2017年度(第107回) 看護師国家試験 過去問・解答 午前 | 看護師の求人・転職情報はマイナビ看護師

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2017年度(第107回)
看護師国家試験 過去問・解答 午前

午前

  • 第1問

    平均寿命で正しいのはどれか。

    • 1.0歳の平均余命である。

    • 2.20歳の平均余命である。

    • 3.60歳の平均余命である。

    • 4.死亡者の平均余命である。

    解答・解説

    ある年のある年齢の人たちの死亡の状況が今後変化しないと仮定して、各年齢の人が平均してあと何年生きられるかを算出したものが平均余命です。そのうち、0歳の平均余命を平均寿命と呼びます。平成28年(2016年)の日本人の平均寿命は、男性が80.98年、女性が87.14年です。なお、同年における世界の平均寿命(男女計)は72.18歳です。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第2問

    平成27年(2015年)の病院報告による一般病床の平均在院日数はどれか。

    • 1.6.5日

    • 2.16.5日

    • 3.26.5日

    • 4.36.5日

    解答・解説

    医療費削減の要請もあり、平均在院日数は短縮化傾向にあります。平成27年(2015年)の病院報告による平均在院日数は29.1日で、前年に比べて0.8日短くなっています。病床の種類別にみると、精神病床は274.7日で前年に比べて6.5日短く、療養病床は158.2日で前年に比べて6.4日短く、一般病床は16.5日で前年に比べて0.3日短くなっています。一方、介護療養病床は315.8日で前年に比べて0.3日長くなっています。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。

    第3問

    シックハウス症候群(sick house syndrome)に関係する物質はどれか。

    • 1.アスベスト

    • 2.ダイオキシン類

    • 3.放射性セシウム

    • 4.ホルムアルデヒド

    解答・解説

    シックハウス症候群は、建材や調度品などから発生する化学物質やカビ、ダニなどによる室内空気汚染によって引き起こされる健康障害です。建材などに含まれ室内で検出される化学物質のうち、健康への影響が最も大きいのは、発癌性が指摘されているホルムアルデヒドです。ほかに、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルピリホスなども問題となります。現在は、建築基準法の改正により、ホルムアルデヒドを含む建築材料は使用禁止または使用する面積が制限されています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第4問

    介護保険法に基づき設置されるのはどれか。

    • 1.老人福祉センター

    • 2.精神保健福祉センター

    • 3.地域包括支援センター

    • 4.都道府県福祉人材センター

    解答・解説

    1.(×)老人福祉センターは、地域の高齢者に対して健康の増進、教養の向上、レクリエーションなどの便宜を総合的に供与する利用施設です。老人福祉法に基づき設置されています。
    2.(×)精神保健福祉センターは、精神保健や精神障害者の福祉に関する知識の普及、調査研究、相談・指導を担う施設です。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に基づき設置されています。
    3.(○)地域包括支援センターは、地域の高齢者に対する総合的な相談対応や介護予防の中核拠点です。介護保険法に基づき設置されています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されています。
    4.(×)都道府県福祉人材センターは、福祉・介護分野での就労を希望する人材に対して無料職業紹介を行っています。社会福祉法に基づき設置されています。

    第5問

    QOLを評価する項目で最も重要なのはどれか。

    • 1.高度医療の受療

    • 2.本人の満足感

    • 3.乳児死亡率

    • 4.生存期間

    解答・解説

    QOL(quality of life)は「生活の質」「生命の質」と訳され、「人間らしく自分らしい生活を送れているか」「生きることに楽しみや喜びを感じられているか」という観点からの人生や生活の質を意味します。
    1.(×)高度医療の受療では、治療効果が期待できる一方、副作用などの影響で自分らしい生活が難しくなるおそれもあります。自分のニーズに合わせた医療の選択がQOL向上につながります。
    2.(○)QOLについては、本人の主観的評価が大切です。自身が望む生活に近づけているかどうか、本人の満足感が最も重要です。逆に言えば、他者が「本人のQOL向上のため」とお仕着せの治療やケアをすることには慎重になる必要があります。
    3.(×)乳児死亡率は、QOLに関わる主観的な評価ではありません。
    4.(×)生存期間の維持・延長を目的とした医療を受けないことが本人のQOLの維持・向上につながることも考えられるため、最も重要とはいえません。

    第6問

    原始反射はどれか。

    • 1.手掌把握反射

    • 2.視性立ち直り反射

    • 3.パラシュート反射

    • 4.Landau〈ランドー〉反射

    解答・解説

    脊髄や脳幹の反射中枢に由来する原始反射は、胎生5~6カ月より発達し、中脳や大脳皮質などの発達に従って生後2~4カ月で消失し始めます。
    1.(○)手掌把握反射は、手掌に物が触れると反射的に握ろうとする原始反射です。脊髄レベルの反射で、生後3カ月頃には消失し始め、遅くとも5~6カ月には消失します。なお、足底でも把握反射が起こります。
    2.(×)視性立ち直り反射は中脳レベルの反射で、児を座らせて左右に傾けると頭を垂直にしようとします。生後3~4カ月から出現し、生涯継続されます。
    3.(×)パラシュート反射は大脳皮質レベルの姿勢反射の一つで、防御的に四肢を伸展して頭部を保護したり支持したりして姿勢を安定させようとします。生後6カ月頃から出現し、生涯継続されます。
    4.(×)ランドー反射は中脳レベルの姿勢反射で、腹臥位にして胸部を支え水平にすると、頭を上げて体幹を真っすぐにし、さらに下肢を伸展します。生後6カ月頃から出現し、2歳半頃まで持続します。

    第7問

    思春期にみられる感情の特徴はどれか。

    • 1.情緒的に安定し穏やかになる。

    • 2.思い通りにならないと泣き叫ぶ。

    • 3.親に対して強い愛情表現を示す。

    • 4.依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情をもつ。

    解答・解説

    1.(×)思春期においては、様々な刺激に対する反応をコントロールする方法に習熟しておらず、情緒的に不安定になり、問題行動を起こしやすくなります。
    2.(×)幼児期における特徴です。自我が目覚めて自己主張が強くなり、自分の思い通りにいかないと「いや」と拒絶したり泣き叫んだりします。
    3.(×)乳児期における特徴です。生後6~7カ月頃に親と見知らぬ人との区別ができるようになり、親の姿を探したり、笑いかけたり、喃語を話したりと、愛着行動がみられるようになります。
    4.(○)両価性とは、例えば些細なことで母親を罵るなど反抗的な態度だった子どもが、ほんの数分後には甘えた仕草を見せるといった、一見矛盾した態度のことです。依存と独立との間の揺れを、社会的生活に支障のない範囲にとどめるような周囲のサポートが望まれます。

    第8問

    老年期の身体的な特徴はどれか。

    • 1.総水分量が増加する。

    • 2.胸腺の重量が増加する。

    • 3.嗅覚の閾値が低下する。

    • 4.高音域における聴力が低下する。

    解答・解説

    1.(×)老年期では、全身の細胞に含まれる体液(細胞内液)が少なくなる一方で、糸球体濾過量の減少や尿濃縮力の低下などにより水分喪失量が多くなるため、体内の総水分量は減少します。
    2.(×)胸腺は加齢につれて衰えていくため、老年期では重量が減少します
    3.(×)加齢に伴い嗅細胞が減少するため、嗅覚の閾値は上昇します(嗅覚の鋭敏性が低下)。
    4.(○)加齢に伴い蝸牛の有毛細胞(音の振動を電気信号に変えて脳に伝える)が減少するため、特に高音域における聴力が低下します。

    第9問

    一般病床の看護職員の配置基準は、入院患者【 】人に対して看護師及び准看護師1人と法令で定められている。 【 】に入るのはどれか。

    • 1.2

    • 2.3

    • 3.4

    • 4.6

    解答・解説

    適正な医療を実施するためには一定水準以上の人員を確保する必要があることから、医療法では、病院および療養病床を有する診療所において配置すべき人員の標準が示されています。一般病院における一般病床(精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床)の看護職員(看護師および准看護師)の配置基準は3:1(患者3人に対して1人)と定められています。なお、ここでいう配置基準は雇用する人数の話であり、診療報酬の入院基本料に係る看護師配置基準とは異なります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。

    第10問

    嚥下に関わる脳神経はどれか。

    • 1.嗅神経

    • 2.外転神経

    • 3.滑車神経

    • 4.迷走神経

    解答・解説

    1.(×)嗅神経は第1脳神経であり、嗅覚に関わる神経です。
    2.(×)外転神経は第6脳神経であり、眼球を外転させる外直筋を支配します。
    3.(×)滑車神経は第4脳神経であり、眼筋の一つである上斜筋を支配します。
    4.(○)迷走神経は第10脳神経であり、延髄から出て各臓器に広く分布します。腹部まで達する唯一の脳神経です。頸部においては、喉頭筋を動かして行う発声運動と咽頭筋を収縮させて行う嚥下運動に関与しています。ほかに、舌咽神経も嚥下に関わっています。

    第11問

    肝臓の機能で正しいのはどれか。

    • 1.胆汁の貯蔵

    • 2.脂肪の吸収

    • 3.ホルモンの代謝

    • 4.血漿蛋白質の分解

    解答・解説

    1.(×)胆汁は肝臓で産生され、胆嚢で貯蔵され、十二指腸へ送り出されます。
    2.(×)脂肪はリンパ管から吸収されます。
    3.(○)肝臓は過剰なホルモンを代謝する一方、不足しているホルモンの分泌を促し、体内で適切なホルモン濃度が維持されるように調節しています。肝臓のホルモン代謝機能が衰えると、例えば肝硬変で女性化乳房が現れるように、ホルモンのバランスが崩れて様々な問題が起こります。
    4.(×)肝臓では、ほとんどすべての血漿蛋白質が合成されています。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」と発表しました。

    第12問

    頻回の嘔吐で生じやすいのはどれか。

    • 1.血 尿

    • 2.低体温

    • 3.体重増加

    • 4.アルカローシス

    解答・解説

    頻回の嘔吐により体内から胃酸が失われると、血漿pHがアルカリ性に傾き、アルカローシス(代謝性アルカローシス)となります。また、過呼吸により多量の二酸化炭素が血流から放出されることでもアルカローシスとなり、これを呼吸性アルカローシスと呼びます。いずれのアルカローシスでも、筋肉の引きつりやけいれん、指先のチクチクした痛みなどの症状をきたします。アルカローシスの診断は血液検査により行われ、代謝性アルカローシスの場合、水と電解質を補充するとともに、原因疾患を是正することで治療します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第13問

    関節や神経叢の周辺に限局して起こる感覚障害の原因はどれか。

    • 1.脊髄障害

    • 2.物理的圧迫

    • 3.脳血管障害

    • 4.糖尿病の合併症(diabetes mellitus)

    解答・解説

    1.(×)脊髄障害では、障害された脊髄神経が支配する領域、およびそれ以下の領域において感覚障害をきたします。完全麻痺の場合は、下肢の運動・知覚がまったく失われます。
    2.(○)末梢神経が物理的圧迫を受けたとき、その神経が支配する範囲において感覚障害をきたします。
    3.(×)脳血管障害では、障害を起こした脳とは反対側の半身に感覚障害をきたします。
    4.(×)糖尿の合併症である糖尿病神経障害では、手足の痛みやしびれが左右対称に現れます

    第14問

    良性腫瘍と比較して悪性腫瘍でみられる特徴はどれか。

    • 1.被膜がある。

    • 2.遠隔転移する。

    • 3.周囲組織に浸潤しない。

    • 4.増殖速度が緩やかである。

    解答・解説

    悪性腫瘍の特徴として、本問で問われているもののほか、悪液質(他の正常組織が摂取しようとする栄養を奪うため、身体を衰弱させる)についても押さえておきましょう。。
    1.(×)悪性腫瘍は被膜を持たず、周辺組織との境界が不明瞭になります。
    2.(○)悪性腫瘍は、血行性・リンパ行性・播種性に、原発巣より離れた遠隔部位に転移します。
    3.(×)悪性腫瘍は、原発巣の周辺組織に浸潤しながら広がっていきます。
    4.(×)悪性腫瘍は、良性腫瘍に比べて発育のスピードが速いことが特徴の一つです。

    第15問

    肝障害の指標となる血液生化学検査の項目はどれか。

    • 1.CRP

    • 2.尿素窒素

    • 3.アミラーゼ

    • 4.ALT〈GPT〉

    解答・解説

    1.(×)CRP(C反応性蛋白)は、組織が炎症を起こしたり一部破壊されたりしたとき血中で急激に増加する蛋白質であり、急性炎症のマーカーとなります。
    2.(×)尿素窒素は血中尿素に含まれる窒素成分で、主に腎機能障害の有無や程度を反映します。
    3.(×)アミラーゼは膵臓などから分泌される消化酵素で、膵機能障害の有無や程度を反映します。
    4.(○)ALT〈GPT〉は肝細胞に含まれる酵素で、肝細胞が障害されると血中に放出され、数値が上昇します。同じ肝逸脱酵素のAST〈GOT〉は、肝臓だけでなく心筋や骨格筋、赤血球などにも存在するため、ALTのほうが肝障害に対する特異性が高いといえます。

  • 第16問

    排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。

    • 1.バリウム

    • 2.ヒマシ油

    • 3.グリセリン

    • 4.エタノール

    解答・解説

    1.(×)硫酸バリウムはX線をよく吸収する性質があるため、消化管造影における造影剤として使われます。
    2.(×)ヒマシ油はトウゴマの種子から抽出される植物油で、医療においては小腸刺激作用を期待して便秘症に対して用いられます。
    3.(○)グリセリンは、無色透明のシロップ状の液体です。腸管壁から水を吸引し、腸管を刺激して蠕動を亢進させることで排便を促す作用があるため、浣腸液として用いられます。また、保湿剤や潤滑剤、食品用の増粘剤などの用途もあります。
    4.(×)エタノールは、手指や手術部位の皮膚、医療機器などの消毒に用いられます。

    第17問

    他の医薬品と区別して貯蔵し、鍵をかけた堅固な設備内に保管することが法律で定められているのはどれか。

    • 1.ヘパリン

    • 2.インスリン

    • 3.リドカイン

    • 4.フェンタニル

    解答・解説

    フェンタニルはWHO方式三段階除痛ラダーの第三段階で使われる強オピオイドであり、麻薬に指定されています。「麻薬及び向精神薬取締法」において、麻薬の保管は、麻薬以外の医薬品と区別した上で、鍵をかけた堅固な設備内に貯蔵して行わなければならない旨が定められています(第34条)。保管庫は固定してあるか、容易に移動できない重量のものとしなければなりません。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第18問

