ICU(集中治療室)は、狭義では重要臓器の急性臓器不全の患者さんに対して集中治療を行う総合的な集中治療室を指します。広義では、HCU・NICU・SICU…など、特定の疾患を対象とした治療室も包含して使用されることがあります。
当記事では、Care Unit(~CU)の代表的な種類と、ICU・HCU・CCU・SCUの特徴や違いについて詳しく紹介します。集中治療の現場に携わりたいと考えている看護師さん、医療関係者の方は、ぜひご覧ください。
Care Unit(~CU)の代表的な種類・特徴
そもそもCare Unitとは、日本語で「治療室」を意味し、広義には「集中治療室」を指す言葉です。
「~CU」は「~Care Unit」の頭文字を取った略称で、日本語で「~集中治療室(もしくは~治療室)」と呼称されます。
集中治療室には、集中治療に必要となる高度な診療機器・モニタリング用機器などが整備されており、質の高い診療体制が整えられています。治療室内の機器・装置や病院内設備の設置基準も定められており、患者さんの治療を24時間体制で行う点が特徴です。
(出典:一般社団法人 日本集中治療医学会「集中治療医とは」)
広義の集中治療室においては、どのような疾患・患者さんを対象とするかによって、以下のように種類が分かれています。
表記 | 日本語表記 | 特徴(受け入れる患者さんの状態) |
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ICU(Intensive Care Unit) | 集中治療室 |
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HCU(High Care Unit) | 高度治療室 |
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SICU(Surgical Intensive Care Unit) | 外科系集中治療室 |
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CCU(Cardiac Care Unit) ※CCU が「Coronary Care Unit」の略の場合は「冠動脈疾患集中治療室」 |
循環器疾患集中治療室 |
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SCU(Stroke Care Unit) | 脳卒中集中治療室 |
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NCU(Neurosurgical Care Unit) | 脳神経外科集中治療室 |
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KICU(Kidney Intensive Care Unit) | 腎疾患集中治療室 |
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RICU(Respiratory Intensive Care Unit) | 呼吸器疾患集中治療室 |
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MFICU(Maternal-Fetal Intensive Care Unit) | 母体・胎児集中治療室 |
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NICU(Neonatal Intensive Care Unit) | 新生児集中治療室 |
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GCU(Growing Care Unit) | 移行期(回復期)治療室 |
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PICU(Pediatric Intensive Care Unit) ※PICU が「Perinatal Intensive Care Unit」の略の場合は「周産期集中治療室」(MFICU と同義で使われることもある) |
小児集中治療室 |
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各治療室では、集中治療医・専門医・看護師・薬剤師・臨床工学技士などさまざまな専門職種の方々がチームを組み、患者さんの治療を行います。
ICU・HCU・CCU・SCUの違いは?
続いて、ICU・HCU・CCU・SCUの違いについて詳しくご紹介いたします。
ICU:集中治療室 | 内科系・外科系を問わず、重篤な患者さんの治療を行う施設 |
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HCU:高度治療室 | 重症化リスクのある患者さんや、経過観察が必要な患者さんを受け入れる施設 |
CCU:循環器疾患集中治療室 | 心筋梗塞や狭心症などを急性発症した重篤な患者さんの治療を行う施設 |
SCU:脳卒中集中治療室 | 脳卒中を急性発症した重篤な患者さんの治療を行う施設 |
各治療室は受け入れる患者さんの状態に違いがあり、看護師の働き方もそれぞれ異なります。以下では、4つの治療室について特徴や主な役割、対象となる患者さんをより詳細に説明します。
ICU(Intensive Care Unit):集中治療室
ICUとは「Intensive Care Unit」の略称で、狭義における「集中治療室」のことです。
ICUは重篤な急性機能不全にある患者さんや、容態観察が必要な患者さんに対して、集中的な治療・看護を提供します。内科・外科を問わず重篤な状態にある患者さんを受け入れるため、さまざまな疾患・症状の治療に関われる点がICUの特徴です。
重篤な患者さんを受け入れるICUでは、患者さんの容態が急変するケースも珍しくありません。患者さんの様子に注意を払い、容態急変に冷静な対応ができる方は、ICUの看護師に向いているでしょう。
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HCU(High Care Unit):高度治療室
HCUとは「High Care Unit」の略称で、「高度治療室」と呼ばれる施設のことです。
HCUでは、重症化リスクがある患者さんや、術後の経過観察が必要な患者さんに対して、高度な医療・看護を提供します。内科・外科を問わずに受け入れる点はICUと共通するものの、受け入れる患者さんの重篤度はICUよりも低く、ICUと一般病棟の中間といえる立ち位置です。
ICUと比べてHCUの患者さんは重篤度が低いため、受け入れる患者さんの人数はICUよりも多くなります。看護業務を日々行いながら、患者さんが万が一重症化した場合にも素早く対応できる方は、HCUの看護師に向いているでしょう。
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CCU(Cardiac Care Unit):循環器疾患集中治療室
CCUとは「Cardiac Care Unit」の略称で、「循環器疾患集中治療室」と呼ばれる施設のことです。「Coronary Care Unit」の形式を取る施設もありますが、日本集中治療医学会では以下のような説明がされています。
わが国でのCCUは純粋なcoronary care unitの形式を取る施設はまれで、いわゆるcardiac care unitとして心不全、不整脈、心筋炎、急性大動脈解離、急性肺血栓塞栓症などもその対象疾患となっている。したがって、ここで述べるCCUとは、cardiac care unitをも包括した概念で、主たる疾患は冠状動脈疾患であるが、循環器内科が担当する重症患者を収容する集中治療病棟とする。
CCUは心筋梗塞や狭心症などの冠疾患や、心不全や不整脈などの心臓血管疾患を急性発症した患者さんを受け入れて、集中治療を提供します。受け入れた患者さんの安静度を拡大させて、一般病棟での治療・看護ができる状態まで回復させることも、CCUの目的です。
心臓血管疾患は緊急な処置を必要とするケースが多く、CCUでは早期の診断・治療が重要です。重症の心臓血管疾患患者さんの命を助けたいと強く思う方や、救急搬送される患者さんの受け入れや医師のサポートを素早く的確に行える方は、CCUの看護師に向いているでしょう。
SCU(Stroke Care Unit):脳卒中集中治療室
SCUとは「Stroke Care Unit」の略称で、「脳卒中集中治療室」と呼ばれる施設のことです。
SCUは脳卒中に代表される脳血管障害を急性発症した患者さんを受け入れて、発症初期の段階から効果的な治療を提供します。
SCUが提供する治療にはリハビリテーションも含まれており、患者さんの早期離床・機能回復を支援することも大切な業務です。そのため、SCUには専任の理学療法士もしくは作業療法士が1名以上配置されています。
(出典:厚生労働省「入院医療(その7)」)
脳血管障害の患者さんを助けたいと思われている方や、理学療法士・作業療法士などのリハビリ職と連携して業務にあたりたいと考える方は、SCUの看護師に向いているでしょう。
まとめ
ICU(Intensive Care Unit)は「集中治療室」、HCU(High Care Unit)は「高度治療室」、CCU(Cardiac Care Unit)は「循環器疾患集中治療室」、SCU(Stroke Care Unit)は「脳卒中集中治療室」の略称です。緊急を要する患者さんに対して治療を行う点は共通しているものの、それぞれ対象としている疾患が異なります。
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※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています