2016年度(第106回) 看護師国家試験 過去問・解答 午後 | 看護師の求人・転職情報はマイナビ看護師

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2016年度(第106回)
看護師国家試験 過去問・解答 午後

午後

  • 第1問

    日本の平成26年(2014年)の死亡数はどれか。

    • 1.約47万人

    • 2.約87万人

    • 3.約127万人

    • 4.約167万人

    解答・解説

    人口動態統計によると、日本の平成26年(2014年)の死亡数は127万3004人で、前年の126万8436人に比べて4568人増加しました。一方、日本の平成26年の出生数は100万3539人で、出生数から死亡数を差し引いた自然増減数は26万9465人のマイナスとなっています。少子高齢化が色濃く反映された結果といえ、日本社会の行く末が懸念されます。なお、令和元年(2019年)のデータでは、死亡数は138万1093人となっています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第2問

    平成25年(2013年)の国民健康・栄養調査による40歳代男性の肥満者の割合に最も近いのはどれか。

    • 0.0115

    • 0.0235

    • 0.0355

    • 0.0475

    解答・解説

    平成25年(2013年)の国民健康・栄養調査によると、BMI 25以上の肥満者の割合は、40歳代男性で34.9%、40歳代女性で14.8%となっています。40歳代男性における肥満者の割合は低いとはいえず、「健康日本21(第二次)」では20~60歳男性における肥満者の割合を28%以下にすることを目標に定めていますが、達成は難しい状況です。なお、令和元年(2019年)のデータでは、BMI 25以上の肥満者の割合(20歳以上)は男性33.0%、女性22.3%となっており、直近10年間でみると、女性では有意な増減はみられないが、男性では平成25年から令和元年の間に有意に増加しているとされています。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第3問

    光化学オキシダントの原因物質はどれか。

    • 1.ヒ素

    • 2.フロン

    • 3.窒素酸化物

    • 4.ホルムアルデヒド

    解答・解説

    1.(×)ヒ素は、毒物及び劇物取締法で毒物に指定されており、人体に極めて有害です。
    2.(×)フロンはオゾン層を破壊するため、フロン排出抑制法で規制されています。
    3.(○)光化学オキシダントは、太陽光(紫外線)の作用により炭化水素と窒素酸化物(NOx)が光化学反応して生成される有害物質です。粘膜や皮膚を刺激して、眼の痛みや異物感、流涙、喉の痛み、咳などを引き起こすことがあります。
    4.(×)ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質として知られます。家具や建築資材、壁紙の接着剤などに含まれるホルムアルデヒドが徐々に室内へ放散され、眼や気道への刺激、呼吸困難などを引き起こすことがあります。

    第4問

    後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。

    • 1.医療法

    • 2.健康保険法

    • 3.高齢社会対策基本法

    • 4.高齢者の医療の確保に関する法律

    解答・解説

    高齢者の医療の確保に関する法律は、人口高齢化に伴って膨れ上がる国民医療費に対応しつつ、高齢期における適切な医療の確保を図るため、2008年に施行されました。後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、原則として75歳以上の後期高齢者を従来の健康保険等から切り離して被保険者とする独立した医療保険制度で、本法施行と同時に運用が開始されました。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第5問

    国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。

    • 1.疾病の回復

    • 2.医師の補助

    • 3.苦痛の緩和

    • 4.薬剤の投与

    解答・解説

    看護師の倫理に関する国際的な綱領は、1953年に国際看護師協会(ICN)によって初めて採択されました。直近の改訂は2012年に行われています。同綱領の前文には「看護師には4つの基本的責任がある。すなわち、健康を増進し、疾病を予防し、健康を回復し、苦痛を緩和することである。看護のニーズはあらゆる人々に普遍的である」と謳われています。なお、ICNは1899年に設立された看護師の国際的な団体(本部はスイスのジュネーブにある)で、日本看護協会も主要会員協会として加盟しています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第6問

    肺サーファクタントの分泌によって胎児の肺機能が成熟する時期はどれか。

    • 1.在胎10週ころ

    • 2.在胎18週ころ

    • 3.在胎26週ころ

    • 4.在胎34週ころ

    解答・解説

    肺サーファクタントは肺胞のII型上皮細胞から分泌され、肺胞表面の気液界面における表面張力を低下させることにより肺胞の虚脱を防ぎ、スムーズな呼吸を可能にしています。肺サーファクタントは脂質と蛋白質の複合物質であり、全体の約9割が脂質(うち約8割がリン脂質)です。呼吸に必要な気道と肺胞の構造が完成するのは在胎24週頃ですが、まだ十分に肺サーファクタントが分泌されていないので、スムーズな呼吸ができません。在胎33~36週には、肺サーファクタントが多く分泌されるようになり、胎児の肺機能が成熟します。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第7問

    入院患者の与薬時に誤認を防止するために確認するのは患者の名前とどれか。

    • 1.診察券

    • 2.お薬手帳

    • 3.健康保険証

    • 4.ネームバンド

    解答・解説

    基礎代謝量は、心身ともに安静な状態において、生命を維持するために消費される必要最小限のエネルギー代謝量です。基礎代謝量は年齢・性別が同じであれば体表面積にほぼ比例します。しかし、体表面積を測定することは難しいため、近似値として体重当たりの基準値が広く用いられています。基礎代謝量は、通常は10歳代をピークとして、加齢につれて低下していきます。また、筋肉と脂肪の比率も基礎代謝量に大きく影響し、筋肉量の少ない人は基礎代謝量が低くなります。一般的に加齢に伴って筋肉などの除脂肪量が減少するため、基礎代謝量も低下します。「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」に示されている日本人の年代別基礎代謝基準値は、青年期に当たる15~17歳男性が1,610kcal/日、女性が1,310kcal/日、18~29歳男性が1,520kcal/日、女性が1,110kcal/日となっていて、他の時期よりも多くなっています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第8問

    基礎代謝量が最も多い時期はどれか。

    • 1.青年期

    • 2.壮年期

    • 3.向老期

    • 4.老年期

    解答・解説

    基礎代謝量は、心身ともに安静な状態において、生命を維持するために消費される必要最小限のエネルギー代謝量です。基礎代謝量は年齢・性別が同じであれば体表面積にほぼ比例します。しかし、体表面積を測定することは難しいため、近似値として体重当たりの基準値が広く用いられています。基礎代謝量は、通常は10歳代をピークとして、加齢につれて低下していきます。また、筋肉と脂肪の比率も基礎代謝量に大きく影響し、筋肉量の少ない人は基礎代謝量が低くなります。一般的に加齢に伴って筋肉などの除脂肪量が減少するため、基礎代謝量も低下します。「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」に示されている日本人の年代別基礎代謝基準値は、青年期に当たる15~17歳男性が1,610kcal/日、女性が1,310kcal/日、18~29歳男性が1,520kcal/日、女性が1,110kcal/日となっていて、他の時期よりも多くなっています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第9問

    介護老人保健施設の設置目的が定められているのはどれか。

    • 1.介護保険法

    • 2.健康保険法

    • 3.地域保健法

    • 4.老人福祉法

    解答・解説

    介護保険施設には、介護老人保健施設(老健)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護療養型医療施設、介護医療院の4種類があります。介護老人保健施設は介護保険法に基づき設置され、その目的は同法において「要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うこと」であると規定されています。なお、介護療養型医療施設は廃止が決まっており、2024年3月末までの経過措置期間が設けられています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第10問

    病床数300床以上の医療機関で活動する感染制御チームで適切なのはどれか。

    • 1.医師で構成される。

    • 2.各病棟に配置される。

    • 3.アウトブレイク時に結成される。

    • 4.感染症に関するサーベイランスを行う。

    解答・解説

    感染制御チーム(infection control team;ICT)の構成や機能についての問題です。ICTは、サーベイランスのほか、院内での感染対策処置の評価や指導、院内感染症に関する教育なども担ってます。
    1.(×)医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、栄養士などのさまざまな職種で構成されています。
    2.(×)感染制御チームは各部署に感染対策の責任者を配置し、院内で横断的に活動することで院内感染のコントロールに努めます。
    3.(×)アウトブレイク時にのみ結成されるものではなく平時から活動しています。
    4.(○)感染症サーベイランスは、院内感染の発生状況を迅速かつ継続的に調査・集計することです。感染制御チームの業務の一つであり、サーベイランスで得られた情報を分析・評価して改善策を講じます。

    第11問

    神経伝達物質はどれか。

    • 1.アルブミン

    • 2.フィブリン

    • 3.アセチルコリン

    • 4.エリスロポエチン

    解答・解説

    1.(×)アルブミンは血漿蛋白質の一つで、血液の浸透圧を維持するなどの働きをします。
    2.(×)フィブリンは、血漿蛋白質の一種であるフィブリノゲンが血液凝固反応を受けて線維化したものです。 神経伝達には関与しません。
    3.(○)アセチルコリンは神経伝達物質の一つであり、交感神経、副交感神経、中枢神経、運動神経における化学伝達を担っています。アセチルコリンを伝達物質とする神経をコリン作動性神経と呼びます。アセチルコリンの受容体(コリン作動性受容体)にはムスカリン受容体とニコチン受容体の2種類があり、それぞれさらにいくつかのサブタイプに分かれています。
    4.(×)エリスロポエチンは腎臓で作られるホルモンで、骨髄に作用して主に赤血球を作る働きを促進します。

    第12問

    キューブラー・ロス, E(Kübler-Ross, E.)による死にゆく人の心理過程で第2段階はどれか。

    • 1.死ぬことへの諦め

    • 2.延命のための取り引き

    • 3.死を認めようとしない否認

    • 4.死ななければならないことへの怒り

    解答・解説

    スイスの精神科医エリザベス・キューブラー=ロスは、著書『死ぬ瞬間――死とその過程について』において、死にゆく人の心理過程のモデルを5段階に分けて考察しました。
    1.(×)死ぬことへの諦めは、第5段階の「受容」に当たります。
    2.(×)延命のための取り引きは、第3段階の「取り引き」に当たります。
    3.(×)死を認めようとしない否認は、第1段階の「否認・隔離」に当たります。
    4.(○)死ななければならないことへの怒りは、第2段階の「怒り」に当たります。

    第13問

    下血がみられる疾患はどれか。

    • 1.肝嚢胞(liver cyst)

    • 2.大腸癌(colorectal cancer)

    • 3.卵巣癌(ovarian cancer)

    • 4.腎盂腎炎(pyelonephritis)

    解答・解説

    1.(×)肝嚢胞では、肝臓に液体のたまった袋(嚢胞)が生じ、増大していきますが、多くの場合で無症状です。
    2.(○)大腸癌では、早期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、進行するについて下血(明らかな血液便、血液成分を含んだタール便、微量の潜血)や通過障害による下痢と便秘の繰り返しなどがみられます。
    3.(×)卵巣癌では、下血ではなく女性器からの不正出血がみられます。
    4.(×)腎盂腎炎では、尿道から侵入した大腸菌などが膀胱内中で増殖し、尿管を逆流して腎盂(腎臓と尿管の接続部)で炎症を引き起こします。下血ではなく血尿がみられます。

    第14問

    無尿の定義となる1日の尿量はどれか。

    • 1.0mL

    • 2.100mL未満

    • 3.400mL未満

    • 4.700mL未満

    解答・解説

    成人男子では1,500mL、成人女子では1,200mLが1日の平均尿量ですが、水分摂取量、水分喪失(下痢、嘔吐、高熱など)、環境条件(気温、湿度)といった条件で変動します。何らかの原因によって、1日の尿量が400mL未満に減少した状態が乏尿であり、100mL未満に減少した状態が無尿と定義されます。乏尿や無尿の状態が続くと、体内老廃物の排泄が低下して水分・電解質のバランスが崩れ、腎不全の状態に陥ります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第15問

    飛沫感染するのはどれか。

    • 1.疥癬(scabies)

    • 2.コレラ(cholera)

    • 3.A型肝炎(hepatitis A)

    • 4.インフルエンザ(influenza)

    解答・解説

    1.(×)疥癬はヒゼンダニ(皮癬ダニ)による皮膚感染症で、他人との肌の接触、リネン類を介した接触などで感染が広がっていきます。
    2.(×)コレラは、コレラ菌を含んだ水などを介した経口感染で広がります。
    3.(×)A型肝炎は、A型肝炎ウイルスに汚染された食物を口にしたり、ウイルスが付着した手で口に触れたりすることで経口感染します。また、性的接触による糞口感染も起こります。
    4.(○)インフルエンザは、くしゃみや咳を介したインフルエンザウイルスの飛沫感染、ウイルスが付着した手で口に触れることによる経口感染で広がります。

  • 第16問

    水痘(varicella)の症状はどれか。

    • 1.耳下腺の腫脹

    • 2.両頰部のびまん性紅斑

    • 3.水疱へと進行する紅斑

    • 4.解熱前後の斑状丘疹性発疹

    解答・解説

    1.(×)耳下腺の腫脹は、流行性耳下腺炎の症状です。
    2.(×)両頰部のびまん性紅斑は、伝染性紅斑の症状です。
    3.(○)水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルス感染による急性の伝染性疾患です。小児では発疹が初発症状となることが多く、成人では発疹出現前に1~2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがあります。発疹は全身性(体幹で最も多い)でかゆみを伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、痂皮化します。通常、予後は良好で7~10日で自然治癒しますが、抗ウイルス薬(アシクロビルまたはバラシクロビル)の投与を行うこともあります。
    4.(×)解熱前後の斑状丘疹性発疹は、突発性発疹の症状です。

    第17問

    血漿と等張のブドウ糖溶液の濃度はどれか。

    • 0.015

    • 0.021

    • 0.032

    • 0.045

    解答・解説

    1.(○)血漿と浸透圧が等しいブドウ糖溶液の濃度は5%です。
    2.(×)10%ブドウ糖溶液の浸透圧は、血液の約2倍です。エネルギー補充を目的とする場合などに使用されます。
    3.(×)20%ブドウ糖溶液の浸透圧は、血液の約4倍です。
    4.(×)50%ブドウ糖溶液の浸透圧は、血液の約10倍です。低血糖昏睡をきたしている糖尿病患者など、緊急投与が必要な場合に用いられます。

    第18問

    ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で「刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする」と定義されるのはどれか。

    • 1.I-3

    • 2.II-20

    • 3.III-100

    • 4.III-300

    解答・解説

    1.(×)I-3は、刺激しないでも覚醒している状態だが、自分の名前や生年月日が言えない意識レベルを表します。
    2.(×)II-20は、刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む状態で、大きな声や体を揺さぶることにより開眼する意識レベルを表します。
    3.(○)III-100は、刺激しても覚醒しない状態で、痛み刺激に対して払いのける動作をする意識レベルを表します。痛み刺激は、対象者の手指の爪を評価者の指で圧迫するなどして与えます。
    4.(×)III-300は、刺激しても覚醒しない状態で、痛み刺激に反応しない意識レベルを表します。

    第19問

    グリセリン浣腸を実施する際、腸管穿孔の危険性が最も高い体位はどれか。

    • 1.立位

    • 2.仰臥位

    • 3.腹臥位

    • 4.左側臥位

    解答・解説

    グリセリン浣腸を立位で実施すると、挿入したチューブが腸管にぶつかりやすく、腸管穿孔のリスクが高まります。実臨床でも、そうした事故事例が報告され、注意喚起されています。直腸、S字結腸、下行結腸は体の左側に位置しているため、左側臥位で実施すれば浣腸液をうまく到達させることができます。また、左側臥位では腹圧がかかりにくく、チューブを挿入しやすいというメリットもあります。左側臥位を取ることが難しければ、仰臥位でも可とされています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第20問

