尿中へのナトリウム排泄機能も低下し、体内の塩分濃度が過剰となります。腎機能保護と、浮腫や高血圧症防止の目的で、塩分制限が優先されます。
    4.(×)AさんのBMIは約23.5であり、減量が必要な状態ではありません。

    第50問

    認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。

    • 1.表情を見せながら話す。

    • 2.高齢者の横から話しかける。

    • 3.会話の内容を記憶しているか確認する。

    • 4.言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。

    解答・解説

    1.(○)表情や身ぶりなどの非言語的コミュニケーションは、認知症高齢者との対話を円滑に行う手段として非常に有効です。
    2.(×)横から話しかけると、認知症高齢者は誰から話されているのか理解できないことがあります。表情や身ぶりを活用するためにも、対面して話しかけるほうが適切です。
    3.(×)会話の内容を記憶しているか確認していると、円滑なコミュニケーションを図りにくくなります。記銘力については、会話の内容から推察することが望ましいでしょう。
    4.(×)発言を待つ態度も大切ですが、「閉じた質問」(クローズドクエスチョン)に切り替えるなどして、言葉を引き出す工夫が望まれます。

    第51問

    介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。

    • 1.介護老人保健施設

    • 2.介護老人福祉施設

    • 3.通所リハビリテーション

    • 4.認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉

    解答・解説

    介護保険制度におけるサービスは、居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの3つに分類されます。地域密着型サービスは、介護が必要になっても住み慣れた地域で生活が継続できるように、事業所のある市町村の要介護・要支援者に提供されるサービスであり、認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉もこれに該当します。なお、選択肢1~2は施設サービス、選択肢3は居宅サービスに該当します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第52問

    平成27年(2015年)の人口動態調査で、5~9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのはどれか。

    • 1.窒息

    • 2.交通事故

    • 3.転倒・転落

    • 4.溺死および溺水

    解答・解説

    1.(×)5~9歳の死因において、窒息は3番目に多い不慮の事故の原因です。0歳の死因における不慮の事故の原因としては、窒息が最も多くなっています。食品(菓子、果物、パンなど)や小さな玩具を気管に詰まらせて窒息に至るケースが多いです。
    2.(○)5~9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのは、死亡者数37人を数える交通事故です。
    3.(×)5~9歳の死因において、転倒・転落は窒息と同位で不慮の事故の中で3番目に多い原因です。
    4.(×)5~9歳の死因において、溺死および溺水は不慮の事故の中で2番目に多い原因です。

    第53問

    小児慢性特定疾病対策における医療費助成で正しいのはどれか。

    • 1.対象は5疾患群である。

    • 2.対象年齢は20歳未満である。

    • 3.医療費の自己負担分の一部を助成する。

    • 4.難病の患者に対する医療等に関する法律に定められている。

    解答・解説

    1.(×)小児慢性特定疾病対策の対象は、16疾患群813疾病です。
    2.(×)対象年齢は、原則として18歳未満です。継続して治療が必要であると認められる場合は、20歳未満まで延長されます。
    3.(○)小児慢性特定疾病対策は、慢性的な疾病を抱える児童の健全育成の観点から、患児家庭の医療費負担軽減を図る目的で、医療費の自己負担分の一部を助成する制度です。自己負担上限額は、家庭の所得状況に応じて異なります。
    4.(×)児童福祉法に規定されています。

    第54問

    乳幼児の正常な言語発達で正しいのはどれか。

    • 1.生後1か月で喃語が出始める。

    • 2.生後6か月で意味のある1語が言える。

    • 3.1歳2か月で2語文を話す。

    • 4.4歳で4つの色を正しく言える。

    解答・解説

    乳児の発達は個人差が大きいものでありながら、親としては非常に気になるポイントで、看護師としては声のかけ方に気を遣います。一般的な発達の目安はあくまで目安ととらえることが前提です。
    1.(×)「あーあー」「うー」などの喃語が出現し始めるのは、生後2~3か月ごろです。
    2.(×)意味のある1語を発するのは、1歳ごろです。
    3.(×)意味のある1語のバリエーションが増え、名詞+動詞からなる2語文を話すのは、1歳6か月~2歳ごろです。
    4.(○)3歳ごろから色を認識するようになり、4歳ごろには4つの色を正しく言えるようになります。

    第55問

    離乳の開始で正しいのはどれか。

    • 1.離乳食は1日2回から開始する。

    • 2.人工乳はフォローアップミルクにする。

    • 3.哺乳反射の減弱が開始時の目安のひとつである。

    • 4.離乳食は歯ぐきでつぶせる硬さのものから始める。

    解答・解説

    1.(×)離乳食の開始時は、1日1回1さじを与えます。
    2.(×)フォローアップミルクは、牛乳に不足する鉄やビタミンを加えた粉乳であり、離乳期にある乳幼児(生後9か月以降)に適しています。母乳や育児用ミルクを代替するものではありません。
    3.(○)哺乳反射は哺乳に関する原始反射の一つであり、生後5~6か月ごろに消失します。哺乳反射が残っていると舌の押し出し反射により離乳食の開始が困難になるため、哺乳反射の減弱は離乳開始の目安となります。
    4.(×)離乳食は、舌でつぶせるなめらかな状態のものから始めます。歯ぐきでつぶせる硬さは、生後9~11か月ごろに適しています。

    第56問

    障害のレベルを運動機能と知能指数で区分するのはどれか。

    • 1.大島分類

    • 2.NYHA分類

    • 3.国際生活機能分類〈ICF〉

    • 4.Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類

    解答・解説

    1.(○)大島分類は、重度の知的障害と重度の肢体不自由が合併した状態を定義付けるため大島一良氏が考案した分類法で、重症心身障害児(者)の障害程度の判定基準として一般的に用いられています。
    2.(×)NYHA分類は、心機能に由来する呼吸不全の分類であり、自覚症状の有無から心不全の重症度をI~IV度の4段階でで評価するものです。
    3.(×)国際生活機能分類<ICF>は、障害を健康状態の構成要素の一つとしてとらえ、現段階の実行状況から評価した分類であり、すべての人々の生活機能と障害の状態を全人的に把握するものとして開発されました。
    4.(×)Hugh-Jones分類は、呼吸器疾患患者の運動機能と呼吸困難から重症度をI~V度の5段階で評価するものです。

    第57問

    人間の性の意義と特質の組合せで適切なのはどれか。

    • 1.快楽性としての性―種の保存

    • 2.生殖性としての性―心理・社会的属性

    • 3.性役割としての性―性的指向

    • 4.連帯性としての性―人間関係の形成

    解答・解説

    1.(×)快楽性としての性は、生きることを楽しもうとするものです。
    2.(×)生殖性としての性は、種の保存や繁栄を目的とするものです。
    3.(×)性役割としての性は、生物学的性別に応じてふさわしいとされる役割規定を果たすことを意味します。なお、性的指向は、愛する対象としてどの性別を対象とするかという指向性であり、異性愛、同性愛、両性愛などがあります。
    4.(○)連帯性としての性は、人間関係の形成や、心と心の絆を深めることを意味します。

    第58問

    出生前診断を目的とした羊水検査で適切なのはどれか。

    • 1.先天性疾患のほとんどを診断することができる。

    • 2.診断された染色体異常は治療が可能である。

    • 3.合併症として流早産のリスクがある。

    • 4.妊娠22週以降は検査できない。

    解答・解説

    1.(×)羊水検査では、ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常や代謝異常を診断できますが、先天性疾患のほとんどを診断できるとはいえません。
    2.(×)染色体異常を診断することはできますが、治療は不可能です。
    3.(○)羊水検査は比較的安全な検査ですが、約0.1~0.3%の確率で合併症(流早産、破水、感染、出血など)を起こすことが報告されています。出生前診断にあたっては、遺伝カウンセリングを行い、十分な説明と同意を得た上で実施する必要があります。
    4.(×)妊娠22週以降でも検査は可能ですが、その目的は児の異常を知った上で出産の事前準備を進めることになります。胎児の成長に伴って合併症発症のリスクが上昇することから、通常は妊娠16週ごろに行うことが推奨されています。

    第59問

    新生児聴覚スクリーニング検査で正しいのはどれか。

    • 1.空腹時に行う。

    • 2.泣いていない時に行う。

    • 3.タンデムマス法で行う。

    • 4.生後24時間以内に行う。

    解答・解説

    1.(×)新生児聴覚スクリーニング検査を空腹時に行うことに、特段の利点はありません。空腹は泣くきっかけになることを考えると、むしろ避けるべきだといえます。
    2.(○)新生児聴覚スクリーニング検査には、OAE(耳音響放射)と自動ABR(自動聴性脳幹反応)という2つの方法があります。いずれの方法でも、静かに寝ている状態が実施しやすいタイミングです。
    3.(×)タンデムマス法は、タンデム型質量分析計を用いる検査であり、先天性の内分泌異常や代謝異常などのスクリーニングとして実施します。
    4.(×)生後24時間以内は中耳に羊水が残存するため、新生児聴覚スクリーニング検査のタイミングとして不適切です。一般的に初回検査は生後1~3日で行い、再検査が必要な場合は生後1週間以内に行います。

