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ワークライフバランスの意味とは? 最新の取り組み事例やメリット、実現アイデアを徹底解説

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ワークライフバランスの意味とは? 最新の取り組み事例やメリット、実現アイデアを徹底解説

「毎日残業ばかりで、プライベートでやりたいことができない!」
「仕事と家庭のバランスがとれない!」
「ワークライフバランスを実現するアイデアを知りたいな」

こんにちは、ナースぷらす編集部の清水です。

最近ニュースなどでよく聞く「ワークライフバランス」という言葉の意味をご存じでしょうか?

ワークライフバランスをカンタンに説明すると、仕事とプライベートをどちらも充実させて、相乗効果を生み出そう!という考え方のこと。

日夜一生懸命働くすべての人にとって、大事な考え方です。

実はナースぷらす編集部にも、仕事とプライベートのバランスについてのお悩み相談をいただくことがあります。
たとえば、急なシフト変更がよくあり、休日の予定が立てにくいなど……。

もちろん、急を要する場合のシフト変更はやむを得ませんが、看護師のみなさんだって休日のプライベートな時間は大切に使いたいですよね。

そこで、ぜひ意識してほしいのが、仕事とプライベートをどちらも重視する考え方=「ワークライフバランス」を実現すること、なのです。

ただし、実際にワークライフバランスを実現できている人は少ない状況です。
なぜなら「仕事で疲れてしまって、仕事以外のことができない」という人がたくさんいるんです!

「仕事のストレスを家族にぶつけてしまい、家族とぎくしゃくしてしまった」といった話を聞くことは多いですし、最近だと「リモートワークになったことで、仕事とプライベートの切り替えが曖昧になってしまっている」という悩みも……。

事実、内閣府が2019年に行った調査では、「仕事で疲れて、他にやりたいことができないことがよくある」に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた正社員の男性と女性は、なんと半数を超えました。

「仕事で疲れて、他にやりたいことができないことがよくある」のアンケート結果
(出典:内閣府『企業等における仕事と生活の調和に関する調査研究報告書(平成31年3月) 個人アンケート調査結果』

ナースぷらす編集部 困り顔

『ううう……。
多くの働く人が仕事に追われ、プライベートの充実が難しい様子が目に浮かびます……』

ちなみに、ワークライフバランスを取り入れるメリットは、働く人だけでなく雇用する側にもあります。

働く側は、ストレスが軽減することで、家族や大切な人と穏やかに過ごせる時間が増える。

雇用する側は、労働環境の改善によってストレスなく働いてもらえることで、業務効率化につながる――。

こんな具合に、お互いがWin-Winの関係になれるのです。

だからこそみなさんには、ワークライフバランスの正しい意味や取り入れ方を知っておいてほしい!

そこで、ナースぷらす編集部では、職種限らず、働くあらゆる人のために、ワークライフバランスの定義やメリットをわかりやすく解説するため、記事にまとめました。

記事では、「企業・組織で実際にどんな取り組みがされているのか」という事例や、働く人がワークライフバランスを実現するためのアイデアも紹介します!

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それでは、さっそくまいりましょう!

ワークライフバランスの定義

ワークライフバランスを日本語に訳すと「仕事と生活の調和」になります。

でも、このままだと、わかるようなわからないような、ふわっとした印象ですよね。

そこで、一般的には次のような定義が使われています。

●ワークライフバランスの定義

仕事とプライベートをどちらも充実させ、良い相乗効果を与え合う考え方・取り組み

つまり、「仕事がはかどればプライベートが充実し、プライベートが充実すれば仕事の成果も上がる」といった具合に、仕事とプライベートの「好循環」を生み出すことが、ワークライフバランスの本質なんです。

ワークライフバランスの好循環の図

たとえば、残業をしないで早く帰宅するようにしたら、家族との団らんの時間が増えて、心が穏やかになった。

それによって、仕事でのイライラが減り、うっかりミスをすることもなくなったし、仕事のスピードもぐんとアップした。

これはわかりやすいワークライフバランスの一例ですが、仕事の質を上げることで仕事が楽しくなり、その結果、仕事以外の時間も充実し始めたというワークライフバランスもあります。

ナースぷらす編集部 普通顔

『私の例をあげると、最近プライベートで読んだスポーツ選手の本に影響を受けて、会社の後輩への教え方を少し変えてみたんです。
そうしたら、後輩から「いつもわかりやすく教えてくれて、ありがとうございます」と感謝されるように!
後輩とスムーズにコミュニケーションできるようになってからは、仕事がもっと楽しくなりました。
さらに、本を読む楽しさにも目覚めて、休日はたくさん本を読むようになったんです。
これもワークライフバランスだと思っています!』

ワークライフバランスは、看護師だけでなく働く人みんなが大切にするべき考え方。
なのに、ワークライフバランスの意味を誤解してしまっている人が意外に多いんです。

たとえば、以下のような意味は誤解です。

●ワークライフバランスの意味を誤解している例

  • ・仕事の時間を削ってプライベートにあてること
  • ・仕事とプライベートをキッチリ分けること

なぜ、これらが誤解なのかというと、仕事とプライベートを「対立」させて、一方を充実させるには、もう一方を犠牲にしなければならないという考えになっているからです。
「対立させること」と「バランスをとること」はイコールではありません。

「プライベートを充実させるためには、仕事はほどほどにしなきゃいけない」というものではないんです。

先ほどもお伝えしたように、ワークライフバランスはプライベートや仕事に優先度をつける考え方ではなく、プライベートも仕事も、どちらも大切にして充実させるもの。

その正しい意味が理解できると、見えてくる景色も変わると思います。

ところで、ワークライフバランスは国にも注目されている考え方です。
内閣府は2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を制定し、ワークライフバランスが実現した社会を以下のように定義しました。

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会

(引用:内閣府 男女共同参画局『「仕事と生活の調和」推進サイト』仕事と生活の調和とは(定義)

この憲章は、老若男女問わず働く人全員を対象にしています。
「やりがいや充実感を感じながら働ける」って素敵ですね。

ではなぜ内閣府がこのような憲章を出したのかを、ワークライフバランスが生まれた歴史とともに、説明していきましょう。

ワークライフバランスの歴史

ワークライフバランスは、1980年代後半から1990年代にかけてアメリカで生まれました。
当時のアメリカでは、働く人たちの「仕事とプライベートのバランス」が問題視されていたんです。