    体位を図に示す。 Sims〈シムス〉位はどれか。

    • 1.1

    • 2.2

    • 3.3

    • 4.4

    解答・解説

    1.(○)シムス位(半腹臥位)です。腹臥位と側臥位の中間の体位であり、上半身が腹臥位、下半身が側臥位の姿勢となります。シムス位は「昏睡体位」ともいわれ、意識障害時に嘔吐物による誤嚥や舌根沈下による窒息を予防するためにも用いられます。
    2.(×)左側臥位です。下になる上肢が体幹の下に挟まらないよう前方に出し、両下肢が重ならないようにずらすことで安定します。
    3.(×)クッションなどを利用した半側臥位、あるいは仰臥位から右側を軽度浮かせた状態です。
    4.(×)腹臥位です。顔を左右どちらかに向けたうつぶせの状態です。

    第21問

    Kaup〈カウプ〉指数の計算式はどれか。

    • 1.1

    • 2.2

    • 3.3

    • 4.4

    解答・解説

    1.(○)カウプ指数の計算式です。カウプ指数は、生後3か月から5歳までの乳幼児の発育状態(体格や栄養状態など)の目安となる数値であり、基準とされる値は月齢によって異なります。簡単な計算で標準的な発育かどうかを確認できますが、あくまでもその時点での評価であり、継続的な成長の指標とはならないことに注意が必要です。
    2.(×)ローレル指数の計算式です。ローレル指数は、学童期の発育状態の目安となる体格指数です。
    3.(×)BMIの計算式です。BMIは、成人の肥満度を表す体格指数です。
    4.(×)学童期の肥満度を評価する計算式です。

    第22問

    針刺し事故によって感染するのはどれか。

    • 1.RSウイルス

    • 2.B型肝炎ウイルス

    • 3.ヘルペスウイルス

    • 4.サイトメガロウイルス

    解答・解説

    1.(×)RSウイルスは、飛沫感染と接触感染で拡大します。
    2.(○)B型肝炎ウイルス(HBV)は血液を介して感染し、医療従事者の針刺し事故は性的接触による感染と並んで主要な感染経路となっています。HBVワクチン未接種などでHBVへの抵抗性がない場合、針刺し・切創により感染成立する頻度は10~30%にもなるとされています。
    3.(×)ヘルペスウイルスは、感染者の皮膚、唾液、精液などを介して感染します。
    4.(×)サイトメガロウイルスの主な感染経路には、唾液を介した接触感染や、胎盤を介した母子感染などがあります。

    第23問

    氷枕の作り方で適切なのはどれか。

    • 1.氷を隙間なく入れる。

    • 2.濡れたタオルで覆う。

    • 3.内部の空気は残しておく。

    • 4.水漏れがないことを確認する。

    解答・解説

    1.(×)氷を隙間なく入れると、氷のゴツゴツ感が感じられ、快適に使用できません。
    2.(×)氷枕を濡れたタオルで覆うと、周囲の寝具まで濡れて不快であるほか、必要以上の冷感を与えることになります。氷枕は乾いたタオルで覆います。
    3.(×)内部の空気を残しておくと、冷罨法の効果が薄れます。氷枕には、容量の2/3程度の氷を入れた後、水を入れます。
    4.(○)水漏れがあると、周囲の寝具が濡れて不快であるほか、必要以上の冷感を与えることになります。氷枕作成後、手で押したり逆さまにしたりして、水漏れがないことを確認してから使用します。

    第24問

    一次救命処置時の成人への胸骨圧迫の深さで適切なのはどれか。

    • 1.2~3cm

    • 2.5~6cm

    • 3.8~9cm

    • 4.11~12cm

    解答・解説

    一次救命処置における胸骨圧迫は、成人については胸骨が5~6cm沈む程度の強さで圧迫します(小児・乳児については、胸郭前後径の約1/3を圧迫)。毎回の圧迫後、胸壁が完全に元の位置に戻るまで除圧(圧迫解除)します。圧迫のテンポは1分間に100~120回とし、30回の圧迫と2回の人工呼吸を繰り返します。スピードは複数の救助者がいる場合は、お互いの胸骨圧迫の方法を観察し、適切な位置やテンポ、深さが維持されているかどうか確認するようにします。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第25問

    災害時に最も優先して治療を行うのはどれか。

    • 1.脱臼(dislocation)

    • 2.気道熱傷(burn of the respiratory tract)

    • 3.足関節捻挫(ankle sprains)

    • 4.過換気症候群(hyperventilation syndrome)

    解答・解説

    災害時には限られた医療資源を有効活用するため、対象者の緊急度・重症度に基づくトリアージを実施します。その際は、視診・問診・触診・聴診による対象者の全体的な評価に加え、バイタルサインをはじめとする客観的情報を得て、系統的にアプローチすることが必要です。気道熱傷は、声門や喉頭などの浮腫が進行して気道閉塞による呼吸障害や窒息をきたす可能性があるため、選択肢の中で最も緊急対応を要すると考えられます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第26問

    刺激伝導系でないのはどれか。

    • 1.腱 索

    • 2.洞房結節

    • 3.房室結節

    • 4.Purkinje<プルキンエ>線維

    解答・解説

    刺激伝導系とは、洞房結節で生じた興奮を心房から心室へ伝えるまでの経路であり、「洞房結節→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維」の順に興奮が伝わって心臓の拍動を引き起こします。選択肢1の腱索は、刺激伝導系とは無関係です。腱索は心室内の乳頭筋の先から出ている線維で、房室弁とつながっています。弁が閉じる際、乳頭筋が収縮して腱索を引っ張ることで弁の動きを調整し、逆流を防止する働きをしています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第27問

    アルドステロンで正しいのはどれか。

    • 1.近位尿細管に作用する。

    • 2.副腎髄質から分泌される。

    • 3.ナトリウムの再吸収を促進する。

    • 4.アンジオテンシンIによって分泌が促進される。

    解答・解説

    1.(×)アルドステロンは、遠位尿細管~集合管に作用します。
    2.(×)アルドステロンなどの電解質コルチコイドは、副腎皮質から分泌されます。
    3.(○)アルドステロンは腎臓の遠位尿細管~集合管に作用して、ナトリウムの再吸収を促進します。これにより血管内のナトリウム濃度が上昇し、間質の浸透圧が上昇することで水が再吸収されるため、細胞外液量が増加して血圧が上昇します。なお、アルドステロンが過剰分泌される原発性アルドステロン症では、高血圧が必発し、低カリウム血症も起こることがあります。
    4.(×)アンジオテンシンIは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用でアンジオテンシンIIに変化します。このアンジオテンシンIIが、アルドステロンの分泌を促進します。

    第28問

    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)について正しいのはどれか。

    • 1.残気量は減少する。

    • 2.%肺活量の低下が著明である。

    • 3.肺コンプライアンスは上昇する。

    • 4.可逆性の気流閉塞が特徴である。

    解答・解説

    1.(×)慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの閉塞性換気障害においては、呼気が制限されるため残気量が増加します。
    2.(×)COPDにおいて、1秒率(努力性肺活量のうち、最初の1秒間で吐き出した量の割合)は低下しますが、%肺活量(予測肺活量に対する実測肺活量の比率)は保たれます。
    3.(○)肺コンプライアンスは肺の柔らかさと同義であり、肺の細胞壁が破壊されて弾性力が低下したCOPDでは肺コンプライアンスは上昇します。
    4.(×)喘息では可逆性、COPDでは不可逆性の気流閉塞(1秒率の低下)をきたします。COPDでは、気管支拡張薬を吸入した後も1秒率が70%未満であり、正常値にはなりません。

    第29問

    腰椎椎間板ヘルニア(lumber disc herniation)で正しいのはどれか。

    • 1.高齢の女性に多発する。

    • 2.診断にはMRIが有用である。

    • 3.好発部位は第1・2腰椎間である。

    • 4.急性期では手術による治療を行う。

    解答・解説

    腰椎椎間板ヘルニアでは、腰椎の椎間板に亀裂が入り、内部の髄核が脱出して神経組織を圧迫することで、強い腰痛・下肢痛が引き起こされます。
    1.(×)腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は20~40歳代で、比較的若い人に多い疾患です。
    2.(○)腰椎椎間板ヘルニアの診断には、MRIが有用です。椎間板は軟骨であるため、X線撮影では状態を確認できません。
    3.(×)腰椎は5つの椎骨で形成されますが、腰椎椎間板ヘルニアは第4・5腰椎間で好発します。
    4.(×)保存療法が基本です。ただし、進行性の麻痺症状や排尿・排便障害が現れた場合は、手術の適応となります。

    第30問

    配偶者暴力相談支援センターの機能はどれか。

    • 1.一時保護

    • 2.就労の仲介

    • 3.外傷の治療

    • 4.生活資金の給付

    解答・解説

    配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)に基づき、都道府県や市町村に設置されています(都道府県には設置の義務、市町村には設置の努力義務)。相談や相談機関の紹介、カウンセリング、被害者および同伴者の緊急時における安全の確保および一時保護、自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助、被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助、保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助を行っています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

  • 第31問

    採点対象外問題です。

    第32問

    保健師助産師看護師法に定められているのはどれか。

    • 1.免許取得後の臨床研修が義務付けられている。

    • 2.心身の障害は免許付与の相対的欠格事由である。

    • 3.看護師籍の登録事項に変更があった場合は2か月以内に申請する。

    • 4.都道府県知事は都道府県ナースセンターを指定することができる。

    解答・解説

    1.(×)医師の場合、免許取得後の臨床研修が義務付けられています。看護師については、保健師助産師看護師法および看護師等の人材確保の促進に関する法律において、新人看護職員の卒後臨床研修が努力義務とされています。
    2.(○)罰金以上の刑に処せられた者、業務に関し犯罪または不正の行為があった者、心身の障害により業務を適正に行うことができない者、麻薬、大麻またはあへんの中毒者は、相対的欠格事由に該当します。「相対的」とは、欠格事由に該当しても、場合によっては資格が認められる可能性があることを意味します。
    3.(×)看護師籍の登録事項に変更があった場合は30日以内に申請します。
    4.(×)都道府県ナースセンターに関しては、看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されています。

    第33問

    患者の情報の取扱いについて正しいのはどれか。

    • 1.看護師の守秘義務は医療法で規定されている。

    • 2.統計的に処理された情報から患者個人を特定できる。

    • 3.利用目的が明確であっても患者の情報の活用は制限される。

    • 4.転院先の病院と患者の情報を共有する場合は患者の同意が必要である。

    解答・解説

    1.(×)看護師の守秘義務は、保健師助産師看護師法第42条の2に規定されています。
    2.(×)統計的に処理された情報は、患者個人を特定できない状態にまで加工されています。
    3.(○)利用目的が明確であっても、本人の同意が得られない限り、患者の情報の活用は制限されます。
    4.(○)転院先の病院であっても、個人情報保護法では第三者提供に当たるとされているため、患者の情報を共有する場合は本人の同意が必要となります。

    ※本問について、厚生労働省は「複数の正解があるため、複数の選択肢を正解として採点する」と発表しました。

    第34問

    車椅子による移送で適切なのはどれか。

    • 1.エレベーターの中で方向転換する。

    • 2.急な下り坂では前向きに車椅子を進める。

    • 3.ティッピングレバーを踏み、段差を乗り越える。

    • 4.移乗する前にフットレスト〈足のせ台〉を下げる。

    解答・解説

    1.(×)エレベーターの中で方向転換しなくて済むよう、後ろ向きに乗り込みます。このようにすれば、目的の階に着いたとき、スムーズに前進してエレベーター外へ出ることができます。
    2.(×)急な下り坂では、患者が前のめりになって転げ落ちないよう、後ろ向きに車椅子を進めます。
    3.(○)グリップを握りながらティッピングレバーを踏み、キャスターを持ち上げて段差を乗り越えます。
    4.(×)フットレストを上げておかないと、足を取られて転倒するおそれがあります。

    第35問

    病室環境に適した照度はどれか。

    • 1.100~200ルクス

    • 2.300~400ルクス

    • 3.500~600ルクス

    • 4.700~800ルクス

    解答・解説

    病室の床面積や廊下の幅の広さは医療法で規定されていますが、病室の照度に関しての法的規定は存在しません。ただし、JIS(日本工業規格)の照度基準により、日中は100~200ルクスが適切とされています。夜間の病室では1~2ルクス、診察室・処置室・ナースステーションでは300~700ルクス、手術室では750~1,500ルクスが推奨されており、手術野では20,000ルクス以上が必要とされています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第36問

    検査の目的と採尿方法の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.細菌の特定―中間尿

    • 2.腎機能の評価―杯分尿

    • 3.肝機能の評価―24時間尿

    • 4.尿道の病変の推定―早朝尿

    解答・解説

    1.(○)初期尿には外尿道や膣由来の細菌が混入する可能性が高いため、尿路感染菌の特定には中間尿(最初と最後を除いた排尿途中のもの)を用います。
    2.(×)杯分尿は、初期尿と中間尿などに分けて採尿したものです。肉眼的血尿が認められた場合の出血部位を特定する目的などで用いられます。
    3.(×)24時間畜尿による24時間尿では、尿中物質の定量を測定することができます。クレアチニンクリアランスの測定や腎機能の評価に用いられます。
    4.(×)早朝尿は起床直後の尿であり、食事や運動の影響を受けにくく、成分が凝縮された状態であることから、尿一般検査で用いられます。

    第37問

    職業病や労働災害の防止、より健康的な労働環境の確保および労働者の健康の向上を目的としている法律はどれか。

    • 1.労働組合法

    • 2.労働基準法

    • 3.労働安全衛生法

    • 4.労働関係調整法

    解答・解説

    労働安全衛生法は、労働基準法と相まって「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的」とします(第1条)。本法は、かつて労働基準法に定められていた労働者の安全と衛生に関する規定を分離独立させ、1972年に成立しました。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第38問

    合併症のない全身状態が良好な患者に対して、全身麻酔のための気管挿管を行い用手換気をしたところ、左胸郭の挙上が不良であった。 原因として考えられるのはどれか。

    • 1.無気肺(atelectasis)

    • 2.食道挿管

    • 3.片肺挿管

    • 4.換気量不足

    解答・解説

    1.(×)無気肺でも左胸郭の挙上が不良になる可能性がありますが、設問の症例は全身状態が良好な患者であったことから考えにくいでしょう。
    2.(×)食道挿管であれば、胸郭の上下動や肺換気音などで確認することができますが、胸郭の動きに左右差は生じません。
    3.(○)左胸郭の挙上が不良であることから、挿管チューブが深く入りすぎて右気管支に到達し、片肺挿管になっていることが考えられます。ただちに聴診器で両肺の換気音を聴取し、状態を確認します。
    4.(×)換気量不足では、胸郭の動きに左右差は生じません。

    第39問

    脳出血(cerebral hemorrhage)の後遺症で左片麻痺と嚥下障害のある患者の家族に、食事介助の指導を行うときの説明で適切なのはどれか。

    • 1.「食材にこんにゃくを入れると良いですよ」

    • 2.「体を起こしたら、左の脇の下をクッションで支えましょう」

    • 3.「口の左側に食べ物を入れるようにしましょう」

    • 4.「飲み込むときに咳が出なければ誤嚥の心配はありません」

    解答・解説

    1.(×)左片麻痺と嚥下障害のある患者であり、咀嚼や嚥下が難しいこんにゃくは避けるべきです。
    2.(○)左片麻痺の患側を支えるため左の脇の下にクッションを入れると、正しい姿勢で食事できるようになり、誤嚥リスクを下げることができます。
    3.(×)口の中についても患側でなく健側を使うように支援します。
    4.(×)咳やむせを伴わない不顕性誤嚥の可能性もあるので、不適切な説明です。特に嚥下反射・咳反射の低下した高齢者では、不顕性誤嚥が起こりやすくなります。