    面接時の質問方法でopen-ended question〈開かれた質問〉はどれか。

    • 1.「頭痛はありますか」

    • 2.「昨晩は眠れましたか」

    • 3.「朝食は何を食べましたか」

    • 4.「退院後はどのように過ごしたいですか」

    解答・解説

    「心配なことは何ですか」のように、制約を設けず相手に自由に答えさせる質問形式をopen-ended question(開かれた質問)と呼びます。相手から多くの情報を引き出したい場面や、話を広げて相手のことや状況を理解し、関係性を構築したい場面などで有効です。一方、「心配なことがありますか」のように、「はい/いいえ」や「AかBか」の択一で答えられる質問は、closed question(閉ざされた質問)です。回答範囲を限定した質問形式であり、知りたい情報が明確な場合に有効です。これらの質問形式を駆使することで、効果的なコミュニケーション、情報収集が可能になります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第19問

    異常な呼吸音のうち高調性連続性副雑音はどれか。

    • 1.笛のような音〈笛音〉

    • 2.いびきのような音〈類鼾音〉(るいかんおん)

    • 3.耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉

    • 4.ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉

    解答・解説

    1.(○)笛音(wheezes)は、喘息などにより気道狭窄をきたした状態の呼気時に聴取される、ピーピー、ヒューヒューという高調性連続性副雑音です。
    2.(×)類鼾音(rhonchi)は、分泌物などにより気道狭窄をきたした状態の呼気時に聴取される、グーグー、ボーボーという低調性連続性副雑音です。
    3.(×)捻髪音(fine crackles)は、間質性肺炎の吸気時に聴取される、チリチリ、パチパチという断続性副雑音です。
    4.(×)水泡音(coarse crackles)は、肺炎や心不全などの吸気時に聴取される、ブクブク、ブツブツという断続性副雑音です。

    第20問

    患者をベッドから車椅子へ移乗介助するときの車椅子の配置を図に示す。 左片麻痺のある患者の介助で最も適切なのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    1.(×)車椅子はベッドに対して30度ほどの角度に置きます。
    2.(×)左片麻痺のある患者なので、車椅子を患側に置くと移乗できません。
    3.(○)車椅子をベッドに対して約30度、患者の健側に置いてあり、最も適切です。健側の手(右手)で車椅子につかまって立ち上がりやすい配置です。
    4.(×)車椅子を患者の正面に置くと移乗しづらく、患者から見て健側の斜め前方に置くことが適切です。

    第21問

    経腸栄養剤の副作用(有害事象)はどれか。

    • 1.咳 嗽

    • 2.脱 毛

    • 3.下 痢

    • 4.血 尿

    解答・解説

    経腸栄養剤は血漿浸透圧に比べて高浸透圧であるため、腸管内に水分を引き込み、下痢を引き起こしやすくなります。また、経腸栄養剤の投与方法としてボーラス法、間歇法、持続法がありますが、投与速度が速いほど下痢を引き起こしやすくなることにも注意が必要です。なお、経腸栄養剤は細菌にとっても栄養となり増殖を引き起こしやすいため、作り置きはせず、開封・溶解後は速やかに投与するようにしましょう。細菌に汚染された経腸栄養剤を投与した場合は、下痢のほか、腹痛や嘔吐を招くこともあります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第22問

    静脈内注射を行う際に、必ず希釈して用いる注射液はどれか。

    • 1.5%ブドウ糖

    • 2.15%塩化カリウム

    • 3.0.9%塩化ナトリウム

    • 4.7%炭酸水素ナトリウム

    解答・解説

    1.(×)5%ブドウ糖は、体液とほぼ等張です。
    2.(○)塩化カリウム注射液はカリウム補給のためによく使われますが、希釈せずに急速静注したことによる死亡例が発生しています。高カリウム血症から重篤な不整脈をきたし、心停止に至るおそれがあるため、投与時はカリウム濃度40mEq/L以下に希釈します。投与速度は1分間8mLを超えない速度とし、1日投与量はカリウムとして100mEq/Lを超えないように注意します。
    3.(×)0.9%塩化ナトリウムは、体液とほぼ等張です。
    4.(×)7%炭酸水素ナトリウムは、希釈せずにアシドーシスの治療などに用いられます。

    第23問

    充塡された酸素ボンベの保管方法で正しいのはどれか。

    • 1.横に倒して保管する。

    • 2.保管場所は火気厳禁とする。

    • 3.バルブを開放して保管する。

    • 4.日当たりの良い場所で保管する。

    解答・解説

    1.(×)酸素ボンベを横に倒して保管すると、転がったりバルブが折れたりするおそれがあり危険です。
    2.(○)酸素は燃焼を助ける性質(助燃性)が高いガスであり、周囲2メートル以内で火気を扱うことは厳禁です。火気を近付けるとチューブや衣服などに引火し、重度の火傷や住宅の火災の原因となります。
    3.(×)高圧ガスの放散を避けるため、バルブを閉めて保管します。
    4.(×)高温になるとボンベ内圧が上昇して爆発するおそれがあるため、高温にならない風通しのある環境で保管します。

    第24問

    褥瘡発生の予測に用いるのはどれか。

    • 1.ブリストルスケール

    • 2.Borg〈ボルグ〉スケール

    • 3.Braden〈ブレーデン〉スケール

    • 4.グラスゴー・コーマ・スケール

    解答・解説

    1.(×)ブリストルスケールは、便の視覚的な性状を硬さに応じて分類したスケールです。イギリスのブリストル病院で開発されました。
    2.(×)ボルグスケールは、労作時の自覚的な呼吸困難の程度を指標化したものです。スウェーデンのGunnar Borgが開発しました。
    3.(○)ブレーデンスケールは、褥瘡発生リスクをアセスメントする指標です。6項目の合計点が低いほど、褥瘡発生リスクが高いと判断します。アメリカのBarbara Bradenらが開発しました。
    4.(×)グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は、意識障害の状態を評価する指標です。イギリスのグラスゴー大学で開発されました。

    第25問

    平成26年(2014年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高い年齢階級はどれか。

    • 1.30~39歳

    • 2.40~49歳

    • 3.50~59歳

    • 4.60~69歳

    • 5.70歳以上

    解答・解説

    平成26年(2014年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある者の割合は男性31.2%、女性25.1%であり、直近10年間で大きな変化はみられません。年齢階級別では、運動習慣のある者の割合が最も高いのは男女とも70歳以上(男性42.6%、女性36.3%)でした。一方、この割合が最も低い年齢階級は、男性では30~39歳(13.1%)、女性では20~29歳(10.1%)でした。なお、本調査において「運動習慣のある者」とは、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者を指します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第26問

    健常な成人の血液中にみられる細胞のうち、核が無いのはどれか。

    • 1.単球

    • 2.好中球

    • 3.赤血球

    • 4.リンパ球

    解答・解説

    1.(×)単球は白血球の一種で、1個の核を持ちます。血管外に出て組織内に入るとマクロファージや樹状細胞に分化します。
    2.(×)好中球の桿状核球が成熟すると、核が分かれて分葉核球になります。
    3.(○)赤血球は、骨髄での成熟過程(赤芽球→網赤血球→赤血球)で核がなくなるため、核を持たない細胞です。
    4.(×)リンパ球は白血球の一種で、1個の核を持ちます。

    第27問

    自発呼吸時の胸腔内圧を示す曲線はどれか。

    • 1.1

    • 2.2

    • 3.3

    • 4.4

    解答・解説

    胸腔内圧は陰圧(大気圧より圧力が低い状態)に保たれています。吸息相では、胸郭が上がり横隔膜が下がって胸腔が広がり、胸腔内圧はより陰圧となります。呼息相では、胸郭が下がり横隔膜が上がって胸腔が元の状態に戻り、胸腔内圧は平常の陰圧となります(仮に陽圧になると、肺がつぶれてしまう)。この変化を表している曲線は選択肢4のみです。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第28問

    急性大動脈解離(acute aortic dissection)について正しいのはどれか。

    • 1.大動脈壁の外膜が解離する。

    • 2.診断には造影剤を用いないCT検査を行う。

    • 3.Stanford〈スタンフォード〉分類B型では緊急手術を要する。

    • 4.若年者ではMarfan〈マルファン〉症候群(Marfan syndrome)の患者にみられることが多い。

    解答・解説

    1.(×)大動脈解離は「大動脈壁が中膜のレベルで二層に剥離し,動脈走行に沿ってある長さを持ち二腔になった状態」と定義されています。大動脈壁の外壁の解離ではありません。
    2.(×)基本的には、造影剤を用いたCT検査を行います。しかし、腎機能障害や妊娠中など造影剤が使用できない場合は、エコー検査など別の方法を検討します。
    3.(×)Stanford〈スタンフォード〉分類B型は、下行大動脈のみの大動脈解離です(A型は上行大動脈の解離)。一般的には手術をせずに降圧安静療法が第一選択となります。
    4.(○)Marfan〈マルファン〉症候群は常染色体優性遺伝疾患で、全身の結合組織が脆弱になるため、大動脈瘤や大動脈解離をきたすことがあります。若年発症の急性大動脈解離では、マルファン症候群などの先天性疾患が関与することが多いとされています。

    第29問

    平成24年度(2012年度)における社会保障給付費の内訳で多い順に並んでいるのはどれか。

    • 1.年 金 > 医 療 > 福祉その他

    • 2.年 金 > 福祉その他 > 医 療

    • 3.医 療 > 年 金 > 福祉その他

    • 4.医 療 > 福祉その他 > 年 金

    解答・解説

    国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、平成24年度(2012年度)における社会保障給付費(総額108兆5,568億円)は、「医療」が34兆6,230億円(31.9%)、「年金」が53兆9,861億円(49.7%)、「福祉その他」が19兆9,476億円(18.4%)となっています。「福祉その他」のうち、「介護対策」が8兆3,965億円(7.7%)を占めています。これらの額は年々上昇しており、医療費等の「適正化」を進める流れが強まっています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第30問

    法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.児童福祉法―受胎調節の実地指導

    • 2.地域保健法―市町村保健センターの設置

    • 3.健康増進法―医療安全支援センターの設置

    • 4.学校保健安全法―特定給食施設における栄養管理

    解答・解説

    1.(×)受胎調節の実地指導については、母体保護法に規定されています。
    2.(○)市町村保健センターは、地域保健法に基づき、地域住民に対する健康診断、保健指導、健康診査その他地域活動に関して必要な事業を行うために設置された施設です。
    3.(×)医療安全支援センターの設置については、医療法に規定されています。同センターは、地域住民の医療に関する相談や苦情へ対応するとともに、医療機関などに対して医療安全に関する助言や情報提供などを行っています。
    4.(×)特定給食施設における栄養管理については、健康増進法に規定されています。特定給食施設とは、特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち、栄養管理が必要なものとして定められたものです。

  • 第31問

    排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。 この患者の看護で適切なのはどれか。

    • 1.おむつの使用

    • 2.夜間の尿器の使用

    • 3.就寝前の水分摂取の制限

    • 4.膀胱留置カテーテルの挿入

    解答・解説

    1.(×)排尿機能に問題なく、排泄行動も自立しているので、おむつの必要性はありません。必要がないのにおむつを強いると、自尊感情を傷付ける可能性が高いと考えられます。
    2.(○)夜間に何度もトイレまで歩くことに疲労を感じているので、ベッドサイドでの排尿を可能にして、移動に伴う負担を減らすことを最優先にします。
    3.(×)水分摂取を制限すると脱水のリスクが高まるので、就寝前に限ったとしても不適切です。
    4.(×)排尿機能に問題なく、排泄行動も自立しているので、膀胱留置カテーテルの挿入の必要性はありません。

    第32問

    良質の医療を受ける権利を宣言しているのはどれか。

    • 1.リスボン宣言

    • 2.ヘルシンキ宣言

    • 3.ジュネーブ宣言

    • 4.ニュルンベルク綱領

    解答・解説

    1.(○)リスボン宣言は、1981年に世界医師会総会(ポルトガルのリスボン開催)で採択されたもので、良質の医療を受ける権利、選択の自由の権利、自己決定の権利など、患者が当然に持つべき諸権利の内容を宣言しています。
    2.(×)ヘルシンキ宣言は、1964年に世界医師会総会(フィンランドのヘルシンキ開催)で採択されたもので、人間を対象とする医学研究の倫理的原則が謳われています。
    3.(×)ジュネーブ宣言は、1948年に世界医師会総会(スイスのジュネーブ開催)で採択されたもので、医師の職業倫理を宣言しています。
    4.(×)ニュルンベルク綱領は、1947年に裁判結果として提示されたもので、研究目的の医療行為において厳守すべき10項目の基本原則が含まれています。

    第33問

    看護における問題解決過程で誤っているのはどれか。

    • 1.多面的な情報を分析する。

    • 2.看護問題の優先順位は変化する。

    • 3.家族を含めた看護計画を立てる。

    • 4.看護問題は疾患によって確定される。

    解答・解説

    1.(×)問題解決過程では、患者本人による主観的情報や検査などから得られた客観的情報など、多面的な情報を収集して分析します。
    2.(×)看護問題の優先順位は、患者の病状などに応じて変化します。
    3.(×)看護計画は、患者本人だけでなく、その家族のことも考慮して立案します。関係者が問題点や目標を共有することで、それぞれの役割を果たしながら主体的に医療に参加できるようになります。
    4.(○)看護問題は、疾患そのものによって確定されるのではなく、疾患によって引き起こされる身体的・心理的・社会的な問題について、看護師が介入して解決する必要があるかどうかという観点で設定されます。「疾患によって確定される」という誤解の下、画一的な対応にならないよう注意が必要です。

    第34問

    検査に用いる器具を別に示す。 Weber〈ウェーバー〉試験に用いるのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    Weber〈ウェーバー〉試験は、ドイツの生理学者エルンスト・ヴェーバーが開発した、音叉を使った聴力検査法です。振動させた音叉を被験者の頭頂部中央に当て、音の聴こえ方の左右差を調べます。伝音性難聴があれば患側が大きく聴こえ、感音性難聴があれば健側が大きく聴こえます。なお、各選択肢の器具は、1が音叉、2が打腱器、3が眼底鏡、4がルーレット知覚計です。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第35問

    患者と看護師が面談をする際、両者の信頼関係を構築するための看護師の行動で最も適切なのはどれか。

    • 1.患者の正面に座る。

    • 2.メモを取ることに集中する。

    • 3.患者と視線の高さを合わせる。

    • 4.事前に用意した文章を読み上げる。

    解答・解説

    1.(×)患者の正面に座ることは、ともすれば対立的な関係を思わせる構図となり、緊張感を与えるおそれがあります。
    2.(×)メモを取ることに集中すると、患者に「自分に対して向き合っていない」という印象を与えるおそれがあります。
    3.(○)患者と視線の高さを合わせることは、「対等の立場で傾聴する」という姿勢を表現することになり、信頼関係の構築につながります。患者を見下ろすような位置関係にならないよう注意が必要です。
    4.(×)事前に用意した文書を読み上げることは、双方向のコミュニケーションを放棄した姿勢ともいえ、信頼関係の構築につながりません。

