• 2022年3月15日
  • 2023年9月20日

看護師のクリニカルラダーとは? 導入の目的やキャリアラダーの違い

 

医療機関で働く看護師の中には、「クリニカルラダー」による評価を受けている方も多いのではないでしょうか。一方で、「クリニカルラダー」という言葉を聞いたことはあっても、詳細は知らないという看護師もいるでしょう。クリニカルラダーとは、看護師の評価システムを構築してキャリアを向上させる仕組みのことです。

この記事では、クリニカルラダーの概要や目的、評価方法を解説します。また、クリニカルラダーのメリットと課題についても紹介しています。看護学生さんや新人看護師さんをはじめ、看護師教育に携わる方や看護管理者の方も、ぜひ参考にしてください。

看護師のクリニカルラダーとは?

クリニカルラダーとは、看護師の評価システムを構築して看護実践能力を向上させる仕組みのことです。2016年5月に日本看護協会によって発表されました。

「ラダー」は「はしご」を意味しており、看護師がより上級のポジションに到達するための目標を段階的に示す様子になぞらえて、クリニカルラダーと名付けられました。

なお、クリニカルラダーの制度は看護師のみならず助産師にも導入されています。助産師の場合、クリニカルラダーの段階は「CLoCMiP」として示されます。

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看護師の実践能力を5つのレベルで評価する

「看護実践能力習熟段階」では、以下のように「新人」からマネージャークラス「Ⅳ」までの5段階で、各ラダー(習熟段階)が示されています。

新人 必要に応じ助言を得て実践する
I 標準的な実践を自立して行う
II 個別の状況に応じた判断と実践を行う
III 幅広い視野で予測的に判断し実践を行い、ロールモデルとなる
IV より複雑な状況において創造的な実践を行い、組織や分野を超えて参画する
(出典:日本看護協会「看護師のまなびサポートブック内表[看護実践能力/看護実践能力に基づく学習項目/看護実践能力習熟段階]」

「看護実践能力」とは、日本看護協会が定めた、看護師が看護実践を行うために必要な能力のことです。具体的には「専門的・倫理的・法的な実践能力」「臨床実践能力」「リーダーシップとマネジメント能力」「専門性の開発能力」の4つの能力で構成されています。

看護実践能力は、従来の「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」で示されていた「看護の核となる実践能力」を拡張したものです。看護師に求められる能力の全体像として新たに策定されました。

なお、各職場において、組織で求められている人物像に基づきラダーが決められていることもあります。そのため、自分の職場で求められているステップやキャリアパスも併せて確認するとよいでしょう。

クリニカルラダーの目的

看護師のクリニカルラダーは、以下の3点を目的に開発されました。

  • 看護実践の場や看護師の背景に関わらず、すべての看護師に共通する看護実践能力の指標の開発と支援
  • 看護実践能力の適切な評価による担保および保証
  • 患者や利用者等への安全で安心な看護ケアの提供

将来的には、「クリニカルラダーによる看護実践能力の担保および保証」「あらゆる場で働く看護師の能力評価への活用」「ラダーに応じた役割や適切な処遇への活用」に結びつくことを目的としています。

現時点で、すべての医療機関でクリニカルラダーの活用が義務付けられているわけではありません。

しかし、日本看護協会がクリニカルラダーの開発に積極的に取り組んでいることから、近年ではクリニカルラダーを導入・活用する医療機関が増加傾向にあります。
(参照元:日本看護協会「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」活用のための手引き

クリニカルラダーとキャリアラダーの違い

クリニカルラダーは前述の通り、看護師の段階的な能力を評価し、育成につなげるためのシステムです。一方、キャリアラダーはクリニカルラダーでの評価範囲(一般的かつ専門的な能力や実践レベル)だけでなく、管理的な能力の段階や専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了看護師としての段階を含む評価システムです。

分かりやすくいうと、キャリアラダーはキャリア開発の評価システム・プランであり、クリニカルラダーはさらに看護実践能力に特化した評価システムです。職場によっては、クリニカルラダーもキャリアラダーも同様の意味合いで使用されることがあります。

