2015年度(第105回) 看護師国家試験 過去問・解答 午前 | 看護師の求人・転職情報はマイナビ看護師

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2015年度(第105回)
看護師国家試験 過去問・解答 午前

午前

  • 第1問

    日本の平成25年(2013年)の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。

    • 1.52%

    • 2.62%

    • 3.72%

    • 4.82%

    解答・解説

    平成25年(2013年)の生産年齢人口(15~64歳)は、前年比マイナス116万5000人の7901万人となり、32年ぶりに8000万人を下回りました。その構成割合は62.1%で、平成4年(1992年)以降減少し続けています。なお、年少人口(0~14歳)の構成割合は12.9%であり、やはり減少傾向にあります。老年人口(65歳以上)の構成割合は25.1%で総人口の4人に1人を占め、増加傾向にあります。生産年齢人口が減ると、年少人口を多く産み出すことができなくなり、老年人口を支えることが大きな負担になります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第2問

    運動習慣が身体機能に与える影響で正しいのはどれか。

    • 1.筋肉量の減少

    • 2.体脂肪率の増加

    • 3.最大換気量の減少

    • 4.基礎代謝量の増加

    解答・解説

    1.(×)運動習慣により、筋肉量は増加します。
    2.(×)運動習慣によりエネルギー消費量が増え、脂肪が燃焼するため、体脂肪率は減少します。
    3.(×)運動習慣により酸素摂取量が増え、呼吸筋も増強されるため、最大換気量は増加します。
    4.(○)基礎代謝量とは、呼吸や体温などを維持して生命を保つために最低限必要な24時間当たりのエネルギー量であり、何もしていなくても消費されます。筋肉は安静時にもエネルギーを消費するため、運動習慣により筋肉量が増えると基礎代謝量は増加します。

    第3問

    日本の平成25年(2013年)における業務上疾病で発生件数が最も多いのはどれか。

    • 1.振動障害(vibration disease)

    • 2.騒音による耳の疾患

    • 3.負傷に起因する疾病

    • 4.じん肺症(pneumoconiosis)及びじん肺合併症(complications of pneumoconiosis)

    解答・解説

    業務上疾病の発生状況を把握して労働衛生行政の基礎資料とするため、厚生労働省は「業務上疾病発生状況等調査」を実施しています。
    1.(×)振動障害は、身体に過度の負担がかかる「作業態様に起因する疾病」に含まれる項目の一つで、2件発生しています。
    2.(×)騒音による耳の疾患は、「物理的因子による疾病」に含まれる項目の一つで、4件発生しています。
    3.(○)年間発生件数7,310件のうち、「負傷に起因する疾病」が5,253件と最も多く、全体の7割以上を占めています。そのうち、災害性腰痛が4,388件であり、全体の約6割を占めています。
    4.(×)粉塵が飛散する場所での業務によるじん肺症及びじん肺合併症の発生件数は、334件です。

    第4問

    介護保険の給付はどれか。

    • 1.年金給付

    • 2.予防給付

    • 3.求職者給付

    • 4.教育訓練給付

    解答・解説

    1.(×)年金給付は、年金制度による定期的かつ継続的な給付であり、老齢給付、障害給付、遺族給付などの種類があります。
    2.(○)予防給付は、要支援1または2に認定された要支援者を対象として介護保険から支給されます。これにより介護予防に努めることで状態悪化を食い止め、要介護状態への進展を防ぐ狙いがあります。介護保険制度による給付には、予防給付のほかに介護給付や市町村特別給付があります。
    3.(×)求職者給付は、雇用保険制度による失業等給付の一つです。
    4.(×)教育訓練給付は、雇用保険制度による失業等給付の一つです。

    第5問

    臨床研究を行うときに、研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織はどれか。

    • 1.教育委員会

    • 2.倫理委員会

    • 3.医療事故調査委員会

    • 4.院内感染対策委員会

    解答・解説

    臨床研究を行うときは、厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、研究対象者(被験者)の尊厳や人権が尊重されることを確認する必要があります。審査を担うのは、臨床研究の実施施設に設置された倫理委員会です。臨床研究の責任者は、臨床研究計画書を作成して倫理委員会の承認を得た上で、それに基づいて適正に研究を実施します。倫理委員会の構成は、次の6点を満たすことが求められています。(1)医学・医療の専門家等、自然科学の有識者が含まれていること、(2)倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者が含まれていること、(3)研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者が含まれていること、(4)倫理審査委員会の設置者の所属機関に所属しない者が複数含まれていること、(5)男女両性で構成されていること、(6)5名以上であること。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第6問

    正期産の定義はどれか。

    • 1.妊娠36週0日から40週6日

    • 2.妊娠37週0日から41週6日

    • 3.妊娠38週0日から42週6日

    • 4.妊娠39週0日から43週6日

    解答・解説

    1.(×)妊娠22週0日~37週未満(36週6日)の分娩は、早産となります。早産であっても、必ずしも未熟児とはなるわけではありません。
    2.(○)正期産は、妊娠37週0日~42週未満(41週6日)の分娩です。この時期の胎児は、肺機能や体温調節機能、免疫機能など、身体の各機能が十分に成熟して四頭身となり、母体の骨盤内まで下りて頭頂部が子宮口の位置にあります。正期産では新生児が母体の外での生活にもスムーズに適応できるため、いつ出産しても問題ないとされています。
    3.(×)妊娠42週0日以降の分娩は、過期産となります。児の健康に問題が生じるリスクが高まるので、誘発分娩が検討されます。
    4.(×)過期産の期間が含まれています。

    第7問

    日本の女性の平均閉経年齢に最も近いのはどれか。

    • 1.40歳

    • 2.45歳

    • 3.50歳

    • 4.55歳

    解答・解説

    閉経年齢は、40歳代前半~50歳代後半と大きな個人差がみられますが、48歳~52歳ごろが多く、日本女性の平均閉経年齢に最も近いのは50歳となります。閉経の定義は、卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止であり、1年間無月経が持続した場合に、その時点からさかのぼって閉経年齢が判断されます。閉経の前後5年程度が更年期に当たり、ホルモンバランスが崩れることで心身にさまざまな不調(更年期障害)が現れます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第8問

    日本の平成25年(2013年)における家族の世帯構造で最も少ないのはどれか。

    • 1.単独世帯

    • 2.三世代世帯

    • 3.夫婦のみの世帯

    • 4.夫婦と未婚の子のみの世帯

    解答・解説

    平成25年(2013年)における全国の世帯総数は、5011万2000世帯でした。
    1.(×)単独世帯は全体の26.5%(1328万5000世帯)で、2番目に多い世帯構造です。
    2.(○)三世代世帯とは、祖父母、夫婦、子どもの三世代が同じ家で一緒に暮らしている世帯です。全体の6.6%(332万9000世帯)しかなく、現代では最も少ない世帯構造です。
    3.(×)夫婦のみの世帯は全体の23.2%(1164万4000世帯)で、3番目に多い世帯構造です。
    4.(×)夫婦と未婚の子のみの世帯は全体の29.7%(1489万9000世帯)で、最も多い世帯構造です。

    第9問

    保健所の設置主体で正しいのはどれか。

    • 1.国

    • 2.都道府県

    • 3.社会福祉法人

    • 4.独立行政法人

    解答・解説

    保健所は、地域保健法に基づいて、都道府県、政令指定都市、中核市、特別区(東京23区)などが設置する行政機関です。保健所の業務は、地域住民に関する対人保健(保健指導、保健サービス)と、地域に関する対物保健(食品衛生、獣医衛生、環境衛生、医事薬事衛生)の大きく2つに分けられます。都道府県の設置する保健所は、所管区域内の市町村の地域保健対策の実施に関して市町村相互間の連絡調整を行ったり、技術的助言、市町村職員の研修その他必要な援助を行ったりすることができます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第10問

    チーム医療で正しいのはどれか。

    • 1.国家資格を持つ者で構成される。

    • 2.リーダーとなる職種を固定する。

    • 3.他施設との間で行うことはできない。

    • 4.メンバー間で情報を共有して意思決定をする。

    解答・解説

    1.(×)チーム医療のメンバーには患者本人やその家族も含まれます。必ずしも国家資格を持つメンバーだけで構成されるわけではありません。
    2.(×)医師がリーダーとなることが多いものの、場面や状況、患者の希望などによっては、看護師などその他の職種がリーダーを務めることもあり得ます。
    3.(×)チーム医療は一つの施設だけで完結するとは限らず、地域の複数の施設が連携して支援を行うこともあり得ます。
    4.(○)チーム医療とは、患者や家族を中心に置き、さまざまな職種が連携して治療やケアを実施することであり、より良い医療を提供するためにはメンバー間の情報共有が重要になります。

    第11問

    内分泌器官はどれか。

    • 1.乳 腺

    • 2.涙 腺

    • 3.甲状腺

    • 4.唾液腺

    解答・解説

    内分泌器官は、細胞から産生されたホルモンを血液やリンパ管に放出します。内分泌器官には甲状腺、副甲状腺、下垂体、副腎、膵臓、腎臓、卵巣、精巣、胎盤などがあります。甲状腺は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作用を受けて甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)を分泌する内分泌器官です。なお、乳腺、涙腺、唾液腺は、分泌腺から産生された分泌物を導管を通して体外(体表や消化管内)に放出する外分泌器官に含まれます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第12問

    臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準に含まれるのはどれか。

    • 1.低体温

    • 2.心停止

    • 3.平坦脳波

    • 4.下顎呼吸

    解答・解説

    1.(×)正常な生命活動を維持できる水準を下回り、直腸温が35℃以下に低下した場合に低体温症と診断されます。生命の危険を伴いますが、脳死の判定基準には含まれません。
    2.(×)心停止は、死の三徴候(心拍動停止、自発呼吸停止、瞳孔散大および対光反射消失)の一つですが、脳死の判定基準には含まれません。
    3.(○)脳死の判定基準は、深い昏睡(III-300)、瞳孔散大、脳幹反射消失、平坦脳波、自発呼吸消失であり、この5つの条件が6時間(6歳未満では24時間)以上経過した時点での再検査でも変化がみられない場合に脳死と判定されます。
    4.(×)下顎呼吸は、呼吸中枢の機能をほとんど失った状態でみられる努力性呼吸で、異常呼吸の一つです。死戦期(死に至る直前)にみられます。

    第13問

    高齢者の体重に占める水分量の割合に最も近いのはどれか。

    • 0.0145

    • 0.0255

    • 0.0365

    • 0.0475

    解答・解説

    体重に占める水分量の割合は年齢により異なり、歳を重ねるにつれて減少します。その主な要因は、基礎代謝が落ちて細胞内の水分量が低下することです。胎児では約90%、新生児および小児では約75~80%を水分が占めています。成人では約60~70%ですが、高齢者では約50~60%ほどに低下します。また、筋肉に比べて脂肪は水分量が少ないため、性別や肥満度によっても体重に占める水分量は異なります。一般的に、女性は男性より筋肉が少なく脂肪が多いことから、男性に比べて女性のほうが体重に占める水分量の割合は少なくなります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第14問

    徐脈性の不整脈(arrhythmia)で起こりやすいのはどれか。

    • 1.失 語

    • 2.失 行

    • 3.失 神

    • 4.失 明

    解答・解説

    高度の徐脈性不整脈では、脳への血流が十分に保たれなくなり、めまい、眼前暗黒感、脳貧血からの失神などを起こす可能性があります。また、高度の徐脈が続くと、易疲労感や労作時息切れなどの心不全症状が出現することもあります。徐脈性不整脈は洞不全症候群や房室ブロックのような刺激伝導系の異常が主な原因であり、症状によっては恒久型ペースメーカーの植え込みが適応となります。また、徐脈性不整脈は薬剤により引き起こされることもあり、その場合は原因となる薬剤の投与を中止する必要があります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第15問

    糖尿病(diabetes mellitus)の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。

    • 1.総ビリルビン

    • 2.総コレステロール

    • 3.グリコヘモグロビン

    • 4.クレアチニンクリアランス

    解答・解説

    1.(×)総ビリルビンは、黄疸の指標となります。
    2.(×)総コレステロールは、脂質異常の指標となります。
    3.(○)グリコヘモグロビン(HbA1c)は、血管内でヘモグロビンとブドウ糖(グルコース)が結合した糖化蛋白質で、過去1~2か月間の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病の血糖コントロールの指標となります。血糖値や尿糖値が食事や検査時刻により変動するのに対して、グリコヘモグロビンはそれらの影響をほとんど受けないことが特徴です。グリコヘモグロビン値は、糖尿病の診断基準の一項目でもあります。
    4.(×)クレアチニンクリアランスは、腎機能の指標となります。

  • 第16問

    認知症(dementia)の中核症状はどれか。

    • 1.幻 聴

    • 2.抑うつ

    • 3.希死念慮

    • 4.見当識障害

    解答・解説

    認知症の症状は、中核症状と周辺症状(BPSD)に大きく分けられます。中核症状は、脳の器質的変化に伴って生じるため、認知症であれば誰にでも出現しうるものです。一方、周辺症状は、個々の性格や環境などさまざまな因子と相まって引き起こされる二次的な症状です。
    1.(×)周辺症状には、幻聴や幻覚、徘徊、物盗られ妄想、せん妄、暴力、失禁、睡眠障害などがあります。
    2.(×)抑うつも、周辺症状として出現することがあります。
    3.(×)希死念慮は、うつ病でみられる症状です。
    4.(○)認知症の中核症状としては、見当識障害、記憶障害、実行機能障害、高次機能障害(失語、失認、失行)が挙げられます。見当識障害では、日時や場所に加えて、他者との関係性についても正しい把握が難しくなります。

    第17問

    ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。

    • 1.便 秘

    • 2.口内炎(stomatitis)

    • 3.低血圧

    • 4.骨粗鬆症(osteoporosis)

    解答・解説

    ステロイド薬は、喘息、リウマチ、膠原病、甲状腺障害といった炎症や免疫異常による疾患の治療に広く用いられています。治療効果が高い反面、副作用の多い薬剤でもあり、重大な副作用としては骨粗鬆症、高血糖、精神症状、消化性潰瘍などが挙げられます。疾患や薬剤を原因とする続発性(二次性)骨粗鬆症のうち、最も多いのは副腎皮質ステロイドの大量・長期内服によるものです。ステロイド薬内服量に依存して骨量が低下し、さらには骨微細構造も低下するため、原発性骨粗鬆症に比べても骨折リスクが高いとされています。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第18問

    骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。

    • 1.溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)

    • 2.切迫性尿失禁(urge incontinence of urine)

    • 3.反射性尿失禁(reflex incontinence of urine)

    • 4.腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)

    解答・解説

    1.(×)溢流性尿失禁は、前立腺肥大症などによる排尿障害のために、膀胱に充満した尿が少量ずつあふれ出してしまう状態です。原因となる疾患の治療と併行して、間欠的自己導尿を行います。
    2.(×)切迫性尿失禁は、急な尿意が我慢できずに漏れてしまう状態であり、過活動膀胱などでみられます。治療には、抗コリン薬やβ3受容体作動薬が用いられます。
    3.(×)反射性尿失禁は、尿意を感知できず自分の意思とは関係なく膀胱収縮を起こして尿が漏れる状態で、脊髄損傷などでみられます。治療としては、薬物療法のほか、間欠的自己導尿や排尿訓練を行います。
    4.(○)腹圧性尿失禁は、妊娠や加齢などの影響で骨盤底筋が弛緩し、咳やくしゃみ、運動などで急に腹圧がかかると尿が漏れてしまう状態で、女性に多くみられます。腹圧性尿失禁に対しては、骨盤底筋訓練が有効です。それでも効果がない場合は、βアドレナリン受容体作動薬の投与や手術も検討されます。