    第40問

    自助具を図に示す。 関節リウマチ(rheumatoid arthritis)によって肩関節に痛みがある患者の関節保護のための自助具として最も適切なのはどれか。

    • 1.万能カフ

    • 2.長柄ブラシ

    • 3.コップホルダー

    • 4.レバー式ドアノブ

    解答・解説

    関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、関節内の滑膜が異常増殖することで関節内に慢性の炎症を生じます。進行すると関節が破壊され、さまざまな機能障害を引き起こします。
    1.(×)万能カフは、握力の低下や指関節の障害などで握る力が弱い場合に、手に巻き付けて使用します。
    2.(○)入浴時に身体を洗う際、長柄ブラシを使用すると肩関節の動きを制限することができます。通常、入浴時には肩関節を大きく伸展・屈曲・回転・回旋させなければならないため、炎症によって痛む肩関節を刺激してしまいます。したがって、長柄ブラシは関節保護のための有効な自助具だといえます。
    3.(×)コップホルダーは、握力の低下や指関節の障害などで握る力が弱い場合に有効です。
    4.(×)レバー式ドアノブは、手関節の負担を軽減することができます。

    第41問

    Aさん(59歳、女性)は、半年前に下咽頭癌(hypopharyngeal cancer)で放射線治療を受けた。口腔内が乾燥し、水を飲まないと話すことも不自由なことがある。 Aさんに起こりやすいのはどれか。

    • 1.う 歯

    • 2.顎骨壊死

    • 3.嗅覚障害

    • 4.甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)

    解答・解説

    1.(○)唾液腺付近に放射線を照射すると、唾液腺が萎縮して唾液が出にくくなります(唾液腺障害)。唾液の減少により再石灰化作用や抗菌作用が低下するなどして、う歯が生じやすくなります。
    2.(×)骨粗鬆症などの治療薬であるビスホスホネート製剤を使用中、顎付近への放射線照射などで顎骨壊死が生じた例が報告されていますが、放射線治療単独で顎骨壊死が生じることは考えられません。
    3.(×)喉頭摘出術を受けた場合、鼻呼吸ができなくなり嗅覚障害をきたします。
    4.(×)下咽頭癌に対する放射線治療では、甲状腺にも放射線が照射されるため、甲状腺機能が低下するおそれがあります。

    第42問

    1型糖尿病(type diabetes mellitus)と診断された人への説明で適切なのはどれか。

    • 1.自己血糖測定の試験紙の費用は医療保険の対象外である。

    • 2.食事が摂取できないときはインスリン注射を中止する。

    • 3.低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。

    • 4.運動は朝食前が効果的である。

    解答・解説

    1.(×)1型糖尿病の場合、自己血糖測定に要する費用(簡易血糖測定器や試験紙などの費用を含む)には医療保険が適用されます。
    2.(×)インスリン注射の自己判断での中止は危険です。かぜ、下痢、発熱、腹痛、食欲不振などで食事が摂取できなくても高血糖になるシックデイも考えられるため、医療機関に相談するよう説明します。
    3.(○)低血糖症状として、冷汗、手指の振戦、動悸などの自律神経症状が出現します。
    4.(×)朝食前では低血糖症状を引き起こすリスクが高いため、運動は食後に行うべきです。

    第43問

    アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis)について正しいのはどれか。

    • 1.食後に症状が増悪する。

    • 2.IV型アレルギーである。

    • 3.スクラッチテストで原因を検索する。

    • 4.アレルゲンの除去は症状の抑制に有効である。

    解答・解説

    アレルギーは、発症機序からI~IV型に分類されます。
    1.(×)食後に症状が増悪するのは食物アレルギーであり、即時型アレルギー(I型)に分類されます
    2.(×)アレルギー性鼻炎は、即時型アレルギー(I型)に分類されます。IV型は細胞性免疫が関与する遅延型アレルギーで、接触皮膚炎や薬物アレルギーなどが該当します。
    3.(×)アレルギー性鼻炎には好酸球やIgEが関与しており、血中好酸球数、血中総IgE値、特異的IgE抗体を測定するなどして原因検索します。
    4.(○)アレルゲンとなる花粉やハウスダストなどを除去する(吸入を防ぐ)ことで、症状を抑制することができます。

    第44問

    他動運動による関節可動域〈ROM〉訓練を行うときの注意点で適切なのはどれか。

    • 1.有酸素運動を取り入れる。

    • 2.等尺性運動を取り入れる。

    • 3.近位の関節を支持して行う。

    • 4.痛みがある場合は速く動かす。

    解答・解説

    1.(×)有酸素運動は体内に酸素を取り込みながら長時間持続的に行う軽度~中等度の運動であり、関節可動域訓練には該当しません。
    2.(×)等尺性運動(アイソメトリック運動)は、関節や筋肉を動かさずに行う静的な運動です。関節可動域訓練は、関節や筋肉の伸展・収縮を繰り返す等張性運動(アイソトニック運動)になります。
    3.(○)近位の関節を支持して関節や筋肉の動きを感じながら、本人の不安に配慮しつつゆっくりと動かします。
    4.(×)痛みがある場合は、無理をしてはなりません。急激に動かすと軟部組織を損傷させるおそれがあります。

    第45問

    Aさん(80歳、女性)は、要介護2となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。 Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。

    • 1.活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する。

    • 2.家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先する。

    • 3.介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。

    • 4.10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする。

    解答・解説

    1.(×)在宅サービスを利用する程度は、Aさん自身や家族のニーズに応じて決められるべきであり、「できる限り多く」が適切だとは限りません。
    2.(×)Aさん自身のニーズも、Aさんを支える家族のニーズも、等しく考慮されるべきであり、どちらかが優先されるものではありません。
    3.(○)介護負担が特定の家族に集中すると、サポート体制が崩壊するリスクが高くなるため、家族で負担を分け合うことが大切です。その上で、活用できる在宅サービスを適切に導入していくとよいでしょう。
    4.(×)Aさんの介護があるからといって、10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みがないがしろにされてはなりません。

  • 第46問

    平成24年(2012年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。

    • 1.女性では就業している者の割合は40%以上である。

    • 2.就業していない者よりも就業している者の割合が多い。

    • 3.就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。

    • 4.就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。

    解答・解説

    1.(×)65歳以上75歳未満の高齢女性のうち、就業している者の割合は24%でした。
    2.(×)65歳以上75歳未満の高齢者のうち、就業している者の割合は32%であり、就業していない者のほうが高い割合でした。
    3.(×)65歳以上75歳未満の高齢者で就業していない者のうち、就業を希望している者の割合は男性で約2割、女性で約1割でした。
    4.(○)65歳以上75歳未満の高齢者で就業している者のうち、非正規職員・従業員の割合は3割を超えており、65歳未満に比べて高い割合でした。

    第47問

    高齢者施設に入所中のAさん(78 歳、女性)は、長期間寝たきり状態で、便秘傾向のため下剤を内服している。下腹部痛と便意を訴えるが3日以上排便がなく、浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄されることが数回続いている。既往歴に、消化管の疾患や痔(hemorrhoid)はない。 Aさんの今後の排便に対する看護として最も適切なのはどれか。

    • 1.直腸の便塊の有無を確認する。

    • 2.止痢薬の処方を医師に依頼する。

    • 3.1日の水分摂取量を800mL程度とする。

    • 4.食物繊維の少ない食事への変更を提案する。

    解答・解説

    Aさんは加齢と長期間寝たきりによる活動性低下から消化管運動の減弱をきたし、便秘になっていると考えられます。
    1.(○)「浣腸を行うと短く硬い便塊の後に、多量の軟便が排泄される」ということなので、直腸部の嵌入便が排便の障害になっていると考えられます。その場合は摘便で取り除くことも検討します。
    2.(×)Aさんの下痢は下剤の投与により起こっているので、まずは下剤を中止したうえで、適切な排便コントロールの方法を検討します。
    3.(×)1日の水分摂取量が800mL程度では少なく、便の硬化につながって便秘傾向が増強するおそれがあります。
    4.(×)食物繊維を多く摂取すれば、便通を促すことが期待できます。

    第48問

    老年期のうつ病(depression)に特徴的な症状はどれか。

    • 1.幻覚

    • 2.感情鈍麻

    • 3.心気症状

    • 4.着衣失行

    解答・解説

    老年期のうつ病では、意欲や行動力の低下のほか、食欲不振や体重減少などの身体症状もみられます。
    1.(×)幻覚は、認知症や統合失調症で現れる症状の一つです。
    2.(×)感情鈍麻は、統合失調症の症状の一つです。
    3.(○)心気症状とは、ささいな身体不調であるにもかかわらず「重い病気にかかっているのではないか」と過度に自身の健康を心配し、強く訴えたり受診を繰り返したりすることを指します。老年期のうつ病で多いとされています。
    4.(×)着衣失行は、認知症の早い段階からみられます。

    第49問

    高齢者に術後の呼吸器合併症が発症しやすい理由で正しいのはどれか。

    • 1.残気量の減少

    • 2.肺活量の低下

    • 3.嚥下反射の閾値の低下

    • 4.気道の線毛運動の亢進

    解答・解説

    1.(×)加齢に伴う肺の弾力性低下や呼吸筋力の低下などの影響で、肺活量は低下し、残気量(最大呼出の後に気道・肺内に残っている気量)は増加します。
    2.(○)加齢に伴う肺の弾力性低下や呼吸筋力の低下などの影響で、肺活量は低下します。すると、痰の喀出がしにくくなるなどして、術後の呼吸器合併症のリスクが高まります。
    3.(×)嚥下反射の閾値は、加齢とともに上昇していきます。そのため、嚥下反射が起こりにくくなり、誤嚥のリスクが高まります。
    4.(×)気道の線毛運動は低下します。そのため、気道異物の排出が遅延して、感染や無気肺を引き起こすリスクが高まります。

    第50問

    学童期の肥満について正しいのはどれか。

    • 1.肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。

    • 2.肥満傾向児は高学年より低学年が多い。

    • 3.肥満傾向児は男子より女子が多い。

    • 4.成人期の肥満に移行しやすい。

    解答・解説

    1.(×)肥満傾向児は肥満度20%以上と定義され、肥満度20%以上が軽度肥満、30%以上が中等度肥満、50%以上が高度肥満とされています。肥満度は「(実測体重-標準体重)/標準体重×100」で計算されます。
    2.(×)2016年度(平成28年度)の学校保健統計調査で肥満児の出現率をみると、男児では6歳4.35%、11歳10.08%、女児では6歳4.24%、11歳8.31%であり、肥満傾向児は高学年になるにつれて増えていくことが分かります。
    3.(×)肥満傾向児は、全年齢で女子より男子のほうが多いです。
    4.(○)学童期や思春期の肥満は成人期の肥満に移行しやすいとされています。生活習慣病は成人になってから気をつければいいのではなく、子どもの頃から進行するリスクがあります。

    第51問

    外性器異常が疑われた新生児の親への対応として適切なのはどれか。

    • 1.出生直後に性別を伝える。

    • 2.内性器には異常がないことを伝える。

    • 3.出生直後に母児の早期接触を行わない。

    • 4.出生届は性別保留で提出できることを説明する。

    解答・解説

    1.(×)新生児の外性器異常では性別の判断がしにくいことも多いため、専門的な検査で確定するまで安易に不確かな情報を伝えないようにします。
    2.(×)専門的な検査をしなければ内性器の異常についても明らかではないので、安易に不確かな情報を伝えないようにします。
    3.(×)愛着形成のため、出生直後に母児の早期接触を促します。外性器異常があっても、早期接触に不都合はありません。
    4.(○)戸籍法第49条に「出生の届出は14日以内に提出しなければならない」とありますが、性別や名前は記載しないままで提出し、その後に追完できます(ただし「追完」の記録が残ります)。

    第52問

    受胎のメカニズムで正しいのはどれか。

    • 1.排卵は黄体形成ホルモン<LH>の分泌が減少して起こる。

    • 2.卵子の受精能力は排卵後72時間持続する。

    • 3.受精は卵管膨大部で起こることが多い。

    • 4.受精後2日で受精卵は着床を完了する。

    解答・解説

    1.(×)排卵期に入るとゴナドトロピン放出ホルモンの分泌量が増え、それを受けて脳下垂体から黄体形成ホルモン<LH>が大量に分泌されます(LHサージ)。これにより排卵が引き起こされます。
    2.(×)卵子の受精能力が持続するのは、排卵後24時間とされています。
    3.(○)卵子は、卵管の先にある卵管采に取り込まれ、卵管膨大部で精子を待ちます。ここに精子が到達して、受精に至ります。
    4.(×)受精卵が子宮へ移動して着床するまで、5~7日ほどかかります。

    第53問

    成熟期女性の受胎調節について適切なのはどれか。

    • 1.経口避妊薬は女性が主導で使用できる。

    • 2.コンドーム法の避妊効果は99%以上である。

    • 3.基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。

    • 4.子宮内避妊器具〈IUD〉は経産婦より未産婦に挿入しやすい。

    解答・解説

    1.(○)一般的に、コンドームの装着は男性が主導することになりますが、経口避妊薬の服用は女性が自らの判断で主導できます。
    2.(×)コンドームによる避妊は、正しく装着しても数%~10%程度の失敗があるとされます。
    3.(×)基礎体温法は、おおむね規則的な月経周期であることを前提に検温で排卵日を確認し、妊娠のしやすさ/しにくさを判断するものです。したがって、月経が不順な場合には向かないといえます。
    4.(×)子宮内避妊具〈IUD〉は、受精卵の着床を防ぐ目的で子宮内に挿入するものであるため、未産婦より経産婦のほうが挿入しやすいといえます。正しく用いれば、99%以上の避妊効果を得ることができます。

    第55問

    Aさん(65歳、男性)は、胃癌(gastric cancer)を疑われ検査入院した。入院時、認知機能に問題はなかった。不眠を訴え、入院翌日からベンゾジアゼピン系の睡眠薬の内服が開始された。その日の夜、Aさんは突然ナースステーションに来て、意味不明な内容を叫んでいた。翌朝、Aさんは穏やかに話し意思疎通も取れたが「昨夜のことは覚えていない」と言う。 Aさんの昨夜の行動のアセスメントで最も適切なのはどれか。

    • 1.観念奔逸

    • 2.感情失禁

    • 3.妄想気分

    • 4.夜間せん妄

    解答・解説

    1.(×)観念奔逸は、双極性障害の躁状態などでみられる症状で、脈絡のない思考が次々にわいてきてコントロールできない状態です。
    2.(×)感情失禁は、脳血管性認知症などでみられる症状で、感情のコントロールが利かず、ささいなことで激怒したり号泣したりする状態です。
    3.(×)妄想気分は、統合失調症の初期に現れやすい症状で、理由もないのに「恐ろしい出来事が起ころうとしている」などと思い込む状態です。
    4.(○)ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、せん妄を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。Aさんは入院して生活環境が変わったばかりで、せん妄を起こしやすい状態だったところへ、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の影響が加わったものと考えられます。

    第56問

    2人以上の精神保健指定医による診察結果の一致が要件となる入院形態はどれか。

    • 1.応急入院

    • 2.措置入院

    • 3.医療保護入院

    • 4.緊急措置入院

    解答・解説

    「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)に定められた、精神障害者の精神科病棟への入院形態について問うています。
    1.(×)応急入院は、措置入院・医療保護入院・緊急措置入院のいずれの要件も満たさないながら、精神保健指定医1名の診察により緊急性が認められるため、時間を限って入院させるものです。
    2.(○)精神保健指定医2名以上の診察で自傷他害のおそれがあると認められたとき、措置入院が可能となります。
    3.(×)医療保護入院は、精神保健指定医1名が医療および保護のため入院を要すると認めることが要件です。本人の同意がなくても、保護者の同意があれば入院させることができます。
    4.(×)緊急措置入院は、精神保健指定医1名が緊急の医療措置を要すると認めたとき、時間を限って入院させるものです。

