• 2021年8月11日
  • 2021年11月9日

産休・育休はいつから取れる? 制度の概要から給付金まで丁寧に解説

 

妊娠・出産をしたら、産休・育休を取得できます。しかし、産休がいつから始まり、育休がいつまで続くのか、具体的に把握している人は多くありません。正社員ではなく、パート・アルバイトとして働いていても産休・育休を取れるのか、疑問に思っている人もいるでしょう。

今回は「産休・育休によりいつからいつまで仕事を休めるのか」「誰が産休・育休を取れるのか」「産休・育休の給付金はどれくらいなのか」を分かりやすく解説します。産休・育休に入る前の注意点や休業後の過ごし方も紹介するため、安心して子どもを生み育てられるよう今から準備をしましょう。

【結論】産休・育休はいつからいつまで?

産休は「出産予定日の6週間前から出産後の8週間まで」、育休は「産休後から子どもが1歳になる前日まで」取得できます。厳密には産休は産前休業と産後休業に分かれ、産前休業は「出産予定日の6週間前から出産当日まで」、産後休業は「出産翌日から8週間まで」となります。

双子などの多胎児を妊娠した場合、出産予定日の6週間前ではなく、14週間前から産休に入ることが可能です。また、医師の許可が下りれば、子どもが産まれてから6週間後に復帰できるとされています。育休の期間は原則子どもが1歳を迎えるまでですが、やむを得ない理由がある場合は1年半・2年と育休を延長できます。

そのため、基本的には産休と育休を合計して「1年と1か月半」の休業を取得できると言えるでしょう。ただし、実際にどれくらい休業となるのかは、個々の事情や出産日により異なります。

産休(産前産後休業)とは?

産休とは? - 妊娠している女性

産休は「産前休業」と「産後休業」の2つの休業制度があります。産前休業は「出産の準備をする休業期間」、産後休業は「出産後の体を回復させる休業期間」です。

産前休業は任意で取得できるのに対し、産後休業は取得が義務付けられています。出産は母親の身体に大きな負担がかかるため、労働基準法第六十五条により「産後8週間は勤務させてはならない」と定められています。ただし、産後6週間を過ぎたあとであれば、医師が認めた場合に限り就業することが可能です。

産休の対象となる人

産休を取得できる対象者は、すべての女性です。正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなどの雇用形態は問われません。また、産休の取得にあたり条件となる勤務日数などもなく、どのような働き方でも産休を取得する権利を持ちます。

ただし、前述したように産後休業は本人の希望に関係なく取得しなければなりませんが、産前休業を取得する際は自ら申請する必要があります。

産休の申請・取得方法

妊娠が発覚した段階で、早めに産前休業・産後休業を取得する旨を会社に申し出るとよいでしょう。基本的には、出産予定日の6週間までに申請を出せば問題ありません。申請の手続きは会社によって異なるため、詳細は事前に確認することをおすすめします。

また、産休を申請する際に、妊娠・出産後も仕事を続けることを伝えましょう。産前休業の開始日は、任意で決めることが可能です。妊娠健康診査を受ける時間が必要な場合、併せて申し出るとスムーズです。

産休期間中の給付金

産休期間中の主な給付金は「出産育児一時金」「出産手当金」が挙げられます。

・出産育児一時金
健康保険の加入者もしくは被扶養者である配偶者が出産した際、子ども1人につき42万円が給付されます。健康保険に加入していれば、基本的に出産育児一時金を受け取ることが可能です。出産育児一時金の給付を受けるためには、出産日の翌日から2年以内に勤務先もしくは自治体に問い合わせる必要があります。

・出産手当金
出産のために休んだものの給与の支払いがない人を対象に、標準報酬日額の3分の2の金額を支給する手当です。出産予定日の42日前から出産後の56日まで出産手当金を受け取ることができます。出産予定日から遅れた期間も、支給対象としてカウントされます。