    第19問

    口腔ケアで適切なのはどれか。

    • 1.歯肉出血がある場合は実施しない。

    • 2.含嗽ができない患者には禁忌である。

    • 3.経口摂取の有無に関係なく実施する。

    • 4.総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

    解答・解説

    1.(×)歯肉出血があっても、出血部位に注意しながら口腔ケアを行います。口腔ケアを続けることで、歯肉出血も軽減されます。
    2.(×)含嗽ができなくても、吸引したり拭き取ったりすることで口腔ケアを継続可能です。
    3.(○)口腔ケアには、虫歯・歯周病・口臭の予防、味覚の改善、誤嚥性肺炎の予防、唾液分泌の促進、QOLの向上など、さまざまな効果が期待されます。経口摂取の有無にかかわらず口腔ケアを行い、口腔内を清潔に保つ必要があります。
    4.(×)義歯の場合は、取り外した義歯と、歯肉の両方にケアを行います。義歯と歯肉の間には食物残渣がたまりやすいため、義歯を装着したまま口腔ケアを実施しても清潔を保つことはできません。

    第21問

    注射針を皮膚に対して45~90度の角度で刺入するのはどれか。

    • 1.皮内注射

    • 2.皮下注射

    • 3.筋肉内注射

    • 4.静脈内注射

    解答・解説

    1.(×)皮内注射では、薬液を皮膚の浅い部分(表皮と真皮の間)に注入します。そのため、刺入角度は皮膚に対してなるべく平行(0~10度)にする必要があります。
    2.(×)皮下注射では、薬液を真皮と筋肉の間の皮下組織に注入します。刺入角度は約30度です。
    3.(○)筋肉内注射では、薬液を皮下組織のさらに下にある筋肉組織に注入します。刺入角度は45~90度です。注射部位は大血管や神経走行の少ない部位が適しているため、通常は上腕(三角筋)や殿部(中殿筋)が選択されます。
    4.(×)静脈内注射では、薬液を皮下組織の中を通る表在静脈に注入します。刺入角度は約10~20度です。

    第22問

    薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。

    • 1.坐 薬

    • 2.経口薬

    • 3.筋肉内注射

    • 4.静脈内注射

    解答・解説

    薬剤の吸収速度を比較すると、経口薬<皮下注射<筋肉内注射<坐薬<静脈内注射の順になります。
    1.(×)坐薬は経口薬よりも血中濃度の上昇が速い与薬方法ですが、即効性は静脈内注射より劣ります。
    2.(×)経口薬は最も多く用いられる与薬方法ですが、消化管から吸収されて肝臓を経由するため、血中濃度の上昇は穏やかです。
    3.(×)筋肉内注射は筋肉組織に注入する与薬方法で、皮下注射よりも即効性があります。吸収の悪い脂溶性物質などの与薬に用いられます。
    4.(○)静脈内注射は直接静脈内に注入するため、薬剤が全身へ速やかに行き渡り、血中濃度の上昇が最も速い与薬方法です。一方で、代謝も早期に行われるため、薬効の持続性は低くなります。なお、血中濃度が急速に上がることから、副作用の発現する可能性も高いため注意が必要です。

    第23問

    患者が自己採血で簡単に測定できるのはどれか。

    • 1.血 糖

    • 2.カリウム

    • 3.カルシウム

    • 4.アルブミン

    解答・解説

    簡易血糖測定器を用いれば、指先から採取する数滴の血液で簡単に血糖値を測定できます。近年では、測定したデータをスマートフォンに転送したり、医療機関と共有したりできる機種もあります。糖尿病患者は、インスリン療法を安全かつ効果的に進めるため、血糖自己測定(SMBG)により血糖値の推移を自ら管理します。また、簡易血糖測定器は、低血糖が疑われる際の確認にも有効です。なお、カリウム、カルシウム、アルブミンは、いずれも血液生化学検査の項目であり、患者が自己採血で測定することは困難です。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第24問

    ベンチュリーマスクの写真を別に示す。 酸素流量の設定と併せて吸入酸素濃度を調節するのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    1.(×)マスクの部分です。
    2.(×)蛇管です。
    3.(○)酸素噴出孔の調節を行うアダプターで、ダイリューターと呼ばれます。ベンチュリーマスクは、高流量システムに分類される酸素投与器具であり、ダイリューターを付け替えることで24~50%の安定した吸入酸素濃度を得ることができるため、正確な酸素濃度の管理が必要な場合に用いられます。ダイリューターは、設定酸素濃度に応じて青、黄、白、緑、ピンク、橙の6種類に色分けされ、それぞれに推奨酸素流量が決められています。設問の画像にある橙のダイリューターを使用すると、1分間に10Lの酸素流量で、50%の酸素濃度を得ることができます。
    4.(×)酸素チューブです。

    第25問

    災害による心理的ストレスが身体反応として最も強く現れる時期はどれか。

    • 1.発災後3~7日

    • 2.発災後2週~1か月

    • 3.発災後半年~3年

    • 4.発災後4年目以降

    解答・解説

    ストレス反応とは、外部からの刺激に対する非特異的な防御反応であり、身体、感情、行動、認知などに変化をもたらします。災害時に起こるストレス反応は予測が不可能なことも多く、通常の対処では難しいことが特徴です。身体反応は個人差も大きく、長期間持続するケースもあるため、時期を基準にした比較は難しいといえますが、心拍数増大、血圧上昇、呼吸促迫、発汗、めまいなどが短期間で強く出現する急性期(発災後1週間)が正解であると考えられます。なお、発災後2週~1か月は、不眠やいら立ち、落ち着きのなさといった症状が現れることがあり、急性ストレス障害と呼ばれます。これが1か月以上持続する場合は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とされます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第26問

    筋収縮で正しいのはどれか。

    • 1.筋収縮はミオシンの短縮である。

    • 2.アクチンにATP分解酵素が存在する。

    • 3.α運動ニューロンは筋紡錘を興奮させる。

    • 4.筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。

    解答・解説

    1.(×)筋収縮は筋節の短縮であり、ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込むことで起こります。それぞれのフィラメントの長さは変わりません。
    2.(×)ATP(アデノシン三リン酸)分解酵素が存在するのは、ミオシン頭部です。ATPは、筋収縮の直接のエネルギー源となります。
    3.(×)運動ニューロンは、脊髄の前角および脳幹の運動核に存在し、骨格筋の動きを支配しています。α運動ニューロンは、骨格筋を興奮させて筋収縮を引き起こします。筋紡錘を興奮させるのは、γ運動ニューロンです。
    4.(○)筋小胞体は筋原繊維の周囲に存在する小胞状の構造で、神経を介して刺激を受けるとカルシウムイオンを放出し、筋収縮機能の調節に働きます。筋収縮の開始には、カルシウムイオンの濃度変化が強く影響しています。

    第27問

    血管に吻合がないのはどれか。

    • 1.皮静脈

    • 2.冠動脈

    • 3.膝窩動脈

    • 4.腸絨毛の毛細血管

    解答・解説

    血管の吻合とは横同士の血管を連絡する結合部分であり、血管が狭窄・閉塞した場合でも、血管吻合があれば他のルートを通して血流を保つことができます。血管吻合がない動脈は終動脈と呼ばれ、脳、肺、肝臓、腎臓、脾臓、心臓などでみられます。心筋の栄養血管である冠動脈は終動脈であり、これが狭窄や閉塞をきたすと酸素や栄養素が供給されなくなるため、心筋虚血や心筋壊死(虚血性心疾患)などを招きます。吻合があっても、それが実質的に役に立たない場合(機能的終動脈)は、やはり狭窄・閉塞により梗塞につながります。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第28問

    一次脱水でみられるのはどれか。

    • 1.尿量の減少

    • 2.血漿浸透圧の低下

    • 3.バソプレシンの分泌の抑制

    • 4.血漿ナトリウムイオン濃度の低下

    解答・解説

    一次脱水は、ナトリウムより水の喪失が多い脱水(水欠乏性脱水)であり、水分補給不足などで体液中の水分が欠乏した状態です。水は細胞内から間質へ移行し、細胞外液の水分量が増加する一方、細胞内が脱水状態となっています。細胞外の浸透圧が上昇し、高張性脱水となります。そのほか、ナトリウム欠乏性脱水と混合性脱水があり、最も多いケースは水とナトリウムイオンの両方が喪失する混合性脱水です。
    1.(○)バソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌が亢進し、腎臓での水の再吸収量が増加するため、尿量は減少します。
    2.(×)水欠乏性脱水では、水の喪失に伴って血漿が濃縮されるため、浸透圧は亢進します。
    3.(×)浸透圧の上昇により、バソプレシンの分泌は亢進します。
    4.(×)水の喪失に伴って血漿が濃縮され、ナトリウムイオン濃度は上昇します。

    第29問

    膵臓から分泌されるのはどれか。

    • 1.ガストリン

    • 2.カルシトニン

    • 3.アルドステロン

    • 4.ソマトスタチン

    解答・解説

    膵臓のランゲルハンス島には、A細胞(α細胞)、B細胞(β細胞)、D細胞(δ細胞)という3つの内分泌細胞が存在します。
    1.(×)ガストリンは、胃の幽門腺から分泌されるホルモンです。
    2.(×)カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンです。
    3.(×)アルドステロンは、副腎皮質から分泌されるホルモンです。
    4.(○)膵臓のランゲルハンス島では、A細胞からグルカゴン、B細胞からインスリン、D細胞からソマトスタチンが分泌されます。ソマトスタチンは食物摂取による刺激を受けて分泌され、インスリンやグルカゴンの分泌を抑制します。

    第30問

    男性生殖器について正しいのはどれか。

    • 1.精巣は腹腔内にある。

    • 2.精嚢は精子を貯留する。

    • 3.前立腺は直腸の前面に位置する。

    • 4.右精巣静脈は腎静脈に流入する。

    解答・解説

    1.(×)精巣(睾丸)は、陰嚢の中にあります。
    2.(×)精嚢は、精嚢液を分泌する外分泌腺です。精嚢液と精子が混ざり合って精液となります。精嚢は前立腺の後方・膀胱の底部に近接した一対の曲がりくねった袋状の器官で、射精管に開口しています。
    3.(○)前立腺は、膀胱の直下で尿道を取り囲むように存在し、直腸の前面に位置しています。そのため、前立腺検査では直腸指診による触診を行うことが可能です。
    4.(×)右精巣静脈・右副腎静脈は、下大静脈に直接合流します。左腎静脈に流入するのは、左精巣静脈・左副腎静脈です。

  • 第31問

    腹部の検査の画像を別に示す。 生体の代謝を利用した検査はどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    解答・解説

    1.(×)X線画像です。X線透過率の差を利用して、組織の様子を写し出します。
    2.(×)CT画像です。X線透過率の差を利用して得られたデータをコンピューター処理することで断層像が得られます。
    3.(○)陽電子放射断層撮影(PET)画像であり、生体の代謝を利用した機能画像です。癌細胞は正常細胞に比べて数倍ものブドウ糖を取り込む性質があるため、ブドウ糖に類似した放射線核種(FDG)を体内に投与してからPETで撮影することで、ブドウ糖が多く集まる部位から癌を早期発見することができます。
    4.(×)超音波検査の一つであるカラードプラ画像です。超音波のドップラー効果を利用して、血流の速度や方向を描出します。超音波プローブに近付く流れは赤系、遠ざかる流れは青系の色で表現されます。

    第32問

    医療保険について正しいのはどれか。

    • 1.医療給付には一部負担がある。

    • 2.高額療養費の受給には年齢制限がある。

    • 3.市町村国民健康保険は職域保険の1つである。

    • 4.後期高齢者医療における公費負担は8割である。

    解答・解説

    1.(○)医療給付には、年齢や所得に応じて、1~3割の一部負担があります。
    2.(×)高額療養費は、年齢や所得に応じて自己負担限度額が異なりますが、年齢による受給制限はありません。
    3.(×)市町村国民健康保険は、国民健康保険法に基づく医療保険制度で、市町村が保険者となる地域保健です。職域保険は、会社員や公務員とその扶養家族を対象とする保険制度(組合管掌健康保険など)であり、市町村国民健康保険とは異なります。
    4.(×)後期高齢者医療の原則的な財源構成は、公費負担5割、現役世代の負担(後期高齢者支援金)4割、後期高齢者の保険料1割とされています。

    第33問

    日本の平成23年度(2011年度)の国民医療費について正しいのはどれか。

    • 1.総額は約25兆円である。

    • 2.財源の約半分は保険料である。

    • 3.国民所得に対する比率は5%台である。

    • 4.人口1人当たりでは65歳以上が65歳未満の約2倍である。

    解答・解説

    1.(×)平成23年度(2011年度)の国民医療費総額は約38兆5850億円で、前年に比べて3.1%増加しています。
    2.(○)国民医療費の財源別構成割合をみると、保険料は48.6%と約半分であり、最も多くを占めています。また、公費は38.4%、患者自己負担は12.3%です。
    3.(×)国民所得に対する比率は約11%となっています。
    4.(×)人口1人当たりの国民医療費は、65歳以上が72万900円、65歳未満が17万4800円であり、65歳以上が65歳未満の4倍以上となっています。

    第34問

    地域子育て支援センターの整備を掲げたのはどれか。

    • 1.児童福祉法

    • 2.新エンゼルプラン

    • 3.次世代育成支援対策推進法

    • 4.児童虐待の防止等に関する法律

    解答・解説

    地域子育て支援センターは、無料相談、関連機関紹介、子育てサークル活動支援などを行う子育て支援の総合的拠点であり、各地域に設置されています。平成11年度(1999年度)に策定された新エンゼルプラン(重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画)において、整備の必要性と数値目標が示されました。同プランでは、重点的に取り組むべき8つの目標として、「保育サービス等子育て支援サービスの充実」「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」「働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正」「母子保健医療体制の整備」「地域で子どもを育てる教育環境の整備」「子どもたちがのびのび育つ教育環境の実現」「教育に伴う経済的負担の軽減」「住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援」を掲げています。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第35問

    学校保健について正しいのはどれか。

    • 1.学校医は健康相談を実施する。

    • 2.校長は学校医を置くことができる。

    • 3.教育委員会は小学校入学1年前の児童に対して健康診断を実施する。

    • 4.学校医は感染症に罹患した児童生徒の出席を停止させることができる。

    解答・解説

    1.(○)学校医は、学校の委嘱を受け、学校での保健管理に関する専門的事項の実施や助言・指導を行う医師であり、学校保健安全法23条により設置が義務付けられています。健康診断や健康相談の実施は、学校医の主な職務の一つです。心の問題に関しては児童精神科医や学校カウンセラーと、スポーツ外傷や性感染症などに関しては各専門医と連携しつつ、必要な助言・指導を行います。
    2.(×)健康管理に関する業務を担当させるため、学校が学校医を置きます。
    3.(×)市町村の教育委員会は、次年度入学予定の未就学児に対して、小学校入学4か月前までに就学時健康診断を実施します。
    4.(×)感染症に罹患した児童生徒の出席を停止させることができるのは、学校長です。

    第36問

    高齢者が趣味の絵画を地区の展覧会に発表したいという欲求はどれか。

    • 1.自尊の欲求

    • 2.所属の欲求

    • 3.安全の欲求

    • 4.生理的欲求

    解答・解説

    マズローの欲求5段階説では、第1段階「生理的欲求」、第2段階「安全の欲求」、第3段階「社会的欲求」、第4段階「自尊の欲求」、第5段階「自己実現の欲求」というように区分されています。これらの欲求を低次のものから段階的に満たし、自己実現に向かっていくというモデルです。
    1.(○)趣味の絵画を地区の展覧会に発表したいという欲求は、「他者から認められたい、尊敬されたい」という自尊の欲求です。
    2.(×)集団に属したり仲間を求めたりする所属の欲求は、第3段階である社会的欲求に当たります。
    3.(×)安心・安全な生活を望む第2段階の安全の欲求は、第1段階の生理的欲求と同様に、生命を維持するための基本的な欲求だといえます。
    4.(×)食事や睡眠、排泄など、生命維持のための基本的かつ本能的な欲求が、第1段階の生理的欲求です。

