• 2023年7月15日
  • 2023年7月10日

通信教育で看護師資格は取れる? 仕事しながら看護師になる方法も解説

 

地域包括ケア制度や医療職の働き方改革を国が進めるなかで、ケアに対応できる看護師の需要も高まっています。ただし、看護師資格を取得するには、一定期間養成施設で学んだうえで看護師国家試験に合格する必要があります。社会人として仕事をしながら看護師資格を取得したいと思っている方のなかには、通信教育で看護師資格を取得したい方もいるでしょう。

この記事では通信教育で看護師資格を取得する方法や、仕事をしながら看護師になる方法を解説します。

通信教育で看護師資格は取得可能?

通信教育では、看護師国家資格を取得できません。看護師免許を取得するためには、受験要件を満たしたうえで、看護師国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験要件は、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合する養成機関や大学の看護学科で3年以上学び、修了することです。
(出典:e-gov法令検索「保健師助産師看護師法 第二十一条」

看護師の養成にあたっては、実地での実習がカリキュラムとして定められており、実習が行えない通信教育や夜間コースは存在しません。実習は医療職として患者さんに触れるうえで、看護専門職にふさわしい思考力・問題解決能力・倫理観・自己省察能力を養成する、看護師に欠かせないものです。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護職になるには」
(出典:文部科学省「看護学実習ガイドライン」

社会人が看護職を目指して大学・専門学校に通う場合、学習に時間が必要なことにくわえ、授業料や生活費などの金銭的な課題も出てきます。看護師資格を取得する際は、時間もお金も余裕があり、家事や育児をサポートしてもらえる環境が整ったときにチャレンジするのがよいでしょう。

以下の記事では、看護師になる際に学ぶ内容や学校の選び方、主な仕事内容について解説しています。看護師資格の取得を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

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准看護師の資格保有者なら通信制で看護師資格を取得可能

准看護師資格を保有しており、かつ7年以上の実務経験を持つ方であれば、通信教育課程を修了して国家試験に合格することで看護師の資格を取得できます。要件となる実務経験は、7年という期間を満たしているかどうかが問われ、就業場所や雇用形態は条件に含まれません。

通信教育で看護師になれる准看護師とは

通信教育で看護師になれる准看護師とは

看護師には、厚生労働大臣が発行する国家資格である看護師と、都道府県知事が発行する免許である准看護師の2種類があります。准看護師とは、看護師と同じように患者さんのケアを行う職業です。ただし、医師・歯科医師または看護師の指示を受けて業務を行う点で、看護師とは異なっています。

准看護師免許取得者は働きながら看護の実務経験を積めるため、社会人生活を送りつつ看護師資格を通信教育で取得可能です。准看護師は看護師に比べて資格取得に必要な期間が短く、前提となる学歴も中学校卒業となっています。
(出典:一般社団法人日本准看護師連絡協議会「准看護師の生涯教育研修体制の構築」

ただし、日本看護協会は医療福祉の高度化・専門化を理由として准看護師制度の廃止を進めており、准看護師の数が減少しているのも事実です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「准看護師制度について」

准看護師の資格取得方法や資格取得後のあり方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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准看護師資格の取得方法

准看護師の資格取得の流れは下記の通りです。

1 養成所に入学する
准看護師になるためには、まずは准看護師学校養成所を受験して入学する必要があります。養成所の受験資格は「中学校卒業」とされており、入学試験の難易度も中学校までに習うレベルで設定されています。具体的な受験科目は養成所により異なりますが、「国語・作文・数学・社会・理科・英語」などの中から2科目〜3科目が出題される場合がほとんどです。

2 2年間かけて勉強する
准看護師学校養成所では、2年間かけて准看護師の受験資格を得るための勉強をします。1年目は座学がメインで、2年目は主に実習となるカリキュラムが一般的です。働きながら通える養成所も少なくありません。ただし、実習が必要となることから、看護師養成施設と同じく准看護師養成施設は一般的に全日制の形をとっています。

3 准看護師試験に格する
准看護師試験に合格すると、都道府県知事から免許が発行されます。試験の日程は都道府県によりさまざまであるため、事前に確認しておきましょう。日程が被らなければ、複数の都道府県で受験することも可能です。

(出典:一般社団法人日本准看護師連絡協議会「准看護師の生涯教育研修体制の構築」

准看護師試験では専門的な知識が問われるものの、合格率は高い水準で推移しています。2022年度の准看護師試験の合格率は97.9%、うち看護師養成所を修了した方の合格率は99.1%です。

准看護師が看護師資格を取得する方法

最短で看護師になりたい場合は、中学校、または高校卒業後に看護師養成施設へ入学しましょう(社会人も入学可能)。看護師養成施設から看護師になる場合に必要な期間は3~5年です。一方で准看護師になってから看護師になる場合、准看護師の資格取得後に看護師陽性施設への入学が必要なほか、准看護師としての実務経験年数が求められるケースがあるため4~11年が必要になります。