    第36問

    成人に経鼻経管栄養法を行う際の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。

    • 1.体位は仰臥位とする。

    • 2.管が咽頭に達したら頸部を後屈する。

    • 3.咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する。

    • 4.嚥下運動よりも速い速度で挿入する。

    解答・解説

    1.(×)挿入時は嘔吐反射を誘発しやすく、胃内容物の嘔吐による誤嚥を防ぐため、座位または半座位とします。
    2.(×)咽頭を越えた後は、頸部を軽度前屈させることで胃管が奥へ入りやすくなります。頸部を後屈させると、誤挿入のリスクが高まります。
    3.(○)咳嗽が生じた場合は気管への誤挿入の可能性があるため、直ちに抜去します。気道に誤挿入したまま注入すると、肺炎や肺の穿孔を引き起こし、患者が死亡するケースもあります。
    4.(×)挿入時の抵抗を抑えて苦痛を和らげるため、患者の嚥下運動に合わせて挿入します。

    第37問

    ボディメカニクスを活用して、看護師が患者を仰臥位から側臥位に体位変換する方法で正しいのはどれか。

    • 1.患者の支持基底面を狭くする。

    • 2.患者の重心を看護師から離す。

    • 3.患者の膝を伸展したままにする。

    • 4.患者の体幹を肩から回転させる。

    解答・解説

    1.(○)上肢を胸の前で組み、下肢を屈曲させて支持基底面を狭くすることで、患者の身体が不安定になり(=動かしやすくなり)、より小さな力で体位変換を行うことができます。
    2.(×)重心線が支持基底面の内側、中心点に近付くほどバランスが安定するため、重心は看護師と離さないようにします。
    3.(×)支点から力点までの距離が長いほど作用する力が大きくなるため、膝を伸展したままで体位変換を行います。
    4.(×)患者を仰臥位から側臥位へ体位変換するとき、体幹を肩から回転させるのは不自然な動きであり、患者に負担をかけてしまいます。

    第38問

    入浴の際に血圧が低下しやすい状況はどれか。

    • 1.浴槽に入る前に湯を身体にかけたとき

    • 2.浴槽の湯に肩まで浸かったとき

    • 3.浴槽から出たとき

    • 4.浴室から脱衣所に移動したとき

    解答・解説

    1.(×)かけ湯は血圧上昇を招きますが、浴槽に入る前の「慣らし」として必要です。
    2.(×)浴槽の湯に肩まで浸かると、高い温度による血圧上昇に加え、水の圧力で静脈還流が増えることから血圧上昇につながります。
    3.(○)浴槽から出たときは浴槽の湯に肩まで浸かったときと逆で、水圧から解放されて静脈還流が減り、血圧が低下します。入浴介助の際は、転倒に対して最大限の注意を払う必要があります。
    4.(×)浴室から脱衣所へ移動すると、急激な温度変化で末梢血管が収縮し、血圧が上昇します。

    第39問

    輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用(有害事象)はどれか。

    • 1.溶血性反応

    • 2.末梢血管収縮反応

    • 3.アナフィラキシー反応

    • 4.輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉(post-transfusion graft-versus-host disease)

    解答・解説

    1.(×)溶血性反応は、ABO型不適合輸液を主な原因として、輸血後24時間以内に急性に生じます。ただし、輸血後24時間以降に生じる遅発性の溶血性反応もあり、こちらは2度目以降の輸血で感作され増加したIgG同種抗体が原因となります。
    2.(×)輸血直後から生じます。
    3.(×)輸血直後から生じます。
    4.(○)輸血後移植片対宿主病は、輸血用血液製剤中の供血者リンパ球が患者の体組織を攻撃・傷害することで起こります。輸血後1~2週間で発症します。最悪の場合、多臓器不全から死に至るケースもあります。

    第40問

    上部消化管内視鏡検査について適切なのはどれか。

    • 1.2時間前から絶飲食とする。

    • 2.前投薬には筋弛緩薬を用いる。

    • 3.体位は左側臥位とする。

    • 4.終了直後から飲食は可能である。

    解答・解説

    1.(×)胃内容物を残さないようにするため、検査前日の夕食後から絶飲食とします。
    2.(×)検査の妨げとなる食道や胃の蠕動運動を抑えるため、前投薬としてブチルスコポラミンなどの鎮痙薬を用います。また、胃内有泡性粘液を除去するため、消泡剤も服用します。
    3.(○)左側臥位では胃が下になり、内視鏡のカメラが操作しやすくなるとともに、胃からの逆流も予防することができます。
    4.(×)検査直後は咽頭麻酔や鎮痙薬の作用が残っているため、それが消えるまでは飲食を控えます。

    第41問

    全身麻酔下で食道再建術を受ける患者への術前オリエンテーションで適切なのはどれか。

    • 1.「口から息を吸って鼻から吐く練習をしてください」

    • 2.「手術の直前に下剤を飲んでもらいます」

    • 3.「手術中はコンタクトレンズをつけたままで良いです」

    • 4.「麻酔の際は喉に呼吸用の管を入れます」

    解答・解説

    1.(×)食道再建術の術後は深い呼吸が難しくなるため、事前に呼吸法(鼻から息を吸って口から吐く)を指導しておきます。
    2.(×)筋弛緩薬を投与するため、そのままでは肛門括約筋が弛緩して術中に腸内容物が排出されてしまいます。術前処置として腸内容物を排出するため、下剤は手術前日に内服しておきます。
    3.(×)全身麻酔下の手術で睡眠時と変わりない状態となるため、コンタクトレンズは外しておきます。
    4.(○)全身麻酔で呼吸が抑制されるため、気管チューブを挿入して人工呼吸を行います。

    第42問

    生活習慣が発症に関連している疾患はどれか。

    • 1.肺気腫(pulmonary emphysema)

    • 2.1型糖尿病(type 1diabetes mellitus)

    • 3.肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)

    • 4.重症筋無力症(myasthenia gravis)

    解答・解説

    1.(○)肺気腫(慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙が主なリスク因子となる代表的な生活習慣病の一つです。たばこに含まれる有害物質が肺胞と細気管支に炎症を引き起こすことで、呼吸機能が大きく低下します。
    2.(×)1型糖尿病は自己免疫性または特発性(遺伝的要因など)であり、食習慣や運動習慣が要因となる2型糖尿病とは異なります。
    3.(×)肥大型心筋症のほとんどは、家族性の要因(遺伝的な異常)により引き起こされます。
    4.(×)重症筋無力症は自己免疫疾患であり、神経筋接合部で筋肉側の受容体が自己抗体により破壊されることで引き起こされます。

    第43問

    難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく医療費助成の対象となる疾患はどれか。

    • 1.中皮腫(mesothelioma)

    • 2.C型肝炎(hepatitis C)

    • 3.慢性腎不全(chronic renal failure)

    • 4.再生不良性貧血(aplastic anemia)

    解答・解説

    「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)において、発病の機構が明らかでなく、かつ治療方法が確立していない希少な疾病であって、長期にわたり療養を必要とする疾病(いわゆる難病)のうち、厚生労働大臣が定めるものを指定難病といいます(2018年4月現在で331疾患)。指定難病に罹患しており、一定の要件を満たす患者は、当該疾病に関する医療費や一部の介護サービス費について、医療保険などを適用した後の自己負担分の助成を受けることができます。 選択肢の中で指定難病とされるのは再生不良性貧血のみです。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第44問

    慢性疾患の患者に対する自己管理の支援で最も適切なのはどれか。

    • 1.患者自身の失敗体験をもとに指導する。

    • 2.病気に関する広範囲な知識を提供する。

    • 3.症状に慣れる方法を身につけるように促す。

    • 4.自分の身体徴候を把握するように指導する。

    解答・解説

    1.(×)失敗体験に基づいて指導することも必ずしも間違いとはいえませんが、成功体験に基づいたほうが患者の自己効力感を高め、効果的な指導につながりやすいでしょう。
    2.(×)広範囲の知識ではなく、慢性疾患の自己管理に焦点を合わせた情報提供が必要です。
    3.(×)症状に慣れるのではなく、症状の発生を予防したり、症状を軽度に抑えたり、症状に対して早期対処したりする方法を身につけるように促します。
    4.(○)慢性疾患では自覚症状に乏しいことも少なからずあり、進行に気付きにくくなります。自身の自分の身体徴候を観察することで症状の早期発見に努め、早期対処につなげるように指導することが適切です。

    第45問

    Aさん(56歳、男性)は、化学療法後の血液検査にて好中球数300/mm3であった。 Aさんの状態で正しいのはどれか。

    • 1.入浴を控える必要がある。

    • 2.日和見感染症(opportunistic infection)のリスクが高い。

    • 3.口腔ケアには歯間ブラシを用いる必要がある。

    • 4.化学療法の開始前と比べリンパ球数は増加している。

    解答・解説

    1.(×)貧血や受傷に十分注意すれば、入浴することは可能です。
    2.(○)Aさんは化学療法による骨髄抑制で易感染状態にあり、健常者では問題にならない程度の病原微生物から感染症をきたすリスクが高くなっています。一般的に、好中球数1000/mm3以下になると感染リスクが極めて高くなり、300/mm3しかないAさんの場合は細心の注意を要します。
    3.(×)骨髄抑制による血小板減少の影響で出血傾向になっていることが考えられるため、出血を招きにくい歯間ブラシを用いることが適切です。
    4.(×)化学療法によりリンパ球数が一時的に減少し、免疫機能低下を招くことがあります。

  • 第46問

    Aさん(35歳、男性)。身長175cm、体重74kgである。1か月前から腰痛と右下肢のしびれが続くため受診した。腰椎椎間板ヘルニア(lumbar disc herniation)と診断され、保存的療法で経過をみることになった。 Aさんへの生活指導として適切なのはどれか。

    • 1.「体重を減らしましょう」

    • 2.「痛いときは冷罨法が効果的です」

    • 3.「前かがみの姿勢を控えましょう」

    • 4.「腰の下に枕を入れて寝ると良いですよ」

    解答・解説

    1.(×)AさんのBMIは普通体重の範囲内であり、体重を減らす必要はありません。肥満であれば腰部へ負担がかかるため、減量を指導します。
    2.(×)血行を促進して筋緊張を緩和するため、温罨法が効果的です。
    3.(○)前傾姿勢を取ると、椎間板の髄核が後方にせり出して神経を圧迫し、症状を悪化させるため、意識的に避けるよう指導します。
    4.(×)腰の下に枕を入れると不自然な体勢での睡眠となり、腰部へ負担をかけるおそれがあるため、避けるべきでしょう。

    第47問

    老年期の心理社会的葛藤を「統合」対「絶望」と表現した人物はどれか。

    • 1.ペック,R.C.(Peck,R.C.)

    • 2.バトラー,R.N.(Butler,R.N.)

    • 3.エリクソン,E.H.(Erikson,E.H.)

    • 4.ハヴィガースト,R.J.(Havighurst,R.J.)

    解答・解説

    1.(×)ペックは、老年期のアイデンティティーの課題として「引退の危機」「身体的健康の危機」「死の危機」を挙げました。
    2.(×)バトラーは、エイジズム(高齢者差別)という概念を提唱し、「老人差別は歳を取っているという理由で老人たちを組織的に1つの型にはめ差別をすること」と述べました。
    3.(○)米国の発達心理学者エリクソンは、人生を8つの時期に分け、各期における発達課題と危機によって生じる心理的・社会的な葛藤を示しました。老年期における発達課題は「自己統合」で、それに対する危機は「絶望」だとしています。
    4.(×)ハヴィガーストは、人生を6つの時期に分け、各期の発達課題を示しました。

    第48問

    平成26年(2014年)の国民生活基礎調査における65歳以上の高齢者がいる世帯について正しいのはどれか。

    • 1.単独世帯は1割である。

    • 2.三世代世帯は3割である。

    • 3.夫婦のみの世帯は4割である。

    • 4.親と未婚の子のみの世帯は2割である。

    解答・解説

    平成26年(2014年)の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者のいる世帯は2357万2,000世帯で、全世帯の46.7%となっています。65歳以上の高齢者のいる世帯構造をみると、夫婦のみの世帯が724万2,000世帯(65歳以上の高齢者のいる世帯の30.7%)で最も多く、次いで単独世帯が595万9000世帯(同25.3%)、親と未婚の子のみの世帯が474万3000世帯(同20.1%)となっています。夫婦がそろっている場合でも、いわゆる老老介護が問題になっていることを押さえておきましょう。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第49問

    Aさん(66歳、男性)は、Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)であるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。 入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。

    • 1.虫はいないと説明する。

    • 2.部屋の照明をつけたままにする。

    • 3.細かい模様のある物は片付ける。

    • 4.窓のカーテンは開けたままにする。

    解答・解説

    1.(×)レビー小体型認知症の三徴として、認知機能の変動、幻視、パーキンソン症状が挙げられます。幻視は夜間に繰り返し出現することが多く、実在しない人や小動物、虫などが、そこにいるかのように見えます。ただし、Aさんに幻視があったのは以前の入院時なので、設問の時点で不安をあおるような説明は不要でしょう。
    2.(×)入眠や安眠を妨げるおそれがあるため、夜間に部屋の照明をつけたままにする対応は不適切です。
    3.(○)以前、ご飯にかかっているゴマが虫に見えたように、細かい模様のある物が幻視につながる可能性が考えられます。
    4.(×)昼夜の別のはっきりとさせるため、カーテンは閉めたほうがよいと考えられます。

    第50問

    Aさん(70歳、女性)。夫(72歳)と2人暮らし。慢性腎不全(chronic renal failure)のため腹膜透析を行うことになった。認知機能や身体機能の障害はない。腹膜透析について説明を受けた後、Aさんは「私のように高齢でも自分で腹膜透析をできるのか心配です。毎日続けられるでしょうか」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.「誰でも簡単にできます」

    • 2.「ご家族に操作をしてもらいましょう」

    • 3.「訪問看護師に毎日見守ってもらいましょう」

    • 4.「同年代で腹膜透析をしている人の体験を聞いてみましょう」

    解答・解説

    1.(×)Aさんは不安を訴えているので、それを共感的に受け止めた対応が求められます。
    2.(×)Aさんは認知機能や身体機能の障害がなく、自立した生活を送れているので、腹膜透析も自己管理できるように指導します。ただし、管理の方法を夫にも理解してもらうことで、Aさんの不安が和らぐことは考えられます。
    3.(×)訪問看護を利用するにしても、毎日見守る必要はありません。
    4.(○)同年代で同じ境遇の経験者に話を聞くことで、腹膜透析導入後の生活の様子を具体的にイメージでき、Aさんの不安が解消される可能性は高いと考えられます。