クリニカルラダーを構成する4項目

クリニカルラダーを構成する4項目

看護師のクリニカルラダーで示されていた「看護の核となる実践能力」は、現在では「看護実践能力」として拡張されています。

看護実践能力で定められている4つの能力について、詳しく解説します。

専門的・倫理的・法的な実践能力

専門的・倫理的・法的な実践能力は、「自らの判断や行動に責任を持ち、倫理的・法的規範に基づき看護を実践する能力」と定義されています。具体的には、以下の3つの要素から構成されています。

<専門的・倫理的・法的な実践能力の構成要素>

能力の構成要素 能力および構成要素の定義
アカウンタビリティ
(責務に基づく実践)
看護師としての責務と職業倫理に基づき、自らの判断や行為、行ったことの結果に責任を負い、自身の役割や能力に応じた看護実践を行う。
倫理的実践 看護師として倫理的に意思決定、行動し、人々の生命や権利、多様性、プライバシーなどを尊重し看護実践を行う。
法的実践 看護師として法令遵守が定められている行動は何かを認識し、法令やガイドライン、所属組織等の規範に基づき看護実践を行う。

以下は、各段階において求められる内容です。

<新人><Ⅰ>

アカウンタビリティ
(責務に基づく実践)
自身の役割や能力の範囲を認識し、自立して行動・説明し実践への責任を持つ
倫理的実践 倫理指針等と目の前の実践を紐づけて理解し、倫理的指針に基づき行動する
法的実践 法令に基づき取るべき行動・取ってはいけない行動を知り、法令を遵守し行動する

<Ⅱ>

アカウンタビリティ
(責務に基づく実践)
状況に応じ自ら判断して行動・説明し実践への責任を持つとともに、責任を果たす行動における自身の課題に気づき他者に共有する
倫理的実践 個別的な状況においても自身で判断し倫理的に行動するとともに、倫理的問題が生じている可能性に気づき他者に共有する
法的実践 個別的な状況においても法令を遵守し行動するとともに、法令に違反する可能性がある行動に気づき他者に共有する

<Ⅲ>

アカウンタビリティ
(責務に基づく実践)
責任を果たすことについて同僚や組織における課題やリスクに気づき、解決に向けて行動する
倫理的実践 顕在的・潜在的な倫理的問題について問題提起し、同僚に働きかけモデルを示す
法的実践 法令に違反するリスクがある同僚の行動や組織の状況に対し問題提起する

<Ⅳ>

アカウンタビリティ
(責務に基づく実践)
より複雑で関係者が多様な場面においても責任を果たし、組織や分野を超えて参画する
倫理的実践 より複雑かつ多重な顕在的・潜在的な倫理的問題について、解消のために組織や分野を超えて参画する
法的実践 より複雑な状況においても法令を遵守し、法令に違反するリスクがある行動や状況に対し組織を超えて参画する

新人段階では、自身の役割や能力の範囲を認識し、まずは適切な行動をすることが求められていることが分かります。
(出典:日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」

臨床実践能力

臨床実践能力は、「個別性に応じた適切な看護を実践し、状況に応じて判断し行動する能力」と定義されています。具体的には、以下の4つの要素から構成されています。

<臨床実践能力の構成要素>

能力の構成要素 能力および構成要素の定義
ニーズをとらえる力 体系的な情報収集とアセスメント(整理・分析・解釈・統合)を行い、看護問題の優先順位を判断し、記録共有する。
ケアする力 ケアの受け手とのパートナーシップのもと、それぞれの状況に合わせた看護計画を立案・実施・評価し、実施した看護へ の対応を行う。
意思決定を支える力 ケアの受け手や関係者との信頼関係と対話、正確かつ一貫した情報提供のもと、ケアの受け手がその人らしく生きるための意思決定を支援する。
協働する力 ケアの受け手や保健・医療・福祉および生活に関わる職種・組織と相互理解し、知識・技術を活かし合いながら、情報共有や相談・提案等の連携を図り看護を実践する。

<新人>

ニーズをとらえる力 助言を得てケアの受け手や状況(場)のニーズをとらえる
ケアする力 助言を得ながら、安全な看護を実践する
意思決定を支える力 ケアの受け手や周囲の人々の意向を知る
協働する力 関係者と情報共有ができる

