• 2023年1月18日
  • 2023年1月31日

緩和ケア認定看護師とは? 役割や資格取得までの道のりを詳しく解説

 

「緩和ケア認定看護師になるには、どうしたらいいの? 」「緩和ケア認定看護師の役割や仕事内容は? 」など、緩和ケア認定看護師について詳しく知らない方も多いでしょう。

この記事では、緩和ケア認定看護師の概要と役割を紹介。緩和ケア認定看護師になるための学校や必要な経験も解説しています。緩和ケア分野を極めたい方や緩和ケア認定看護師をめざす方は、ぜひ参考にしてください。

緩和ケア認定看護師とは

緩和ケア認定看護師とは、緩和ケア分野において熟練した看護技術と知識を有していると日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。

2021年12月時点で、A課程の緩和ケア認定看護師の登録人数は2,568人、B課程の緩和ケア認定看護師の登録人数は65人います。

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緩和ケア認定看護師の役割

緩和ケア認定看護師の役割

緩和ケア認定看護師には、緩和ケア分野において「実践」「指導」「相談」の3つの役割があります。

  1. 実践
    患者さんやその家族に対し、緩和ケアに関する熟練した看護技術や知識を用いた水準の高い看護を実践する
  2. 指導
    看護職に対し、緩和ケアの看護実践を通して看護スキルの指導を行う
  3. 相談
    1人の看護師では解決が難しい問題に直面した際に、看護職やそのほかの職員から相談を受け、解決策などを提案する

緩和ケア認定看護師は主にがん患者やその家族を対象に、痛みやそのほかの身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題といったトータルペイン(全人的苦痛)を緩和し、QOL(Quality of Life:生活の質)を高めるのが役割です。また、家族の喪失や悲嘆に対するケアも求められています。

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緩和ケア認定看護師になるには

緩和ケア認定看護師になるには

緩和ケア認定看護師になるには、日本看護協会が指定する教育機関に入学して指定のカリキュラムを修了し、認定審査に合格する必要があります。

以下では、緩和ケア認定看護師になるための道のりと教育機関について解説します。

緩和ケア認定看護師への道のり

緩和ケア認定看護師になるには、いくつかの工程をクリアしなければなりません。また、緩和ケア認定看護師の認定を受けたあとも、5年ごとに更新が必要です。

緩和ケア認定看護師のなり方は、以下のとおりです。

  1. 看護師免許を取得する
  2. 看護師としての実務研修を通算5年以上積み、そのうち3年以上は緩和ケアの実務研修を積む
  3. 緩和ケア認定看護師教育機関に入学し、カリキュラムを修了する
  4. 緩和ケア認定看護師の認定審査を受け、合格する
  5. 緩和ケア認定看護師認定証交付を受けるために、認定看護師名簿に登録する

②の3年以上の緩和ケアの実務研修の基準は、「緩和ケアを受ける患者さんの多い病棟、または在宅ケア領域で看護実績がある」、もしくは「緩和ケアを受ける患者さんを5例以上担当している」ことです。なおかつ、「現時点で緩和ケアを受ける患者さんの多い病棟、または在宅ケア領域に勤務中であることが望ましい」とされています。

緩和ケア認定看護師になるためのカリキュラム

緩和ケア認定看護師教育機関では、A課程の場合は6か月以上1年以内に600時間以上の教育課程を、B課程では1年以内に800時間程度の教育課程を修了する必要があります。

2020年度から教育が開始されているB課程の緩和ケア認定看護師教育機関のカリキュラムは、以下のとおりです。

<共通科目:380時間>

科目 時間数
1. 臨床病態生理学 40
2. 臨床推論 45
3. 臨床推論:医療面接 15
4. フィジカルアセスメント:基礎 30
5. フィジカルアセスメント:応用 30
6. 臨床薬理学:薬物動態 15
7. 臨床薬理学:薬理作用 15
8. 臨床薬理学:薬物治療・管理 30
9. 疾病・臨床病態概論 40
10. 疾病・臨床病態概論:状況別 15
11. 医療安全学:医療倫理 15
12. 医療安全学:医療安全管理 15
13. チーム医療論(特定行為実践) 15
14. 特定行為実践 15
15. 指導 15
16. 相談 15
17. 看護管理 15