    第37問

    根拠に基づいた看護〈EBN〉で最も適切なのはどれか。

    • 1.患者の好みは参考にしない。

    • 2.先輩看護師の行動を模倣する。

    • 3.研究論文の有用性を検討する。

    • 4.既存の看護業務基準を遵守する。

    解答・解説

    1.(×)根拠に基づいた看護において、患者の好みや意向を尊重することは重要です。
    2.(×)現場で実践されている看護技術の中には、経験的・感覚的に有用であっても根拠のないケアが存在しています。先輩看護師がそうしたケアを行っていないとは限らないため、単なる行動の模倣は必ずしも適切ではありません。
    3.(○)根拠に基づいた看護とは、最新の科学的根拠(エビデンス)に基づいた看護ケアの実践です。常に研究論文の妥当性や有用性を検討して臨床業務に適用することは、根拠に基づいた看護の基本的な考え方だといえます。
    4.(×)既存の看護業務基準が作られた後、新たな知見が発表されている場合もあります。根拠に基づいた看護のためには、常にエビデンスのアップデートが求められます。

    第38問

    患者の状態と看護師のコミュニケーションの方法との組合せで正しいのはどれか。

    • 1.構音障害―発音を促す

    • 2.聴力障害―後方から声をかける

    • 3.認知症(dementia)―患者のペースに合わせて話す

    • 4.失 語―言葉の誤りを繰り返し訂正する

    解答・解説

    1.(×)構音障害の場合は、「はい/いいえ」で答えられる閉じられた質問にしたり、静かな環境を整えてゆっくりと会話するようにしたり、コミュニケーションボードを利用したりといった配慮が必要です。
    2.(×)聴力障害の場合は、視覚によるコミュニケーションが重要になるため、視界に入らない位置からの声かけは不適切です。手話で会話するときは、はっきりと分かるように口元も動かします。
    3.(○)認知症の場合は、否定せずに受容することを前提に、患者のペースに合わせて会話を進めます。思考力が鈍るためスローペースの会話になることが多いですが、それを非難することはもってのほか。十分な時間を取り、ゆったりした気持ちで向き合いましょう。
    4.(×)失語の場合は、発音や言葉の間違いを指摘すると混乱や不安を招いてしまいます。閉じられた質問で答えやすくしたり、表情や状況から伝えたい内容を推測しながら聞き取ったりするといいでしょう。

    第39問

    フィジカルアセスメントにおいて触診で判断するのはどれか。

    • 1.腱反射の有無

    • 2.瞬目反射の有無

    • 3.腸蠕動運動の有無

    • 4.リンパ節の腫脹の有無

    解答・解説

    1.(×)腱反射は神経学的検査であり、打診で判断します。
    2.(×)瞬目反射は神経学的検査であり、刺激方法には電気刺激、音刺激、光刺激、角膜刺激などがあります。
    3.(×)腸蠕動運動の有無は、聴診で判断します。
    4.(○)リンパ節の腫脹の有無は、触診で判断します。リンパ組織の主な役割は細胞外液からの抗原除去であり、皮下組織に分布する末梢リンパ節が腫大した場合は触診で確認できるようになります。具体的には、頭頸部、腋窩、肘関節、腹部、鼠径部、膝窩部のリンパ節を体表から触知可能です。部位により正常範囲は異なりますが、基本的に2cm以上の腫脹では異常の可能性が高くなります。

    第40問

    針刺し事故対策で最も適切なのはどれか。

    • 1.針刺し部位を消毒液に浸す。

    • 2.注射針のリキャップを習慣化する。

    • 3.事故の当事者を対象にした研修を行う。

    • 4.使用済みの針は専用容器に廃棄することを徹底する。

    解答・解説

    1.(×)針刺し事故が発生した場合は、ただちに血液を絞り出すとともに、大量の流水と石けんで洗い流します。
    2.(×)針刺し事故を防止するため、リキャップをしないことが原則です。
    3.(×)事故の当事者のみならず、管理や実施、廃棄に至るまで、関係するすべての人を研修対象にする必要があります。
    4.(○)使用済みの注射針は、専用容器に廃棄することを徹底します。専用容器は、耐貫通性の材質でできており、黄色のバイオハザードマーク(血液や汚染物が付着した鋭利なもの)が表示されています。

    第41問

    片麻痺のある患者の歩行介助で正しいのはどれか。

    • 1.患者の患側に立つ。

    • 2.靴底は摩擦が少ないものを準備する。

    • 3.杖を使用する場合は杖を持つ側で介助する。

    • 4.階段を昇る場合は患側下肢から昇るように指導する。

    解答・解説

    1.(○)麻痺がある場合は、麻痺側から介助します。麻痺側は動作がうまくできずつまずいたり転倒したりしやすいため、そちらの側に立つことですぐにサポートできるようにします。
    2.(×)摩擦が少ない靴底の靴では、滑りやすくなって転倒のリスクが高まります。
    3.(×)麻痺がある場合は、健側に杖を使用して下肢への荷重を軽減し、立位や歩行を補助する必要があります。介助は患側(杖を持っていない側)から行います。
    4.(×)階段を昇る場合は、杖→健側下肢→患側下肢の順に昇るよう指導します。患側下肢から昇ると荷重の軽減につながりません。

    第42問

    冷罨法の目的はどれか。

    • 1.腸蠕動の促進

    • 2.筋緊張の除去

    • 3.機能訓練の前処置

    • 4.局所の炎症の抑制

    解答・解説

    1.(×)冷罨法により寒冷刺激を与えると、血管が収縮して腸蠕動も抑制されます。腹部や背部、腰部への温罨法であれば、腸蠕動を促進して自然な排ガス・排便を得る効果が期待できます。
    2.(×)冷罨法による寒冷刺激は末梢血管を収縮させるため、筋緊張が強くなります。温罨法であれば、知覚神経に作用して筋緊張を和らげる効果が期待できます。
    3.(×)冷罨法では筋緊張が強くなるため、機能訓練の前処置としては不適切です。温罨法であれば、筋緊張や拘縮を和らげることができます。
    4.(○)冷罨法による寒冷刺激は、血管を収縮させて血液やリンパ液の循環を抑制するとともに、組織代謝を低下させます。それにより局所の炎症を鎮める効果が期待できます。20℃前後まで冷やすと炎症抑制効果が期待できると報告されています。

    第43問

    胃洗浄を行うときの体位で最も適切なのはどれか。

    • 1.仰臥位

    • 2.腹臥位

    • 3.左側臥位

    • 4.右側臥位

    解答・解説

    胃洗浄を行う場合は、幽門側を高く、胃体部大彎側を低くし、胃の内容物が十二指腸に流出することを防ぐ必要があります。体位としては左側臥位とし、同時に頭低位、両下肢屈曲とします。この体位では腹部が弛緩し、嘔吐した場合に誤嚥を防ぐこともできます。胃洗浄は、時間が経過するにつれて効果が下がるため、異物摂取後1時間以内に行うことが望ましいとされています。食道に穿孔や大量出血の可能性がある場合や、異物が有機溶剤や石油製品の場合などは、胃洗浄は禁忌とされます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、となります。

    第44問

    Aさん(59歳、男性)は、糖尿病(diabetes mellitus)で内服治療中、血糖コントロールの悪化を契機に膵癌(pancreatic cancer)と診断され手術予定である。HbA1c 7.0%のため、手術の7日前に入院し、食事療法、内服薬およびインスリンの皮下注射で血糖をコントロールしている。Aさんは、空腹感とインスリンを使うことの不安とで、怒りやすくなっている。 Aさんに対する説明で適切なのはどれか。

    • 1.「手術によって糖尿病(diabetes mellitus)は軽快します」

    • 2.「術後はインスリンを使用しません」

    • 3.「少量であれば間食をしても大丈夫です」

    • 4.「血糖のコントロールは術後の合併症を予防するために必要です」

    解答・解説

    1.(×)膵臓は血糖値を調節するインスリンなどの内分泌ホルモンを分泌しているため、その切除後は内分泌機能低下により糖尿病が悪化する可能性が高くなります。
    2.(×)術後はインスリン分泌が抑制されるため、インスリン治療による血糖管理が不可欠です。
    3.(×)術前には厳重な血糖管理が必要であり、間食は少量であっても認められません。空腹感に対しては、食事療法の際の食材の選び方や調理方法、提供方法などを工夫することで満足感を得られるよう支援します。
    4.(○)血糖値が高いままで手術を行うと、感染症、水電解質異常、術後縫合不全などを合併するリスクが高まります。術前の血糖コントロールは術後合併症予防のために重要であることを十分に説明し、理解を得ることが大切です。

    第45問

    冠動脈バイパス術〈CABG〉後5時間が経過したとき、心嚢ドレーンからの排液が減少し、血圧低下と脈圧の狭小化とがあり、「息苦しい」と患者が訴えた。 最も考えられるのはどれか。

    • 1.肺梗塞(pulmonary infarction)

    • 2.不整脈(arrhythmia)

    • 3.心筋虚血

    • 4.心タンポナーデ

    解答・解説

    1.(×)脳梗塞では、血圧の低下はみられますが、脈圧の狭小化はみられません。
    2.(×)不整脈で血圧が低下した場合でも、脈圧の狭小化はみられません。
    3.(×)心筋虚血では、脈圧の狭小化はみられません。
    4.(○)心嚢ドレーンからの排液減少、血圧低下、脈圧の狭小化という状態から考えられるのは、心タンポナーデです。凝結によりドレーンが狭窄または閉塞した場合は、心嚢内に血液や心嚢液が貯留して心タンポナーデの原因となり、心臓の拡張が制限されるため息苦しさを感じます。心臓超音波検査により心臓周囲の液体成分貯留の程度、それによる心臓の拡張制限の程度を確認し、心嚢穿刺で貯留した液体成分を除去します。

  • 第46問

    Aさん(48歳、男性)は、直腸癌(rectal cancer)のため全身麻酔下で手術中、出血量が多く輸血が行われていたところ、41℃に体温が上昇し、頻脈となり、血圧が低下した。麻酔科医は下顎から頸部の筋肉の硬直を確認した。既往歴に特記すべきことはない。 この状況の原因として考えられるのはどれか。

    • 1.アナフィラキシー

    • 2.悪性高熱症(malignant hyperthermia)

    • 3.菌血症(bacteremia)

    • 4.貧 血

    解答・解説

    1.(×)アナフィラキシーで発熱反応が伴うことはありません。
    2.(○)悪性高熱症は、揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬により誘発される重篤な麻酔合併症の一つです。骨格筋の異常な代謝亢進がみられ、麻酔中の急激な体温上昇(40℃以上)、原因不明の頻脈や不整脈、血圧変動、筋強直(咬筋強直)、代謝性アシドーシスなどの特徴的な症状が現れます。発症すると致死的な合併症であるため、迅速な診断と治療が必須です。治療としては、急速な身体冷却と筋弛緩薬ダントロレンの投与が行われます。
    3.(×)菌血症は、細菌が感染巣から血液中へ流入している状態を指します。菌血症で発熱や頻脈が認められれば敗血症が疑われますが、その場合も筋肉の硬直が伴うことはありません。
    4.(×)貧血でも頻脈はみられますが、急激な体温上昇や筋肉の硬直が伴うことはありません。

    第47問

    慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)についての説明で適切なのはどれか。

    • 1.1週間の内服で症状が軽減すれば受診の必要はない。

    • 2.発症後1週は空気感染の危険性がある。

    • 3.眼窩内感染を起こす危険性がある。

    • 4.透明の鼻汁が特徴的である。

    解答・解説

    1.(×)慢性副鼻腔炎の治療は通常1週間以上の期間が必要であり、治療薬の内服期間は1~2か月に及びます。
    2.(×)慢性副鼻腔炎が空気感染(飛沫感染)することはありません。
    3.(○)副鼻腔は、頭蓋骨にある4つの空間(上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前額洞)を指します。副鼻腔は眼窩に接して存在するため、眼窩内感染のリスクが高くなります。特に急性増悪時は、眼周囲の炎症や眼球運動障害、視力障害などの眼窩内合併症を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
    4.(×)分泌される粘液や膿が副鼻腔に貯留するため、粘り気のある黄色っぽい鼻汁がみられます。

    第48問

    過活動膀胱(overactive bladder)の説明で正しいのはどれか。

    • 1.尿意切迫感がある。

    • 2.失禁することはない。

    • 3.水分を制限して治療する。

    • 4.50歳台の有病率が最も高い。

    解答・解説

    1.(○)過活動膀胱では、自分の意思とは無関係に膀胱が収縮してしまうため、強い尿意が突然に起こります。尿意切迫感は、過活動膀胱の必須症状です。
    2.(×)過活動膀胱の多くは頻尿・夜間頻尿を伴い、尿意切迫による切迫性尿失禁もみられます。
    3.(×)飲水制限により過活動膀胱の症状が軽快することはありません。脱水や膀胱炎の発症を防ぐためにも、適度な水分補給を行う必要があります。過活動膀胱の治療としては、膀胱訓練や骨盤底筋訓練などの機能訓練のほか、抗コリン薬などによる薬物療法が行われます。
    4.(×)過活動膀胱の有病率は、高齢になるにつれて上昇し、80歳代で最も高くなっています。

    第49問

    ハヴィガースト,R.J.(Havighurst,R.J.)による発達課題のうち、老年期の発達課題はどれか。

    • 1.健康の衰退に適応する。

    • 2.大人の余暇活動を充実する。

    • 3.個人としての自立を達成する。

    • 4.大人の社会的な責任を果たす。

    解答・解説

    1.(○)米国の教育学者ハヴィガーストは、人生を乳幼児期、児童期、青年期、壮年初期、中年期、老年期の6期に分け、各期において健全な発達を遂げるために果たすべき課題を設定しました。老年期の発達課題としては、「健康の衰退への適応」「引退と減少した収入への適応」「配偶者の死への適応」「同世代との親密な関係の確立」「身体的に満足できる生活環境の確立」の5つを挙げています。
    2.(×)大人の余暇活動を充実するのは、中年期の課題です。
    3.(×)個人としての自立を達成するのは、児童期の課題です。
    4.(×)大人の社会的な責任を果たすのは、中年期の課題です。

    第50問

    エイジズムを示す発言はどれか。

    • 1.「介護を要する高齢者を社会で支えるべきだ」

    • 2.「後期高齢者は車の運転免許証を返納するべきだ」

    • 3.「認知症(dementia)の患者の治療方針は医療従事者が決めるべきだ」

    • 4.「高齢者が潜在的に持つ力を発揮できるような環境を整えるべきだ」

    解答・解説

    エイジズムとは年齢差別のことであり、特に高齢者に対する偏見や差別に基づく不当な扱いを指します。
    1.(×)核家族化や老老介護の増加が進む中、介護を要する高齢者を社会全体で支えることが必要です。
    2.(○)高齢ドライバーによる交通事故増加が社会問題となっているため、注意喚起することは妥当です。しかし、年齢による画一的な免許返納を訴えることはエイジズムとみなされます。心身の機能や運転技能には個人差がある上、強制的な免許返納は環境によっては経済的活動をできなくさせたり、QOLを低下させたりする可能性もあります。
    3.(×)認知症患者の治療方針の決定に際しては、患者本人や家族の意思が尊重されます。問題のある発言ですが、エイジズムとは無関係です。
    4.(×)潜在的な力を発揮できるようにする環境整備は、高齢者の価値を尊重し、権利を擁護する考え方です。

    第51問

    高齢者の栄養管理について栄養サポートチーム〈NST〉と連携するときに、病棟看護師が行う看護活動で最も適切なのはどれか。

    • 1.同時期に他のサポートチームが介入しないようにする。

    • 2.栄養管理が不十分な高齢者のケアについて助言を得る。

    • 3.家族にも栄養サポートチーム〈NST〉の一員になるよう勧める。

    • 4.経管栄養法を行っている高齢者数を減らす方法を一緒に考える。

    解答・解説

    1.(×)より良い方法で栄養支援を行うためには、さまざまなサポートチームからの意見も重要です。
    2.(○)栄養サポートチーム〈NST〉は多職種で構成され、疾患や患者状態に応じて適切な栄養管理を実施することを目的の一つとします。食欲不振や低栄養など栄養管理が不十分な高齢者はNSTの対象であり、病棟看護師がケアについて助言を得ることは適切です。
    3.(×)NSTは、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などの専門職種で構成されます。家族からの情報は重要ですが、家族がメンバーの一員となることはありません。
    4.(×)意味が不明瞭な選択肢ですが、経管栄養法の適応や内容は、疾患や患者状態に応じてNSTなどで検討しつつ、最終的には医師が決定します。なお、NSTの対象となるのは、経管栄養法を行っている場合に限りません。