以下に年表を用意しましたので、この年表を使いながら、アメリカでワークライフバランスが生まれた経緯について、詳しく解説していきます。

ワークライフバランスの歴史

●ワークライフバランスの考え方はアメリカで生まれた

ワークライフバランスが生まれたころのアメリカでは、女性の社会進出がはじまっていました。

これまで家庭にいた女性が積極的に社会に出るというのは、アメリカの歴史上とてもエポックメイキングな出来事。

そのことがきっかけとなって、家庭と仕事とのバランスをとることが社会全体に求められるようになりました。

とくに子育て中の女性が働きやすい環境を設けることは社会課題に。

そこで、1980年代後半に、一部の企業が優秀な女性を積極的に登用するため、「ワーク・ファミリー・バランス」という施策を導入し始めます。

この施策をカンタンに説明すると、たとえ子育て中であっても仕事と子育てが両立できるように支援しますよ、というもの。

その効果は抜群で、この施策を導入した企業には優秀な女性がどんどん入社し、業績は見事にアップ。
他の企業も積極的に女性支援をおこなうようになりました。

まさに「ワークライフバランス」のきっかけとなった施策といえますよね。

子育て中の女性

その後、1990年代になると、こうした施策は女性だけでなく働く人みんなを支援する「ワークライフバランス」に変化します。

仕事とプライベートの時間、どちらも大切にしよう、という考え方がアメリカ全土に広まったんです。

その背景にはアメリカの働き方事情がありました。
終身雇用ではないアメリカでは、転職をより有利に進めるために、常にスキルアップし続けるのが当たり前。

スキルアップするためにはプライベートな時間が必要ですよね。

自分を高めるためのプライベートな時間をしっかり確保するという意味で、ワークライフバランスの考え方は浸透していったのです。

企業にとっても、「従業員がスキルアップしてくれるおかげで企業力が高まる」「優秀な人材を確保できる」などメリットが多かったため、ワークライフバランスは一気に浸透していきました。

●日本では終身雇用の廃止や男女雇用機会均等法をきっかけに広がった

一方、日本でワークライフバランスが意識されるようになったのは、1990年代以降のこと。

この頃、バブル崩壊が起き、リストラや終身雇用の廃止など労働環境が悪化。
みんなが同じ価値観で働く時代が終わりを告げようとしていました。

また、それにともない、転職が当たり前になったり、フリーランスという選択肢が一般的になったりと働き方も多様になり、仕事だけでなくプライベートも大切にしたいという人が増えました。

ナースぷらす編集部 普通顔

『今だからこそ働き方は多様になり、積極的に転職できるようになりましたが、1990年代より前は転職するのって一大イベントだったんですよね。
そういえば、私の友人は最近「休日の登山の趣味を大切にしたい」という思いから、休日出勤が多かった会社から、土日祝日にしっかり休める会社に転職しました』

登山を楽しむ友人

また、1999年に改正された「男女雇用機会均等法」(採用や昇進における男女差別を禁止し、男女の格差を解消しようとする法律)も、ワークライフバランスの広がりを後押ししました。

少子高齢化が進む日本で優秀な労働力を確保するために、各企業はこの法律にのっとって、女性の支援策に取り組むようになったのです。

●政府もワークライフバランスを推進

2000年代に入ると、政府は少子高齢化対策として、子育て支援の強化に乗り出します。

そうした動きの一環として、2003年には「少子化社会対策基本法」や「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」が成立。

企業は出産・育児と仕事の両立を支援するよう義務づけられ、それによって、ワークライフバランスはさらに注目を集めるようになりました。

また、2007年には内閣府が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を制定。
国や企業、国民が一体となってワークライフバランスに取り組むこととなります。

ナースぷらす編集部 普通顔

『ワークライフバランスを「憲章」として定めたあたりに、国の本気度がひしひしと伝わってきますね!』

さらに2019年には、働く人それぞれが自分に合った働き方を選べる社会を目指した「働き方改革」が本格的にスタート。

2020年以降は、新型コロナウィルス感染症の流行で、従来の働き方を見つめ直す企業が一気に増え、世の中全体のワークライフバランス意識がぐんと高まっています。

テレワークをしている女性

以上のように、ワークライフバランスの歴史って、実はまだまだ新しいんです。
だからこそ、この記事を通じて、ワークライフバランスについて関心をもつ方が増えればなと思っています。

その上で多くの方に知っていただきたいのは、ワークライフバランスは「男女ともに適用される考え方」だということ。

もともと女性の育児支援として取り組まれることが多かったため、女性向けの考え方だと誤解している方も多いようですが、働く人みんなのための考え方なんです。

さて、ここまでワークライフバランスの歴史について解説してきました。

ここからは、より深いワークライフバランスの世界へあなたをお連れします。

まずは、「ワークライフバランスを実現するべき理由」について、さまざまな視点から解説していきましょう。

なぜ今、ワークライフバランスの実現が必要なのか?

突然の質問ですが、今、社会においてワークライフバランスが必要とされている理由をいくつ言えますか?

その理由は、仕事とプライベートの両方を充実したいという人が増えているからだけではありません。

政府が「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を制定した理由には、ワークライフバランスの浸透が日本社会を救う、という期待があるんです。

そう、ワークライフバランスは、個人や企業・組織はもちろん、社会全体のさまざまな課題を解決するカギとなる考え方。

「誰のどんな課題に対して、ワークライフバランスが必要とされているのか」について、内閣府の「なぜ今仕事と生活の調和なのか」のページから引用してみました。

社会全体の課題を解決するから

まず、ワークライフバランスは以下のような社会全体の課題を解決するといわれています。

  • ・労働力不足の深刻化
  • ・生産性の低下・活力の衰退
  • ・少子化の急速な進行
  • ・地域社会のつながりの希薄化

社会全体の課題は数多くありますが、ここでは「少子化の急速な進行」と「労働力不足の深刻化」を中心に説明していきます。

少子化が進んでいくと、労働人口が減り、国の力が弱まってしまいます。
そうした事態を改善するには、出生率を上げたり、労働人口を増やしたりする必要がありますが、そのカギを握っているのが、男性のさらなる家事・育児への参加なんです。

男性が家事・育児にかける時間が増えれば、その分、女性の負担が減り、労働人口の増加につながる

男性が家事・育児にかける時間が増えれば、その分、女性の負担が減りますよね。
すると、女性に時間のゆとりができ、産後も働き続けたり、子どもを産んだりする人が増えるので、労働人口が増える効果が期待できる……というわけです。

だとしたら、男性が家事・育児にさらに参加していくためにはどうすればいいのでしょうか?

