• 2021年12月10日
  • 2022年9月14日

異動してきたお局看護師のせいで職場の空気が険悪化……。転職すべき?

 

看護師の異動で職場の人間関係がガラッと変わってしまい、ストレスを感じた経験ありませんか? このお悩みに対して作家のワーママはるさん、スポーツメンタルコーチの鈴木颯人さん、産業医の井上智介さんの3人のスペシャリストがアドバイスします!

イラスト:菜々子

今回のお悩みに答えてくれるスペシャリストたち

oishi haru/尾石晴さん
作家・Voicyトップパーソナリティ・兼業大学院生・オンラインヨガ『ポスパム』代表と、さまざまな顔を持つ二児のママ。

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事

井上智介さん
産業医・精神科医・yahoo!ニュース公式コメンテーター

異動してきたお局看護師のせいで職場の空気が険悪化……。転職すべき?

質問者
看護師7年目、今の職場は2年目です。忙しい職場ですが人間関係だけは良好でした。ですが、最近異動でメンバーが変わり、職場の雰囲気が悪くなってしまいました。

異動して来た人が頭ごなしに怒るお局タイプで、特に若手看護師にあたりが強いです。さらに周りも影響を受けてお局化する始末……。 

お局さんたちの発言内容は間違ってるわけではないのですが、こちらの意図は確認せずに一方的にキレるんです。具合悪くて休んだ人がいても心配する様子はなく、「忙しいのによく休めるな……」と言わんばかりの態度で、正直不愉快です。

 転職を考えましたが、「なぜこちらが転職をしなければならないのか?」と思うと腹立たしいです。看護師部長や病棟師長に相談するくらいしかできないのでしょうか? やはりこちらが転職するべきなのでしょうか?

出典:マイナビ看護師

スペシャリスト3人のアドバイスは?

作家
oishi haru/尾石晴さん

それは大変! 職場のみんながお局化していく職場……ちょっとおもしろい気もしますが、笑い事ではないですね。失礼。

お局様の「発言内容は間違ってない」と、「内容」を認めるあたりが相談者さんの方が上手(うわて)に見えます。

私の経験上、お局様は「①自分が一番と認められたい」「②職場のポジション重視」「③存在価値が仕事メインの人」と考えているタイプが多いです。

たとえ相談者さんが上長の看護師部長に直談判しても、この程度の指導ならお局様は注意されて終わり……ですが! お局様は①②③の理由により、質問者さんの想像よりはるかにプライドが傷ついて、より攻撃性が増す可能性が考えられます。

異動のある職場なので、この状態がずっと続くとは考えにくい。ですから、今できることを考えてみましょう。たとえば、

・お局様に仕事の相談をして敢えて頼りにする
・お局様を褒めて距離を取る
・ひたすら受け流す

など。上手な質問者さんなら、「どちらかが異動するまでの辛抱」と割り切って過ごせるはずです。応援しています。

スポーツメンタルコーチ
鈴木颯人さん

プロ野球やプロサッカーで例えると、外部からきた選手や指導者によってチームの雰囲気が変わってしまった話に近いと思いました。どんな業界にもそのようなケースはありますよね。

相談者さんの目的によって手段が変わるのですが、2つのご提案がございます。

1つ目は成長を目的にした場合、看護スキルだけではなく対人間関係での円滑な方法を学ぶチャンスと捉えること。

2つ目は安定した日々を過ごすことを目的にした場合、転職をすること。ただ、転職先も人間関係が必ずしも良好とは限りません。私たちが生きている以上は、必ずどこかで人と関わることになります。だからこそ、成長を目的とした残留もありだと思います。

しかし、限度もあると思うので、たとえば「1年間、この状況が改善されない場合は転職する」などの前提条件を作ってから現在の課題に向き合うと、気持ちもラクになかと思います。

産業医
井上智介さん

忙しくて大変な仕事であっても、周りの人たちが一丸となって乗り越えようと頑張っていると、その良い雰囲気に影響されてこちらも頑張れることってありますよね。

お局さんが来るまでは、あなたもそうだったかもしれません。ただ今では、その素敵な環境から変わってしまったので、とてもしんどいことでしょう。

できるならそのお局様に変わってほしいと思いますよね。しかし残念ながら、このような高圧的な人は、看護師部長などから少し注意されるくらいでは大きく変わりません。

ただ、あなたには2つの選択肢があります。

1つは転職でその場を去ることです。この時はネガティブな気持ちになりがちなので、転職先に今の職場ではできない新しさを求めるなど、ポジティブな理由を見つけたいですね。

2つ目は今の環境を仕方ないと受け入れ、仕事は仕事と割り切ることです。ただし、プライベートではしっかり自分へのご褒美を用意するなど、自分の心のケアは忘れないでください。

三者三様のアドバイス、いかがでしたか? 自分がその職場に何を求めているのかによって、とるべき行動が見えてくるのかもしれませんね。相談者さんのお悩み解決の一助になれていれば幸いです。それではまた次のお悩みでお会いしましょう。

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oishi haru/尾石晴さん
作家/Voicyトップパーソナリティ/元子持ち女性管理職
外資系メーカーに16年勤務。子持ち管理職経験を持つ。ワンオペ育児の合間に、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター・ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を複数確保。2020年4月退職。音声メディア「Voicy」では1,500万回再生超えのトップパーソナリティとして活躍中。SNSの総フォロワー数は7万人超え。現在は雑誌「レタスクラブ」での連載など文筆活動の傍ら、2020年ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。『ワーママはるのライフシフト習慣術』など。

 

Twitter:https://twitter.com/wa_mamaharu

鈴木颯人さん
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事
1983年、イギリス生まれの東京育ち。脳と心の仕組みを学びながら、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。金メダリストから学生アスリートまで、野球、サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名を問わず、そのコーチングによってパフォーマンスを激変させるアスリート、チームを輩出。著書に『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)、『一流を目指すメンタル術』(三五館)など。

 Twitter:https://twitter.com/HayatoSuzuki11

井上智介さん
産業医/精神科医/yahoo!ニュース公式コメンテーター
産業医・精神科医。大阪府在住。島根大学医学部を卒業後、現在は産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医としては、毎月30社以上を訪問。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、赤縁の眼鏡、金色のアフロヘアと白衣姿でSNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。著書に『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)など。

Twitter:https://twitter.com/tatakau_sangyoi

企画・構成:藤田佳奈美(TAC企画)

著者プロフィール