検査や治療を目的に入院・通院する患者さんは、大きな不安を抱えていたり、自身の病状にショックを受けていたりすることがあります。特に、入院の場合は生活環境も変わるため、不安や心配がさらに大きく膨れ上がることも……。
今回は、患者さんが少しでも安心して療養生活を送れるような関わり方や声がけについて紹介します。
ゆっくり話す時間を設けて、不安の原因を知る
不安が強い患者さんと接する際は、言語や行動といった表面上の情報だけで判断するのではなく、「ゆっくり話を聞く時間を作って、本心を理解すること」が大切です。患者さんの不安をしっかり受け止めるためにも、静かな場所でゆっくりと話をする時間を設けてみましょう。しっかり向き合う姿勢を見せることで、患者さんからの信頼度が高まり、不安の軽減にもつながるはずですよ。
以前、「トイレが近い」ことを心配して、自分で水分制限してしまう患者さんがいたのですが、きちんと話を聞いてみると「夜に一人でトイレに行くのが怖い」とこっそり打ち明けてくれました。看護師が忙しそうに働いている姿を見て、そのことが言い出せなかったのだそうです。普段から不安が強く、ナースコールも頻回の方だったのですが、そのときは、一つひとつの訴えをしっかり聞くように心がけ、最終的には本心を引き出すことができました。
こうした事例からもわかるように、不安の原因を取り除くためには、単純に声をかけるのではなく、タッチングを行ったり、静かな環境でゆっくり話ができる時間を取ったりしながら、一人ひとりの状況に合わせて対応することが大事です。
傾聴と共感で患者さんに寄り添う
日々の忙しい業務の中で、一人ひとりの患者さんと向き合うのは、正直難しいところがあります。しかし、新型コロナウイルスの影響で面会などが制限されている現在は、患者さんのストレスや不安が増大しがち。そのため、いつも以上に「訴えに対してしっかり向き合うこと」が求められているのも事実です。こうした状況には、どのように対処するのが良いのでしょうか?
私の場合は、ベッド上で安静の方には手浴や足浴を行いながらお話をする、動ける方には入浴、シャワー浴などを通してコミュニケーションの時間を取るといった具合に、業務のなかに、できるだけケアの時間を取り入れるよう工夫しています。
また、特に不安の強い方には、ナースコールを手渡すときに「助けます」というひと言を添えるようにもしていました。ご家族から離れて不安そうな患者さんの場合は、「助けます」と伝えながら手を握ることもあります。そうすると、患者さんがほっとした表情を見せてくれたり、感謝の言葉をいただいたりすることもあって…。そんなときは不安が軽減できたことが実感できます。
一歩先回りしたケアや声掛けを行うことで、患者さんの不安が軽減されることもあるので、ぜひ心掛けてみてくださいね。
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