• 2022年12月22日
  • 2024年4月19日

看護師の給料は高すぎる? 他職との比較や高いと言われる理由を紹介

 

「看護師は給料が高い」というイメージをもっている人は一定数います。しかし、実際に看護師がどの程度の給料を得ているか、知らない人も多いでしょう。

この記事では、看護師の平均給料と他職との比較を紹介。看護師の給料が高いといわれている理由のほか、現役看護師に実施した給料に関するアンケートの結果もまとめています。看護師が給料アップをめざす方法も解説しているので、看護師について理解を深めるきっかけにしてください。

看護師の給料は高すぎる?

世間では、看護師の給料が高すぎるという声が聞かれます。実際のところはどうなのか、以下では看護師の平均給料と他職との比較を紹介します。

看護師の平均給料は約32万円

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、看護師の平均給料は31万9,300円でした。時間外勤務手当なども含めた給与額は35万2,1000円ボーナスは85万6,500円で、平均年収は508万1,700円です。

看護職といわれる准看護師・看護助手との給料や年収の差は、以下のとおりです。

給料 給与 ボーナス 年収
看護師 31万9,300円 35万2,100円 85万6,500円 508万1,700円
准看護師 26万6,900円 28万6,800円 62万9,500円 407万1,100円
看護助手 21万0,800円 22万2,500円 51万3,600円 318万3,600円

准看護師と看護助手と比べると、看護師が一番高い給料を得ています。理由は、保有する資格や行なえる業務に差があるためです。

看護師は国家資格である看護師免許を有しているため、主体的に患者さんの療養上のお世話または診療の補助を行うことができます。しかし、准看護師が有しているのは都道府県知事が発行する准看護師免許で、医師や看護師の指示を受けないと、患者さんの療養上のお世話または診療の補助を行うことができません。また、看護助手に至っては資格が必要ないため、行える業務は医師や看護師の指示を受けたうえでの看護補助業務のみです。

国家資格を有し専門性の高い業務を行っているため、看護師の給料は准看護師や看護助手に比べて高いのです。

看護師の給料は都道府県によって差がある

看護師の平均給料は31万9,300円と前述しましたが、都道府県によって差があります。

平均給料が高い都道府県

都道府県 平均給料
1 神奈川県 35万6,800円
2 大阪府 34万9,300円
3 東京都 34万4,300円
4 奈良県 34万2,600円
5 静岡県 34万2,400円

神奈川県・大阪府・東京都など、都心部に近い都道府県に勤める看護師の給料が比較的高く、上位5都道府県の平均給料は全国の平均給料である31万9,300円よりも高い結果となりました。都心部の給料が高いのには、大規模な病院が多いことや物価が高いことが影響していると考えられます。

平均給料が低い都道府県

都道府県 平均給料
1 熊本県 26万900円
2 宮崎県 26万8,000円
3 青森県 27万4,300円
4 徳島県 28万2,800円
5 鹿児島県 28万3,500円

看護師の平均給料が最も低い都道府県は熊本県で、26万900円です。全国平均の31万9,300円より、約6万円も低くなっています。平均給料が低い5都道府県中、3つの県は九州でした。なお、九州だけでなく、四国・中国・東北などの地方は平均給料が低い傾向にあります。

看護師と他職との給料比較

看護師と全職種との給料差は、以下のとおりです。

男女計 男性 女性
看護師 31万9,300円 32万7,500円 31万8,400円
全職種 31万8,300円 35万900円 26万2,600円

看護師の平均給料は全職種の平均給料よりも高く、特に女性は約6万円も高いことがわかります。しかし、男性を見ると看護師よりも全職種のほうが高い結果となりました。そのため、「看護師の給料は高すぎる」とは一概にはいえないでしょう。

なお、看護師とほかの医療従事者の給料差は以下のとおりです。

給料
看護師 31万9,300円
医師 95万0,000円
薬剤師 38万8,700円
保健師 29万7,700円
助産師 35万3,800円

業務内容に大きな差があるとはいえ、看護師と同じ医療従事者である医師・薬剤師・保健師・助産師と比較しても、看護師の給料が高すぎるとはいえません。

参照元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

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【看護師にアンケート】看護師の給料は高いと思いますか?

