多くの病院では、看護師は夜勤込みのシフトで働いています。患者さんの命を守る仕事として重要な役割だということは理解していても、体力面や精神面で夜勤が辛く感じ、別の職場や働き方を模索する人もいるでしょう。
この記事では、看護師の夜勤で採用される2交代制・3交代制の勤務パターンや大まかなスケジュール例、メリット・デメリットを紹介します。夜勤専従についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
看護師の夜勤形態と勤務時間
看護師の夜勤は、主に2交代制と3交代制の2種類です。
日本看護協会の「2022年 病院看護実態調査」によると、病院で採用している夜勤・交代制勤務の形態は以下のとおりです。
夜勤・交代制勤務形態 | 割合 |
---|---|
三交代制 | 31.0% |
2交代制(夜勤1回あたり16時間以上) | 65.9% |
2交代制(夜勤1回あたり16時間未満) | 27.1% |
1回あたりの勤務時間は異なりますが、多くの病院で2交代制を採用していることが分かります。
3交代制を採用している病院が少ない要因として、勤務パターンが複雑でシフトが組みにくいことが考えられるでしょう。
2交代制
2交代制は、勤務を「日勤」「夜勤」の2つに分けた勤務体制のことです。
勤務時間
2交代制の勤務時間例は、以下のとおりです。
勤務 | 時間 | 勤務時間・休憩時間 |
---|---|---|
日勤 | 8:00~17:00 | 勤務:8時間 休憩:1時間 |
夜勤 | 16:00~9:00 | 勤務:16時間 休憩:2~3時間 |
2交代制の夜勤は、勤務時間が16時間と長いのが特徴です。
2〜3時間の休憩時間を設けてはいますが、容態の急変や救急搬送があった際には休めないこともあります。夜勤は看護師の人数も少ないため、働き詰めで気づいたら朝だったということも少なくありません。
1ヶ月の夜勤回数
2交代制の病院における月平均の夜勤回数は、以下のとおりです。
回数 | 割合 |
---|---|
3回未満 | 1.1% |
3~4回未満 | 14.9% |
4回 | 10.2% |
4回超~5回未満 | 31.4% |
5~6回未満 | 18.9% |
6~7回未満 | 6.2% |
7~8回未満 | 3.0% |
8~9回未満 | 2.7% |
9~10回未満 | 1.4% |
10~13回未満 | 0.8% |
2交代制の病院では、4回超~5回未満の割合が 31.4%と最も多い結果でした。2交代制は勤務時間が長く、看護師の負担が大きいため、3交代制よりも1ヶ月の夜勤回数は少なめです。
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3交代制
3交代制は、勤務を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分けた勤務体制のことです。
勤務時間
3交代制の勤務時間例は、以下のとおりです。
勤務 | 時間 | 勤務時間・休憩時間 |
---|---|---|
日勤 | 8:00~17:00 | 勤務:8時間 休憩:45分~1時間 |
準夜勤 | 16:00~1:00 | |
深夜勤 | 0:00~9:00 |
3交代制の勤務時間は、日勤・準夜勤・深夜勤のいずれも8時間程度です。
2交代制の夜勤のように長時間勤務ではないため、身体的負担は少ないといえます。しかし、準夜勤は帰宅時間が、深夜勤は出勤時間が深夜です。徒歩や自転車で通えるところに住んでいるか、自動車の運転ができないと通勤は難しいでしょう。
1ヶ月の夜勤回数
3交代制の病院における月平均の夜勤回数は、以下のとおりです。
回数 | 割合 |
---|---|
4回未満 | 3.9% |
4回~5回未満 | 3.4% |
5~6回未満 | 3.7% |
6~7回未満 | 10.7% |
7~8回未満 | 26.6% |
8回 | 10.8% |
8回超~9回未満 | 17.1% |
9~10回未満 | 9.5% |
10~11回未満 | 4.2% |
11~13回 | 1.6% |
3交代制の病院では、7~8回未満の割合が26.6%と最も多い結果でした。3交代制夜勤の勤務時間は8時間程度で、2交代制の約16時間と比べて短いですが、その分1ヶ月の夜勤回数が多い傾向にあります。
参照元:日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」
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2交代制夜勤のスケジュール
2交代制では「日勤8時間・夜勤16時間」を採用する病院が多く、1回の夜勤を数人で担当するのが一般的です。
ここでは、「日勤8時間・夜勤16時間」の2交代制で働く看護師の夜勤のスケジュール例や1週間の勤務パターン、メリット・デメリットを紹介します。
夜勤のスケジュール例
16:00〜9:00の夜勤を行う看護師のスケジュール例は、以下のとおりです。
時間 | 業務 |
---|---|
16:00 |
|
17:00 |
|
17:30 |
|
18:00 |
|
19:00 |
|
20:00 |
|
21:00 |
|
21:00~6:00 |
|
6:00 |
|
7:00 |
|
8:00 |
|
8:30 |
|
9:00 |
