• 2021年8月18日
  • 2024年11月27日

准看護師とは? 資格・給料など看護師との違いを解説

 

准看護師と看護師の違いは、見た目では分かりません。仕事内容もあまり変わりませんが、資格や業務の進め方は大きく異なります。

この記事では、准看護師と看護師の違いを資格、定義と職務内容、給料に分けて解説します。また、准看護師になる方法や将来性についてもまとめているので、看護職をめざす方はぜひ参考にしてください。

准看護師とは

准看護師とは、主に病院やクリニックといった医療機関で診療補助を行う医療従事者のことです。都道府県知事が発行する准看護師免許を取得することで、准看護師として勤務できます。

厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、准看護師の人数は25万4,329人です。そのうち男性は1万8,808人、女性が23万5,521人と女性が大多数を占めています。増加を続ける看護師とは異なり、准看護師の人数は毎年減少しています。

参照元:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

准看護師と看護師の違い

准看護師と看護師は、資格の取得方法から職務内容、給料や待遇に至るまでいくつかの違いがあります。

資格取得の違い

准看護師 看護師
免許 都道府県知事の免許 厚生労働大臣の免許
(国家資格)
必要学歴 中学校卒業 高校卒業
資格取得までにかかる年数 2年以上 3年以上
単位・時間 1,890時間以上 102単位以上

准看護師と看護師では、保有している免許が異なります。准看護師は都道府県知事が発行する免許ですが、看護師は厚生労働大臣が発行する免許で国家資格です。

准看護師免許を取得するには中学卒業後に准看護師養成所へ入学し、2年課程で1,890時間以上の履修が必要です。一方、看護師免許を取得するには、高校卒業後に大学や看護師養成所に3〜4年間通い、102単位以上の履修が必要です。

准看護師は中学卒業後に2年で免許が取得できるのに対し、看護師は取得までに高校卒業後3年から4年かかります。

参照元:日本看護協会「准看護師制度について

定義・職務内容の違い

准看護師 看護師
定義 医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う 傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う
仕事の進め方 医師や歯科医師、看護師の指示のもと、業務を行う 自ら判断して業務を行う

准看護師と看護師は、定義・職務内容にも違いがあります。

保健師助産師看護師法では、看護師は第5条で「傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定義されています。一方、准看護師は第6条で「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者」とされています。

准看護師と看護師はいずれも診察の補助や健康管理、注射、採血などを行います。ただし、看護師は自身の判断で看護業務を行えるのに対し、准看護師は医師や看護師の指示がないと業務を行えません

参照元:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法

給料の違い

准看護師 看護師
給与 28万6,800円 35万2,100円
賞与 62万9,500円 85万6,500円
年収 407万1,100円 508万1,700円

給料は経験年数や働く場所により差が出ますが、一般的には准看護師よりも看護師のほうが高い収入を得る傾向にあります。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の給与額は28万6,800円、賞与額は62万9,500円で、年収は407万1,100円です。一方、看護師の給与額は35万2,100円、賞与額は85万6,500円、年収は508万1,700円。年収の差は約100万円です。

准看護師に比べて看護師は昇進の機会が多いうえ、キャリアパスも豊富です。管理職としてのキャリアを築けることもあり、収入に大きな差が生じています。

参照元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査

准看護師の業務内容

准看護師はバイタルチェック、点滴や注射、診察や手術の補助などを行います。具体的には体温・血圧・脈拍などの測定、患者さんの食事・排泄・入浴の介助、体位変換、シーツ交換、患者さんの移送、カルテの記入などです。また、カンファレンスにも参加します。

ただし、准看護師は独自の判断で業務を行うことができず、必ず医師や看護師の指示に従う必要があります。また、看護師に指示を出すことや看護計画を立案することもできません

准看護師ができる業務 准看護師ができない業務
・バイタルチェック(体温、血圧、脈拍の測定)
・点滴、注射、採血
・診察や手術の補助
・食事、排泄、入浴の介助
・体位変換
・シーツ交換
・患者さんの移送
・服薬管理
・カルテの記入
・カンファレンスへの参加
・自らの判断で業務を行うこと
(必ず医師や看護師の指示が必要)
・看護師に指示を出すこと
(たとえ看護歴が長くてもNG)看護計画の立案

