妊娠中の看護師のなかには、今までどおり仕事を続けることに不安を感じている人もいるでしょう。また、今後妊娠が分かったときに、どのような対応をしたら良いかわからない方も多いかもしれません。
この記事では、妊娠を報告する時期や妊娠中に注意すべきことを紹介。出産予定の看護師が、知っておくべき制度や手当も解説しています。
妊娠・出産について看護師が理解しておくこと
妊娠・出産のタイミングは千差万別です。妊娠・出産の時期をある程度計画している人もいれば、ふとしたタイミングで授かる人もいるでしょう。
妊娠をした際に焦らなくていいように、「妊娠を報告する時期」「妊娠・出産に関する制度」「妊娠・出産に関する手当」について知っておきましょう。
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妊娠の報告はいつする?

妊娠がわかった時点で、早めに上司に報告しましょう。妊娠報告では、主に以下の内容を伝えます。
- 現在の妊娠周期
- 出産予定日
- 現在の体調について
妊娠初期はホルモンの影響でおなかの張りや頭痛、倦怠感、情緒不安定、つわりなど、身体にさまざまな変化が起こります。特に初産の場合は、不安からストレスを感じることもあるでしょう。看護師の仕事は体力が必要で負担もかかりやすいので、妊娠初期に報告して周囲の理解を得ておくと安心です。
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妊娠中の看護師が注意する3つのこと

妊娠中は妊娠前と比べて、体調の変化が起こりやすいといえます。また、精神的に不安定になる人もいるため、仕事は無理をしない範囲で行いましょう。以下では、妊娠中の看護師が注意すべき3つの内容を紹介します。
1.お腹を圧迫する動作や力仕事は極力避ける
体位変換や移乗介助など、お腹を圧迫したり瞬間的に力を入れたりする動作は身体に負担がかかるので極力避けるのが無難です。もし行う場合は、できるだけほかの看護師に協力してもらって2人で行うようにしましょう。
また、立ちっぱなしも身体に負荷がかかります。適度に座って休憩することを意識しましょう。
2.院内感染に気をつける
医療機関は、ほかの場所よりも菌やウイルスなどに感染する恐れが高い場所です。
手洗いや消毒、マスクなどで対策しても、感染リスクはゼロではありません。特に、感染リスクがあるような業務や感染力が強い患者さんへ接触する際は注意しましょう。可能であれば、ほかの看護師に代わってもらうのが安心です。
3.夜勤を控える
夜勤につらさを感じたら、上司に相談してシフトを調整してもらいましょう。
妊娠中の体調は人によって、さまざまです。夜勤がしんどい人もいれば、日中のほうがつわりや眠気が強くてつらいという人もいるでしょう。自分の体調に合わせて、無理せず働ける環境を整えることが大切です。
妊娠・出産に関する制度

労働基準法と男女雇用機会均等法では、妊娠・出産をする女性の権利と健康を守る制度が定められています。
マタニティハラスメントなど、妊娠中や出産後に不当な扱いを受けないとは限りません。自分を守るためにも、各種制度について知っておきましょう。
労働基準法における母性保護規定
労働基準法では「母性保護規定」が定められています。主な内容は以下の6つです。
産前・産後休業
- 女性が請求した場合、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)は女性を就業させることはできない
- 産後8週間は女性を就業させることはできない。ただし、産後6週間を経過後に女性本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務については、就業させることは差し支えない
妊婦の軽易業務転換
妊娠中の女性が請求した場合には、ほかの軽易な業務に転換させなければならない
妊産婦等の危険有害業務の就業制限
妊産婦等を妊娠、出産、保育などに有害な業務に就かせることはできない
妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限
変形労働時間制がとられる場合であっても、妊産婦が請求した場合には、1日及び1週間の法定時間を超えて労働させることはできない
妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限
妊産婦が請求した場合には、時間外労働・休日労働・深夜業をさせることはできない
育児時間
生後満1年に達しない子どもを育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求することができる
男女雇用機会均等法における母性健康管理措置
男女雇用機会均等法でも、母性健康管理措置が定められています。主な内容は以下の3つです。
保健指導または健康診査を受けるための時間の確保
事業主は、女性労働者が妊産婦のための保健指導または健康診査を受診するために必要な時間を確保できるようにしなければならない
妊娠中 | ・妊娠23週までは4週間に1回 ・妊娠24週から35週までは2週間に1回 ・妊娠36週以後出産までは1週間に1回 |
出産後1年以内 | ・医師等の指示に従って必要な時間を確保する |
指導事項を守ることができるようにするための措置
妊娠中および出産後の女性労働者が、健康診査等を受けて医師等から指導を受けた場合は、その女性労働者が受けた指導を守れるように、事業主は勤務時間の変更や勤務の軽減などの必要な措置を講じなければならない
指導事項を守ることができるようにするための措置 |
---|
・妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮等の措置) ・妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、休憩回数の増加等の措置) ・妊娠中または出産後の症状などに対応する措置(作業の制限、休業等の措置) |
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
事業主は、女性労働者が男女雇用機会均等法による母性健康管理措置(妊娠・出産・産前産後休業の取得、妊娠中の時差通勤など)や労働基準法による母性保護措置(深夜業免除など)を受けたことなどを理由として、解雇その他不利益取扱いをしてはならない
不利益な取り扱いと考えられる例 |
---|
・解雇する ・有期雇用労働者に対して、契約の更新をしない ・あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げる ・退職させる。または正社員を非正規社員とするなど、労働契約内容の変更の強要を行う ・降格させる ・就業環境を害する ・不利益な自宅待機を命じる ・減給をする。または賞与等において不利益な算定を行う ・昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行う ・派遣労働者に対して、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む |
参照元:厚生労働省「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について」
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妊娠・出産に関する手当の種類

妊娠・出産時に関する手当の種類や支給対象者を理解し、スムーズに申請ができるようにしておきましょう。
出産育児一時金
妊娠4ヶ月(85日)以上の方が出産したときは、出産育児一時金が支給されます。令和5年4月1日以降の出産の場合、支給される金額は以下のとおりです。
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合 | 1児につき50万円 |
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合 | 1児につき48.8万円 |
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合 | 1児につき48.8万円 |
支給対象者は、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した、公的医療保険の被保険者または家族(被扶養者)です。早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。
参照元:
全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」
全国健康保険協会「出産育児一時金について」
出産手当金
出産手当金とは、女性が出産のために会社を休んだ場合に受け取れる手当のことです。出産手当金の1日あたりの受給額は、以下の計算方法で算出できます。
出産手当金の対象期間は、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日から、出産の翌日以後56日目までです。産前と産後の出産手当金は合わせて申請することができます。
なお、出産手当金の申請から支給までは1〜2ヶ月ほどかかります。できるだけ早く受け取りたい方は、産前と産後に分けて申請することで、産前の手当金の支給を早めることが可能です。
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まとめ
妊娠・出産は、女性にとって人生の一大イベントです。妊娠・出産の時期をある程度計画している人もいれば、自然に任せている人もいるでしょう。妊娠中は頭痛やお腹の張り、倦怠感、情緒不安定、つわりなど、身体に変化が起きやすい時期です。看護師は身体に負担のかかる仕事も多いため、無理をしすぎないように注意しましょう。
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