    第51問

    Aさん(80歳、女性)。大腿骨頸部骨折(femoral neck fracture)のため人工骨頭置換術を受けた。手術後14日、Aさんの経過は順調で歩行訓練を行っている。歩行による疼痛の訴えはない。 現在のAさんの状態で最も注意すべきなのはどれか。

    • 1.せん妄

    • 2.創部感染

    • 3.股関節脱臼(hip dislocation)

    • 4.深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)

    解答・解説

    1.(×)術後14日まで順調に経過しており、せん妄をきたす可能性は高くないと考えられます。
    2.(×)歩行訓練を行っても疼痛の訴えはなく、創部感染の可能性はありません。
    3.(○)すでに歩行訓練を行っている段階で、単に歩行する以外にも様々な動作で股関節を動かすことになります。そのため、股関節脱臼のリスクが高いと考えられます。特に股関節の内旋・内転には注意が必要です。
    4.(×)術後14日まで順調に経過しており、すでに歩行訓練を行っていることを考えると、深部静脈血栓症の可能性は低いでしょう。

    第52問

    胎生期から小児期の血清免疫グロブリン濃度の年齢による変動を図に示す。 (1)が示しているのはどれか。

    • 1.IgA

    • 2.IgD

    • 3.IgG

    • 4.IgM

    解答・解説

    1.(○)IgAは初乳(分娩後数日間に分泌される乳汁)中に多く含まれ、腸管や気道の粘膜などからも分泌されますが、他の免疫グロブリンより産生の立ち上がりが遅い特徴があります。IgAは、粘膜の表面で病原微生物と結合し、その毒素を無効化して感染を防ぐ働きをしています。
    2.(×)IgDは極めて微量しか産生されず、その働きもよく解明されていません。
    3.(×)IgGは血液中に最も多く含まれる免疫グロブリンであり、細菌やウイルスなどに対する抗体を含んでいます。胎盤を通して母体から移行するため、胎生期から出生しばらくの間、濃度が高い特徴があります。
    4.(×)IgMは細菌やウイルスの抗原刺激を受けたとき、最初に産生される抗体です。

    第53問

    Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CTを別に示す。 Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。

    • 1.急性脳症(acute encephalopathy)

    • 2.てんかん(epilepsy)

    • 3.硬膜下血腫(subdural hematoma)

    • 4.細菌性髄膜炎(bacterial meningitis)

    解答・解説

    頭部CT画像では、脳の表面に沿って三日月型に広がった高吸収域が白く映っています。
    1.(×)急性脳症は、インフルエンザウイルス感染症などに伴い、急激に脳の浮腫をきたした状態です。
    2.(×)Aちゃんのけいれんと眼球上転は、急性硬膜下血腫を原因とする症候性てんかんによるものと考えられます。頭部CTの所見から直接的に判断できるのは、硬膜下血腫をきたしていることです。
    3.(○)脳の表面に沿って三日月型に広がった高吸収域は、硬膜と脳表の間における血腫の存在を反映しており、硬膜下血腫の典型的な所見です。四肢に内出血斑も認められることから、虐待により生じた急性硬膜下血腫と考えられます。開頭して血腫を除去する必要があります。
    4.(×)細菌性髄膜炎では、通常は頭部CTで異常所見は認められません。

    第54問

    性同一性障害〈GID〉(gender identity disorder)/性別違和〈GD〉(gender dysphoria)について正しいのはどれか。

    • 1.出現するのは成人期以降である。

    • 2.ホルモン療法の対象にはならない。

    • 3.生物学的性と性の自己認識とが一致しない。

    • 4.生物学的性と同一の性への恋愛感情をもつことである。

    解答・解説

    性同一性障害は生物学的性と性の自己認識とが一致せず、自身の生物学的性とは反対の性であることが自然だと感じる心を抱えている状態です。また、性別違和は、必ずしも自身の生物学的性と反対の性になりたいと考えているわけではないものの、生物学的性と性の自己認識に関して抜きがたい違和感がある状態です。
    1.(×)多くの場合、思春期までに自覚があるとされています。
    2.(×)15歳以上の場合、身体的治療としてホルモン療法を選択することがあります。ただし、18歳未満である場合は、ガイドライン上、慎重な検討および手続きが求められています。
    3.(○)選択肢の通りです。
    4.(×)性自認に関することであり、性指向(いずれの性別を恋愛や性愛の対象とするか)とは無関係です。

    第55問

    ルービン,R.(Rubin,R.)による母親役割獲得過程におけるロールプレイはどれか。

    • 1.友人の出産体験を聞く。

    • 2.人形で沐浴の練習をする。

    • 3.購入する育児用品を考える。

    • 4.看護師が行う児の抱き方を見る。

    解答・解説

    ルービンは、母親役割の獲得は次の5つのプロセスを踏んで達成されるとしています。すなわち、(1)規範的な母親役割の「模倣」、(2)母親役割を体験する「ロールプレイ」、(3)自分の子どもや自分自身の状況を想像する「空想」、(4)空想した内容を自分に投影して取り込むか拒絶するかを決定する「取り込み―投影―拒絶」、(5)母親役割遂行に伴って過去の自己を喪失することを受け止める「悲嘆作業」の5つです。
    選択肢のうちロールプレイに当たるのは、人形で沐浴の練習をすることです。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第56問

    産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。 この妊婦への説明で正しいのはどれか。

    • 1.「母子健康手帳は有料で入手できます」

    • 2.「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」

    • 3.「出生届は外務省に提出します」

    • 4.「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」

    解答・解説

    1.(×)母子保健法第16条で「市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない」と定められており、国籍を問わず無料で入手できます。
    2.(○)厚生労働省は14回程度の妊婦健康診査を受けるよう推奨しており、その費用は国籍を問わず公費助成されます。
    3.(×)戸籍法第25条2項で「外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない」と定められており、所在地の市区町村の役所窓口へ出生届を提出します。
    4.(×)国籍法第2条において、生まれた子どもが出生時に日本国籍を取得できるのは、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」などの条件が定められています。設問の夫婦は外国籍なので、生まれた子どもが日本国籍を取得することはできません。

    第57問

    大震災の2日後、避難所にいる成人への心理的援助で適切なのはどれか。

    • 1.宗教の多様性への配慮は後で行う。

    • 2.会話が途切れないように話しかける。

    • 3.確証がなくても安全であると保証する。

    • 4.ストレス反応に関する情報提供を行う。

    解答・解説

    1.(×)災害の超急性期が過ぎようとしている微妙なタイミングではありますが、宗教に関することを含め、避難民が抱える多様性に配慮して各自が精神的安寧を取り戻せるよう援助を始めてもよいでしょう。
    2.(×)言葉によらないコミュニケーションや心理的ケアを行うことも大切です。
    3.(×)たとえ被災者を安心させるためでも無責任な対応であり、信頼関係の構築を難しくするでしょう。
    4.(○)被災直後の一種の興奮状態を脱して、不自由な避難所生活が長引くにつれて、被災者の心身に様々な悪影響がもたらされ。急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)につながるおそれもあります。ストレス反応に関する情報提供を行うことは、ケアの第一歩となるでしょう。

    第58問

    修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。

    • 1.保護室で行う。

    • 2.全身麻酔下で行う。

    • 3.強直間代発作が生じる。

    • 4.発生頻度の高い合併症は骨折である。

    解答・解説

    1.(×)手術室で行われます。
    2.(○)修正型電気けいれん療法は、全身麻酔下で行うため、従来型に比べて身体的苦痛やけいれんを抑えることができます。
    3.(×)従来型の電気けいれん療法では麻酔薬や筋弛緩薬を使用しなかったため、強直間代発作のリスクがありました。修正型では、強直間代発作のリスクは低くなっています。
    4.(×)修正型電気けいれん療法では、従来型に比べて骨折や脱臼のリスクは低くなっています。

    第59問

    自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。

    • 1.自殺の手段が未定である。

    • 2.自殺する日を決めている。

    • 3.将来の希望について時々話す。

    • 4.普段と変わらない様子で生活している。

    解答・解説

    1.(×)自殺の具体的な手段を考えていないということは、そこまで切迫性がないと考えられます。ただし、無計画に衝動的な自殺を企図するおそれもあるため、注意は必要です。
    2.(○)自殺が現実的な計画となっており、切迫した状態です。明確なサインと受け止めて、一刻も早い対応が必要です。
    3.(×)死にたい気持ちと生きたい気持ちの間で揺れ動くことがしばしばあり、前向きな希望を話したから安心できるというわけではないものの、自殺が最も切迫している状態とはいえません。
    4.(×)本当に普段と変わらない様子であればよいのですが、見えにくいサインを発していることもあるので注意が必要です。

    第60問

    養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉に基づき通報する先として正しいのはどれか。

    • 1.市町村

    • 2.警察署

    • 3.消防署

    • 4.訪問看護事業所

    解答・解説

    「養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」と定められています(高齢者虐待防止法第7条)。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

  • 第61問

    Aさん(83歳、男性)は、脳梗塞の後遺症(cerebral infarction)で右片麻痺があり、在宅療養中である。嚥下障害のため胃瘻を造設している。義歯を装着しているが、自分の歯が数本残っている。 Aさんの口腔ケアについて、介護者への指導で適切なのはどれか。

    • 1.義歯を装着したまま歯を磨く。

    • 2.経管栄養直後に実施する。

    • 3.ペースト状の歯磨剤を使用する。

    • 4.歯垢の除去には歯ブラシを用いる。

    解答・解説

    Aさんは嚥下障害があるため、誤嚥性肺炎を起こしやすい状態です。
    1.(×)義歯は取り外した上で、歯と義歯をそれぞれ磨きます。
    2.(×)刺激により嘔吐を誘発するおそれがあるため、経管栄養直後の歯磨きは避けます。
    3.(×)使用する歯磨剤はペースト状のものに限られるわけではありませんが、泡立ちのよいものは誤嚥のリスクを高めるため避けるべきです。歯磨剤を使用せずに磨く場合もあります。
    4.(○)取り外した義歯については義歯用ブラシ(複雑な構造をしている義歯を磨きやすいように設計されている)を使い、特に歯肉との接触面や金属部(クラスプ)を念入りに磨くとよいでしょう。

    第62問

    特別訪問看護指示書による訪問看護について正しいのはどれか。

    • 1.提供できる頻度は週に3回までである。

    • 2.提供できる期間は最大6か月である。

    • 3.対象に指定難病は含まない。

    • 4.医療保険が適用される。

    解答・解説

    特別訪問看護指示書は、急性増悪をきたした患者や退院直後の患者について頻回の訪問看護が必要である場合に交付されます(原則として月1回)。すでに通常の訪問看護指示書が出されていることが前提となります。
    1.(×)週4日以上の提供が可能です。
    2.(×)特別訪問看護指示書による訪問看護は、最長14日間となります。
    3.(×)指定難病の患者も対象になります。
    4.(○)特別訪問看護指示書による訪問看護には、医療保険が適用されます。介護保険が適用中であった場合も、医療保険の適用に切り替わります。

    第63問

    要介護2と認定された高齢者の在宅療養支援において、支援に関与する者とその役割の組合せで適切なのはどれか。

    • 1.介護支援専門員―家事の援助

    • 2.市町村保健師―居宅サービス計画書の作成

    • 3.訪問看護師―日常生活動作〈ADL〉の向上のための訓練

    • 4.訪問介護員―運動機能の評価

    解答・解説

    1.(×)家事の援助は、訪問介護員(ホームヘルパー)の役割です。そのほか、入浴や排泄時などの身体介助も行います。
    2.(×)居宅サービス計画書(ケアプラン)の作成は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割です。
    3.(○)日常生活動作〈ADL〉の向上のための訓練には、理学療法士や作業療法士をはじめ複数の職種が関わりますが、訪問看護師もその一端を担っています。
    4.(×)運動機能の評価は、患者居宅を訪問診療で訪れる医師、訪問看護で訪れる看護師や理学療法士などが行います。

    第64問

    日本の医療保険制度について正しいのはどれか。

    • 1.健康診断は医療保険が適用される。

    • 2.75歳以上の者は医療費の自己負担はない。

    • 3.医療保険適用者の約3割が国民健康保険に加入している。

    • 4.健康保険の種類によって1つのサービスに対する診療報酬の点数が異なる。

    解答・解説

    1.(×)健康診断を目的とする診察や検査は、医療保険の療養の給付の対象とはなりません。雇用されて働く労働者の健康診断に係る費用は、原則として雇用主が負担します。
    2.(×)75歳以上の者は後期高齢者医療制度の加入者となり、その自己負担額は1割(現役並み所得者は3割)となります。
    3.(○)自営業者や年金受給者などを対象とする国民健康保険は、2015年度の調査において、医療保険適用者の約27%が加入しています。ただし、近年は後期高齢者医療制度の導入や短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大などの影響を受けて、国民健康保険の被保険者数は減少傾向にあります。
    4.(×)健康保険の種類にかかわらず、1つの診療報酬点数表に基づいて計算されます。

    第65問

    日本の医療提供施設について正しいのはどれか。

    • 1.病院数は1995年から増加傾向である。

    • 2.2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。

    • 3.介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。

    • 4.精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。

    解答・解説

    1.(×)全国の病院数は1990年にピークを迎えた後、徐々に減少傾向にあります。
    2.(○)わが国の人口対病床数は、国民医療費抑制などの煽りを受けて減少傾向にあるものの、依然として先進国の中で最も多い水準です。単に病床数を減らすだけでなく、受け皿となる地域包括ケアシステムの充実が急務とされています。
    3.(×)人口高齢化の影響で、介護老人保健施設数は増加傾向にあります。
    4.(×)精神科の平均在院日数は、1990年から先進国で最長となっています。

    第66問

    看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めているのはどれか。

    • 1.医療法

    • 2.労働契約法

    • 3.教育基本法

    • 4.看護師等の人材確保の促進に関する法律

    解答・解説

    看護師等の人材確保の促進に関する法律第6条において「看護師等は、保健医療の重要な担い手としての自覚の下に、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスへの需要に対応し、研修を受ける等自ら進んでその能力の開発及び向上を図るとともに、自信と誇りを持ってこれを看護業務に発揮するよう努めなければならない」と定められています。生涯学習を通して自らの能力を開発し続けることが、看護のプロフェッショナルとして求められる責務です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第67問

    災害医療について正しいのはどれか。

    • 1.災害拠点病院は市町村が指定する。

    • 2.医療計画の中に災害医療が含まれる。

    • 3.防災訓練は災害救助法に規定されている。

    • 4.災害派遣医療チーム〈DMAT〉は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。

    解答・解説

    1.(×)災害拠点病院は、災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関で、都道府県が指定します。
    2.(○)医療法第30条の4において「都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定めるものとする」とあり、災害医療に関する事項も医療計画に含まれています。
    3.(×)防災訓練を含む災害対策全般に関しては、災害対策基本法に規定されています。
    4.(×)災害派遣医療チーム〈DMAT〉は、大規模災害の急性期に即応する目的で組織されています。1995年の阪神・淡路大震災における初期医療の遅れを教訓として、2005年に日本DMATが発足しました。