そこで、ワークライフバランスがとれた働き方を推進していく必要がある、ということなんですね。

毎日残業ばかりだと、家事や育児をする時間がとれないですもんね……。

だからこそ、ワークライフバランスは、女性だけでなく男性にとっても大切な考え方なんです。

ただし、労働力不足は少子化だけではなく、高齢化によっても引き起こされます。

介護をする様子

2021年現在、団塊世代が70代後半を迎え、介護を必要とする人たちは今後ますます増えていくと推測されています。
すると、その子供たちは、働きながら親の介護をすることに……。

そこで起きている問題が、若い人たちが仕事と介護を両立できず、泣く泣く「介護離職」をしなければならないケースです。

介護離職する人を減らすためには、仕事と介護の両立が可能なワークライフバランスを実現する社会にシフトする必要があるんです。

企業・組織の「人材獲得競争」を解決するから

続けて、ワークライフバランスは企業・組織における「人材獲得競争」を解決するともいわれています。

現代社会では、少子高齢化が引き起こす労働力不足によって、企業や組織の人材獲得競争がとても激しくなっています。

だからこそ、優秀な人材がその企業・組織でずっと働き続けたいと思える存在になれるかどうかがカギです。

そのためには、自社で働く人のワークライフバランスに配慮し、社員一人ひとりが自分に合った働き方を選べるようにすることが重要。

とくに新型コロナウイルス感染症の拡大以降、働く人の仕事に対する意識が大きく変化しており、「仕事よりも生活を重視するように変化した」人が、実に50%にものぼっています。

『新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて「仕事と生活のどちらを重視したいか」という意識に変化はありましたが?」の回答
(出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』

働く人のこうした変化に寄り添い、勤務時間や場所を選べるようにするなど、多様な働き方を提供していくことは、経営戦略上欠かせなくなっているのです。

個人の課題を解決するから

そして、ワークライフバランスは個人の課題も解決します。
個人の課題には以下のようなものがあります。

  • ・仕事と家庭の両立が困難
  • ・自己啓発や地域活動への参加が困難
  • ・長時間労働が心身の健康に悪影響

人手不足による長時間労働や不安定な雇用形態など、過酷な状況のなかでがんばって働いている人は、決して少なくありません。

そうした状況では、プライベートが二の次になったり、体調を崩してしまったり、子育てや介護を優先して離職せざるを得なくなったりすることもあります。

ナースぷらす編集部 困り顔

『とくに看護師さんは出産や育児をきっかけに仕事を辞めてしまう人が多いんです。
仕事を続けたいのに続けられないのはツライですよね』

だからこそ、過酷な状況を改善し、働きたい人がプライベートも充実させながらイキイキと働き続けられるように、国や企業・組織をあげてワークライフバランスを推進する取り組みが急がれているのです。

もしあなたがワークライフバランスに悩んでいるのなら、ワークライフバランスの推進に積極的な職場に転職することで、働く環境がグッと良くなるかもしれません。

ナースぷらす編集部 普通顔

『私たち看護師が働く病院・クリニックでも、ワークライフバランスを大切にしてくれる職場が増えています。
マイナビ看護師を使えば、「夜勤なし」「土日・祝日休み」など条件に合わせた職場が探せるので、「こんな職場が近くにあったんだ!」という出会いがありますよ。
よかったら検索してみてくださいね』

マイナビ看護師で病院やクリニックを探してみる

ワークライフバランスは、社会、企業や組織、そしてあらゆる個人の課題を解決してくれる大切な考え方。

ワークライフバランスを意識して行動する方がもっと増えるよう、続いては、ワークライフバランスに取り組むメリットをさらに詳しく解説します!

ワークライフバランスに取り組むメリット

すでに紹介したとおり、ワークライフバランスへの取り組みは、企業や組織にとっても、働く人にとってもメリットが多いもの。

企業・組織の側からすると「導入コストがかかる割に、メリットが少ないのでは……」という懸念があるかもしれませんが、長期的に見ると業績にも良い影響があるのです。

というわけで、まずは企業・組織のメリットから見ていきましょう。

企業・組織のメリット

企業・組織がワークライフバランスに取り組む主なメリットは、以下の4つです。

  1. 1.働く人を大切にする企業としてのイメージが向上する
  2. 2.労働環境に魅力を感じた人材が集まり、定着しやすくなる
  3. 3.採用や育成にかかるコストを削減できる
  4. 4.社員のモチベーション向上によって労働生産性がアップする

それぞれ解説していきますね。

1.働く人を大切にする企業としてのイメージが向上する

ワークライフバランスに取り組むことで、以下のような企業イメージを育てることができます。

  • ・従業員を大切にする企業
  • ・離職が少なく、安定して働きやすい企業

社員が生き生きと働いている様子

さらに、「企業の社会的な責任(CSR)」に積極的な優良企業として、企業価値も向上し、そういったイメージは、長期的な視点で見ると自社の成長にも大きく貢献します。

2.労働環境に魅力を感じた人材が集まり、定着しやすくなる

ワークライフバランスを導入して「従業員を大切にする企業」というイメージが育つと、それに魅力を感じた優秀な人材が集まりやすくなります。

また、働く人がそれぞれの希望に応じて柔軟な働き方を選択できるので、離職率が減り、人が定着しやすくなるというメリットもあります。

3.採用や育成にかかるコストを削減できる

ワークライフバランスを導入して人材が定着すると、採用コストや育成コストが削減できます。

加えて、従業員一人ひとりの労働生産性もアップするので、残業の削減につながったり、時間外手当や通信費、水道光熱費などのコストが抑えられたりというメリットも期待できます。

