「夜勤明けは足がむくんでパンパン! 」「むくみでワンサイズ上の靴を履くようになった」「最近、勤務が続くと足の疲れがまったくとれない……」といった悩みがある人は多いでしょう。もちろん、むくみ知らず、疲れ知らずの元気な足の人もいるでしょう。「立ち仕事が多くなりがちでハードな仕事柄のせいか、足に違和感を覚えても仕方ない」と諦めている人が少なくないようです。
ここでは、鍼灸や整骨だけでなく、芸能人や口コミで評判の美容鍼灸も行う『竹田竜太鍼灸整骨院』院長で鍼灸師・柔道整復師の竹田竜太先生に、休憩中に気軽にできる、むくみや疲れをとるためのツボとマッサージ&ストレッチについてお聞きしました。
また、足のむくみが起こる原因やむくみ解消・予防につながる食生活のポイントについてもご紹介します。むくみを解消して美脚美人をめざしましょう!
足のむくみが起こる原因
むくみとは、過剰な水分が皮膚の下に溜まった状態です。人体の約60%を占める水分は、血管・リンパ管・細胞の間を行き来しながら全身のバランスを保っています。むくみは、体内の水分バランスが何らかの要因によって乱れ、回収仕切れなかった水分が血管の外側にしみ出してその場に溜まることで表れる症状です。
特に足は、身体の最下部であり心臓から離れた場所にあるため血流が滞りやすく、むくみやすい部位に当たります。足がむくんだ場合の症状として、靴下の跡が戻らなくなる・パンパンに腫れるなどが一般的です。また、むくみと同時に倦怠感や不快感を訴える人も少なくないようです。
(出典:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「足の腫れむくみの原因は?」)
足のむくみは、症状が起こる原因によって「一時的なむくみ」と「慢性的なむくみ」の2種類に分かれます。
一時的なむくみ
一時的に足がむくむ場合、下記のような生活習慣や体質などに起因するケースが大半です。
- 長時間同じ姿勢を続けている
- 運動不足である
- 冷え性である
- 塩分を摂りすぎている
- 生理前・妊娠中である
足のむくみを引き起こす要因の1つに、下半身の血行不良があります。長時間同じ姿勢でいたり運動不足が続いたりすると、ふくらはぎのポンプ機能が働きにくくなり、血行が悪くなる傾向です。血行不良が主な原因となる冷え性の人も同じです。
また、塩分の摂取量が多すぎると、体内塩分濃度の上昇を防ごうと血液中の水分量も増やすことでむくみやすい傾向です。また、生理前や妊娠中は、ホルモンなどの影響で身体が水分を溜め込もうとするため、自然とむくみが起こりやすくなります。
慢性的なむくみ
一時的なむくみの原因に心当たりがなく、足のむくみが何日も続く場合、何らかの疾患を疑ったほうがよいかもしれません。むくみの原因が疾患である場合は、セルフケアによる解消は難しいため、一刻も早く医師の診察を受けましょう。
むくみを引き起こす原因としては、下記の疾患が代表的です。
- 心臓の障害
- 肝臓の障害
- 低栄養
- 腎臓の障害
- リンパ浮腫
- 甲状腺機能低下症
- アレルギー
- 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
- 遺伝性血管性浮腫
内臓の機能が弱まると全身の血行が悪くなったり水分の排出機能が滞ったりして、むくみが現れるケースがあります。少しでも病気の可能性がある場合は、必ず医師の診断を仰ぎましょう。
足のむくみを即効で解消させるツボ6選
生活習慣や体質的な原因で足がむくんでいる場合は、ツボ刺激が症状緩和に効果的なケースがあります。身体の冷えや運動不足などで血液循環が滞っていると、むくみやすくなります。ツボ周辺を押して刺激することで身体の巡りに働きかけ、むくみを緩和する効果が期待可能です。
ここでは、自分自身の手指で刺激できるツボを6か所ご紹介します。
豊隆(ほうりゅう)
豊隆は、両足のふくらはぎにあるツボです。足でもっともむくみが気になるふくらはぎに効果的で、刺激すると余分な水分の排出をスムーズにしてくれます。
豊隆はすねの骨の外側で、ひざと足首の中間で外側の筋肉が1番盛り上がっているところにあります。親指をツボに当てて、お肌に沈み込む込ませるような感じで、ゆっくりと垂直に押しましょう。
足三里(あしさんり)
足三里や陽陵泉も、両足のふくらはぎにあるツボです。内臓の動きを活発にすることで、体の中に溜まった老廃物の排出を促し、溜まった疲れを和らげてくれます。
足三里はむこうずねの外側を下から上にさすっていくと、骨にあたって止まる場所があり、その場所から小指側に人差し指1本分だけ外側にあるくぼみになります。イタ気持ちいい程度に押してみましょう。
太衝(たいしょう)
太衝は、両足の甲にあるツボです。気血の巡りをスムーズにしてくれるため、むくみに効きます。
太衝は足の親指と人差し指の間をなぞっていった時に、骨にあたって止まる場所にあるくぼみです。押してみると鋭い痛みを感じる人もいるかもしれませんが、痛すぎない程度の力加減で、ゆっくりと垂直に押してみましょう。
承筋(しょうきん)
承筋は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)がもっとも高く盛り上がっている位置にあるツボです。承筋を刺激することでふくらはぎのポンプ機能に働きかけ、血行の悪さを改善する効果が期待できます。下半身の重だるさ、背中や腰周りの痛みを緩和する効果も期待可能です。