    第60問

    リエゾン精神看護の活動はどれか。

    • 1.行動制限の指示

    • 2.向精神薬の処方

    • 3.他科への転棟指示

    • 4.コンサルテーションへの対応

    解答・解説

    リエゾンはフランス語であり、「連携」「つなぐ」「橋渡し」などの意味を持ちます。リエゾン精神看護は、精神看護の知識や技術を用いて、精神科以外の診療科において、患者・家族・医療従事者に対する精神的ケアやコンサルテーション、関係調整、倫理調整、教育的支援などを行う看護領域です。看護師だけでなく、精神科医、薬剤師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師などの多職種からなる「精神科リエゾンチーム」を組織して介入することも多くなっています。他の選択肢は、いずれも医師が行う内容です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

  • 第61問

    知的障害(intellectual disability)〈精神遅滞(mental retardation)〉の原因となる疾患はどれか。

    • 1.統合失調症(schizophrenia)

    • 2.フェニルケトン尿症(phenylketonuria)

    • 3.Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)

    • 4.Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病(Creutzfeldt-Jakob disease)

    解答・解説

    1.(×)統合失調症は、知的障害を伴うこともありますが、知的障害の原因にはなりません。
    2.(○)フェニルケトン尿症は先天性代謝異常であり、新生児マススクリーニングの対象となっています。フェニルアラニンをチロシンに変化させる酵素が欠損しており、乳幼児期に適切な治療が行われないとフェニルアラニンが体内に蓄積し、大脳の神経細胞の異常を引き起こして精神遅滞などにつながります。
    3.(×)アルツハイマー病は、認知症の最も多い原因疾患です。認知症は、既得の知的能力が病的に低下した状態であり、知的障害ではありません。
    4.(×)クロイツフェルト・ヤコブ病は中枢神経系疾患であり、認知症や錐体路症状、錐体外路症状などを引き起こしますが、知的障害の原因にはなりません。

    第62問

    Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。 最も考えられる疾患はどれか。

    • 1.睡眠時遊行症(sleepwalking(somnambulism))

    • 2.ナルコレプシー(narcolepsy)

    • 3.睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)

    • 4.睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorders)

    解答・解説

    1.(×)睡眠時遊行症は、学童期に好発する睡眠時随伴症の一つであり、徘徊などの異常行動が睡眠中に発作的に起こります。
    2.(○)ナルコレプシーは、日中の睡眠発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)、情動性脱力発作などを主症状とします。夜間に十分な睡眠を取っていても、昼間の寝てはいけない場面で居眠りするなどして、社会生活に重大な支障をきたします。
    3.(×)睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に10秒間以上持続する無呼吸が繰り返し生じるため、睡眠障害が引き起こされます。
    4.(×)睡眠・覚醒スケジュール障害では、海外渡航の際の時差や昼夜交代勤務などにより、睡眠と覚醒のリズムが崩れて覚醒時の集中困難などが生じます。

    第63問

    現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。

    • 1.精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。

    • 2.精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。

    • 3.精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。

    • 4.人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中では最も多い。

    解答・解説

    1.(×)精神保健福祉センターは、精神保健福祉法に基づいて各都道府県に設置されています。
    2.(×)入院患者の疾患別内訳で最も多いのは、統合失調症です。
    3.(×)通院医療費の給付は、障害者総合支援法に基づきます。なお、精神保健福祉法に規定される精神障害者保健福祉手帳制度により、自立支援医療の申請を簡略化することができます。
    4.(○)人口1000人当たりの精神病床数は、OECD加盟国の平均が1.0床以下であるのに対して、日本は2.5床を超えており、医療財政面からも問題があるといえます。地域での受け入れ体制が整えば退院できる患者も相当数いるとされているため、体制整備の加速が望まれます。

    第64問

    Aさん(60歳、女性)は、統合失調症(schizophrenia)で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。 退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。

    • 1.薬剤師

    • 2.精神保健福祉士

    • 3.ピアサポーター

    • 4.臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)

    解答・解説

    1.(×)薬剤師は、調剤、医薬品の供給、薬事衛生などを担う専門職であり、退院にあたっては服薬に関する支援を行います。
    2.(○)精神保健福祉士は、精神障害者の生活支援を担う専門職です。退院後スムーズに社会生活を営めるよう、情報提供や環境調整、その他様々なサポートを提供します。
    3.(×)同じ問題を抱える者同士が支援し合うことをピアサポート、自らの体験に基づいて仲間を支援する人をピアサポーターと呼びます。退院後に地域生活への定着を図る段階では、ピアサポーターの支援が有用です。
    4.(×)臨床心理士や公認心理師は、心理的な問題に対する支援を行います。両者の役割は似通っていますが、前者は民間資格、後者は2017年施行の公認心理師法に基づく国家資格です。

    第65問

    訪問看護制度で正しいのはどれか。

    • 1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。

    • 2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。

    • 3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。

    • 4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。

    解答・解説

    訪問看護では、医師の指示の下で、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが療養生活の場である家庭に出向き、専門的なサービスを提供します。
    1.(×)管理栄養士による訪問は在宅患者訪問栄養食事指導となり、訪問看護制度の枠内で保険請求することはできません。
    2.(○)精神科訪問看護指示書に基づく訪問看護は、介護保険の対象者であっても医療保険から給付されます(精神科訪問看護基本療養費)。
    3.(×)医療処置がない場合でも、訪問看護を行うにあたっては訪問看護指示書が必要です。
    4.(×)訪問看護事業所の開設には、常勤換算で2.5人以上の看護職員が必要です。

    第66問

    Aさん(85歳、女性)は、1人暮らし。日常生活は自立しており、健康のために毎日20~30分のウォーキングをしている。夜間は、廊下を歩いて1、2回トイレに行く。 Aさんの現時点での家屋環境の整備で最も優先されるのはどれか。

    • 1.便座の高さを高くする。

    • 2.廊下に手すりを設置する。

    • 3.トイレの扉を引き戸にする。

    • 4.廊下に足元照明を設置する。

    解答・解説

    1.(×)リウマチなどにより膝関節の屈伸に問題が生じている場合は、便座の高さを高くすることも検討されます。
    2.(×)Aさんは毎日20~30分のウォーキングが可能であり、廊下に手すりを設置する優先度は低いと考えられます。
    3.(×)開き戸の使用に特に支障がない状態であれば、引き戸に改修する優先度は低いと考えられます。
    4.(○)足元照明の設置は転倒対策となるため、優先されるべき適切な家屋環境の整備だといえます。ただし、介護保険による住宅改修の対象とはなりません。

    第67問

    Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌(colon cancer)と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。 外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。

    • 1.「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」

    • 2.「副作用が出てから対応を考えましょう」

    • 3.「会社の健康管理部門に相談しましょう」

    • 4.「有給休暇を使って治療を受けましょう」

    解答・解説

    1.(×)所属部署を変更することで、Aさんが治療と並行して仕事を継続しやすい環境になるとは限りません。Aさん自身が変更を希望する可能性はありますが、外来看護師の助言としては不適切です。
    2.(×)外来化学療法においては、患者自身が副作用の対処をする必要があります。予測される副作用が出現する前に、予防法や対処法を指導することが適切です。
    3.(○)勤務先の制度を確認し、病状を考慮した業務への配置転換などについて、健康管理部門に相談するよう助言することが適切です。
    4.(×)有給休暇を使うだけでは日数が足りない可能性が高いと考えられます。

    第68問

    家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。 この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。

    • 1.権利擁護

    • 2.総合相談支援

    • 3.介護予防ケアマネジメント

    • 4.包括的・継続的ケアマネジメント支援

    解答・解説

    地域包括支援センターは、介護予防ケアマネジメント、包括的・継続的ケアマネジメント、総合相談、権利擁護の4つを業務の柱として、地域に住む高齢者や、その支援・介護に携わる人々を支えています。
    1.(○)家族からネグレクトという虐待を受け、権利を侵害されていることから、権利擁護のための介入を要する状況です。
    2.(×)総合相談支援業務では、高齢者に関する様々な相談に応じ、適切な支援につなげます。
    3.(×)介護予防ケアマネジメント業務では、要支援1・2の認定を受けた人を対象に、介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)の作成を行うとともに、健康教室や地域サロンなどを通して介護予防に取り組みます。
    4.(×)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、入院・退院(入所・退所)時の連携や、ケアマネジャーの後方支援などを行います。

    第69問

    病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。 看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。

    • 1.夜勤専従の看護師の休暇を増やす。

    • 2.育児中の看護師の院内研修を免除する。

    • 3.非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。

    • 4.特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。

    解答・解説

    1.(×)限られた看護師に対する配慮であり、それはそれで重要ではあるものの、全体に対するマネジメントより優先度は低くなると考えられます。
    2.(×)院内研修は、看護の質の向上に必要な教育の場であり、育児中であっても免除することは望ましくありません。
    3.(×)非常勤看護師だけに配慮するのでは、常勤看護師の労働負荷が高まり、バランスが取れません。
    4.(○)多様な労働時間や雇用形態に応じた業務配分をマネジメントし、人的資源を最大限に有効活用することが重要です。特定の看護師に仕事が集中することがないよう、全体の調整を図ることが最優先されます。

