• 2023年12月17日
  • 2023年12月18日

超簡単!基礎代謝を上げる方法|解剖学の専門家が食べ物&筋トレを伝授

 

「若い頃と比べて痩せにくくなってきたような気がする」「最近、風邪をひきやすくなった」「体が冷えやすい」——。みなさんのなかにも、こうした悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。もしかすると、その原因は「基礎代謝」の低下にあるかもしれませんよ。

今回は、知られているようで、あまり知られていない基礎代謝について解説します。基礎代謝とは何か、基礎代謝が下がる要因は何なのか、基礎代謝を上げるとどんなメリットがあるのかといった内容のほか、効率よく基礎代謝を上げる食事・運動についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも基礎代謝とは?

みなさんは基礎代謝という言葉をご存じですか?

人間はまったく動かない状態でも、呼吸をする、体温を維持する、臓器を動かすなどのために、エネルギーを消費します。そうした「人が生きていくための最低限の活動を維持するために必要なエネルギー」が基礎代謝です。

基礎代謝はさまざまな要因によって変化するほか、性別でも違いがあり、一般成人の場合は女性が約1,200キロカロリー、男性が約1,500キロカロリーだと言われています。

基礎代謝は痩せやすい体をつくるのに必要

痩せやすい体をつくるためには、基礎代謝を高めることが重要です。なぜなら、基礎代謝が上がれば、消費カロリーも上がるからです。

1日の消費カロリーは、「基礎代謝によって消費したカロリー」と、「実際に活動したカロリー」を合計して算出します。つまり、同じ活動量の人同士を比べた場合、基礎代謝が高い人のほうが消費カロリーは高くなるわけです。

ちなみに、1日の消費カロリーの60%は基礎代謝が占めています。ダイエットにおいては、運動をしてカロリーの消費量を増やしたり、食事制限をして摂取カロリーを減らしたりする努力も必要ですが、「基礎代謝を上げることで、効率よくダイエットができる」ということも、ぜひ覚えておいてください。

基礎代謝を上げるには筋肉をつけるべし!

呼吸をしたり、血液を流したりするだけで基礎代謝量は上がりますが、体のどの部分がいちばんエネルギーを多く消費していると思いますか?

正解は、エネルギー消費量が多い方から順に、肝臓、骨格筋、脳となります。そして、このなかで自分の努力によって、エネルギー消費量をコントロールできるのが骨格筋です。

骨格筋は基礎代謝の20%を占めており、筋肉量が増えると基礎代謝が上がります。また、筋トレをすることで血流もよくなり、その際の消費カロリーも上がるため、痩せやすくなります。

基礎代謝が下がる原因・要因

若い頃と同じ生活をしているはずなのに、体重が増加しているという人は、基礎代謝が下がっていることが原因かもしれません。ここでは、基礎代謝を下げてしまう要因をご紹介しますので、ご自身に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

加齢

基礎代謝のピークは10代の頃。年齢を重ねるにつれて、筋肉の量や内臓の活動量が低下するため、基礎代謝も低下します。

不規則な生活

無意識に行う心臓や消化の働きは、自律神経が調節しており、自律神経は基礎代謝と深く関わっています。

自律神経には、体が興奮しているときに活動する交感神経と、リラックスしているときに活動する副交感神経の2つがあります。乱れた生活を送っていると、自律神経の働きも乱れ、基礎代謝の低下につながってしまうので注意しましょう。

過度な食事制限

前述のように、基礎代謝を上げるには筋肉量を増やす必要があります。

ダイエットをするときに、「食べなければ痩せる」と考えて過度な食事制限をすると、基礎代謝が下がって、逆に太りやすい体質になってしまいます。なぜかと言うと、摂取カロリーを極端に減らすことで、筋肉をつくる栄養が少なくなり、結果として筋肉が減ってしまうからです。

ダイエットをする場合は、最低でも基礎代謝分のエネルギーを摂取するようにしましょう。

基礎代謝が高いと得られるメリット

基礎代謝が高くなると、多くのメリットを得ることができます。

ダイエット効果

基礎代謝が上がると、普段の生活でもエネルギーを消費しやすくなるため、効率よく痩せやすい体を手に入れることができます。基礎代謝が低い人と比べると、肥満になる傾向も低くなるため、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病の予防にもつながるでしょう。

美容効果

基礎代謝が上がると体温も高くなります。そして、体温が上がると新陳代謝が活発になり、老廃物の代謝が促されます。当然、肌のターンオーバーも促進されるため、美しい肌が保たれ、シミや傷の改善も早くなるでしょう。

健康効果

血流がよくなることで免疫機能が向上し、風邪をひきにくくなるなど、健康面にもメリットがあります。

基礎代謝を上げる方法(食事)

食事に気を使うだけでも、基礎代謝を上げて、健康的な体を目指すことができます。特に、以下の3つを意識しましょう。

水をたくさん飲む

水分補給は、基礎代謝を上げるのにとても重要です。水を飲んで血流がよくなると、細胞に栄養が届きやすくなり、代謝が活発になるからです。また、水を飲んで一時的に体温が下がると、体温を元に戻そうとする力が働くため、基礎代謝が上がります。

以下では、基礎代謝を上げるための水の飲み方を紹介します。

<水の飲み方>

一般的な生活をしている人であれば、約2リットルの水で十分ですが、体力を使う仕事をしている人の場合には、より多くの水分が必要です。飲むべき水の量は個人差があるので、ライフスタイルに合わせた水分補給を意識しましょう。