4.社員のモチベーション向上によって労働生産性がアップする

ワークライフバランスを取り入れると、社員のモチベーションがアップすることがわかっています。

内閣府が2006年におこなった調査によると、「自分はワークライフバランスがとれている」と感じている人の方が、仕事への意欲が高いという結果が出ており、これは結婚しているかどうかや性別に関係なく、すべての人に共通していました。

『今の仕事に目的意識を持って積極的に取り組んでいる?」の回答(男性)

『今の仕事に目的意識を持って積極的に取り組んでいる?」の回答(女性)
(出典:内閣府 少子化と男女共同参画に関する専門調査会『両立支援・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進が企業等に与える影響に関する報告書概要』

社員のワークライフバランスが実現して仕事への意欲が増すと、労働生産性がアップしやすくなり、結果として企業・組織の業績にも良い影響をおよぼすというわけです。

ナースぷらす編集部 普通顔

『ワークライフバランスを実現すると、優秀な人材が定着するだけでなく、さまざまな点においてコストの削減につながります。
そうすると、新たな事業展開に挑戦できる余裕ができたり、従業員に還元できたりといった、さらなる好循環が生まれることに!』

続いては、個人にとってのワークライフバランスのメリットについて解説しましょう。

個人(働く人)のメリット

ワークライフバランスを意識すれば、個人(働く人)は以下のようなメリットを享受できます。

  1. 1.自分に合った働き方を選択できるように
  2. 2.プライベートの時間が増えることで、より豊かな人生を送れる
  3. 3.経済的に自立でき、自己実現につながる
  4. 4.仕事へのモチベーションが向上し、キャリアアップにつながる

それぞれ見ていきましょう。

1.自分に合った働き方を選択できる

ワークライフバランスに取り組んでいる企業や組織を選べば、時短勤務やテレワーク、副業など、自分自身の事情に合わせた柔軟な働き方を選択できます。

またそれによって、子育て中や介護中の人、オフィスが遠方で通勤できない人など、これまで働きたくても働けなかった人にも働くチャンスが生まれてきます。

2.プライベートの時間が増えることで、より豊かな人生を送れる

ワークライフバランスの取り組みによってプライベートの時間が増えると、人生がより豊かになります。

たとえば、子どもと過ごす時間を楽しんだり、趣味に熱中したり、自己啓発のために資格の勉強に励んだり……。
仕事とはまったく異なる分野の副業にチャレンジしてみる、ということもあるかもしれません。

副業に挑戦する女性

プライベートでさまざまな経験をすると、自分の視野が広がるので、仕事の質にも良い影響が出ます。

3.経済的に自立でき、自己実現につながる

ワークライフバランスに取り組んでいる企業を選べば、子育て中のママさんなども自分のスタイルにあわせて働けるようになり、経済的な自立を目指せます。

経済的に自立できれば、将来的な「自己実現」に向けての努力がしやすくなりますよ。

4.仕事へのモチベーションが向上し、キャリアアップにつながる

企業側のメリットでお伝えしたとおり、「ワークライフバランスがとれている」と感じている人は、男女問わず仕事への意欲も高いという調査結果が出ています。

では、仕事へのモチベーションが上がると、どんなメリットがあるのでしょうか。

たとえば、職場の人と活発にコミュニケーションをとるようになるので、人間関係が円滑になります。

また、自分が選択した労働時間内で効率よく働くように意識したり、よりスキルアップを目指してプライベートでも勉強するようになるので、キャリアアップの可能性も高まります。

このように整理してみると、ワークライフバランスを実現することでのメリットって本当に多いですよね。

では続いて、このワークライフバランスを具体的に実現するために、世の中の企業や組織ではどんな取り組みが進められているのかを取り上げていきます。

ワークライフバランスを推進するための取り組み

ワークライフバランスを具体的に実現するための取り組みには、以下のようなものがあります。

  1. 1.育児休業
  2. 2.短時間勤務制度
  3. 3.フレックスタイム制度
  4. 4.テレワーク(在宅勤務)
  5. 5.長時間労働の削減
  6. 6.人事評価の見直し
  7. 7.福利厚生サービスの充実・導入

難しそうな言葉が並んでいますが、それぞれの取り組みについてカンタンに説明していきますね。

1.育児休業

ワークライフバランスの取り組みとして多いのが、「育児休業」に関する施策。

ワークライフバランスを推進しようとしている企業は、たとえば、法定よりも育休期間を長くするといった施策をおこなっています。

また、最近は男性従業員に1カ月以上の育休取得を推進するなど、パパ向けの施策も増えてきました。

育児休暇中の女性

ただ、「メンバーが育休で抜けてしまうと、その分どこかにしわ寄せがいくのでは……」と考える方がいるかもしれません。

安心してください。
ワークライフバランスを推進する企業は、そのあたりにもきっちり配慮できています。

特定の人に仕事のしわ寄せがいかないよう全体の業務量をコントロールしたり、現場の意見をしっかり吸い上げるなど、不公平感が出ない仕組みを採り入れているんです。

ナースぷらす編集部 普通顔

『育休をとる人以外のワークライフバランスがおかしくなってしまうと、本末転倒ですよね。
そうならないために、各社はさまざまな方法で業務のバランスをとっています』

2.短時間勤務制度

育休とともに、ワークライフバランスを実現するための代表的な施策となっているのが「短時間勤務制度」。

これについては、育児や介護に関わる従業員を対象に、勤務時間を30分単位で短縮できるようにしているケースが目立ちます。

また、短時間勤務制度を取り入れている企業には、「週4で1日5時間働く」「週3で1日7時間働く」など、時間短縮のパターンを複数用意して、従業員が選択できるようにしているところも少なくありません。

3.フレックスタイム制度

「フレックスタイム制度」とは、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、始業や終業の時間を従業員が自由に決められる制度のことです。

たとえば、1カ月の総労働時間が160時間と定められている場合、1カ月に働く時間が合計160時間になれば、「今日は10時間働いたけれど、明日は5時間で切り上げよう」など、柔軟に勤務時間を変えられます。

また、フレックスタイム制度を導入する場合、1日のうちに必ず出勤していなければならない「コアタイム」を設けるケースが多いです。

フレックスタイム制の例

4.テレワーク(在宅勤務)