    第57問

    Aさん(65歳、男性)は、肺気腫(pulmonary emphysema)で在宅酸素療法を受けている。ある日、Aさんの妻(70歳)から「同居している孫がインフルエンザ(influenza)にかかりました。今朝から夫も体が熱く、ぐったりしています」と訪問看護ステーションに電話で連絡があったため緊急訪問した。 訪問看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。

    • 1.喀痰の性状

    • 2.胸痛の有無

    • 3.関節痛の有無

    • 4.経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉

    解答・解説

    1.(×)肺気腫の患者では喀痰の性状や量の観察が重要ですが、酸素化の状況を確認するほうが緊急性が高いでしょう。
    2.(×)インフルエンザ感染によって頻回な咳嗽が生じると、肋骨間の筋肉痛を引き起こすおそれがありますが、Aさんの状態には合致しません。いずれにしても、胸痛の有無を確認する優先度は低いといえます。
    3.(×)インフルエンザの初期症状として関節痛が生じることがありますが、確認の優先度は高くありません。
    4.(○)Aさんは在宅酸素療法で動脈血酸素飽和度の不足を補っている状態であり、インフルエンザ感染によって呼吸不全が生じるおそれがあります。呼吸不全の有無を確認するため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の測定が最優先されます。

    第58問

    地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。

    • 1.都道府県を単位として構築することが想定されている。

    • 2.75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。

    • 3.本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。

    • 4.地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。

    解答・解説

    1.(×)市町村単位での構築が想定されています。
    2.(×)特定の地域に重点が置かれているわけではなく、75歳以上の人口が急増する2025年をめどに、全国的に地域包括ケアシステムを構築することが目指されています。
    3.(○)地域包括ケアシステムは、「介護」「医療」「予防」という専門的なサービスと、その前提としての「住まい」と「生活支援・福祉サービス」が相互に関係し、連携しながら在宅の生活を支える構想ですが、その土台には「本人・家族の選択と心構え」が求められ、「単身・高齢者のみ世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を、本人家族が理解し、そのための心構えを持つことが重要」とされています。
    4.(×)地域特性に応じたサービスの提供が目指されています。

    第59問

    障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づいて、障害者が利用できるサービスはどれか。

    • 1.育成医療

    • 2.居宅療養管理指導

    • 3.共同生活援助〈グループホーム〉

    • 4.介護予防通所リハビリテーション

    解答・解説

    1.(×)育成医療は、障害者総合支援法に基づく自立支援医療制度の一つで、児童の心身の障害を除去・軽減するための医療について医療費の自己負担額を軽減する(公費負担する)制度です。
    2.(×)居宅療養管理指導は、介護保険サービスの一つです。
    3.(○)共同生活援助〈グループホーム〉は、障害者総合支援法の訓練等給付に位置付けられたサービスの一つです。身体・精神に障害のある人が援助を受けながら、地域で共同生活を送ることができます。
    4.(×)介護予防通所リハビリテーションは、介護保険サービスの一つです。

    第60問

    Aさん(55歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。進行性の多発性硬化症(multiple sclerosis)で在宅療養をしている。脊髄系の症状が主で、両下肢の麻痺、膀胱直腸障害および尿閉がある。最近は座位の保持が難しく、疲れやすくなってきている。排尿はセルフカテーテルを使用してAさんが自己導尿を行い、排便は訪問看護師が浣腸を行っている。夫は仕事のため日中は不在である。 Aさんの身体状態に合わせた療養生活で適切なのはどれか。

    • 1.入浴はシャワー浴とする。

    • 2.介助型の車椅子を利用する。

    • 3.ベッドの高さは最低の位置で固定する。

    • 4.セルフカテーテルはトイレに保管する。

    解答・解説

    1.(○)Aさんは両下肢の麻痺があり、座位の保持が難しく、疲れやすくなってきているため、シャワー浴として手短に済ませることが妥当だと考えられます。
    2.(×)Aさんの麻痺は両下肢であり上半身は動かせるため、介助型ではない車椅子を使うことができます。
    3.(×)ベッドから転落してのダメージを避けるため、ベッドの高さを最低の位置に下げることは適切ですが、固定する必要はありません。移乗などの介助をするときは、ベッドの高さを上げたほうがやりやすくなります。
    4.(×)Aさんは自由な移動が難しい中で自己導尿をしているので、移動が必要なトイレにセルフカテーテルを保管することは適切ではありません。

  • 第61問

    医療の標準化を目的に活用されているのはどれか。

    • 1.コーピング

    • 2.クリニカルパス

    • 3.エンパワメント

    • 4.コンサルテーション

    解答・解説

    1.(×)コーピングとは、ストレスを感じたとき、さまざまな方法でストレスの要因に対処し、ストレスを軽減させることです。
    2.(○)クリニカルパスとは、疾患ごとに治療や検査、看護師によるケア、薬剤師や栄養士による指導などの標準的なスケジュールをまとめた計画表です。医療の内容を標準化することを目的として作成・利用されています。インフォームドコンセントの促進や、異常(バリアンス)の早期発見などにも寄与します。
    3.(×)エンパワメントは、対象者(患者など)が持つ能力を引き出し、夢や希望に向かって生きることができるような勇気をもたらすことを意味します。
    4.(×)コンサルテーションとは、専門家が非専門家から相談を受けたとき、専門的見地から助言をし、共に問題解決に向かうことです。

    第62問

    Aさん(27歳、男性)は、地震によって倒壊した建物に下腿を挟まれていたが、2日後に救出された。既往歴に特記すべきことはない。 注意すべき状態はどれか。

    • 1.尿崩症

    • 2.高カリウム血症

    • 3.低ミオグロビン血症

    • 4.代謝性アルカローシス

    解答・解説

    設問のケースではクラッシュ症候群(挫滅症候群)に注意する必要があります。がれきなど重いものに腰や腕、腿などが長時間挟まれて筋肉が圧迫されると、筋肉細胞が障害や壊死を起こし、ミオグロビンやカリウム、乳酸といった物質が大量に血中へ放出されます。その後、圧迫が解放されると、ミオグロビンやカリウムなどが血流に乗って急激に全身へ広がり、さまざまな悪影響をもたらします。
    1.(×)ミオグロビンによる急性腎不全が起こるため、尿量が減少します。
    2.(○)高カリウム血症からの心室細動、心停止に注意する必要があります。
    3.(×)血中に大量のミオグロビンが放出され、赤褐色のミオグロビン尿がみられます。
    4.(×)代謝性アシドーシスである乳酸アシドーシスが起こります。

    第63問

    災害医療におけるトリアージについて正しいのはどれか。

    • 1.傷病者を病名によって分類する。

    • 2.危険区域と安全区域を分けることである。

    • 3.医療資源の効率的な配分のために行われる。

    • 4.救命が困難な患者に対する治療を優先する。

    解答・解説

    1.(×)病名ではなく緊急度・重症度に応じるほか、投入できる医療資源や病院搬送能力なども加味して優先度が決定されます。
    2.(×)危険区域や安全区域の区別は、トリアージとは無関係です。
    3.(○)トリアージは、多数の傷病者を1人でも多く迅速に救命できるよう、限られた医療資源を効率的に配分するために行われます。
    4.(×)治療が救命に寄与する度合いが高い患者を優先します。なお、最優先治療群(カテゴリーI)のトリアージタッグの色は赤です。

    第64問

    国際保健に関する機関について正しいのはどれか。

    • 1.国際協力機構〈JICA〉は国境なき医師団の派遣を行う。

    • 2.国連開発計画〈UNDP〉は労働者の健康保護の勧告を行う。

    • 3.世界保健機関〈WHO〉は国際疾病分類〈ICD〉を定めている。

    • 4.赤十字国際委員会〈ICRC〉は国際連合〈UN〉の機関の1つである。

    解答・解説

    1.(×)国際協力機構〈JICA〉は、わが国の政府開発援助(ODA)を一元的に担う実施機関です。国境なき医師団は、医療・人道援助を行う民間の国際NGOです。
    2.(×)国連開発計画〈UNDP〉は、世界の開発とそれに対する援助のための国際連合総会の補助機関です。
    3.(○)世界保健機関〈WHO〉は、国際的に統一した疾病や傷害、死因の統計分類の体系である国際疾病分類〈ICD〉を定めています。国連が擁する一機関であり、本部はスイスのジュネーブにあります。
    4.(×)赤十字国際委員会〈ICRC〉は、公平・中立な立場から人道支援を行う機関であり、国際連合〈UN〉とは無関係の独立した存在です。

    第65問

    女性の骨盤腔内器官について腹側から背側への配列で正しいのはどれか。

    • 1.尿 道―肛門管―腟

    • 2.腟―尿 道―肛門管

    • 3.肛門管―腟―尿 道

    • 4.尿 道―腟―肛門管

    • 5.腟―肛門管―尿 道

    解答・解説

    骨盤腔は、腹腔の下方で、骨盤を構成する恥骨(前方)・仙骨前面(後方)・腸骨と坐骨の癒合部(両側)などの骨に囲まれた部分です。骨盤腔に入る臓器は、膀胱・尿道(前方)、直腸・肛門管(後方)、生殖器(中間)であり、女性の骨盤腔であれば、腹側から背側への配列は「尿道→腟→肛門管」の順となります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、5.(×)、となります。

    第66問

    公的年金制度について正しいのはどれか。

    • 1.学生は申請によって納付が免除される。

    • 2.生活保護を受けると支給が停止される。

    • 3.保険料が主要財源である。

    • 4.任意加入である。

    • 5.積立方式である。

    解答・解説

    1.(×)所得が一定額以下の学生は、在学している間、申請により保険料の納付が猶予されます(免除ではありません)。猶予された納付分は、後から追納することができます。
    2.(×)生活保護の受給の有無にかかわらず、年金の受給資格があれば年金を受給できます。
    3.(○)わが国の公的年金の財源は年金保険料を主軸とし、国庫負担(税金)、積立金(元本の取り崩し、運用収入)を組み合わせるかたちで成り立っています。
    4.(×)国民皆年金制度の下、強制加入となります。
    5.(×)わが国の公的年金は、賦課方式(現役世代が納めた保険料で高齢者を支える仕組み)を採用しています。これにより、人口の少子高齢化を背景として、年金給付の世代間格差が生じています。

    第67問

    健康に影響を及ぼす生活環境とそれを規定している法律の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.上水道―水質汚濁防止法

    • 2.飲食店―食品衛生法

    • 3.家庭ごみ―悪臭防止法

    • 4.学校環境―教育基本法

    • 5.住宅用の建築材料―環境基本法

    解答・解説

    1.(×)上水道(主に飲料となる水の供給設備)について規定しているのは、水道法です。
    2.(○)食品衛生法は、食品の安全性を確保するため、食品営業のほか、食品、添加物、器具、容器包装などを対象に飲食に関する衛生について規定しています。
    3.(×)一般廃棄物である家庭ごみについて規定しているのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)です。
    4.(×)学校における保健管理や安全確保を図り、学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資するため、学校保健安全法が定められています。感染症による児童の出席停止について定めているのも、この学校保健安全法です。
    5.(×)住宅用の建築材料について規定しているのは、建築基準法です。

    第68問

    チェーンソーの使用によって生じるのはどれか。

    • 1.じん肺(pneumoconiosis)

    • 2.視力低下

    • 3.心筋梗塞(myocardial infarction)

    • 4.肘関節の拘縮

    • 5.Raynaud<レイノー>現象

    解答・解説

    チェーンソーなどの手持ち振動工具を使用する建設・土木作業従事者の職業性疾患として、振動障害が知られています。その特徴的な症状がRaynaud<レイノー>現象であり、発作的に手足の血流が停滞し、皮膚の色は蒼白または紫色を呈し、痛みや冷感、しびれを自覚します。次第に血流が回復すると、今度は充血して赤色を呈します。振動障害を可能な限り予防するためには、振動工具による振動の程度(周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値)と、振動に曝露された時間を把握し、それによるダメージが許容範囲を超えないよう管理していくことが必要です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第69問

    Aさん(61歳、男性)は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行食道癌(advanced esophageal cancer)と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70mmHgであった。尿量は1,600mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST〈GOT〉45IU/L、ALT〈GPT〉40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190mg/dL、Hb 11.0g/dLであった。 Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。

    • 1.貧 血

    • 2.低栄養

    • 3.高血糖

    • 4.腎機能障害

    • 5.肝機能障害

    解答・解説

    1.(×)Hb値から貧血であると判断できます。貧血は全身倦怠感の要因となりますが、口渇の要因としては考えられません。
    2.(×)アルブミン値から低栄養であると判断できます。低栄養は全身倦怠感の要因となりますが、口渇の要因としては考えられません。
    3.(○)中心静脈栄養が実施され、高カロリー輸液が投与されていることが原因で血糖値が上昇していると考えられます。高血糖では、インスリン不足により全身倦怠感が生じ、尿細管内の浸透圧上昇による多尿によって口渇をきたします。高血糖が持続すると高浸透圧高血糖症候群などの合併症を招きかねないため、注意が必要です。
    4.(×)腎機能を示すクレアチニンが基準範囲内であり、血圧も基準範囲内であることから、腎機能障害は考えられません。
    5.(×)肝機能を反映するASTとALTに軽度の上昇がみられますが、全身倦怠感が生じるほどの肝機能障害は考えにくいといえます。いずれにしても、肝機能障害は口渇の要因にはなりません。

    第70問

    病的な老化を示すのはどれか。

    • 1.肝臓の萎縮

    • 2.動脈の粥状硬化

    • 3.毛様体筋の機能低下

    • 4.心筋の弾性線維の減少

    • 5.膀胱の平滑筋の線維化

    解答・解説

    1.(×)肝臓の萎縮は、老化による生理的萎縮としてもみられます。
    2.(○)血中のLDLコレステロール上昇などが原因となって、動脈の内膜にアテローム(粥状硬化巣)が蓄積し、徐々に肥厚することで粥状動脈硬化が進行します。心筋梗塞や脳梗塞などを招きかねないため、注意が必要です。
    3.(×)毛様体筋の機能低下は生理的老化です。水晶体の弾力性も同時に低下することで、老視の原因となります。
    4.(×)心筋の弾性線維の減少は生理的老化です。伸縮性が衰え、心臓の運動負荷に対する予備能が低下します。
    5.(×)膀胱の平滑筋の線維化は生理的老化です。線維化して弾力性が低下することで、膀胱容量が減少します。

    第71問

    生後1か月の男児。Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病(Hirschsprung disease)と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。術後の経過は良好であり、退院に向けてストーマケアに関する指導を行うことになった。 母親に対する指導として適切なのはどれか。

    • 1.「面板をはがした部位はタオルで拭いてください」

    • 2.「ストーマ装具の交換は授乳直後に行ってください」

    • 3.「ストーマから水様の便が出る時は受診してください」

    • 4.「ストーマ装具の交換は滅菌手袋を装着して行ってください」

    • 5.「ストーマ装具は便を捨てる部分が体の外側に向くように貼ってください」

    解答・解説

    1.(×)ストーマからの排泄物や、排泄物に含まれている消化酵素が肌あれを引き起こすおそれがあるため、タオルで拭くだけでは不十分です。石けんや弱酸性洗浄剤で洗浄し、濡れたガーゼやシャワーなどで洗い落とし、水分を拭き取り、よく乾かします。
    2.(×)授乳直後は便がたくさん出やすいので、ストーマ装具の交換は避けたほうがよいでしょう。
    3.(×)回腸ストーマは回腸を体外に誘導して造設したストーマであり、その内容物は水分や栄養分を消化吸収される前に排出されます。水様便になることが前提なので、受診する必要はありません。
    4.(×)滅菌手袋を装着する必要はありませんが、未滅菌のディスポーザブル手袋を使用するとよいでしょう。
    5.(○)便を捨てやすくするため、身体の外側に向くように貼ります。