標準報酬日額は、12か月間の標準報酬月額を平均した額です。「標準報酬月額÷30日×2/3」で、出産手当金がどれくらいになるのか計算できます。

【出産手当金の計算例】月給18万円の場合
標準報酬月額18万円÷30日=6,000円標準報酬日額6,000円×2/3=4,000円

ただし、出産手当金を受給するためには「産休中の給与支払いがない」だけでなく、「勤務先の社会保険に1年以上継続して加入している」という条件を満たす必要があります。つまり、国民健康保険に加入しているアルバイト・パートの人、勤務先の社会保険に加入していても就職・転職して間もない人は、出産手当金を受け取れない可能性があることに注意してください。

育休(育児休業)とは?

育休を取得し、赤ん坊と遊んでいる女性

育休(育児休業制度)とは「産まれた子どもを育てる休業期間」です。産休は労働基準法で定められている休業制度ですが、育休は育児・介護休業法によって定められています。

育休の休業期間は「子どもが1歳の誕生日を迎えるまで」が原則です。しかし、保育所への入所目処が立たない、配偶者が病気になったなど、さまざまな理由により育休を1年6か月まで延長することもできます。また、再延長の申請を行えば、最長2年間の育休取得が可能です。

育休の対象となる人

産休は女性労働者のみに認められていますが、育休は女性に限らず男性も取得できます。厚生労働省の調査によると、男性の育児休業取得率は低水準ですが年々上昇しつつあります。
(出典:厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」

しかし、女性であれば誰でも取得できる産休と異なり、育休を取得するためには条件を満たさなければなりません。

育休の取得条件
  • 同じ勤務先で継続して1年以上働いている
  • 子どもの1歳の誕生日以降も働き続ける意思がある
  • 子どもの2歳の誕生日の2日前までに、契約満了を迎えたり雇用契約を更新しなかったりすることが明らかではない

「雇用期間が1年未満の場合」「1年以内に雇用が終了する場合」「1週間の労働日数が2日以下」の場合、育休を取得することは不可能です。日雇いで働いている人も、育休の対象外です。ただし、育休の取得に際して、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなどの雇用形態が問われることはありません。

契約期間に明確な規定がなく、1年後や2年後の契約がどうなるか分からない場合でも、育休取得を申請することはできます。しかし、子どもが2歳になる前々日までに契約満了を迎える契約社員や派遣社員の場合、育休の取得が難しい可能性があることを念頭に置いておきましょう。

育休の申請・取得方法

育児休業を取得する場合は、希望する休業開始日の1か月前までに会社に申請する必要があります。そのため、産休を取得してそのまま育休に入る場合は、産休に入る前または産休中に申請しましょう。

一般的には「育児休業届」を会社に提出し、育休を取得する旨を申請します。保険料や厚生年金の免除を受けるにあたり別途書類が必要になるため、育休を取得する際は会社に申請方法を確認しておきましょう。

育休期間中の給付金

育休期間中は、雇用保険から「育児休業給付金」として月給の50~67%を受け取ることができます。育休の取得開始月から6か月は月給の67%、7か月以降は月給の50%が給付金です。

給付金の金額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%または50%」で計算されます。休業開始時賃金日額は「休業開始時賃金月額証明書」に記載された育休前の6か月の賃金を180で割った金額です。「月給×67%または50%」という計算式を使えば、おおよその給付金を算出できます。

【出産手当金の計算例】月給18万円の場合
18万円×0.67=12万600円
18万円×0.5=9万円

また、育児休業給付金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

育児休業給付金の受給条件
  • 1歳未満の子どもがいる
  • 雇用保険に1年以上加入している
  • 育休前の2年間で11日以上働いた月が12か月以上ある
  • 育休中、月給の8割にあたる給与を受け取っていない
  • 育休中の就業日数が1か月あたり10日を下回っている