コロナ禍で急速に拡大した「テレワーク(在宅勤務)」もワークライフバランス施策のひとつです。

働く場所がオフィスに限定されないため、子育てや介護などさまざまな理由でオフィスに出社できなかった人が仕事とプライベートを両立しやすくなります。
なかには、通勤に費やしていた時間をスキルアップにあてられるようになったという人も。

ただし、「オンとオフの切り替えが難しく、長時間労働になりやすい」「コミュニケーション不足になりやすい」といった面もあるので、勤怠管理や従業員のメンタルケアなどの仕組みづくりが求められます。

5.長時間労働の削減

長時間労働の削減は、2019年から本格的にスタートした「働き方改革」の柱でもあり、企業がさまざまな取り組みをおこなっています。

以下は、長時間労働を削減する施策の一例です。

  1. 1.従業員のタスクを「見える化」し、ムダな工程をいち早く発見できるようにする
  2. 2.評価制度を見直し、限られた時間内で成果をあげる従業員の評価を高める
  3. 3.残業の事前申請を徹底する
  4. 4.マネジメント層に長時間労働のリスクを学んでもらい、マネジメント層の意識を変える

4つ目の「マネジメント層の意識を変えるってどういうこと?」と思う方もいるかもしれませんね。

この項目の背景にあるのは、上司の中には「残業時間が長い人ほど仕事を頑張っている」と感じている人が一定数いるという事実です。

残業時間が長いことと、仕事の質が高いことはイコールではありませんよね。
しかし世の中には、残業時間で仕事の頑張りを評価する人がまだまだいるようです。

『1日の労働時間別 部下が感じる、上司の「残業している人」へのイメージ』の回答
(出典:内閣府『仕事と生活の調和推進のための啓発のあり方に関する調査研究(平成27年3月)』

この事実を考えれば、多くの会社の上司が残業をよしとしなければ、社会全体の長時間労働は自ずと減っていくということ。

長時間労働しにくい仕組みを整えるのはもちろん、マネジメント層から「意識改革」するのが有効というわけです。

6.人事評価の見直し

人事評価の見直しは、育休などの休業制度や長時間労働の削減と関わりが深い取り組みです。

これまでは勤務年数や総労働時間を重視して人事評価する企業が大半でしたが、今は能力や時間あたりの生産性を重視する方向にシフトしつつあります。

『従業員規模別 成果や生産性を評価する仕組みの重視度』
(出典:内閣府『企業等における仕事と生活の調和に関する調査研究報告書(平成31年3月)』

育休復帰後や短時間勤務であっても、成果をあげた従業員はしっかりと評価する。
それによって、他の従業員の生産性を高めようという意識が広がっているのです。

7.福利厚生サービスの充実・導入

ワークライフバランスの取り組みとして、福利厚生サービスを手厚くするケースも多くみられます。

繰り返しになりますが、ワークライフバランスとは、仕事もプライベートも充実させて相互に良い影響をおよぼし合うこと。

直接的なスキルアップに関係なさそうな福利厚生サービスであっても、従業員がプライベートを充実させ、意欲をもって働く好循環につながります。

たとえば、こんな福利厚生サービスもあるんですよ。

  • ・レジャー施設やフィットネスジムの利用
  • ・書籍購入費の補助
  • ・資格取得支援
  • ・育児・介護費用の補助

看護師さんは知っておこう!病院・クリニックでの取り組み

ここまで、一般的な企業・組織のワークライフバランスへの取り組みを紹介してきました。

こういった取り組みは一般企業だけがおこなえるもので、病院・クリニックには関係ないのでは……と思う方もいるかもしれません。

ナースぷらす編集部 困り顔

『看護師さんは患者さんの近くにいてケアをする必要があるので、テレワーク勤務などは難しそうなイメージです……』

たしかにテレワークなどの取り組みは厳しいかもしれませんが、病院・クリニックでもさまざまな取り組みがされています。
たとえば、以下のような取り組みをおこなう職場が増えています。

  • ・勤務形態を選べる制度(時短勤務、フレックスタイム制度など)
  • ・休暇制度
  • ・復職支援制度
  • ・子育て支援(院内保育所、学童保育など)
  • ・経済的支援(保育費、介護サービス利用料の補助など)
  • ・夜勤交代制の改善

ここまでは、ワークライフバランスに関する主な取り組みについて取り上げてきました。
ここからは、実際にワークライフバランス施策に取り組み、高い成果を出している企業さんの事例を紹介します。

ワークライフバランスの企業事例

それでは、実際にワークライフバランス施策に取り組み、成果を上げた企業・組織の事例を紹介していきます。
企業3社と、1つの病院事例を取り上げますので、ぜひ参考にしてください。

企業の事例 3選

1.サイボウズ株式会社

『働く時間と場所が選べる制度で、離職率が28%から3%に減少!』

新型コロナウイルスの影響でテレワークが一般的になる前から、働く時間と場所を自由に選べる制度を導入していたのが「サイボウズ株式会社」。
男性の育休取得を推進するために、社長自らが3回の育休を取ったことでも有名です。

それでは、サイボウズ株式会社の取り組みを見ていきましょう。

【サイボウズ株式会社】

●取り組み

  • ・勤務時間と勤務場所をそれぞれ3パターンから選べる「選択型人事制度」の導入(※2018年に廃止し、現在は「働き方宣言制度」を運用)
  • ・最長6年間の育児・介護休暇制度
  • ・在宅勤務制度
  • ・子連れ出勤制度

●効果

  • ・2020年時点で離職率が3%前後と大幅に低下
  • ・出産や育児を理由とする退職がゼロ
  • ・取り組みをメディアに取り上げられたことで、女性の新卒応募が増加