    第72問

    放射線療法に関わる看護師の健康管理に必要なのはどれか。

    • 1.線量計を装着する。

    • 2.ヨウ素剤を服用する。

    • 3.ゴーグルを着用する。

    • 4.N95マスクを着用する。

    • 5.鉛を含んだエプロンを着用する。

    解答・解説

    1.(○)放射線被曝を伴う作業に従事するときは、個人線量計を装着して累積被曝線量を把握し、健康被害を防ぐ必要があります。個人線量計を装着する部位は、男性は胸部、女性は腹部となります(女性は卵巣付近の被爆線量をチェックするため)。
    2.(×)ヨウ素剤は、原子力災害時の放射線障害を予防するために服用します。放射線治療従事者の健康管理目的で服用するものではありません。
    3.(○)鉛を含んだ防護眼鏡(ゴーグル)の着用は、水晶体被曝を軽減するために有効です。
    4.(×)N95マスクは、微小な病原微生物の吸入を防ぐためのものであり、放射線被曝を防ぐ効果はありません。
    5.(○)鉛を含んだエプロンの着用は、外部被曝を軽減するために有効です。

    ※本問について、厚生労働省は「複数の正解があるため、複数の選択肢を正解として採点する」と発表しました。

    第73問

    ホメオスタシスに関与するのはどれか。2つ選べ。

    • 1.味蕾

    • 2.筋紡錘

    • 3.痛覚受容器

    • 4.浸透圧受容器

    • 5.中枢化学受容体

    解答・解説

    ホメオスタシスは、体温、循環・血圧、呼吸・代謝、免疫など、生理的なあらゆる面にわたり恒常性を維持する人体の機能です。
    1.(×)味蕾は、味覚を感じる器官です。
    2.(×)筋紡錘は、筋の伸張反射の受容器です。
    3.(×)侵害刺激が侵害受容器によって電気的な信号に変換され、その情報が脊髄・視床を経て大脳皮質へまで伝達されて痛みとして感じられます。
    4.(○)浸透圧受容器は視床下部に存在し、血液の浸透圧が上昇すると、その刺激を受けて口渇を引き起こし、飲水行動に駆り立てます。また、下垂体後葉からのパソプレシン分泌を促し、浸透圧を調整します。
    5.(○)中枢化学受容体は延髄に存在し、動脈血二酸化炭素分圧が上昇すると、その刺激を受けて呼吸が促進されます。

    第74問

    眼球内での光の通路に関与するのはどれか。2つ選べ。

    • 1.強膜

    • 2.脈絡膜

    • 3.毛様体

    • 4.硝子体

    • 5.水晶体

    解答・解説

    1.(×)強膜は、眼球の一番外側にある線維質の丈夫な膜で、眼球を保護する役割があります。いわゆる白目の部分です。
    2.(×)脈絡膜は、強膜の内側に密着している、細い血管やリンパ管が密集した組織です。この脈絡膜を通して、網膜の細胞へ栄養が送られていきます。また、色素が多く、角膜以外からの余分な光を遮断する役目も果たしています。
    3.(×)毛様体は、眼球の前方で脈絡膜と虹彩につながっています。毛様体の筋肉の緊張・弛緩にチン小帯が連動し、水晶体の厚みを変え、ピントを調節します。
    4.(○)硝子体は、眼球の大部分を占めるゲル状の透明な組織です。眼圧を維持する役割を担っています。水晶体と網膜の間で光の通路となっています。
    5.(○)水晶体は、眼内に入る光の量を調節する役割を担っています。主に加齢変化で水晶体が濁ると、白内障と診断されます。

    第75問

    排便時の努責で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.直腸平滑筋は弛緩する。

    • 2.呼息位で呼吸が止まる。

    • 3.外肛門括約筋は収縮する。

    • 4.内肛門括約筋は弛緩する。

    • 5.腹腔内圧は安静時より低下する。

    解答・解説

    1.(×)腹圧を上昇させて排便をスムーズにするため、直腸平滑筋を含む腹筋群は収縮させる必要があります。
    2.(○)呼息時に声門を閉じ、軽く呼吸を止めることで、腹圧がかかりやすくなります。なお、吸息時に軽く呼吸を止めても同様の効果が得られます。むしろ、吸息時に呼吸を止める人のほうが多いといえるでしょう。
    3.(×)随意筋である外肛門括約筋は、排便時に弛緩します。
    4.(○)不随意筋である内肛門括約筋は、排便時に弛緩します。
    5.(×)努責により腹腔内圧を上昇させることで、排便をスムーズにします。

  • 第76問

    急性炎症と比較して慢性炎症に特徴的な所見はどれか。2つ選べ。

    • 1.好中球浸潤

    • 2.CRPの上昇

    • 3.リンパ球浸潤

    • 4.形質細胞の浸潤

    • 5.血管透過性の亢進

    解答・解説

    慢性炎症は、一般的に4週以上続く炎症を指します。局所にはさまざまな炎症細胞が集合し、それぞれの役割を演じます。急性炎症では好中球、慢性炎症ではリンパ球や形質細胞などが主にみられます。
    1.(×)好中球浸潤は、主に急性炎症でみられます。
    2.(×)CRPの上昇は、急性・慢性にかかわらず炎症があるときにみられます。
    3.(○)リンパ球浸潤は、慢性炎症でみられます。
    4.(○)形質細胞の浸潤は、慢性炎症でみられます。
    5.(×)急性炎症が起こり血管透過性が亢進すると、血漿成分が間質に漏れ出して局所の浮腫をきたします。

    第77問

    狭心症(angina pectoris)の治療に用いる薬はどれか。2つ選べ。

    • 1.アンジオテンシンII受容体拮抗薬

    • 2.スルホニル尿素薬

    • 3.ジギタリス製剤

    • 4.抗血小板薬

    • 5.硝酸薬

    解答・解説

    1.(×)アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、高血圧症における降圧薬として用いられるほか、心臓や腎臓を保護する作用があることから糖尿病性腎症や慢性心不全でも用いられることがあります。
    2.(×)スルホニル尿素薬は、経口血糖降下薬として糖尿病の治療に用いられます。
    3.(×)ジギタリス製剤は、強心薬として心不全の治療に用いられます。
    4.(○)抗血小板薬は、血栓の形成を防止することにより、血液をサラサラにします。狭心症や心筋梗塞の治療、ステント内血栓閉塞の予防に用いられます。
    5.(○)硝酸薬は、血管平滑筋を弛緩させ、心臓周囲の冠動脈を拡張させる働きを有する狭心症治療薬です。発作時にはニトログリセリン、発作予防には硝酸イソソルビドが使われます。

    第78問

    出血傾向を把握するために重要なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.血糖値

    • 2.血清鉄

    • 3.血小板数

    • 4.アルカリフォスファターゼ値

    • 5.活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉

    解答・解説

    1.(×)血糖値は、糖尿病の検査や治療、管理の指標となります。
    2.(×)血清鉄は血液中の鉄分で、赤血球に含まれるヘモグロビンの合成に必要です。
    3.(○)止血作用を有する血小板の数を測定することで、一次止血異常の有無を調べます。
    4.(×)アルカリフォスファターゼは、アルカリ性の環境でリン酸化合物を加水分解する働きを持つ酵素です。ほぼすべての臓器に含まれますが、中でも肝臓、骨、小腸、胎盤などに多いです。
    5.(○)活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉を測定することで、内因系凝固因子の働きを調べます。内因系凝固因子の活性が低下している場合、あるいは内因系凝固因子の阻害が起こっている場合、APTTは延長します。

    第79問

    胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease)について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.食道の扁平上皮化生を起こす。

    • 2.上部食道括約筋の弛緩によって生じる。

    • 3.食道炎(esophagitis)の程度と症状の強さが一致する。

    • 4.プロトンポンプ阻害薬が第一選択の治療法である。

    • 5.Barrett<バレット>上皮は腺癌の発生リスクが高い。

    解答・解説

    1.(×)化生とは、すでに成熟した細胞が後天的に他の細胞の形態に変化することです。胃食道逆流症では、食道の扁平上皮が胃の円柱上皮に化生することがあります。
    2.(×)下部食道括約筋の弛緩が原因の一つです。
    3.(×)胃食道逆流症では食道炎が生じていますが、その程度と症状の強さが一致するとは限りません。
    4.(○)胃食道逆流症の第一選択薬は、H2ブロッカーとプロトンポンプ阻害薬です。プロトンポンプ阻害薬は、胃の壁細胞に存在する胃酸分泌機構であるプロトンポンプの働きを阻害し、胃食道逆流症による胃痛・胸やけなどの症状を改善します。
    5.(○)胃食道逆流症では、食道の扁平上皮が胃の円柱上皮に化生することがあり、Barrett<バレット>上皮と呼ばれます。腺癌は、バレット上皮から発生するリスクが高いことが知られています。

    第80問

    患者の自立支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.不足している知識を補う。

    • 2.発病前の生活習慣を尊重する。

    • 3.支援目標を看護師があらかじめ定める。

    • 4.できないことに焦点を当てて行動を修正する。

    • 5.支援者である看護師が上位の関係が望ましい。

    解答・解説

    1.(○)看護師をはじめとする医療従事者が、患者に不足している知識を提供し、それを活用して自立できるようサポートすることが適切です。一から十まで教えるのではなく、患者の意欲を引き出すような関わりが望まれます。
    2.(○)必ずしも発病前の生活習慣に戻れるとは限りませんが、できるだけそこへ近付けるようサポートすることが適切です。
    3.(×)支援目標は、患者の身体的状況や意欲などに応じて、本人とそれをサポートする医療従事者が相談して決めていきます。
    4.(×)自立支援の段階では、できないことよりもできることに焦点を当て、意欲を持って自立へのステップを踏んでいけるようにサポートすることが適切です。
    5.(×)支援する者/される者は、言うまでもなく対等の関係です。

    第81問

    腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)のケアとして適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.下腹部を保温する。

    • 2.骨盤底筋群訓練を促す。

    • 3.定期的な水分摂取を促す。

    • 4.恥骨上部の圧迫を指導する。

    • 5.尿意を感じたら早めにトイレへ行くことを促す。

    解答・解説

    1.(×)下腹部の保温は、腹圧性尿失禁のケアとしては特に効果がありません。切迫性尿失禁に対しては効果が期待できます。
    2.(○)骨盤底筋群は、膀胱・尿道・膣・肛門を引き締め、尿失禁を予防する役割を果たしています。したがって、骨盤底筋群の強化を図ることは適切です。
    3.(×)定期的な水分摂取は、腹圧性尿失禁のケアとは無関係です。
    4.(×)膀胱収縮力が低下している場合、排尿中に恥骨上部を圧迫して、さらなる排尿を促す方法があります。しかし、腹圧性尿失禁のケアとしては不適切です。
    5.(○)できるだけ膀胱を空にすることで、腹圧性尿失禁のリスクを下げることができます。

    第82問

    手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。2つ選べ。

    • 1.食 事

    • 2.洗 濯

    • 3.入 浴

    • 4.更 衣

    • 5.買い物

    解答・解説

    手段的日常生活動作〈IADL〉とは、日常生活動作〈ADL〉よりも複雑で高次の能力を要する行動や行為を指します。例えば、選択肢1の食事、選択肢3の入浴、選択肢4の更衣はADLですが、洗濯物の選別や洗い方の決定などを伴う選択肢2の洗濯、商品の選択や金銭の管理などを伴う選択肢5の買い物はIADLに該当します。ほかに、掃除、服薬管理、公共交通機関を利用した外出などもIADLに含まれます。ADLのみならずIADLをどの程度行えるかをアセスメントすることで、特に高齢者の心身機能の状態を知ることができます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第83問

    開放性損傷はどれか。2つ選べ。

    • 1.切創

    • 2.打撲傷

    • 3.擦過創

    • 4.皮下出血

    • 5.内臓損傷

    解答・解説

    開放性損傷は皮膚や粘膜の離断をきたした「創」の状態を、非開放性損傷は皮下組織の損傷をきたした状態を指します。
    1.(○)切創は、鋭利な刃物などで皮膚が分断状に損傷された状態です。鋭利な創のため、周囲組織の挫滅は伴いません。
    2.(×)打撲傷は、外部から強い衝撃が加わって生じる皮下組織の損傷です。
    3.(○)擦過創は、摩擦などの外力によって皮膚表層が削り取られた状態です。
    4.(×)皮下出血は、皮下の血管が破綻して皮下組織内に出血をきたした状態です。
    5.(×)内臓損傷は、胸部や腹部などに外部から強い衝撃が加わって臓器が損傷した状態です。

    第84問

    児童憲章について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.児童がよい環境の中で育てられることを定めている。

    • 2.児童の権利に関する条約を受けて制定された。

    • 3.児童が人として尊ばれることを定めている。

    • 4.保護者の責務を定めている。

    • 5.違反すると罰則規定がある。

    解答・解説

    児童憲章は、1951年に児童憲章制定会議が制定したもので、全12条から構成されます。前文において「われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める」と掲げられています。
    1.(○)「児童は、よい環境の中で育てられる」と書かれています。
    2.(×)児童の権利に関する条約は、1989年に国連総会で採択された国際条約です(日本の批准は1994年)。
    3.(○)「児童は、人として尊ばれる」と書かれています。
    4.(×)保護者の責務は、児童の権利に関する条約で定められています。
    5.(×)児童憲章は法律ではなく、罰則はありません。

    第85問

    急性中耳炎(acute otitis media)で内服薬による治療を受けた5歳の男児および保護者に対して、治癒後に行う生活指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.片側ずつ鼻をかむ。

    • 2.耳垢は毎日除去する。

    • 3.入浴時は耳栓を使用する。

    • 4.大声を出させないようにする。

    • 5.発熱時は耳漏の有無を確認する。

    解答・解説

    1.(○)両方の鼻を一度にかむと、耳管や鼓膜に圧力がかかるため、適切ではありません。また、病原微生物が鼻の奥の方に入ってしまうおそれがあります。
    2.(×)耳垢を毎日除去することは、外耳道にダメージを与えるため、健康な人でもやってはなりません。また、外耳道には自浄作用があることからも、毎日の耳垢除去は不要です。
    3.(×)中耳炎を引き起こす病原微生物は外耳道から侵入するわけではないため、入浴時の耳栓は不要です。
    4.(×)大声を出しても、特に問題はありません。
    5.(○)急性中耳炎が悪化して滲出性中耳炎になることがあるため、発熱時は耳漏の有無を確認します。

    第86問

    Aさん(50歳、女性)は、急に体が熱くなったり汗をかいたりし、夜は眠れなくなり疲れやすさを感じるようになった。月経はこの1年間で2回あった。 Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。

    • 1.エストロゲン

    • 2.プロラクチン

    • 3.プロゲステロン

    • 4.黄体形成ホルモン〈LH〉

    • 5.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉

    解答・解説

    平均的な閉経年齢は50歳で、閉経を挟んだ10年間が更年期とされます。エストロゲンの分泌量が急激に減少して自律神経機能が乱れ、のぼせる、疲れやすい、イライラするといった更年期症状を引き起こします。そのうち、日常生活に支障があるものを更年期障害と呼びます。
    1.(×)卵巣の機能低下により、エストロゲンの分泌量は減少します。
    2.(×)プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、妊娠・産褥期に上昇するほか、脳下垂体の腫瘍や薬剤の副作用などで上昇することがあります(高プロラクチン血症)。
    3.(×)プロゲステロンは卵巣の黄体から分泌されるホルモンで、更年期には減少します。
    4.(○)プロゲステロンの分泌を促す黄体形成ホルモン<LH>は、更年期女性において上昇します。
    5.(○)エストロゲンの分泌を促す卵胞刺激ホルモン<FSH>は、更年期女性において上昇します。