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准看護師ができないことは? 仕事内容やキャリアアップ方法・活用できる制度

准看護師になるには

ここでは、准看護師免許を取得するルートと准看護師試験の概要について紹介します。

准看護師の資格を取得する方法

准看護師免許を取得するには、主に2つのルートがあります。

  1. 中学卒業後、准看護師養成所(2年)または高等学校衛生学科(3年)に進学する
  2. 高校卒業後、准看護師養成所(2年)に進学する

中学卒業後に准看護師養成所に2年通うのが、准看護師をめざす最短ルートです。いずれのルートでも、准看護師試験に合格することで都道府県知事より准看護師免許が発行されます。

なお、准看護師養成所には全日制と定時制があります。社会人になってから准看護師養成所に通い、准看護師をめざすことも可能です。

准看護師試験の概要

准看護師試験は、毎年2月に47都道府県で実施されます。出題範囲は下記科目で、全150問です。

  • 人体の仕組みと働き
  • 栄養
  • 薬理
  • 疾病の成り立ち
  • 保健医療福祉の仕組み
  • 看護と法律
  • 基礎看護
  • 成人看護
  • 老年看護
  • 母子看護及び精神看護

なお、2024年に行われた准看護師試験は、受験者12,726人のうち合格者は12,449人で合格率は98.2%でした。

参照元:
一般社団法人 日本准看護師連絡協議会「これから准看護師を目指す人
厚生労働省「令和5年度准看護師試験の実施状況について

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准看護師資格は働きながら取れる? 取得方法や費用・仕事内容も解説

准看護師の将来性

准看護師の将来性については、医療現場や社会の変化に伴いさまざまな議論がなされています。

近年、高齢化や医療の高度化・複雑化の背景もあり、看護職には自律的に判断して看護を行う能力が求められています。日本看護協会では准看護師養成所を看護師養成所に転換し、看護師資格に一本化する動きもあり、准看護師の人数は減少傾向にあります。しかし、小規模な病院やクリニック、介護施設などでは准看護師が引き続き必要とされており、こうした現場では准看護師のニーズが高いのも事実です。

准看護師資格は看護師と比べて資格取得にかかる時間や費用が少なく、定時制の養成所であれば働きながら資格を取得することも可能です。育児や家族の介護をしている人にとっても、めざしやすい医療従事職といえるでしょう。

将来、准看護師から看護師へキャリアアップする道もあります。自身のライフステージや働き方などを踏まえたうえで、准看護師をめざすのか、それとも看護師をめざすのか検討してください。

准看護師が看護師になるには

准看護師が看護師になるには、看護師養成所で2年課程を修了して看護師国家試験に合格する必要があります。看護師養成所の2年課程には全日制、定時制、通信制があり、ライフスタイルに合わせて看護師をめざせます。

【全日制】
准看護師資格取得後に最短で看護師資格を取得できます。ただし、中学卒業後に准看護師となった方は、実務経験が3年以上必要です。

【定時制】
昼間定時制と夜間定時制があり、それぞれ3年間かけて2年課程を修了します。3年の月日はかかりますが、働きながら看護師資格の取得が可能です。

【通信制】
通信制では、准看護師として働きながら看護師をめざせます。ただし、通信制で学ぶには実務経験が7年以上必要です。座学は基本的に通信教材で学びますが、病院での見学実習のほか、登校して面接授業や紙上事例演習なども行います。

准看護師から看護師になることで、自身で判断して臨機応変に看護を行えるようになります。また、認定看護師や専門看護師、管理職をめざすことも可能です。

まとめ

准看護師免許は2年という短い期間で、働きながら取得できます。掛かる金額も看護師に比べて安いので、取得しやすいのがメリットです。そのため、まずは准看護師資格を取得して、キャリアアップをめざすのであれば看護師資格を取得する道もあります。

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