    第70問

    診療情報の取り扱いで適切なのはどれか。

    • 1.診療情報の開示請求は患者本人に限られる。

    • 2.医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。

    • 3.2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。

    • 4.他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。

    解答・解説

    厚生労働省は「診療情報の提供等に関する指針」を策定し、各医療機関において則るべきものとして周知・普及に努めています。
    1.(×)原則として患者本人が行いますが、法定代理人、診療契約に関する代理権を付与されている任意後見人、本人から代理権を与えられた親族なども行うことができます。
    2.(×)本人の意見や希望が尊重されるべきであり、情報提供を拒んだ場合は説明してはなりません。
    3.(×)2類感染症は、感染症法において届出が義務付けられています。法に基づく届出に際して、患者の同意は必須ではありません。
    4.(○)他院でのセカンドオピニオンを希望する患者には、診療情報の提供を行うことが適切です。

    第71問

    医療法における病院の医療安全管理体制で正しいのはどれか。

    • 1.医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。

    • 2.医療安全管理のための指針を整備しなければならない。

    • 3.特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。

    • 4.医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。

    解答・解説

    医療安全管理体制については、医療法施行規則第1条11に規定されています。
    1.(×)医療安全管理のために必要な研修は、年に2回程度、あるいは必要に応じて開催すべきことが定められています。
    2.(○)すべての病院および有床診療所に対して、医療安全管理のための具体的方策や、医療事故発生時の対応方法など、医療に係る安全管理のための指針を整備することが義務付けられています。
    3.(×)特定機能病院では、専任の医療安全管理者を配置しなければなりません。
    4.(×)すべての医療機関に対して、医薬品安全管理責任者の配置を義務としています。

    第72問

    看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。

    • 1.届出は義務である。

    • 2.届出先は保健所である。

    • 3.離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。

    • 4.免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。

    解答・解説

    2015年に「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が改正され、離職時等における都道府県ナースセンターへの届け出が努力義務化されました。この情報をもとに都道府県ナースセンターが状況に合わせたサポートを提供し、看護職としての切れ目のないキャリアを積むことができるよう支援するとしています。
    1.(×)届出は義務ではなく、努力義務とされています。
    2.(×)届出先は、都道府県ナースセンターです。
    3.(×)離職したときが届出のタイミングであり、事前に届け出る必要はありません。
    4.(○)都道府県ナースセンターへの届出については、免許取得後すぐに就職しない場合にも努力義務の対象となります。

    第73問

    国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。

    • 1.ヘルスフォーオール21(Health For All in the 21st century:HFA21)

    • 2.ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)

    • 3.持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)

    • 4.国連開発目標(International Development Goals:IDGs)

    解答・解説

    1.(×)HFA21は、1998年の世界保健総会において、世界保健宣言として採択されたものです。
    2.(×)MDGsは、2000年の国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとに、開発分野における国際社会共通の8つの目標を定めたものです。
    3.(○)SDGsはMDGsの後継であり、2030年までの国際目標です。MDGsが開発途上国にフォーカスしたものであるのに対して、SDGsは先進国を含むすべての国が取り組むべきユニバーサルな内容となっています。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成されています。
    4.(×)IDGsは、1996年のOECD開発援助委員会で策定されました。

    第74問

    採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。 クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。

    • 1.トロンビン

    • 2.プラスミン

    • 3.カルシウムイオン

    • 4.ナトリウムイオン

    • 5.フィブリノーゲン

    解答・解説

    1.(×)血液凝固の過程において、カルシウムイオンはプロトロンビンをトロンビンに変化させます。トロンビンによりフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、血液凝固が完了します。
    2.(×)プラスミンは蛋白質であり、線溶の過程で出現します。
    3.(○)カルシウムイオンは、血液凝固の多くの過程に関与する必須因子です。クエン酸はカルシウムイオンと結合することでクエン酸カルシウムとなり、その結果としてイオン化したカルシウムが血漿中からなくなるため、血液凝固を防ぐことができます。
    4.(×)ナトリウムイオンは、血液凝固の過程に関与していません。
    5.(×)フィブリノーゲンは、フィブリンの前駆物質です。

    第75問

    胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素はどれか。

    • 1.アミラーゼ

    • 2.キモトリプシン

    • 3.トリプシン

    • 4.ペプシン

    • 5.リパーゼ

    解答・解説

    1.(×)アミラーゼは、デンプンやグリコーゲンの分解酵素であり、唾液腺や膵臓から分泌されます。
    2.(×)キモトリプシンは、膵臓から分泌される蛋白分解酵素です。
    3.(×)トリプシンは、膵臓から分泌される蛋白分解酵素です。
    4.(○)胃底腺の主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、胃酸の作用により立体構造が変化し、活性型のペプシンとなって蛋白質をポリペプチドに分解します。
    5.(×)リパーゼは脂肪分解酵素であり、膵臓から分泌されます。

  • 第76問

    成人で、骨髄が脂肪組織になっているのはどれか。

    • 1.寛骨

    • 2.胸骨

    • 3.大腿骨の骨幹

    • 4.椎骨の椎体

    • 5.肋骨

    解答・解説

    1.(×)寛骨を含む体幹の骨は、骨髄内に造血組織を有します(赤色骨髄)。
    2.(×)胸骨を含む体幹の骨は、骨髄内に造血組織を有します(赤色骨髄)。
    3.(○)出生時には骨髄だけでなく肝臓や脾臓でも造血が行われていますが、小児期には骨髄のみに変化します。成人するころには、造血機能を持つ骨髄が頭蓋骨、胸骨、骨盤など身体中心部の骨の髄腔に限られるようになり、四肢の長管骨の髄腔は脂肪組織に置き換えられます(黄色骨髄)。
    4.(×)椎骨の椎体を含む体幹の骨は、骨髄内に造血組織を有します(赤色骨髄)。
    5.(×)肋骨を含む体幹の骨は、骨髄内に造血組織を有します(赤色骨髄)。

    第77問

    臓器と産生されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。

    • 1.膵臓―グルカゴン

    • 2.副腎―プロラクチン

    • 3.腎臓―アルドステロン

    • 4.脳下垂体―インクレチン

    • 5.視床下部―テストステロン

    解答・解説

    1.(○)グルカゴンは、膵臓にあるランゲルハンス島のα細胞で産生されます。ランゲルハンス島のβ細胞で産生されるインスリンとともに、血糖値制御に関与する重要なホルモンです。なお、ランゲルハンス島のδ細胞からはソマトスタチンが分泌されます。
    2.(×)プロラクチンは、脳下垂体で産生されます。
    3.(×)アルドステロンは、副腎皮質で産生されます。
    4.(×)インクレチンは、小腸で産生されます。
    5.(×)テストステロンは、男性の精巣や女性の卵巣などで産生される男性ホルモンです。

    第78問

    抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。

    • 1.頻脈

    • 2.肝障害

    • 3.低血糖

    • 4.不整脈

    • 5.眼球突出

    解答・解説

    1.(×)甲状腺機能が亢進し、甲状腺ホルモンの量が増加した場合に、頻脈をきたす可能性があります。バセドウ病などが原因となる甲状腺機能亢進症でみられる症状です。
    2.(○)代表的な抗甲状腺薬は、チアマゾールやプロピルチオウラシルです。これらの薬物の副作用(有害事象)としては、肝障害、無顆粒球症、ANCA関連血管炎などが挙げられます。
    3.(×)インスリン自己免疫症候群では、空腹時低血糖が起こります。インスリン自己免疫症候群は、チアマゾールの副作用として引き起こされることがあるものの、プロピルチオウラシルの副作用としては出現しません(厚生労働省が開示した正答は2のみとなっています)。
    4.(×)不整脈は、頻脈と同様に、甲状腺機能亢進症でみられる症状です。
    5.(×)眼球突出、甲状腺腫、頻脈は、バセドウ病の典型的な症状(メルゼブルグの三徴)です。

    第79問

    Barthel〈バーセル〉インデックスで評価するのはどれか。

    • 1.栄養状態

    • 2.疼痛の強さ

    • 3.褥瘡の深さ

    • 4.日常生活動作

    • 5.呼吸困難の程度

    解答・解説

    1.(×)栄養状態は、主観的包括アセスメント(subjective global assessment;SGA)などで評価します。
    2.(×)疼痛の強さの評価方法には、NRS(numerical rating scale)、VAS(visual analogue scale)、VRS(verbal rating scale)などがあります。
    3.(×)褥瘡の深さを表す分類には、日本褥瘡学会のDESIGN-Rなどがあります。
    4.(○)Barthel(バーセル)インデックスは、広く用いられている日常生活動作(ADL)の評価方法です。食事、入浴、移動などの10項目を数段階の自立度で評価し、その合計得点(100点満点)が介助必要度の指標となります。目安として、40点以下では基本動作(食事、排泄、整容)が全介助または部分介助、65点以上あれば基本動作が自立となります。
    5.(×)呼吸困難の程度を評価するスケールには、Hugh-Jones分類などがあります。

    第80問

    急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)患者の合併症を早期に発見するための徴候で正しいのはどれか。

    • 1.皮疹の出現

    • 2.頻脈の出現

    • 3.時間尿の増加

    • 4.腹壁静脈の怒張

    • 5.うっ血乳頭の出現

    解答・解説

    1.(×)皮疹の出現は、急性心筋梗塞の合併症に特異的な所見ではありません。
    2.(○)急性心筋梗塞の合併症としては、心室頻拍や心室細動などの致死的不整脈、心破裂、心筋虚血、心室中隔穿孔、僧帽弁閉鎖不全などが挙げられます。いずれの場合も急激な頻脈の出現がみられるため、心電図モニターによる監視が必要です。
    3.(×)時間尿の増加は、腎血流量の増加を示唆しています。
    4.(×)腹壁静脈の怒張は、肝硬変などによる門脈圧亢進症状として現れます。
    5.(×)うっ血乳頭の出現は、頭蓋内圧亢進症状の一つで、脳腫瘍や脳出血でみられます。