    第68問

    小腸で消化吸収される栄養素のうち、胸管を通って輸送されるのはどれか。

    • 1.糖 質

    • 2.蛋白質

    • 3.電解質

    • 4.中性脂肪

    • 5.水溶性ビタミン

    解答・解説

    ヒトが必要とする中性脂肪には、食事から摂り入れるものと肝臓で合成されるものがあり、後者が約8割を占めています。食事由来の中性脂肪は、小腸上皮細胞から吸収された後、脂肪酸に再合成され、カイロミクロンというリポ蛋白質となってリンパ管へ移行し、胸管を通過して静脈に入り、全身へ循環されます。その他の選択肢である糖質、蛋白質、電解質、水溶性ビタミンは、小腸上皮細胞から吸収された後、毛細血管→門脈→肝臓→静脈→全身という順で輸送されていきます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、5.(×)、となります。

    第69問

    性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンはどれか。

    • 1.アルドステロン

    • 2.プロゲステロン

    • 3.エストラジオール

    • 4.黄体形成ホルモン〈LH〉

    • 5.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉

    解答・解説

    1.(×)アルドステロンは副腎皮質球状層で生合成されるホルモンで、性周期とは無関係に分泌されます。
    2.(○)プロゲステロンは卵巣の黄体から分泌されるホルモンで、着床が起こる黄体期において血中濃度が最も高くなります。エストロゲンの作用で厚くなった子宮内膜を柔らかくし、妊娠しやすい状態に保ちます。
    3.(×)エストラジオールは、視床下部や脳下垂体前葉で生合成されるエストロゲンの一種で、排卵直前に血中濃度が最も高くなります。
    4.(×)黄体形成ホルモン〈LH〉の分泌量は、排卵直前に最大となります。
    5.(×)卵胞刺激ホルモン〈FSH〉の分泌量は、排卵直前に最大となります。

    第70問

    腹部CTを別に示す。胆石が半年間で胆嚢内をAからCまで移動した。 Cの状態を表すのはどれか。

    • 1.嵌 頓

    • 2.侵 入

    • 3.転 位

    • 4.停 留

    • 5.迷 入

    解答・解説

    胆石の多くは、胆汁中のコレステロールが過剰になり、結石となったもの(コレステロール結石)です。設問の画像では、白く描出された胆石が移動していき、胆嚢管にはまり込む過程が分かります。このはまり込んだ状態を嵌頓(かんとん)と呼びます。肝臓から分泌された胆汁は胆嚢管から胆管を通って十二指腸へ運ばれますが、胆石の嵌頓により胆汁の流れが阻害され、心窩部や右季肋部に痛みが生じます。合併症として急性胆嚢炎を起こすこともあります。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第71問

    胸腺腫(thymoma)に合併する疾患で多くみられるのはどれか。

    • 1.Parkinson〈パーキンソン〉病(Parkinson disease)

    • 2.筋ジストロフィー(muscular dystrophy)

    • 3.重症筋無力症(myasthenia gravis)

    • 4.多発性硬化症(multiple sclerosis)

    • 5.多発性筋炎(polymyositis)

    解答・解説

    胸腺腫は、胸腺の細胞から発生する悪性腫瘍です。胸腺癌に比べて腫瘍細胞の増殖スピードは遅く、別の部位に転移することはまれです。胸腺は免疫に関与する器官であり、胸腺腫になると合併症として免疫疾患をきたすことがあります。特に、胸腺腫患者の約30~50%が重症筋無力症を合併するとされています。重症筋無力症では、アセチルコリン受容体抗体や筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体が産生されることで、神経から筋肉への指令が伝わらなくなります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第72問

    頭部CTを別に示す。 論理的思考を制御する領域はどれか。

    • 1.A

    • 2.B

    • 3.C

    • 4.D

    • 5.E

    解答・解説

    頭部CTの水平断像であり、画像上方が対象者の顔側、下方が後頭部側となります。
    1.(○)主に前頭葉の前頭連合野を指しています。前頭連合野は論理的思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられています。前頭連合野が障害されると、性格の変化、行動のプログラミング障害、運動性失語、作業記憶の障害など様々な前頭葉症状が現れます。
    2.(×)主に右の側頭葉を指しています。右の側頭葉は視覚や聴覚などの認識や記憶の中枢として機能しています。
    3.(×)主に視床を指しています。視床は嗅覚以外の感覚を大脳皮質の感覚中枢へ中継する役割を果たしています。
    4.(×)主に左の側頭葉を指しています。左の側頭葉は言語の理解力に関係しており、障害されるとウェルニッケ失語が起こります。
    5.(×)主に後頭葉を指しています。後頭葉は視覚を司る部位として知られています。

    第73問

    糖尿病(diabetes mellitus)の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのはどれか。

    • 1.腎 症

    • 2.感染症

    • 3.網膜症

    • 4.神経障害

    • 5.血行障害

    解答・解説

    健康日本21(第二次)では、糖尿病の合併症に関して、腎症による年間新規透析導入患者数が2010年(平成22年)の段階で16,247人であったところ、2022年(平成34年)までに15,000人へ抑制することを目標として掲げています。そのための具体的な取り組みとして、地域における診療連携体制を推進したり、「スマート・ライフ・プロジェクト」と銘打った国民運動を展開したりしています。そのほか、糖尿病に関する目標としては、治療継続者の割合の増加、血糖コントロール指標(HbA1c)におけるコントロール不良者の割合の減少、糖尿病有病者の増加の抑制、メタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少、特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上がめざされています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第74問

    創傷の治癒過程で炎症期に起こる現象はどれか。

    • 1.創傷周囲の線維芽細胞が活性化する。

    • 2.肉芽の形成が促進される。

    • 3.滲出液が創に溜まる。

    • 4.創の収縮が起こる。

    • 5.上皮化が起こる。

    解答・解説

    一般的な創傷の治癒過程は、(1)出血凝固期→(2)炎症期→(3)増殖期→(4)成熟期の4段階で進行すると考えられています。出血が止まり、凝固した後(=出血凝固期)、血管からの滲出液が創に溜まるとともに、好中球やマクロファージにより壊死組織が貪食されます(=炎症期)。さらに増殖期では創傷周囲の線維芽細胞の活性化、肉芽の形成、上皮化が進み、創が収縮していきます。最終的に成熟期を迎え、瘢痕が形成されます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第75問

    Ménière〈メニエール〉病(Ménière's disease)の患者への指導内容について正しいのはどれか。

    • 1.静かな環境を保持する。

    • 2.発作時は部屋を明るくする。

    • 3.めまいがあるときは一点を凝視する。

    • 4.嘔吐を伴う場合は仰臥位安静にする。

    • 5.耳鳴があるときは周囲の音を遮断する。

    解答・解説

    メニエール病は、内耳で生じたリンパ水腫が感覚細胞を圧迫し、平衡感覚異常をきたす疾患です。どのようなメカニズムで内耳にリンパ水腫が生じるのか、現在のところ明らかにはなっていません。回転性のめまい発作や耳鳴の症状が現れ、日常生活を脅かします。
    1.(○)騒がしい環境は、耳鳴を誘発したり、増悪させたりするおそれがあります。
    2.(×)光刺激がメニエール病の症状を誘発するおそれもあるため、部屋の照度は落とします。
    3.(×)めまいが生じたときは、目を閉じて安静を保ちます。
    4.(×)嘔吐があるときに仰臥位にすると、誤嚥につながるおそれがあります。
    5.(×)耳鳴は体内の感覚神経の問題から生じているため、周囲の音を遮断することに特段の意味はありません。

  • 第76問

    車椅子での座位の姿勢を別に示す。 このような姿勢を長時間続けることで最も褥瘡が発生しやすい部位はどれか。

    • 1.右肘関節部

    • 2.右大転子部

    • 3.左坐骨結節部

    • 4.左膝関節外側部

    • 5.左足関節外果部

    解答・解説

    座位においては、座面に接する坐骨結節部(坐骨下端の突起部)に最も体圧が集中します。設問の画像では体の重心が左に傾いているので、左坐骨結節部の褥瘡発生リスクが最も高いということになります。車椅子座位で起こりがちな不良姿勢を正すことを主な目的として、適切なタイミングで本人や介助者による「座り直し」を行うなど、褥瘡予防に努める必要があります。なお、肘関節部は仰臥位において、大転子部や膝関節外側部、足関節外果部は側臥位において、褥瘡発生リスクが高くなります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第77問

    平成26年(2014年)の人口動態統計において、1~4歳の死因で最も多いのはどれか。

    • 1.肺炎(pneumonia)

    • 2.心疾患(heart diseases)

    • 3.悪性新生物(malignant neoplasms)

    • 4.不慮の事故

    • 5.先天奇形、変形及び染色体異常

    解答・解説

    人口動態統計は、出生、死亡、婚姻、離婚および死産の人口動態事象を把握し、人口および厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とした調査です。平成26年(2014年)の人口動態統計において、1~4歳の死因で最も多いのは先天奇形等(先天奇形、変形及び染色体異常)であり、第2位は不慮の事故、第3位は悪性新生物と続きます。なお、年齢階級別の死因第1位の大まかな傾向としては、0~4歳が先天奇形等、5~14歳が悪性新生物、15~39歳が自殺、40~89歳が悪性新生物となっています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第78問

    Aちゃん(8歳、女児)は、白血病(leukemia)の終末期で入院しているが、病状は安定している。両親と姉のBちゃん(10歳)の4人家族である。 Aちゃんの家族へ看護師が伝える内容として適切なのはどれか。

    • 1.「Aちゃんは外出できません」

    • 2.「Bちゃんは面会できません」

    • 3.「Aちゃんが食べたい物を食べて良いです」

    • 4.「Aちゃんよりもご家族の意思を優先します」

    • 5.「Aちゃんに終末期であることは伝えないでください」

    解答・解説

    終末期であることを踏まえ、できるだけAちゃん本人や家族が望むことを尊重することが大切です。
    1.(×)病状が安定しているので、本人や家族が望めば外出も検討すべきでしょう。
    2.(×)感染予防に十分配慮したうえで、家族の面会は可能です。特にBちゃんだけを遠ざける意義は認められません。
    3.(○)終末期では、多くの場合で食欲不振になります。その中で本人の食欲があるようなら、食べたい物を食べてかまいません。必要に応じて制吐薬などの投与を検討します。
    4.(×)Aちゃん本人の意思が第一に優先されます。
    5.(×)Aちゃんには自身の病状について知る権利があります。

    第79問

    Aさん(28歳、女性)は、2歳の子どもを養育しながら働いている。 Aさんが所定労働時間の短縮を希望した場合、事業主にその措置を義務付けているのはどれか。

    • 1.児童福祉法

    • 2.労働基準法

    • 3.男女共同参画社会基本法

    • 4.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉

    • 5.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉

    解答・解説

    育児・介護休業法において、3歳に満たない子を養育しており、1日の所定労働時間が6時間以下でないことなどの要件を満たす労働者は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む短時間勤務制度の適用を受けることができるとされてます。ただし、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者などは、労使協定により短時間勤務制度の対象外となることがあります。短時間勤務制度の適用を申し出たことや、制度の適用を受けたことを理由として、解雇、雇い止め、減給などの不利益な取扱いを行うことは禁止されています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第80問

    難病患者が自分の病気について学ぶことで不安を解消しようとする防衛機制はどれか。

    • 1.否 認

    • 2.昇 華

    • 3.知性化

    • 4.合理化

    • 5.反動形成

    解答・解説

    1.(×)否認とは、自分にとって望ましくない現実から目を背け、受け入れないことです。
    2.(×)昇華とは、社会で実現できない、認められないような欲求を抑圧し、その代わりにより高度で社会的に受け入れられやすい目標へ向かって自己実現を図ろうとすることです。
    3.(○)知性化とは、高度な物事を勉強したり、知的な言葉を用いて議論したりすることで客観的な理解に努め、強い感情への直面を避けようとすることです。
    4.(×)合理化とは、理由をつけて正当化したり、他者へ責任転嫁したりすることで、心の安定を保とうとすることです。知性化とは異なり、事実を主観的にねじ曲げて自らを納得させる側面があります。
    5.(×)反動形成とは、抑圧されている欲求が意識や行動として表面化しないよう、抑圧された欲求とは正反対の意識・行動に置き換えられることです。

    第81問

    新人看護師のAさんは、夜勤の看護師からの引き継ぎが終了した後、日勤で行う業務を書き出した。 Aさんが書き出した以下の業務のうち最も優先して行うのはどれか。

    • 1.頭部の掻痒感を訴える患者の洗髪

    • 2.夜間せん妄のあった患者との散歩

    • 3.午後に入院する患者の診療録の準備

    • 4.翌日に検査を受ける予定の患者への説明

    • 5.人工呼吸器を装着中の患者の状態の確認

    解答・解説

    臨床看護師は様々な状態にある患者を何人も受け持つことになるため、その中で仕事の優先順位を付け、優先度の高いものから対応していくことが求められます。優先度は、その時々の状況で変化していきます。
    1.(×)できるだけ早期に対応すべきではありますが、優先度が最も高いとはいえません。
    2.(×)夜間せん妄のあった患者の状態の確認であれば、できるだけ早期に対応すべきではありますが、散歩ということであれば優先度が最も高いとはいえません。
    3.(×)午後の入院であるため、優先度が最も高いとはいえません。
    4.(×)翌日の検査であるため、優先度が最も高いとはいえません。
    5.(○)選択肢の中で人工呼吸器装着中の患者さんは最も生命のリスクが高いため、優先して対応すべきだと考えられます。

    第82問

    車軸関節はどれか。2つ選べ。

    • 1.正中環軸関節

    • 2.腕尺関節

    • 3.上橈尺関節

    • 4.指節間関節

    • 5.顎関節

    解答・解説

    車軸関節とは、関節頭の周囲を関節面が環状に囲っており、関節窩において骨の長軸を中心とする内旋・外旋が行われる、車軸のような構造をした関節を指します。選択肢の中では、第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)の間にある正中環軸関節と、橈骨と尺骨の間にある上橈尺関節が車軸関節に当たります。なお、選択肢2の腕尺関節と選択肢4の指節間関節は、蝶番関節に分類されます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第83問

    嚥下運動に伴って起こるのはどれか。2つ選べ。

    • 1.声門の開放

    • 2.舌根の沈下

    • 3.甲状腺の挙上

    • 4.後鼻孔の閉鎖

    • 5.耳管咽頭口の開口

    解答・解説

    1.(×)声門が閉鎖されなければ、食塊が気道に入り込んでしまいます。
    2.(×)舌根は挙上して食塊を軟口蓋に押し上げ、咽頭へ送り込みやすいようにします。
    3.(×)甲状腺は喉頭よりも下部に位置しており、嚥下運動に伴って挙上することはありません。
    4.(○)嚥下時において、軟口蓋が咽頭後壁に押し付けられて後鼻孔が閉鎖され、鼻腔と咽頭との交通が断たれます。
    5.(○)嚥下運動により、耳管咽頭口は開口します。耳管咽頭口は中耳内圧を調整する働きをしており、開口することで中耳内圧と外気圧が均等になります。

