• 2021年11月16日
  • 2022年1月21日

地域医療支援病院とは? 役割・承認要件から働くメリットまで徹底解説

 

地域の中でも比較的規模の大きい病院は、各都道府県の知事から「地域医療支援病院」の承認を受けている場合があります。地域医療支援病院の承認を受けた病院は地域の人から選ばれやすいことが特徴で、働くスタッフ側にもあらゆるメリットを受けられるでしょう。

しかし、地域医療支援病院とは具体的にどのような病院を指しており、どのような役割を担うのでしょうか。

そこで今回は、地域医療支援病院の概要や承認要件・役割から、看護師が地域医療支援病院で働くメリット・デメリット、求人探しのポイントまで徹底的に解説します。勤務環境の整った就職先・転職先を選びたいという人は、ぜひ参考にしてください。

地域医療支援病院とは?

地域医療支援病院とは、入院治療や専門外来、救急医療など医療の中核を担う体制が備わった病院のことです。地域の各医療機関で機能分担を図り連携をすすめるべく、初期治療や投薬といった一次医療は地域の診療所・クリニックのかかりつけ医が受け持ち、より専門的な技術を要する検査や治療においては、地域医療支援病院が受け持つこととなります。いわゆる医療機関としての機能区分の1つで、このような区分は1997年に行われた医療法改正によって創設されました。
(出典:厚生労働省「地域医療支援病院の見直しについて」

また、厚生労働省の医療施設動態調査データによると、2019年10月時点での全国における地域医療支援病院の承認を受けた病院の施設数は617です。高齢化社会が進み、入院患者の増加が見込まれる今後は、地域医療支援病院の承認を受ける病院もさらに増加するでしょう。
(出典:厚生労働省「医療施設動態調査(令和元年10月末概数)」

なお、都道府県知事から地域医療支援病院の承認を受けた病院の開設者・管理者は、医療法施行規則第9条の2により各業務に関する年度報告書を毎年10月5日までに都道府県知事へ提出しなければなりません。

第九条の二 地域医療支援病院の開設者は、次に掲げる事項を記載した業務に関する報告書を都道府県知事に提出しなければならない。

  • 一 紹介患者に対する医療提供及び他の病院又は診療所に対する患者紹介の実績
  • 二 共同利用の実績
  • 三 救急医療の提供の実績
  • 四 地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修の実績
  • 五 診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の体系的な管理方法
  • 六 診療並びに病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法及び閲覧の実績
  • 七 第九条の十九第一項に規定する委員会の開催の実績
  • 八 患者相談の実績
  • 2 前項の報告書は、毎年十月五日までに都道府県知事に提出するものとする。
  • 3 都道府県知事は、法第十二条の二第二項の規定により、第一項の報告書の内容をインターネットの利用その他適切な方法により公表するものとする。

(引用:e-Gob法令検索「医療法施行規則」

地域医療支援病院の承認要件

病院が地域医療支援病院の承認を受けるためには、個人で開設していない医療機関、いわゆる主体が国・都道府県・市区町村・医療法人・社会医療法人であることが必須となっています。その他にも、医療法によって下記の要件が求められます。

地域医療支援病院の承認要件
  • 病床数が200床以上である
  • 救急医療を提供できる能力がある
  • かかりつけ医からの紹介患者数とかかりつけ医への逆紹介患者数の割合が一定数を超えている
  • 他の医療機関に対して、医療機器を含む設備の共同利用を行っている
  • 地域医療従事者を対象とした教育を行っている

紹介・逆紹介の承認条件においては下記3つのパターンが存在しており、いずれかを満たしていれば「紹介患者を中心とした医療を提供している」とみなされます。

(1)紹介率が80%を上回っている

(2)紹介率が65%、逆紹介率が40%を超えている

(3)紹介率が50%、逆紹介率が70%を超えている

「特定機能病院および地域医療支援病院のあり方に関する検討会」では、地域医療支援病院の見直しが定期的に求められていることもあり、地域医療支援病院の承認要件が変更する可能性もゼロではありません。とは言え、地域の医療機関との連携が重要である点が変わることはないでしょう。

(出典:厚生労働省「地域医療支援病院の見直しについて」

地域医療支援病院の役割

地域医療支援病院で働く看護師

地域医療支援病院は、地域医療の充実を図るべく下記のような役割が求められます。

紹介患者に対する医療の提供

地域医療支援病院でも特に大きな役割が、地域のかかりつけ医と連携を行い、紹介患者に対する医療の提供や、治療終了後のかかりつけ医への逆紹介です。地域医療支援病院はかかりつけ医から紹介状を渡された患者さんを積極的に受け入れ、適切な医療を提供しなければなりません。ある程度の治療がひと段落した際は、再度かかりつけ医に逆紹介をして継続的な治療体制を整えます。