<Ⅰ>

ニーズをとらえる力 ケアの受け手や状況(場)のニーズを自らとらえる
ケアする力 ケアの受け手や状況(場)に応じた看護を実践する
意思決定を支える力 ケアの受け手や周囲の人々の意向を看護に活かせる
協働する力 看護の展開に必要な関係者を特定し、情報交換ができる

<Ⅱ>

ニーズをとらえる力 ケアの受け手や状況(場)の特性をふまえたニーズをとらえる
ケアする力 ケアの受け手や状況(場)の特性をふまえた看護を実践する
意思決定を支える力 ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に必要な情報提供や場の設定ができる
協働する力 ケアの受け手やその関係者、多職種と連携できる

<Ⅲ>

ニーズをとらえる力 ケアの受け手や状況(場)を統合しニーズをとらえる
ケアする力 さまざまな技術を選択・応用し看護を実践する
意思決定を支える力 ケアの受け手や周囲の人々の意思決定に伴う揺らぎを共有でき、選択を尊重できる
協働する力 ケアの受け手を取り巻く多職種の力を調整し連携できる

<Ⅳ>

ニーズをとらえる力 ケアの受け手や状況(場)の関連や意味をふまえニーズをとらえる
ケアする力 最新の知見を取り入れた創造的な看護を実践する
意思決定を支える力 複雑な意思決定プロセスにおいて、多職種も含めた調整的役割を担える
協働する力 ケアの受け手の複雑なニーズに対応できるように、多職種の力を引き出し連携に活かす

レベルⅣ段階では、より複雑な状況の中で、ケアを受ける方にとって最適な手段を選択し、 QOLを高めるための看護を実践することが基準として求められています。
(出典:日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」

リーダーシップとマネジメント能力

リーダーシップとマネジメント能力は、「組織の一員として看護・医療の提供を効率的・効果的に行うために、状況や役割に応じたリーダーシップを発揮しマネジメントを行う能力」と定義されています。具体的には、以下の3つの要素から構成されています。

<リーダーシップとマネジメント能力の構成要素>

能力の構成要素 能力および構成要素の定義
業務の委譲/移譲と管理監督 法的権限や役割等に応じて、看護チーム(看護師・准看護師・看護補助者)における業務委譲および他職種への業務移譲と、業務遂行の管理・監督を適切に行う。
安全な環境の整備 安全な看護・医療提供環境の維持・実現のため、リスクの評価や適切なマネジメント方法の検討を行い、医療安全、感染予防、災害対応等を行う。
組織の一員としての役割発揮 組織(チーム等)の中で、業務改善やチームワーク向上のために行動し、担う業務の優先度を考え、時間等の適切な管理のもと実施する。

以下は、各段階において求められる内容です。

<新人>

業務の委譲/移譲と管理監督 看護チーム内の他職種の法的権限や役割を知り、助言を得て、業務を委譲し、委譲した業務の実施確認をする
安全な環境の整備 助言を得て、安全な環境整備に関わるルールに基づき行動する
組織の一員としての役割発揮 自身の業務を時間内・時間通りに行うとともに、組織(チーム等)の一員としての役割を理解する

<Ⅰ>

業務の委譲/移譲と管理監督 看護チーム内の他職種の法的な権限や役割を理解し、自立して業務を委譲し、委譲した業務の実施確認をする
安全な環境の整備 安全な環境整備に関わるルールに基づき自立して行動する
組織の一員としての役割発揮 組織や業務実施の標準的な計画に基づき、業務の優先順位の判断や効率的な時間管理を自立して行うとともに、組織(チーム等)の活動に参加し同僚と協力する

<Ⅱ>

業務の委譲/移譲と管理監督 イレギュラーな状況においても看護チーム内で適切な業務の委譲および実施確認をするとともに、他職種の法的権限や役割を理解し、必要時業務を移譲する
安全な環境の整備 事故や問題の発生時、人々や同僚の安全を確保し影響を最小限にする行動を取る
組織の一員としての役割発揮 業務の実施の中で一時的にリーダーとしての役割を担い組織(チーム等)の目標達成のための業務の管理や改善を行う