    第87問

    医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.精神科に特有のものである。

    • 2.病室環境は誘因にならない。

    • 3.目撃者は被害者に含まれない。

    • 4.暴力予防プログラムに合わせて対処する。

    • 5.発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。

    解答・解説

    1.(×)暴力は、精神科に限らず、すべての診療科で起こりうるものです。また、医療機関の中に限らず、介護施設や在宅医療(患者の居宅)などでも起こりうるものです。
    2.(×)閉鎖的な環境では、暴力が起こりやすいとされています。
    3.(×)暴力を目撃したことで心的外傷(トラウマ)を抱えることもあります。そこまでではなくてもショックを受けることはまず間違いなく、目撃者も暴力の被害者だといえます。
    4.(○)包括的暴力防止プログラム(comprehensive violence prevention and protection programme;CVPPP)などが開発されており、医療現場における暴力への対処法を学ぶことができます。
    5.(○)医療現場における暴力を防止するためには、個々の医療従事者だけでなく、組織的な取り組みが求められます。

    第88問

    精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.訪問活動は禁止されている。

    • 2.活動には専門家の同行が条件となる。

    • 3.ピアサポーター自身の回復が促進される。

    • 4.精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。

    • 5.自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。

    解答・解説

    ピアサポートとは、同じような問題を抱えている同士が仲間(peer)としてサポートすることを意味します。
    1.(×)訪問活動が禁止されているわけではなく、むしろ効果的なサポートを提供できる機会だと考えられています。
    2.(×)専門家の同行が条件であるわけではなく、同じような問題を抱えている同士でサポートします。
    3.(○)ピアサポーター自身も問題を抱えており、仲間へのサポートを通して何らかの気づきや精神的な充足感を得て、回復につなげていきます。
    4.(×)精神保健医療福祉サービスの利用を終了していなくても、サポート可能な状態であれば問題ありません。
    5.(○)選択肢の通りです。自治体などによるピアサポーターの養成研修・登録制度もありますが、ピアサポーターは資格ではないので、研修修了や登録が活動の条件となるわけではありません。

    第89問

    6%A消毒液を用いて、医療器材の消毒用の0.02%A消毒液を1,500mL作るために必要な6%A消毒液の量を求めよ。 ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

    • 計算問題です

    解答・解説

    「原液量(mL)×原液の濃度(%)=希釈液量(mL)×希釈液の濃度(%)」であるので、「6x=1500×0.02」となり、x=5と計算できる。6%A消毒液を用いて0.02%A消毒液を1,500mL作るためには、5.0mLの6%A消毒液が必要になる。

    第90問

    体重9.6kgの患児に、小児用輸液セットを用いて体重1kg当たり1日100mLの輸液を行う。 このときの1分間の滴下数を求めよ。 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

    • 計算問題です

    解答・解説

    まず、投与すべき1日の総輸液量は「9.6(kg)×100(mL)=960(mL)」となる。次に、小児用輸液セットの滴下数は1mL当たり60滴であるため、投与すべき1日の総輸液量の滴下数は「960(mL)×60(滴)=57600滴」となる。これを1分当たりにすると「57600÷〔24(時間)×60(分)〕=40(滴)」となる。

  • 第91問

    Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン〉病(Parkinsonʼs disease)で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージII。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。 Aさんの障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準のランクはどれか。

    • 1.ランクA

    • 2.ランクB

    • 3.ランクC

    • 4.ランクJ

    解答・解説

    障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定は、その人の「能力」ではなく「状態」(特に「移動」)に着目して行います。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類はパーキンソン病の進行度を表す指標として用いられ、ステージIIは手足に両側性の障害がみられるものの、姿勢保持の障害はない状態です。
    1.(○)ランクAは「準寝たきり」に分類され、日常生活活動のうち食事、排泄、着替えはおおむね自分で行い、近所に外出するときは介護者の援助を必要とする状態が該当します。Aさんは、身の回りのことは自立しており、外出も一人でできる能力はありますが、転倒に対する恐怖から外出をしていない状態です。
    2.(×)ランクBは「寝たきり」に分類されます。日常生活活動のうち食事、排泄、着替えのいずれかにおいて部分的に介護者の援助を必要とし、1日の大半をベッド上で過ごす状態が該当します。
    3.(×)ランクCは、Bと同様「寝たきり」に分類されます。ランクBより障害の程度が重く、日常生活活動のうち食事、排泄、着替えのいずれにおいても全面的に介護者の援助を必要とし、1日中ベッド上で過ごす状態が該当します。
    4.(×)ランクJは、何らかの身体的障害を有するものの、日常生活はほぼ自立している状態が該当します。

    第92問

    Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン〉病(Parkinsonʼs disease)で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージII。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。 Aさんは「最近、尿が出始めるまでに時間がかかるので、排尿時は自分で下腹部を押しています。尿がすっきり出ません」と言う。泌尿器科を受診したところ、Parkinson〈パーキンソン〉病(Parkinsonʼs disease)による自律神経障害と診断された。Aさんの現在の状況から最も考えられるのはどれか。

    • 1.残尿がある。

    • 2.膀胱が萎縮している。

    • 3.蓄尿障害が生じている。

    • 4.骨盤底筋群の筋力が低下している。

    解答・解説

    1.(○)パーキンソン病では自律神経障害(起立性低血圧、排尿困難、発汗異常、便秘など)がみられることもあり、Aさんは自律神経障害に伴う神経因性膀胱(神経の異常が原因となる膀胱機能障害)をきたしていると考えられます。「尿がすっきり出ません」と訴えているので、残尿を想定することが自然でしょう。
    2.(×)加齢に伴って膀胱が萎縮すると頻尿をきたしますが、設問にそのような記述はありません。
    3.(×)畜尿障害が起これば頻尿や尿失禁をきたしますが、設問にそのような記述はありません。
    4.(×)骨盤底筋群が衰えると排尿困難をきたすことがあり、Aさんの年齢からはその可能性も考えられます。しかし、Aさんは自律神経障害と診断されているので、神経因性膀胱が排尿困難の原因と考えるのが自然でしょう。

    第93問

    Aさん(82歳、男性)は、介護付の有料老人ホームに入居している。10年前まで会社を経営していた。プロ野球や世界経済に興味があり、友人とインターネットを用いて交流するのを楽しみにしている。Parkinson〈パーキンソン〉病(Parkinsonʼs disease)で、現在Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージII。両側の上下肢の静止振戦や動作緩慢がみられる。食事は自分の居室に運んでもらって食べている。身の回りのことは1人でできる。1人での外出も可能だが、転倒に対する恐怖が強いため1日中室内で過ごしている。 有料老人ホームの看護師はAさんに病気の進行を予防するために運動を勧めたが、Aさんは「この病気は進行性だからいつかは動けなくなる。今、転ぶと骨折して動けなくなるかもしれない。だから運動するのは嫌だ」と言う。AさんはParkinson〈パーキンソン〉病(Parkinsonʼs disease)に関する情報を入手しており、病状の理解ができている。薬物は自己管理できている。かかりつけ医に自分から病状の説明を求めることもある。 Aさんの転倒の不安を軽減するために看護師とAさんが一緒に実施することで、最も適切なのはどれか。

    • 1.車椅子で外出する。

    • 2.転倒予防教室への参加を検討する。

    • 3.廃用症候群(disuse syndrome)関する情報を収集する。

    • 4.運動の効果と転倒のリスクとを比較する。

    解答・解説

    1.(×)Aさんは自立歩行が可能なので車椅子の必要はなく、そもそも転倒の不安を軽減することにつながりません。
    2.(○)転倒予防教室への参加は、他者と交流する中で運動の意味を理解する機会になるとともに、転倒予防の知識を深めることができるので、不安の軽減につながると考えられます。
    3.(×)パーキンソン病が進行したとき将来的に起こりうる廃用症候群について知っておくことは必要ではありますが、設問の時点におけるAさんの不安を軽減することにはつながりません。
    4.(○)転倒予防教室では、転倒のリスクを紹介したうえで、予防につながる効果的な運動の方法や安全確保の方法(転倒時の衝撃を吸収するパッドなど)を紹介しています。したがって、看護師がAさんと一緒に運動の効果と転倒のリスクを比較することは、転倒予防教室に参加することと同様の意味があると考えられます。

    ※本問について、厚生労働省は「複数の正解があるため、複数の選択肢を正解として採点する」と発表しました。

    第94問

    Aさん(79 歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴:5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー病〉(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院当日、Aさんは看護師に「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返している。 このときの看護で最も適切なのはどれか。

    • 1.体幹を抑制する。

    • 2.家族に夜間の付き添いを依頼する。

    • 3.ナースステーションにベッドを移動する。

    • 4.骨折で入院していることを繰り返し伝える。

    解答・解説

    Aさんは看護師に対して「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返していることから、現状の認識ができていないと考えられます。入院によって環境が大きく変化したため、不安や混乱をきたしているのでしょう。
    1.(×)体幹を抑制すると、身体的・精神的な苦痛から不安や混乱を助長してしまいます。
    2.(×)家族の付き添いがあればAさんに安心感を与えられそうですが、Aさんの不安や混乱の原因は環境の変化を理解できていないところにあるので、根気よく状況を説明することが最優先になります。
    3.(×)ナースステーションにベッドを移動すれば、看護師はAさんを観察しやすくなり、安全の確保は容易になります。しかし、Aさんにとって落ち着いた環境であるはずもなく、不安や混乱を除くことはできないでしょう。
    4.(○)認知症患者の入院時の不安や混乱を軽減するためには、落ち着いた環境を整え、患者が理解できる方法を使って、根気よく繰り返し状況説明することが大切です。どのような説明の仕方であれば理解してもらえるのか、どれくらいの時間が経過すると説明したことを忘れてしまうのかを把握し、それを踏まえて根気よくメッセージを伝える必要があります。

    第95問

    Aさん(79 歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴:5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー病〉(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院後8日、理学療法室での訓練が始まった。Aさんはこわばった表情で訓練を受けていた。Aさんは、以前は通所リハビリテーションを利用していたが、人が多い場で落ち着かなくなることがあり、入院前には小規模多機能型居宅介護事業所を利用していたことが家族からの情報で分かった。翌日、理学療法士が「理学療法室に行きましょう」と病室に迎えに来たところ、Aさんは「行きたくない」と嫌がった。 このときのAさんに対する看護で最も適切なのはどれか。

    • 1.看護師が理学療法室まで付き添う。

    • 2.病棟でのリハビリテーションを提案する。

    • 3.Aさんに再転倒を予防する必要性を説明する。

    • 4.小規模多機能型居宅介護事業所の利用を勧める。

    解答・解説

    Aさんは、かつて通所リハビリテーションを利用していたとき、人が多い場で落ち着かなくなることがあり、そうした状況に置かれることが苦手だと考えられます。理学療法室でこわばった表情で訓練を受けていたり、理学療法室へ行くのを拒んだりしたことも、そこに原因があるのでしょう。
    1.(×)看護師が理学療法室まで付き添ったとしても、理学療法室が人の多い場であることには変わりません。
    2.(○)入院後8日が経過しており、病棟の環境にはある程度慣れてきたころだと考えられます。Aさんにとって理学療法室に比べてなじみがあり、人も多くない環境である病棟なら、落ち着いてリハビリテーションに取り組めそうです。
    3.(×)リハビリテーションに取り組むにあたって再転倒予防の必要性を説明することは大切ですが、設問のケースでは、まずはリハビリテーションに取り組んでもらうための関わりが必要です。
    4.(×)入院後8日目であり、まだ入院による治療やリハビリテーションが必要な状況です。

    第96問

    Aさん(79 歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折(compression fracture)と診断され、安静目的で入院した。 既往歴:5年前に大腿骨骨折(femoral fracture)。 現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー病〉(Alzheimer disease)を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。 生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院後3週、Aさんはコルセットを装着し、杖を使ってゆっくり歩けるようになった。翌週には自宅へ退院することが決まった。 Aさんの退院に向けて、Aさんと長男夫婦への指導内容で適切なのはどれか。

    • 1.自宅ではコルセットを外してよい。

    • 2.家の中での日常生活行動を積極的に行う。

    • 3.5,000歩程度のウォーキングを毎日行う。

    • 4.ビタミンB1の多い食品を積極的に摂取する。

    解答・解説

    1.(×)Aさんが退院して自宅へ戻るのは受傷後4週というタイミングであり、まだ骨形成の途中であると考えられます。コルセットを外すと形成途中の骨が変形するおそれがあるため、医師の指示があるまで常時装着しておかなければなりません。
    2.(○)入院前には日常生活動作(ADL)が自立していたので、残存機能の低下を防ぐためにも、退院後もできることは自分で行うよう指導します。
    3.(×)杖を使ってゆっくりと歩けるようになったばかりなので、毎日5,000歩程度のウォーキングは身体的な負担が大きく、時期尚早です。
    4.(×)ビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要となる栄養素です。Aさんの場合は、十分なカルシウムとともに、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨形成を促進するビタミンKを摂取するよう指導します。

    第97問

    Aちゃん(11歳、女児)。眼瞼浮腫がみられたため、眼科を受診し治療を受けたが改善しなかった。その後、Aちゃんと母親が下腿の浮腫に気付き眼科の医師に相談したところ、特発性ネフローゼ症候群(idiopathic nephrotic syndrome)を疑われたため、小児科のある病院を紹介され受診した。 看護師が収集すべきAちゃんの情報で優先度が高いのはどれか。

    • 1.食欲

    • 2.家族歴

    • 3.手術歴

    • 4.海外渡航歴

    • 5.初経の発来の有無

    解答・解説

    特発性ネフローゼ症候群は原因不明なネフローゼ症候群であり、その大部分が光学顕微鏡上でほとんど病理組織学的変化を認めない微小変化型ネフローゼ症候群です。好発年齢は2~5歳ごろで、女児より男児のほうが多くなっています。糸球体係蹄壁の障害により、高度蛋白尿、低蛋白血症、全身性の浮腫をきたします。浮腫は、朝は眼瞼に強く出て、午後から夕方にかけては下肢や陰部に強く出ます。ほかにも、腸管浮腫や血流不全による腹痛、下痢、嘔吐、腹部膨満感、食思不振などの腹部症状もみられます。したがって、選択肢の中では食欲に関する情報の優先度が高いと考えられます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第98問

    Aちゃん(11歳、女児)。眼瞼浮腫がみられたため、眼科を受診し治療を受けたが改善しなかった。その後、Aちゃんと母親が下腿の浮腫に気付き眼科の医師に相談したところ、特発性ネフローゼ症候群(idiopathic nephrotic syndrome)を疑われたため、小児科のある病院を紹介され受診した。 Aちゃんは排尿回数が減少し、全身に浮腫が認められた。血圧は110/68mmHgであった。尿検査を行い、尿蛋白4+であった。血液検査は、アルブミン1.3g/dL、総コレステロール350mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、Na 130mEq/L、K 4.5mEq/Lであった。特発性ネフローゼ症候群と診断され入院した。 Aちゃんが摂取を制限する必要があるのはどれか。

    • 1.ナトリウム

    • 2.カリウム

    • 3.蛋白質

    • 4.水分

    • 5.リン

    解答・解説

    1.(○)浮腫に対しては塩分制限が中心となり、浮腫の程度と食事摂取量に応じて塩分を調整します。ネフローゼ症候群に対してはステロイド治療が行われますが、一般的にステロイド治療中は食欲が増進するため、塩分の調整には細心の注意が必要です。一方で、過度の塩分制限は食欲を減退させ、必要なエネルギーや栄養素の摂取を妨げることになりかねません。
    2.(×)クレアチニンとカリウムは基準範囲内であり、腎機能の低下はみられないので、カリウムの制限は必要ありません。
    3.(×)小児においては、治療開始後に尿蛋白が減少し、血清アルブミンも正常化することが多いため、年齢に応じた蛋白質量の摂取が適当であると考えられています。
    4.(×)脱水や血栓症のリスクを高めることになるため、水分の制限は必要ないと考えられます。特にネフローゼ症候群では、高度蛋白尿と低蛋白血症に伴う血漿膠質浸透圧の低下により、循環血漿量が減少しています。
    5.(×)腎機能が低下するとリンの尿中排泄が難しくなりますが、Aちゃんの腎機能は正常なので制限する必要はありません。