    第81問

    Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)の患者にみられる実行機能障害はどれか。

    • 1.シャツを前後反対に着る。

    • 2.調理の手順がわからなくなる。

    • 3.物音がすると食事を中断する。

    • 4.鏡に映った自分の姿に話しかける。

    • 5.歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。

    解答・解説

    1.(×)シャツを前後反対に着るのは、着衣失行の症状です。
    2.(○)実行機能障害とは、以前は順序立てて行えていた物事が、手順通りにできなくなる状態です。調理、洗濯、掃除、買い物などが困難になり、日常生活における自立性が失われます。「優先順位が判断できない」「予期できないことが起こるとパニックになる」「間違いをなかなか修正できない」といった傾向がみられます。
    3.(×)物音がすると食事を中断するのは、注意障害の症状です。
    4.(×)鏡に映った自分の姿に話しかけるのは、鏡像現象や鏡像反応と呼ばれる症状です。
    5.(×)歯ブラシで髪の毛をとかそうとするのは、正しい目的で物品を使用できない状態であり、観念失行に当たると考えられます。

    第82問

    副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。

    • 1.嗅神経

    • 2.視神経

    • 3.動眼神経

    • 4.三叉神経

    • 5.迷走神経

    解答・解説

    1.(×)嗅神経は、嗅覚情報を伝える神経線維のみで機能します。
    2.(×)視神経は、視覚情報を伝える神経線維のみで機能します。
    3.(○)動眼神経は、外眼筋を支配する運動神経が主体ですが、瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経も含んでいます。この副交感神経の働きで、縮瞳や焦点の調節が行われています。
    4.(×)三叉神経は、顔面や鼻腔、口腔などの知覚に関与する感覚神経と、咀嚼筋を支配する運動神経を含んでいますが、副交感神経は含みません。
    5.(○)迷走神経は、喉頭などの骨格筋を支配する運動神経や、胸腔や腹腔などの内臓を支配する副交感神経を含んでいます。

    第83問

    糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)の食事療法で制限するのはどれか。2つ選べ。

    • 1.脂質

    • 2.塩分

    • 3.蛋白質

    • 4.炭水化物

    • 5.ビタミン

    解答・解説

    1.(×)脂質の制限は、腎機能障害においては必要ありません。
    2.(○)高血圧は腎症の進行を加速させる原因になるため、塩分摂取制限による血圧コントロールは非常に重要です。
    3.(○)体内の余分な蛋白質は老廃物となり、腎臓で濾過されて尿から排泄されますが、腎機能が低下している状態では腎臓に大きな負担がかかることから、病期に応じた蛋白質制限を行う必要があります。さらに腎症が進行した場合は、カリウムが尿中へ排泄されにくくなるため、頻脈や心不全などを予防する観点からカリウム制限も必要になります。
    4.(×)炭水化物の制限は、腎機能障害においては必要ありません。
    5.(×)ビタミンの制限は、腎機能障害においては必要ありません。

    第84問

    アナフィラキシーショック(anaphylactic shock)で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.徐脈になる。

    • 2.重症例では死に至る。

    • 3.気道粘膜の浮腫を生じる。

    • 4.III型アレルギー反応である。

    • 5.副腎皮質ステロイドは禁忌である。

    解答・解説

    1.(×)アナフィラキシーショックでは、血圧が低下し、頻脈となります。
    2.(○)アナフィラキシーショックの重症例では死に至る場合があるため、速やかに適切な処置が必要です。
    3.(○)気道粘膜の浮腫を生じることから、呼吸困難を引き起こす可能性があります。
    4.(×)アナフィラキシーショックは、I型(即時型)アレルギー反応です。なお、III型(免疫複合体型)アレルギーは、抗原と抗体による免疫複合体が血中で循環し、特定の場所に付着して炎症を引き起こすものです。
    5.(×)副腎皮質ステロイドは、アレルギー疾患に対して広く用いられる治療薬です。アナフィラキシーショックの治療には、アドレナリン筋注、副腎皮質ステロイド、抗ヒスタミン薬などが使用されます。

    第85問

    前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia)で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.進行すると水腎症(hydronephrosis)となる。

    • 2.外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。

    • 3.直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。

    • 4.前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。

    • 5.前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100ng/mL以上となる。

    解答・解説

    1.(○)前立腺肥大症が進行すると尿道が圧迫され、尿閉症状が悪化して水腎症をきたします。
    2.(○)経尿道的前立腺切除術(TUR-P)は、前立腺肥大症の標準手術療法です。尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺を高周波電流で削り取ります。
    3.(×)直腸診で石のような硬さの前立腺を触知するのは、前立腺癌です。前立腺肥大症では、弾性硬の所見がみられます。
    4.(×)男性ホルモン薬を使用すると、前立腺の肥大が増悪します。薬物療法としては、α遮断薬や5α還元酵素阻害薬が用いられます。
    5.(×)PSAは、特に前立腺癌に対して有用なマーカーです。前立腺肥大症でも軽度上昇することがあるものの、100ng/mL以上になることは考えにくいでしょう。

    第86問

    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく五類感染症はどれか。2つ選べ。

    • 1.後天性免疫不全症候群〈AIDS〉(acquired immunodeficiency syndrome)

    • 2.腸管出血性大腸菌感染症(enterohemorrhagic E.coli infection)

    • 3.つつが虫病(tsutsugamushi disease)

    • 4.日本脳炎(Japanese encephalitis)

    • 5.梅毒(syphilis)

    解答・解説

    五類感染症は、国が発生動向調査を行い、必要な情報を国民や医療関係者に提供することにより、発生や蔓延を予防すべき感染症です。
    1.(○)後天性免疫不全症候群<AIDS>は五類感染症であり、診断後7日以内に保健所への届出が必要です。
    2.(×)腸管出血性大腸菌感染症は三類感染症であり、診断後は直ちに保健所への届出が必要です。
    3.(×)つつが虫病は四類感染症であり、診断後は直ちに保健所への届出が必要です。
    4.(×)急性脳炎は五類感染症に該当しますが、四類感染症である日本脳炎は除かれます。
    5.(○)梅毒は五類感染症であり、診断後7日以内に保健所への届出が必要です。近年、感染者数の増加が問題となっています。

    第87問

    感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.短文で話しかける。

    • 2.身振りを加えて話す。

    • 3.多くの話題を提供する。

    • 4.耳元に近づき大きな声で話す。

    • 5.open-ended question〈開かれた質問〉を用いる。

    解答・解説

    感覚性失語はウェルニッケ野周辺の障害により生じるもので、発話自体は流暢でありながら言い間違いや意味不明な単語がしばしば混入します。また、他者の言葉の聴覚的理解が著しく障害されます。
    1.(○)感覚性失語では、平易な短文や単語で話しかけるほうが理解しやすくなります。
    2.(○)身振りや手振りなどのジェスチャーや、イラストや写真などの視覚的情報を加えたコミュニケーションが効果的です。
    3.(×)一度に多くの情報を提供すると、混乱を招く可能性があります。
    4.(×)感覚性失語は聴力の低下は伴わないことから、耳元で大きな声で話す必要はありません。
    5.(×)yes/noで答えることができるclosed question(閉じた質問)のほうが適切です。

    第88問

    交通事故によって脊髄損傷(spinal cord injury)で入院した下肢に麻痺のある成人患者。 職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.自己導尿は自宅で行う。

    • 2.仕事中は飲水を制限する。

    • 3.車椅子には体圧分散マットを使用する。

    • 4.残業する場合の休憩時間は不要である。

    • 5.職場の担当者に自分の病気について伝える。

    解答・解説

    1.(×)職場復帰に向けて、自己導尿を自宅以外でも行えるよう準備しておくことが適切です。
    2.(×)脱水や尿路感染症を予防するためにも、水分摂取を制限すべきではありません。
    3.(○)車椅子を長時間使用する生活になるため、体圧分散マットを用いて褥瘡予防に努めることが適切です。また、車椅子座位を調整(シーティング)することで褥瘡予防につなげることもできます。
    4.(×)残業時に限らず、労働時間に応じて適切な休憩時間が必要です。
    5.(○)周囲の理解を得て適切な支援を受けられるよう、担当者に自身の状態について説明しておくことが大切です。

    第89問

    人工肛門を造設した患者へのストーマケアの指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.装具の交換は便が漏れない限り不要である。

    • 2.装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。

    • 3.洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。

    • 4.装具の穴はストーマと同じ大きさにする。

    • 5.装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。

    解答・解説

    1.(×)排泄物の漏れを目安にするのではなく、定期的に交換することが適切です。
    2.(○)皮膚保護材は、溶解の程度が5~8mmのタイミングで交換します。それ以上になると皮膚保護材の緩衝作用が低下し、皮膚障害を引き起こす可能性があります。
    3.(×)洗浄後は、軽く水分を拭き取って自然乾燥させます。ドライヤーを使用すると、粘膜にダメージを与えてしまいます。
    4.(×)面板とストーマが重なってこすれないよう、装具の穴はストーマより2~3mm大きく切ります。
    5.(○)面板と皮膚の間にすき間があると、便漏れや皮膚障害を引き起こす原因となるため、腹壁のしわが自然に伸びた状態で装具を装着します。