<Ⅲ>

業務の委譲/移譲と管理監督 組織において、看護チーム内および他職種への業務の委譲・移譲や業務遂行のプロセスが安全かつ効率的に行われるよう、マニュアル等の見直しに参画する
安全な環境の整備 事故や問題の発生時にも主体的に行動し同僚を支援するとともに、潜在的なリスクに対する平常時からの危機管理体制整備に参画する
組織の一員としての役割発揮 組織の目標達成のための業務改善や同僚の支援を行う組織のリーダーとしての役割を担い、改善すべき点は同僚にフィードバックする

<Ⅳ>

業務の委譲/移譲と管理監督 業務の委譲・移譲や業務遂行のプロセスが安全かつ効率的に行われるよう、組織や職種を超えた調整による体制整備に主体的に参画する
安全な環境の整備 事故や問題の発生時・平常時の危機管理体制の整備や見直しに、組織や職種を超えて主体的に参画する
組織の一員としての役割発揮 業務改善や人材育成のためにリーダーとしての役割を担い目標達成に参画するとともに、組織を超えた変革や人材育成に役割を発揮する

ラダーの真ん中のレベルⅡ段階では、一時的にリーダーとしての役割を担いながら、個別的かつ一時的な状況において判断と実践を行うことが求められています。
(出典:日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」

専門性の開発能力

専門性の開発能力は、「看護師としての資質・能力を向上し、適切かつ質の高い看護実践を通じて、看護の価値を人々や社会に提供し貢献する能力」と定義されています。具体的には、以下の4つの要素から構成されています。

<専門性の開発能力の構成要素>

能力の構成要素 能力および構成要素の定義
看護の専門性の強化と社会貢献 看護の専門職として、制度・政策の提言や看護学の発展等の看 護の効率・効果を高める活動に、専門組織を通じて関わり社会 に貢献する。
看護実践の質の改善 看護の成果を可視化、分析することで、自身や組織の看護の改 善プロセスに関わるとともに、同僚や学生の学習支援・指導に 関わる。
生涯学習 自身の能力の開発・維持・向上に責任を持ち、生涯にわたり自 己研鑽を行い、ほかの看護師や保健・医療・福祉に関わる多様な人々とともに学び合う。
自身のウェルビーイング の向上 適切で質の高い看護を実践するため、看護師自身のウェルビー イングを向上する。

以下は、各段階において求められる内容です。

<新人><Ⅰ>

看護の専門性の強化と社会貢献 看護の専門職としての自覚と社会から求められている役割の認識に基づき行動する
看護実践の質の改善 科学的根拠に基づき行動し、自身の看護実践を定期的に見直し質向上を図る
生涯学習 自身の実践や能力の内省・評価や課題の整理を行い、適宜同僚等からのフィードバックも得ながら、学習を自ら計画的に行う
自身のウェルビーイング の向上 自身のウェルビーイングの維持を図る

<Ⅱ>

看護の専門性の強化と社会貢献 保健・医療・福祉に関わる専門職としての自覚を持って行動し、組織の新人・学生のロールモデルとなる
看護実践の質の改善 エビデンスに基づき自身や組織の看護実践の質の評価と改善を行うとともに、組織の新人・学生の指導を行う
生涯学習 自身に必要な知識や経験等を判断し多職種と共に学び合い、自身の今後のキャリアを描く
自身のウェルビーイング の向上 心身の状況を判断してセルフケアを行い、自身のウェルビーイングを維持向上する

<Ⅲ>

看護の専門性の強化と社会貢献 保健・医療・福祉の制度や政策に広く視野を持って専門職組織(職能団体や学会等)の活動を通じた提言活動や看護学の発展に関わる
看護実践の質の改善 新たな知見や技術を取り入れ実践し、成果を可視化することでエビデンス構築に貢献するとともに、同僚の学習や能力開発を支援する
生涯学習 自身のキャリアの中長期的展望を描き、その展望に応じた多様な学びを継続し同僚のモデルとなる
自身のウェルビーイング の向上 自身や周囲の状況の変化を予測しながら自身のウェルビーイングの維持向上を継続し、同僚のモデルとなる