    第99問

    Aちゃん(11歳、女児)。眼瞼浮腫がみられたため、眼科を受診し治療を受けたが改善しなかった。その後、Aちゃんと母親が下腿の浮腫に気付き眼科の医師に相談したところ、特発性ネフローゼ症候群(idiopathic nephrotic syndrome)を疑われたため、小児科のある病院を紹介され受診した。 Aちゃんは、ステロイド治療の開始後10日で尿蛋白が陰性となり、浮腫等の症状が改善した。入院後3週、ステロイド薬の副作用(有害事象)として、満月様顔貌が出現している。他に明らかな副作用(有害事象)は出現していない。ステロイド薬の内服を続けながら退院することになった。 Aちゃんの退院後の生活について指導する内容で適切なのはどれか。

    • 1.日光を避ける。

    • 2.体重の測定は毎日行う。

    • 3.1か月は学校を欠席する。

    • 4.入浴ではなくシャワー浴とする。

    • 5.満月様顔貌が気になる場合もステロイド薬の内服を続ける。

    解答・解説

    1.(×)日光過敏症(光線過敏症)は、ネフローゼ症候群ではなく、全身性エリテマトーデスなどでみられます。
    2.(×)ステロイド治療の副作用で中心性肥満が出現した場合、体重増加に注意する必要はあるでしょう。しかし、Aちゃんは満月様顔貌が出現しているだけで、体重増加は問題になっていないので、毎日体重測定を行う必要はありません。
    3.(×)退院後は体調に問題なければ登校できますが、投薬状況や体調によっては運動量の制限が必要です。
    4.(×)ステロイド治療の副作用として易感染をきたすので清潔保持は重要ですが、シャワー浴にとどめる必要はなく、湯船につかってもかまいません。
    5.(○)満月様顔貌が出現しており、ボディイメージの変容と向き合わざるを得なくなりますが、治療が終われば改善されることを納得してもらい、ステロイド薬の内服継続を支援します。

    第100問

    Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだ けで吐き気がします」と話している。 Aさんへの食事指導で最も適切なのはどれか。

    • 1.水分は温かい飲料にする。

    • 2.栄養のバランスのよい食物を摂取する。

    • 3.1回量を少なくして食べる回数を増やす。

    • 4.カロリーの高い食物を積極的に摂取する。

    解答・解説

    悪阻(つわり)は、妊娠による急激なホルモンバランスの変化などが原因で、約半数の妊婦が経験するといわれています。個人差が大きいものの、妊娠5~8週ごろに現れ、妊娠12~16週ごろに自然軽快します。
    1.(×)悪阻があるときは、一般的に冷たいもののほうが飲食しやすいとされています。
    2.(×)原則として栄養のバランスのよい食物の摂取は重要ですが、悪阻の時期は食べたいもの(食べられるもの)を食べることが優先されます。
    3.(○)悪阻は空腹時に強くなることが多いため、空腹とならないよう1回量を少なくして食べる回数を増やすことが適切です。
    4.(×)妊娠期において、特に摂取カロリーを増やす必要はありません。悪阻の時期は食べたいもの(食べられるもの)を食べることが優先されます。

    第101問

    Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだ けで吐き気がします」と話している。 このときの妊婦健康診査で「妊娠することは考えていなかったので、これから自分の体にどういうことが起こるのか分かりません」とAさんから相談があった。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化について説明することにした。 Aさんに生じやすいのはどれか。

    • 1.痔

    • 2.便 秘

    • 3.腰 痛

    • 4.静脈瘤

    解答・解説

    1.(×)妊娠後期には、子宮が増大して下半身に負担がかかり、運動不足や血行不良から痔になりやすいとされています。Aさんは妊娠初期であり、当てはまりません。
    2.(○)妊娠初期には、プロゲステロンが大腸の動きを抑制し、便秘のリスクが高まります。また、妊娠後期にも、運動不足や増大した子宮による圧迫の影響で、便秘になりやすくなります。なお、刺激性下剤は子宮の収縮にもつながるため、妊娠中の使用には注意が必要です。
    3.(×)妊娠後期には、子宮の増大や体重増加の影響で体のバランスが取りづらくなり、腰痛につながることがあります。Aさんは妊娠初期であり、当てはまりません。
    4.(×)妊娠後期には、増大した子宮が静脈還流を妨げ、特に下肢静脈瘤のリスクが高まります。Aさんは妊娠初期であり、当てはまりません。

    第102問

    Aさん(24歳、初産婦、会社員)は、現在、両親と妹の4人で暮らしている。パートナー(24歳、会社員)と結婚する予定である。Aさんは、妊娠8週の妊婦健康診査で「朝起きると気持ちが悪くあまり食べられません。台所から食べ物の匂いがするだ けで吐き気がします」と話している。 Aさんは、妊娠23週に結婚し、パートナーの家に転居した。翌週の妊婦健康診査で、Aさんは「最近は、結婚や引っ越しで忙しかったです。これから新しい環境に慣れていきたいと思っています」と話した。妊娠経過は順調である。 このときに看護師がAさんに対して説明する内容で優先度が高いのはどれか。

    • 1.保育所の選択

    • 2.乳房の手入れ

    • 3.側臥位での睡眠

    • 4.妊婦健康診査の受診頻度

    解答・解説

    1.(×)Aさんは会社員であり、職場復帰の際に保育所の選択は切実な問題となりますが、設問の時点で説明する内容としてはタイムリーではありません。
    2.(×)乳房の手入れは母乳哺育に備えたものだと考えられますが、そもそもAさんが母乳哺育を望んでいるのか確認しておらず、先走った情報提供だといえるでしょう。母乳哺育をする場合も、乳房の手入れは一般的に妊娠後期から行います。
    3.(×)妊娠後期に入ると子宮が増大して静脈還流を妨げ、仰臥位で寝たときに低血圧となるリスクがあるため、側臥位での睡眠を指導します。妊娠初期のAさんに対しては、優先度の低い情報提供です。
    4.(○)妊婦健康診査の受診頻度は、妊娠23週までが4週間に1回、妊娠24~35週までが2週間に1回となります(妊娠36週以降は1週間に1回)。Aさんは、ちょうど受診頻度が高まるタイミングにあるので、最も優先度が高い情報提供です。

    第103問

    Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と(長女2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。 Aさんの分娩時のアセスメントで適切なのはどれか。

    • 1.正期産である。

    • 2.適時破水である。

    • 3.遷延分娩である。

    • 4.分娩時出血量は異常である。

    解答・解説

    1.(○)正期産とは、妊娠37週0日~42週未満の分娩を指します。妊娠37週2日のAさんは正期産に当たります。
    2.(×)適時破水とは、子宮口全開大のタイミングで破水することを指します。Aさんは子宮口2cm開大の時点で破水しており、早期破水に当たります。
    3.(×)遷延分娩とは、初産婦では30時間、経産婦では15時間を経過しても分娩に至らないことを指します。胎児骨盤不均衡や、微弱陣痛または過強陣痛の場合に起こることがあります。経産婦のAさんは14時間で分娩しており、遷延分娩には当たりません。
    4.(×)分娩時出血量500mL以上が異常とされており、360mLでは異常に当たりません。

    第104問

    Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と(長女2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。 Aさんは、翌日1時に帰室した。5時、尿意はなかったが、トイレでの排泄を促し排尿がみられた。排尿後の観察で、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れ、悪露は赤色で量は中等量であった。会陰縫合部に異常はないが、痛みがあるため円座を使用している。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

    • 1.「下腹部を温めましょう」

    • 2.「水分摂取を控えましょう」

    • 3.「腹筋を強化する体操をしましょう」

    • 4.「尿意がなくても3~4時間ごとにトイレに行きましょう」

    解答・解説

    Aさんの子宮復古は順調に進んでいますが、尿意が起こらないという問題を抱えており、その適切な対処方法を考えます。
    1.(×)下腹部を温めても、尿意を促すことにはつながりません。
    2.(×)尿意を促すためにも、産褥期の身体を回復させるためにも、積極的な水分摂取が必要です。
    3.(×)腹筋運動は産褥体操の一環として行われますが、産後まもないAさんが行うには運動強度が高すぎます。
    4.(○)分娩時に児頭が末梢神経を圧迫して一時的な膀胱機能障害を招き、産後は尿意を感じにくくなることがあります。尿意がなくても排尿を試みることで次第に尿意が回復するので、3~4時間ごとにトイレに行ってもらうことが適切です。

    第105問

    Aさん(26歳、経産婦)は、夫(30歳)と(長女2歳)の3人で暮らしている。妊娠37週2日、これまでの妊娠経過に異常はない。9時に陣痛が開始し、10時に夫に付き添われ入院した。入院時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒であった。内診所見は子宮口2cm開大で、少量の羊水の流出を認めた。羊水混濁はなかった。21時30分に子宮口全開大、22時30分に3,200gの男児を正常分娩で出産した。会陰裂傷は第2度。23時に胎盤娩出し、子宮底の位置は臍高で硬く触れた。児のApgar<アプガー>スコアは1分後8点、5分後9点。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で硬く触れた。分娩時出血量は360mL。 産褥3日。Aさんは母乳育児を希望している。Aさんの乳房の形は左右ともIIa型で、乳房は緊満している。両乳頭に損傷はない。左腋窩に副乳があり「腫れて痛い」と話す。本日の児の体重は3,100gであった。 Aさんに対する看護師の援助で適切なのはどれか。

    • 1.左腋窩に冷罨法を行う。

    • 2.乳房マッサージを行う。

    • 3.3時間ごとの授乳を勧める。

    • 4.左乳房での授乳を中止する。

    解答・解説

    副乳とは、胎児成長の段階で退化して一対になるはずの乳房が、まれに退化せず複数対となったものです。多くは一時的なものであり、時間の経過につれて消失します。
    1.(○)疼痛緩和の方法として、冷罨法は有効です。
    2.(×)通常の乳房は緊満し、副乳は腫れて痛む状態であり、乳房マッサージは苦痛を与えるだけです。
    3.(×)「3時間ごと」などと時間を定めることなく、頻繁に授乳させることが適切です。
    4.(×)左乳房での授乳を中止しても、左腋窩の副乳に起因する疼痛は和らぎません。

  • 第106問

    Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.「薬は飲まないといけません」

    • 2.「薬には副作用があるものですよ」

    • 3.「便秘は副作用ではありませんよ」

    • 4.「便秘の対処方法を一緒に考えましょう」

    解答・解説

    抗精神病薬の副作用の一つである便秘が1年も前から続いているとの訴えであり、外来であってももっと早く問題を拾い上げておくべきだったかもしれません。ともあれ、問題が明らかになった時点で早期対処を図ることが、治療継続の観点からも重要です。
    1.(×)薬を飲まないといけないことは確かですが、Aさんの訴えにはまったく取り合っておらず、不適切な対応です。
    2.(×)副作用をどうすればいいかが問題なのであって、選択肢の対応はAさんに真摯に向き合っていないことの表れです。
    3.(×)統合失調症に用いられる抗精神病薬は、抗コリン作用により便秘や口渇を引き起こしやすいため、誤った説明です。
    4.(○)精神疾患の薬物療法では、服薬を継続してもらうことが極めて重要です。そのため、できるだけ副作用を軽減させる対処方法を考えることが適切です。

    第107問

    Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。 診察では幻聴の悪化が認められたため、薬物治療の見直しが行われた。その後、定期的に両親同伴で外来通院を続けた。3か月後、幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった。外来の診察で、悪化した原因を改めて振り返ったところ、Aさんは「半年前から家族に分からないように薬をトイレに捨てていた」と話した。診察後、Aさんからそれを聞いた両親が、医師や看護師の目の前でAさんを大きな声で叱ると、Aさんの表情は険しくなった。 Aさんの両親に勧めるものとして適切なのはどれか。

    • 1.心理教育

    • 2.内観療法

    • 3.自律訓練法

    • 4.精神分析療法

    解答・解説

    Aさんの両親は、他人の面前でAさんを大声で叱責するという感情的な反応をしています。せっかく「幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった」というところまで快方に向かったにもかかわらず、こうした反応でAさんに接すると病状が再び悪い方向へ転がる可能性が懸念されます。そこで、Aさんの両親には選択肢1の心理教育が勧められます。精神衛生に問題を抱える人をエンパワメントし、ストレッサーへのより適切な対処方法(コーピング)を学んでもらう教育手法です。患者本人だけでなく、その家族も対象になることがポイントだといえます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第108問

    Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。 診察では幻聴の悪化が認められたため、薬物治療の見直しが行われた。その後、定期的に両親同伴で外来通院を続けた。3か月後、幻聴は改善傾向を示し、規則正しい生活ができるようになった。 さらに3か月後、家事の手伝いができるようになり、家庭内で落ち着いた日常生活を送れるようになった。Aさんは「自分のことは自分でできるようになって、将来はまた働きたい」と話すようになり、社会復帰に向けて社会資源の利用を検討することになった。 この時点でAさんに紹介する社会資源で適切なのはどれか。

    • 1.就労移行支援

    • 2.地域活動支援センター

    • 3.居宅介護〈ホームヘルプ〉

    • 4.短期入所〈ショートステイ〉

    • 5.共同生活援助〈グループホーム〉

    解答・解説

    1.(○)就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づき、心身に障害を抱えた人が一般企業などでの就労を希望する場合、就職支援から就職後の職場定着支援まで一貫したサポートを提供するものです。Aさんは大学卒業後に就労経験があり、現在も将来的な就労を希望しているため、本人の状態を見ながらサポートしていくのであれば、利用に適した社会資源だと考えられます。
    2.(○)地域活動支援センターは、障害者総合支援法に基づき、利用者に創作的活動や生産活動の機会を提供し、社会との交流を促す施設です。センターでの活動を通して、将来的な就労へ向かって着実に前進できると思われます。
    3.(×)Aさんは、家事の手伝いができるようになっていることから、居宅介護〈ホームヘルプ〉の必要はありません。
    4.(×)Aさんは、家庭内で落ち着いた日常生活を送れるようになっていることから、短期入所〈ショートステイ〉の必要はありません。
    5.(×)Aさんは、家庭内で落ち着いた日常生活を送れるようになっていることから、共同生活援助〈グループホーム〉の必要はありません。

    ※本問について、厚生労働省は「複数の正解があるため、複数の選択肢を正解として採点する」と発表しました。

    第109問

    Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師が行う母親への経管栄養法の指導で適切なのはどれか。

    • 1.注入する前に排便させる。

    • 2.注入中は側臥位を保つようにする。

    • 3.カテーテルは毎日場所を変えて固定する。

    • 4.家族と同じ食事を流動食にして注入する。

    解答・解説

    1.(×)経管栄養剤の注入前に、特に排便させる必要はありません。
    2.(×)経管栄養剤の誤嚥を予防するため、注入中は上体を30~45度程度に起こしたファーラー位が適切です。
    3.(○)同じ場所でカテーテルを固定すると、カテーテルが接する部分の皮膚にダメージが蓄積され、皮膚トラブルを引き起こします。それを防ぐため、カテーテルは毎日場所を変えて固定します。
    4.(×)家族と同じ食事を流動食にして注入すると、小児用の細いカテーテルを閉塞させるリスクがあります。

    第110問

    Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師は、Aちゃんの誤嚥性肺炎を予防するケアの方法を母親に指導することにした。 母親が行うAちゃんへのケアとして適切なのはどれか。