    第52問

    Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。

    • 1.「24時間付き添ってあげましょう」

    • 2.「おむつの重さで尿量を測定しましょう」

    • 3.「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」

    • 4.「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」

    解答・解説

    1.(×)終末期であっても状態が安定しているなら24時間付き添う必要はありません。家族の負担も考慮する必要があります。
    2.(×)尿量は死亡の数日前から減少しますが、正確に測定する意義は乏しいといえます。
    3.(×)自宅での看取りを希望しているため、救急車の要請は不要だと考えられます。自宅に救急隊が到着した時点で亡くなっているようであれば、不審死でないことを確認すべく警察の介入を要するため、家族が希望する穏やかな看取りとは異なる状況になってしまいます。連絡すべきなのは、かかりつけ医です。
    4.(○)経口摂取は次第に難しくなりますが、本人の希望があれば好きな物を食べさせるよう伝えます。嚥下機能の低下が考えられるため、食べやすい形態にするなどの工夫を指導するといいでしょう。

    第53問

    Aちゃん(生後10か月、男児)は、先天性心疾患(congenital heart disease)のため手術を受けた。Aちゃんの体重の変化を図に示す。 手術後から現在までの体重の変化に対する評価で適切なのはどれか。

    • 1.体重増加の不良

    • 2.過度な体重増加

    • 3.標準的な体重増加

    • 4.キャッチアップ現象

    解答・解説

    Aちゃんの体重変化の経過をたどると、手術前に体重増加が低迷していますが、手術後にはその遅れを取り戻すかのように急激に増加して標準体重となり、その後は標準的な体重増加をみせています。このように、臨界期(適切な刺激を受けることで器官や機能が飛躍的に成熟する時期)以外の時期に病気など何らかの障害があっても、あるいはネグレクトなどで十分な栄養が摂取できていなくても、その状態が改善されたとき、体重や身長の成長速度が上がって標準に追い付く現象を、キャッチアップ現象と呼びます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第54問

    小児の骨折の特徴で正しいのはどれか。

    • 1.不全骨折しやすい。

    • 2.圧迫骨折しやすい。

    • 3.骨折部が変形しやすい。

    • 4.骨癒合不全を起こしやすい。

    解答・解説

    1.(○)小児の骨は多孔質で弾力性に富み、弾性の限界で変形し、さらに何らかのストレスが加わることで骨折に至るという特徴があります。このため、小児では完全骨折に至らない不全骨折が多くみられます。小児の不全骨折には、骨幹部での隆起骨折や若木骨折などがあります。
    2.(×)圧迫骨折は、外傷や椎骨の脆弱化が原因となるため、骨密度の低い高齢者で多くみられます。
    3.(×)代謝が旺盛であり、機能的再構成も盛んであるため、骨折部の変形は多くは自家矯正されます。ただし、骨癒合も速いため、整復が遅れた場合は変形治癒が起こり得ます。
    4.(×)骨の成長期であるため、骨癒合不全は起こりにくいといえます。

    第55問

    就労している妊婦に適用される措置と根拠法令との組合せで正しいのはどれか。

    • 1.時差出勤―母子保健法

    • 2.産前産後の休業―児童福祉法

    • 3.軽易業務への転換―母体保護法

    • 4.危険有害業務の制限―労働基準法

    解答・解説

    働く女性の母性健康管理措置と母性保護規定については、男女雇用機会均等法と労働基準法が根拠法令となります。
    1.(×)事業主は、雇用する女性労働者が保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減など必要な措置を講じなければなりません(男女雇用機会均等法第13条)。
    2.(×)使用者は、6週間以内に出産予定(多胎妊娠の場合は14週間以内)の女性が請求した場合、および産後8週間以内の女性を就業させることはできません。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合は、この限りではありません(労働基準法第65条第1項および第2項)。
    3.(×)使用者は、妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければなりません(労働基準法第65条第3項)。
    4.(○)使用者は、妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性を妊娠や出産、哺乳などに有害な業務(重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務など)に就かせることはできません(労働基準法第64条の3)。

    第56問

    低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。

    • 1.血栓症のリスクは増加しない。

    • 2.1日飲み忘れたときは中止する。

    • 3.授乳期間を通じて内服は可能である。

    • 4.副効用に月経前症候群(premenstrual syndrome)〈PMS〉の軽減がある。

    解答・解説

    1.(×)低用量経口避妊薬が有する血液凝固作用により、静脈血栓症のリスクが高まります。また、肥満や喫煙、高年齢も血栓症のリスクファクターであり、注意が必要です。
    2.(×)飲み忘れが1日分であれば、気付いた時点で服用し、残りの錠剤は予定通りに服用します。服用を中止する必要はありません。
    3.(×)低用量経口避妊薬には乳汁分泌を抑制する作用があるため、産褥6か月未満の授乳婦が服用することはできません。また、成分が母乳中に移行する可能性があるため、産褥6か月以降も授乳中は他の避妊方法を選択することが推奨されています。
    4.(○)低用量経口避妊薬の副効用として、月経前症候群や月経困難症、過多月経を軽減したり、子宮内膜症、卵巣がん、子宮体がんなどを予防したりすることができます。

    第57問

    常位胎盤早期剥離(premature abruption of normally implanted placenta)のリスク因子はどれか。

    • 1.肥 満

    • 2.妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus)

    • 3.帝王切開術の既往

    • 4.妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension)

    解答・解説

    妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降~産後12週において、収縮期血圧140mmHg以上 and/or 拡張期血圧90mmHg以上の状態です。
    1.(×)肥満は、妊娠高血圧症候群についてはリスク因子となりますが、常位胎盤早期剥離の直接的なリスク因子ではありません。
    2.(×)妊娠糖尿病では、流産や早産、低出生体重児、先天性奇形などのリスクが高まり、妊娠高血圧症候群や羊水過多症などの合併症も起こしやすくなりますが、常位胎盤早期剥離の直接的なリスク因子ではありません。
    3.(×)帝王切開術の既往があると、子宮破裂や癒着胎盤、前置胎盤などのリスクが高まります。
    4.(○)常位胎盤早期剥離の最も重大なリスク因子として、妊娠高血圧症候群が挙げられます。そのほか、胎児奇形や子宮内胎児発育遅延、前期破水、喫煙、常位胎盤早期剥離の既往などもリスク因子となります。

    第58問

    地域精神保健活動における二次予防はどれか。

    • 1.精神科病院で統合失調症患者に作業療法を行う。

    • 2.精神疾患患者に再燃を予防するための教育を行う。

    • 3.地域の住民を対象にストレスマネジメントの講演会を行う。

    • 4.会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。

    解答・解説

    二次予防とは、発生した疾病や障害を検診などにより早期発見し、早期の治療や保健指導などの対策へつなげ、重症化を阻止することを指します。
    1.(×)作業療法を行うこと(リハビリテーション、社会復帰の促進)は、三次予防に当たります。
    2.(×)再燃を予防するための教育を行うこと(再発予防)は、三次予防に当たります。
    3.(×)ストレスマネジメントの講演会を行うこと(発生を防ぐための環境整備)は、一次予防に当たります。
    4.(○)うつ傾向があると判定された人に面接を行うことは、二次予防に当たります。

    第59問

    疾患と確定診断のために用いられる検査との組合せで最も適切なのはどれか。

    • 1.脳炎(encephalitis)―脳脊髄液検査

    • 2.パニック障害(panic disorder)―脳波検査

    • 3.特発性てんかん(idiopathic epilepsy)―頭部MRI

    • 4.パーソナリティ障害(personality disorder)―頭部CT

    解答・解説

    1.(○)脳炎の診断のためには、MRIと脳脊髄液検査を行います。脳炎である場合、通常は白血球がほとんど含まれない髄液中で白血球増多が認められます。さらに、原因ウイルスを同定するため、血清学的検査やPCR検査などを行います。
    2.(×)パニック障害で脳波に異常がみられることはありません。器質的な異常が認められないにもかかわらず、パニック発作を繰り返すことが特徴です。
    3.(×)頭部MRIで異常所見が認められるのは症候性(続発性)てんかんです。特発性てんかんの確定診断のためには、脳波検査を行います。
    4.(×)パーソナリティ障害では、頭部CTで異常所見が認められることはありません。確定診断のためには、質問紙法などの心理検査が用いられます。

    第60問

    生活技能訓練〈SST〉について正しいのはどれか。

    • 1.退院支援プログラムの1つである。

    • 2.診断を確定する目的で実施される。

    • 3.セルフヘルプグループの一種である。

    • 4.精神分析の考え方を応用したプログラムである。

    解答・解説

    1.(○)生活技能訓練は、社会復帰後の日常生活に必要なスキルを習得するための方法であり、退院支援プログラムの一環として行われます。病院だけでなく、学校や就労支援施設、更生保護施設などでも取り入れられています。
    2.(×)生活技能訓練の目的は、社会生活の中で対人関係を良好に維持するためのソーシャルスキルを学習することです。
    3.(×)セルフヘルプグループ(自助グループ)は、同様の問題を抱える当事者同士が自発的に集まり、相互に支え合って問題を乗り越えようとする小集団です。
    4.(×)精神分析の考え方を応用したプログラムではなく、認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法です。

  • 第61問

    精神保健法から精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律への改正で行われたのはどれか。

    • 1.私宅監置の廃止

    • 2.任意入院の新設

    • 3.通院医療公費負担制度の導入

    • 4.精神障害者保健福祉手帳制度の創設

    解答・解説

    1.(×)私宅監置は、精神衛生法が施行された1950年(昭和25年)に廃止されました。
    2.(×)任意入院は、1988年(昭和63年)の精神衛生法の一部改正により制定された精神保健法において新設されました。
    3.(×)通院医療公費負担制度は、1965年(昭和40年)の精神衛生法の改正において導入されました。
    4.(○)精神保健法から「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律」(精神保健福祉法)への改正が行われたのは、1995年(平成7年)です。この改正において、福祉サービスや支援を提供し、精神障害者の自立や社会参加の促進を図ることを目的として、精神障害者保健福祉手帳制度が創設されました。精神障害者保健福祉手帳の等級は1~3級に分けられ、税金の控除・減免などを受けることができます。

    第62問

    介護保険被保険者で介護保険による訪問看護が提供されるのはどれか。

    • 1.脳血管疾患(cerebrovascular disease)

    • 2.末期の結腸癌(colon cancer)

    • 3.脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)

    • 4.進行性筋ジストロフィー(progressive muscular dystrophy)

    解答・解説

    介護保険の第1号被保険者はすべての疾患において、第2号被保険者は特定疾病に該当する場合のみ介護保険の給付対象となります。訪問看護で医療保険と介護保険の両方が利用可能な場合は、介護保険の給付が優先されます。ただし、特例として厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合は、医療保険が適用されます。
    1.(○)脳血管疾患は特定疾病に該当し、厚生労働大臣が定める疾病等には該当しません。したがって、介護保険による訪問看護が提供されます。
    2.(×)末期の結腸癌は、特定疾病と厚生労働大臣が定める疾病等の両方に該当するため、医療保険による訪問看護が提供されます。
    3.(×)脊髄小脳変性症は、特定疾病と厚生労働大臣が定める疾病等の両方に該当するため、医療保険による訪問看護が提供されます。
    4.(×)進行性筋ジストロフィーは、特定疾病には該当せず、厚生労働大臣が定める疾病等に該当するため、医療保険による訪問看護が提供されます。

    第63問

    訪問看護ステーションの管理・運営について正しいのはどれか。

    • 1.事務所を設置する必要はない。

    • 2.訪問看護の利用回数の調整は市町村が行う。

    • 3.利用者が希望すれば訪問看護の記録を開示する。

    • 4.利用者とのサービス契約後に重要事項を説明する。

    解答・解説

    1.(×)訪問看護ステーションには、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設置する必要があります。ただし、他の事務所と兼用する場合は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画の設置でも可とされています(「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」)。
    2.(×)訪問看護の利用回数は医療保険と介護保険で異なりますが、どちらにしても主治医の指示に基づいてサービスが開始され、その内容や回数も調整されます。市町村が調整を行うことはありません。
    3.(○)個人情報保護法に基づいて、利用者が希望した場合は訪問看護記録の開示を行います。訪問看護記録の保存期間は2年間です。
    4.(×)利用者には契約の前に重要事項などを説明し、文書での同意を得る必要があります。

    第64問

    医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。

    • 1.院内感染対策―プライマリナーシング

    • 2.事故防止対策―インシデントレポート

    • 3.医療の質の保証―クリニカルパス

    • 4.手術時の安全対策―タイムアウト

    解答・解説

    1.(○)プライマリナーシングは、1人の患者を1人の看護師が一貫して受け持ち、入院から退院まで責任を持って看護過程を展開する看護方式です。看護師の専門性を発揮したり、個別性のある看護を提供したりしやすいメリットがあります。
    2.(×)インシデントレポートによりインシデント情報を共有し、事例を分析することで、類似するインシデントの再発や医療事故発生の防止対策を図ります。
    3.(×)科学的根拠に基づいた治療や処置方法をクリニカルパスに記載して共有することで、提供する医療が標準化され、医療の質が担保されます。
    4.(×)手術におけるタイムアウトとは、ある時点で全員がいっせいにすべての作業を中断して手術内容を確認し合うことです。手術時の安全対策として実施されます。

    第65問

    診療情報を第三者に開示する際、個人情報の保護として正しいのはどれか。

    • 1.死亡した患者の情報は対象にならない。

    • 2.個人情報の利用目的を特定する必要はない。

    • 3.特定機能病院では本人の同意なく開示できる。

    • 4.法令に基づく保健所への届出に関して本人の同意は不要である。

    解答・解説

    1.(×)厚生労働省のガイドラインにおいて、死者の個人情報に対する適切な管理が求められています。遺族の同意を得ずに、第三者に情報を開示することはできません。
    2.(×)個人情報の開示請求に対しては、利用目的を特定し、適正利用を確認する必要があります。
    3.(×)原則として、特定機能病院を含むすべての医療施設において、本人の同意なく個人情報を開示することはできません。
    4.(○)例えば、感染症法に定められた疾患を診断した場合の届出は、感染症の予防や蔓延防止を目的として法令に基づく届出義務が課せられているため、本人の同意は不要とされています。

    第66問

    Aさん(75 歳、男性)は、2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)で超速効型インスリンによる治療を行っている。 災害に備えてAさんに指導する必要があるのはどれか。

    • 1.開封したインスリンは1年間使用できる。

    • 2.使用しているインスリンの名称を正確に覚える。

    • 3.消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。

    • 4.平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う。

    解答・解説

    1.(×)開封したインスリンは、品質保持のために使用期限を守って使う必要があります。使用期限は製剤により異なりますが、室温(30℃以下)保存で4~6週間程度です。
    2.(○)Aさんは75歳と高齢ではありますが、使用しているインスリンの名称を正確に覚えてもらうことは(お薬手帳なども活用しながら)、事故を防ぐためにも必要な指導です。
    3.(○)インスリンを自己注射する場合、注射部位の消毒は基本的に不要です。ただし、屋外での肉体労働などで身体が汚れている場合は、アルコール綿やウェットティッシュなどで拭いてから注射します。
    4.(×)非常時のため食前の注射ができなかった場合は、食後に摂取量に応じた量のインスリンを注射します。

    ※本問について、厚生労働省は「設問文が不明瞭で複数の選択肢が正解と考えられるため、複数の選択肢を正解として採点する」と発表しました。

    第67問

    国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。

    • 1.国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉―有償資金協力

    • 2.国連教育科学文化機関〈UNESCO〉―児童の健康改善

    • 3.世界保健機関〈WHO〉―感染症対策

    • 4.国際労働機関〈ILO〉―平和維持活動

    解答・解説

    1.(×)国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉は、人道危機に対する支援を行います。有償資金協力を行うのは、政府開発援助〈ODA〉です。
    2.(×)国連教育科学文化機関〈UNESCO〉は、世界平和への貢献をめざし、教育・科学・文化を通じて諸国間の協力を促進します。児童の健康改善を担うのは、国際連合児童基金〈UNICEF〉です。
    3.(○)世界保健機関〈WHO〉は、感染症対策、国際基準の設定、災害時の緊急対策など、すべての人々の健康を守るための活動を行う国連の専門機関です。
    4.(×)国際労働機関〈ILO〉は、国連の専門機関のうち最古のものとして知られ、国際的な労働環境や生活水準の改善をめざして活動しています。平和維持活動を行うのは、国連平和維持活動〈PKO〉です。