<Ⅳ>

看護の専門性の強化と社会貢献 専門職組織(職能団体や学会等)に参画し、未来を見据えた制度・政策の改善・決定や、組織や看護・医療を超えた能力開発に関わる
看護実践の質の改善 看護・医療を超え新たな知見や技術を活用し組織を超え未来を見据えた変革・創造を主導・発信するとともに、看護実践の質向上を支援する
生涯学習 自身のキャリアに応じた学び直しや学習棄却を必要に応じて行うとともに、組織や看護・医療を超えて人材の生涯学習を支援する
自身のウェルビーイング の向上 自身のウェルビーイングの維持向上を継続するとともに、組織や看護・医療を超えて人材のウェルビーイングに創造的に関わる

ウェルビーイングとは、「身体的、精神的、社会的に良好な状態であること」という意味です。1948年に世界保健機関(WHO)が公表した「世界保健機関憲章」の記述が参考にされています。
(出典:日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」

クリニカルラダーの評価方法

クリニカルラダーの評価方法

クリニカルラダーは、以下の5段階で評価を行います。

S :非常に良い
A:良い
B:普通
C:努力が必要
D:非常に努力が必要

評価をする際は、上司による「他者評価」だけでなく、「自己評価」も同時に行います。
他者評価と自己評価を行うことによって、評価する側は評価される側の自己認識を把握でき、評価される側は自分の認識と客観的な評価の差を確認できます。評価する側と評価される側が相互の理解を深めると同時に、信頼関係の構築も図ることが可能です。

また、評価される側は自己評価をつねに意識することで、主体的にキャリアを進めている実感ができ、積極的に目標に向かって歩んでいけます

クリニカルラダーのメリット

クリニカルラダーのメリット

クリニカルラダーには、「クリニカルラダーによって評価を受ける看護師」と「クリニカルラダーを導入する医療機関」の双方にメリットがあります。

看護師にとってのメリット

看護師にとって、クリニカルラダーの評価段階は「キャリアアップのためのフローチャート」ともいえます。レベルごとに具体的な看護実践能力が示されているため、短期・中長期的な目標を掲げながら着実にスキルアップ・キャリアアップを図ることが可能です。

また、クリニカルラダーは看護師業界で共通する臨床看護実践能力の指標なので、働く場所・働き方が変わっても自分の能力を明確に示せます。つまり、即戦力として活躍できる人材であることをアピールできる材料となります。

医療機関にとってのメリット

医療機関はクリニカルラダーを導入することによって、質の高い看護師の育成を効率的に行えます。質の高い看護師が在籍することで安心・安全な看護を患者に提供でき、結果として医療機関は高い評価を得られるでしょう。

クリニカルラダー導入における課題

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前述の通り、クリニカルラダーには看護師と医療機関の双方にメリットがありますが、一方で以下の課題もあります。

  • 給与に影響を与えすぎる
  • クリニカルラダーの対象ではない部分が評価されない
  • 自己評価と他者評価に乖離がある
  • 仕事・業務を圧迫する

クリニカルラダーは看護師の実践能力を評価するのに最適な指標ですが、その反面、給与に影響を与えすぎるという特徴があります。そのため、クリニカルラダーでの評価アップを意識しすぎると、自身が目指す看護ケアや信条からズレる恐れがあります。また、クリニカルラダーの対象ではないヒューマンスキルが評価されにくく、不満を感じる看護師も出てきます。

また、評価をする際には目標を設定する、目標に対する到達度を測るための記録・振り返りを行うなど、評価する側もされる側も業務量が増えます。医療機関によっては、講習会や勉強会への参加が義務化される場合もあるでしょう。クリニカルラダーが原因で看護師の負担が増え、看護業務を圧迫する可能性があります。

まとめ

クリニカルラダーでは、ステップごとに看護実践能力向上に求められる課題が明確になっています。そのため、看護師は短期・中長期的な目標を掲げながら着実にスキルアップを図ることが可能です。また、働く場所・働き方が変わっても、自分の能力を明確に示せます。

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※当記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しています

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