• 2021年11月15日
  • 2021年11月17日

ワークライフバランスのメリットとは?日本で注目を集めている理由を解説

 

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートをどちらも充実させて、相乗効果を生み出す考え方のこと。
2019年に「働き方改革」が本格的にスタートしたり、新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークを導入する企業が増えたりして、昨今、ワークライフバランスの注目度が高まっています。

こんにちは、ナースプラス編集部の吉田です。
ワークライフバランスを実現すると、働く人はもちろん、雇う側にとってもたくさんのメリットがあるんです。
たとえば、ワークライフバランスの制度を整えると「社員を大切にする企業」というイメージが定着し、優秀な人材が集まりやすくなるんですよ。

この記事では、ワークライフバランスを導入するメリットを、働く側や雇う側などさまざまな視点から解説していきます。

なぜ今、ワークライフバランスの実現が必要なのか?

ワークライフバランスのメリットを解説する前に、まずはワークライフバランスの実現が必要とされている理由をお伝えします。

国も注目しているワークライフバランス

実は昨今、国もワークライフバランスの実現が必要だと考えているんです。

内閣府は2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を制定し、以下のような社会を実現するための取り組みを始めました。

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会

(引用:内閣府 男女共同参画局『「仕事と生活の調和」推進サイト』仕事と生活の調和とは(定義)

なぜ政府がこの憲章を制定したかというと、ワークライフバランスの浸透が日本社会を救うという期待があるんです。

そう、ワークライフバランスは、個人や企業・組織はもちろん、社会全体のさまざまな課題を解決するカギとなる考え方。
「誰のどんな課題に対して、ワークライフバランスが必要とされているのか」について、内閣府の「なぜ今仕事と生活の調和なのか」のページから引用してみました。

社会全体の課題を解決するから

まず、ワークライフバランスは以下のような社会全体の課題を解決するといわれています。

・労働力不足の深刻化
・生産性の低下・活力の衰退
・少子化の急速な進行
・地域社会のつながりの希薄化

社会全体の課題は数多くありますが、ここでは「少子化の急速な進行」と「労働力不足の深刻化」を中心に説明していきます。

少子化が進んでいくと、労働人口が減り、国の力が弱まってしまいます。
そうした事態を改善するには、出生率を上げたり、労働人口を増やしたりする必要がありますが、そのカギを握っているのが、男性のさらなる家事・育児への参加なんです。

男性が家事・育児に参加することで、女性に時間のゆとりができ、労働人口が増加する図

男性が家事・育児にかける時間が増えれば、その分、女性の負担が減りますよね。
すると、女性に時間のゆとりができ、産後も働き続けたり、子どもを産んだりする人が増えるので、労働人口が増える効果が期待できる……というわけです。

だとしたら、男性が家事・育児にさらに参加していくためにはどうすればいいのでしょうか?
そこで、ワークライフバランスがとれた働き方を推進していく必要がある、ということなんですね。

毎日残業ばかりだと、家事や育児をする時間がとれないですもんね……。
だからこそ、ワークライフバランスは、女性だけでなく男性にとっても大切な考え方なんです。

ただし、労働力不足は少子化だけではなく、高齢化によっても引き起こされます。

介護をしている様子

2021年現在、団塊世代が70代後半を迎え、介護を必要とする人たちは今後ますます増えていくと推測されています。
すると、その子供たちは、働きながら親の介護をすることに……。

そこで起きている問題が、若い人たちが仕事と介護を両立できず、泣く泣く「介護離職」をしなければならないケースです。

介護離職する人を減らすためには、仕事と介護の両立が可能なワークライフバランスを実現する社会にシフトする必要があるんです。

企業・組織の「人材獲得競争」を解決するから

続けて、ワークライフバランスは企業・組織における「人材獲得競争」を解決するともいわれています。

現代社会では、少子高齢化が引き起こす労働力不足によって、企業や組織の人材獲得競争がとても激しくなっています。

だからこそ、優秀な人材がその企業・組織でずっと働き続けたいと思える存在になれるかどうかがカギです。

そのためには、自社で働く人のワークライフバランスに配慮し、社員一人ひとりが自分に合った働き方を選べるようにすることが重要。

とくに新型コロナウイルス感染症の拡大以降、働く人の仕事に対する意識が大きく変化しており、「仕事よりも生活を重視するように変化した」人が、実に50%にものぼっています。

新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識に変化はありましかた?のアンケート結果
(出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』

働く人のこうした変化に寄り添い、勤務時間や場所を選べるようにするなど、多様な働き方を提供していくことは、経営戦略上欠かせなくなっているのです。

個人の課題を解決するから

そして、ワークライフバランスは個人の課題も解決します。
個人の課題には以下のようなものがあります。

・仕事と家庭の両立が困難
・自己啓発や地域活動への参加が困難
・長時間労働が心身の健康に悪影響

人手不足による長時間労働や不安定な雇用形態など、過酷な状況のなかでがんばって働いている人は、決して少なくありません。
そうした状況では、プライベートが二の次になったり、体調を崩してしまったり、子育てや介護を優先して離職せざるを得なくなったりすることもあります。

だからこそ、過酷な状況を改善し、働きたい人がプライベートも充実させながらイキイキと働き続けられるように、国や企業・組織をあげてワークライフバランスを推進する取り組みが急がれているのです。

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ここからはいよいよ、ワークライフバランスに取り組むメリットを詳しく解説します!

