• 2022年3月22日
  • 2023年6月14日

院内トリアージとは? 必要性や判定基準・トリアージナースになる方法

 

一部の救急外来や診療科では、「院内トリアージ」が用いられています。院内トリアージは簡単にいうと、外来に訪れた患者さんの緊急度や重症度によって優先順位をつけて診察・治療するということです。優先順位をつけることによって救える命が多くなる一方で、院内トリアージを行うナースにとっては非常に重大な責任が伴うことも特徴といえるでしょう。

そこで今回は、院内トリアージの概要から必要性・実施状況・判定基準、さらにメリット・デメリットやトリアージナースのなり方まで徹底的に解説します。院内トリアージについて知りたい看護師さんや、キャリアチェンジを検討している看護師さんは、ぜひ参考にしてください。

そもそもトリアージとは?

トリアージとは、大量の傷病者の振り分けを行うことです。災害発生時や、多くの傷病者がいる事故現場・事件現場などで行われます。

トリアージの目的は、治療の優先順位を決めることです。一度に多くの傷病者が発生した場合、スタッフや医療機器など、医療資源の数が限られる中でより多くの人命を助けるためには、傷病者に優先順位付けをせざるを得ません。そこで、患者さんの緊急度・重症度を迅速に判断し、色分けされたトリアージタッグという札を使って判定結果を示すのがトリアージです。

ここからは、トリアージの歴史や、日本におけるトリアージについて解説します。

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トリアージの歴史

トリアージは、フランス語で「選別」を意味する「trier」から来ています。

トリアージは元々、1800年代のフランスにおいて、戦場で負傷した兵士の「間引き」をする意味で行われました。その後、トリアージは傷病者の間引きよりも死傷者数の減少に対して効果を発揮し始めます。アメリカの救急医療現場においては、1900年代に入ってから現在に近い意味でのトリアージが利用されるようになりました。

日本にも、1800年代後半になってトリアージが輸入されています。しかし、当時は差別的な医療と見なされ、普及には至りませんでした。

日本におけるトリアージ

日本にトリアージが本格的に導入され始めたのは1960年代頃のことです。徐々に事故現場などで活用されるようになったトリアージは、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに全国的に広がり始めました。

阪神・淡路大震災では、現場でのトリアージがほとんど行われず、治療の優先度や搬送基準も明確ではない状態で、傷病者が病院に殺到しました。もし阪神・淡路大震災で適切なトリアージが実施されていた場合、救命率は格段に上がっていたともいわれています。

阪神・淡路大震災をきっかけにトリアージの重要性が認識されたことから、1996年にはトリアージで用いられるトリアージタッグの標準が公表されました。現在の日本では、医療機関や消防局などでトリアージの訓練が実施され、実際の救護活動においても取り入れられています。

院内トリアージとは?

院内トリアージとは?

院内トリアージとは、救急外来に来た方を対象者としたトリアージのことです。災害発生時などに行うトリアージと目的が近く、多数の傷病者に対して診察や治療の優先順位を決めるために行われます。

ここからは、院内トリアージの必要性や実施状況、院内トリアージにいくらかかるかなどについて解説します。

院内トリアージの必要性

もともとトリアージは災害などの緊急時に実施されており、日本でも従来までは「医療資源が不足している災害時における考え方」という概念が強くありました。しかし、1990年代からは医療資源が充足する病院においてもトリアージ(院内トリアージ)が浸透し始めます。

院内トリアージでは、トリアージ能力のある看護師が緊急度や重症度を判断・選別し、医師による診察・治療の順番を決めています。適切な医療を適切なタイミングで提供できることとなるため、待合室での重症化を防げるだけではなく、救命率も大きく上昇するでしょう。

また、院内トリアージを実施している旨を公表することで、ほかの患者さんからの「受付順で診察されない」「後からきた患者さんが先に診察してもらっている」などのクレームを防ぐことが可能です。

院内トリアージの実施状況

院内トリアージは、すべての医療機関で実施されているわけではありません。大分県立看護科学大学が公開した、救急体制別の院内トリアージを実施している施設の割合は以下のようになっています。※回収率が低いため必ずしも施設全体の状況を反映していません。

