• 2023年7月24日
  • 2023年7月24日

感染管理認定看護師とは? 役割・ 活動内容や受験資格を紹介

 

感染対策の専門家としての地位を確立し、キャリアを飛躍させたい方にとって、感染管理認定看護師資格は欠かせません。感染管理認定看護師の資格を取得することで携われる仕事が大きく変わります。

当記事では、感染管理認定看護師の概要・役割から活動内容、取得方法までを詳しく解説します。専門知識や実務経験を活かして患者さんの安全を守るという役割を担い、看護師としてのキャリアアップを図りたい方は、ぜひご一読ください。

感染管理認定看護師とは

感染管理認定看護師とは、熟練した看護技術および知識を認められた看護師だけがもつ資格です。過去には院内感染の発生率が高く、感染拡大が問題となっていた時代もあります。

感染管理認定看護師は、感染リスクを最小限に抑えるために「疫学」や「感染症学」など感染に関する知識や技術の包括的な学習が求められます。感染管理認定看護師は感染管理分野のスペシャリストでもあり、患者さんの安心につながる存在です。

特に病院感染を防ぎたい医療機関において、感染看護認定看護師の需要は高くなっています。

感染管理認定看護師の役割

感染管理認定看護師には、病院で勤務する人や患者さんを感染から守る役割があります。病気やウイルスについて学習し、病院の状況に適した感染管理の方法を考えるのが主な仕事です。

また、感染管理認定看護師は全スタッフに感染について指導し、患者さんを守れるようサポートもします。感染管理認定看護師は病院全体で「患者さんを院内感染から守る」という意識をもつために欠かせないポジションです。

感染管理認定看護師の活動内容

感染管理認定看護師の活動内容

感染管理認定看護師は専門看護師とは異なり、感染症の予防・対策の専門家です。病院を巡回して、換気や手洗いなどの予防策がしっかり実施されているかを確認します。

また、病院スタッフと勉強会の開催やデータ分析をして、感染防止対策を考案することも大切な仕事です。スタッフだけでなく患者さんの相談にも応じて、感染に関するアドバイスや支援をします。

以下では、感染管理認定看護師の活動内容を紹介します。

感染症対策

感染の原因として、血液や体液、粘膜、排泄物との接触が挙げられます。感染管理認定看護師は手術や治療の前後だけでなく、日常生活でも感染症の発症や広がりを防ぐことが役割です。感染症の発症や広がりなどを防ぐには、具体的な対策方法を計画して実践する必要があります。

院内ラウンドでは病棟の患者さんの情報や感染対策の状況を確認し、適切なアドバイスと対応策を講じます。スタッフに対する教育や感染管理指導も、院内感染のリスクを低減するために欠かせない活動です。

医療関連感染の監査

院内感染の発生状況に加えて、各種感染に対する包括的なサーベイランスも実施します。また「中心静脈カテーテル関連血液感染」「手術部位感染」「人工呼吸器関連」といった感染の種類に応じたデータ収集や分析も感染管理認定看護師の大切な仕事です。

得たデータをもとに現状把握や経過観察をして、効果的な感染対策を具体化します。多方面から包括的に考慮したうえで、院内感染の発生を防止するための取り組みを進めます。

職員への感染対策指導

医療従事者への予防接種や針刺しによる感染を防止するための活動も、感染管理認定看護師の仕事です。たとえば、リキャップ(注射器から一度キャップを外すこと)の禁止や注射針を捨てる専用容器の適切な配置を促します。安全な器材の活用を推進し、感染防止のために専門的な指導をすることも大切です。

感染予防対策は、患者さんにとっては命に関わる懸念事項です。院内感染は治療を遅らせ、病気を悪化させるだけでなく、重篤な合併症を引き起こすおそれがあります。

感染症に関する相談対応

病院の衛生管理は、職員が率先して取り組む必要があります。感染症のリスクを低減するために、問題解決や新たな知識の習得は欠かせません。職員全員が当事者意識をもてるよう、全体の士気を高める働きかけも重要な活動です。

