「出産手当金が早く欲しい」と思っている方は多いでしょう。出産手当金の支給は、申請書の提出から約1~2ヶ月後です。申請書の提出を行うのは産休明けが一般的なため、産休日から考えると実際に支給されるまで3ヶ月ほどかかります。
この記事では、出産手当金の申請から支給までの流れを解説。支給までに時間がかかる理由のほか、出産手当金を早く受け取るための方法やなかなか支給されない際の対処法を紹介しています。
出産手当金とは
出産手当金とは、被保険者である女性が出産のために会社を休み、その期間に給与の支払いを受けなかった場合に受け取れる手当のことです。産休手当とも呼ばれています。
出産手当金を受け取れる期間は、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日から出産の翌日以後56日目までです。出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間分も支給されます。
出産手当金の支給額
出産手当金の1日あたりの受給額は、以下の計算式で算出可能です。
たとえば、標準報酬月額の平均額が30万円だった場合の出産手当金の総額は、以下のように算出できます。
6,667円 ×(産前休暇42日 + 産後休暇56日)= 65万3,366円
実際の出産日が予定日から遅れた場合は、出産予定日から実際の出産日までの期間が受給対象期間となります。
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出産手当金が支給されるのは申請から1〜2ヶ月後

出産手当金は、一般的に申請から1〜2ヶ月後に入金されます。以下では、出産手当金の申請から支給までの流れを解説します。
出産手当金の申請から支給までの流れ
出産手当金の申請から支給までの流れは、以下のとおりです。
- 健康保険出産手当金支給申請書を入手
産休に入る前に、勤務先もしくは加入している健康保険組合から、健康保険出産手当金支給申請書を手に入れる - 被保険者記入用のページを記入する
被保険者証の記号・番号や生年月日、氏名、電話番号、住所、振込先指定口座など、本人が記入すべき項目を書く - 医師・助産師記入用のページを医師や助産師に記入してもらう
入院時に病院や助産院に健康保険出産手当金支給申請書を提出し、医師や助産師に必要事項を記入してもらう - 健康保険出産手当金支給申請書を提出する
記入漏れや記入ミスがないか確認したうえで、健康保険出産手当金支給申請書を勤務先に提出する - 出産手当金の支給
受理されると、出産手当金が支給される
出産手当金の申請から支給までは、1〜2ヶ月ほどかかります。「出産手当金が早く欲しい」という方は、申請から支給までの流れをしっかり理解して、漏れが無いようにしましょう。
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出産手当金の支給に時間がかかる3つの理由

出産手当金は申請から1〜2ヶ月後に入金されますが、それ以上に時間が掛かってしまう場合もあります。以下では、出産手当金の支給に時間がかかる理由を3つ紹介します。
1.産休終了後に出産手当金の申請をするため
出産手当金の支給に時間がかかるのは、申請自体を産休終了後に行うためです。
出産手当金の申請書には、申請期間(産前・産後休暇として会社を休んだ期間)を記載する欄があります。未来日の申請はできないため、産前休暇と産後休暇の出産手当金をまとめて申請する場合は、産後休暇が終了してから申請をする必要があるのです。
産後休暇の最長期間は、「出産日の翌日から56日間」です。そのため、産休終了後に申請をするとなると、出産手当金は出産日から3ヶ月後ほど経ってから支給されます。
2.医師や会社の処理に時間がかかるため
医師や会社の記入・処理に時間がかかり、申請書の提出が遅れると、出産手当金の支給も遅くなってしまいます。
健康保険出産手当金支給申請書には、被保険者本人が記載する項目のほかに医師や会社が記入する項目があります。たとえ、自身が早く記入して準備したとしても、医師や会社の対応が遅ければ提出するまでに時間がかかってしまい、その分支給が遅れてしまうのです。
3.書類に不備があった場合は再申請が必要となるため
申請書を早く提出したとしても、記載ミスや記載漏れなどの不備があった場合は差し戻しになり、再申請をしなければなりません。審査が完了するまで出産手当金は支給されないため、より時間がかかってしまいます。
出産手当金が早く欲しい場合は…

一般的に出産手当金の申請から支給までは1〜2ヶ月ほどかかりますが、少しでも早く欲しい方は以下の対処法を実践してみてください。
産前と産後の出産手当金を分けて申請する
多少の手間はかかってしまいますが、産前休暇と産後休暇の申請を分けて行うことで支給を早めることが可能です。
- 産前休暇分の申請は、出産後すぐに行う
- 産後休暇分の申請は、産後休暇の終了後に行う
産前休暇分の申請を出産後すぐに行うことで、産前休暇分の出産手当金を出産後2ヶ月ほどで受け取れる可能性があります。
出典:出産手当金について | よくあるご質問 | 全国健康保険協会
申請書類を事前に準備する
申請書提出までの流れをスムーズにするために、申請書は入院前に入手し、入院時に病院に渡して退院までに記入してもらうように依頼します。申請書の提出を早く行えば、その分出産手当金の支給も早くなるでしょう。
特に里帰り出産をしていて退院後すぐに実家から現在の住まいへ戻る人は、入院時に病院へ書類の記入依頼をしておくのが賢明です。退院後に病院へ記入依頼をすると、実家を発つまでに書類を受け取れず、郵送の手配などをする必要ができてしまいます。
手続きを早めにできるか会社に相談する
会社に申請書提出までの手続きを早めにしてもらうよう依頼することで、出産手当金の支給を早められる可能性があります。
たとえば、月末にまとめて申請をしている会社の場合、月初に会社に書類を提出しても、会社から健康保険組合に書類が提出されるのは月末です。あらかじめ会社の担当者に相談しておけば、会社で書類を受け取り次第、処理をしてくれる可能性があります。会社によって対応方法は異なるので、出産手当金が早く欲しい方は、一度会社に相談すると良いでしょう。
出産手当金が支給されないときの対処法

出産手当金の申請後、しばらく経ってもなかなか支給されないときは以下の対処法を試してみましょう。
会社の担当者に確認する
まずは、会社の担当者に確認してみましょう。
すでに会社から健康保険組合に書類を提出している場合は、会社から健康保険組合に確認をしてもらいます。会社の担当者を通すことで、現在の状況をスムーズに確認できます。
もし、まだ会社に書類があって健康保険組合に未提出の場合は、至急手続きをしてもらうよう依頼しましょう。
申請先の健康保険組合に確認する
会社を通さずに自身で健康保険組合に確認する方法もあります。
自身の記入内容にミスなどがあれば、会社を通すよりもスムーズにやり取りできる場合もあります。ただし、会社を通して書類を提出している場合は、会社から問い合わせたほうがスムーズに確認できるでしょう。
まとめ
一般的に出産手当金の申請は産休明けに行うため、実際に支給されるのは出産日から3ヶ月後ぐらいです。準備不足で申請が遅れたり、申請書類に不備があったりすると、さらに時間がかかってしまいます。そのため、出産手当金が早く欲しい方は、出産前に申請書の準備をしておくのが賢明です。
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