非言語的コミュニケーションには目線やジェスチャーなどさまざまなものがありますが、「声のトーン」や「表情」もコミュニケーションを円滑にするうえで重要な要素です。今回は、患者さんとのコミュニケーションを円滑にする声のトーンと表情についてお伝えします。
声のトーンはTPOで使い分ける
一般的に明るくハキハキとした声のトーンは人に活力を与えますが、暗く低めの声のトーンは暗い気持ちを引き出しやすくなりがちです。しかし、「汚れているので取り換えますね」など排せつ物などの話や、患者さんの個人情報にまつわる話を明るいトーンで話すのは、相手に羞恥心を抱かせる恐れがあります。また、前向きに頑張ろうとしている患者さんに暗いトーンで話すのは、意欲が減退する要因にもなります。相手が置かれている状況を常に意識しながら、TPOに合わせて声のトーンを使い分けるように心がけましょう。
ハキハキ話す場合のNG例
・排泄物や病状
・患者さんの個人情報 など
暗いトーンで話す場合のNG例
・前向きに頑張ろうとしている患者さん
・リハビリなどの声かけ など
目もとを意識した表情作りを
感染防止のためにマスクの装着を推奨・義務化している医療機関が増えていますが、マスクをすると患者さんには表情が伝わりにくくなり、親しみや安心感を抱きにくくなるというデメリットもあります。笑顔を作るとき、多くの方は口角を上げることを意識しますが、目が笑っていないと作り笑顔のような印象を与えてしまいます。マスク装着の有無にかかわらず、目もとを意識した笑顔を心がけてください。
非言語的コミュニケーションは、使い方を誤ると相手に悪い印象を与えてしまうことがあります。言葉だけでなく、声のトーンや表情も意識してみましょう。
文:看護師/カウンセラー 坂口千絵