• 2024年2月23日
  • 2024年2月22日

育休が取得できる期間は? 延長制度や産休との違いも解説

 

働く女性が出産・子育てを迎えるにあたり、気になるのが育休制度です。法改正により、性別を問わず育休は取得しやすくなっています。どのくらいの期間育休が取得できるのか、育休中前後にどのような制度を利用するのか把握しておくことで、安心して出産に臨めるでしょう。

当記事では、育休制度と育休が取得できる期間について詳しく解説します。申請方法についても解説するため、育休制度について知りたい方はぜひ参考にしてください。

育休制度とは?

育休とは、原則として1歳未満の子を養育するための休業期間を指します。男女いずれも取得可能で、法律上の親子関係があれば、実子だけでなく養子も対象となります。育休は育児・介護休業法という法律に定められており、勤務先の就業規則に育休に関する規定がない場合でも法令に基づき取得可能です。

ただし、子が1歳6か月になる日までにその労働契約の期間が満了することが明らかである労働者は取得できません。また、日雇い労働者も取得できません。

出産前後に利用できる休業制度として、育休以外には「産前産後休業(産休)」が労働基準法により定められています。
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
(出典:育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト「育児休業制度とは」
(出典:公益財団法人 生命保険文化センター「産前産後休業や育児休業制度を知りたい」
(出典:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「働くママの育児について」

産休制度との違い

産休とは、産前産後の休業期間です。妊娠・出産による身体回復を目的とした休業ですので、女性のみ取得が認められています。育休には取得条件がありますが、産休は雇用形態や週の稼働時間に関係なく取得できます。

産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求した場合に取得可能です。出産日は産前休業に含まれます。

産後休業は産前休業と異なり、出産の翌日から8週間は就業できないと決まっています。産後6週間をすぎた後は、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就業可能です。流産・死産した場合でも、妊娠4か月以上での流産・死産については産後休業の対象です。

なお、産休中の経済的支援として、「出産育児一時金」と「出産手当金」があります。「出産育児一時金」は、健康保険や国民健康保険の加入者が出産した場合に支給されます。支給方法は一般的に「直接支払制度」と「受取代理制度」の2種類で、出産予定の病院がどちらを取り入れているか確認が必要です。「出産手当金」は、健康保険の加入者が産休中、勤務先から給料を受け取れない場合に支給されます。
(出典:一般財団法人 女性労働協会 働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「産前・産後休業を取るときは」
(出典:公益財団法人 生命保険文化センター「出産や育児への公的な経済支援を知りたい」

産後パパ育休とは?

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、男性の育児参加を促進する制度であり、育休とは別に取得できます。令和4年10月1日の育児・介護休業法改正に伴い創設されました。産後8週間以内に4週間(28日)を限度として、2回に分けて取得可能です。

以前まで設けられていたパパ休暇は育休の特例制度という位置づけであり、産後パパ育休の導入に伴い廃止されています。パパ休暇は、子どもの出生から8週間以内に男性が育休を取得した場合、特別な事情の有無を問わず2回目の育休が取得できるという制度でした。

産後パパ育休では、「夫婦で育休のタイミングを複数回交代する」などの対応ができる仕組みに変更されています。また、労使協定の締結によっては労働者が合意した範囲で休業中の就業ができ、業務の状況をふまえて柔軟に取得可能です。要件を満たせば給付金を受け取れ、配偶者が専業主婦でも取得可能です。

現在、これまでの日本で女性に偏りがちであった育児の負担を軽減し、男女ともに仕事と育児が両立できるような取り組みを進めています。男性の育休取得促進もその1つであり、「第2期『まち・ひと・しごと・創生総合戦略』」において、2025年までに男性育休取得率30%と目標が明記されています。
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
(出典:育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト「育児休業制度とは」
(出典:公益財団法人 生命保険文化センター「産前産後休業や育児休業制度を知りたい」
(出典:内閣府「第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」」

育休はどのくらいの期間取得できる?

育休はどのくらいの期間取得できる?

育休は、原則子が1歳に達するまでの間で労働者が申し出た期間取得可能です。ただし、子が1歳に達しても保育園に申し込みをしているが入所できない場合など、一定の条件を満たした場合は、延長できます。また、育休と併用して活用できる制度もあります。
(出典:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「育児中の女性労働者への配慮」
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」

育児休業の延長制度

育休は、以下のような理由がある場合、1歳6か月まで延長して取得可能です。

  • 育児休業の申出に係る子について、市町村に対して保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳後の期間につ いて、当面その実施が行われない場合
  • 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1 歳に達する日後の期間について、常態としてその子の養育を行う予定であった方が、以下のいずれかに該当した場合。
  • 子の養育者が死亡、または負傷、疾病や精神上の障害により養育が困難になった場合
  • 婚姻の解消、そのほかの事情により子の養育者と同居しない場合
  • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定である場合、または産後8週間を経過しない場合

(出典:厚生労働省「育児休業給付金の延長申請について」

子が1歳6か月に達した時点で、保育所に入所できない等の事情がある場合は、再度申し出ることで育休を最長2歳まで延長できます。なお、延長を希望する場合は、延長開始日の2週間前までに申し出なければなりません。

また、育休と併用して活用できる制度として「パパ・ママ育休プラス」があります。パパ・ママ育休プラスは、両親がともに育休を取得かつ要件を満たした場合、本来1歳までとされている育休取得可能な子の年齢が、1歳2か月にまで延長される制度です。