よくかんで食事をする

「かまずに食べると太る」という話を聞いたことはありませんか? なぜそう言われるかというと、食べ物をよくかまずに早食いすると、食事で消費されるカロリーが減るからです。

逆に、よくかんで食べる人は、かむことで体温や基礎代謝が上がります。さらに、エネルギー代謝が活発になるため、脂肪燃焼も促進されます。

1日に消費するエネルギーのなかには、食事や消化、吸収、代謝のために消費するエネルギーである「食事誘発性熱産生(DIT)」が含まれています。食事をしたあとに体が温かくなる感覚があると思いますが、これはDITによるものです。そして、1日の消費カロリーのうち、10%をこのDITが占めています。

DITを高めるのに有効なのが「よくかんで食べる」という方法です。よくかむことで、エネルギーが多く消費されて体温もアップするため、基礎代謝が上がるのです。

基礎代謝が上がる食材を選ぶ

基礎代謝を上げるには、以下のような食べ物を選択するのがおすすめです。

筋肉量を増やす食べ物

基礎代謝を上げるには、筋肉量を増やす必要があるため、筋肉の材料となるたんぱく質が豊富な食材を積極的に摂取しましょう。

以下に、たんぱく質が豊富な食材を挙げておきます。

●肉類

●魚介類

●卵類

●大豆製遺品

●乳製品

体温を上げる食べ物

体温が1度上がると、基礎代謝は10%近く上がると言われています。体温を高くしたいときにおすすめの栄養素と食材は、次のとおりです。

●たんぱく質:肉類、魚介類、卵類

●ビタミンB1:豚肉、レバー、うなぎ

●ビタミンE:ナッツ類、西洋かぼちゃ、ほうれん草

●鉄分:レバー、牛肉、カツオ、マグロ

血流をよくする食べ物

血流が改善し、細胞に栄養が行き届くようになると、基礎代謝の向上が期待できます。血流を改善させたいときにおすすめの栄養素と食材は、次のとおりです。

●クエン酸:酢、梅干し、かんきつ類

●EPA:サンマやイワシなどの青魚

基礎代謝を上げる方法(入浴と筋トレ)

基礎代謝を上げるには、入浴や筋トレも有効です。

入浴で汗をかく

入浴によって体を温めて、血流をよくすることも、基礎代謝の向上につながります。入浴で意識したいポイントは以下の4つです。

<入浴のポイント>

1.お風呂の温度は40〜41度にする

2.20分間以上温まる

3.入浴前後には水分をしっかりと補給する

4.入浴は就寝時間の1〜2時間前にすませる

「熱いお湯に浸かって、汗をかいたほうが痩せるのでは?」と考える方もいるかと思いますが、42度を超えるお湯に浸かると、体は交感神経が優位の状態になり、リラックス効果が得られません。そうすると、睡眠の質や自律神経のバランスが崩れ、基礎代謝が低下する可能性もあります。

たくさん汗をかこうと、無理に熱いお湯に浸かったりせず、リラックスしながら入浴しましょう。

おすすめの筋トレ「スクワット」

大きな筋肉を鍛えることで、効率的に基礎代謝を上げることができます。特に、下半身の大臀筋(お尻の筋肉)や大腿四頭筋(太ももの表の筋肉)、ハムストリング(太ももの裏の筋肉)は、全身の筋肉の50%を占めており、優先的に鍛えたい部位です。

スクワットをするときは「正しいフォーム」で行うことが重要で、フォームが間違っていると、鍛えたい部位に筋肉がつかない可能性もあります。

<スクワットの正しいやり方>

1.両足を肩幅に広げ、背筋を伸ばして立つ

2.両手は腰に置くか、前方に伸ばす

3.息を吸いながら5秒間かけて、太ももが床と平行になるまで下げていく

4.息を吐きながら、素早く1の姿勢にも戻る

5.まずは10回を1セットとして3セット行う

6.慣れてきたら1セットの回数を15回に増やす

*注意:20回以上に増やす必要はありません(20回以上できる方の場合、負荷が少なくて、基礎代謝アップにつながりにくいため)

7.15回を楽にできるようになったら、ダンベルやバーベルを使用して負荷をアップしましょう。

*注意:筋肉痛が出るほどの負荷なら、週に2〜3回を目安に行いましょう。楽にできている負荷なら、毎日でもOKです。

<ポイント>

3の動きのときに、猫背になって「骨盤が後傾」したり、反り腰になって「腰椎が前弯(前にそっている)」したりしないようにしましょう。

猫背で背中が丸くなり、骨盤が後傾してくると、大殿筋とハムストリングスの働きが低下してしまいます。スクワットを行う場合は、猫背と反り腰にならないように気をつけて、正しいフォームで行いましょう。

まとめ

今回の記事では、基礎代謝の基本的な概念や、基礎代謝を上げるための対策(食事や生活習慣、筋トレなど)について、具体的に解説しました。基礎代謝を上げることは、痩せやすくなるだけでなく、美しい肌や健康的な体づくりにもつながります。

とはいえ、基礎代謝を上げる対策をしたからといって、すぐに結果は出ません。今回紹介した方法のなかから、やりやすいものを選び、無理のない範囲で継続して取り組んでいきましょう。

<参考文献>
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html

著者プロフィール