• 2023年4月7日
  • 2023年5月1日

治験コーディネーターがきついと言われる理由|対処法ややりがいも

 

治験コーディネーターの仕事は、治験が円滑に進むように治験に協力してくれる患者さんをサポートしつつ、全体のスケジュールを調整することです。治験コーディネーターは治験の現場になくてはならない存在であり、新薬開発に携われる点や、さまざまな方と接しながら治験を進められる点にやりがいを感じる方も多い職業です。

しかし、治験コーディネーターの仕事は、人によっては人間関係や仕事内容などの面できついと感じることもあります。当記事では、治験コーディネーターの仕事にきつさを感じる理由や対処法について詳しく解説します。

治験コーディネーター(CRC)とは?

治験コーディネーターは、厚生労働省の職業情報提供サイト(愛称「job tag」)で次のように紹介されています。

治験が円滑に行われるよう準備、調整、運営の支援を行う。

治験とは医薬品等が人の体に有効で安全であることを立証し、承認申請するための臨床試験のことである。治験がスムーズに行われるよう、治験参加者をサポートしたり、関係者のスケジュールを調整したりする。CRC(Clinical Research Coordinator)とも呼ばれる。

(引用:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)「治験コーディネーター」

治験コーディネーターは、治験をスムーズに進めるために関係者との調整や治験に協力してくれる患者さんのサポートを行う仕事です。安全な医薬品等を開発・販売するにあたり、治験コーディネーターは必要不可欠な存在といえます。

転職して治験コーディネーターとして働きたいと考えている方のなかには、仕事の将来性が気になる方もいるでしょう。日本SMO協会が発表している「日本SMO協会データ2019」によると、治験コーディネーターの人数は2013年を皮切りに減少傾向にあることが分かります。
(出典:日本SMO協会「日本SMO協会データ2019」

しかし、治験コーディネーターが活躍する場である治験の計画届出件数は2017年以降増加しています。
(出典:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「治験計画届出件数の推移(薬効別分類)」

治験の増加と安全な医薬品の重要性から、今後も治験コーディネーターの需要は高まると予想されており、将来性のある職業だといえるでしょう。

■関連記事

治験コーディネーターとは? 資格・年収・向いている人を解説

治験コーディネーターの仕事がきついと感じる理由5つ

治験コーディネーターの仕事がきついと感じる理由5つ

治験コーディネーターの仕事内容は、治験を円滑に進めるために準備・調整・運営の支援を行うことです。治験コーディネーターは治験の現場に欠かせないものの、人によってはきついと感じることもあります。

以下では、治験コーディネーターの仕事がきついと感じられる理由を5つ解説します。

人間関係を築くのが難しい

治験コーディネーターは仕事をするうえで、医療機関の医師やスタッフ・新薬を開発する製薬会社・治験に協力してくれる患者さんなど、さまざまな方と関わりを持ちます。それぞれの立場によって治験に対するスタンスが異なるため、治験コーディネーターには相手に合わせた細やかな気遣いが求められます。時には治験担当の医師・製薬会社・患者さんとの3者間で板挟みになることもあり、仕事を進めるうえで人間関係の構築が難しいと感じることもあるでしょう。

特に医療機関の方々は、多忙な業務の合間を縫って治験に協力してくれる立場にあります。医療機関の協力があってこそ治験がスムーズに進むため、医療機関のスタッフには気持ちよく協力してもらえるように配慮することが大切です。

また、治験に協力してくれる患者さんが来院する際の対応も治験コーディネーターの仕事です。患者さんに寄り添いながらも、一方では医療機関・製薬会社との調整を行う必要があります。

書類作成などのデスクワークが多い

治験コーディネーターの仕事は、患者さんに渡す同意書・投薬や検査などの予定表・各種報告書といった、パソコンでの書類作成が大半を占めます。特に製薬会社に提出する報告書などは、製薬会社からの契約金額の入金につながる重要な書類です。治験コーディネーターにとって書類作成は細心の注意を払って行うべき業務といえます。

看護師などの医療の現場から治験コーディネーターに転職した場合、医療従事者のイメージからかけ離れた仕事内容にギャップを感じることも少なくありません。

プライベートの時間が取りにくい

治験コーディネーターの勤務時間は、治験のスケジュールによって異なります。治験のスケジュールを組む際は、治験担当の医師・患者さん・製薬会社の都合が優先されます。そのため、治験コーディネーターの仕事はスケジュールの融通が利かないことが多い傾向です。