ただし、すぐに看護系の仕事に就きたい場合などは、准看護師資格を先に取得し、実務経験を積んでから看護師資格を取得する方法もあります。

准看護師から看護師になるためには、看護師学校養成所2年課程への入学が必要です。2年課程には、全日制・定時制・通信制があります。それぞれの課程の特徴は、以下です。

課程名 教育年限 入学要件 教育内容 必要単位数
全日制 2年
  • 准看護師資格を有する
  • 中卒の場合実務経験3年以上
  • 対面授業による講義や演習
  • 臨地実習
  • 基礎分野、専門基礎分野、専門分野で52単位以上
  • 実習で16単位以上
定時制 3年
通信制 2年
  • 准看護師資格を有する
  • 実務経験7年以上
  • 通信学習、印刷教材による授業、放送授業、紙上事例演習 (24事例程度)
  • 10日以上の対面授業
  • 16日以上の病院等見学実習
  • 24日以上の面接授業
(出典:公益社団法人日本看護協会「准看護師が看護師資格を取得するには?」

年限は全日制と通信制が2年、定時制が3年です。准看護師資格を有することにくわえ、全日制と定時制では中学校卒業の場合は3年以上の実務経験が求められます。通信教育の場合は、臨地実習が免除される代わりに入学要件として7年の実務経験が求められます。

全日制では、准看護師資格取得後に最短で看護師資格を取得可能です。定時制は3年の教育年限が必要で、入学者は昼間コースと夜間コースのどちらかに通います。平日に授業がない曜日を設けているところも存在するため、社会人も通いやすい課程といえるでしょう。

ただし、全日制・定時制のどちらも一定期間の臨地実習を行うことから、その期間は実習に専念する必要があります。また、通信制でも、完全に通信のみで免許を取得できるわけではなく、対面授業や病院見学実習などには出席が必要です。

仕事しながら看護師資格を取得する方法は?

仕事しながら看護師資格を取得する方法は?

社会人がフルタイムで仕事をしながら看護師資格を取得するのは、全日制の養成施設への入学が必要となることから高難易度です。すでに准看護師資格を取得している方であれば、働きながら看護師を目指す難易度は下がります。准看護師が仕事をしながら看護師資格を取得する方法を解説します。

また、以下の記事では働きながら看護師を目指す方法を紹介しているため、合わせてご一読ください。

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働きながら看護学校に通って目指せる看護師の種類! 通うときの心構えも

支援制度を活用する

社会人が看護師資格の取得を目指す場合は、金銭的負担を軽減するために奨学金制度を活用するとよいでしょう。准看護師が看護師資格を取得する際に使用できる奨学金制度のうち、3種類を紹介します。

  • 看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金
  • 各病院の奨学金
  • 看護師等修学資金の貸与制度

看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金は、日本看護協会が貸与する奨学金です。准看護師から看護師を目指して、通信制の養成所へ進学する方を対象としています。奨学金の金額は、年間36万円または48万円です。
(出典:公益社団法人日本看護協会「看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金」

病院によっては、国家試験合格後に働くという条件で、奨学金を貸与しているところも少なくありません。奨学金の貸与期間と同じ分だけ働くことで、返済が免除されるケースも多くあります。ただし返済途中で退職すると、残りの金額を一括返済しなければならなくなる場合も多いため、借りる際は注意しましょう。
(出典:日本赤十字社医療センター「奨学金制度について」
(出典:独立行政法人国立病院機構「奨学生募集情報について」

看護師等修学資金の貸与制度とは、都道府県が実施する奨学金制度です。一部通信制の養成所を除外する自治体もありますが、教育課程によらず奨学金を貸与している場合がほとんどです。自治体が指定する施設で一定期間働くことで返済が免除される場合も多いため、活用を検討してみるとよいでしょう。
(出典:「看護師等修学資金の貸与について」

通信制・定時制の看護師養成施設に通う

日中に仕事をしている方は、通信制・定時制の看護師養成施設に通うというのも選択肢の1つです。看護師学校養成所2年課程には通信制・夜間定時制があり、働きながら看護師資格を取得しやすい環境にあります。対面授業や臨地実習のために昼間の登校が必要となる場合もありますが、基本的な講義は自宅でも受講可能です。

准看護師の免許と一定以上の実務経験があれば自分のペースで通えるため、働いて収入を確保しながら資格取得を目指せます。
(出典:公益社団法人日本看護協会「准看護師が看護師資格を取得するには?」

まとめ

通信教育では看護師資格を取得できません。ただし例外として、准看護師資格を保有しており、7年以上の実務経験がある方は通信教育で看護師を目指せます。働きながら看護の実務経験を積めるため、社会人生活を送りつつ看護師資格を通信教育で取得可能です。ただし、准看護師を経由して看護師になる場合、4年~11年の期間が必要になります。

准看護師が働きながら看護師を目指す場合、奨学金制度を活用しながら通信制・定時制の看護師養成施設に通いましょう。仕事と学業の両立が可能な職場を見つけるには、マイナビ看護師への登録がおすすめです。看護業界に精通した専任のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの要望に合った職場を紹介します。

※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています

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