両手の親指を重ねて承筋に当て、残りの指で脛を包み込むようにして足を持ちます。やや強めの力で1回3秒、「痛気持ちいい」程度の力で10回ほど押しましょう。素手で実践しにくい場合は、仰向けになって立てたひざにふくらはぎを押しつける方法でも刺激できます。
湧泉(ゆうせん)
湧泉は、足の裏側、足先から1/3ほどの位置にあるツボです。血行の改善や水分代謝を促すことで、むくみや冷え、倦怠感の解消に効果が期待できます。疲労回復や不眠対策にも効果があるといわれるツボです。
足の指を曲げた際にもっとも凹んだ部分に両手の親指を当て、残りの指で足の甲を包み込むようにして支えます。足先に押し出すイメージで、気持ちよさを感じられる範囲の強さで押しましょう。青竹やゴルフボールをツボに当てて踏み込む方法でも刺激できます。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、足の内側、足首より少し上にあるツボです。消化器をはじめとした内臓の活性化に働きかけることで、血行の改善やむくみ、冷えの解消に効果が期待されます。また、生理痛や生理不順など、女性特有の症状に高い効果があるといわれるツボです。
小指を内くるぶしの一番高い部分に置き、そろえた指4本をそのまま足に沿わせて人差し指が当たっているラインから、骨と筋肉の境目で押すと痛みを感じる部分を探します。ゆっくりと息を吐きながら押し、息を吸いながら指を離しましょう。強い痛みを感じない程度の力加減で3回程度が目安です。
足のむくみを即効で解消させるマッサージ&ストレッチ
これまでに挙げたマッサージを行うことで、先にご紹介した足三里に加えて、陽陵泉(ようりょうせん)というツボも刺激することができます。
陽陵泉もむこうずねの外側の骨上にあり、足三里に比べるとやや心臓寄りに位置します。陽陵泉は筋会穴(きんえけつ)とも呼ばれ、筋肉の気を充血させてくれるツボとして知られています。内臓を含む全身の筋肉を和らげ、むくみの解消をサポートしてくれます。このマッサージも靴下やストッキングを履いたままできるので、とてもお手軽です。
■足のむくみを即効で解消させるマッサージ
(1) | いすに座って、右足を左ももの上にのせます |
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(2) | 右足を持って、右足首を大きく時計回りに19回、逆時計回りに19回ずつ回します |
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(3) | 右足のすねの内側の骨を外側から人差し指の第2関節でさすり、外側も同じようにさすります |
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(4) | 左足も右足と同じように、(1)→(2)→(3)の順番でマッサージします |
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また、以下2つのストレッチも足のむくみを和らげる効果が期待できます。
■ふくらはぎのストレッチ
ストレッチの際は、反動を使わずに体重を利用してじんわりと筋肉を伸ばすことがコツです。アキレス腱ではなくふくらはぎを意識しましょう。
(1) | 足を肩幅に開いて立ちます |
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(2) | ふくらはぎの筋肉が軽く張る位置まで片足を下げましょう |
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(3) | 両足のかかとが床についた状態で、前方の足へゆっくりと体重をかけます |
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(4) | 「痛気持ちいい」程度の位置で止め、20秒数えましょう |
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(5) | 足の左右を交代して(1)~(4)を繰り返します |
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上記の流れが1セットです。3回を目安に行いましょう。
■股関節のストレッチ
足で滞っている余計な水分や老廃物を、重力の力を借りて上半身に流す効果が期待できるストレッチです。
(1) | 背中を床に、お尻は壁につけた状態で仰向けになり、身体が直角で曲がるように壁に沿わせて足を天井へ伸ばします |
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(2) | 両足を左右に開き、痛みが強くならない程度の位置で止めましょう |
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(3) | そのままの体勢をキープしたまま、ゆっくりと呼吸します |