また、担当する治験や施設の種類によっては、トラブル発生時に勤務時間外でも対応を求められるほか、残業や休日出勤が発生することもあるでしょう。治験コーディネーターとして働く方のなかには、急なスケジュール変更などにより「ワークライフバランスが崩れるのがつらい」と感じる方も見受けられます。

仕事内容に対して給料が安いと感じる

治験コーディネーターは、ほかの医療従事者と比べて、仕事内容に対して給料が見合わないと感じることがあります。

以下は、厚生労働省のデータに基づいて、治験コーディネーターとほかの医療従事者の平均年収を比較した表です。具体的な比較対象として、ここでは看護師・臨床検査技師・薬剤師を例に挙げています。

正社員
看護師 約499万円
臨床検査技師 約496万円
薬剤師 約581万円
治験コーディネーター 約423万円
※治験コーディネーターの年収は「その他の保健医療従事者」も含む
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

額面だけで比較すると、治験コーディネーターの平均年収は看護師・臨床検査技師・薬剤師よりも下回ります。特に前職が看護師・臨床検査技師・薬剤師などの場合は、前職との収入の差を感じやすくなるでしょう。

担当施設の移動が多くて疲れる

治験コーディネーターの職場は、自身が担当する治験施設です。一般的に、一人の治験コーディネーターが2〜3か所の施設を担当します。複数の現場を担当するため、仕事の時間を移動に割くケースが多く、実務が進まなくなることがストレスになることもあるでしょう。

また、午前と午後で施設間に距離がある別の施設で治験を行うケースでは、移動時間によって昼食の時間が取れないこともあります。

治験コーディネーターの仕事がきついと感じたときの対処法3つ

治験コーディネーターの仕事がきついと感じたときの対処法3つ

治験コーディネーターの仕事がきついと感じる状態を放置すると、心身に影響が出る可能性があるので注意が必要です。

以下では、治験コーディネーターの仕事がきついと感じた際の対処法を3つ解説します。

  • 友人や同僚に悩みを打ち明ける
    仕事がきついと感じた場合、一人で悩みを抱え込まないことが大切です。メンタルケアの専門家でなくとも、信頼のおける友人などに悩みを打ち明けるだけでストレス解消につながります。特に同僚は同じ悩みを抱えているケースがあるため、悩みの内容を理解してもらいやすいでしょう。

    また、同僚に相談すれば日頃の業務内容や今抱えている問題も共有でき、シフト調整などのフォロー体制が整えられることもあります。

  • 職場に改善を求める
    自分や現場の力だけでは解決しない問題の場合、上司や会社の上層部といった、現場全体を動かせる方に職場環境の改善を求めることも検討しましょう。

    特に、上司や会社に現場の実態が正しく伝わっていない場合や、配置転換などで解決できる問題であれば、相談することで状況が改善される可能性があります。

  • 職場を変える
    職場に改善を求めても解決しない場合や人間関係に悩む場合は、治験コーディネーターとして働く場所を変えてみるのも1つの方法です。特に看護師や薬剤師などの資格を持っている場合は、資格と経験を活かし、院内治験コーディネーターとして働く道もあります。

自分が置かれた立場によって対応を変える必要があるものの、上記のように対策を講じることはできます。治験コーディネーターとして働いた際にきついと感じた場合は、友人や同僚、上司に話してみましょう。

治験コーディネーターのやりがい

治験コーディネーターはきついことばかりではなく、ほかの職業にはないやりがいもある仕事です。

なかでも、新薬開発に携われる点は大きな魅力です。治験を通じて新薬を待つ多くの患者さんを助け、社会貢献ができるのは治験コーディネーターの仕事ならではのやりがいといえるでしょう。治験に携わった新薬が無事にロールアウトされると、それまでの苦労が報われます。

また、患者さんから薬が効いたことや感謝の言葉をもらえることもあり、数値では表せない成果を感じられるのも治験コーディネーターとしてのやりがいといえます。

まとめ

治験コーディネーターの仕事は、やりがいも大きい一方で、きついと感じる部分もいくつかあります。仕事がきついと感じた場合には、抱え込まずに友人や同僚、上司や会社の上層部に相談するのも1つの方法です。また、職場に改善を求めても状況がよくならない場合は、職場を変えることも検討しましょう。

「マイナビ看護師」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがマッチ度の高い求人をご紹介いたします。治験コーディネーターとして転職を考えている方や現職の待遇にお悩みの場合はぜひご相談ください。

※当記事は2023年2月時点の情報をもとに作成しています

■関連ページ
治験関連企業(CRA、CRCなど)の看護師求人・転職・募集おすすめ一覧 – マイナビ看護師・公式
治験業界とは?仕事内容・資格・給料など、ナースのための治験業界転職ナビ

著者プロフィール