    第68問

    頭部CTを別に示す。 出血部位について正しいのはどれか。

    • 1.皮下組織

    • 2.硬膜外腔

    • 3.くも膜下腔

    • 4.脳実質内

    • 5.脳室内

    解答・解説

    頭部CT画像で白く映っている部分(高吸収域)が出血部位(血腫)です。頭蓋骨と脳を包む硬膜の間に凸レンズ型の血腫が認められ、硬膜外血腫をきたしていると考えられます。硬膜外血腫は、通常は密着している頭蓋骨と硬膜をはがしながら広がり、脳実質を圧迫するように形成されるため、特徴的な凸レンズ型となります。原因の多くは頭部の激しい打撲などによる頭蓋骨骨折で、硬膜上の血管(硬膜動脈)が損傷することによります。なお、くも膜下出血では、くも膜下腔に出血がたまってヒトデ型の高吸収域が認められます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第69問

    動脈硬化を直視して評価できる血管はどれか。

    • 1.冠動脈

    • 2.眼底動脈

    • 3.大腿動脈

    • 4.腹部大動脈

    • 5.中大脳動脈

    解答・解説

    眼底は、血管の状態を直接観察することができる人体唯一の部位です。そこで、検眼鏡、細隙灯顕微鏡、眼底カメラなどを用いた眼底検査を行い、動脈硬化や高血圧、糖尿病などのリスクや状態を評価します。眼底検査の結果は、高血圧性初見と細動脈硬化性所見によるSheie分類や、眼底所見と全身所見によるKeith-Wagener(KW)分類に従って判定されることが多く、状態が悪ければ直ちに治療が必要です。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第70問

    接触性皮膚炎(contact dermatitis)の原因となるアレルギー反応で正しいのはどれか。

    • 1.I型

    • 2.II型

    • 3.III型

    • 4.IV型

    • 5.V型

    解答・解説

    接触性皮膚炎は、金属や漆、ゴムなどの原因物質に接触後、24~48時間で起こる遅延型過敏反応です。
    1.(×)I型は、IgEが関与する即時型アレルギーです。代表的な疾患には、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシーショックなどがあります。
    2.(×)II型は、自己の細胞に対するIgM・IgGが産生される細胞障害型アレルギーです。代表的な疾患には、自己免疫性溶血性貧血、Goodpasture症侯群、顆粒球減少症、血小板減少症などがあります。
    3.(×)III型は、可溶性抗原とIgGとの反応による免疫複合体型(Arthus型)アレルギーです。代表的な疾患には、関節リウマチ、全身エリテマトーデス、血清病などがあります。
    4.(○)IV型は、感作T細胞が関与する遅延型(ツベルクリン型)アレルギーです。代表的な疾患には、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、過敏性肺炎、アレルギー性脳炎などがあります。
    5.(×)II型アレルギーの中で、細胞を障害せず機能亢進させる刺激型アレルギーをV型として分類することができます。代表的な疾患にバセドウ病があります。

    第71問

    膀胱留置カテーテルの写真を別に示す。 成人女性に膀胱留置カテーテルが挿入されている場合、体内に留置されている長さで最も適切なのはどれか。

    • 1.(1)

    • 2.(2)

    • 3.(3)

    • 4.(4)

    • 5.(5)

    解答・解説

    膀胱留置カテーテルにはバルーンが付いており、挿入されている場合はカテーテルの先端から図中(1)までの約4cmは膀胱内にあります。深く挿入しすぎると膀胱壁の損傷を招くおそれがあり、浅すぎると膨らんだバルーンにより膀胱頸部の圧迫壊死を招くおそれがあるため、挿入するカテーテルの長さには注意が必要です。男性と女性では尿道の長さが大きく異なり、成人女性では約4~5cmです。膀胱内に入る4cm+尿道の長さが適切な長さとなることから、成人女性では9cmを指している(3)が正解となります。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第72問

    Aさん(60歳、男性)は、胃癌(gastric cancer)の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。 確認すべきAさんの検査データはどれか。

    • 1.PT-INR

    • 2.赤血球数

    • 3.白血球数

    • 4.出血時間

    • 5.ヘモグロビン値

    解答・解説

    ワルファリンは抗凝固薬であり、使用時にはPT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)を確認してプロトロンビンの働きをチェックし、血液凝固能が治療域から外れないように管理する必要があります。ワルファリンによる一般的な抗凝固療法では、PT-INR 2.0~3.0の範囲にコントロールされます。内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになったのは、PT-INRの値が治療域から外れたためだと考えられるので、引き続きPT-INRを確認していきます。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

    第73問

    膀胱癌(bladder cancer)のため尿路ストーマを造設する予定の患者への説明で適切なのはどれか。

    • 1.「尿道の一部を体外に出して排泄口を造ります」

    • 2.「尿意を感じたらトイレで尿を捨てます」

    • 3.「ストーマの装具は毎日貼り替えます」

    • 4.「ストーマに装具を付けて入浴します」

    • 5.「水分の摂りすぎに注意が必要です」

    解答・解説

    尿路ストーマは、尿路や膀胱の正常な機能が障害された場合に、回腸導管などの尿路変向術により造設されます。膀胱癌による膀胱摘出を受けて造設するケースが多いです。
    1.(×)尿道ではなく、腸や尿管の一部を腹壁の外に引き出し、管の内側を折り返して作られます。
    2.(×)ストーマを造設した場合は、排尿のタイミングを自分の意志でコントロールすることはできず、尿意を感じることもありません。ストーマ袋に尿がたまったら、トイレで捨てます。
    3.(×)皮膚刺激によるスキントラブルを防ぐため、ストーマ装具は3~4日に一度交換することが一般的です。
    4.(○)入浴を制限する必要はなく、ストーマ装具を付けたままでも外した状態でも入浴可能です。温泉などの公共浴場では、装具を付けて入浴します。
    5.(×)水分や食事を制限する必要はありません。下痢や便秘への対策も造設前と同様です。

    第74問

    認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で正しいのはどれか。

    • 1.光熱費は自己負担である。

    • 2.12人を1つのユニットとしている。

    • 3.看護師の配置が義務付けられている。

    • 4.介護保険制度の施設サービスである。

    • 5.臨死期は提携している病院に入院する。

    解答・解説

    1.(○)認知症対応型共同生活介護では、光熱費を含む衣食住に係る費用は自己負担とされています。
    2.(×)介護スタッフのサポートを受けながら、1ユニット5~9人の少人数の利用者で共同生活を送ります。
    3.(×)看護師など医療従事者の配置は義務付けられていません。
    4.(×)認知症対応型共同生活介護は、介護保険の地域密着型サービスです。介護保険の施設サービス(介護保険施設)には、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院があります。
    5.(×)臨死期を迎えても、必ずしも入院することはありません。利用者本人や家族の意思を尊重して、施設での看取りを行うケースも多くなっています。

    第75問

    Aちゃん(3歳、女児)は、病室で朝食を食べていた。そこに、医師が訪室して採血を行いたいと話したところ、Aちゃんは何も答えず下を向いて泣き始めた。その様子を見ていた看護師は、Aちゃんは朝食を中断して採血されるのは嫌だと思っているようなので、朝食後に採血して欲しいと医師に話した。 この看護師の対応の根拠となる概念はどれか。

    • 1.アセント

    • 2.コンセント

    • 3.アドボカシー

    • 4.ノーマライゼーション

    • 5.ノンコンプライアンス

    解答・解説

    1.(×)インフォームドアセントは、小児領域において、保護者からのインフォームドコンセントだけでなく、患児本人に対しても分かりやすく病気や検査、治療の説明をして、納得と同意を得ることです。
    2.(×)インフォームドコンセントは、患者などに病気や検査、治療の説明をして、納得と同意を得ることです。
    3.(○)アドボカシーとは、自分の意思を表明することが困難な小児や障害者などに代わって当人の権利や主張を表明することであり、設問の対応の根拠となっています。
    4.(×)ノーマライゼーションとは、障害の有無にかかわらず平等に生活できるような社会環境を実現する考え方です。
    5.(×)ノンコンプライアンスとは、服薬不遵守など、患者が医療従事者の指示に従わない(あるいは、従えない)ことを指します。パターナリズム(家父長主義)を前提とした概念であることに注意が必要です。

  • 第76問

    3か月の乳児の親に対する問診で適切でないのはどれか。

    • 1.「寝返りをしますか」

    • 2.「あやすとよく笑いますか」

    • 3.「物を見て上下左右に目で追いますか」

    • 4.「アーアー、ウーウーなど声を出しますか」

    • 5.「腹ばいにすると腕で体を支えて頭を持ち上げますか」

    解答・解説

    1.(○)寝返りができるようになるのは生後6カ月ごろです。
    2.(×)生後2カ月ごろから、あやすと笑うようになります(社会的微笑)。
    3.(×)生後2カ月ごろには、まだ頭や首をコントロールすることはできませんが、視力や視界が向上して追視をするようになります。
    4.(×)生後2カ月ごろになると、「アーアー」「ウーウー」などの母音のみの喃語を発声するようになります。語りかけに応じるように声を出す様子もみられます。
    5.(×)腹ばいにしたとき、腕を突っ張りながら体を支えて頭を持ち上げる動作をすれば、首が座ったことをチェックする目安となります。首が座り始めるのは生後3カ月ごろです。

    第77問

    萎縮性腟炎(atrophic vaginitis)に伴う状態について正しいのはどれか。

    • 1.性交痛

    • 2.白色の帯下

    • 3.腟壁の肥厚化

    • 4.腟の自浄作用の亢進

    • 5.エストロゲン分泌の増加

    解答・解説

    萎縮性腟炎は、女性ホルモンの分泌減少により腟が乾燥(うるおいの低下)・萎縮し、そこに雑菌が繁殖して起こる炎症です。 閉経後の女性に多くみられます。
    1.(○)エストロゲンの分泌低下により膣粘膜の炎症や萎縮、分泌物減少などが生じるため、性交痛や性交時出血などがみられます。
    2.(×)白色の帯下は正常時にもみられます。萎縮性腟炎では黄色や褐色、血性の帯下がみられることがあります。
    3.(×)エストロゲンの分泌が低下し、コラーゲンが減少するため、腟壁は萎縮して薄くなります。
    4.(×)エストロゲンの分泌低下により、乳酸菌(デーデルライン桿菌)が減少するため、腟の自浄作用は低下します。
    5.(×)卵巣機能の低下により、エストロゲン分泌も低下します。

    第78問

    うつ病(depression)で入院している患者が「自分は重大な過ちで皆に迷惑をかけてしまいました。死んでおわびします」という妄想を訴えた。 この患者にみられるのはどれか。

    • 1.罪業妄想

    • 2.心気妄想

    • 3.追跡妄想

    • 4.被毒妄想

    • 5.貧困妄想

    解答・解説

    1.(○)自分を罪深い人間だと思い込み、根拠もなく罪の意識にさいなまれる罪業妄想は微小妄想(自己評価の低下を内容とする表現)の一種であり、貧困妄想、心気妄想と並んでうつ病の三大妄想の一つです。
    2.(×)心気妄想は微小妄想の一種であり、「自分は重大な病気で治ることはない」と思い込む妄想です。
    3.(×)追跡妄想は関係妄想の一種であり、「誰かに後を追われている」と思い込む妄想です。
    4.(×)被毒妄想は関係妄想の一種であり、「自分が嫌がらせや攻撃を受けている」と思い込む妄想です。
    5.(×)貧困妄想は微小妄想の一種であり、実際はそうではないのに「財産や金銭がなくなってしまった」と思い込む妄想です。

    第79問

    訪問看護師が人工肛門を造設して退院した在宅療養者を訪問すると「便が漏れるため外出ができない」と相談を受けた。観察すると、ストーマパウチの面板が皮膚に密着していない。 看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.無菌操作で交換する。

    • 2.頻回に交換するよう説明する。

    • 3.面板を温めて皮膚に貼付する。

    • 4.面板を人工肛門より小さめに切る。

    • 5.腹壁の皮膚を寄せて面板を貼付する。

    解答・解説

    1.(×)ストーマ装具は正常な皮膚に装着するため、無菌操作の必要はなく、清潔操作とします。
    2.(×)通常、交換のタイミングは排便時です。頻回な交換は不必要な刺激を与えることにつながり、皮膚へのダメージとなります。
    3.(○)面板を温めてから皮膚に貼付すると、粘着力が高まるため密着して便が漏れにくくなります。ストーマ装具の保管は、涼しく乾燥した場所が適しています。
    4.(×)面板には、人工肛門の大きさに合った穴を開けてから貼付します。面板を人工肛門より小さめに切ると、皮膚と密着せずに便が漏れたり、人工肛門を傷付けつけたりするおそれがあります。
    5.(×)腹壁の皮膚を寄せて貼付すると、一時的に発生する大きなしわのために密着しにくくなります。皮膚のしわを伸ばして貼付することが適切です。

    第80問

    トリアージタグを装着する部位の優先順位で適切なのはどれか。

    • 1.頸部→右手→左手→右足→左足

    • 2.頸部→左手→左足→右手→右足

    • 3.右手→右足→左手→左足→頸部

    • 4.右手→左手→右足→左足→頸部

    • 5.左手→右手→左足→右足→頸部

    解答・解説

    トリアージタグは、原則として傷病者の右手首にタグのゴム輪を二重に巻き付けて使用します。負傷や切断などで右手首への装着が不可能な場合は、左手首→右足首→左足首→頸部の順に選択します。トリアージタグに記載された内容は、適切な治療を受けるための重要な情報となり、被災地の医療施設では簡易カルテとしても利用されます(3枚目の「収容医療機関用」の裏面に、医療情報や特記事項などを記載できる)。そのため、脱がせる可能性のある衣服には付けず、必ず傷病者の身体に付けることが大切です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、5.(×)、となります。

    第81問

    立ち直り反射に関与するのはどれか。2つ選べ。

    • 1.視細胞

    • 2.コルチ器

    • 3.圧受容器

    • 4.化学受容器

    • 5.頸筋の筋紡錘

    解答・解説

    立ち直り反射とは、頭部や身体が傾いて姿勢が崩れたときに、重力に抗して正常な位置や姿勢に戻そうとする一連の反射のことであり、姿勢反射の一つです。
    1.(○)立ち直り反射において視覚は重要であり、両側迷路を破壊されても、目に見える状態から頭部を正しい位置に戻します(視性立ち直り反射)。
    2.(×)コルチ器は、蝸牛の中にある聴覚受容器です。
    3.(×)圧受容器は、頸動脈分岐部(頸動脈洞)などに存在し、血圧を感知します。
    4.(×)化学受容器は、頸動脈分岐部(頸動脈小体)などに存在し、動脈血の酸素分圧や二酸化炭素分圧を感知します。
    5.(○)頸筋の筋紡錘は、神経と連絡して筋肉の収縮状態を伝え、脊髄反射を介して姿勢の調節を行います(頸筋性立ち直り反射)。

    第82問

    ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染経路で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.感染者の嘔吐物との接触

    • 2.感染者の咳による曝露

    • 3.感染者の糞便との接触

    • 4.感染者からの輸血

    • 5.感染者との性行為

    解答・解説

    1.(×)感染者の嘔吐物中にはHIVが存在しません。嘔吐物に血液が混入している場合でも、手指による接触であれば感染の可能性はほとんどありません。
    2.(×)感染者の唾液や気道分泌物の中にはHIVが存在しないため、血液が混入していない限り、感染の可能性はありません。
    3.(×)感染者の糞便中にはHIVが存在しません。糞便に血液が混入している場合でも、手指による接触であれば感染の可能性はほとんどありません。
    4.(○)感染者の血液中にはHIVが存在するため、感染者からの輸血は感染経路となります。
    5.(○)HIVの感染経路の中で最も多いのは、感染者との性行為です。