    • 1.腹式呼吸を促す。

    • 2.咳嗽の訓練を行う。

    • 3.胸郭可動域の訓練を行う。

    • 4.含嗽液を用いてうがいをさせる。

    解答・解説

    1.(×)Aちゃんは「指示に応じることはできない」ので、腹式呼吸を促すことは難しいでしょう。
    2.(×)Aちゃんは「指示に応じることはできない」ので、咳嗽の訓練を行うことは難しいでしょう。
    3.(○)胸郭可動域訓練は、胸郭周囲筋の柔軟性を高めたり筋緊張を抑制したりすることで、胸郭呼吸機能を改善するものです。第三者が他動的に実施できるので、「指示に応じることはできない」Aちゃんへのケアとして適切です。
    4.(×)Aちゃんは「指示に応じることはできない」ので、胸郭可動域の訓練を行うことは難しいでしょう。
    5.(×)Aちゃんは「指示に応じることはできない」ので、含嗽液を用いてうがいをさせることは難しいでしょう。

    第111問

    Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 母親は「Aは来年の4月には小学校に入学する年齢だけど、入学に向けてどうすればよいのか分からない」と訪問看護師に相談した。 訪問看護師が行う援助として適切なのはどれか。

    • 1.自宅に教員を派遣できる小学校に連絡する。

    • 2.Aちゃんが入学できる特別支援学校を紹介する。

    • 3.父親に仕事を調整してAちゃんの送迎をするよう勧める。

    • 4.教育委員会に小学校入学に関する相談をするよう勧める。

    解答・解説

    Aちゃんに適した学校の紹介や通学方法の提案は、そもそも訪問看護師の役割ではないと考えられますし、その分野の専門教育を受けていない以上、適切な知識を備えていることも少ないでしょう。少しばかりの知識があったとしても、安易に相談に乗るとトラブルになるおそれがあります。その道の専門家につなぐという観点から、自治体の教育委員会に相談するように勧めることが適切です。教育委員会は、入学に関する相談のほか、いじめや中途退学、学校と保護者間でのトラブルなどについても相談窓口を設けています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第112問

    Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症(urinary tract infection)による敗血症(sepsis)で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 朝9時、日勤の看護師が訪室したとき、シリンジポンプの閉塞と輸液ポンプの気泡混入の、2つのアラームが作動した。ノルアドレナリンの入ったシリンジは残量があり、乳酸加リンゲル液のボトルが空になっていた。各ポンプおよび各輸液ラインの状況を図に示す。 看護師がアラームを停止した後に行うこととして最も優先度が高いのはどれか。

    • 1.乳酸加リンゲル液を準備する。

    • 2.ノルアドレナリンを準備する。

    • 3.輸液ポンプ内のラインの気泡を除く。

    • 4.輸液ラインの閉塞や屈曲がないか確認する。

    解答・解説

    「シリンジポンプの閉塞と輸液ポンプの気泡混入の、2つのアラームが作動」している状況で、どちらの対応を優先すべきか考えます。輸液ラインが閉塞していた場合、設定通りの薬液量が投与されないことになります。特に昇圧薬のノルアドレナリンの投与量によっては、Aさんを危険に曝すおそれが高いといえます。したがって、輸液ラインの閉塞・屈曲の有無を確認することが最優先事項です。輸液ポンプ内のラインの気泡は、その後に除きます。なお、乳酸加リンゲル液の準備はアラームの原因を解除した後で間に合います。また、ノルアドレナリンは残量があるため、急いで準備する必要はありません。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第113問

    Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症(urinary tract infection)による敗血症(sepsis)で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 その直後、看護師はノルアドレナリンの投与量を医師の指示書で確認した。指示書には、午前6時に2mL/時間から1mL/時間へ投与量の減量の指示が記載されていたが、午前9時の投与量は2mL/時間のままであったことに気が付いた。 このときのAさんに対し看護師がアセスメントする項目で優先度が高いのはどれか。

    • 1.血圧

    • 2.尿量

    • 3.血糖値

    • 4.呼吸数

    解答・解説

    「指示書には、午前6時に2mL/時間から1mL/時間へ投与量の減量の指示が記載されていたが、午前9時の投与量は2mL/時間のままであった」ということで、すでに3時間で総量3mLのノルアドレナリンが過量投与になっています。敗血症性ショックに対する昇圧治療として投与されているノルアドレナリンは、強い昇圧作用を有するため、何を置いても血圧の確認が必要です。過度の昇圧反応として、急性肺水腫、不整脈、心停止などを引き起こすことがあります。その他の選択肢については、アセスメントする必要がないわけではありませんが、血圧に比べて優先度は高くないでしょう。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第114問

    Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症(urinary tract infection)による敗血症(sepsis)で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 Aさんには有害事象はみられなかったが、医師の指示量の2倍のノルアドレナリンが3時間投与されていた。これは、医師がノルアドレナリンの減量を指示書に記載し、夜勤の担当看護師にそれを伝えたが、担当看護師が実際に減量することを忘れたことが原因だった。病棟では、リスクマネジメントとしてこの出来事の再発防止策を考えることとなった。 再発防止策で適切なのはどれか。

    • 1.薬剤に関する研修会を企画する。

    • 2.医療機器の操作方法を再教育する。

    • 3.インシデントを起こした看護師は反省文を書くこととする。

    • 4.医師の指示内容の変更時は、複数の看護師で情報共有をする。

    解答・解説

    1.(×)ノルアドレナリンを含む劇薬について知見を深めるなどすれば、薬剤に関する研修会が有用でないとはいえませんが、設問のインシデントは情報の伝達ミスが原因であるため、その再発防止策としては的を射ていないでしょう。
    2.(×)設問のインシデントは情報の伝達ミスが原因であり、医療機器の操作方法は関係がありません。
    3.(×)インシデントは組織として予防・再発防止を徹底することが重要なのであり、個人的な罰を与えても組織的な再発防止策とはなり得ません。
    4.(○)設問のインシデントの原因となった情報の伝達ミスを防ぐため、複数の看護師で情報共有や変更内容の確認(ダブルチェック)を行うことが適切です。

    第115問

    Aさん(23歳、男性)は、マラソンの途中で嘔吐し、意識混濁状態となり救急車で搬送された。来院時、体温39.5℃で、熱中症(heatillness)と診断された。気管挿管と人工呼吸器管理が実施された。膀胱留置カテーテルを挿入後に輸液療法を開始して、ICUに入室した。表面冷却と血管内冷却によって体温は37℃台に下降した。 既往歴:特記すべきことはない。 身体所見:ICU入室時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-20。体温37.8℃、呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧94/74mmHg。暗赤色尿を1時間で20mL認めた。 検査所見:Hb 16.8g/dL、Ht 48.6%、Na 130mEq/L、K 6.5mEq/L、Cl 100mEq/L、クレアチンキナーゼ〈CK〉48,000IU/L、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、AST〈GOT〉70IU/L、ALT〈GPT〉88IU/L。尿一般検査でミオグロビン陽性。胸部エックス線写真および頭部CTで異常所見なし。心電図でSTの変化はなく、洞性頻脈を認めた。 このときのAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.貧血である。

    • 2.筋肉が傷害されている。

    • 3.致死性不整脈が出現しやすい。

    • 4.心原性ショックを起こしている。

    • 5.利尿薬の使用が必要な状態である。

    解答・解説

    Aさんは長時間の激しい運動で熱中症になり、さらには横紋筋が融解し、それによりミオグロビン尿性急性腎障害を起こしています。
    1.(×)HbやHtは基準範囲内であり、貧血は認められません。
    2.(○)クレアチンキナーゼやASTなどの心筋や骨格筋に存在する酵素の血中濃度が上昇しており、ミオグロビン尿が認められることから、筋肉が傷害されていることが考えられます。
    3.(○)K 6.5mEq/Lの高カリウム血症であり、致死性不整脈の出現に注意が必要な状態です。激しい運動により筋肉が傷害され、筋細胞内のカリウムやミオグロビンが細胞外に逸脱して血中に流入し、急激に高カリウム血症をきたしたことが考えられます。
    4.(×)心原性ショックの診断基準は、意識障害に加え、収縮期血圧90mmHg未満、尿量20mL/時未満、末梢血管収縮(冷汗、四肢冷感)とされています。
    5.(×)Aさんの状態で利尿薬を使用すると、循環血液量が減少して腎機能がさらに低下するとともに、熱中症を悪化させるおそれが高いと考えられます。

    第116問

    Aさん(23歳、男性)は、マラソンの途中で嘔吐し、意識混濁状態となり救急車で搬送された。来院時、体温39.5℃で、熱中症(heatillness)と診断された。気管挿管と人工呼吸器管理が実施された。膀胱留置カテーテルを挿入後に輸液療法を開始して、ICUに入室した。表面冷却と血管内冷却によって体温は37℃台に下降した。 既往歴:特記すべきことはない。 身体所見:ICU入室時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-20。体温37.8℃、呼吸数28/分、脈拍110/分、血圧94/74mmHg。暗赤色尿を1時間で20mL認めた。 検査所見:Hb 16.8g/dL、Ht 48.6%、Na 130mEq/L、K 6.5mEq/L、Cl 100mEq/L、クレアチンキナーゼ〈CK〉48,000IU/L、尿素窒素60mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、AST〈GOT〉70IU/L、ALT〈GPT〉88IU/L。尿一般検査でミオグロビン陽性。胸部エックス線写真および頭部CTで異常所見なし。心電図でSTの変化はなく、洞性頻脈を認めた。 Aさんは腎不全が悪化し、持続的血液透析を1週間実施した。入院後20日が経過し、Aさんは尿量100mL/時間以上、クレアチニン1.4mg/dLとなった。気管チューブと膀胱留置カテーテルは抜去され、状態は落ち着いている。ADLは拡大し、3日後に退院することとなった。 Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。

    • 1.水分を制限する。

    • 2.蛋白質を制限する。

    • 3.積極的に運動する。

    • 4.生野菜を積極的に摂取する。

    解答・解説

    Aさんは長時間の激しい運動で熱中症になり、さらには横紋筋が融解し、それによりミオグロビン尿性急性腎障害を起こしています。
    1.(×)浮腫や腹水はみられず、尿量が100mL/時以上となっているため、水分を制限する必要はありません。脱水に留意して、尿量や体重の変化に応じた適切な水分量を摂取することが重要です。
    2.(○)蛋白質が分解されると尿素窒素が生じるため、その排泄時には腎臓に負担がかかります。Aさんは回復傾向にはありますが、現在もクレアチニンが基準値より高いことから、腎臓を保護する目的で蛋白質を制限することが適切です。
    3.(×)運動により老廃物の産生が増加すると、その排泄時に腎臓への負担が大きくなります。腎機能が安定するまでは、激しい運動は避けるよう指導します。
    4.(×)生野菜にはカリウムが多く含まれます。腎臓の負担を軽減し、高カリウム血症を予防するためにも、生野菜は控えるよう指導します。

    第117問

    Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症(angina pectoris)の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)と診断された。 このときの検査所見として適切なのはどれか。

    • 1.心電図のST上昇

    • 2.左肺呼吸音の減弱

    • 3.クレアチンキナーゼ〈CK〉の下降

    • 4.胸部エックス線写真での心陰影の縮小

    解答・解説

    1.(○)急性心筋梗塞では、心電図上でST上昇が生じます。冠動脈のアテローム(粥腫)が破綻して冠動脈内腔に血栓が形成され、それにより冠動脈が閉塞して心筋壊死をきたします。
    2.(×)急性心筋梗塞で、左肺のみ(片肺性)に呼吸音の減弱が生じることはありません。無気肺、胸水、気胸などの場合には、片側性の呼吸音減弱がみられます。
    3.(×)急性心筋梗塞では、クレアチンキナーゼやトロポニンTなどの上昇がみられます。
    4.(×)急性心筋梗塞に急性心不全を合併すると、心陰影の拡大が認められます。いずれにしても、急性心筋梗塞で心陰影が縮小することはありません。

    第118問

    Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症(angina pectoris)の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞(acute myocardial infarction)と診断された。 緊急心臓カテーテル検査で左冠動脈起始部に90%の閉塞を認め、緊急冠動脈バイパス術が行われた。術後5日、集中治療室から一般病棟に転棟した。Aさんは「手術も無事終わって命が助かった。リハビリテーションが大切と聞いたので、頑張って廊下を歩きますよ」と看護師に話した。術後のADL拡大は順調に進み、Aさんは病棟内での200mの歩行が許可されている。胸部症状の出現や心電図の変化は認めない。 Aさんへの心臓リハビリテーションについて適切なのはどれか。

    • 1.息苦しさが出現したら中止する。

    • 2.気分の良いときに階段昇降を勧める。

    • 3.衣服の着脱は家族に介助してもらう。

    • 4.レジスタンストレーニングを中心に行う。

    解答・解説

    1.(○)急性期の心臓リハビリテーションでは、危険な不整脈の出現や120/分以上の心拍数増加、20mmHg以上の血圧上昇、呼吸困難・胸痛・動悸などの自覚症状が生じた場合は、リハビリテーションを中止する必要があります。
    2.(×)病棟内での200mの歩行が許可されている段階であり、階段昇降は負荷が大きいと考えられます。
    3.(×)術後のADL拡大が順調に進んでいることから、衣服の着脱を家族が介助する必要はありません。
    4.(×)レジスタンストレーニングは、筋肉に一定の負荷をかけて筋力や筋持久力を高める運動で、心臓リハビリテーションに取り入れられることがあります。ただし、心臓リハビリテーションで中心となるのはあくまでも有酸素(持久性)運動です。

    第119問

    Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160cm、体重55kg。血圧142/80mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb 12.5g/dL、クレアチニン2.5mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。

    • 1.貧 血

    • 2.出血傾向

    • 3.易感染状態

    • 4.腎機能低下

    解答・解説

    1.(×)Hbは基準範囲内であり、溶血性貧血が疑われる状態ではありません。
    2.(×)全身性エリテマトーデスでは、血小板が破壊されて出血傾向をきたすことがあります。しかし、Aさんの血小板数は基準範囲内であり、出血傾向はないと考えられます。
    3.(×)全身性エリテマトーデスでは、白血球が破壊されて易感染状態となることがあります。しかし、Aさんの白血球数は基準範囲内であり、易感染状態ではないと考えられます。
    4.(○)全身性エリテマトーデスでは、約50%の患者にループス腎炎が合併します。Aさんのクレアチニン値は基準より高く、腎機能低下が疑われる状態です。確定診断のためには生検を行います。

    第120問

    Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160cm、体重55kg。血圧142/80mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb 12.5g/dL、クレアチニン2.5mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 Aさんはプレドニゾロン60mg/日のステロイド治療が開始となった。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。

    • 1.「食事の制限はありません」

    • 2.「倦怠感が強いときは薬の中止を検討します」

    • 3.「薬の影響で気分が大きく変動するかもしれません」

    • 4.「職場復帰に備えて天気の良い日は散歩しましょう」

    解答・解説

    1.(×)副腎皮質ステロイドによる治療が開始されているため、食欲の増進が予想されます。高血糖や脂質異常症を引き起こすおそれがあるため、エネルギー摂取が過剰にならないよう指導します。
    2.(×)副腎皮質ステロイドは全身性エリテマトーデスの治療に最も必要な基本薬であり、副作用が生じた場合でも評価を行いながら投与を継続します。また、ステロイド薬は突然中断すると離脱症状が起こるため、中止する際には徐々に減量する必要があります。
    3.(○)ステロイド薬の副作用として、不眠、多幸感、抑うつ傾向、情緒不安定などの精神症状が挙げられます。男性より女性のほうが発症リスクが高いといわれ、さらに高用量投与、長期投与の場合は注意が必要です。
    4.(×)プレドニゾロン60mg/日は高用量投与であり、易感染状態になることが考えられます。感染予防の観点から、屋外での散歩は控えることが適切です。また、全身性エリテマトーデスでは日光過敏症をきたすことがあり、その観点からも直射日光を避ける必要があります。
    5.(×)病状と相関するのは抗DNA抗体であり、抗核抗体が陰性になることはまれです。

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