    ※本問について、厚生労働省は「問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため、採点対象から除外する」と発表しました。

    第84問

    パルスオキシメータを別に示す。 表示されている数値が示すのはどれか。2つ選べ。

    • 1.脈拍数

    • 2.酸素分圧

    • 3.酸素飽和度

    • 4.重炭酸濃度

    • 5.二酸化炭素濃度

    解答・解説

    パルスオキシメーターは非観血的(経皮的)に、動脈血ガス分析は観血的に、血液の状態を調べます。
    1.(○)パルスオキシメーターは経皮的に動脈血の変動を読み取っているため、脈拍数を知ることができます(写真中「71」の数字)。
    2.(×)酸素分圧は、動脈血ガス分析で知ることができます。
    3.(○)パルスオキシメーターは、赤色光と赤外光を生体に透過させてからセンサーで受光し、その透過性の違いからヘモグロビンと酸素の結び付きの度合いを調べています。これにより経皮的に動脈血の酸素飽和度を知ることができます(写真中「98」の数字)。
    4.(×)重炭酸濃度は、動脈血ガス分析で知ることができます。
    5.(×)二酸化炭素濃度は、動脈血ガス分析で知ることができます。

    第85問

    網膜剝離(retinal detachment)について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.確定診断のために眼底検査を行う。

    • 2.前駆症状として光視症がみられる。

    • 3.初期症状として夜盲がみられる。

    • 4.失明には至らない。

    • 5.若年者に好発する。

    解答・解説

    網膜剥離は、加齢や疾患(糖尿病網膜症など)の影響、事故などによる物理的衝撃が原因で引き起こされます。網膜剥離に先駆けて、網膜裂孔がみられます。
    1.(○)眼底検査により、網膜の状態を直接確認することが確実です。
    2.(○)網膜と硝子体の接着がはがれようとするとき、硝子体が網膜を引っ張る力が働き、この刺激が光として感知されることがあります(光視症)。
    3.(×)夜盲は、網膜色素変性症などでみられます。
    4.(×)網膜が完全に剥離すると失明に至ります。
    5.(×)加齢につれて網膜がはがれやすくなるため、中高年で好発します。

    第86問

    労働基準法で定められているのはどれか。2つ選べ。

    • 1.妊娠の届出

    • 2.妊婦の保健指導

    • 3.産前産後の休業

    • 4.配偶者の育児休業

    • 5.妊産婦の時間外労働の制限

    解答・解説

    1.(×)市町村長に対する妊娠の届出は、母子保健法第15条に規定されています。
    2.(×)妊婦の保健指導は、母子保健法第10条に規定されています。
    3.(○)労働基準法第65条において、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が請求した場合の休業、産後8週間を経過しない女性の休業が規定されています。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。
    4.(×)配偶者の育児休業は、育児・介護休業法に規定されています。
    5.(○)労働基準法第66条において、妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働、深夜業に就かせてはならないことが定められています。これらの請求を理由として、解雇、雇い止め、減給などの不利益な取扱いを行うことは禁止されています。

    第87問

    ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉(human immunodeficiency virus infection)感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.本人より先に家族に病名を告知する。

    • 2.国内では異性間性的接触による感染が最も多い。

    • 3.適切な対応によって母子感染率を下げることができる。

    • 4.性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。

    • 5.HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群〈AIDS〉(acquired immunodeficiency syndrome)と診断できる。

    解答・解説

    1.(×)陽性であろうが陰性であろうが、検査結果は本人に伝えることが原則です。
    2.(×)国内では男性の同性間性的接触による感染が最も多くなっています。
    3.(○)抗HIV薬の投与、帝王切開、母乳栄養の回避といった適切な対応により、母子感染率を下げることができます。
    4.(○)HIVを含む体液が性器および口腔粘膜と直接接触することを避けるため、コンドームの着用が有効です。経口避妊薬(ピル)ではHIV感染を防ぐことはできません。
    5.(×)HIVは日和見感染の期間が長く、直ちに後天性免疫不全症候群〈AIDS〉を発症するわけではありません。

    第88問

    Aさん(63歳、男性)。BMI 24。前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)のため経尿道的前立腺切除術を受け、手術後3日で膀胱留置カテーテルが抜去された。数日後に退院する予定であ る。 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.散歩を控える。

    • 2.水分摂取を促す。

    • 3.長時間の座位を控える。

    • 4.時間をかけて入浴する。

    • 5.排便時に強くいきまないようにする。

    解答・解説

    経尿道的前立腺切除術を受けており、退院後の生活において切除部位からの出血を防ぐための指導が必要です。
    1.(×)激しい運動は避けるべきですが、散歩程度なら問題ありません。
    2.(○)水分をよく摂取して尿量を増やすことで、膀胱内に凝血塊がたまることを予防できます。
    3.(×)長時間の座位が直ちに悪影響を及ぼすことは考えにくいです。ただし、自転車に乗るなど患部への刺激が高い行動は避けたほうがいいでしょう。
    4.(×)Aさんへの退院指導として、時間をかけて入浴することを勧める理由は見当たりません。
    5.(○)排便時に強くいきむと、静脈圧が上昇して切除部位からの出血リスクが高まるため、できるだけ避けるべきです。

    第89問

    精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.行動制限の理由を患者に説明する。

    • 2.原則として2名以上のスタッフで対応する。

    • 3.信書の発受の対象は患者の家族に限定する。

    • 4.精神保健指定医による診察は週1回とする。

    • 5.12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。

    解答・解説

    精神保健福祉法第36条において「精神科病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる」と定められています。この行動制限の方法としては、隔離と身体拘束があります。
    1.(○)実際には理解されないことも少なくないと思われますが、できる限りの説明を尽くしてから行動制限を実施する必要があります。
    2.(○)スタッフの安全を確保するためにも、原則として2名以上で対応します。
    3.(×)精神保健福祉法第36条2項の定めにより、信書の発受の制限は行うことができません。
    4.(×)行動制限が漫然と行われることがないように、医師は原則として少なくとも毎日1回診察を行い、必ず所見を署名のうえ診療録に記載することとされています。
    5.(×)12時間を超えない隔離の判断は医師が、12時間を超える隔離の判断は精神保健指定医が行います。

    第90問

    3L/分で酸素療法中の入院患者が、500L酸素ボンベ(14.7MPaで充塡)を用いて移動した。現在の酸素ボンベの圧力計は5MPaを示している。 酸素ボンベの残りの使用可能時間を求めよ。 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

    • https://kango.mynavi.jp/examination/images/2018/A90.png

    解答・解説

    酸素ボンベの酸素残量を求めてから、その使用可能時間を計算します。酸素残量(L)は「酸素ボンベ容量(L)×残圧(MPa)÷酸素ボンベ圧力(MPa)」で求めることができ、設問においては「500×5÷14.7=170」となります。使用可能時間(分)は「酸素ボンベ内残量(L)÷指示流量(L/分)」で求めることができ、設問においては「170÷3=56.6」となります。小数点以下第1位を四捨五入して、57が解答になります。

  • 第91問

    Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症(angina pectoris)が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症(dyslipidemia)の既往がある。 Aさんの運動負荷心電図検査(トレッドミル運動負荷試験)の結果を別に示す。 このときの心電図の所見で適切なのはどれか。

    • 1.発作時はST低下がある。

    • 2.発作時はP波が低下している。

    • 3.安静時は異常Q波がある。

    • 4.安静時は冠性T波がある。

    • 5.安静時と発作時ともにQRS幅が拡大している。

    解答・解説

    1.(○)狭心症では、発作が起きていないときの心電図には異常がみられません。発作時の心電図ではST低下が認められ、設問の心電図でもそうなっています。運動負荷をかけたことによる労作性狭心症の所見です。
    2.(×)設問の心電図で、P波の低下は認められません。
    3.(×)設問の心電図で、異常Q波は認められません。異常Q波は、ST上昇とともに心筋梗塞でみられる特徴的な心電図所見です。
    4.(×)設問の心電図で、冠性T波は認められません。冠性T波は左右対称の陰性T波のことで、心筋虚血の存在を示唆します。
    5.(×)設問の心電図で、QRS幅の拡大は認められません。QRS幅の基準値は0.06~0.10秒であり、QRS幅が0.10秒よりも拡大したときは心室を興奮が伝わる速度が遅延していることを意味します。

    第92問

    Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症(angina pectoris)が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症(dyslipidemia)の既往がある。 検査の結果、Aさんは労作性狭心症(angina of effort)と診断され、硝酸薬、カルシウム拮抗薬および抗血小板薬を内服することになった。その後、外来通院を続け、以前と同様に負荷のかかる作業もできるようになった。内服治療から1か月後、胸部の圧迫感が強くなり、時々左上腕から前腕にかけての放散痛も出現するようになったため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。カテーテルは右大腿動脈から挿入されていた。手術中から抗凝固療法を実施している。 手術直後の観察項目として適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.乏尿の有無

    • 2.皮膚の黄染

    • 3.出血の有無

    • 4.両足背動脈の触知

    • 5.穿刺部位の感染徴候

    解答・解説

    経皮的冠動脈形成術〈PCI〉は、狭くなった冠動脈にバルーンカテーテルを通して内側から拡張し、再狭窄を防ぐためにステントを留置する治療法です。比較的低侵襲であるため早期回復が望め、入院期間が短くて済むメリットがあります。
    1.(×)設問に乏尿を引き起こす腎機能障害に関する記述はありません。造影剤を速やかに排出するため十分に水分摂取し、排尿の量や回数を経過観察する必要はあります。
    2.(×)設問に皮膚の黄染を引き起こす肝機能障害に関する記述はありません。
    3.(○)カテーテルを動脈から挿入しているため、出血の有無の観察が必須です。
    4.(○)PCIの合併症としてステント血栓症の可能性があるため、両足背動脈を触知して血流障害の有無を確認します。ステント血栓症の発生率は高くないものの、発生すると死亡率が高い(30日死亡率10~25%)とされています。
    5.(×)穿刺部位の感染徴候は、術後の経過を通して観察します。

    第93問

    Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症(angina pectoris)が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症(dyslipidemia)の既往がある。 Aさんの経過は順調で、手術後4日に退院することになった。Aさんは「家に戻ってもまた症状が出るのではないかと心配です」と話した。 Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.「水分摂取を控えましょう」

    • 2.「肉類を多く食べましょう」

    • 3.「睡眠時間を確保しましょう」

    • 4.「自動車の運転はやめましょう」

    • 5.「次回の外来受診までは重い荷物を運ぶ作業は控えましょう」

    解答・解説

    1.(×)心不全ではないので、水分摂取を控える必要はありません。
    2.(×)Aさんは脂質異常症の既往歴があるため、飽和脂肪酸に富んだ肉類を多く摂るように指導することは不適切です。飽和脂肪酸を多く含む食品は、体内のコレステロールを増やしやすくすることが知られています。
    3.(○)十分な睡眠時間を確保し、規則正しくストレスをため込まない生活を送ることで、病気の発症・再発リスクを下げるよう指導します。
    4.(×)自動車の運転は、通常の生活が送れるようになれば基本的には問題ありません。ただし、職業的な運転の適否は、運動負荷試験などで十分に評価してから決定する必要があります。Aさんのように通勤で自動車を運転する程度であれば、運動負荷量としては問題ないと考えられますが、十分に休息を取り、負荷のかからない運転を心がけるよう指導します。
    5.(○)術後1週間程度は重い荷物を持たないよう指導します。Aさんは仕事上荷物を運ぶことがあるので、その運動負荷量を減らす指導も必要です。

    第94問

    Aさん(55歳、男性)。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)。Hb 13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。 このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。

    • 1.貧血のため脈拍が速い。

    • 2.疼痛のため血圧が高い。

    • 3.創部感染のため体温が高い。

    • 4.心不全のため呼吸数が多い。

    解答・解説

    1.(×)Hb 13.8g/dLでやや基準値より低いですが、頻脈(脈拍120/分)につながるとは考えられません。
    2.(○)呼吸が浅くなるほどの強い疼痛のため、交感神経活動や下垂体-副腎系の内分泌反応が亢進し、血圧上昇(162/90mmHg)を引き起こしたと考えられます。
    3.(×)創部に感染徴候は認められません。ただし、手術侵襲により炎症性サイトカインが分泌され、体温調節中枢に作用したことで、若干の発熱(37.1℃)が起こっていると考えられます。
    4.(×)心不全の徴候は認められません。

    第95問

    Aさん(55歳、男性)。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)。Hb 13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。 手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。 現状で最も考えられるのはどれか。

    • 1.術後せん妄

    • 2.乳糖不耐症

    • 3.偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis)

    • 4.ダンピング症候群(dumping syndrome)

    解答・解説

    1.(×)術後せん妄を疑わせる記述はありません。
    2.(×)乳糖不耐症は、消化酵素ラクターゼの欠乏により乳糖が消化できなくなった状態のことで、下痢や腹部のけいれん痛を引き起こします。胃切除術後障害として乳糖不耐症をきたすのは、切除から1~3カ月後とされています。
    3.(×)偽膜性大腸炎は、抗菌薬投与により腸内細菌叢が変化してクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)などが増殖し、その菌毒素が原因で大腸粘膜に炎症をきたすものです。抗菌薬投与に関する記述がなく、該当しないと考えられます。
    4.(○)胃切除により、浸透圧の高い食物が急速に腸内へ排出され、循環血漿量の低下を招きます。同時に、消化管ホルモンが増加して腸蠕動の亢進をきたします。これがダンピング症候群の原因です。食後30分前後で起こるものは早期ダンピング症候群、食後2~3時間で起こるものは後期ダンピング症候群と分類されます。ダンピング症候群は、全摘を含む胃の幽門部を切除したときに起こりやすくなります。

    第96問

    Aさん(55歳、男性)。胃癌(gastric cancer)のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)。Hb 13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。 手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。 手術後14日、Aさんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。 Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。

    • 1.1回の食事量を増やす。

    • 2.海草を積極的に摂取する。

    • 3.食後の冷汗が出現した際には身体を温める。

    • 4.空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。

    解答・解説

    1.(×)胃全摘術後は消化機能が失われているので、1回の食事量を増やすことは禁忌です。回数を増やして少量ずつ食事を摂ってもらいます。
    2.(×)海草は食物繊維に富み、消化酵素が作用しにくい食材なので、胃全摘術後の患者には適しません。
    3.(×)設問の症例において、食後の冷汗はダンピング症候群の症状なので、身体を温めても改善は期待できません。安静を保ち、症状の改善を待つことが適切です。
    4.(○)空腹時のコーヒーは消化管に負担をかける刺激物なので、特に胃全摘術後の患者では摂取を避けたほうがよいでしょう。