育児休業給付金の支給は、育休が終わったあとの職場復帰が前提です。そのため、すでに退職を予定している場合、育児休業給付金の支給対象にはなりません。

産休・育休に入る前に注意したい3つのポイント

産前・産後休暇願の画像

産休・育休を取得するためには、申請期限内に勤務先へ申し出る必要があります。実際の手続きは勤務先によって異なるため、前もって上司に確認することがベターです。こうした申請手続き以外にも、出産や育児で休業する際はいくつかの注意点が存在します。

ここからは、産休・育休に入る前に注意したい3つのポイントを紹介します。

産休に入るまでに仕事を引き継ぐ

産休・育休に入った場合、これまで自分が行っていた仕事は、誰かに受け持ってもらうことになります。産休・育休は短期間で終わる休業ではありません。保育園に入所できないなど、状況によっては約2年も業務から離れます。「前任者にしか分からない」「不明点を聞けない」と休業に入ってから後任者が困らないよう、さまざまな事態を想定して対応方法を教えることがポイントです。

後任者が来てからすぐに産休・育休に入ると、引き継ぎ期間が短くなり、業務に関するすべてを指導することは難しくなります。上長にも相談しながら、余裕のあるスケジューリングで引き継ぎを進めましょう

産休・育休中はボーナスの支給額が減る場合がある

産休・育休中でも基本的にボーナスは支給されますが、満額が出るとは限りません。「ボーナスの算定期間内に産休・育休に入った」「評価基準を満たしていない」などの理由から、ボーナスの支給額が減る可能性があります。

産休・育休中のボーナスに関する規定は、会社によって異なります。産休・育休に入ってからボーナスはいくら支給されるのか気になる場合は、会社の就業規則でボーナスの算定期間や算定条件をチェックしてください。産休に入る時期が算定期間後すぐであれば、基本的にボーナスを満額受け取ることができます。

なお、会社に在籍しているにもかかわらず、出産・育児を理由にボーナスを支給しないことは違法です。「休みに入っているからボーナスを出さない」と会社側から説明された場合は、労働組合や労働センターに相談しましょう。

出産後は勤務先に速やかに連絡する

休業に入っているからと会社への連絡を怠ることは避け、子どもが無事に産まれたら必ず報告するようにしてください。特に、出産した日が当初の予定日よりもずれた場合、産前休業の終了日・産後休業の開始日が変わるため、会社側は変更届を出す必要があります。会社が所定の手続きを問題なく済ませられるよう、出産報告は欠かさず行うようにしましょう。

また、産休・育休中も定期的に会社に連絡することは大切です。「いつ復帰できるのか」「今の社内はどういう状況なのか」をお互いに共有することで、会社は受け入れ体制を整えることが、休業中の社員はスムーズに復帰することができます。そのため、休業中であっても音信不通にはならず「報連相」を意識するとよいでしょう。

産休に入ったあとの過ごし方

産休中の女性

産休・育休の申請や仕事の引き継ぎを済ませて産休に入ったあとは、出産予定日まで約42日間のお休みとなります。お腹の赤ちゃんの状態が落ち着ている間は、身体の負担を避けつつ、有意義な時間を過ごしたいという人もいるでしょう。

ここからは、産休に入ったあとの過ごし方の例を4つ紹介します。

趣味に没頭する

子どもが産まれたら育児にかかりきりとなり、なかなか自分の時間を取ることはできません。せっかくの休日だからこそ、家に1人でいる時間を趣味に使う過ごし方はおすすめです。

最近は動画配信サービスを利用し、さまざまな作品を鑑賞することができます。ドラマや映画、アニメを見たり、小説・雑誌を読んだり、編み物をしたりするなど、普段は仕事が忙しくてできなかった趣味に没頭してみましょう。

歯科医院や美容院に行く

赤ちゃんを抱えて診察・施術を受けることはできないため、出産後は歯科医院や美容院に行くことが難しくなります。妊娠中に歯科医院や美容院に出向く際は、産婦人科医に相談した上で、歯科医院や美容院に妊婦である旨を伝えてください。そうすると、歯科医師や美容師は妊娠中であることに配慮してくれます。