<専門科目 – 認定看護分野専門科目:225時間>

科目 時間数
1. がん看護学総論(がん領域共通学習内容) 30
2. 腫瘍学概論(がん領域共通学習内容) 15
3. がんの医療サービスと社会資源(がん領域共通学習内容) 15
4. 緩和ケア総論 15
5. がん疼痛のマネジメント 30
6. がん疼痛以外の症状マネジメントⅠ 30
7. がん疼痛以外の症状マネジメントⅡ 30
8. スピリチュアルケア 15
9. 緩和ケアを受ける患者の家族・遺族ケア 15
10. 臨死期のケア 15
11. 緩和ケアにおける倫理的課題 15

<専門科目 – 特定行為研修区分別科目:22時間>

科目 時間数
1. 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 22

<演習・実習:165時間>

科目 時間数
総合演習 15
臨地実習 150

B課程のカリキュラムの合計時間数は792時間です。授業は講義および演習・実習形式で、筆記試験や実習で評価されます。

緩和ケア認定看護師になるための学校一覧

緩和ケア認定看護師に認定されている教育機関は、日本に数ヵ所しかありません。A課程およびB課程の認定教育機関は、以下のとおりです。

【A課程】緩和ケア認定看護師に認定されている教育機関

都道府県 医療機関
埼玉県 埼玉県立大学 地域産学連携センター
千葉県 国立がん研究センター東病院 認定看護師教育課程
山梨県 山梨県立大学 看護実践開発研究センター
兵庫県 日本看護協会 神戸研修センター
島根県 島根県立大学出雲キャンパス看護栄養交流センター
沖縄県 沖縄県看護協会

2022年時点でA課程の緩和ケア認定看護師に認定されている教育機関は、上記の6ヵ所です。ただし、すべての教育機関が休講となっています。A課程は2026年度をもって教育終了し、B課程へ移行するため、休講していると考えられます。

参照元:日本看護協会「教育機関別開講状況・定員数一覧(A課程)」

【B課程】緩和ケア認定看護師に認定されている教育機関

都道府県 医療機関 定員数
岩手県 岩手医科大学附属 高度看護研修センター 10名
静岡県 静岡県立静岡がんセンター 認定看護師教育課程 10名
福岡県 久留米大学認定看護師教育センター 30名

2022年時点でB課程の緩和ケア認定看護師に認定されている教育機関は上記の3ヵ所のみで、定員は全部で50名です。B課程は2020年度から教育開始されたこともあり、2023年時点では教育機関が少ないのが現状です。

参照元:日本看護協会「教育機関別開講状況・定員数一覧(B課程)」

緩和ケア認定看護師の仕事内容

緩和ケア認定看護師の仕事内容

緩和ケア認定看護師の仕事内容には、患者さんのケアやご家族のサポートのほか、病棟スタッフの指導も含まれます。緩和ケア認定看護師の主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 痛みや息苦しさ・倦怠感・吐き気・食欲不振などの症状に対するアセスメントとケア
  • 生活に対する不安や死への恐怖など、精神面・スピリチュアル面のサポート
  • 患者さんや家族の意思決定のサポート
  • 病棟スタッフを指導して看護スキルの向上をサポート

緩和ケア認定看護師は医師や薬剤師といった他職種の医療従事者と連携し、終末期の患者さんのケアをします。患者さんやその家族が納得のいく選択ができるように意思決定のお手伝いをしたり、その人らしく過ごせるようにサポートしたりするのも重要な仕事の一つです。

また、熟練した緩和ケアの技術と知識を有しているため、看護師の指導をして看護師全体の看護スキルを向上することも求められています。

まとめ

緩和ケア認定看護師は、日本看護協会から緩和ケア分野において熟練した看護技術と知識を有していると認定を受けた看護師のことです。主にがん患者やその家族を対象に、身体的・心理社会的・スピリチュアル的な痛みを緩和し、QOL(Quality of Life:生活の質)を高める役割を担っています。

2021年末時点の緩和ケア認定看護師の人数は、A課程が2,568人、B課程が65人です。B課程は2020年から教育が開始されたため、今後さらに人数は増えると予想されるでしょう。

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