●参考資料
内閣府 平成28年度「社内におけるワーク・ライフ・バランス推進のための職場マネジメント事例集」

サイボウズ株式会社では2007年からは「選択型人事制度」を導入し、勤務時間と勤務場所を以下の選択肢からそれぞれ選べるようにしました。

●勤務時間

  • ・時間に関係なく働く
  • ・少し残業して働く
  • ・定時・短時間で働く

●勤務場所

  • ・オフィス
  • ・自宅
  • ・オフィス以外の就業場所

その結果、子育て中の社員だけでなく、勉強したい社員や、ゆったりと働きたい社員が「定時・短時間で働く」を選択するなど、働き方が多様化したそうです。

テレワークをする男性

さらに、「最長6年間の育児・介護休暇制度」「子連れ出勤制度」などのユニークな制度も次々に導入。

一時期は28%と非常に高かった離職率が、3%前後にまで減少しました。

2021年現在は、「選択型人事制度」が「働き方宣言制度」に変更され、従業員一人ひとりが「自分の働き方」を自由に宣言、実行するスタイルに。
より多様性を大切にする企業として、ワークライフバランスに取り組んでいます。

2.株式会社お佛壇のやまき

『定時退社と有給取得を促進し、業績が40%アップ!』

次に紹介するのは、静岡県で仏壇や墓石の販売をしている「株式会社お佛壇のやまき」の事例です。

【株式会社お佛壇のやまき】

●きっかけ・課題
お客さまの気持ちに寄り添った接客を従業員に定着させたい

●取り組み

  • ・定時退社の徹底
  • ・年次有給休暇の消化を徹底し、消化率100%の従業員に対して休暇を10%上乗せするほか、金一封を付与
  • ・「ファミリー休暇制度」を導入し、休暇取得時に3万円を支給
  • ・従来の担当制から、一人の従業員が数種の業務をこなす多能職に変更

●効果

  • ・従業員満足度が向上し、離職率が低下
  • ・定時退社が徹底された
  • ・年休消化率98%を達成
  • ・業績が40%向上

●参考資料
内閣府 平成26年度「社内におけるワーク・ライフ・バランス浸透・定着に向けたポイント・好事例集」

この会社がワークライフバランスに取り組んだきっかけは、自社全体の接客レベルを上げるために、営業成績が良い一人の従業員の働き方に注目したことでした。

その従業員が、なぜお客さまの気持ちに寄り添った接客ができるのかを分析したところ、普段から残業せず、有給休暇も消化して、家族との時間を大切にしていることがわかったのです。

家族との時間を大切にする様子

そこで同社は、定時退社と年次有給休暇の消化を徹底。
年休を100%消化できた従業員に対し、休暇の上乗せや金一封の付与もおこないました。

また、一人が特定の業務を担当するのではなく、数種の業務をこなす多能職に変更するなど、休みやすい雰囲気づくりにも着手しました。

すると年休消化率が98%と高い数字になり、離職率が改善。
ワークライフバランスに取り組む前よりも、業績が40%もアップしたのです。

ちなみに、多能職になって各職種に新たな視点が加わったことも、業績アップを後押しする一因となっています。

3.株式会社オーシスマップ

『長時間労働が多い業界で残業を大幅カット! 育休後の復職率も100%』

続いての事例は、測量事業を展開している「株式会社オーシスマップ」。
従業員約70名ほどの中小企業です。

【株式会社オーシスマップ】

●きっかけ・課題
長時間労働が当たり前となり、従業員の健康状態が悪化

●取り組み

  • ・残業の申請制度の導入
  • ・管理職を除く従業員で「社員満足度向上ミーティング」を実施
  • ・従業員が毎月1回、自分でノー残業デーを決められる「家族の日」を導入

●効果

  • ・残業時間が大幅に削減
  • ・離職率の改善
  • ・産休・育休取得者の増加
  • ・育休後の復職率100%

●参考資料
内閣府 平成26年度「社内におけるワーク・ライフ・バランス浸透・定着に向けたポイント・好事例集」

測量業界は長時間労働が当たり前となっており、同社も同じ状況でした。
繁忙期には、体調を崩す従業員も出てしまっていたそうです。

この状況に危機感を覚えた同社は、残業の申請制度を導入。
社長自らが「定時退社を目指す会社」を公言し、社内の意識改革を進めました。

また、管理職以外の従業員がワークライフバランスについて話し合う「社員満足度向上ミーティング」を設け、そこでのアイデアも制度化しました。

従業員がワークライフバランスについて話し合う様子

こうした取り組みにより、同社は残業時間の大幅カットを達成。
産休・育休の取得者が増え、育休後の復職率は100%となっています。
また、男性の育休取得者も増えているそうですよ。

ナースぷらす編集部 普通顔

『ここまで企業の事例を見てきましたが、病院・クリニックの事例も1件紹介しますね!
一般的に、病院・クリニックは労働環境が厳しいと思われています。
だからこそ、最近はワークライフバランスに力を入れる病院・クリニックが増えているんです』

病院・クリニックの事例

医療法人 潤心会 熊本セントラル病院

『看護体制の見直しで所定外労働時間が年間52時間から31時間に減少!』

「医療法人 潤心会 熊本セントラル病院」は、2010年より本格的にワークライフバランスに取り組んでいます。

きっかけは、周辺の大規模病院が看護師の採用を増やしたことで、人材不足に陥ったことでした。

【医療法人 潤心会 熊本セントラル病院】

●きっかけ・課題

  • ・周辺の大規模病院が看護師採用を増やしたことによる人材不足
  • ・年休取得や所定外労働に関して職員が不満を抱えていた

●取り組み

  • ・管理職を対象に「労務管理勉強会」を実施
  • ・看護体制を1人体制から2人パートナー制に変更
  • ・公益社団法人日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」をもとに、独自のシフト作成基準を制定

●効果

  • ・年休取得率が50%から80%超に向上
  • ・所定外労働時間が年52時間から年31時間に減少
  • ・離職率が低下し、永年勤続者(15年、25年)が増加
  • ・リファラル採用数(職員の紹介数)の増加

●参考資料
内閣府 平成26年度「社内におけるワーク・ライフ・バランス浸透・定着に向けたポイント・好事例集」

職員にヒアリングをおこなったところ、想定以上に年休取得や所定外労働に関して不満を抱えていることが判明。

さらに、そうした現状を管理職が認識できていないことも明らかになりました。

そのため同院では、管理職を対象に「労務管理勉強会」を実施し、労務の基礎から業務効率化のノウハウまでの指導を徹底。

看護部においては、残業を減らすために、1人体制から「2人パートナー制」に変更しました。

この体制では、時差出勤で先に出勤した職員がデータ収集を担当、現場を2人で回るのが基本となっており、後から出勤した職員が事後処理をおこなって、次のシフトの職員に引き継ぎます。