妊娠中は、普段より虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、お腹の調子が安定している妊娠中期に歯科検診を受けましょう。また、美容院ではカット・カラーなどの施術を受けることはできますが、シャンプーで仰向けになる体勢がつらいと感じることもあります。お腹の子や自分の体調を踏まえて、無理のない範囲で歯科医院や美容院を利用することが大切です。

入院準備や移動手段の確保を進める

出産予定日が近づいてくると、体調が不安定になる時期も出てきます。産婦人科から渡されたリストをもとに、パジャマやタオルなど、入院にあたって必要となるものを用意しましょう。その際、産婦人科で借りられるものがないかも併せて確認してください。

また、陣痛が始まった際の移動手段を考えることも重要です。陣痛は昼夜関係なく起こる可能性があり、公共交通機関を使うことが難しい場合もあります。家族に車で送ってもらうのか、タクシーを呼ぶのかなど、いざ陣痛が始まったときに慌てないよう前もって決めておくと安心です。

ベビーグッズを用意する

出産直前や出産後は買い物に行くことが難しくなります。産休に入って体調が落ち着ている間に、赤ちゃんを迎えるために必要なベビーグッズを用意しましょう。特に、赤ちゃん用のふとんやベビーベッドは、退院したらすぐに使うことになります。ベビーカーなどの大きな買い物は、なるべく早く終わらせるとよいでしょう。

さらに、抱っこ紐やベビー服、おしゃぶり、おむつなども必要です。赤ちゃんが産まれてから必要になるものをリストアップし、赤ちゃんを迎える準備を整えましょう。

産休中に安心・安全に出かけるためには?

産休中に出かけている女性

中には、「赤ちゃんのお世話で忙しくない今のうちにお出かけしたい」という人もいるでしょう。しかし、産休に入ったタイミングでは、いつ破水や陣痛が起きるか分かりません。遠出は控えつつ、できる範囲でお出かけを楽しむようにしてください。

最後に、産休中における外出のポイントと、お産に備えるための持ち物リストを紹介します。

車や電車を使って近場に行く

産休中に出かける際は、家族が運転する車やタクシー、公共交通機関を使い、アクセスのよい場所に行きましょう。お腹が圧迫される恐れがあるため、自分で車を運転することは避けてください。

身体への負担を考えて、なるべく休憩の時間を取ることも大切です。車移動ではこまめにトイレ休憩を挟む、公共交通機関の席はトイレの近くにするなど、トイレのことも考慮に入れましょう。

破水に備えて必要なものを持ち歩く

外出時の破水に備えて、以下のチェックリストに沿って荷物を用意しましょう。

  • 母子手帳
  • 出産予定の産院の診察券
  • 健康保険証
  • スマートフォン
  • お金
  • 大きめのナプキンまたは大人用のおむつ
  • レジャーシートやビニール袋
  • バスタオル

破水後にそのまま病院へ向かえるようにするため、診察券や健康保険証、母子手帳は必ず持ち歩いてください。レジャーシートやビニール袋、バスタオルは、車やタクシーの座席に敷くために使います。いつでも産婦人科などに連絡を取れるよう、スマートフォンなどの携帯電話も忘れないようにしましょう。

まとめ

産前休業は出産予定日の6週間前から、産後休業は出産した日の次の日から、育児休業は産休明けから取得することができます。多胎児を妊娠している場合は、出産予定日の14週間前から休業に入れます。育休は、原則子どもが1歳を迎えるまでとなることも覚えておきましょう。

産休・育休を取得するためには、まず会社に申請を申し出る必要があります。産休に入ったら母体の健康を優先し、安静に過ごすことが大切です。産休中に外出する際は、いつ破水や陣痛が起きても対処できるよう、診察券や保険証などを持ち歩くようにしてください。

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