マイナビ看護師にて、現役看護師860人に「看護師の給料は高いと思いますか? 」というアンケートを行いました。

【アンケートの結果】

十分貰っていると思う 24人(2.8%)
もっと貰っていいと思う 547人(63.6%)
残業や夜勤をしてなんぼの世界だと感じる 277人(32.2%)
その他 12人(1.4%)

アンケートの結果を見ると、「看護師の給料は高い」と思っている看護師は少なく、半数以上の63.6%の看護師が「もっと貰っていいと思う」と答えています。看護師からは以下の意見が挙がりました。

  • 夜勤は2時間前に行かないと仕事にならないし、夜勤明けも昼まで帰れないのに残業代が付かない
  • 夜勤をしないとほとんど最低賃金。ただ働く場には困らないだけ
  • 夜勤をやらなければ、無資格の仕事と何ら変わりないレベル。国家資格を持っていて命を扱う仕事なのに、給料が安いと思う
  • ほかの職業が楽なわけじゃないが、命を預かっているからもっと貰ってもいいと思う
  • 日勤のみなので一般職と変わらない。夜勤してなんぼの世界。日勤でも患者さんの命を預かっているのでもう少し欲しい
  • 世間的には給料が高いと思われがちだが、夜勤手当があるからなだけ。基本給は高くないし、昇給も少ない
  • 転職して夜勤がなくなったら、給料が5万円も減った

現役看護師からは「命を預かる仕事なのに給料が安い」「夜勤手当ありきの給料」「残業代がつかない」という声が多く聞かれました。

看護師の給料が高い理由

ほかの医療従事者との給料比較や現役看護師のアンケートを見る限り、看護師の給料が高いとはいえないでしょう。しかし、世間一般的に「看護師は給料が高い」というイメージがあり、実際に全職種の平均給料と比較すると看護師のほうが高い給料を得ています。

一般職と比べて看護師の給料が高いのには、以下の理由が挙げられます。

業務の専門性の高さ

看護師は国家資格である看護師免許を有しており、専門性の高い医療業務を行っています。医師や航空機操縦士のほか、裁判官・検察官・弁護士といった法務従事者などの専門性の高い職種は、いずれも給料が高い傾向にあります。

人の命を預かっている

看護師の仕事は、人の命を預かる責任の大きな仕事です。業務は医師の診療補助や入院している患者さんの身の回りのお世話、患者さんや家族のメンタル面のサポートまで多岐にわたります。看護師なくして医療現場は成り立ちません。看護師は人の命を預かる医療現場で、重要な役割を担っているのです。

夜勤手当がある

病棟に勤務する看護師には夜勤があり、夜勤をした場合には夜勤手当がつきます。一般的に夜勤は月に4回ほどあり、2交代制勤務の看護師が得られる夜勤手当は月に4万円ほどです。給料のうち4万円が夜勤手当となると、かなりの割合を占めているといえるでしょう。

なお、勤める医療機関によっては夜勤手当のほかに、資格手当や地域手当、役職手当、危険手当、オンコール手当などもつきます。

高い給料を得られる看護師の職場とは

高い給料を得られる看護師の職場には、いくつか特徴があります。少しでも高い給料を得たいと考えている看護師の方は、以下の項目をチェックして就職先・転職先を探すのをおすすめします。

規模が大きな病院

日本看護協会のデータによると、病床規模が大きい病院のほうが給料が高い傾向にあります。

病床規模 給料 給与総額
99床以下 23万8,939円 31万2,151円
100~199床 24万2,411円 32万2,341円
200~299床 24万7,792円 32万6,827円
300~399床 25万8,928円 33万9,992円
400~499床 26万3,266円 34万6,317円
500床以上 27万610円 35万8,465円

99床以下の病院が23万8,939円なのに対し、500床以上の病院は27万610円と、約3万円も差があります。病床の多い病院は運営母体が大きい傾向にあるため、看護師の給料も比較的高くなっていると考えられます。

参照元:日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」

夜勤手当が高い職場

看護師の給料は夜勤手当がかなりの割合を占めています。そのため、夜勤手当が高い職場に勤めることでより高い給料を得られるでしょう。

実際、日本看護協会のデータによると、2交代制勤務および3交代制勤務における夜勤手当は以下のとおりでした。

2交代制の夜勤 11,368円
3交代制の準夜勤 4,234円
3交代制の深夜勤 5,199円

夜勤は月に4回ほどあるため、2交代制では月に約4万5,000円、3交代制では月に約1万6,000円~2万円の夜勤手当がつきます。月の夜勤回数が多かったり、夜勤手当が高かったりすると、5万円以上の夜勤手当を得ることも可能でしょう。