|
21時の消灯以降に交代で2〜3時間の仮眠休憩が予定されているものの、緊急入院や患者さんの容態が急変した場合には、十分な休憩時間が確保できない場合もあります。
また、夜勤帯は看護師の人数も少ないため、比較的忙しいのが現状です。
勤務パターン
下記は、2交代制における1週間の勤務パターン例です。
日曜 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 |
---|---|---|---|---|---|---|
日勤 | 休み | 日勤 | 夜勤 | 夜勤明け | 休み | 日勤 |
2交代制の夜勤は拘束時間が長く、場合によっては仮眠休憩が取れないこともあります。疲労から回復し、万全な状態で医療現場に臨んでもらうためにも、夜勤明けの翌日を休日にしている病院は多いようです。十分な休養のために、連休にする病院も珍しくありません。
2交代制夜勤のメリット・デメリット
2交代制における夜勤のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット
- 勤務パターンが2つしかないため、生活リズムを整えやすい
- 夜勤明けの翌日が休みになる場合が多い
- プライベートの時間を確保しやすい
夜勤明けの翌日が休みになる場合が多く、実質的に2連休と同じ自由時間を確保できます。また、有給休暇と組み合わせることで、遠方への旅行も可能です。
デメリット
- 拘束時間が長い
- 身体への負担が大きい
- 忙しい日は仮眠休憩が確保できない
2交代制の夜勤は拘束時間がおよそ16時間と、日勤の勤務時間の2倍です。長時間、集中力を維持するのが難しい人もいるでしょう。また、若いときは問題を感じなくても、年齢を重ねると体力的に辛くなる人も少なくありません。
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3交代制夜勤のスケジュール
3交代制の夜勤は「準夜勤」「深夜勤」に分割されており、いずれも約8時間勤務です。
ここでは、3交代制で働く看護師の準夜勤・深夜勤のスケジュール例と1週間の勤務パターン、メリット・デメリットを紹介します。
準夜勤のスケジュール例
16:00~1:00の準夜勤を行う看護師のスケジュール例は、以下のとおりです。
時間 | 業務 |
---|---|
16:00 |
|
17:00 |
|
17:30 |
|
18:00 |
|
19:00 |
|
20:00 |
|
21:00 |
|
21:00~23:30 |
|
0:30 |
|
1:00 |
|
準夜勤の時間帯は当日手術を受けた患者の経過観察や点滴交換などを行うため、勤務開始直後から忙しくなります。また、寝付けない患者さんから呼び出されることも珍しくありません。
深夜勤のスケジュール例
0:00~9:00の深夜勤を行う看護師のスケジュール例は、以下のとおりです。
時間 | 業務 |
---|---|
0:00 |
|
1:00~6:00 |
|
6:00 |
|
7:00 |
|
8:00 |
|
8:30 |
|
9:00 |
|
深夜勤の時間帯は1〜2時間ごとに病棟の見回りをしながら患者の状態を確認し、点滴交換や体位変換などを行います。患者が寝静まっている時間帯とはいえ、急変への対応や看護記録の作成・記載など、忙しいことに変わりはありません。
勤務パターン
下記は、3交代制における1週間の勤務パターン例です。
日曜 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 |
---|---|---|---|---|---|---|
休み | 深夜勤 | 準夜勤 | 休み | 日勤 | 深夜勤 | 準夜勤 |
3交代制のシフトでは、2交代制と比べて不規則になりやすい傾向にあります。夜勤1回ごとの拘束時間は短いものの、深夜勤を終えた日の夕方から準夜勤が割り振られることも珍しくありません。
3交代制はシフト管理が複雑になることもあり、2交代制へ移行する病院も増えています。
3交代制夜勤のメリット・デメリット
3交代制の夜勤におけるメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット
- 2交代制と比べて夜勤の拘束時間が短い
- 体力的、精神的な負担が少ない
- 2交代制よりも休みまでのサイクルが早く感じる
3交代制は1回の勤務時間が8時間程度となるため、16時間程度の勤務をする2交代制に比べて集中力を維持しやすいといえるでしょう。また、こまめに引継ぎが行われることで、残業も起こりにくい傾向にあります。
デメリット
- 生活リズムを整えにくい
- 出退勤が深夜帯になることが多い
- 総合的な通勤時間が増える
3交代制では夜勤1回の時間は短くなるものの、割り振られる夜勤の回数自体は多くなる傾向にあります。また、連休が取りにくい、日勤から深夜勤の場合は数時間後の仕事に備えなければならないなど、休みにくいと感じる人もいます。
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看護師の夜勤手当
多くの病院では、夜勤をすると夜勤手当が支給されます。2交代制の夜勤および3交代制の準夜勤・深夜勤で支給される夜勤手当の金額は、以下のとおりです。
2交代制:夜勤 | 11,286円 |