    第83問

    慢性腎不全(chronic renal failure)によって起こるのはどれか。2つ選べ。

    • 1.低血圧

    • 2.低リン血症

    • 3.低カリウム血症

    • 4.低カルシウム血症

    • 5.代謝性アシドーシス

    解答・解説

    1.(×)慢性腎不全では水分が蓄積しやすく、体液過剰となって高血圧やむくみをきたします。
    2.(×)尿中へのリンの排泄機能が低下するため、血液中の濃度が上昇して高リン血症となります。
    3.(×)腎臓機能が低下すると、カリウムの濃度が上昇して高カリウム血症となります。
    4.(○)腎機能低下によりリンの排出が低調になって高リン血症をきたすと、リンとカルシウムが結合して低カルシウム血症につながります。その結果、テタニーや石灰化による動脈硬化などを招きます。
    5.(○)腎臓機能が低下すると、酸の排泄障害によって酸性に傾き、代謝性アシドーシスとなります。

    第84問

    配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に定められているのはどれか。2つ選べ。

    • 1.離婚調停の支援

    • 2.成年後見制度の利用

    • 3.保健所による自立支援

    • 4.婦人相談員による相談

    • 5.裁判所による接近禁止命令

    解答・解説

    1.(×)DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)は、パートナーからの暴力の防止、被害者の保護や支援を目的として制定されています。離婚調停の支援については目的に含まれていません。なお、本法における「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害を及ぼすもの)またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を指します。
    2.(×)成年後見制度とは、高齢や認知症などで判断能力が不十分な人について法律行為(契約など)を支援するための制度です。
    3.(×)DV防止法では、福祉事務所による自立支援を規定しています。
    4.(○)DV防止法では、婦人相談所や婦人相談員の位置付け、関係機関相互の連携協力の義務など、被害者支援のための仕組みを規定しています。
    5.(○)DV防止法では、裁判所による接近禁止命令などの保護命令制度が規定されています。

    第85問

    パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度の測定に適した部位はどれか。2つ選べ。

    • 1.背 部

    • 2.上 腕

    • 3.指 先

    • 4.耳たぶ

    • 5.大腿部

    解答・解説

    パルスオキシメータは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定する装置です。プローブの内側には赤外線と赤色光を発するLEDがあり、その光を照射することで皮膚下の動脈に含まれる酸素の量を、採血することなくリアルタイムで測定することができます。末梢血管の拍動部の透過光線から測定するため、装着に適した厚みがあり、毛細血管が豊富で測定のしやすい指先や耳たぶが装着部位として一般的です。耳たぶでは指先よりも測定脈波が弱くなりますが、末梢循環障害の場合には適した装着部位です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(○)、4.(○)、5.(×)、となります。

    第86問

    Aさん(60歳、男性)は、転倒して第5頸椎レベルの脊髄を損傷した。肩を上げることはできるが、上肢はわずかに指先を動かせる程度である。呼吸数22/分、脈拍86/分、血圧100/70mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%であった。Aさんは「息がしづらい」と言っている。 Aさんの状態で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.低酸素血症(hypoxemia)がある。

    • 2.胸郭運動がみられる。

    • 3.無気肺(atelectasis)を起こしやすい。

    • 4.腹式呼吸を行っている。

    • 5.閉塞性換気障害(obstructive ventilatory impairment)を起こしている。

    解答・解説

    1.(×)SpO2 97%であり、低酸素血症とはいえません。
    2.(×)第5頸椎レベルの脊髄を損傷しているため、T1~T12が支配する胸郭運動も障害されます。
    3.(○)胸郭運動が障害されているため、深い呼吸や分泌物排泄が困難になります。無気肺を起こしやすい状態だといえます。
    4.(○))胸郭運動が障害されているため、胸式呼吸は困難です。主にC4が支配する横隔膜は大きな障害を免れていることから、腹式呼吸を行っていることが考えられます。
    5.(×)閉塞性換気障害は、気道狭窄により呼気流量が減少する状態です。設問の患者が起こしているのは、胸郭や肺の可動性が低下したことによる換気障害であり、拘束性換気障害です。

    第87問

    Aさん(35歳、女性、会社員)は、動悸、手指の震え及び体重減少があり、受診したところ、頻脈と眼球突出とを指摘され抗甲状腺薬の内服を開始した。Aさんは看護師に「仕事のストレスは寝る前にビールを飲むことで解消するようにしているが、ちょっとしたことでイライラして眠れない」と話した。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.「仕事を休みましょう」

    • 2.「禁酒する必要があります」

    • 3.「積極的に運動しましょう」

    • 4.「発熱したときは受診してください」

    • 5.「病気が原因でイライラしやすくなります」

    解答・解説

    1.(×)一般的に、仕事を含む生活上の行動制限や食事制限は必要ありません。
    2.(×)飲酒量の確認や、飲酒以外のストレス解消の方法を一緒に考えることは大切ですが、禁酒の必要はありません。
    3.(×)代謝機能が亢進している状態では、体力温存のためにも過度の運動を避けるようにします。
    4.(○)抗甲状腺薬の内服中は、副作用である顆粒球減少に注意する必要があります。顆粒球が減少すると細菌などに感染しやすくなり、その初期症状として発熱や喉の痛み、倦怠感などが生じます。さらに肺炎や敗血症などの重症感染症に至ることもあるので、重症化する前に対処できるよう速やかな受診を指導することが適切です。
    5.(○)イライラや不眠、発汗過多、体重減少なども症状の一つであることを伝えます。

    第88問

    Aさん(42歳、女性)は、2週前から腰痛と坐骨神経痛とを発症し整形外科で処方された鎮痛薬を内服している。帯下が増えて臭いもあるため婦人科を受診し、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)と診断された。 進行期を決めるためにAさんに行われる検査で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.ヒトパピローマウイルス検査

    • 2.小腸内視鏡検査

    • 3.腎盂尿管造影

    • 4.脊髄造影

    • 5.CT

    解答・解説

    1.(×)ヒトパピローマウイルス検査は、子宮頸癌の前癌段階である子宮頸部異形成が疑われる場合に行います。
    2.(×)小腸内視鏡検査で小腸への転移の有無を確認しても、子宮頸癌の進行期には関連しないため、適切な検査ではありません。
    3.(○)膀胱や尿管、直腸などへの浸潤が予測されるため、腎盂尿管造影は適切な検査です。
    4.(×)脊髄造影で脊髄への転移の有無を確認しても、子宮頸癌の進行期には関連しないため、適切な検査ではありません。
    5.(○)進行期の決定にはCTによる全身検索が有用です。子宮頸癌の進行期は、その広がりや浸潤の程度に応じてI~IV期に大きく分けられます。

    第89問

    児の免疫に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.胎児期は胎盤を通じて母体からIgGを受け取る。

    • 2.出生後は母乳からIgMを受け取る。

    • 3.生後3か月ころに免疫グロブリンが最も少なくなる。

    • 4.1歳ころから抗体の産生が盛んになる。

    • 5.3歳ころにIgAが成人と同じレベルに達する。

    解答・解説

    1.(○)IgGは血液中に最も多く含まれ、胎盤通過性を持ちます。IgGが胎盤を通して母体から胎児に移行するため、新生児は母体と同等の抵抗力を示します。
    2.(×)出生後は母乳からIgAを受け取るため、消化管粘膜からの感染を予防することができます。
    3.(○)生後3カ月ごろは、まだ抗体産生が未熟であり、母体から受け取った抗体も減少するため、免疫グロブリンが最も少なくなる時期です。
    4.(×)抗体の産生は出生直後から徐々に増加しますが、生後6カ月ごろから盛んになり、10歳代で成人レベルに達します。
    5.(×)免疫グロブリンにはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類がありますが、IgA産生の増加は最も遅く、成人レベルに達するのは10歳以降(15~18歳ごろ)です。

    第90問

    500mLの輸液を50滴/分の速度で成人用輸液セットを用いて順調に滴下し、現在80分が経過した。 このときの輸液の残量を求めよ。 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

    • 計算問題です

    解答・解説

    成人用輸液セットは、20滴で1mLの輸液が落ちるように作られています。50滴/分の速度による点滴を80分間行うと合計4,000滴が滴下され、「4,000(滴)÷20(滴)=200(mL)」の輸液が投与されたことになります。これを元の輸液量500mLから差し引き、「500(mL)-200(mL)=300(mL)」が残量であることが分かります。

  • 第91問

    Aさん(64歳、女性)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)で通院加療中である。1週前から感冒様症状があり市販薬を服用し経過をみていたが、呼吸困難を訴えた後、反応が鈍くなり救急車で搬送された。Aさんは肩呼吸をしており、発汗が著明で口唇は乾燥している。体温38.3℃、呼吸数35/分、脈拍108/分、血圧96/70mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉89%であった。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-30。動脈血液ガス分析では動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr、動脈血炭酸ガス分圧〈PaCO2〉68Torr、pH 7.29であった。 この時点でのAさんのアセスメントで誤っているのはどれか。

    • 1.脱水である。

    • 2.意識障害がある。

    • 3.アシドーシスである。

    • 4.ショック状態である。

    解答・解説

    1.(×)発汗が著明で、口唇が乾燥していることから、脱水をきたしていることが考えられます。
    2.(×)ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉において、II-30は「痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する」状態であり、意識障害を呈していることが考えられます。
    3.(×)動脈血炭酸ガス分圧〈PaCO2〉(基準値35~45Torr)が68Torrと上昇し、pH(基準値7.35~7.45)が7.29と酸性に傾いていることから、呼吸性アシドーシスの状態であることが考えられます。
    4.(○)血圧は96/70mmHgであり、ショック状態(収縮期血圧90mmHg未満が前提)であるとは考えられません。

    第92問

    Aさん(64歳、女性)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)で通院加療中である。1週前から感冒様症状があり市販薬を服用し経過をみていたが、呼吸困難を訴えた後、反応が鈍くなり救急車で搬送された。Aさんは肩呼吸をしており、発汗が著明で口唇は乾燥している。体温38.3℃、呼吸数35/分、脈拍108/分、血圧96/70mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉89%であった。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-30。動脈血液ガス分析では動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr、動脈血炭酸ガス分圧〈PaCO2〉68Torr、pH 7.29であった。 Aさんは肺炎(pneumonia)による急性呼吸不全と診断され、点滴、膀胱留置カテーテルの挿入および気管内挿管が実施された。 このときのAさんの観察で最も注意すべき状態はどれか。

    • 1.乏 尿

    • 2.血圧上昇

    • 3.末梢冷感

    • 4.下肢の浮腫

    • 5.呼吸音の減弱

    解答・解説

    慢性閉塞性肺疾患が増悪して肺炎を発症し、急激な高二酸化炭素血症により中枢神経や呼吸中枢が抑制され、意識障害が生じています。このようなCO2ナルコーシスでは自発呼吸が困難であり、気管内挿管が実施されている場合でも、呼吸状態の変化には細心の注意が必要です。呼吸音が減弱した場合は、気道の狭窄や閉塞、気胸の出現などが疑われるため、迅速な対応が求められます。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(○)、となります。

    第93問

    Aさん(64歳、女性)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)で通院加療中である。1週前から感冒様症状があり市販薬を服用し経過をみていたが、呼吸困難を訴えた後、反応が鈍くなり救急車で搬送された。Aさんは肩呼吸をしており、発汗が著明で口唇は乾燥している。体温38.3℃、呼吸数35/分、脈拍108/分、血圧96/70mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉89%であった。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II-30。動脈血液ガス分析では動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr、動脈血炭酸ガス分圧〈PaCO2〉68Torr、pH 7.29であった。 Aさんは肺炎(pneumonia)による急性呼吸不全と診断され、点滴、膀胱留置カテーテルの挿入および気管内挿管が実施された。 Aさんは、胸部エックス線写真で右中下肺野の浸潤影が認められ、膿性の痰が吸引されている。 このときの体位ドレナージで最も効果的なのはどれか。

    • 1.右30°側臥位

    • 2.左30°側臥位

    • 3.右前傾側臥位

    • 4.左前傾側臥位

    • 5.腹臥位

    解答・解説

    胸部X線写真の所見から、右中下肺野に痰が貯留しているものと考えられます。痰などの気道分泌物の排出を促し、酸素化を改善するためには、気道分泌物が貯留した肺区域を上にした体位とする必要があります。設問のケースにおける体位ドレナージでは、体の右側を上にして前に傾けた状態である左前傾側臥位が最も効果的です。体位ドレナージは、SpO2や心拍数、呼吸状態などをモニタリングしつつ、十分に注意して実施することが大切です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、5.(×)、となります。

    第94問

    Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。 確定診断のために必要な検査はどれか。

    • 1.腎生検

    • 2.尿細胞診

    • 3.腎血管造影

    • 4.腹部超音波検査

    • 5.腎シンチグラフィ

    解答・解説

    IgA腎症は慢性腎炎の一種で、日本人で最も多い慢性糸球体腎炎です。IgA腎症では、腎臓の糸球体メサンギウム領域に免疫グロブリンのIgAが沈着することで、腎臓のフィルター機能を担っている糸球体が破壊され、腎機能がゆっくりと失われていきます。IgA腎症は、検診で無症候性の蛋白尿や血尿が陽性となって発見されることが多い疾患です。確定診断のためには腎生検を行い、IgAの沈着を確認します。IgA腎症は指定難病とされており、成人発症の場合は10年間で透析や移植が必要な末期腎不全に至る確率が15~20%、20年間では約40%弱と報告されています。
    よって、1.(○)、2.(×)、3.(×)、4.(×)、5.(×)となります。

    第95問

    Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。 AさんはIgA腎症と診断され、塩分1日6gの減塩食が開始された。入院前は塩辛いものが好物で外食が多かったAさんは「味が薄くて食べた気がしない。退院後も続けられるかな」と話している。 このときの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.「つらいですが慣れてきます」

    • 2.「最初に甘いものを食べてください」

    • 3.「各食事で均等に塩分を摂取しましょう」

    • 4.「酸味や香味を利用するとよいでしょう」

    • 5.「市販のレトルト食品は塩分が少ないので活用するとよいです」

    解答・解説

    1.(×)減塩を継続できるかどうか不安になっているAさんには、減塩の必要性を再認識してもらい、継続できるようなレシピや工夫を伝える指導が望ましいでしょう。
    2.(×)減塩食において、食事の初めに甘いものを摂るメリットは特にありません。
    3.(×)塩分を均等に分散させるよりも、1つの料理に重点的に使ってアクセントを付けたほうが満足感を得られます。
    4.(○)食事療法は継続性が重要なポイントであり、継続しやすい工夫を提案することは適切な対応です。酢、レモン、生姜などの酸味を取り入れたり、からし、わさび、カレー粉などの香辛料を使って味に変化を付けたりすると、塩分を抑えても満足感を得やすくなります。
    5.(×)市販のレトルト食品には、しばしば塩分が多く含まれるので注意が必要です。

    第96問

    Aさん(34歳、男性)は、運送会社で配達を担当している。6か月前の職場の健康診断で、血圧142/90mmHgと尿蛋白2+、尿潜血2+を指摘されたが放置していた。1週前、感冒様症状の後に紅茶色の尿がみられたため内科を受診した。血清IgAが高値でIgA腎症(IgA nephropathy)が疑われ入院した。 Aさんは退院後、仕事が忙しくなり一度も受診をせずに2年が経過した。2か月前から疲れやすくなったが、仕事のせいだと思い放置していた。1週前から息切れ、食欲不振および浮腫があり、昨日から眠気、悪心および嘔吐が出現したため外来を受診した。体温36.5℃、脈拍98/分、血圧238/112mmHgであった。血液検査データは、尿素窒素100mg/dL、クレアチニン12.0mg/dL、Hb 7.1g/dL。胸部エックス線写真で心拡大と肺うっ血とが認められ入院した。 直ちに行われるのはどれか。2つ選べ。