    第90問

    妊娠36週の妊婦にNST〈non-stress test〉を行うため、分娩監視装置を装着することになった。 妊婦への説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.「胎児の健康状態を判定します」

    • 2.「所要時間は10分です」

    • 3.「排尿を済ませて下さい」

    • 4.「仰向けで行います」

    • 5.「固定用ベルトを1本使用します」

    解答・解説

    1.(○)NSTは、ノンストレス(=子宮収縮がない)状態において、分娩監視装置を用いて胎児心拍、胎動、子宮収縮を観察し、胎児の健康状態を評価する検査です。
    2.(×)所要時間は、通常20~40分程度です。
    3.(○)排尿して膀胱を空にすることで、より明確に子宮収縮を観察できます。また、所要時間が長いため、安静な状態で検査が行えるよう事前に排尿を済ませておく必要があります。
    4.(×)仰向けでは、増大した子宮に血管が圧迫され、仰臥位低血圧症候群を引き起こす可能性があります。セミファウラー位や側臥位などが適切です。
    5.(×)胎児心拍測定用と子宮収縮測定用の2本を使用します。

  • 第91問

    Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎(hepatitis C)、肝硬変(liver cirrhosis)と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。 身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。意識は清明だが不安げな表情をしている。 検査所見:赤血球278万/μL、Hb 8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K 3.9mEq/L、血糖102mg/dL。 入院時のAさんの状態として考えられるのはどれか。

    • 1.急性アルコール中毒(acute alcohol intoxication)

    • 2.食道静脈瘤破裂(rupture of esophageal varices)

    • 3.迷走神経反射

    • 4.低血糖発作

    解答・解説

    Aさんは、肝硬変が進行して黄疸、腹水、肝性脳症などを伴う非代償期にあると考えられます。
    1.(×)急性アルコール中毒は、短時間に多量のアルコールを摂取したことにより、意識レベル低下、嘔吐、呼吸困難、頻脈、低血圧などの症状をきたすものです。
    2.(○)大量吐血に加え、総ビリルビン値やアンモニア値が基準範囲を大幅に上回っていることから、肝硬変が進行して食道静脈瘤破裂をきたし、循環血液量減少性ショックの状態であると考えられます。
    3.(×)迷走神経反射は、強いストレスや疼痛、長時間の立位などが引き起こす心拍数低下や血圧低下などの生理的反応です。
    4.(×)Aさんには顔面蒼白や冷汗が出現していますが、血糖値は102mg/dLであり、低血糖発作による症状とは考えられません。

    第92問

    Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎(hepatitis C)、肝硬変(liver cirrhosis)と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。 身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。意識は清明だが不安げな表情をしている。 検査所見:赤血球278万/μL、Hb 8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K 3.9mEq/L、血糖102mg/dL。 入院から4日が経過し、Aさんは医師から「C型肝炎、肝硬変の患者は肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)を発症することがある」と説明を受けた。Aさんはスクリーニングの目的で、肝臓から骨盤内臓器までの範囲で腹部超音波検査を受けることになった。 検査前日に看護師が行う説明で正しいのはどれか。

    • 1.「検査直前に排尿を済ませてください」

    • 2.「おならは検査が終わるまで我慢してください」

    • 3.「造影剤のアレルギーがあれば教えてください」

    • 4.「検査当日は、起床時から飲食物を摂取しないでください」

    解答・解説

    Aさんは、肝硬変が進行して黄疸、腹水、肝性脳症などを伴う非代償期にあると考えられます。
    1.(×)膀胱に尿がたまっているほうが、超音波の反射が高まり観察しやすくなるため、検査2時間前くらいからは可能な限り排尿をしないよう説明します。
    2.(×)おならを我慢すると、腸内に貯留したガスで臓器の観察が難しくなります。
    3.(×)腹部超音波検査では造影剤を使わないため、そのアレルギーの有無を確認する必要はありません。
    4.(○)飲食物を摂取すると、消化管機能が亢進し、腸管内にガスが発生して臓器の観察が難しくなります。そのため、検査前は禁飲食とすることが適切です。原則としては、食事は検査4時間前から、飲み物は検査1時間前から禁止とします。

    第93問

    Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎(hepatitis C)、肝硬変(liver cirrhosis)と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。 身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。意識は清明だが不安げな表情をしている。 検査所見:赤血球278万/μL、Hb 8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K 3.9mEq/L、血糖102mg/dL。 検査の結果、C型肝炎対し抗ウイルス療法が開始され、退院後は定期的に外来通院することになった。 退院に向けたAさんへの食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.禁酒する。

    • 2.食物繊維を控える。

    • 3.高蛋白食を摂取する。

    • 4.カリウム制限をする。

    • 5.熱い食べものを避ける。

    解答・解説

    Aさんは、肝硬変が進行して黄疸、腹水、肝性脳症などを伴う非代償期にあると考えられます。
    1.(○)C型肝炎ウイルスによる肝硬変が進行している状態であり、飲酒は肝機能低下を増悪させ、肝癌の発症リスクも高まります。Aさんは飲酒が習慣化していることから、食事指導の重要なポイントとなります。
    2.(×)食物繊維は積極的に摂取し、アンモニアの発生を助長する便秘を予防します。
    3.(×)肝硬変の患者が高蛋白食を摂取すると、高アンモニア血症のリスクが高まります。蛋白質摂取は制限すべきです。
    4.(×)カリウム制限を行うのは、腎機能障害をきたしている場合です。
    5.(○)食道静脈瘤が残存している可能性があるため、極端に熱いもの・冷たいもの・固いものなど、刺激を与えて破裂を助長するような食物は避けるよう指導します。

    第94問

    Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症(hypertention)、脂質異常症(dyslipidemia)を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞(cerebral infarction)の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c 5.8%、心電図では、RR間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。 Aさんの脳梗塞の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。

    • 1.糖尿病(diabetes mellitus)

    • 2.胃潰瘍(gastric ulcer)

    • 3.高血圧症(hypertention)

    • 4.心房細動(atrial fibrillation)

    • 5.心房粗動(atrial flutter)

    解答・解説

    脳梗塞のうち、動脈硬化を基盤として生じるアテローム血栓症では糖尿病と高血圧が大きなリスク因子となります。また、心原性塞栓症では心房細動が大きなリスク因子となります。
    1.(×)糖尿病は脳梗塞のリスク因子となりますが、AさんのHbA1cは5.8%であり、糖尿病の診断基準を下回っています。
    2.(×)胃潰瘍と脳梗塞の関連性はありません。また、Aさんに胃潰瘍のエピソードもみられません。
    3.(○)高血圧症は脳梗塞のリスク因子です。血圧が高いと、心筋細胞に過度の負担がかかることから、心房細動を引き起こしやすくなります。
    4.(○)Aさんは入院時、脈拍不整、RR間隔不定であり、心房細動の可能性が高いと考えられます。心房細動が続くと心房内で血液がうっ滞して血栓を形成しやすくなるため、脳梗塞のリスク因子となります。
    5.(×)心房粗動は脳梗塞のリスク因子となりますが、心房粗動では脈を規則的に認めるため、設問の症例とは合致しません。

    第95問

    Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症(hypertention)、脂質異常症(dyslipidemia)を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞(cerebral infarction)の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c 5.8%、心電図では、RR間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。 入院から3週が経過し、リハビリテーションによって日常生活動作〈ADL〉は改善しているが、夜間は眠れず、食欲も低下している。Aさんは「なかなか良くならない。何もできなくなってしまった」と話している。 現在のAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。

    • 1.「時間が経てば良くなりますよ」

    • 2.「リハビリをがんばりましょう」

    • 3.「同じ病気の患者さんをご紹介しますね」

    • 4.「なかなか良くならないと感じているのですね」

    解答・解説

    1.(×)前向きな気持ちにさせる声かけは大切ですが、「時間が経てば良くなる」根拠がないため、かえって患者の信頼を損ねるおそれがあります。
    2.(×)リハビリテーションによりADLは改善していますが、頑張っているにもかかわらず、本人の思うような改善ではないことから、不眠や食欲低下などの抑うつ状態をきたしています。抑うつを呈している患者に、さらなる頑張りを強いるような声かけは、症状を悪化させる可能性があるため不適切です。
    3.(×)抑うつ状態では、他者との交流が負担になる可能性が高いと考えられます。
    4.(○)設問の状況では、受容・傾聴・共感の姿勢が求められます。まずは共感的な態度を示し、Aさんの現在の思いや悩みを引き出すことが適切です。

    第96問

    Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症(hypertention)、脂質異常症(dyslipidemia)を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞(cerebral infarction)の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c 5.8%、心電図では、RR間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。 転棟から6週が経過し、退院に向けて多職種チームでカンファレンスを開催することになった。Aさんは、外来でのリハビリテーションを継続しながら元の職場への復帰を希望している。 Aさんの退院前のカンファレンスで適切なのはどれか。