二次救急体制 72.3%
三次救急体制 63.9%
全次救急体制 93.9%
(出典:大分県立看護科学大学「全国の院内トリアージの取り組みの現状とアンダートリアージの発生率について」

一般の外来診療から救命救急医療に対応する全次救急体制では、ほとんどが院内トリアージを実施しています。さらに、24時間365日体制で重症患者さんの受け入れを行っている二次救急体制の多くが、院内トリアージ体制をとっていることも分かりました。

院内トリアージを実施する医療機関は、救急体制にかかわらず厚生労働省の規定に基づいて「院内トリアージ実施料(300点)」として診療報酬を加算することが可能です。

院内トリアージが行われる診療科

院内トリアージは、基本的に救急外来に訪れた患者さんに対して行われます。しかし、診療科によってはすべての患者さんを対象に院内トリアージを実施するケースもあります。その診療科には、一般内科や消化器内科・呼吸器内科・整形外科など幅広く挙げられることも特徴です。

また、新型コロナウイルス感染症が流行してからは、感染症の可能性を想定し、感染予防対策として「かぜ症状」のある方のみに院内トリアージを実施する診療科も増加しました。

病院以外でトリアージが行われている現場

病院以外でトリアージが行われている現場

院内トリアージは、その名の通り「院内で実施するトリアージ」のことです。本来、トリアージは院内で行うものではありませんでした。とはいえ、現在でも病院以外のさまざまなシーンにおいてトリアージが実施されています。

ここでは、トリアージが行われる病院以外の現場について紹介します。

救急搬送

トリアージは、救急通報・救急要請を受けた現場においても実施されることが基本です。災害時や事故時などで多くの負傷者がいる場合はもちろん、近年では1人~数人など限られた負傷者でもトリアージを行うようになりつつあります。実際に東京消防庁の公式サイトでは、通報のあった救急現場において救急搬送トリアージを実施する旨が記載されています。
(出典:東京消防庁「救急搬送トリアージについて」

限られた人数でもトリアージを実施するようになった背景には、「医療業界の人材不足」「緊急性の低い救急要請の増加」が挙げられます。医療従事者の減少が問題となっている近年、緊急性が低いにもかかわらず救急車を要請するというケースが後を絶ちません。不必要な医療現場のひっ迫を防ぐためにも、救急搬送においてはどのような状況でも看護師によるトリアージが求められるようになっています。

避難所

トリアージは、避難所でも行われます。大きな災害が発生した場合、地域の避難所には多くの住民が訪れることが予想されます。場合によっては、避難所に入りきらない可能性も否めません。加えて、一般的な避難所での生活が困難となった方も出てくるでしょう。このような場合は、トリアージとして適切な状況判断を行った後、適切な避難場所の提案や福祉避難所への移送支援を行うことが基本です。

また、避難所における部屋割りやケアの優先度を決めるためにも、トリアージは役立ちます。このように、避難所で実施するトリアージにはさまざまな種類があることも覚えておきましょう。

院内トリアージの判定基準

院内トリアージの判定基準

一般的に院内トリアージでは、災害現場などで使われるSTART法ではなく、日本語版緊急度判定支援システム(以下、JTAS法)が使われます。START法では患者さんの緊急度・重症度を4段階で判定しますが、JTAS法では症状に応じて5段階で判定するのが大きな特徴です。

ただし、医療施設によってはほかの判定基準や独自の判定基準を採用しているケースもあります。ここからは、院内トリアージの判定基準や、コロナ禍で普及した発熱トリアージについて詳しく解説します。

JTAS法の判定方法と色の分類

JTAS法は、患者さんの重症度ではなく緊急度を判定する基準です。下記表の通り、緊急度は合計5つのレベルと色で判定されます。

緊急度判定レベル 診察の必要性
蘇生 直ちに診療、治療が必要
緊急 10分以内に診察が必要
準緊急 30分以内に診察が必要
低緊急 1時間以内に診察が必要
非緊急 2時間以内に診察が必要
(出典:厚生労働省「重症度と緊急度」