2人パートナー制の解説

2人パートナー制を導入し、各担当者の業務時間を一部被らせるようにしたことで、時間がかかっていた「申し送り」(業務引継)がスムーズにできるようになったといいます。

また、こうした取り組みにより、2008年に50%だった年休取得率が2015年に80%超に向上。
年間の所定外労働時間が2009年の約52時間から2014年の約31時間に大幅に減少しました。

職員自身が働きやすい環境だと感じていることから、リファラル採用数(職員の紹介数)も増えています。

看護職員自身が働きやすさを感じている様子

ワークライフバランスの事例を知るにつれて、「こんな職場で働けたらな」「今の職場がもっと変わってくれたらいいのに」などと思うかもしれません。

でも、すぐに転職したり、今の会社の状況を変えたりするのは難しいもの。
そんな場合は、自分自身の仕事の進め方や考え方を変えてみるのはいかがでしょうか?

ほんの少しの工夫で、あなたの仕事以外の時間を増やすことができますよ!

ワークライフバランスを実現するためのアイデア

ワークライフバランスを実現するために、個人が今すぐにできるアイデアを紹介します。 そのアイデアとは、以下の4つです。

  1. 1.ワークとライフの自己評価
  2. 2.1日の計画と振り返りを共有
  3. 3.マルチ担当制
  4. 4.会議の効率化

これらのアイデアは、ワークライフバランスに関するコンサルティングをおこなっている小室淑恵さんの「6時に帰るチーム術」を参考にさせていただきました。

一人で実践できるものもあれば、チームで協力し合って進めるものもあるので、あなたの職場に合うものから取り入れてみてくださいね。

【ワークライフバランスを実現するアイデア】
1.ワークとライフの自己評価

まずは、個人でできるアイデアから紹介します。

それは、自分のワークとライフの状態をチェックすること。

それによって、ワークライフバランスをより意識できるようになり、行動にも移しやすくなるんです。

ワークとライフの状態をチェックするには、以下のことを紙に書き出してみてください。

【ワークのチェック】

1.生産性
自分がどのくらい生産性高く仕事ができているかを、5段階で評価する

2.成果
自分が出した成果を書く
売上や利益など数値で表せる成果と、数値で表せない成果に分けるようにする

3.直近の月間労働時間
残業や休日出勤を含む総労働時間を半年分くらい書く

4.1の回答理由や基準
生産性の5段階評価をつけた理由や基準を書く

5.理想と今後の行動
理想のワークの状況や、それを実現するための行動について書く

【ライフのチェック】

1.仕事以外の時間の充実度
仕事以外の時間の充実度を5段階で評価する

2.成果
直近1年で達成した「仕事以外の成果」を書く
(恋愛や結婚、趣味、勉強などジャンルは自由)

3.1日の過ごし方
平日と休日に、どのようなことに時間を使っているかを時系列で書く

4.1の回答理由
充実度の5段階評価をつけた理由や基準を書く

5.理想と今後の行動
仕事以外の時間を今後どうしていきたいか、それを実現するために何をすればいいのかを記載する

チェックシートも用意したので、ぜひ活用してくださいね。

チェックシートをダウンロードする

ナースぷらす編集部員の記入例も載せておくので、書き方の参考にしてもらえると嬉しいです。

(画像をクリックすると拡大できます)

ワークとライフのチェックシートサンプル

このチェックで大切なのは、ワークと一緒にライフを見つめ直すことです。

仕事の目標などは普段の業務でも立てたりしますが、プライベートをこんな風に客観視することはなかなかないですよね。

ライフとワークを比較することで、自分が望むワークライフバランスの状態や現状を確認できるのでオススメです!

では次に、チーム向けのアイデアを紹介します。

【ワークライフバランスを実現するアイデア】
2.1日の計画と振り返りの共有

チーム単位でおこなうアイデアとしてオススメの方法は、「1日の計画と振り返り」です。

まず、以下のポイントにしたがって、当日の仕事の計画を毎朝立て、その内容をメールやチャットツールでチーム全体に共有します。

  1. 1.15分単位で細かく設定する
  2. 2.業務と所要時間をセットで考える
  3. 3.就業時間内で終わるようにスケジュールを立てる
  4. 4.業務の優先順位を決めておく

マネージャーやリーダーは各メンバーが共有したスケジュールを確認し、必要に応じてスケジュールの立て直しを指示します。

そして、メンバーは退勤前に、朝立てた仕事の計画に以下の3点を追記して再共有しましょう。

  1. 1.業務の所要時間と実際にかかった時間の差異
  2. 2.反省点とよかった点
  3. 3.翌日のto do

このアイデアは新人教育に活用するなど、小さなチームでスタートしてもよいでしょう。
最初のうちは計画を立てるのに時間がかかるかもしれませんが、すぐに慣れてくるので安心してください。

計画と振り返りを繰り返していくうちに、仕事の優先順位のつけ方が身につくので、業務効率化が期待できますよ!

ナースぷらす編集部 普通顔

『私の職場では、メンバーごとにスケジュールだけを投稿するチャットをつくり、一人ひとりの動きを把握しやすくしています。
チャット名は「スケジュール_営業部_佐藤」などと統一すると、検索しやすいので便利です』

【ワークライフバランスを実現するアイデア】
3.マルチ担当制

チーム向けのアイデアとしては、「営業部の顧客のA社を社員2人で担当する」など、ひとつの業務に複数の担当者をつけるマルチ担当制もオススメです。

実践する際は、メイン担当とサブ担当を決めておくと良いでしょう。

業務のメイン担当とサブ担当

マルチ担当制にすることで、1人で仕事を担当すると起こりがちな「その人しか業務を把握しておらず、周りがフォローできない」という状態を避けられます。

また、お互いにフォローし合えるようになれば、仕事で行き詰まったときに相談もしやすいですしょう。

2人でアイデアを出し合うことで業務の質を上げ、効率化につなげられる可能性も高まります。

【ワークライフバランスを実現するアイデア】
4.会議の効率化

チームで動いている場合は、会議の効率化もぜひ検討したいアイデアです。

パーソル総合研究所によると、1週間の会議時間は、役職なしの従業員が3.1時間、係長級が6時間、部長級が8.6時間にもおよぶと推計されており、かなりの時間が会議に使われていることがわかっています。

