退職をすると、国民年金・国民健康保険への加入や、失業保険を受け取るための申請など、さまざまな手続きが必要になります。また、時間をかけて転職活動をする予定の方は、再就職するまでの生活費についても考えておかなければなりません。そこで今回は「転職」をキーワードに、事前準備に必要な生活費や手続きなどをご紹介します。
転職で必要なのは「年金」「健康保険」「雇用保険」の手続き
すでに転職先が決まっていて、退職日の翌日から新しい勤務先との雇用契約が開始される場合は、勤務先からもらった書類を新しい勤務先に提出すれば、ほとんどの手続きが完了します。不明な点は、新しい勤務先の人事課などに問い合わせるといいでしょう。
ここでは雇用契約開始まで空白期間ができてしまう場合について、具体的なケースをもとに、保険料の支払いや手続きについて見てみましょう。
年金・健康保険の保険料のポイント
・保険料は月単位で計算され、翌月支払います。(日割りではありません)
・加入した月の保険料は必要ですが、退職した月(資格喪失日が属する月)の保険料は不要です。そのため、月の途中に加入しても、保険料を二重に支払うことはありません。
ケース1.月の途中に退職して、翌月に就職する場合
例)1月20日に退職して、2月1日に就職する場合
・資格喪失日が1月21日になるため、1月分の給料から前月分(12月分)の保険料だけが控除されます。
・1月21日からは国民年金・国民健康保険(もしくは健康保険の任意継続)に加入するため、加入手続きと1月分の保険料の支払いが必要になります。
・2月1日から転職先の年金・健康保険に加入するため、2月分の保険料は転職先の給料から控除されます。(手続きは転職先がしてくれます)
ケース2.月末に退職して、翌月に就職する場合
例)1月31日に退職して、2月10日に就職する場合
・資格喪失日が2月1日になるため、1月分の給料から前月分(12月分)と1月分の保険料が控除されます。
・2月1日からは国民年金・国民健康保険(もしくは健康保険の任意継続)に加入するため、加入手続きが必要になります。
・2月10日から転職先の年金・健康保険に加入するため、2月分の保険料は転職先の給料から控除されます。(手続きは転職先がしてくれます)
ケース3.空白期間が1カ月以上ある場合
例)1月に退職して、3月1日以降に就職する場合
・月の途中に退職した場合は1月分の給料から前月分(12月分)の保険料が控除、月末に退職した場合には1月分の給料から前月分と1月分の保険料が控除されます。
・退職の日の翌日から国民年金・国民健康保険(もしくは健康保険の任意継続)に加入するため、加入手続きと保険料の支払いが必要になります。
・就職の日から転職先の年金・健康保険に加入するため、加入月の保険料は転職先の給料から控除されます。(手続きは転職先がしてくれます)
退職から入職まで空白期間ができる場合は要注意
退職後に国民年金や国民健康保険の加入手続きを忘れてしまっても、後から未加入分の保険料の請求通知が届くため、手続き上では大きな問題は生じません。
しかし、国民健康保険の加入手続きをしないまま、空白期間中に病院で治療を受けた場合には、費用は全額自己負担になります。さらに、未納期間の保険料の請求は後から届くため、得になることは一切ありません。空白期間が短い場合でも、健康保険の加入の手続きは必ずしておきましょう。
看護師退職の手続きガイド【年金・健康保険・失業保険】(後編)では、具体的にどんな手続きが必要になるか、詳しく見ていきます。
文:FPライター 斉藤 勇
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<参考>
日本年金機構ホームページ 会社を退職した時の国民年金の手続き
東京実業健康保険組合ホームページ 被保険者が退職したとき
全国健康保険協会ホームページ 保険料について