    第97問

    Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。X線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。 Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。 Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。

    • 1.1

    • 2.2

    • 3.3

    • 4.4

    解答・解説

    1.(×)前腕の橈骨近位端骨折に対する固定法です。
    2.(×)副子が腋窩を圧迫しており、腋窩神経麻痺を引き起こすおそれがあります。
    3.(○)上腕骨近位部骨折に対しては、肩から肘までの長さの副子を骨折部の外側から当てて固定し、三角巾で腕を吊り、それを弾性包帯で身体に巻き付けます。正しい固定法です。
    4.(×)鎖骨バンドを用いています。鎖骨骨折に対する固定法です。

    第98問

    Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。X線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。 入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。

    • 1.右腕を使って起き上がる。

    • 2.しばらく座位をとってから立ち上がる。

    • 3.骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。

    • 4.ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。

    解答・解説

    Aさんは、左不全麻痺と右の上腕骨近位部骨折のため左右のバランスが取りづらく、転倒・転落を起こしやすい状態です。
    1.(×)上腕骨近位部骨折で固定中の右腕を使って起き上がることは考えられません。
    2.(○)Aさんは一日の多くをベッドで寝て過ごしているため、急に起き上がると起立性低血圧を招いて転倒・転落のリスクが高まります。それを予防するため、しばらく座位を維持してから立位に移ることが適切です。
    3.(×)回復を促進するため、できる範囲で活動してもらうことは大切ですが、無理を強いてはなりません。まずは痛みの原因の確認、痛みの程度のアセスメントが必要です。
    4.(×)転倒・転落のリスクを下げるため、ベッドの高さは腰掛けたときに足底が床に着くよう調整しておきます。

    第99問

    Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。X線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折(proximal humerus fracture)と診断され、入院した。 Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。 退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。

    • 1.家の中で過ごす。

    • 2.歩幅を小さくして歩く。

    • 3.足関節の底背屈運動をする。

    • 4.就寝前に睡眠薬を内服する。

    解答・解説

    1.(×)確かに転倒のリスクは低くなりますが、活動量が不足して廃用症候群につながるおそれがあります。心身の健康を保つため、適度な活動量が必要です。
    2.(×)歩幅を小さくすることで支持基底面が狭くなり、転倒のリスクが高まります。
    3.(○)足関節の機能は、歩行時を含めた姿勢の安定性に大きく影響します。特に、足関節の底背屈がスムーズに行えず、歩行のタイミングとずれることで、つまずいて転倒しやすくなります。したがって、足関節の機能を維持・向上させるよう指導することは適切です。
    4.(×)Aさんは「夜間に中途覚醒することが多い」状態ですが、睡眠薬の服用は転倒・転落のリスク因子となります。夜間の中途覚醒に対しては、日中の運動や生活リズムの調整など、別の方法で対処します。

    第100問

    Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギー(food allergy)と診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。

    • 1.体 温

    • 2.心拍数

    • 3.腸蠕動音

    • 4.蕁麻疹の範囲

    解答・解説

    Aちゃんは食物アレルギーと診断され、蕁麻疹と咳嗽が出現しており、そのときの状況からアナフィラキシーが生じていると考えられます。食物アレルギーによるアナフィラキシーでは、皮膚症状(蕁麻疹に伴うかゆみなど)や呼吸器症状(咳嗽や喘鳴など)のほか、頻脈や血圧低下、意識レベルの低下など生命に関わる症状(アナフィラキシーショック)をきたすこともあるため、選択肢の中では心拍数の観察が最も優先されます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第101問

    Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギー(food allergy)と診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 Aちゃんは、食物アレルギーによるアナフィラキシー(anaphylaxis)と診断された。アドレナリンの筋肉内注射の後、点滴静脈内注射による補液と酸素吸入が開始された。バイタルサインは問題なく、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であったが、経過観察のため入院となった。Aちゃんは「お母さんに会いたい。おうちに帰りたい」と泣き始めた。母親は、保育所から連絡を受けて病院に到着し、医師から現在の病状について説明を受けた。母親は「Aは大丈夫ですか」と看護師に不安を訴えていた。 母親への看護師の対応として最も適切なのはどれか。

    • 1.入院中の生活の留意点を説明する。

    • 2.父親が到着するまで待合室で待機してもらう。

    • 3.来院時から現在までのAちゃんの様子を伝える。

    • 4.Aちゃんが食物アレルギーと診断されたときの母親の思いを聴く。

    解答・解説

    1.(×)母親は病院に到着して医師の説明を受けたばかりであり、看護師に対して不安を訴えている状態です。その不安に向き合う必要があります。
    2.(×)Aちゃんも母親も互いに一刻も早く会いたがっています。
    3.(○)医師から病状に関する説明はしていますが、それ以外の様子について看護師の目線から観察したことを伝えることが望ましいといえます。母親は、わが子の緊急入院に際して病院に急行してきており、状況が完全には把握できない中で不安を抱えていることを理解し、寄り添う姿勢を見せることが大切です。
    4.(×)設問のタイミングで、診断時にさかのぼって母親の思いを聴く必要はありません。

    第102問

    Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギー(food allergy)と診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 翌日、Aちゃんは症状が落ち着いたため退院することとなった。母親は「卵を除去した給食を出してもらっていたのですが、また今回の様なことが起こるのではないかと心配です」と不安な様子である。 このときの母親への指導として最も適切なのはどれか。

    • 1.「保育所はしばらくお休みしましょう」

    • 2.「給食内容を保育所の栄養士に相談しましょう」

    • 3.「今後の給食時の対応を保育士と相談しましょう」

    • 4.「保育所の園児に保育士からアレルギーについて説明してもらいましょう」

    解答・解説

    1.(×)Aちゃんは症状が落ち着いて退院となっており、保育所を休む必要はありません。
    2.(×)「卵を除去した給食を出してもらっていた」ので、給食内容に問題はありません。
    3.(○)Aちゃんが「隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取」したことが発端となっており、同じことを繰り返さないようにする必要があります。母親としてAちゃん本人へ指導するとともに、保育所の保育士に必要な対応を相談するよう勧めます。
    4.(×)保育所の園児にアレルギーについて理解させることは難しいと考えられます。母親への指導として最も適切とはいえません。

    第103問

    在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。 身体所見:身長49.0cm、体重2,900g、頭囲33.0cm、胸囲32.0cm。直腸温37.8℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全下降。外表奇形はなし。 検査所見:Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH7.30。 この児のアセスメントで適切なのはどれか。

    • 1.新生児仮死

    • 2.成熟児

    • 3.高体温

    • 4.水頭症(hydrocephalus)

    解答・解説

    1.(×)新生児仮死は出生時に循環不全や呼吸不全(低酸素)に陥る病態で、それに引き続いて全身臓器の機能障害をきたします。判定基準にはアプガースコアが用いられ、出生後1分後・5分後でスコアを取り、7点以上であれば正常、7点未満を第1度仮死、4点未満を第2度仮死とします。設問の児のアプガースコアは1分後9点、5分後10点なので正常です。
    2.(○)在胎38週4日なので正期産児であり、体重2,900gも適正です。「皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全下降。外表奇形はなし」という所見からも成熟度の高さが判断できます。なお、新生児の成熟度を評価するためには、Dubowitz法やNew Ballard法が用いられます。
    3.(×)直腸温37.8℃は基準範囲内です。
    4.(×)水頭症では頭囲拡大がみられますが、頭囲33.0cmは基準範囲内です。

    第104問

    在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。 身体所見:身長49.0cm、体重2,900g、頭囲33.0cm、胸囲32.0cm。直腸温37.8℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全下降。外表奇形はなし。 検査所見:Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH7.30。 出生後2時間。児のバイタルサインを確認したところ、直腸温37.5℃、呼吸数75/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉87%であった。心雑音はなし。鼻翼呼吸および呻吟がみられた。四肢末端にチアノーゼあり。 この児の状態で考えられるのはどれか。

    • 1.胎便吸引症候群〈MAS〉(meconium aspiration syndrome)

    • 2.呼吸窮迫症候群〈RDS〉(respiratory distress syndrome)

    • 3.心室中隔欠損症〈VSD〉(ventricular septal defect)

    • 4.新生児一過性多呼吸〈TTN〉(transient tachypnea of newborn)

    解答・解説

    1.(×)出産時に羊水混濁はみられず、胎便吸引症候群の可能性は考えにくいでしょう。
    2.(×)新生児の呼吸窮迫症候群は、肺の未熟性による肺サーファクタントの欠乏によって引き起こされます。在胎37週未満で出生した新生児でよくみられ、未熟性が高いほどリスクも高まります。呻吟呼吸、呼吸補助筋の使用、鼻翼呼吸などが出産後すぐに出現し、悪化するとチアノーゼ、不規則呼吸、無呼吸が現れます。
    3.(×)心室中隔欠損症は、左右の心室の間の壁である心室中隔に孔が開く先天性心疾患です。症状は、孔の大きさにより、無自覚の場合から呼吸数増加、哺乳不良の必発まで程度の差があります。心雑音の聴取や心電図などで診断しますが、設問の児は心雑音なしだったので、心室中欠損症の可能性は考えにくいでしょう。
    4.(○)新生児一過性多呼吸は、出生直後に呼吸窮迫が起こった場合に疑われ、帝王切開児に多くみられるとされます。頻呼吸、肋間および肋骨下の陥凹、呻吟、鼻翼呼吸、チアノーゼなどをきたします。設問の児は、新生児一過性多呼吸である可能性が最も高いと考えられます。

    第105問

    在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。 身体所見:身長49.0cm、体重2,900g、頭囲33.0cm、胸囲32.0cm。直腸温37.8℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全下降。外表奇形はなし。 検査所見:Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH7.30。 日齢7。児の体重は2,930g(前日より30g増加)。バイタルサインは、腋窩温37.0℃、呼吸数50/分、心拍数140/分。大泉門は平坦。排尿7回/日、排便10回/日の普通便である。経皮的黄疸計による測定値12.5mg/dL。児の母親は母乳育児を希望している。母乳分泌量は良好で乳房トラブルはない。直接授乳を1日12回しており、搾乳や人工乳は哺乳していない。母親は看護師に「体重は生まれたときから30gしか増えていませんが、大丈夫でしょうか」と話した。 母親への対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.「乳房を温めましょう」

    • 2.「哺乳量を測りましょう」

    • 3.「搾乳も追加であげましょう」

    • 4.「このまま直接授乳を続けて良いですよ」

    解答・解説

    1.(×)直接授乳を1日12回しており、搾乳や人工乳の哺乳をしていないことからも、乳房の状態は良好だと考えられます。乳房を温めるなどの特別な乳房ケアは今のところ必要ありません。
    2.(×)児の体重が前日より30g増加していることから、哺乳量は足りていると考えられます。
    3.(×)児の体重増加に問題なく、授乳回数も1日12回と十分なので、搾乳の追加は必要ありません。
    4.(○)設問の児の体重増加は、一般的な新生児の増加に近いもので、前日より30g増加しており、授乳回数、母乳分泌量ともに問題がないことが分かります。また、児のバイタルサインも正常で、黄疸に関しても新生児黄疸であり、病的な黄疸ではないと考えられます。児の成長は順調なので、このまま直接授乳を続けることが適切です。また、母親の不安を取り除くためにも、順調であることを肯定する必要があると考えられます。

  • 第106問

    Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2カ月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。 Aさんの退院について、両親は「退院は反対。入院前のように隣人とトラブルになるのではないかと不安です。私達も高齢になってきたので負担が大きいです」と話した。 このときの両親への看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.退院後に活用できる社会資源について情報提供する。

    • 2.Aさんの主治医に入院の継続を依頼するよう勧める。

    • 3.Aさんの現在の病状を隣人に説明するよう勧める。

    • 4.退院の承諾は家族の義務であることを伝える。

    解答・解説

    Aさんは「家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた」「自分の身の回りのことは自分で行えるようになった」「作業療法も継続して参加できている」状態であり、検討の結果として退院が可能であれば、地域に戻って暮らしていけるよう支援・調整を行います。
    1.(○)Aさんの両親は、Aさんを受け入れることへの負担感から退院に反対しています。社会的入院を防ぐためにも、負担感を軽減できる社会資源について情報提供するとよいでしょう。
    2.(×)設問においてAさん本人の退院に関する意思は明らかではなく、まずはその確認が必要です。両親の立場のみに寄り添った言動は慎むべきでしょう。
    3.(×)Aさん本人の同意なく、病状を第三者へ伝えることはできません。
    4.(×)家族の義務だと説得して退院させても、Aさんと両親のどちらにとっても幸せなことにはならないでしょう。

    第107問

    Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2カ月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。 Aさんの退院について、両親は「退院は反対。入院前のように隣人とトラブルになるのではないかと不安です。私達も高齢になってきたので負担が大きいです」と話した。 その後もAさんの両親は、高齢であることを理由に自宅への退院には同意しなかった。 Aさんの退院を計画的に進めるために行うことで適切なのはどれか。

    • 1.精神医療審査会の開催

    • 2.入院診療計画書の修正

    • 3.行動制限最小化委員会の開催

    • 4.医療保護入院者退院支援委員会の開催

    解答・解説

    1.(×)精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療および保護を確保するため、精神科病院に入院している精神障害者の処遇などについて専門的かつ独立的に審査する機関で、精神保健福祉法に基づき、都道府県知事の下に設置されています。
    2.(×)入院診療計画書は、医療保護入院者の入院時に提出する書類で、治療計画や推定される入院期間などが記載されています。
    3.(×)行動制限最小化委員会は、やむを得ず精神科で行われる隔離や身体拘束を極力なくしていく目的で、院内の情報交換・共有のために設置される委員会です
    4.(○)医療保護入院者退院支援委員会は、医療保護入院者の入院継続の必要性を検討し、退院可能であれば具体的な退院支援の方法を探るために設置される委員会です。医療保護入院が本人の同意を得ることなく行われる入院であることを踏まえ、本人の人権擁護の観点から、できるだけ早期の退院を促進することを目的としています。

    第108問

    Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2カ月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。 Aさんの退院については、アパートでの単身生活か、共同生活援助〈グループホーム〉での生活を目指すことになった。 Aさんの精神科リハビリテーションを進めるにあたり、病棟看護師が連携する職種で最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.退院後生活環境相談員

    • 2.理学療法士

    • 3.介護福祉士

    • 4.栄養士

    解答・解説

    退院後生活環境相談員は、医療保護入院者の退院に向けた相談支援、地域の援助事業者の紹介、退院後の住居確保に関する調整などを担当し、退院支援の中心的存在となります。退院後生活環境相談員になることができるのは、(1)精神保健福祉士、(2)保健師等(保健師、看護師、准看護師、作業療法士、社会福祉士)であって精神障害者に関する業務の経験がある者などです。なお、Aさんは「自分の身の回りのことは自分で行えるようになった」ため、介護福祉士と連携する優先度は高くないと考えられます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第109問

    Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病(type2diabetes mellitus)と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。

    • 1.糖質を含まない水分を摂取する。

    • 2.労作後は食事摂取量を増やす。

    • 3.決まった食事時間を設定する。

    • 4.空腹感に応じて食事を摂る。

    解答・解説

    「時々汗が出て手が震えることがあります」というAさんの訴えから、しばしば低血糖症状をきたしていることがうかがえます。低血糖症状は、血糖値70mg/dL以下、あるいは70mg/dL以上であっても通常の数値より大幅に低下した場合に現れるとされています。
    1.(×)低血糖時は、糖質の補給が必要です。血糖値を速やかに上昇させるブトウ糖や砂糖を含んだアメやジュースが適しています。
    2.(×)インスリン療法施行時は、毎食の食事量(エネルギー摂取量)をおおむね一定に保つ必要があります。
    3.(○)Aさんは長女の帰宅を待って夕食を摂ったため、低血糖につながったと考えられます。インスリン療法施行時は、できるだけ決まった時間に食事を摂るよう指導します。
    4.(×)インスリン療法施行時は、毎食の食事量と食事時間をおおむね一定に保つ必要があります。

    第110問

    Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病(type2diabetes mellitus)と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 1カ月後、Aさんと一緒に外来を訪れた長女は「今までインスリンの治療は母に任せてきましたが、母は眼が見えにくく、インスリンの量が多い日があったようです。母が自己注射を続けられるように、私も手伝えればと思います」と外来看護師に話した。外来受診時、Aさんに末梢神経障害の症状は認められず、手指の動きに問題はなかった。 Aさんがインスリン自己注射を行う上で、外来看護師が行う長女への助言で適切なのはどれか。

    • 1.「インスリンの量は娘さんが一緒に確認しましょう」

    • 2.「血糖測定は娘さんが代わりに行いましょう」

    • 3.「注射の針はつけたままにしましょう」

    • 4.「注射の部位は上腕を選びましょう」

    解答・解説

    1.(○)Aさんに末梢神経障害の症状は認められず、手指の動きに問題はないため、自己注射の手技は自身で完遂できるものと考えられます。「母は眼が見えにくく、インスリンの量が多い日があったようです」ということなので、正確なインスリン量がセットされているかどうかの確認のみ、長女に支援を依頼します。
    2.(×)インスリン療法では自己管理が大事であるため、本人にできることは本人に任せます。
    3.(×)注射針は1回限りの使い切りです。使用済みの注射針は病院などへ引き渡し、医療廃棄物として処理します。
    4.(×)インスリンの注射部位として上腕もあり得ますが、通常は腹壁を選択します。

    第111問

    Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病(type2diabetes mellitus)と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 6カ月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。Aさんは黙って話を聞いていた。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。 外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。

    • 1.「糖尿病食の作り方を覚えましょう」

    • 2.「厳しいことを言わないようにしましょう」

    • 3.「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」

    • 4.「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」

    解答・解説

    1.(×)糖尿病食とは、血糖値を急激に上昇させないように配慮しつつ、適切なエネルギー量と栄養バランスを保った食事のことです。Aさんが甘い物ばかり食べてしまうことと直接の関連はありません。
    2.(×)長女の気持ちに寄り添わない否定的発言であるうえ、問題解決につながりません。
    3.(×)問題の短絡的な対処にはなるでしょうが、Aさんの現在の気持ちを踏まえ、主体的な行動改善を引き出す支援が望ましいでしょう。
    4.(○)生活全般の自己管理へ向けて、Aさんが主体的に取り組めるよう支援していきます。Aさんの気持ちを聞くだけで解決に至ることは難しいにしても、課題を乗り越えるための第一歩として傾聴することから道が開けるはずです。

    第112問

    Aさん(38 歳、男性)。23 時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。

    • 1.Aさんの在留資格を確認する。

    • 2.Aさんの母国の大使館に連絡する。

    • 3.Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。

    • 4.妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。

    解答・解説

    1.(×)まずはAさんが救急の初療を受けられるようサポートする必要があります。そもそも、在留資格の確認は看護師に求められる業務ではありません。なお、在留資格とは、外国人が特定の活動(Aさんの場合は留学)に従事する場合などにおいて、一定期間の日本在留を許可するものです。
    2.(×)在留資格の確認と同様、看護師に求められる業務ではありません。仮に大使館への連絡が必要な状況であっても、そのことは事務スタッフなどに任せ、看護師の本来業務に注力します。
    3.(○)Aさんは日本語学校の学生であり、少しは日本語を話すことができます。努めて平易な言葉を用いながらコミュニケーションを図り、Aさんの症状を把握します。
    4.(×)救急外来の場面であり、妻が来院する1時間後まで待たせるような悠長な対応は不適切です。

    第113問

    Aさん(38 歳、男性)。23 時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影〈CAG〉を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。 このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。

    • 1.検査の手順を説明する。

    • 2.学校は退学にならないことを説明する。

    • 3.宗教に応じた食事対応ができることを説明する。

    • 4.医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。

    解答・解説

    1.(×)Aさんが冠動脈造影を拒んでいる時点において、その手順を説明する優先度は低いでしょう。
    2.(×)Aさんが通う日本語学校について詳しい情報を得ておらず、「退学にならない」と保証することはできません。安心させるためであったとしても、適切ではありません。
    3.(×)Aさんの宗教に関する記述は設問中にありません。宗教に応じた食事対応が必要だったとしても、冠動脈造影施行前の時点において、説明する優先度は低いでしょう。
    4.(○)Aさんは国民健康保険証を持っており、当然、設問の診療にかかる費用には保険が適用されます。このことを説明することで、Aさんの「たくさんの費用は支払えない」という不安を和らげることができるでしょう。

    第114問

    Aさん(38 歳、男性)。23 時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。 入院後2日、冠動脈造影〈CAG〉が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎(acute pericarditis)と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。 看護師の対応で優先されるのはどれか。

    • 1.Aさんの痛みの程度を確認する。

    • 2.医師に鎮痛薬の増量を相談する。

    • 3.Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認する。

    • 4.Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘する。

    解答・解説

    1.(○)5日分処方された消炎鎮痛薬を2日で使い切っていることから、処方内容が不適切であったか、検査に何らかの不手際があったか、あるいは誤診であった可能性も考えられなくはありません。まずは胸痛の程度を確認することが最優先されます。
    2.(×)まずはベッドサイドの看護師として痛みの程度を確認し、その後に医師への報告・相談を行います。医師としても、看護師からの情報があれば判断しやすくなります。
    3.(×)以前常用していた市販の鎮痛薬の用量は、Aさんへの対応を検討するうえで必要な情報ではありますが、まずは痛みの程度の確認が優先されます。
    4.(×)Aさんのアドヒアランスに問題があったとしても、その背景を探ることが必要であり、問題を指摘するだけでは解決につながりません。

    第115問

    Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。Aさんは掻痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚掻痒症(pruritus senilis)と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。 初診から1か月後、皮膚科の外来でAさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話した。 この状況から、Aさんに障害が起きていると考えられる摂食・嚥下の段階はどれか。

    • 1.先行期

    • 2.準備期

    • 3.咽頭期

    • 4.食道期

    解答・解説

    摂食嚥下には5つの段階があると考えられています。すなわち、(1)食べ物を認識して口へ運ぶ「先行期」、(2)食べ物を口に入れ、咀嚼して食塊を形成する「準備期」、(3)舌を使って食塊を咽頭へ送り込む「口腔期」、(4)嚥下反射により、食塊を咽頭から食道入口部へ送り込む「咽頭期」、(5)食道へ入った食塊が胃へと送り込まれる「食道期」です。Aさんは抗ヒスタミン薬を内服しており、その抗コリン作用のため口渇が生じています(唾液分泌を促す作用を持つアセチルコリンの働きを阻害するため)。口渇が生じた結果、咀嚼した食べ物と唾液を混ぜ合わせて食塊を作ることが困難になっていると考えられます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第116問

    Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。Aさんは掻痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚掻痒症(pruritus senilis)と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。 Aさんは「食べにくくてあまり食事が摂れていない。階段の昇り降りをしたり、10分以上歩いたりすると疲れてしまい、あまり外に出なくなった」と言う。体重は1か月間で2kg減少していた。他に自覚症状はなく、血液検査の結果は、血清蛋白の低下の他に異常はなかった。 このときのAさんに出現している現象として最も考えられるのはどれか。

    • 1.脱 水

    • 2.筋肉量の減少

    • 3.胃酸の分泌増加

    • 4.関節可動域〈ROM〉の制限

    解答・解説

    1.(×)脱水をきたすと、血液濃縮が起こるため血清蛋白は増加しますが、Aさんの場合は低下しています。
    2.(○)栄養状態の指標の一つである血清蛋白が低下しています。これは、抗ヒスタミン薬の抗コリン作用により口渇が生じ、その口渇のため咀嚼した食べ物と唾液を混ぜ合わせて食塊を作ることが困難になり、経口摂取量が減ったためと考えられます。この状態では筋肉の蛋白質が消費され、筋肉量の減少を招くことになります。
    3.(×)胃酸の分泌増加を思わせるような記載はありません。
    4.(×)階段の昇り降りや、ある程度の歩行ができているため、関節可動域〈ROM〉の制限は考えにくいでしょう。

    第117問

    Aさん(31歳、初産婦)。妊娠40週1日。Aさんは午前5時に、陣痛間欠10分、陣痛発作10秒となり入院した。入院時の内診所見は子宮口1cm開大で、未破水であった。 Aさんは、午後2時に子宮口が4cmまで開大し、破水した。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。 胎児心拍数陣痛図の情報で正しいのはどれか。

    • 1.陣痛間欠4分

    • 2.陣痛発作10秒

    • 3.母体脈拍数50/分

    • 4.胎児心拍数基線150~160bpm

    解答・解説

    1.(×)陣痛間欠は、陣痛周期において子宮の収縮が休止するタイミング(陣痛発作が終わってから、次の陣痛発作が始まるまでの時間)です。下段のグラフ(子宮収縮曲線)から、陣痛間欠は2分弱程度であることが分かります。
    2.(×)陣痛発作時間は、子宮収縮曲線において、基線からピークまでの高さの1/5の点で波形の両端を結んだ長さで示されます。10秒ほど短くはありません。
    3.(×)胎児心拍数陣痛図において、母体の脈拍数は記録されません。
    4.(○)胎児心拍数基線とは、10分の区画におけるおおよその平均心拍数であり、5の倍数で表されます。一過性変動がある部分は除き、少なくとも2分以上続く部分で読まなければなりません。110bpm未満で徐脈、160bpm超で頻脈とします。設問の図における胎児心拍数基線は150~160bpmです。

    第118問

    Aさん(31歳、初産婦)。妊娠40週1日。Aさんは午前5時に、陣痛間欠10分、陣痛発作10秒となり入院した。入院時の内診所見は子宮口1cm開大で、未破水であった。 Aさんは、午後2時に子宮口が4cmまで開大し、破水した。 このとき、Aさんは陣痛のたびに緊張して身体を固くし、痛みがないときは眠そうにしている。昼食は、プリン1個と牛乳1本を摂っている。Aさんは「赤ちゃんは、なかなか生まれないですね」と疲れた表情で看護師に話す。 このときのAさんへの対応として適切なのはどれか。

    • 1.「陣痛に合わせていきんでみましょう」

    • 2.「眠いときは眠るようにしましょう」

    • 3.「階段の昇り降りをしましょう」

    • 4.「お風呂に入ってみましょう」

    解答・解説

    1.(×)陣痛発作は起こっているものの子宮口が全開大する前に破水する、早期破水の状態です。この段階で息むことは時期尚早です。
    2.(○)Aさんは「痛みがないときは眠そう」で、「疲れた表情」を見せています。まだ分娩には至らない段階であり、体力を蓄えるためにも眠れるようなら眠っておくことを勧めます。
    3.(×)破水をきたしており、疲労感も隠せないことから、階段の昇り降りを勧めることは適切ではないでしょう。
    4.(×)破水をきたしており、上行感染のリスクがあるため、入浴は避けるようにします。

    第119問

    Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症(functional dysmenorrhea)と診断された。既往歴に特記すべきことはない。 Aさんの下腹部痛についての説明で適切なのはどれか。

    • 1.プロスタグランディンの過剰産生によって起こる。

    • 2.無排卵性の月経によって起こる。

    • 3.卵巣内のうっ血によって起こる。

    • 4.経血の流出によって起こる。

    解答・解説

    月経困難症は、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2つに分類されます。機能性月経困難症は子宮や卵巣に特に異常がないのに症状が現れるもので、器質性月経困難症は痛みの原因となる器質性病変が骨盤腔内に存在するものです。
    1.(○)子宮内膜から通常より多くのプロスタグランジンが分泌され、子宮が過剰に収縮することで血管攣縮や子宮筋虚血が引き起こされ、下腹部痛につながります。
    2.(×)月経困難症は排卵を伴うことが多く、排卵が月経困難症の成因に関与していると考えられています。初経後まもなくは無排卵であることが多いため、月経困難症は認められにくいといえます。
    3.(×)卵巣内のうっ血は、月経困難症とは関係がありません。
    4.(×)過剰なプロスタグランジンの分泌による子宮の過度の収縮が、下腹部痛の原因と考えられます。

    第120問

    Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症(functional dysmenorrhea)と診断された。既往歴に特記すべきことはない。 Aさんは「次の月経からは、痛みがあれば、処方された鎮痛薬を飲むようにします。部活動で毎日ジョギングをしていますが、その他に日常生活で気を付けることを教えてください」と看護師に聞いてきた。 このときの看護師の指導で適切なのはどれか。

    • 1.運動量を増やす。

    • 2.下腹部を温める。

    • 3.葉酸を含む食品は控える。

    • 4.腰部のマッサージは控える。

    解答・解説

    一般的な月経困難症の対処療法としては、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を投与して、子宮内膜でのプロスタグランジン合成を抑制します。また、排卵を抑制するために低用量ピルを使用します。
    1.(×)適度な運動は症状の改善に有効ですが、すでにAさんは部活動で毎日ジョギングをしているので、これ以上運動量を増やす必要はないと考えられます。
    2.(○)子宮の血流が悪くなると子宮の筋肉が硬くなり、痛みを起こしやすくなります。子宮や腰回りを温めて血行を良くすることで、症状の改善が期待できます。薬物療法に頼りすぎず改善の道を探るという意味でも、適切な指導だといえます。
    3.(×)葉酸を含む食品が月経困難症にもたらす効果について、明確なエビデンスはありません。
    4.(×)腰部のマッサージは、血行の促進や痛みを和らげる効果が期待できます。

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