要件は以下の3点です。

〇要件

①配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること

②本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること

③本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

(引用:厚生労働省「パパ・ママ育休プラス」

パパ・ママ育休プラスを利用しても1人あたりの育休取得可能最大日数は変わりません。育休延長の状況によっては併用して活用する必要はない場合があります。配偶者や勤務先と相談のうえ、利用を検討してください。
(出典:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「育児中の女性労働者への配慮」
(出典:厚生労働省「育児休業期間は、原則として子が1歳に達するまで」

育休の申し出方法

育休の申し出方法

育休を申し出る際は、育休開始予定日の原則1か月前までに会社へ「育児休業申出書」を提出しなければなりません。会社の規定に育休に関する記載がない場合も、育児・介護休業法を根拠に請求できます。

育児休業申出書に様式の指定はありませんが、一般的に以下の項目を記入します。

  • 休業に係る子の状況(氏名、生年月日・労働者の氏名、申出日、出産予定者の氏名など)
    ※子が生まれていない場合は出産予定日、生まれる子との続柄を記入
  • 休業期間
    育休開始日から育休終了日、復職予定日を記入
    ※産休は含まない
  • 申出に係る状況(配偶者の休業開始日等)

(出典:厚生労働省「育児休業申出書」

また、育休取得期間は雇用保険の加入者が一定の要件を満たしていれば、育児休業給付を受け取ることが可能です。支給要件は以下の通りです。

①1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
育児休業給付金の対象は、以下のア及びイいずれにも該当する休業です。

ア 被保険者から初日と末日を明らかにして行った申出に基づき事業主が取得を認めた育児休業。

イ 休業開始日から、当該休業に係る子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2か月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月または2歳)に達する日前までにあるもの

・産後休業(出生日の翌日から8週間)は育児休業給付金の対象外です。産後6週間を経過した場合で、当該被保険者の請求により、8週間を経過する前に産後休業を終了した場合でも、産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされます。

・休業開始後に他の子に係る産前産後休業又は育児休業や、介護休業が開始された場合は、それらの休業の開始日の前日をもって当初の育児休業給付は終了します。

・被保険者とは、一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。

②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降のものに限ります。育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)。

③一支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること。支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間(その1か月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間)をいいます。支給単位期間が1か月に満たない場合も、就業日数が10日または80時間以下かどうかで判断します。

(期間を定めて雇用される方の場合)

④養育する子が1歳6か月に達する日までの間※1に、その労働契約の期間※2が満了することが明らかでないこと。
※1 保育所等で保育の実施が行われないなどの理由で、子が1歳6か月に達する日後の期間にも育児休業を取得する場合には、2歳に達する日までの間
※2 労働契約が更新される場合は更新後のもの

(引用:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続(令和5年8月1日改訂版)」

育児休業給付金の支給申請は、原則育休を取得している労働者の勤務先が行います。ハローワークへの申請は事業所が代行してくれますが、受給者は必要書類への記入や捺印を行います。ただし申請書については、申請内容等事業主等が申請者に確認し、合意のもと「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成・保存することで申請者の署名・押印を省略することができます。

育児休業給付金の申請には、「 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「 育児休業給付受給資格確認票」「育児休業給付金支給申請書(初回の場合)」が必要です。受給者は、勤務先の案内に従って、母子手帳のコピーなど育児を証明する書類や給付金受け取り口座の通帳のコピーなどを提出します。

最初の手続きが完了するとハローワークより支給決定通知書・次回申請書が勤務先を通じて郵送されてきます。次回申請書は内容を確認後、署名・捺印し、2か月ごとに勤務先に送り返してください。ただし上述のように、申請者の署名・押印を省略する場合は、送り返す必要はありません。
(出典:働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート「育児中の女性労働者への配慮」
(出典:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続(令和5年8月1日改訂版)」
(出典:厚生労働省「第11章 育児休業給付について」

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育休期間後に利用できる制度

育休期間後に利用できる制度

育休期間後も、育児のためにさまざまな制度が利用できます。ここでは、代表的な制度を3つ紹介します。

・短時間勤務制度

3歳未満の子を養育している労働者が利用できる制度です。事業主は、1日の所定労働時間を5時間45分〜6時間とする措置を含むものとしなければなりません。短時間勤務制度を利用する場合の手続きは事業主が就業規則等で定めています。なお、日雇い労働者や1日の所定労働時間が6時間以下の従業員は対象になりません。勤続年数1年未満の従業員など一定の従業員については、育児のための短時間勤務が利用できないとする労使協定がある場合は対象となりません。

・子の看護休暇

小学校就学前の子を養育している労働者が利用できる、育児・介護休業法に定められた法定休暇制度です。子の負傷や病気にかかった場合の世話、予防接種・健康診断などのために取得可能です。

対象は日雇い労働者を除くほぼすべての労働者です。ただし、勤務先との労使協定によっては、以下にあてはまる従業員が対象外となるため、注意が必要です。

  • 入社後、雇用期間が6か月未満の従業員
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

・法定時間外労働の制限

小学校就学前までの子を養育する従業員が申し出た場合に、事業主は月24時間、年間150時間以上の時間外労働をさせてはなりません。請求回数の上限はありませんが、開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要があります。

ただし、日雇い労働者や「事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない従業員」「1週間の所定労働日数が2日以下の従業員」は対象外です。

(出典:両立支援のひろば「育児のため、所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)を利用したい」
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

まとめ

1歳未満の子どもを養育するとき、男女問わず取得できる休業期間が「育児休業」です。原則的には子どもが1歳になるまでの期間取得できますが、保育所への入園ができない場合などやむを得ない事情があるときは1歳6か月~2歳まで育休期間を延長できます。また、「パパ・ママ育休プラス」制度を活用することでも育休期間を延長できます。

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※当記事は2023年12月時点の情報をもとに作成しています

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