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呼吸5回分が手順終了の目安です。長時間行えば効果が劇的に上昇するわけではないので、心地よさが消えない程度に行いましょう。
足のむくみ解消・予防につながる食生活のポイント3選
セルフマッサージやツボ押しは、足の筋肉や血行に働きかけることでむくみ解消が期待できる対処法ですが、足のむくみは運動不足や筋肉の衰えが原因である可能性もあります。また、栄養バランスの偏った食事が一因となっているケースもあるでしょう。
下記のポイントを意識して日頃の食生活を見直すことも、むくみやすい体質の改善には必要です。
- 塩分の多い食べ物を避ける
- カリウムの多い食べ物を食べる
- ビタミン・ミネラル・たんぱく質の豊富な食べ物を食べる
ここでは、足のむくみ解消・予防に効果的な食生活のポイントをご紹介します。
塩分の多い食べ物を避ける
塩分の多い食べ物の摂りすぎは、足がむくむ大きな原因の1つです。人体には、体内の塩分濃度を常に0.9%前後で保とうとする性質があります。そのため、塩分を過剰摂取すると、塩分濃度を上昇させないために体内に溜め込む水分量も増えることになり、むくみやすくなる傾向です。
下記の食品は、比較的塩分を多く含んでいるので注意しましょう。
- インスタント食品
- レトルト食品
- 冷凍食品
- 麺類
- スナック菓子
- スポーツドリンク
- 味の濃いつまみ類
- 漬物
- 梅干し
食べ物を購入する際には成分表示を確認し、食塩相当量やナトリウム量の少ない商品を選ぶことが大切です。
カリウムの多い食べ物を食べる
塩分の摂りすぎが原因で足がむくんでいる場合は、カリウムの摂取が効果的です。カリウムは体内の余分なナトリウムに作用し、尿とともに排泄される働きを助けます。
下記の食べ物はカリウムを多く含んでおり、むくみ解消・予防に効果的です。
- 切り干し大根
- ほうれん草
- 長いも
- 枝豆
- 昆布
- 納豆
- ぶどう
- アボカド
- バナナ
「塩分を摂りすぎたな」と思ったら、カリウムが含まれる食べ物を積極的に選びましょう。カリウムは水に溶けだす性質があるため、生のまま、もしくは煮汁も一緒に食べられる料理がおすすめです。
ビタミン・ミネラル・たんぱく質の豊富な食べ物を食べる
カリウム以外にも、ビタミン類やミネラル、たんぱく質が不足すると血流や代謝が悪くなりやすく、むくみにつながります。
下記は、むくみの解消・予防に効果が期待できるビタミン・ミネラル・タンパク質を多く含んだ食べ物です。
■ビタミン
- ビタミンB1
- 豚肉
- うなぎ
- かつお節
- ごま
- 落花生
- ビタミンE
- アーモンド
- 落花生
- ヒマワリ油
- うなぎ
- モロヘイヤ
- ビタミンB6
- ブロッコリー
- 玄米
- カツオ
- しじみ
- のり
- レバー
■ミネラル
- カルシウム
- 干しエビ
- 煮干し
- パルメザンチーズ
- 油揚げ
- ごま
- マグネシウム
- あおさ
- わかめ
- 干しエビ
- きなこ
■たんぱく質
- ささみ
- うるめいわし
- 卵
- プロセスチーズ
- 豆腐
- 焼き麩
上記はあくまでも一例であり、それを食べてさえいればむくみがなくなるわけではありません。偏食にならないようバランスよく食べることが、むくみ体質改善の基本です。
足のむくみ以外のケアもお忘れなく【腰痛ケア】
最後に腰にトラブルを抱えてしまうことが多いナースだからこそ、ぜひ行ってもらいたい簡単な運動をご紹介します。竹田先生が考案したオリジナルのストレッチで、お尻の外側の筋肉である中殿筋(ちゅうでんきん)を自然に伸ばすことができます。このストレッチは腰痛ケアに最適です!
(1) | いすに座って、右足首を左ひざにかけます |
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(2) | 右ひじで右ひざ頭が上がってこないように押さえます |
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(3) | 左腕をだらりと前に垂らし、自分の体の重さを使って上体を前に倒します |
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(4) | 反対側も(1)~(4)を繰り返します |
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竹田竜太先生からのワンポイント!
ストレッチの最中、床について体を支えているほうの足は、足首とひざの両方を90度に保っておくのが理想的なフォームです。体が固い人や、すでに腰痛をお持ちの方は、無理せずできる範囲で行ってくださいね。
まとめ
足のむくみには一時的なものと慢性的なものがあり、一時的な足のむくみである場合は、生活習慣や体質の改善に取り組むことでむくみの解消が期待できます。また、ツボを刺激するなどマッサージやストレッチをする方法もおすすめです。
むくみや疲れは溜め込んでしまうと、解消するのが大変になってしまいがちです。お仕事中の休憩時間などを使ってツボ押しやマッサージ、ストレッチなどを行い、こまめにケアしていきたいものですね。