感染管理認定看護師はファシリテーターとして、病院スタッフが環境改善に取り組むサポートをします。ファシリテーターとは、グループや組織が協力して共通の目的を理解し、目的達成に必要な計画立案を支援する人のことです。

感染管理認定看護師は感染症に関する質問や相談に応じ、院内と院外どちらのスタッフに対しても感染管理のプロとして対応します。

管理システムの構築・マニュアルの作成

院内の感染対策を全スタッフが確実に遂行するためには、感染対策マニュアルの作成が欠かせません。感染状況の把握や感染防止対策の内容の見直しも随時行います。

また、通常時だけでなく、病気などが突然発生するアウトブレイクへの対応についても体制の整備が必要です。感染管理認定看護師は専門知識を駆使して、病院全体の管理システムの構築することも求められます。

このほか、感染管理認定看護師は継続的な改善や緊急時の迅速な判断力も重要になります。

感染管理認定看護師になるには?

感染管理認定看護師になるには?

感染管理認定看護師になるには、看護師免許取得のうえで経験や技術を身につけて受験資格を得る必要があります。

受験資格を満たした看護師は、日本看護協会が認める教育機関で半年ほど看護協会認定看護師教育課程を受けます。全過程を修了後、認定審査(筆記試験)に合格すると資格取得となります。
(出典:獨協医科大学「感染管理認定看護師教育課程」

感染管理認定看護師認定者になるために必要な受験資格と2つのカリキュラムについて、以下で詳しく解説します。

受験資格

感染管理認定看護師になるには、まず下記の受験資格を満たす必要があります。

  • 日本の看護師免許をもっている
  • 看護師資格を取得してから、通算5年以上の実務研修を行っている
  • 感染管理に関わる活動実績が通算3年以上ある
  • 感染予防や管理において、自身が実際に改善したケア実績が1つ以上ある
  • 医療関連の感染サーベイランスの一連の流れを理解している
  • 現在、医療施設で専任または兼任として感染管理の活動に関わっている

(出典:獨協医科大学「感染管理認定看護師教育課程」

5年以上の実務経験のうち、3年は特定の分野での経験が必要です。

出願の際は、実務研修報告書や勤務証明書の書類提出が求められます。細かい条件は個人によって異なるので、必ず自身で確認しましょう。

カリキュラム

日本看護協会は、認定看護師のレベルが一定の水準で保てるように教育機関を認定しています。カリキュラムはA過程とB過程の2種類があり、いずれも原則5年ごとに医療の進歩や変化に合わせて内容が改定されます。

A課程は、2020年までに資格取得した看護職が対象です。A課程修了者は、従来の日本看護協会認定の看護師として活動できます。認定審査を受けるには、まず6か月~1年のうち合計600時間以上の授業を受講する必要があります。

A課程は2026年度に終了の予定ですが、5年ごとの更新審査は継続可能です。

B課程は、2020年に加わった特定行為実践研修が含まれるカリキュラムです。研修期間は1年以内で、約800時間の座学と特定行為研修の実習を受けます。B課程を修了すると「栄養や水分の管理に関わる薬の投与」と「感染に関わる薬の投与」が可能になります。

A過程とB過程には共通するカリキュラムもありますが、同じ教育機関では学べません。資格認定後に登録される名簿が違い、B過程を修了した看護師は「特定認定看護師」と名乗れます。
(出典:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(A課程認定看護師教育機関)」
(出典:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程認定看護師教育機関)」

まとめ

感染管理認定看護師とは、感染に関する専門的な知識と技術をもつ看護師のことです。患者さんや全スタッフの安全を守るという重要な役割があります。感染症対策のほか、医療関連感染の監査や管理システムの構築・マニュアルの作成、相談対応などが主な仕事です。

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※当記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています

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