• 2019年12月19日
  • 2021年11月16日

新卒でも挑戦可能!魅力いっぱい、訪問看護の世界

 

かつては「経験豊富なベテランの仕事」というイメージが強かった訪問看護ですが、近年では若いうちから挑戦するナースも増えてきました。「すべての人に家に帰る選択肢を」をモットーに事業を展開するウィル(WyL)訪問看護ステーションに新卒で入職し、2年目を迎える関口優樹さんに、訪問看護師としてのやりがいや難しさについて話を聞きました。

訪問看護師 新人・関口優樹さん看護師 東京医療保健大学卒業。在学中から医療系学生団体やNPOでの活動に携わり、地域医療の魅力に惹かれる。新卒で訪問看護の世界に飛び込むことを決意し、2018年にウィル訪問看護ステーションへ就職。

訪問看護師 プリセプター・藤井達也さん看護師 保健師 コミュニティナース 名古屋大学卒業。聖路加国際病院の救命救急センターで経験を積む傍ら、地域の健康づくりに興味を持ってコミュニティナース活動にも参画。その後、ウィル訪問看護ステーションのメンバーと出会い、転職を決意。

誰もがその人らしい生活を送るために

――関口さんが訪問看護に興味を持ったきっかけを教えてください。 私は大学生時代、「社会的マイノリティーの方々が持つ可能性に焦点を当てる」という理念で活動しているNPO法人でインターンしていました。そして、活動を通じて、障がいを抱えていたり、貧困だったりと難しい境遇にある方々と接するうちに、幸せとは画一的なものではなく、さまざまなかたちがあると気づかされました。

完治が難しいような病気や障がいがあったとしても、その人らしい生活を送ることはできるし、それをナースとして支えたい。そう思ったのが、訪問看護の世界に興味を引かれるようになったきっかけです。 ただ、新卒の私が本当にできる仕事なのか、不安も少なくありませんでした。なので、まず「全国新卒訪問看護師の会」が開催していたイベントに参加して、実際に新卒で訪問看護師になった方たちに相談させていただきました。

そこで在宅ならではの魅力やキャリアビジョンについて聞いたおかげで、「私もチャレンジしてみよう」という決意が固まったんです。 入職先として当事業所を選んだのも、そのイベントで出会った方の口コミがきっかけです。新卒の教育制度がしっかり整っていると聞き、さっそく5日間のインターンシップに参加してみました。理念に共感できたことや雰囲気の良さに魅かれたこともありますが、何より現場で患者さんと関わる先輩たちの姿を見るうちに「自分もここで働きたい!」と強く感じたのを覚えています。

安心感があったプリセプターシップ&病院研修

――新卒で入職してから、どのような教育や研修を受けましたか。 当事業所では、多くの病院と同じようにプリセプターシップ制による新人教育を行っています。

私の場合も、初めの3カ月間はプリセプターの先輩に同行訪問しながら基礎を学び、その後、状態が安定している患者さんを中心に、徐々に単独での訪問を始めていきました。訪問後に「振り返りシート」を記入しておくと、定期的にプリセプターからのフィードバックが受けられるので、「いつも成長を見守ってもらっている」という安心感があります。

また、日ごろから連携している東京都立墨東病院との間で、それぞれのナースが相互研修する取り組みも行っています。私たちは病院の充実した環境で手技の練習ができますし、病院のナースは訪問看護の現場を体験して学びを深められるので、お互いにとってメリットのある取り組みではないでしょうか。

在宅ならではの看護の魅力を味わおう

――訪問看護ならではのやりがいや難しさは、どのようなときに感じますか。 現在では、1日に4~5件、月に90件近くの訪問をしています。高齢の患者さんが中心ですが、半年ほど前からは精神疾患のある患者さんも担当するようになりました。特に印象に残っているのは、初めて看取りに関わったときのこと。

ご家族の不安や負担を和らげるように働きかけながら、「家族に見守られながら穏やかな最期を迎えたい」というご本人の希望を実現できたときの気持ちは忘れられません。 訪問看護が病院看護と大きく異なる点の1つは、「退院」という明確なゴールが存在しないこと。そのため、一人ひとりの患者さんと長く向き合っていくことになります。患者さんの生活の場に入らせていただきながら、ご家族の背景も踏まえた上でベストのケアを選択していく必要があります。

この部分が訪問看護の難しさであり、同時にやりがいでもあるのではないでしょうか。また、ケアマネージャーと一緒に担当者会議に参加するなど、他職種と関わる機会が多いことも特徴です。 今後は、プリセプターの藤井さんを目標に、「どうしたらこの人が幸せになれるだろう?」と常に考えられるような訪問看護師をめざしたいです。

手技のレベルを高めるだけでなく、医療や介護の制度について勉強したり、事業所内外で様々な人と連携したりと、成長のためにやるべきことは山積みだと思っています。 もし少しでも関心があるなら、みなさんも思い切って訪問看護の扉をたたいてほしいです。ただし、新卒や若手のナースであれば、しっかりと教育制度が整っている事業所かどうかをよく見極めることが大事。訪問看護ならではのおもしろさを、ぜひ多くのナースに味わってもらいたいと思っています。

関口さんのプリセプター・藤井達也さんからのメッセージ

訪問看護の世界に入ったばかりのナースは、「ひとりで患者さんの居宅を訪れる」ことにハードルを感じがちです。

そのため、最初のうちは同行訪問を重ねることが必要だし、独り立ちしてからもSOSをすぐに出せる体制を整えることが欠かせません。関口さんの場合も、急変の可能性が低い患者さんから単独での訪問をスタートし、「困ったことがあったらいつでも電話して」と伝えてきました。今では、苦手だった手技を積極的に学んだり、より良い看護計画を提案したりできるほど成長し、頼もしく思っています。

病院看護と訪問看護ではいろいろと異なる点もありますが、ナースとして患者さんのサポートをするという根底の部分で求められることは共通しています。病院でキャリアを積んだナースが一時的に訪問看護に取り組めば、患者さんの退院後の生活を具体的にイメージできるようになって学ぶところは大きいですし、新卒で訪問看護師になってから病院へ転身する、というキャリアプランも十分に考えられると思います。この世界に興味を引かれたら、年齢や経験を理由にブレーキをかけず、ぜひ挑戦してほしいと思います。

取材・文:ナレッジリング 中澤仁美 撮影:和知

ウィル(WyL)訪問看護ステーション ライフスタイルに合わせた多様な働き方ができるステーション。同行訪問や引継ぎのみの教育だけでなく、オリジナルのe-larningとアクティブラーニング型の教育を取り入れ、新卒・新規入職者研修から管理者・看護専門職として自立するまでを支えるキャリア開発ラダーを提供します。各事業所では、転職希望者だけでなく、看護師や看護学生、他事業所の方々の見学も受け付けています。「訪問看護って?」「キャリアの相談をしたい」「経営について知りたい」そんなときは見学に参加してみてください。

所在地:東京都江戸川区中央4-11-8 アルカディア親水公園ビル 地下1階 URLhttps://www.wyl.co.jp/

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