また、JTASはタブレット/スマートフォンといった情報通信機器でアプリ化されており、基本的には各患者さんの症状やバイタルサインをアプリ上で選択することで院内トリアージレベルの判定ができるようになっています。

コロナ禍で普及した発熱トリアージ

近年では新型コロナウイルス感染症の感染拡大をきっかけに、トリアージが一般的にも広く知られるようになりました。

2019年以降のコロナウイルス感染拡大によって、日本でも発熱患者が医療機関に殺到する事態になりました。そこで、新型コロナウイルス感染予防対策として各医療機関で実施されるようになったのが「発熱トリアージ」です。

発熱トリアージでは、新型コロナウイルスの院内感染を防止するために、コロナ感染の可能性がある発熱患者とほかの患者で受診動線を分けます。発熱トリアージの実施方法は医療機関によってさまざまですが、具体的には以下のような取り組みを行う医療機関が多い傾向です。

1 来院前の電話連絡
発熱患者には、事前に電話で連絡してもらうよう徹底します。

2 検温および問診
発熱患者が来院した際には、院内に入ってもらう前に検温および問診を実施します。

3 仮設テントなどによる対応
発熱がある場合、院内の患者さんと動線を分けるために、仮設テントなどで対応するのが一般的です。

医療機関によっては、一般外来と発熱外来の時間帯を分ける対応を行っているケースもあります。

JTAS法とSTART法の違い

JTAS法とSTART法の違い

災害時などに使われるSTART法は「Simple Triage and Rapid Treatment」の略で、「単純なトリアージおよび迅速な治療」を指します。

START法で重要なのは以下の4つのポイントです。

START法におけるポイント

  • 歩けるか
    患者さんに歩けるか声をかけ、歩行が可能であれば緑タッグになります。
  • 呼吸は正常か
    呼吸が1人でできるかを判断するポイントです。呼吸の回数が正常の場合は、循環のチェックに移ります。ない場合は気道確保を行い、呼吸が再開されれば赤タッグにします。気道確保をしても呼吸がない場合は黒タッグをつけます。
  • 脈拍は正常か
    脈拍の状態によってタッグを選択します。脈拍がなければ赤タッグです。
  • 意識はあるか
    「大丈夫ですか? 」の声掛けに患者さんが何らかの反応を示した場合は黄、反応がない場合は赤のタッグになります。

生理学的評価 患者の状態 結果
(1)歩行 歩行できる
1人で歩行できない 呼吸の確認へ
(2)呼吸 呼吸がなく、気道確保できない
呼吸がなく、気道確保できる
呼吸があり、1分間に9回以下もしくは30回以上
呼吸があり、1分間に10~29回未満 循環の確認へ
(3)循環 脈拍が1分間に50回以下または120回以上
脈拍に問題がない 意識の確認へ
CRT(毛細血管再充満時間)2秒以上
CRT2秒以下 意識の確認へ
(4)意識 簡単な指示に従える
簡単な指示に従えない

START法の4色のタッグは、それぞれ以下の内容を意味しています。

死亡群
最優先治療群
待機的治療群
軽症群

START法は災害などで多くの傷病者がいる場面で活用されるため、とにかく迅速に行える点が大きな特徴です。

START法のトリアージは救急救命士や救急隊員なども実施しますが、JTAS法のトリアージは基本的に看護師によって行われます。傷病者の選別を行うことはSTART法と共通していますが、JTAS法はあくまでも、患者さんの状態に対する判断を支援するためのものである点が大きな違いです。

院内トリアージのメリット

院内トリアージのメリット

「院内トリアージを実施・導入する医療機関で経験を積みたい」と考える看護師の方も多いでしょう。院内トリアージを実施・導入する医療機関で働くことは、看護師にとって多くのメリットがあります。

