• 2020年7月6日
  • 2022年5月13日

どうしても新人に勉強してもらいたいときは…

 

勉強してもらいたいのに事前にしてこない新人看護師に、イライラした経験はありませんか?

新人に自ら学ぶ意欲を持ってほしい場合、絶対に外せない視点があります。今回は、「新人に勉強してもらいたいとき」に押さえておきたい重要なポイントについてご紹介します。

労力を減らす

結論からいうと、勉強の時間や量と看護師の質は比例しません。

勉強の悩みを相談する新人看護師は、これまでたくさんいました。話を聞いてみると、指導者・新人ともに勉強の時間や量に固執している部分があるように感じます。
そのため、レポートなど提出物の指示、勤務時間以外の自己学習、勉強会の強制参加などに価値を置きやすくなっているのが現実です。

しかし、人は強制的に何かを指示されると、モチベーションを維持することが困難になりやすい特性があります。そのため、新人に無理に行動を促すことは、逆に時間の無駄遣いや苦痛を生む危険性があることをしっかりと理解する必要があります。

看護師になりたての新人は、慣れない環境で非常に強いストレスにさらされている状態です。夜勤業務に入れば、心身ともにバランスが崩れやすくなります。
そのような状況でさらなるプレッシャーをかけると、ミスをしやすくなるのです。

勉強はあくまでも「目的」ではなく、質の良い看護を提供できる看護師に育てるためのひとつの「手段」にすぎません。
上質な看護を提供する土台は、看護師自身の心の安定があってこそです。心身ともに慢性疲労の状態で行う看護はやがて、自己犠牲につながり、組織を含めた全体のバランスを崩す要因となることを、指導者は心に留めておかなくてはなりません。
大切なのは、「いかに最低限の時間と労力で最大限のパフォーマンスをあげるか」ということです。それは必ずしも、自己学習・勉強会・レポート提出などのような「まとまった時間や形」には限らないことを、知っておくと良いでしょう。

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現場に活かせる学びを

新人に勉強をしてもらうなら、最低限の時間と労力でパフォーマンスを発揮してもらう前提である必要があります。そのためには、以下に該当するような学びを実践させましょう。

1.記憶に残る

2.すぐに現場で活用できる勉強を指示する

人の記憶は時間の経過とともに忘れていく性質があるため、思い出す頻度が少ない知識はすぐに忘れてしまいます。解剖生理の勉強を優先的に指示するより、実際の患者の症例をもとに、ほかの患者にもすぐに活かせるような知識の習得を促すことで、汎用性が高くなり応用もききやすくなります。

優先順位が低い例:疾患にまつわる解剖生理、症状がでるメカニズム

優先順位が高い例:出現頻度が高い症状についての観察項目・対応方法

短時間で効率的に勉強できるように、新人には「何をどこまで学習してもらいたいのか」を明確に指示すること。こうすることで勉強にも取り組みやすくなります。
また、勉強を促すためには、「自発性」や「やる気」を引き出す関わり方をする必要があります。新人からの相談で多いものは、「毎回、レポート提出を促され、疲れていてもやらなければならず、身体も心も休まらない」「頑張って提出したのに何もコメントがない」「ダメ出しをされた」という悩みです。
相手にとって勉強する喜びや楽しさが生まれるような工夫がなければ、モチベーションを持続させることは不可能です。相手の気持ちに立って承認することを忘れないようにしましょう。

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