    • 1.輸 血

    • 2.血液透析

    • 3.利尿薬の内服

    • 4.胸腔ドレナージ

    • 5.降圧薬の点滴静脈内注射

    解答・解説

    消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐)、血液異常(貧血)、循環器異常(重症高血圧、心不全)、体液貯留(浮腫、肺水腫)といった末期腎不全を反映する臨床症状がみられ、クレアチニン値12.0mg/dLと腎機能障害も重篤です。Aさんは、腎機能が徐々に低下して慢性腎不全となり、腎臓の濾過能力が10%以下となって尿毒症をきたした状態であると考えられます。
    1.(×)Hbが低値で腎性貧血がみられるものの、輸血による血清カリウム値上昇のリスクを考慮すると、直ちに行うべき処置とはいえません。
    2.(○)うっ血性心不全と尿毒症をきたしているため、血液透析緊急導入の適応となります。
    3.(×)降圧を目的として利尿薬を用いる場合は、静脈内投与とします。
    4.(×)うっ血性心不全を改善すれば、胸腔ドレナージの必要性はなくなります。
    5.(○)緊急降圧療法の適応となる状態であり、降圧薬の点滴静脈内注射を行います。

    第97問

    Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎(pneumonia)で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。 入所時の身長170cm、体重50kg。1か月間で体重が3kg減少した。血液検査データは、血清アルブミン3.2g/dL、CRP 0.1mg/dL。反復唾液嚥下テストは30秒間で4回である。 Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。

    • 1.流動食が必要である。

    • 2.炎症反応が続いている。

    • 3.認知症(dementia)による摂食行動の問題がある。

    • 4.タンパク質・エネルギー低栄養状態〈PEM〉である。

    解答・解説

    1.(×)障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2(屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベット上での生活が主体であるが、座位を保つ。介助により車椅子に移乗する)であり、食事に介護を要しない状態です。部分義歯でも不具合はなく、口腔内の異常もみられません。反復唾液嚥下テストは30秒間に2回以下の場合に誤嚥が疑われますが、Aさんは4回であるため問題はありません。流動食は不要と考えられます。
    2.(×)CRP(C反応性蛋白)は、炎症が起こると血清中に増加する蛋白質であり、炎症の有無を診断する指標となります。0.1mg/dLは正常であり、炎症反応が続いているとはいえません。
    3.(×)認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIa(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる〔家庭外でこの状態がみられる〕)であり、食欲は良好で、食事の姿勢や動作も自立していることから、摂食行動の問題はないと判断できます。
    4.(○)AさんのBMIは17.3であり、1カ月間で体重が3kg減少しています。栄養状態の指標となる血清アルブミン値は3.5g/dL以下の低栄養状態であり、蛋白質・エネルギー低栄養状態〈PEM〉だといえます。

    第98問

    Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎(pneumonia)で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。 介護老人保健施設の看護師は、入所時にAさんと妻と面談をした。 このときの面談内容で適切なのはどれか。

    • 1.自宅の改修を提案する。

    • 2.ベッド上安静の必要性を説明する。

    • 3.急変時の救急搬送の希望を確認する。

    • 4.通所リハビリテーションの利用を提案する。

    解答・解説

    1.(×)Aさんの障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2(屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベット上での生活が主体であるが、座位を保つ。介助により車椅子に移乗する)であり、在宅介護になれば自宅の改修も考えられますが、入所時の面談内容としては優先度が低いでしょう。
    2.(×)肺炎の治療が終了して退院しているため、現在はベッド上安静の必要はありません。
    3.(○)入所時の面談では、過去や現在の状況確認とともに、今後の生活についての意向を確認することも大切です。急変時にもAさん本人や家族の意向に沿った対応ができるよう、治療や延命医療などについての希望や意思を確認しておくことが適切です。
    4.(×)在宅介護に向けて具体的な準備を進める段階であれば、通所リハビリテーションの利用を提案することも考えられますが、入所時の面談内容としては優先度が低いでしょう。

    第99問

    Aさん(94歳、男性)は、要介護1で、妻(84歳)と2人暮らしであった。肺炎(pneumonia)で入院治療していたが本日退院し、介護老人保健施設に初めて入所した。現在の障害高齢者の日常生活自立度判定基準はランクB-2、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIaである。食欲は良好で、食事の姿勢や動作は自立している。部分義歯で不具合はなく、口腔内の異常はない。 入所後3日。Aさんは「家では朝起きてすぐに歯磨きをして、口の中をすっきりさせて1日が始まった。ここでは、歯磨きは食後に介助すると言われたが、私は嫌だ」と言い、不満な様子である。Aさんはベッドから車椅子への移乗に介助が必要であるが、歯ブラシとコップとを用いて自分で歯磨きができる。 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.朝食前の歯磨きは効果がないと説明する。

    • 2.朝食前の歯磨きの習慣を変更するように勧める。

    • 3.朝食前の歯磨きの援助方法をAさんと相談する。

    • 4.朝食前は職員が少ないので対応できないと謝罪する。

    解答・解説

    1.(×)口腔ケアの効果は、食物残渣の除去だけではありません。口腔機能の維持や唾液分泌の促進のほか、生活のリズムを整える効果もあり、朝食前の歯磨きを否定するのは不適切です。
    2.(×)朝食前の歯磨きはAさんの日課であり、生活リズムを整えるためにも、これまでの習慣を本人の意思に反して変更することは不適切です。
    3.(○)健康維持に支障がない限り、これまでの習慣を継続することは在宅復帰後のQOL向上に良い効果をもたらし、入所中の心のケアにもつながります。施設のルールや慣例とは異なっていても、朝食前の歯磨きを援助する方法を相談し、Aさんの意向を支援することが適切です。
    4.(×)Aさんは自分で歯ブラシとコップを用いて歯磨きが可能であり、介助が必要な車椅子での移動が難しければ、事前に準備することでベッド上での歯磨きを提案することもできます。希望に対していきなりできないと謝罪してしまうと、Aさんは困惑して看護師に対する不信感も抱きかねないため、できるだけ柔軟な対応をすることが望まれます。

    第100問

    A君(6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。 このときのA君に行う看護として最も適切なのはどれか。

    • 1.起座位をとらせる。

    • 2.食事の開始を検討する。

    • 3.好きな玩具で遊ばせる。

    • 4.痛みの程度を評価する。

    • 5.解熱鎮痛薬を服薬させる。

    解答・解説

    1.(×)起座位は腹痛時には適しておらず、腹部の緊張を和らげる側臥位のままで問題ありません。
    2.(×)A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部のほうに寄せ抱えるようにしていることから、腹痛があると推測される状態です。食事を開始する前に、痛みの程度などを確認する必要があります。
    3.(×)両親は同様の症状があるため面会できず、祖母も帰宅したため、6歳のA君は寂しさを感じています。そのため気分転換も大切ですが、まずは腹痛への対応が優先されます。
    4.(○)表情や姿勢からも腹痛があると推測される状態であり、子ども用のイラストが入ったペインスケールなどを用いて、痛みの程度を評価することが最も適切です。
    5.(×)体温は37.5℃であり、すぐに解熱鎮痛薬を服薬させる必要はありません。また、処方には医師の判断を求める必要があります。

    第101問

    A君(6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。 A君は病室内のトイレで排泄をしていた。看護師はマスク、手袋およびエプロンを着用しA君の排泄介助を行っていると、下着に便が付着していることに気付いた。看護師は、すぐにA君の下着を脱がせ流水で便を洗い流した。 下着の処理の方法で正しいのはどれか。

    • 1.病室内のゴミ箱に捨てる。

    • 2.病室内でエタノールに浸す。

    • 3.病室内で次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸す。

    • 4.病室外の汚物処理室の感染性廃棄物用の容器に捨てる。

    解答・解説

    1.(×)排泄物には大量のウイルスが存在し、乾燥すると空中に漂うため感染源となり得ます。病室内のごみ箱に捨てることは不適切です。
    2.(×)ノロウイルスはノンエンベロープであるため、エンベロープを破壊する作用を持つエタノールでは完全に失活させることができません。
    3.(○)ノロウイルスの消毒には、塩素系消毒薬である次亜塩素酸ナトリウムが有効です。完全に失活化させるには、排泄物には1,000ppm(0.1%)以上、床や手すりなどには200ppm(0.02%)以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液が必要とされています。
    4.(×)排泄物の付着した下着を病室外にそのまま持ち出すと、二次感染の危険があります。感染拡大を予防するため、汚物処理室であっても消毒しないまま病室外の容器に捨てることは避けます。

    第102問

    A君(6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎(gastroenteritis)と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。 入院後3日になったが両親は来院できない状況が続いている。A君は下痢が改善し体温も下がり笑顔がみられるようになった。看護師が清拭しながらA君と話していると「僕がお母さんの言うことを聞かなかったから病気になっちゃったんだ」と話した。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。

    • 1.「お母さんが悲しむからそんなことを言ってはいけないよ」

    • 2.「気持ちは分かるけれど病気になったのはA君のせいではないよ」

    • 3.「A君の言うとおりだとすると入院している子はみんな悪い子なのかな」

    • 4.「お母さんの言うことを聞いていたら病気にならなかったかもしれないね」

    解答・解説

    1.(×)発言を否定して禁止するだけでは、A君は納得しないまま困惑するばかりです。A君の気持ちに寄り添った対応が望まれます。
    2.(○)6歳の小児では、ウイルスの存在や発症の原因を正しく理解することは難しく、病気は何かの罰であると考える傾向にあります。A君の気持ちをくみ取った上で、病気は罰ではないことをできるだけ分かりやすく説明することが適切です。
    3.(×)聡明な子どもであれば理解できる可能性もありますが、一般的に6歳の小児には理解が難しい論理的な説明だといえます。
    4.(×)母親の言うことを聞かなかったから病気になったという発言を肯定していることになるため、A君は自責の念に駆られてしまいます。また、医学的にも間違った情報を伝えているため不適切です。母親も同様の症状であることとも矛盾しています。

    第103問

    Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 受診時の観察項目で優先度が高いのはどれか。

    • 1.活 気

    • 2.腹部膨満

    • 3.腹部腫瘤

    • 4.チアノーゼ

    解答・解説

    鎖肛(直腸肛門奇形)は、胎生初期に直腸肛門と泌尿生殖器の発育過程に異常が生じることで起こります。出生児の数千人に1人程度の割合で発生し、消化管の先天的異常の中では最も多い病気です。鎖肛は、直腸末端の位置により、低位型、中間位型、高位型の3種に分類されます。Aちゃんは直腸末端が肛門部皮膚のごく近くまで届いている低位鎖肛で、瘻孔から腸内容物が排出されていますが、十分に排泄できずに貯留して腹部膨満や嘔吐などの腸閉塞症状をきたす可能性が高い状態です。会陰式肛門形成術を行うまでは、腹部膨満に留意して観察を続けます。
    よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、となります。

    第104問

    Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。 排便後の対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.石けんで洗浄する。

    • 2.微温湯で洗浄する。

    • 3.お尻拭きシートで拭き取る。

    • 4.ポビドンヨードで消毒をする。

    解答・解説

    1.(×)造設された肛門周囲に発赤が生じているため、石けんを使用した洗浄では刺激が強いと考えられます。排便後の洗浄であれば、石けんを使う必要はありません。
    2.(○)排便後の洗浄には微温湯を使用し、愛護的にケアすることが適切です。排便が1日6回と多いので、特に注意が必要です。
    3.(×)お尻拭きシートでの拭き取りは、粘膜や手術部位、発赤が生じた皮膚への刺激が強いと考えられます。
    4.(×)ポビドンヨードで消毒する場合も、その前に付着した便を洗浄する必要があります。また、ポビドンヨードでの消毒は、粘膜や手術部位、発赤が生じた皮膚への刺激が強いと考えられます。

    第105問

    Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛(anal atresia with a low lesion)と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った。 術後2週、全身状態や創部の状態が安定し、肛門拡張のためのブジーが開始された。退院後もブジーを継続するため母親に指導を行うことになった。 ブジーの指導で正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1.「食後は避けてください」

    • 2.「腹臥位で行ってください」

    • 3.「できるだけ深く入れてください」

    • 4.「排便があった日は行わなくてよいです」

    • 5.「直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください」

    解答・解説

    1.(○)肛門拡張のためのブジーには苦痛が伴うため、子どもでは泣き叫ぶことも多く、食後すぐに行うと嘔吐するおそれもあります。食後を避けて行うよう指導します。
    2.(×)仰臥位で両足を持ち上げ、股関節や膝関節を十分に開排させて行います。
    3.(×)できるだけ深く挿入することで効果が上がるわけではありません。肛門が拡張できる適切な深さで挿入する必要があり、医師の指示を守るよう指導します。
    4.(×)肛門部の狭窄を防ぐためにも、排便の有無にかかわらず継続的に行う必要があります。
    5.(○)無理な挿入は避け、直腸の向きに沿ってゆっくりと行うよう指導します。特に直腸穿孔のリスクには注意が必要です。

  • 第106問

    Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず?痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。 Aさんの状態に最もあてはまる性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉はどれか。

    • 1.性器ヘルペス(genital herpes)

    • 2.尖圭コンジローマ(condyloma acuminatum)

    • 3.腟トリコモナス症(vaginal tricomonas infection)

    • 4.性器クラミジア感染症(genital chlamydiosis)

    解答・解説

    1.(×)性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスにより引き起こされる性感染症で、灼熱感や排尿時の強い疼痛が特徴的な症状です。回を重ねるごとに症状は軽くなりますが、治療後も再発リスクが高いとされます。
    2.(×)尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスにより引き起こされる性感染症です。鶏冠のような腫瘤(イボ)が特徴的ですが、多くの場合で自覚症状がみられません。治療後も再発リスクが高いとされます。
    3.(×)腟トリコモナス症は、トリコモナス原虫により引き起こされる性感染症です。悪臭の強い緑黄色の泡沫状帯下や掻痒感がみられますが無症候性も多く、再感染を繰り返すリスクが高いとされます。
    4.(○)クラミジア・トラコマチスにより引き起こされる性器クラミジア感染症は、日本で最も多くみられる性感染症です。感染の契機となった性交渉後1~3週で、膣の分泌物(白色帯下)、頻尿、排尿時や性交時の痛み、下腹部痛などが起こることもありますが多くは無症候性で、再感染を繰り返すリスクが高いとされます。

    第107問

    Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず?痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。 Aさんは「彼とは交際を続けたいので、性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉のことは黙っていてもよいですか。今日、相談に来たことも彼には話していません」と看護師に話した。 Aさんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.パートナーには話さなくてもよいと伝える。

    • 2.パートナーに来院を促す電話をすると伝える。

    • 3.Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める。

    • 4.性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める。

    解答・解説

    1.(×)性行為により感染する性感染症は、パートナーも同時に治療を受けなければ、お互いが感染源となって再感染を繰り返す(ピンポン感染)可能性が高くなります。パートナーにはAさん本人から罹患の事実を伝える必要があります。
    2.(×)パートナーも検査や治療を受ける必要がありますが、個人情報保護の観点からも看護師が電話で来院を促すのは不適切です。
    3.(×)大学の保健センターは、学生や職員を対象とした心身の健康保持・増進を目的に設置されており、健康診断や健康相談などを行っています。緊急の場合は処置も行いますが、診断や治療を目的とした相談を勧めることは不適切です。
    4.(○)パートナーも同時に検査や治療を受けることが重要であり、Aさん本人から罹患の事実を伝えるよう勧めることが最も適切です。

    第108問

    Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず?痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8℃、脈拍62/分であった。 Aさんは医師から「パートナーにも感染の可能性があるので性交渉をしないように」と説明を受けた。Aさんは看護師に「パートナーとはいつから性交渉をしてもよいですか」と相談した。 性交渉を再開する時期の説明で正しいのはどれか。

    • 1.処方された内服薬をAさんが飲み終えた後

    • 2.Aさんの性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉の症状がなくなった後

    • 3.パートナーが性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉の検査を受けた後

    • 4.Aさんとパートナーの性感染症(sexually transmitted disease)〈STD〉の治癒が確認された後

    解答・解説

    性感染症に罹患した場合の性交渉再開時期は、再感染を予防するため、Aさんとパートナー双方の治癒確認後となります。投薬や検査の終了、症状の改善などでは、治癒を確認したことにはなりません。治療終了後に再検査を行い、両者が陰性であることを確認する必要があり、治療終了後2~3週間以上を空けての再検査が望ましいとされています。性器クラミジア感染症では、単独での再発はほとんど考えられませんが、再感染のリスクが高い性感染症であることを説明し、指導することが大切です。
    よって、1.(×)、2.(×)、3.(×)、4.(○)、となります。