ここからは、院内トリアージを実施・導入する医療機関で働く看護師のメリットを4点紹介します。

患者さんに対して適切な医療を適切なタイミングで提供できる

適切な医療を適切なタイミングで提供できるという点は、院内トリアージを実施・導入する医療機関で働く看護師にとって最大のメリットです。

医療機関を受診する患者さんは、一人ひとり異なる症状をもっています。特に救急外来となれば、一刻を争う状態となっている患者さんが運ばれてくることも少なくありません。このような場合において、適切なタイミングで医療を提供できず最悪の事態に陥ると、看護師はやるせない気持ちを抱えるでしょう。

院内トリアージを実施し、適切な医療を適切なタイミングで提供できることは、医療効果や救命率の向上だけでなく、仕事への大きなやりがいにもつながります。

待ち時間の効率的なコントロールにより患者さんの満足度が向上する

院内トリアージを実施することで、患者さんの待ち時間を効率的にコントロールできます。

患者さんは、症状が重ければ重いほど待ち時間に敏感になる傾向です。緊急度の高い患者さんから優先的に診察・治療を行うことで、待ち時間における患者さんの不満が軽減されます。クレームの予防だけでなく、院に対する信頼度や満足度の向上にもつながるでしょう。

待機患者さんやその家族に対してエビデンスをもって説明できる

院内トリアージの実施は、診察・治療まで待機している患者さんやその家族に対し、エビデンスをもって説明できる点も大きなメリットです。

前述の通り、院内トリアージは基本的にJTAS法に基づいて判断します。JTAS法における院内トリアージ基準は、世界でも主流となっている緊急度判定支援システムに沿って策定されているため、高い正確性を誇っています。

院内トリアージを実施する場合、必ずしも診察・治療の順番が来院順となるわけではありません。したがって、場合によっては先に訪れていた患者さんからのクレームが入る可能性もあります。しかし、JTAS法に基づいた院内トリアージを実施していれば、順番に関する不満を抱えた患者さんが納得できるような、エビデンスをもった説明ができるようになるでしょう。

アプリ・システム導入で看護師の業務効率化にもつながる

院内トリアージで基本的に用いられるJTAS法はアプリ化されており、パソコンやタブレット・スマートフォンから簡単に利用できます。院内トリアージアプリ・システムを導入することで、情報通信機器から各患者さんの症状・バイタルサインといった項目をスムーズに入力できるようになり、看護師の業務効率化に大きく貢献するでしょう。

また、トリアージツールのなかには、電子カルテシステムと連携したものもあります。このようにシステム間で連携できるツールを導入することで、業務効率をさらに向上させられるでしょう。

院内トリアージのデメリット・注意点

院内トリアージのデメリット・注意点

院内トリアージを利用する際には、デメリットがある点についても理解することが大切です。ここからは、院内トリアージを行ううえでの代表的なデメリット2つと、注意点について解説します。

アンダートリアージが発生する恐れがある

アンダートリアージとは、トリアージの際に適切な基準よりも低く判断することです。具体的には、実際には重症の患者に対して、黄や緑のタッグを付けることを指します。なお、アンダートリアージとは反対に、重症ではない患者に対して赤タッグを付けることをオーバートリアージといいます。

オーバートリアージよりもアンダートリアージのほうが患者の命にかかわるため、避けるべき問題です。アンダートリアージは患者の予後にも大きな影響を及ぼすため、アンダートリアージの発生自体を減少させることが重要と考えられています。

アンダートリアージを回避するためには、トリアージ能力の向上と、定期的な再トリアージの実施が重要です。また、アンダートリアージとオーバートリアージを比較した場合オーバートリアージのほうがまだよいため、判断で迷った際はオーバートリアージを選択すべきともいえます。

トリアージには相応の知識や経験が問われる

トリアージは、可能な限り多くの傷病者の治療を行い、1人でも多くの命を救うためのものです。また、トリアージは迅速さが求められるうえ、判断が難しいものでもあります。たとえば、傷病者の呼吸が確認できないケースでは、心肺蘇生をすれば助かるかもしれず、迅速なトリアージが難しい場合もあるでしょう。

そのため、トリアージの実施者は救急医療の経験が豊富であり、トリアージに関する知識と決断力に富んだ方である必要があります。トリアージを実施する際には、相応の知識や経験が問われるという点に注意しなければなりません。

院内トリアージを判定するトリアージナースとは?