医療機器の共同利用の実施

地域医療支援病院では、院内の医療機器や必要設備を地域の医師・歯科医師などと共同利用することも求められます。病院によっては、地域のかかりつけ医と地域医療支援病院の主治医が共同診療を行い、患者さんに対して今後の治療方針を定める「開放型病床」を有しているケースもあります。

救急医療の提供

地域医療支援病院の重要な役割が、救急医療の提供です。地域医療支援病院は、救急搬送された重症患者をいつでも受け入れられるよう、24時間体制で検査や治療の体制を整えなければなりません。具体的には、重症患者の治療に必要となる集中治療室(HCU)や治療機器、さらに専任スタッフの設置が求められます。

地域の医療従事者に対する研修の実施

地域医療支援病院は、地域医療従事者の教育を目的とした研修や勉強会の開催も重要な役割となります。各医療機関との連携だけでなく、地域の医療従事者全体の質を向上し、より質の高い医療を提供できる体制を整えることが背景に求められています。

看護師が地域医療支援病院で働くメリット・デメリット

地域医療支援病院で働く看護師

メリット

看護師が地域医療支援病院で働くメリットには、下記の3つが挙げられます。

設備や診療科など、医療体制が充実している

地域医療支援病院は、24時間体制で質の高い医療サービスを提供すべく、設備や診療科などの医療体制が充実している傾向です。看護師として、さまざまな診療科での経験を積んでみたい・あらゆる経験を積んでスキルアップを図りたいという人にとっては、絶好の環境となるでしょう。

教育体制が充実しており、スキルアップを図れる

前述のとおり、地域医療支援病院は地域医療従事者を対象とした研修や講習会を定期的に開催しています。日々の業務ではもちろん、定期的な研修により、日々の業務だけでは得られない知識を得ることができ、効率的なスキルアップも期待できるでしょう。

規模の大きな病院では福利厚生制度が整っている

各都道府県知事からの承認を受けた地域医療支援病院は、大規模で多くのスタッフ・職員が勤務していることが特徴です。人材定着率を維持するためにも、福利厚生制度を整えている病院も少なくありません。雇用条件や福利厚生がしっかりしていると、長く働き続けられるでしょう。

デメリット

看護師が地域医療支援病院で働くデメリットには、下記の2つが挙げられます。

二次救急、急性期医療を提供するため長時間労働になりやすい

地域医療支援病院は二次救急、急性期医療を提供するため、患者さんの入れ替わりが激しく、日々の業務に追われるケースが多々あります。急患対応により急遽夜間の勤務が入ったり、宿直となったりするなどして、長時間労働になりやすい点に注意が必要です。

時間外労働が多いため、プライベートな時間を確保しにくい

地域医療支援病院で働く看護師は、当直勤務を行うことも多々あります。長時間労働になりやすいだけでなくプライベートな時間を確保しづらく、ワークライフバランスを重視する人にとってはややストレスを感じるでしょう。

看護師が地域医療支援病院の求人を探すときのポイント

看護師が地域医療支援病院の求人を探すときには、まず下記のポイントをおさえることが大切です。

  • 提示された雇用要件と希望は合っているか
  • 目指している収入と給与水準が見合っているか

上記のポイントをチェックしたうえで、理想に近い求人を絞り込みましょう。

また、気になる求人を見つけた際は実際に職場見学をすることも重要です。職場見学をする際は「職場やスタッフ、患者さんの雰囲気は自分に合っているか」「設備・勤務環境は整っているか」をチェックするとよいでしょう。

まとめ

地域医療支援病院は医療機関としての機能区分の1つで、入院治療や専門外来、救急医療など医療の中核を担う病院のことです。定められた要件を満たすことで各都道府県知事からの承認を受け、地域医療支援病院として運営できます。

自分に合った地域医療支援病院で働くためには、自分のこだわりと求人情報に記載されている内容を照らし合わせて理想の求人をある程度絞り込み、実際に職場見学をすることをおすすめします。

ここまでの内容を参考に、地域医療支援病院で働きたいと考えている看護師は、ぜひ「マイナビ看護師」をご利用ください。

■関連記事

著者プロフィール