• 2023年10月21日
  • 2023年10月17日

【例文あり】看護計画の書き方とは? 記載する各項目のポイントも解説

 

看護師は看護業務を行う中で、患者さん一人ひとりが抱える問題に応じて看護計画を立て、適切なケアを実施することが求められます。しかし、現在看護学校に通っている方や、看護師としての経験がまだ浅い方には、看護計画をうまく書けず、悩みを抱える場合があるでしょう。

この記事では、看護計画の項目の種類や、各項目を書くときのポイントを、例文付きで解説します。看護計画の書き方に悩んでいる看護師さんは、ぜひこの記事を参考にしてください。

看護計画とは

看護計画とは、看護の対象となる人が抱えている問題を解決するために、個別の看護目標を達成するプランを記載したものです。

看護計画は基本的に、観察計画(O-P)、援助計画(C-P)、教育計画(E-P)に分けて記載されます。あらかじめ評価日を設け、看護目標の到達度や計画内容を検討し、必要があれば修正を行うのが看護計画の望ましい進め方です。

看護計画は看護過程の1要素

看護計画は看護過程のステップの1つです。看護過程とは看護師が看護業務を行うプロセスであり、看護の対象となる人に個別ケアを行うための論理的な問題解決方法です。患者さん一人ひとりに質の高い看護を提供できるよう、看護過程を展開する能力は看護師が獲得するべき能力の1つといえます。

看護過程はアセスメント・看護診断・看護計画・看護介入・看護評価の5つの要素から成り立っています。それぞれの要素の内容は以下の通りです。

アセスメント 患者さんの現状を把握するために情報を収集・整理・吟味し、判断する過程を指します。
看護診断 アセスメントの情報を基に、患者さんが治療・療養の際に抱える可能性が高い問題を抽出する段階です。
看護計画 看護診断の結果に対して、問題解決に向けた目標と観察計画(O-P)・援助計画(C-P)・教育計画(E-P)を考えます。
看護介入 看護計画で立案したケアを実施する段階です。
看護評価 ケアを行ったことで目標を達成できたか、できなかった場合はどのようなケアが必要かを考えます。

上記のプロセスは一度実践すれば完了というわけではありません。ケアを実施しながら、患者さんの状態のアセスメントや看護計画立案などを繰り返し行うことが大切です。

看護過程とは|5つの要素と展開の手順・書き方を分かりやすく解説

看護計画に記載する項目の種類と書き方のポイント

看護計画に記載する項目の種類と書き方のポイント

看護計画に記載する内容は、患者さんの抱える問題をどのようにすれば解決できるかを考え、以下の5種類の項目に分けて落とし込んだものです。

  • 看護診断(看護問題)
  • 看護目標
  • 観察計画(O-P)
  • 援助計画(T-P)
  • 教育計画(E-P)

看護計画に記載する各項目について、詳細や書き方のポイントを解説するため、参考にしてください。

看護診断(看護問題)

看護診断(看護問題)は看護計画の前段階であり、患者さんの情報をアセスメントし、看護を行うことで解決すべき問題を明確化します。また、看護師が責任をもって患者さんにケアを行い、結果を出すための根拠になるものといえます。

たとえば、患者さんの食欲がない場合は「食欲不振」のように書き表すのが適切です。ただし、看護学実習では「食事量が少ないままである」のように看護学生自身の言葉で書くケースもあります。看護診断の書き方は病院や学校の方針に従うとよいでしょう。

看護目標

看護目標は、看護計画の最初のステップです。看護計画の実施により期待される結果のことであり、ケアを実施した患者さんにどうなってほしいかを決めるものともいえます。

看護目標には、長期目標と短期目標があります。長期目標は最終的に達成されるべき目標であり、短期目標は長期目標達成までに起こる問題それぞれに対する目標です。ケアの実施によって複数の短期目標を達成していき、最終的に長期目標をクリアすることが理想的な看護目標の形となっています。

看護目標設定は、実現可能な範囲で行うのが大切です。また、看護目標は看護師が独自の考えを表現するものではなく、患者さん自身がどうなりたいかという希望が重要になります。患者さんや家族とのコミュニケーションのなかで必ず患者さん自身の希望を確認し、一緒に看護目標を考えるようにしましょう。

看護目標は患者さん自身がどうなりたいかが反映されるべき項目のため、主語は看護師ではなく、患者さんや家族にして書くのが適切です。

観察計画(O-P)