院内トリアージを判定するトリアージナースとは?

トリアージナースとは、救急看護を含むあらゆる看護経験・スキルをもって院内トリアージを実施する看護師のことです。

院内トリアージにおいては、病院に訪れた患者さんの症状やバイタルサインを測定したうえで緊急度や重症度を判断・選別し、医師による診察・治療の順番を決定するという重要な役割を果たします。

特定の資格が必要というわけではありませんが、前述の通り相応の知識や経験が問われることが特徴です。

トリアージナースになるには?

トリアージナースには的確に判断できる知識や経験が求められるため、その知識や経験を有していることを証明できる資格・認定を取得することを推奨します。トリアージナースを目指す看護師に役立つ資格・認定は、下記2つです。

●トリアージナースコース

トリアージナースコースは、日本救急看護学会が企画・開催しているトリアージナースの教育コースです。定期的に開催される教育コース(JTASコース・日本救急看護学会企画によるコース)に受講することで取得できます。
(出典:日本救急看護学会「 トリアージナース教育コース」

●救急看護認定看護師

救急看護認定看護師とは、日本看護協会が認定する資格です。通算5年以上の実務経験(うち3年以上は救急看護分野の実務経験)を経て、認定看護師の教育機関で定められた教育課程を修了したのち認定審査に受験・合格することで取得できます。
(出典:日本看護協会「認定看護師」

日本におけるトリアージに関する課題

日本におけるトリアージに関する課題

新型コロナウイルス感染症の流行によって、救急外来以外の一般的な診療科でも院内トリアージを実施するようになりました。コロナ禍でトリアージについて広く知られるようになったものの、依然として課題は多く、今後も動向を注視する必要があります。

最後に、日本におけるトリアージに関する課題を2点紹介します。

法的整備が不十分な状態である

災害の発生時や一刻を争う救急患者さんに対して実施するトリアージの場合、正確性よりも迅速性が求められます。そのため、迅速性を重視するあまり、アンダートリアージが発生するリスクも決してゼロではありません。むしろ、アンダートリアージを完全になくすほうが難しいともいわれています。

その一方で、トリアージに関する法的整備が不十分な状態となっていることが、現在の大きな課題となっています。たとえば、傷病者に誤って本来の緊急度よりも軽度の判定をしたことにより救急搬送・治療の順番が遅れ、結果としてその傷病者が死亡した場合、トリアージの実施者に業務上過失致死罪が問われる可能性もあります。

法的整備が不十分である以上、救急救命士や看護師は不安を抱えたままトリアージを実施しなければなりません。トリアージ活動の萎縮やアンダートリアージを招く原因となるため、一刻も早い課題解決が進められています。

倫理的に問題視されることがある

トリアージは患者さんの緊急度・重症度を判定し、診察・治療の優先順位を決定することであり、適切なタイミングで適切な治療を実施するために必要な工程です。しかし、なかには「命を選別しているのか」と論理的に問題視されるケースもあります。

トリアージについて理解していない患者さんやその家族・ほかの傷病者や患者さんよりも、後回しにされた患者さんやその家族においては、感情的となる傾向が特に強いといえるでしょう。

これには、法的整備が不十分なことに加えて、医療従事者ではない一般の方々からの理解も少ないという点が背景として挙げられます。医療スタッフ以外の方にもトリアージの概要や重要性を把握・理解してもらうことも、日本におけるトリアージの大きな課題といえるでしょう。

まとめ

院内トリアージは、トリアージナースがフィジカルアセスメントを用いて、外来に訪れた患者さんの緊急度を判定・選別し、診察・治療の優先順位付けを行うことです。現在では多くの医療機関で院内トリアージが実施されています。

適切なタイミングで適切な医療を提供でき、医療効果や救命率の向上につながる一方で、トリアージナースになるためには、救急看護分野においてある程度の経験・技術が問われます。患者さんの優先度を判断できるトリアージナースは、多くの医療機関で求められる傾向です。

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※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

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