    • 1.チームリーダーの職種は医師である。

    • 2.カンファレンスにAさんの妻の参加は不要である。

    • 3.Aさんのリハビリテーションの目標は医師が決定する。

    • 4.Aさんのリハビリテーションの内容はチームで評価する。

    解答・解説

    1.(×)多職種カンファレンスにおいて、必ずしも医師がチームリーダーとは限りません。
    2.(×)Aさんへのサポート体制を整えるためにも、必要に応じて介護のキーパーソンとなる妻に参加してもらうことが望まれます。
    3.(×)リハビリテーションの目標は、Aさんの意見を踏まえて、チームで検討することが適切です。ただし、この分野の専門家であるリハビリテーションスタッフが積極的に発言することが望まれます。
    4.(○)日常生活への復帰をめざして、リハビリテーションではチームによる全人的アプローチが行われます。各専門分野の視点を生かして意見交換し、患者やその家族の意思を尊重した内容になっているかをチームで評価することが適切です。

    第97問

    Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。 外来の看護師が介護職員から追加で収集するAさんの情報で、最も優先するのはどれか。

    • 1.過去1週間の体温の変動

    • 2.昨日の睡眠状態

    • 3.全身の皮膚状態

    • 4.入所時の体重

    解答・解説

    Aさんは下痢による脱水を起こしており、活気の低下、濃縮尿、皮膚の乾燥、尿比重の上昇などから高張性脱水だと考えられます。
    1.(○)経時的な体温の変動から熱型が把握できるため、アセスメントする上で最も優先される情報です。
    2.(×)睡眠に関するエピソードはみられず、優先度は低いでしょう。
    3.(×)Aさんは寝たきりではなかったため褥瘡リスクは低い上、皮膚の乾燥は受診時に観察されています。全身の皮膚状態は外来で観察可能であり、介護職員から優先的に情報収集する内容とはいえません。
    4.(×)入所時の体重は1年前の数値であり、2日前からの変化に対する情報としては優先度が低くなります。介護職員から情報収集するのであれば、優先されるのは直近の体重です。

    第98問

    Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。 Aさんは入院し、点滴静脈内注射が開始された。Aさんの顔色は良くなり眠っているため、介護職員は施設に戻った。看護師がAさんの様子を確認するため病室へ行くと、目が覚めたAさんは「誰かいないの」と大声を出し、興奮した様子で点滴静脈内注射のラインを外そうとしていた。 看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.睡眠薬を与薬する。

    • 2.入院中であることを伝える。

    • 3.興奮が落ち着くまで身体拘束を行う。

    • 4.息子に退院まで付き添うよう連絡する。

    • 5.点滴静脈内注射のラインを見えないようにする。

    解答・解説

    Aさんは、体調不良や入院による環境変化に伴い、せん妄状態にあると考えられます。
    1.(×)せん妄に対して睡眠薬を投与すると、さらなる意識レベルの低下を招き、せん妄症状を悪化させる可能性があります。医師の指示を待たず看護師の判断で与薬することはできないことからも不適切です。
    2.(○)Aさんは認知症であり、状況認識ができずに混乱をきたしている可能性があります。入院しているという事実を分かりやすく伝え、落ち着かせることが適切です。
    3.(×)安易な身体拘束は避けるべきであり、適切な対応とはいえません。
    4.(×)せん妄は一過性の症状であり、仕事で忙しい息子が無理をして退院まで付き添う必要はありません。
    5.(○)せん妄状態では、点滴静脈内注射のラインが目に入ると自己抜去につながるリスクがあります。ラインを視界に入れないよう配慮することが適切です。

    第99問

    Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症(dementia of Alzheimer type)で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。 身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。 検査所見:Ht 40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na 150mEq/L、尿比重1.030。 入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。 Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。

    • 1.室温は30℃に保つ。

    • 2.8g/日の食塩を摂取する。

    • 3.カフェインを含む水分を摂取する。

    • 4.熱の放散を抑制する衣類を選択する。

    • 5.食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。

    解答・解説

    1.(×)30℃では室温が高すぎて体温が上昇し、脱水を引き起こす可能性があります。
    2.(×)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、成人のナトリウム(食塩相当量)の目標値は、男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満とされています。高血圧症や腎臓障害を伴う場合は6g/日未満が目標値となりますが、いずれにしても8g/日の食塩を摂取するよう指導することは不適切です。
    3.(×)こまめな水分摂取は何よりの脱水予防となります。ただし、カフェインには利尿作用があるため、摂取量には注意が必要です。
    4.(×)熱の放散を抑制する衣類を選択すると、身体に熱がうっ滞して体温が上昇し、脱水を引き起こす可能性があります。通気性の良い衣類を選択するよう指導します。
    5.(○)高齢者に必要な1日の水分量は、体重1kg当たり25~30mLです。Aさんの体重が現在47kgであることから、1,175~1,410mLが適正であり、1,300mL/日の水分を摂取することは適切な脱水予防策となります。

    第100問

    Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息(bronchial asthma)と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。 Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%であった。 Aちゃんの気管支喘息の発作強度はどれか。

    • 1.小発作

    • 2.中発作

    • 3.大発作

    • 4.呼吸不全

    解答・解説

    1.(×)SpO2 96%以上の場合は、小発作の判定基準に該当します。咳嗽、喘鳴、軽度の陥没呼吸などがみられるものの、日常生活に大きな支障はありません。
    2.(○)Sp02 92~96%の場合は、中発作の判定基準に該当します。喘鳴、呼気延長、陥没呼吸、明らかな呼吸困難などがみられ、日常生活に支障をきたします。
    3.(×)SpO2 91%以下の場合は、大発作の判定基準に該当します。肩呼吸、鼻翼呼吸、強度の呼吸困難、途切れがちな会話、チアノーゼ、苦悶様顔貌などがみられます。
    4.(×)SpO2 91%未満の場合は、呼吸不全の判定基準に該当します。著明なチアノーゼ、意識レベルの低下、尿便失禁などがみられ、最悪の場合は呼吸停止のおそれもあります。

    第101問

    Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息(bronchial asthma)と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。 Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。 救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%であったため入院することになった。入院後、鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日、酸素投与は中止された。バイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった」と話し、笑顔が見られるようになった。 この時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか。

    • 1.排痰を促す。

    • 2.胸式呼吸を促す。

    • 3.水分摂取を控える。

    • 4.ベッド上安静とする。

    解答・解説

    Aちゃんのバイタルサインは安定し、笑顔も見られていることから症状の改善が感じられますが、聴診で喘鳴が聴取されており、気道分泌物の貯留が疑われます。
    1.(○)気管支喘息では粘稠性の高い気道分泌物を生じやすいため、気管支拡張薬の吸入を行い、気道閉塞を予防することが適切です。
    2.(×)胸式呼吸ではなく腹式呼吸を促して、呼吸困難を緩和することが適切です。
    3.(×)誤嚥の可能性が高い発作時を除いては、水分摂取を控える必要はありません。水分を摂取することで痰の粘稠性を低下させられるため、少量ずつ積極的に摂取することが推奨されます。
    4.(×)再発作の誘発に留意する必要はありますが、すべての日常生活動作を制限する必要はありません。トイレや洗面などから誘導し、徐々に普段通りの行動へ移行します。

    第102問

    Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息(bronchial asthma)と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。 Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。 救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%であったため入院することになった。 気管支喘息による発作は軽快して点滴静脈内注射が中止された。咳嗽が軽度あるが全身状態は良好であるため、退院が決定した。Aちゃんに学校での生活状況を確認すると「最近、喘息発作はなかったけど、体育の時は咳が出たり苦しくなったりすることが時々あった」と話した。そのため、Aちゃんと母親に、退院後も抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入を続けるように医師から説明された。 看護師のAちゃんに対する退院後の指導で適切なのはどれか。

    • 1.「咳が出なくても体育の授業は見学しましょう」

    • 2.「学校で咳が続くときは先生に伝えましょう」

    • 3.「咳が出なくなったら薬はやめましょう」

    • 4.「部屋の空気の入れ替えはやめましょう」

    解答・解説

    1.(×)体育の授業を見学する必要はなく、できるだけ普段通りの生活をするよう伝えます。ただし、体育の授業中に咳嗽や呼吸苦が出現した場合は、直ちに身体を休めるよう指導します。
    2.(○)学校で咳が続くときは、先生に伝えるよう指導します。特にAちゃんのように幼い子どもは先生への伝え方が分からず我慢してしまうこともあるため、伝え方も含めて指導するとよいでしょう。
    3.(×)抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入は、喘息の長期管理を目的として処方されています。自覚症状がみられなくても、自己判断で中止するよう指導することは不適切です。
    4.(×)アレルゲンはダニとハウスダストであり、部屋の空気は積極的に入れ替えるべきです。

    第103問

    Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15~20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症(intussusception)が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。 浣腸後に想定される反応便はどれか。

    • 1.兎糞便

    • 2.タール便

    • 3.灰白色便

    • 4.米のとぎ汁様便

    • 5.イチゴゼリー様便

    解答・解説

    腸重積は回腸が大腸の中に入り込む病態で、生後半年から2歳までに好発し、男児のほうが女児の2倍の頻度で発生しやすいとされます。
    1.(×)兎糞便は、便秘の際などにみられる乾いた小さな糞便です。
    2.(×)タール便(黒色便)は、胃や十二指腸など上部消化管からの出血を示唆しています。
    3.(×)小児の灰白色便は、先天性胆道閉鎖症でみられます。
    4.(×)米のとぎ汁様便は、ロタウイルスなどの感染性胃腸炎でみられます。
    5.(○)浣腸を行った際、イチゴゼリー状の粘血便がみられることが腸重積症の特徴です。症状としては、元気であった児が突然不機嫌になり、間欠的腹痛のために激しく泣いたり泣きやんだりを繰り返し、哺乳や離乳食を嫌がったり嘔吐したりすることもあります。診断には、超音波検査が有用です。