観察計画(O-P)とは、看護師の目や耳、鼻、指などで確認できる患者さんの情報を記述するステップです。たとえば、以下のような情報がO-Pにあたります。

  • バイタルサイン
  • 血液検査のデータ
  • 呼吸状態、呼吸音
  • 水分出納管理
  • 皮膚や爪の状態
  • 下痢・嘔吐の有無
  • 排泄物の色・性状
  • 夜間の睡眠状態
  • 倦怠感や脱力感の有無

O-Pでは、上記のような問題点に対して観察したこと、および継続して観察が必要であることを記載します。

援助計画(T-P)

援助計画(T-P)とは、患者さんの看護問題を解決するために必要な、看護師が実施すべき看護ケアのことです。援助計画は一般的にT-P(Treatment Plan)と表記されますが、別名のC-P(ケア計画・Care Plan)が用いられる場合もあります。

援助計画(T-P)は具体的には以下のようなものです。

  • 排泄介助
  • 食事介助
  • 清拭
  • 車いすへの移乗
  • 食事内容の調整
  • 輸液管理
  • 体位変換
  • バイタルサイン測定

たとえば患者さんが自身で清潔ケアを実施できない状態の場合、清拭やベッド上での洗髪などがT-Pの項目になります。

教育計画(E-P)

教育計画(E-P)は、看護目標を達成するために、患者さんが自分の健康状態を認識できるよう行う指導や教育について記す項目です。たとえば、以下のようなものがE-Pにあたります。

  • 病態の説明
  • 退院後の生活に関する指導
  • インスリン自己注射の必要性の説明
  • 予防行動の重要性の説明
  • 家族指導

患者さん一人ひとりに応じた上記のような内容をE-Pで決定した後、患者さんに口頭で説明します。患者さんの認知機能や意識状態が低下している場合は、代わりに家族への説明が必要です。

看護計画の例文

看護計画の例文

がん性疼痛の患者さんに対する看護計画の記載例を紹介します。

看護診断 がん性疼痛
看護目標

短期目標:

  • 痛みによって夜間の睡眠が阻害されない
  • 痛みが緩和する
  • 痛みの強弱によらずトイレまで行ける

長期目標:

  • 3月に花見をする
  • 1日1回散歩をする
  • 〇月に、〇〇へ旅行に行く
O-P(観察計画)
  • バイタルサイン
  • 血液検査、画像検査
  • 表情
  • 痛みに関する発言、行動
  • 痛みの部位、性状
  • 痛みの持続時間
  • 安静時および体動時の痛みの程度
  • 食欲の有無
  • 悪心・嘔吐・便秘などの有無
  • 睡眠状態
  • 鎮痛薬の効果
  • 使用薬剤の副作用の有無や発生回数
  • 日常生活への悪影響の有無
  • 家族との関係
T-P(援助計画)
  • 安楽な体位をとる
  • 医師の指示に従い薬剤管理を行う
  • 患者さんに鎮痛薬の使用についての思いを確認する
  • 食事形態を工夫する
  • 排便コントロールを行う
  • 患者さんの話を傾聴し、共感的態度で接する
  • タッチングやマッサージを実施する
  • 気分転換を行う
  • 趣味が楽しめる環境に調整する
  • 家族への言葉かけを行う
E-P(教育計画)
  • 痛みを我慢せず看護師に伝えるように説明する
  • 麻薬製剤について、薬剤師から正しい知識を伝える
  • 疑問・不安があれば看護師に相談するよう指導する
  • 病状などの情報を患者さん・家族と共有し、医師や看護師との間に認識のずれがないようにする

看護診断ががん性疼痛の場合、痛みをコントロールし、患者さんのQOLを向上させることが看護目標となります。そして、看護目標を達成するために適切なO-P・T-P・E-Pを決めるのが大切です。

ただし、上記で紹介した看護計画はあくまでも例文になります。例文と同じ看護問題を抱える患者さんだったとしても、必ず患者さん一人ひとりに合わせた看護計画作成を行ってください。

まとめ

看護計画とは、看護の対象となる患者さんが抱えている問題を解決するために、個別の目標を立て、目標を達成する計画を作ることです。看護計画は看護過程の1ステップであり、患者さんへの看護診断の結果から看護計画を立て、ケアを実施する看護介入へ移ります。看護計画では、診断内容から長期目標と短期目標を立て、各目標を達成できるようO-P・T-P・E-Pの3つに分けて計画を作ります。患者さんやその家族の視点から、患者さんがどうなりたいのかという目標を立て、それに基づいた看護計画を作るのが重要です。

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※当記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています

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