ワークライフバランスに取り組むメリット

すでに紹介したとおり、ワークライフバランスへの取り組みは、企業や組織にとっても、働く人にとってもメリットが多いもの。

企業・組織の側からすると「導入コストがかかる割に、メリットが少ないのでは……」という懸念があるかもしれませんが、長期的に見ると業績にも良い影響があるのです。

というわけで、まずは企業・組織のメリットから見ていきましょう。

企業・組織のメリット

企業・組織がワークライフバランスに取り組む主なメリットは、以下の4つです。

1.働く人を大切にする企業としてのイメージが向上する
2.労働環境に魅力を感じた人材が集まり、定着しやすくなる
3.採用や育成にかかるコストを削減できる
4.社員のモチベーション向上によって労働生産性がアップする

それぞれ解説していきますね。

1.働く人を大切にする企業としてのイメージが向上する

ワークライフバランスに取り組むことで、以下のような企業イメージを育てることができます。

・従業員を大切にする企業
・離職が少なく、安定して働きやすい企業

会社員のイメージ

さらに、「企業の社会的な責任(CSR)」に積極的な優良企業として、企業価値も向上し、そういったイメージは、長期的な視点で見ると自社の成長にも大きく貢献します。

2.労働環境に魅力を感じた人材が集まり、定着しやすくなる

ワークライフバランスを導入して「従業員を大切にする企業」というイメージが育つと、それに魅力を感じた優秀な人材が集まりやすくなります。

また、働く人がそれぞれの希望に応じて柔軟な働き方を選択できるので、離職率が減り、人が定着しやすくなるというメリットもあります。

3.採用や育成にかかるコストを削減できる

ワークライフバランスを導入して人材が定着すると、採用コストや育成コストが削減できます。

加えて、従業員一人ひとりの労働生産性もアップするので、残業の削減につながったり、時間外手当や通信費、水道光熱費などのコストが抑えられたりというメリットも期待できます。

4.社員のモチベーション向上によって労働生産性がアップする

ワークライフバランスを取り入れると、社員のモチベーションがアップすることがわかっています。

内閣府が2006年におこなった調査によると、「自分はワークライフバランスがとれている」と感じている人の方が、仕事への意欲が高いという結果が出ており、これは結婚しているかどうかや性別に関係なく、すべての人に共通していました。

今の仕事に目的意識を持って積極的に取り組んでいる(男性)のアンケート結果

今の仕事に目的意識を持って積極的に取り組んでいる(女性)のアンケート結果
(出典:内閣府 少子化と男女共同参画に関する専門調査会『両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書概要』

社員のワークライフバランスが実現して仕事への意欲が増すと、労働生産性がアップしやすくなり、結果として企業・組織の業績にも良い影響をおよぼすというわけです。

ワークライフバランスを実現すると、優秀な人材が定着するだけでなく、さまざまな点においてコストの削減につながります。
そうすると、新たな事業展開に挑戦できる余裕ができたり、従業員に還元できたりといった、さらなる好循環が生まれることに!

続いては、個人にとってのワークライフバランスのメリットについて解説しましょう。

個人(働く人)のメリット

ワークライフバランスを意識すれば、個人(働く人)は以下のようなメリットを享受できます。

1.自分に合った働き方を選択できるように
2.プライベートの時間が増えることで、より豊かな人生を送れる
3.経済的に自立でき、自己実現につながる
4.仕事へのモチベーションが向上し、キャリアアップにつながる

それぞれ見ていきましょう。

1.自分に合った働き方を選択できる

ワークライフバランスに取り組んでいる企業や組織を選べば、時短勤務やテレワーク、副業など、自分自身の事情に合わせた柔軟な働き方を選択できます。

またそれによって、子育て中や介護中の人、オフィスが遠方で通勤できない人など、これまで働きたくても働けなかった人にも働くチャンスが生まれてきます。

2.プライベートの時間が増えることで、より豊かな人生を送れる

ワークライフバランスの取り組みによってプライベートの時間が増えると、人生がより豊かになります。

たとえば、子どもと過ごす時間を楽しんだり、趣味に熱中したり、自己啓発のために資格の勉強に励んだり……。
仕事とはまったく異なる分野の副業にチャレンジしてみる、ということもあるかもしれません。

プライベートの時間を楽しむ女性のイメージ

プライベートでさまざまな経験をすると、自分の視野が広がるので、仕事の質にも良い影響が出ます。

3.経済的に自立でき、自己実現につながる

ワークライフバランスに取り組んでいる企業を選べば、子育て中のママさんなども自分のスタイルにあわせて働けるようになり、経済的な自立を目指せます。

経済的に自立できれば、将来的な「自己実現」に向けての努力がしやすくなりますよ。

4.仕事へのモチベーションが向上し、キャリアアップにつながる

企業側のメリットでお伝えしたとおり、「ワークライフバランスがとれている」と感じている人は、男女問わず仕事への意欲も高いという調査結果が出ています。

では、仕事へのモチベーションが上がると、どんなメリットがあるのでしょうか。

たとえば、職場の人と活発にコミュニケーションをとるようになるので、人間関係が円滑に。
また、自分が選択した労働時間内で効率よく働くように意識したり、よりスキルアップを目指してプライベートでも勉強するようになるので、キャリアアップの可能性も高まります。
このように整理してみると、ワークライフバランスを実現するメリットは本当に多いことがわかりますね。
ワークライフバランスを実際に取り入れた企業事例や、個人がワークライフバランスを実現するアイデアは、以下の記事にまとめています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

>ワークライフバランスの事例やアイデアを今すぐ見る

まとめ

ワークライフバランスは雇う側、働く側の双方にとってメリットの大きい考え方。
企業がワークライフバランスの取り組みを推進するのはもちろん、働く人が自分自身でワークライフバランスを整える工夫をすることも大切です。

ワークライフバランスの概要をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてくださいね。

>ワークライフバランスの概要を知る

ワークライフバランスを意識して、よりゆたかな人生を送りましょう!