3交代制:準夜勤 | 4,154円 |
3交代制:深夜勤 | 5,122円 |
3交代制に比べて勤務時間の長い2交代制のほうが、夜勤手当が5,000円ほど高い傾向にあります。
なお、1ヶ月に得られる夜勤手当の支給額は、2交代制で1ヶ月に4~5回夜勤をすると4~5万円ほど、3交代制で1ヶ月に7~8回夜勤をすると3~4万円ほどになるでしょう。
参照元:日本看護協会「2020年 病院看護実態調査 報告書」
夜勤専従として働く看護師もいる
看護師の働き方の1つとして注目されているのが、「夜勤専従」です。夜勤専従は雇用する側はもちろん、働き手にとってもメリットがあります。
以下では、夜勤専従の概要とメリット・デメリットを紹介します。
夜勤専従とは
夜勤専従とは、夜勤のみを専門に行う働き方のことです。
近年は子育てや介護など、プライベートと仕事を両立させるために、日勤のみの働き方を希望する看護師が増加傾向にあります。そのため、夜勤帯の看護師の人員が不足している医療機関や施設もあり、夜勤専従看護師は夜勤帯の人材不足を解消するための人員として期待されています。
夜勤専従のメリット・デメリット
看護師が夜勤専従を行うメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット
- 少ない日数と時間で高い給料を期待できる
- 日中の時間を有効活用できる
夜勤帯は夜勤手当が付くため、少ない日数の勤務でも高い給料を得られます。夜勤専従は、効率的に高い給料を得られる働き方といえるでしょう。
また、日中は役所・銀行での手続きや友人とのリフレッシュなど、充実した時間を過ごせます。プライベートの時間を充実させたい方にとって、夜勤専従は魅力的な働き方といえるでしょう。
デメリット
- 生活リズムが乱れて体調を崩す恐れがある
- 患者さんとコミュニケーションを取りにくい
夜勤専従は昼夜逆転の生活になるため、夜間に働くことに慣れていないと体力的にきついでしょう。特に2交代制の夜勤の場合は、勤務時間が長いので疲れも大きくなります。
また、夜間は患者さんが寝ているため、コミュニケーションは基本的には取れません。「患者さんとじっくり関わりたい」「密にコミュニケーションを取りたい」と考える看護師にとっては、物足りないと感じる場合もあります。
自分に合った働き方ができる看護師求人を探すポイント
自分に合った働き方ができる職場を探す場合は、以下の点に着目しましょう。
勤務形態や勤務スケジュール
2交代制や3交代制のほか、夜勤の始業時間や終業時間など、勤務中の詳細なスケジュールは病院によって異なります。同じ病院でも病棟ごとに複数の勤務形態を採用している場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
看護師の人数と受け持つ患者数
看護師の所属人数や夜勤の担当人数を確認しましょう。病床数に対して看護師が少ないと負担が増し、十分な休憩を取れない場合があります。
1ヶ月の夜勤回数と勤務パターン
1ヶ月に割り振られる夜勤回数と大まかなシフトパターンもチェックしておきましょう。自身の希望が、どの程度反映されるかを確認しておくことも大切です。
夜勤手当の支給額
夜勤手当の支給額は、職場によって大きく異なります。平均よりも高い夜勤手当を得られる職場もあれば、業務量が多いにもかかわらず夜勤手当が少ない職場もあります。そのため、勤務時間や業務量と夜勤手当の金額が見合っているかもチェックしておくのがおすすめです。
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看護師の夜勤に関するQ&A
ここでは、看護師の夜勤に関するよくある疑問をまとめています。
看護師の夜勤は何時から何時まで?
看護師の夜勤の勤務時間は職場によって異なるほか、2交代制と3交代制によっても違います。
2交代制の夜勤は、16~17時頃から翌朝の9時頃までです。一方、3交代制の準夜勤は16~17時頃から1時頃まで、深夜勤は0~1時頃から9時頃までです。
看護師の夜勤は1ヶ月に何回ある?
看護師の1ヶ月の平均夜勤回数は、2交代制が4~5回、3交代制が7~8回です。
ただし、職場によって夜勤回数は大きく異なり、日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」によると、2交代制で10回近く、3交代制で13回ほど夜勤をする職場もあります。
参照元:日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」
新人看護師はいつから夜勤を始める?
新人看護師が夜勤に入り始めるのは、一般的に5~6月頃です。
遅くても、入職半年以内に夜勤に入り始める病院が多いでしょう。はじめはプリセプターと一緒に夜勤に入って業務内容を覚え、徐々に独り立ちします。
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まとめ
看護師の夜勤形態には、主に2交代制と3交代制があります。どちらにもメリットとデメリットがあり、個人の向き不向きもあるため、自分にはどの勤務形態が合っているかを見極めることが大切です。
自分に合った夜勤形態の医療機関で働きたい方は、マイナビ看護師にご相談ください。
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