    第104問

    Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15~20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症(intussusception)が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。 Aちゃんへの腹部超音波検査の結果、腸重積症の診断が確定し、静脈内注射による鎮静下で高圧浣腸が行われることになった。 看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。

    • 1.潤滑ゼリー

    • 2.替えのおむつ

    • 3.ガーグルベースン

    • 4.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニター

    解答・解説

    腸重積は回腸が大腸の中に入り込む病態で、生後半年から2歳までに好発し、男児のほうが女児の2倍の頻度で発生しやすいとされます。腸重積の治療法としての高圧浣腸では、肛門にチューブを設置し、薄めたバリウムや微温生理食塩水を腸に注入して、その圧力で重積した腸を整復します。施術は鎮静下で行われることから、顔色の変化、脈拍や呼吸数などのバイタルサインの変化、全身状態の悪化、ショック症状などに対する注意が必要です。そのため、選択肢の中では、呼吸抑制を早期に発見する目的で、経皮的動脈血酸素飽和度モニターを装着することが最も重要です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第105問

    Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15~20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症(intussusception)が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。 Aちゃんは、高圧浣腸により重積が整復され、経過観察のため入院した。翌朝、経口摂取が可能となり、状態も落ちついているため退院が決定した。保護者から「退院後に何か注意することはありますか」と看護師に質問があった。 保護者への説明で適切なのはどれか。

    • 1.「月1回の受診をしてください」

    • 2.「3日間は入浴を控えてください」

    • 3.「1週間は離乳食を1日1回にしてください」

    • 4.「同じような症状が出たら受診してください」

    解答・解説

    腸重積は回腸が大腸の中に入り込む病態で、生後半年から2歳までに好発し、男児のほうが女児の2倍の頻度で発生しやすいとされます。
    1.(×)腸重積の整復後、定期受診する必要はありません。
    2.(×)特に入浴を制限する必要はありません。
    3.(×)食事の回数を変更することに意味はなく、生後10か月であれば離乳食は1日3回が適切です。
    4.(○)腸重積は、整復後も再発する可能性があります。再発時の症状は初発時と似ているため、同様の症状が出現したときは、すぐに受診するよう説明しておくことが適切です。

  • 第106問

    Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉(gestational diabetes mellitus)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。 児への対応で最も優先するのはどれか。

    • 1.沐浴

    • 2.血糖値の測定

    • 3.経皮的黄疸計での測定

    • 4.ビタミンK2シロップの与薬

    解答・解説

    妊娠糖尿病は、妊娠に伴ってインスリン分泌が不十分になったり、ホルモンの影響でインスリンの作用が現れにくくなったりすることで、血糖コントロール不良に陥る病態です。
    1.(×)呼吸状態が不安定な出生直後に沐浴を優先する必要性はありません。
    2.(○)Aさんは、妊娠糖尿病と診断されています。母体が高血糖となることで、胎盤を通して胎児にも多量の血糖が供給され、それに対応して胎児のインスリン分泌量も過剰となり、新生児低血糖を引き起こす可能性が高い状態です。そのため、血糖値の測定を最も優先すべきと考えられます。
    3.(×)妊娠中から出産後に至るまで黄疸を疑う情報がないことから、経皮的黄疸計での測定は優先度が低いでしょう。
    4.(×)ビタミンK2シロップの与薬は、数回の哺乳を確認した後に行います。

    第107問

    Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉(gestational diabetes mellitus)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。 手術後1日。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、脈拍68/分、血圧124/66mmHgであった。排ガスはあるが、排便はない。Aさんは膀胱留置カテーテルの抜去後、看護師に付き添われ歩いて室内のトイレに行った。排尿後、すぐにベッドに横になった。Aさんは「起き上がってから頭が痛くなりました。めまいやふらつきはありませんでした」と看護師に話す。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられた。後陣痛はない。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

    • 1.手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせる。

    • 2.腹部の冷罨法を行う。

    • 3.床上排泄を促す。

    • 4.水分摂取を促す。

    解答・解説

    1.(×)弾性ストッキングは、術後の肺塞栓症・深部静脈血栓症を予防するために着用しています。頭痛とは関連しないため、不適切な対応です。
    2.(×)腹部の冷罨法は、子宮収縮が不良である場合に実施します。
    3.(×)可能な範囲で早期離床が推奨されることからも、床上排泄という対応をするより、頭痛を根本的に改善して自力でトイレまで行けるようにすることが適切です。
    4.(○)起き上がると増強し、横になると軽減する頭痛は、脊椎麻酔後頭痛であると考えられます。経口水分摂取や補液により、脳脊髄液の増加を図ることで改善が期待できます。また、母乳を産生するためにも水分摂取が欠かせません。

    第108問

    Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉(gestational diabetes mellitus)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。 手術後7日。Aさんの術後の経過は良好である。Aさんの母乳分泌は良好で、母乳で育てていくことを希望している。Aさんは「2年後にもう1人、子どもが欲しいと思っています。避妊をどうしたらいいでしょうか」と話す。 Aさんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。

    • 1.「子宮内避妊器具〈IUD〉は使用できません」

    • 2.「低用量ピルは産後1か月から使用できます」

    • 3.「母乳を与えている間は避妊の必要はありません」

    • 4.「コンドームは性生活を再開するときから使用できます」

    解答・解説

    1.(×)子宮内避妊器具は産後も使用可能であり、子宮の回復を待って産後4~8週以降に装着します。避妊効果が高く、母乳分泌に影響しないことから、産後に推奨される避妊法の一つです。
    2.(×)ピルは母乳分泌を抑制する可能性があり、血栓症のリスクを回避するためにも、産後6か月ごろまでは服用を避ける必要があります。
    3.(×)産後しばらくはプロラクチンの作用で下垂体からのゴナドトロビン分泌が抑えられるため、排卵がストップします。しかし、母乳を与えている間でも、産後3か月ごろを過ぎるとプロラクチン濃度が低下していき、排卵する可能性が高くなるため、避妊の必要があります。
    4.(○)母乳分泌に影響しないコンドームは、子宮内避妊器具やピルが使用できない期間であっても、性生活を再開するときから使用することができます。

    第109問

    Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。 この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.食事介助をする。

    • 2.一緒に院内を散歩する。

    • 3.他の入院患者との交流を促す。

    • 4.日中に臥床しているときは声かけを控える。

    解答・解説

    1.(×)食事の時間に遅れることはあっても、自ら食事が摂れない状態ではないため、食事介助の必要はありません。
    2.(○)一緒に院内を散歩することで、日中の臥床を防ぎ、生活リズムを整えることができます。また、「看護師と会話をするようになった」とあるので、散歩の機会をとらえてコミュニケーションをより深めるアプローチも可能でしょう。
    3.(×)他の入院患者に対する被害妄想があることから、交流を促すのは時期尚早であると考えられます。
    4.(×)生活リズムを整えるためにも、日中に臥床しているときは、積極的に声かけをして離床を促します。

    第110問

    Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。 身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。 検査所見:クレアチンキナーゼ〈CK〉190IU/L〈U/L〉、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。 Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。

    • 1.水中毒(water intoxication)

    • 2.悪性症候群(malignant syndrome)

    • 3.セロトニン症候群(serotonin syndrome)

    • 4.メタボリック症候群(metabolic syndrome)

    解答・解説

    1.(○)水中毒は水分の過剰摂取による中毒症状であり、抗精神病薬投与中の患者で頻発することが知られています。Aさんは、夕方までの11時間で体重が3kgも増加しており、低ナトリウム血症をきたしていること、意識混濁がみられ頭痛や倦怠感を訴えていることなどから、水中毒が考えられます。
    2.(×)悪性症候群は、一部の抗精神病薬の開始や急激な中断により引き起こされ、高熱、意識障害、筋強直などの症状や、クレアチンキナーゼの高度上昇がみられます。
    3.(×)セロトニン症候群は抗うつ薬の副作用であり、発汗、発熱、皮膚紅潮、錯乱、軽躁状態、腱反射亢進などの症状がみられます。
    4.(×)メタボリック症候群は、腹囲、血圧、空腹時血糖、コレステロール値などから診断されます。Aさんは、これらの基準を満たしていません。

    第111問

    Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症(schizophrenia)と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。 入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。 Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。

    • 1.服薬心理教育

    • 2.食事への援助

    • 3.筋力トレーニングの指導

    • 4.アサーティブトレーニングの指導

    解答・解説

    1.(○)統合失調症では、薬物療法で症状をコントロールしながらの長期治療が必要です。服薬心理教育は、患者が抱える疾患の理解に始まり、その疾患に対する薬物の作用や副作用など学ぶことでアドヒアランスを高める教育的関わりであり、Aさんにとって優先度が最も高い支援だといえます。
    2.(×)食事に関する援助が必要となるエピソードはみられません。
    3.(×)「体力が落ちた気がする」という発言があり、薬剤の副作用や入院による運動不足が影響していると考えられますが、Aさんの年代で筋力トレーニングの指導を最優先する必要はありません。
    4.(×)アサーティブトレーニングは退院準備として有効ではありますが、Aさんは看護師に自分の気持ちを伝え、相談することが可能であるため、服薬心理教育よりも優先されることはないと判断できます。