参照元:日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」

美容クリニック

美容クリニックは自由診療で施術・治療メニューの金額を自由に設定できるので、利益が大きく、看護師の給料も高めです。夜勤なしで30万円以上の給料を得られる美容クリニックもあります。

また、インセンティブ制度のある美容クリニックでは、さらなる給料アップを狙える場合も。看護師がノルマを達成したり、クリニック全体の売上目標を達成したりすることで、インセンティブが給料に上乗せされます。

専門性の高い仕事をする職場

専門性の高い仕事に従事する看護師は、給料が高い傾向にあります。職場によっては、手当が支給されることもあるでしょう。得られる手当の一例は、以下のとおりです。

  • 特殊業務手当
  • 危険手当
  • 手術室勤務手当
  • ドクターヘリ搭乗手当
  • 分娩介助業務手当

たとえば、救命救急センター勤務の看護師には特殊業務手当、オペナースには手術室勤務手当、フライトナースにはドクターヘリ搭乗手当が支給されることがあります。また、手術室や精神科、放射線科勤務の場合は危険が及ぶ可能性もあるため、危険手当が支給される場合も。

そのほか、認定看護師や専門看護師、助産師など、専門性の高い資格を有している場合は、それぞれ認定看護師手当・専門看護手当・助産師手当が資格手当として支給される場合があります。

看護師が給料アップをめざす3つの方法

給料アップをめざしたい看護師の方は、資格を取得したり役職についたりすると良いでしょう。また、今より給料の高い医療機関に転職するのもひとつの手です。

以下では、看護師が給料アップをめざす3つの方法を詳しく紹介します。

1.資格を取得する

スキルの向上をめざしながら給料アップしたい方は、資格を取得するのがおすすめです。資格を取得すると、基本給が上がったり手当が付いたりするので給料アップにつながる可能性があります。

看護師のスキル向上・給料アップにおすすめの資格は、以下のとおりです。

  • 認定看護師
  • 専門看護師
  • ケアマネージャー
  • 助産師
  • 保健師
  • 公認心理師

専門性の高い知識やスキルを取得したい方は、認定看護師や専門看護師の取得がおすすめです。ゆくゆくはキャリアチェンジを考えている方の場合は、ケアマネージャー・助産師・保健師・公認心理師などの資格を取得すると良いでしょう。

2.役職に就く

一般的な社会と同じように、看護師も役職に就くと給料が上がります。基本給がアップするのはもちろん、役職手当がつく勤務先もあるでしょう。

ただし、役職に就くと夜勤がなくなる職場もあります。夜勤手当がなくなるので、結果的に給料が下がってしまうことも少なくありません。そのため、今自身が得ている夜勤手当と役職手当を比較したり、上司に聞いてみたりするのがおすすめです。

なお、役職に就くには、豊富な現場経験や俯瞰的に状況を理解するスキル、高いコミュニケーション力などが必要不可欠です。また、役職につくと大きな責任がのしかかります。給料アップのことだけを考えず、自身に向いているか見極めたうえで、役職者をめざすようにしましょう。

3.転職する

すぐにでも給料アップをしたい方は、転職を視野に入れると良いでしょう。資格取得や役職をめざすにはある程度の時間が必要ですが、転職であればすぐに給料アップが叶います

ただし、転職先を探す際に「給料」だけに着目するのはおすすめできません。仕事内容や働き方、残業時間、通いやすさ、やりがいを感じられるかなど、さまざまな点を考慮して転職先を探すようにしましょう。

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まとめ

「看護師は給料が高すぎる」という声が聞かれますが、実際には全職種の平均給料と比較しても、それほど差はありません。現役看護師にアンケートを取ったところ、夜勤手当ありきの給料という声も聞かれます。

看護師は専門性の高い医療従事者であり、シフト制で夜勤もある負担の大きな仕事です。そのため、「看護師は給料が高すぎる」とは一概にはいえないでしょう。
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