    第109問

    Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。 この時点でのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。

    • 1.胎児頻脈

    • 2.前期破水

    • 3.分娩第1期

    • 4.妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension)

    解答・解説

    1.(×)胎児心拍数基線は140bpmであり、110~160bpmの基準範囲内にあります。胎児頻脈と判断するのは161bpm以上のケースです。
    2.(×)分娩開始後、子宮口7cm開大(子宮口全開大より前)での破水であり、早期破水に当たります。前期破水は、陣痛開始前の破水を指します。
    3.(○)分娩第1期とは、分娩開始(陣痛周期10分以内、あるいは1時間に6回の陣痛頻度)から、子宮口全開大までの時期です。Aさんは陣痛間欠4分、子宮口7cm開大の状態であり、分娩第1期に当たります。
    4.(×)Aさんの血圧は126/70mmHgであり、高血圧をきたしているとはいえません。妊娠20週以降に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上)をきたした場合は妊娠高血圧症、それに蛋白尿を合併した場合は妊娠高血圧腎症と呼ばれます。

    第110問

    Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。 午後2時30分、Aさんは3,300gの女児を正常分娩した。分娩時の出血量は200mLであった。産褥3日、体温37.0℃、脈拍76/分、血圧118/60mmHgであった。血液データは、Hb 11g/dL、Ht 35%であった。子宮底の位置は臍下2横指で硬く、赤色の悪露がみられた。乳房は左右とも張り、乳管の開口数は3本ずつで黄色の乳汁が分泌している。乳頭の伸びは少なく児が吸啜するまでに時間がかかっている。 看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

    • 1.鉄分の多い食事を勧める。

    • 2.子宮底に冷罨法を行う。

    • 3.乳頭のケアを行う。

    • 4.授乳を中止する。

    解答・解説

    1.(×)産褥3日でHb 11g/dL、Ht 35%であり、貧血(Hb 11g/dL未満 and/or Ht 33%未満)には該当しません。分娩時の出血量は200mLであり、500mL未満の基準範囲内であることから、特に鉄分の摂取を勧める状態とはいえません。
    2.(×)子宮底への冷罨法は、子宮収縮促進ケアの一環として行うものであり、子宮復古が順調な経過をたどっているAさんには必要ありません。
    3.(○)順調に初乳が分泌されている様子がみられますが、乳頭の伸びが少ないために児が吸啜するまでに時間がかかり、乳汁が貯留して乳房が張っているため、ますます児が吸啜しにくくなるという悪循環に陥っています。乳頭の柔軟性・伸縮性を高めるケアを行って、児が吸啜しやすいようにすることが適切です。
    4.(×)母乳を介した母子感染のリスクがあるHIV感染症の場合などでは、授乳を中止します。

    第111問

    Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8℃、脈拍64/分、血圧126/70mmHgであった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。 午後2時30分、Aさんは3,300gの女児を正常分娩した。 産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。 Aさんへの説明で適切でないのはどれか。

    • 1.「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」

    • 2.「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」

    • 3.「長男にしっかりするように話しましょう」

    • 4.「長男をほめて安心させましょう」

    解答・解説

    今まで自分だけに向けられていた親の愛情が、きょうだいの誕生によって自分以外へ向けられることに不安や寂しさを感じ、幼児が赤ちゃんのように振る舞うようになることを退行現象(赤ちゃん返り)と呼びます。
    1.(×)自分も今までと変わらずに親の愛情が得られていることを実感させるよい方法です。その際には、しっかりと長男の目を見て会話するよう指導します。
    2.(×)一緒に新生児の世話をすることで、母親と共に保護者の立場を経験し、兄としての自覚の芽生えが期待できます。
    3.(○)不安になっている長男に、プレッシャーを与えるような発言は避けるよう指導します。
    4.(×)ほめられることは、喜びや「自分を見てくれている」という満足感にもつながり、不安を軽減します。母親が入院中の寂しさに耐えて頑張ったことを評価してあげましょう。

    第112問

    Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症(alcohol dependence)が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。 Aさんに認められるのはどれか。

    • 1.病的酩酊

    • 2.妻との共依存

    • 3.コルサコフ症候群(Korsacoff syndrome)

    • 4.アルコールに対する耐性

    解答・解説

    1.(×)病的酩酊は異常酩酊の一つであり、飲酒量が少ない(アルコール血中濃度が低い)場合でも、記憶障害、見当識障害、せん妄、著しい興奮、暴力行為などがみられます。
    2.(×)共依存とは、自分と特定の相手が互いに過剰に依存し、その関係性の中にとらわれている状態のことを指します。妻とは不仲であり、共依存は考えにくいでしょう。問題文の情報だけでは共依存の可能性を完全に否定することはできませんが、明らかに該当する選択肢が他にあります。
    3.(×)コルサコフ症候群はアルコール依存症でみられる中枢神経疾患であり、失見当識、記銘力障害、健忘、作話などの症状が出現します。Aさんは意識清明で見当識障害がないことから否定できます。
    4.(○)長期間習慣的に多量の飲酒を続けていると、脳機能や身体反応が変化して同じ量では酔わなくなり、満足できなくなります。これはアルコールに対する耐性が生じた状態であり、アルコールへの依存度が高まります。

    第113問

    Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症(alcohol dependence)が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。 入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。 考えられるのはどれか。

    • 1.振戦せん妄

    • 2.アルコール幻覚症

    • 3.レム睡眠行動障害

    • 4.急性アルコール中毒(acute alcohol intoxication)

    解答・解説

    1.(○)振戦せん妄は断酒から2~3日に生じるアルコール依存症の典型的な離脱症状であり、頻脈や発熱、著しい自律神経機能亢進(大量の発汗など)、全身性の粗大な振戦、精神運動興奮、失見当識、幻覚などがみられます。小さな虫が群れて見える幻視は特徴的で、このような不快な症状から逃れようとしてアルコール依存が深まる場合もあります。
    2.(×)アルコール幻覚症は長期の大量飲酒を原因とする急性の精神障害であり、幻聴や被害妄想などの症状がみられます。
    3.(×)レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に出現する夜間異常行動です。骨格筋の筋緊張がレム睡眠時にも消失しないため、夢の中の行動がそのまま現れ、激しい寝言、暴力行為、破壊行動などがみられます。
    4.(×)急性アルコール中毒は短時間での大量飲酒による一過性の症状であり、意識レベルの低下、嘔吐、呼吸状態の悪化などがみられます。症状の程度はアルコール血中濃度に比例し、重症では昏睡、呼吸抑制、血圧低下などが生じて死に至る場合もあります。

    第114問

    Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症(alcohol dependence)が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。 入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。 その後、薬物治療によって興奮は改善した。肝機能も改善し、夜間もよく眠れるようになったため、退院が決定した。 Aさんに対する退院時の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

    • 1.「仕事は辞めましょう」

    • 2.「断酒会に参加しましょう」

    • 3.「集団精神療法を受けましょう」

    • 4.「飲酒しない日を週1日設けましょう」

    • 5.「生活行動を家族に記録してもらいましょう」

    解答・解説

    1.(×)仕事がストレスの明らかな原因となっている場合でも、退職は本人の判断で決定すべき事項であり、看護師が勧めることは不適切です。また、退職による経済的困窮や再就職活動が、新たなストレスを生む可能性もあります。
    2.(○)断酒会は断酒の継続を目的とした自助グループで、酒害体験を語り合う例会が基本的な活動です。アルコール依存症では継続的な治療が必要であり、断酒会への参加は有効です。
    3.(○)集団精神療法では、それぞれが抱える問題を自由に話し合い、悩みや苦しみを共有したり、自身の問題を客観視したり、理解者の存在を認識したりすることができます。アルコール依存症にも有効な精神療法です。
    4.(×)アルコール依存症は飲酒量のコントロールが効かないことが特徴であり、断酒が基本方針となります。薬物療法としては、離脱症状を抑える抗不安薬や睡眠薬、断酒を維持するための抗酒薬などの投与が行われます。
    5.(×)断酒を達成するためには本人の強い意志が欠かせません。家族の理解も必要ですが、生活行動を記録してもらうことが効果的だとはいえません。

    第115問

    Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis)の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。 夫に対する訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。

    • 1.「食事の介助に時間をかけましょう」

    • 2.「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」

    • 3.「介助方法に問題があるかもしれません」

    • 4.「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」

    • 5.「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」

    解答・解説

    1.(×)適切な介助方法を検討することは大切ですが、食事介助に時間をかけただけでは、摂取量の増加を期待することはできません。
    2.(×)Aさんは経口摂取を希望しています。経口摂取で十分な栄養を摂れるような方法を検討することが優先されます。特に胃瘻は手術により造設するものであるため、安易に勧めることは不適切です。
    3.(×)電話相談の段階で、本当に介助方法に問題があるかどうかは判断できません。いたずらに患者や家族の不安を煽ることにもなりかねず、選択肢の発言は不適切だといえます。
    4.(×)嚥下食の宅配サービスを依頼するとしても、その前に現在の嚥下機能を評価する必要があります。
    5.(○)Aさんの嚥下機能を評価し、適切な食形態や介助方法を検討することが適切です。ALS患者の栄養管理をする上では、栄養サポートチーム(NST)など関連する専門職と連携して対応することが推奨されます。

    第116問

    Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis)の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。 6か月後、Aさんは呼吸障害と嚥下障害とが進行し、気管切開による人工呼吸療法を開始するために入院した。 退院に向けて病棟看護師が行う家族への気管内吸引の説明として最も適切なのはどれか。

    • 1.夜間に定期的な吸引を行う。

    • 2.就寝前に体位ドレナージを行う。

    • 3.気道内圧が低下したら吸引する。

    • 4.吸引時は気管カニューレのカフ圧を上げる。

    解答・解説

    1.(×)夜間にも必要に応じて吸引を行いますが、定期的な吸引は患者の睡眠を妨げ、家族の介護負担を増大させるおそれがあります。
    2.(○)夜間の吸引回数が多くなると、患者や家族の睡眠が妨げられて負担が増加します。就寝前に体位ドレナージなど排痰を促すケアを十分に行い、患者も家族もできるだけまとまった睡眠時間を確保できるよう指導します。
    3.(×)気道内異物がある場合、気道内圧が上昇します。気道内圧が上昇した場合に吸引を行います。
    4.(×)吸引時に気管カニューレのカフ圧を上げて圧迫が強くなりすぎた場合、気道の組織表面の壊死をきたすおそれがあります。カフ圧を高くすることで吸引しやすくなるわけではないため、適正な圧で行うよう指導します。

    第117問

    Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉(amyotrophic lateral sclerosis)の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。 6か月後、Aさんは呼吸障害と嚥下障害とが進行し、気管切開による人工呼吸療法を開始するために入院した。 Aさんは要介護5に区分が変更され、自宅で療養通所介護を利用することになった。退院後1か月、Aさんは療養通所介護の看護師に「ゆっくりお風呂に入ってみたい」と文字盤を使って話した。入浴を開始するにあたり、看護師と介護職員との間でカンファレンスを行うことになった。 検討する内容として優先順位が高いのはどれか。

    • 1.夫の介護負担

    • 2.座位の保持能力

    • 3.緊急時の対応方法

    • 4.入浴後の人工呼吸器の回路交換の方法

    • 5.入浴時の関節可動域〈ROM〉訓練の実施

    解答・解説

    1.(×)療養通所介護サービスを利用している以上、夫の介護負担についてあらためて検討する必要性は低いと考えられます。
    2.(×)要介護5はほぼ寝たきりの状態であり、入浴も臥位で行われるものと考えられます。座位の保持能力を検討する意義はありません。
    3.(○)人工呼吸器を使用しているため、入浴時に切開部から水が侵入するなどの事故につながるおそれがあります。想定されるリスクに対する予防・対処方法を事前に確認しておくことが重要です。
    4.(×)人工呼吸器の回路に汚染がなければ、入浴後に交換する必要はありません。
    5.(×)Aさんの「ゆっくりお風呂に入ってみたい」という希望を尊重することが大切です。入浴時の関節可動域訓練〈ROM〉は、Aさんの希望に反することになります。別のタイミングで実施を検討すべきです。

    第118問

    Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 病棟看護師はAさんと夫とを交えてカンファレンスを行った。夫は「妻は体力がとても落ちて、見ているのがつらいです。病気が進行すると動けなくなると聞きました。私は介護に自信がありません」と不安を訴えた。 Aさんと夫への今後の不安に対する対応として最も適切なのはどれか。

    • 1.生活保護の手続きをするよう促す。

    • 2.要介護認定の申請手続きをするよう促す。

    • 3.家事をしてくれる人を雇用するよう促す。

    • 4.訪問リハビリテーションの利用を勧める。

    解答・解説

    1.(×)経済的には安定しているため、生活保護の対象ではありません。
    2.(○)50歳のAさんは癌の終末期(介護保険における特定疾病)であり、介護保険の第2号被保険者として要支援または要介護認定を受けることができれば、訪問看護や訪問介護、訪問入浴などの在宅サービスを利用でき、夫の負担や不安を軽減することができます。夫自身も脳梗塞の後遺症で不全麻痺があるため、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)に支障をきたしているのであれば、同時に申請するよう提案することが適切です。
    3.(×)夫が不安になっているのは介護についてであり、家事についてではありません。また、経済的に余裕があれば、費用のかかるお手伝いさんの雇用も可能かもしれませんが、いずれにせよ病棟看護師が促す内容ではありません。
    4.(×)余命2カ月と宣告された癌の終末期であり、訪問リハビリテーションの利用を積極的に勧める時期ではありません。

    第119問

    Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 看護師が退院に向けて最も連携すべき職種はどれか。

    • 1.理学療法士

    • 2.管理栄養士

    • 3.介護支援専門員

    • 4.保健所の保健師

    解答・解説

    1.(×)癌の終末期であることからリハビリテーションの意義は薄いと考えられるため、理学療法士が最も連携すべき職種とはいえません。
    2.(×)「倦怠感は強いが食事は摂れている」状況であるため、連携すべき職種として管理栄養士の優先順位は高くありません。
    3.(○)退院後はすぐに、Aさんの身体状況や病状に合わせたケアや自宅の環境整備などが必要になります。Aさんが自宅でできるだけ安心して過ごせるように、またスムーズに訪問看護や訪問介護、訪問入浴などの在宅サービスが利用できるように、ケアプランの作成や各事業所との調整を行うことが大切です。したがって、選択肢の中で最も連携すべきなのは介護支援専門員です。
    4.(×)保健所の保健師は、終末期のケアには対応していません。

    第120問

    Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 退院後1か月。訪問看護ステーションの看護師が訪問した際、夫から「妻は痛みで苦しんでいる様子はない。トイレと食事以外は眠っていることが多く、このまま死んでしまうのでしょうか。家で看取ることができるか不安です」と相談を受けた。 夫への支援で最も適切なのはどれか。

    • 1.夫に頑張るよう励ます。

    • 2.病院に入院するよう提案する。

    • 3.麻薬の量を増やすことを提案する。

    • 4.Aさんが希望する看取りの場について再度話し合う。

    解答・解説

    1.(×)夫は介護が頑張れないのではなく、不安を訴えていいます。その気持ちを受け止めて共有しなければ、ただ励ましても支援にはなりません。
    2.(×)入院の必要性は低く、Aさんの希望にも反しています。自宅で夫婦が過ごすことのできる残り少ない貴重な時間であり、少しでも夫の不安を軽くするような支援が望まれます。
    3.(×)痛みで苦しんでいる様子はみられず、眠っていることが多くなっています。麻薬の量を増やす必要はありません。
    4.(○)退院から1カ月が経過し、夫は衰弱していくAさんを日々介護する中で、不安や疲労が蓄積した状態であると考えられます。夫を心身両面で支援するため、今後予想される経過や対処方法などを説明した上で、再度Aさんが希望する看取りの場について話し合うことが適切です。自宅で最期を迎えたいというAさんの希望が最優先されますが、夫の希望や状況によっては、それが現実的に可能であるかどうかも再検討する余地があります。

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