    第112問

    Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。 入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。

    • 1.いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。

    • 2.命を大切にしたほうがよいと伝える。

    • 3.死ぬ気があれば何でもできると話をする。

    • 4.家族が悲しむから死んではいけないと伝える。

    解答・解説

    1.(○)救命処置により自死未遂となったうつ病患者は、再び自死行動を起こす可能性が高い傾向にあります。そのため、Aさんのことを心配している旨を伝えるとともに、自死念慮の有無をはっきりと尋ねることが必要です。
    2.(×)心理的視野狭窄の状態に陥っていると考えられるため、説教めいた言葉は不適切です。
    3.(×)設問の段階では、本人の気持ちを受け止めて聞き役に回ることが大切です。選択肢の内容では、Aさんの精神状態を追い込んでしまう可能性があります。
    4.(×)自死をしないという約束をすることは有効ですが、設問の段階で家族の気持ちにまで配慮することはAさんの負担になる可能性があります。

    第113問

    Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。 入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害(bipolar disorder)と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。 Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。

    • 1.尿検査

    • 2.髄液検査

    • 3.頭部MRI検査

    • 4.薬物血中濃度検査

    解答・解説

    炭酸リチウムは、うつ病や双極性障害などの治療に広く用いられる気分安定薬です。過量投与による中毒症状として、消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)、神経筋症状(運動失調、振戦、筋痙攣など)、意識障害(失見当識、錯乱、眠気など)をきたします。
    1.(×)尿検査は、尿路感染症や糖尿病などが疑われる場合に行います。
    2.(×)髄液検査は、髄膜炎が疑われる場合に行います。
    3.(×)頭部MRI検査は、脳梗塞や脳出血などが疑われる場合に行います。
    4.(○)炭酸リチウムは血中濃度の中毒域と有効域の差が小さいため、定期的なTDM(薬物血中濃度検査、治療薬物モニタリング)を行うことが適切です。

    第114問

    Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病(depression)と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。 入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。 Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。

    • 1.自立訓練

    • 2.就労移行支援

    • 3.就労継続支援

    • 4.精神科デイケア

    解答・解説

    Aさんは職場復帰が視野に入るほど回復しており、障害者総合支援法に基づく福祉サービスを必要とする状態にはありません。
    1.(×)自立訓練では、日常生活に必要な訓練を行います。職場復帰を含めた退院後の生活に対する支援としては、不足する部分が大きいと考えられます。
    2.(×)就労移行支援は、一般企業への就労を希望する対象者に、就労に必要な知識や能力向上のための訓練を行います。
    3.(×)就労継続支援は、一般企業への就労が困難な対象者に、就労の機会を提供するとともに、必要な訓練を行います。
    4.(○)精神科デイケアは、一定期間にわたって日中通所し、社会復帰を目的としてグループ活動などのプログラムに参加するリハビリテーション施設です。Aさんの「段階的に取り組む」という意向に合致し、職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切だと考えられます。

    第115問

    Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 Aさんが利用する在宅サービスで最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.定期巡回・随時対応型訪問介護看護

    • 2.通所リハビリテーション

    • 3.短期入所生活介護

    • 4.療養通所介護

    解答・解説

    1.(×)定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護度が高い場合でも対象となり、必要に応じて1日のうちに複数回の訪問も可能ではありますが、連続した6時間という見守りに対応することは難しいと考えられます。
    2.(×)通所リハビリテーションは、在宅・社会復帰に向けて、より自立した日常生活を送れるよう支援するサービスであり、ALS患者には適していません。
    3.(×)短期入所生活介護は、日常生活の介護や機能訓練を提供するショートステイです。一般的に、療養通所介護の対象者よりも医学的管理を必要としない人が適応となります。
    4.(○)療養通所介護は、ALSなどの難病、末期癌、進行した認知症、脳疾患の後遺症などで手厚い介護を必要とする人が対象となる医療デイサービスです。妻が血液透析を受ける約6時間の不在時に、ALS患者であるAさんが利用するサービスとして、最も優先度が高いと考えられます。ただし、通所に伴う身体的・精神的負担には十分に注意する必要があります。

    第116問

    Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。 この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。

    • 1.「気管内の吸引を行ってください」

    • 2.「回路にゆるみがないか確認してください」

    • 3.「電源プラグが抜けていないか確認してください」

    • 4.「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」

    解答・解説

    1.(×)気管内に痰などが貯留している場合は、高圧アラームが点灯します。また、低圧アラーム点灯時に気管内吸引を行うと、回路内圧の低下を助長する可能性があるため不適切です。
    2.(○)低圧アラームの点灯は、回路内の気圧が設定値以下の状態であることを示唆しています。原因として回路の破損や接続のゆるみなどによる空気漏れ(エアリーク)が考えられるため、回路の確認を指示することが適切です。
    3.(×)電源プラグが抜けている場合は、電源消失を知らせるアラームが点灯します。また、Aさんの呼吸に異常がみられないこととも矛盾します。
    4.(×)ウォータートラップに水が貯留した場合は、高圧アラームが点灯します。なお、ウォータートラップのカップは接続が不十分であっても外観から分かりづらいため、エアリークが生じていないか注意深く確認する必要があります。

    第117問

    Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.予備の電源の選び方

    • 2.福祉避難所への移動手段

    • 3.災害用持ち出し物品の準備

    • 4.足踏み式吸引器の使用方法

    解答・解説

    1.(○)災害時の停電により、人工呼吸器が作動停止する可能性があります。呼吸手段の確保が最優先事項となるため、外部バッテリーや発電機など予備電源の特徴や選び方を指導することが適切です。生命に直結するポイントであるだけに、最も優先度が高くなります。
    2.(×)災害時などに福祉避難所へ避難する対象者であり、移動手段を検討しておくことも大切ですが、予備電源の確保よりも優先度は低いと考えられます。
    3.(×)災害用持ち出し物品の準備も大切ですが、予備電源の確保よりも優先度は低いと考えられます。
    4.(×)停電時の吸引方法を確認しておくことも大切ですが、呼吸手段の確保が優先されます。

    第118問

    Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉I-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。 Aさんの状態で考えられるのはどれか。

    • 1.出血性ショック

    • 2.イレウス

    • 3.低血糖

    • 4.脱水

    解答・解説

    1.(○)吐血や黒色便は、上部消化管出血を示唆します。また、2年前から食後に心窩部痛を感じていたことから、消化性潰瘍が疑われます。血圧低下、脈拍数や呼吸数の増加、皮膚蒼白、冷汗、眼瞼結膜の軽度貧血様症状などから、考えられるのは消化性潰瘍に伴う出血性ショックです。
    2.(×)イレウスでは、腹痛や腹部膨満、嘔吐などの症状がみられます。Aさんの状態には合致しません。
    3.(×)低血糖では、不安、動悸、手指振戦、顔面蒼白、頭痛、思考力低下などの症状がみられ、さらに進行した場合は昏睡や痙攣をきたします。Aさんの状態には合致しません。
    4.(×)脱水では、悪心、めまい、ふらつき、頭痛、意識障害などの症状がみられます。Aさんの状態には合致しません。

    第119問

    Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉I-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。 Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。 Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。

    • 1.自院への入院を調整する。

    • 2.地域包括支援センターに相談する。

    • 3.精神保健福祉センターに相談する。

    • 4.特別養護老人ホームに入所相談する。

    解答・解説

    1.(×)介護が必要な状態ではありますが、医療的介入の必要はないため、救急病院への入院を調整することは不適切です。
    2.(○)地域包括支援センターは、地域での高齢者の暮らしをサポートする拠点として設置されています。要介護認定を受けているAさんの父親が介護保険サービスを利用して住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、包括的・継続的な支援を行うことができる適切な施設です。なお、地域包括支援センターは、要支援認定を受けた人の介護予防マネジメントを提供する介護予防支援事業所の機能も併せ持っています。
    3.(×)精神保健福祉センターでも認知症高齢者に対する精神医学的問題や在宅看護に関する相談を行うことはできますが、父親の介護に関する相談窓口としては適していません。
    4.(×)要介護3~5の認定を受けていれば特別養護老人ホームへの入所基準を満たしますが、多くの待機者が控えているのが実情で、即座に対応することは難しいと考えられます。

    第120問

    Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉I-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。 Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌(scirrhous gastric carcinoma)でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、Aさんは外来看護師に「ずいぶん腰痛と腹痛がひどく、腹水が溜まって動くのも大変になってきました。最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。 Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。

    • 1.「法律で定められた文書です」

    • 2.「父親のグリーフケアに必要な書類です」

    • 3.「Aさんの自由意思で作成することができます」

    • 4.「一度作成すると内容を変更することはできません」

    解答・解説

    リビングウィルとは、終末期における患者自身の医療に関する事前意思表示(指示書)です。
    1.(×)日本において、現段階ではリビングウィルの法的効力は認められていません。
    2.(×)グリーフケアとは、遺族の悲嘆の日々に寄り添って回復のサポートをする取り組みであり、リビングウィルが前提となるわけではありません。
    3.(○)リビングウィルは、本人の自由意志で作成することができます。また、作成後に撤回することも本人の自由です。
    4.(×)本人の希望により、作成した内容を変更することができます。

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