社内会議・打ち合わせに費やす時間
(出典:パーソル総合研究所・中原淳(2017-8)『長時間労働に関する実態調査(第一回・第二回共通)』

そのため、会議の時間を効率化することは、業務時間の削減に大きな効果を発揮するでしょう。

会議を効率化する際は、以下の2つのポイントを押さえるようにしてください。

  • ・会議の参加人数、時間は必要最小限にする
  • ・必ず議事録をとる

●会議の参加人数、時間は必要最小限にする

会議は「意思決定」や「問題解決」のための話し合いだけに絞るのがポイントです。
「情報共有」はメールやチャットでおこなうなどの工夫をおこない、時間を最小限に抑えましょう。

また、会議の議論に参加するべき人と、内容を共有すればいい人を区別し、最少人数で会議をおこなうことも大事です。

●必ず議事録をとる

会議に参加していないメンバーへの情報共有や、次回の会議の準備をスムーズに進めるために、必ず議事録を取ってください。

その際、結果だけでなく、議論の内容や発言などについても記録しておくとよいでしょう。
また、会議だけでなく、ちょっとした打ち合わせや話し合いの場でも記録を残しておくと、チームや部署での情報共有がスムーズになります。

ナースぷらす編集部 普通顔

『私の職場では「XMind」というマインドマップツールを使って議事録をとっています。 トピックを自由に並び替えて情報を整理しやすいんです!』

あなたの仕事にも生かせそうなアイデアは見つかりましたか?
「6時に帰るチーム術」では他にもたくさんのアイデアが紹介されているので、もし良かったら参考にしてみてくださいね。

最後に、ワークライフバランスに次ぐ新しい考え方として注目を集めている「ワークライフインテグレーション」と「ワークライフマネジメント」についても解説します。

「ワークライフインテグレーション」と「ワークライフマネジメント」という新しい考え方

ワークライフバランスとよく似た言葉に「ワークライフインテグレーション」「ワークライフマネジメント」があります。

これらの言葉は、ワークライフバランスから進化した考え方ですが、意味はそれぞれに違います。

ということで、「ワークライフインテグレーション」と「ワークライフマネジメント」の意味について、カンタンに解説しておきましょう。

ワークライフインテグレーション

ワークライフインテグレーションとは、仕事とプライベートを統合(インテグレーション)し、生活の質を向上させようとする考え方を指します。

もう少しかみ砕くと、「仕事もプライベートも人生において大切だから、それらを線引きせずに総合的に充実させましょう」という意味で、仕事とプライベートをきっちり分けることだと誤解されがちなワークライフバランスに代わる概念として、2000年代後半から注目を集めています。

ワークライフマネジメント

ワークライフマネジメントとは、仕事と生活の両方の充実を自ら積極的にマネジメントし、相乗効果を発揮する考え方のことです。

仕事と生活の両方の充実を自ら積極的にマネジメントし、相乗効果を発揮するワークライフマネジメントのイメージ

これまでワークライフバランスは「企業から従業員に対しておこなう施策」だと、働く側は受け身的に捉えがちでした。

しかし、そんな状況を改善するために、株式会社ベネッセコーポレーションが働く人の主体性に重きを置く「ワークライフマネジメント」を提唱。

その考え方が多くの企業に受け入れられ、今ではワークライフバランスに代わる言葉として使われるようになっています。

まとめ

繰り返しになりますが、ワークライフバランスはプライベートのために仕事の優先度を下げる考え方ではなく、どちらも大切にして充実させるもの。

こんな風に言葉にするのはカンタンですが、実際に自分のワークライフバランスを考えるとなると難しいもの。

働きやすい職場には「残業が少ない」「有休を取りやすい」などさまざまなメリットがあるとわかっていても、みんな「本当に自分にとって働きやすいのはどんな環境?」「転職したほうがいいのかな?」と悩むんです。

そんなときは誰かに話してみると、自分が大切にしたい点をあらためて見つめ直せるかもしれません。

マイナビ看護師なら、看護師専任のプロのアドバイザーがあなたの今の悩みを伺い、ワークライフバランスを実現するための方法を一緒に考えます。

ご相談は電話やメールなどご希望の方法でできるので、もしあなたが看護師さんなら以下のリンクからお気軽にお申し込みください。

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今回の記事を制作するにあたって、以下のサイトや書籍を参考にしました。

●参考サイト
・内閣府 男女共同参画局 『「仕事と生活の調和」推進サイト』

●参考書籍
・小室 淑恵『改訂版 ワークライフバランス -考え方と導入法-』日本能率協会マネジメントセンター
・小室 淑恵『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社 』毎日新聞出版
・小室 淑恵『6時に帰る チーム術』日本能率協会マネジメントセンター
・岡崎 淳一『ビジュアル 働き方改革 (日経文庫) 』日本経済新聞出版
・リンダ・グラットン『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』東洋経済新報社


ナースぷらす編集部

プロフィール

ナースぷらす編集部

医療・看護の業界最新ニュースや看護師さん向けのイベントレポート記事の発信をしています!
「ナースぷらす」読者の皆さんのロールモデルとなるようなキラキラ輝く看護師さん・助産師さん・保健師さんや、著名人、有識者の方々への取材も実施。 情報発信を通して、看護師の皆さんの仕事や生活、人間関係、人生に寄り添えるメディアを目指しています。

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家庭でも仕事でも輝きたい!キャリアの話

  1. 看護師は副業をしても良いの? おすすめの仕事や注意点を解説
  2. 看護師の一年目がつらい… 辞めたいと感じる理由や給料を紹介
  3. 看護師は夜勤明けに何をしてる? おすすめの過ごし方を紹介
  4. BOCプロバイダーで口腔ケアを極めよう!
  5. 病院から「訪看」に出向?! 未知の世界で得たものは……
  6. 男性看護師の割合や平均年収は? キャリアアップの方法も紹介!
  7. 看護師になるには? 主婦や社会人でもなれる? 資格取得の方法や費用を解説
  8. ワークライフバランスの意味とは? 最新の取り組み事例やメリット、実現アイデアを徹底解説
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